全世代型社会保障中間報告に歯科関連も

75歳以上の医療費2割負担、線引き焦点に 議論始動

後期高齢者の2割負担の新設をめぐっては、対象となる所得水準が最大の焦点となる

安倍晋三首相がめざす「全世代型社会保障」を巡り、医療制度改革に向けた具体的な制度設計の議論が20日、始まった。一定の所得がある75歳以上の後期高齢者が医療機関の窓口で払う自己負担の割合をいまの1割から2割に引き上げる方針で、対象者の線引きが焦点となる。2割負担の人が多いほど現役世代の負担は和らぐが、後期高齢者の負担に配慮して対象を絞る可能性がある。

政府は201912月、首相が議長を務める全世代型社会保障検討会議で、22年度までの医療制度改革の方向性を決めた。(1)後期高齢者の2割負担の新設(2)紹介状がないのに大病院を外来受診した患者から特別料金を徴収する制度の拡大――の2つが大きな柱だ。

厚生労働省は20日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療部会など複数の会合で議論を進める。今夏までに制度の詳細を詰め、秋に想定される臨時国会に関連法案の提出をめざす。

後期高齢者の2割負担の新設では、対象となる所得水準が最大の焦点となる。介護保険制度では年金のみで年収280万円以上の人は2割負担、340万円以上の人は3割負担になる制度を導入している。18年度末で2割負担は34万人、3割負担は26万人。2割負担の人は要支援・要介護の認定を受けた659万人の5%程度だ。

後期高齢者のうち18年度に年金だけで年280万~350万円の収入があった人は約110万人と、全体の6%程度を占めた。制度全体でみれば高齢者の自己負担が増えるほど、現役世代の負担を抑えることができる。

ただ個人でみれば対象となる後期高齢者の窓口負担は倍増する。自民党は19年末にまとめた提言で2割という数値を明記せず、単に「引き上げる」と記した。公明党も「1割負担が基本」とした経緯があり、負担増の実現は簡単ではない。

現行では後期高齢者でも現役並みの所得があれば医療の窓口負担は3割となる。この現役並みとする所得水準の見直しも議論になりそうだ。高齢夫婦2人世帯の場合は年収520万円以上が対象。この線引きだと、例えば年収500万円なら対象から外れるが、財務省は「相当の収入があっても現役並みと評価されていない」と指摘し、見直しを求めている。

20日の医療部会では主に紹介状がないのに大病院を受診した患者から特別料金を徴収する制度の拡大について議論した。

対象の病院をどこまで広げるかなどが検討課題だ。現在は高度な医療を提供する「特定機能病院」と、地域医療の拠点となる「地域医療支援病院」のうち400床以上の420施設が対象。紹介状がない患者から初診の場合5千円以上の追加料金を徴収している。対象拡大は、まずは地域の診療所を受診してもらい、大病院は入院や手術といった高度な医療に重点化してもらう狙いだ。

全世代型社会保障検討会議では22年度までに特定機能病院と地域医療支援病院に限らず、200床以上の一般的な病院にまで広げるとした。2000程度、対象数が増える計算だ。初診の場合に最低5000円としている特別料金についても、千円以上引き上げる。病院の収入に回さず、保険財政の健全化に充てる。

20日の部会では病院の団体から「制度の拡大で患者の行動がどう変化するか、しっかりしたシミュレーションをしてもらいたい」と慎重な検討を求める意見が相次いだ。

(日経新聞)


中間報告書の中には歯科関連がかなり盛り込まれています。この夏の最終報告に向けて具体的な政策を含め歯科界の議論が必要です。


# by kura0412 | 2020-01-24 14:28 | 歯科医療政策 | Comments(0)

もっと危機感を

日本を代表するトヨタが危機感を募らせているとの話を聞きました。年間2兆円もの利益を生む大企業が何故?と考えましたが、5Gなどの発達によって、IT企業が車の世界に飛び込むことへの懸念があるからだそうです。昨日発表された静岡での試みはその一環です。
然るに歯科界に目を向ければ、現実の窮状に目を向けず、将来への危機感が全くなく、裏付けのないままの理想論の列挙のままです。この差は歴然と将来の結果に導かれるでしょう。歯科界はもっと危機感をもつべきです。



