それでもケースが多かったということは

豊橋歯科医インプラント被害問題 医師は説明と謝罪を /愛知

患者から苦情が相次いでいる、豊橋市の歯科医院によるインプラント(人工歯根)使い回し疑惑。県や同市保健所が立ち入り調査をしたが、使い回しの事実は確認できず、4月には患者団体が豊橋署と豊橋保健所に真相究明を要望した。患者団体は民事訴訟を次々に起こす構えも見せている。

◇法で裁けない課題も
元患者の女性(73)は07年8月、インプラント治療について相談しようと、同医院を訪れた。「とりあえず入って」と促され、診察台に横になると目隠しをされ、口を開くよう指示された。院内は音楽がうるさく、男性医師の言葉は早口で聞き取れない。気付いた時には麻酔をかけられ、治療が始まっていた。
自宅に戻った女性は鏡の前で口を開けて愕然(がくぜん)とした。上下20本以上の歯から金具が突き出ていて、インプラントをかぶせる直前まで施術されていた。請求額は総額400万円以上。なんとか生活費からかき集めたが、「歯もなくなり、家族には申し訳なく、本当に惨めだった」。
その後、女性の歯ぐきは化膿(かのう)し、今でも歯ブラシが当てられないほど痛い。「自分のインプラントも使い回しではないか」との不安がぬぐえない。「無知な患者が悪いのか。関係者には真実を話して謝ってほしい」と、提訴準備を進めている。

使い回し疑惑の発覚は今年1月だった。元従業員が「不具合で患者から抜け落ちたインプラントを洗浄して減菌パックに入れ、新規の患者に使い回していた」などと、市歯科医師会に内部告発した。だが、その後の県と市保健所の立ち入り検査では、使用済みインプラントは見つからなかった。
疑惑をめぐり、市歯科医師会には5月12日までに324件の相談が寄せられた。「初診でインプラントを埋められた」「説明や同意がなかった」など、納得のいかない治療への苦情が全体の7割を占めた。
朽名正也・市歯科医師会長は当初、「同じ歯科医師として許せない行為。刑事告発を検討する」としていたが、いまは「安易な告発よりも、被害者の民事提訴を支援するのが先決」と話す。
同医院の元患者や家族は3月、被害者連絡会(会員50人)を設立。4月には疑惑の真相究明を訴える要望書を保健所と豊橋署に提出した。今は4人の弁護士とともに民事訴訟の準備を進める。河合孝弘代表は「提訴はなるべく早い時期を考えている。民事責任を追及することで医院に説明と謝罪を求めたい」と話している。
県警は捜査を続けているが、立件のハードルは高い。インプラント使い回しや十分な説明のない治療行為を禁止する法律がないためだ。捜査関係者によると、カルテの記載も簡潔で、明確な法律違反を示すものはほとんど残っていないという。捜査幹部は「被害者にすれば理不尽な話。医師として求められる倫理や道徳の問題を法律で裁けないのは課題だと思う」と打ち明けた。

【毎日jp】



この記事が全ての内容ではないかもしれませんが、初診でインプラントを入れるなどは、先ず常識では考えられない行為です。しかし、それでもこれだけのケースの経験があるということは、患者さんには、何かしかの魅力のあった診療所なのかもしれません。
この事件は、現在の歯科医療の断片をみせています。
by kura0412 | 2010-05-24 10:04 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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