日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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ワーキングプアは誤解でしょうか

私大歯学部、定員割れ深刻 低下や経営に懸念

東北の私大歯学部で定員割れが深刻化している。本年度の募集人員に対する充足率は奥羽大(郡山市)が33%、岩手医科大(盛岡市)は60%にとどまった。大幅な欠員が続けば、大学の経営悪化や学生のレベル低下につながりかねない。東北で歯学部を持つのは東北大を含めた3大学だけで、今後の地域医療への影響も懸念されている。

奥羽大は本年度、募集人員96人に対し入学者は32人、岩手医科大は70人の募集に入学者は42人だった。両大学とも欠員が出たのは前年度から。昨春の入学者は奥羽大が53人(充足率55%)、80人を募集した岩手医科大は60人(同75%)で、状況は今春さらに悪化した。
志願者を増やそうと、奥羽大はオープンキャンパスや高校訪問などを実施。岩手医科大も推薦入学の指定校制度導入などに取り組んでいるが、大きな効果は上がっていない。
私大歯学部の定員割れは全国的な傾向になっている。日本私立歯科大学協会によると、全国17の私大歯学部で本年度、募集人員を満たしたのは大都市圏の6大学だけで、奥羽大の充足率は最低、岩手医科大は5番目の低さだった。全国の志願者総数も2007年度までは1万人以上いたが、本年度は4900人に落ち込んだ。

定員割れは大学経営に影響する。入学金や授業料などの初年度納付金は奥羽大が950万円、岩手医科大は890万円。奥羽大の天野義和学長は「まだ余力はあるが、この状況が続けば大学を維持できず、歯科医療の崩壊につながる」と訴える。
学生の質の低下を危ぶむ声もある。東北の歯学部教員の一人は「学力不足の学生が目立つようになってきた。国家試験が関門になるが、医療水準の低下を招きかねない」と指摘する。
大学関係者によると、歯学部離れの背景には、少子化や不況、医学部の定員増などがある。中でも最大の要因に挙げられるのが「歯科医師過剰」への過敏な反応だ。
歯科医師数は1990年の7万4000人から、2008年は9万9000人に増加した。天野学長は「過当競争でワーキングプアになっているかのようなうわさは、誤解にすぎない。就職率は100%で、30代の開業医は大企業の役員並みの収入を得ているケースもある。国民の健康を守る魅力的な職業だ」と強調する。
私大は歯学部定員の4分の3を占め、地域医療を支えてきた。歯科医師数の抑制を求めてきた福島県歯科医師会の金子振会長も「欠員の多さには驚いた。来年度以降も続けば、将来の歯科医師確保にも影響する」と心配している。

【河北新報】



地方紙にまで取り上がられるようになりました。
「誤解に過ぎない」などの後段の部分の大学関係者の意見には賛同できません。その実態を率直に認めなければこの問題の解決はありません。
by kura0412 | 2010-05-08 14:19 | 歯科医療政策 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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