# by kura0412 | 2020-01-09 17:15 | コラム | Comments(0)

今年一年個人的には、歯科界は

私の診療所は本日をもって今年の診療を終えました。
今年は春に腰を痛め、その為日課にしていたワーキングが出来なくなり、私的には体調面に課題の残った1年でした。
では、歯科界にとってはどうだったか?
将来的な方向性は見え始めてきましたが、それぞれの足元をみると、更に脆弱になってきたようなイメージをもっています。
そしてもう一点感じたのは、若いエネルギーが目の前のことだけで、自分たちが先頭になった時の展望とそれを可能にするための現時点での若い声が聞こえてこないことです。無論、その若い声を引き出す務めを怠っている現在歯科界をリードするたちがの方の反省も必要です。
これらのことを意識しながら、このブログにも取り組みたいと思います。
そして来年は、体調面を留意して、元気印老人となるべく準備に務めたいと考えています。

1年間本ブログにお付き合いいただきありがとうございました。良いお年をお迎えください。



# by kura0412 | 2019-12-30 11:34 | コラム | Comments(0)

仕掛けた首相 「全世代型」へ負担増にかじ

医療改革、仕掛けた首相 「全世代型」へ負担増にかじ

13日、首相官邸5階の首相執務室。財務省から医療費の負担上げの説明を受けた首相、安倍晋三(65)が指示した。「何をやっているんだ。受診時定額負担の文言は絶対に落とすな」
医療の負担増は2012年12月に発足した安倍政権で避け続けてきた課題だ。それが一転、安倍は負担増をけん引する姿勢に転じた。

異変が起きたのは2週間前、11月26日の自民党本部だった。全世代型社会保障のとりまとめを担う首相側近の一人、経済財政・再生相の西村康稔(57)が党政調会長、岸田文雄(62)を訪ねた。「75歳以上の医療費の2割負担、受診時定額負担の両方を12月の中間報告に盛り込みたい」
全世代型社会保障は安倍が今年9月の内閣改造時に「大胆に構想する」と表明し、検討会議を発足させた。子育てや年金、医療、介護などを包括的に見直す方針を掲げた。当初は年金の受給年齢を柔軟にするといった年金改革が目玉になるとみられていた。

西村・岸田会談を終えた11月26日夕、首相が議長を務める検討会議で局面が変わった。
元総務相の増田寛也(68)が長年、日本医師会が強固に反対していた受診時の定額負担について「開業医の8割強、勤務医の9割強が賛成だ。そのほとんどが1000円以上の定額負担に賛成している」と発言した。
医療制度改革を仕掛けたのは、安倍本人だった。1カ月前の10月末。「改革は医療も含めてパッケージでやらないと」。安倍は周辺に医療改革への意欲を語った。
高齢者の負担を増やさなければ現役世帯の保険料に跳ね返る。全世代型社会保障の看板を掲げる以上、現役世帯の負担を極力抑えたいとの政策的な考えがあった。
政権運営上の理由も大きい。安倍は11月、首相の通算在任日数で桂太郎を抜き過去最長になった。同じく歴代最長の官房長官、菅義偉(71)と第2次政権が発足してから交わし続けてきたのは「社会保障改革は政権の最後にやろう」との方針だった。
安倍の党総裁の任期は21年9月まで。厚労省は21年通常国会の法案提出を想定していたが、自らの手で確実に法案成立が見込めるのは20年のうちとなる。安倍は増税使途を変えて実現した幼児教育無償化とあわせ、社会保障改革を20年中にメドをつける政治日程を組み立てた。
この方針はほどなく政権幹部で共有される。11月29日午後、安倍は執務室に菅、西村、厚生労働相の加藤勝信(64)を呼んだ。「来年の通常国会への提出は難しいです」。加藤は医療の負担増に慎重な省内の空気を伝えた。安倍にとって厚労省は第1次政権で年金記録問題に悩まされた「政権の鬼門」といえる。
約1時間に及んだ議論の末、安倍は結論を下した。「医療も応能負担にしなければいけない」。加藤の意見を尊重して法案提出は20年秋の臨時国会に遅らせつつ、75歳以上の後期高齢者の医療費に新たに2割負担を設ける方向性が固まった。

難題も抱えた。安倍が蜜月関係を築く日本医師会会長の横倉義武(75)との関係だ。医師会の会長選は20年6月。「仮に横倉氏が会長選に出馬することになれば、医師会が強固に反対してきた受診時の定額負担は難しい」との懸念が広がった。
浮かんだのは医師会への配慮だった。すべての病院で少額の定額負担を求める「ワンコイン制度」の導入は先送りし、大病院に限定した追加負担に切り替えた。12月19日の全世代型社会保障検討会議で決定した中間報告の最終案は「定額負担の拡大」の文言を盛り込んだものの、「ワンコイン」の記述はなくなった。
75歳以上の医療費2割負担には与党が反発した。「党をまとめるのはそんなに簡単じゃないぞ」。岸田は5日、説明にきた財務省幹部に伝えた。10日の党会合では「拙速に進めたら失敗する」との慎重論が相次ぎ、最終的に対象範囲は「一定所得以上」に狭まった。
通常国会、秋の臨時国会と年間を通じて社会保障改革が刻まれた20年の政治カレンダー。安倍は同年8月に大叔父、佐藤栄作の記録を塗り替え、連続でも最長政権となる。安倍は内政の総仕上げへとカジをきったが、全世代型社会保障の名にふさわしい改革の実現は道半ばだ。(敬称略)

(日経新聞)



改定率に躍起になっている中、こんな動きがあったようです。歯科界では話題のも上がっていませんでした。歯科にとって全世代型社会保障とは何ぞや?
# by kura0412 | 2019-12-20 09:24 | 政治 | Comments(0)

歯科は+0.59%

結局歯科は診療報酬+0.59%と公表されました。
これに果たして高騰続ける金属部分が上澄みされるか否か。
# by kura0412 | 2019-12-19 11:56 | コラム | Comments(0)

歯科の改定率は0.47%+α?

診療報酬改定、0.55%上げへ 医師の技術料部分

政府は13日、2020年度予算編成で焦点の診療報酬改定で、医師らの技術料にあてる部分を働き方改革に使う財源も含めて0.55%増やすことで最終調整に入った。このうち0.47%分は医療機関や調剤薬局の収益に回る。残る0.08%分は勤務医の働き方改革が必要な病院に充てられる方向だ。薬剤費の抑制で全体ではマイナス改定となり、国民負担は軽くなる。
13日に安倍晋三首相と麻生太郎財務相、加藤勝信厚労相らが協議し、最終調整に入った。0.55%は18年度の前回改定(0.55%)と同水準となる。

診療報酬は医療従事者の技術料や人件費にあたる部分と、薬剤料などにあたる部分に分かれている。技術料部分を巡っては、日本医師会の横倉義武会長が医療従事者の賃金を上げるために前回並みの水準を求めており、財務省も一定の配慮をした。
もっとも、このうち0.08%分は病院勤務医の働き方改革に活用するため、配分先は病院に限られる見通しだ。大病院の勤務医は長時間労働が深刻で、医療職の採用を増やして業務を分担し、負担を軽減してもらう。
診療報酬のもう一つの要素である薬剤料部分はマイナス改定とする。技術料部分のプラス0.55%よりもマイナス幅が大きくなるため、全体ではマイナス改定になる。
診療報酬は公的医療サービスの対価として医療機関が受け取る収入にあたり、2年に1度改定している。診療報酬を1%増やすと医療界全体で4500億円ほどの増収になる。医療費の財源構成は25%程度が国費で、10%超が患者負担だ。診療報酬のプラス改定は国費の歳出増や患者の負担増を意味する。

(日経新聞)




0.08%がほぼ病院となると実質歯科は0.47%+α(医科歯科比率がそのまま残るとして)となります。また歯科は1%アップだと315億円(7%として)ですので、148億+α円となります。「前回の改定率の3倍」は根拠のある話ではなかった感じです。
# by kura0412 | 2019-12-17 16:27 | コラム | Comments(0)

「歯」から「口腔」へ

社保審で20年度改定の基本方針が公表されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08316.html
目につくのは「歯」ではなく「口腔」というワード。
時代の変化に即した点では評価できますが、果たしてどれだけの予算枠を確保して、身になる点数評価となるか。そしてその流れを22年度改定にどう繋げるるのか。歯科界の総合力が問われます。
# by kura0412 | 2019-12-12 16:55 | コラム | Comments(0)

22年度が前提の今回の改定

一般紙に「22年度高齢者2割負担」とのトップ見出しをみると、あらためて今回の改定は、前回のW改定、そして団塊世代が後期高齢者となる次回改定との間に入るという点を再確認します。今回改定のない介護でも大きな議論があるように、あくまでも次回改定の地ならし的な意味合いがあるようです。財源は薬価、調剤の深堀りでねん出するようですが、大きな改正は次回廻しになるようです。
果たして歯科において、今回の改定の位置づけをどう考えているのかは分かりませんが、ある意味不安が募ります。
一方、フレイル、口腔機能低下症などが話題になっていますが、この点が改定と絡むのか、別建てで進むのか、この点が注目です。
間もなく政府予算案が公表されるこの時期ですので、政治的な折衝の段階だと思います。この点はよく見えない部分ですので、結果をもって判断するしかないようです。
# by kura0412 | 2019-12-04 13:43 | コラム | Comments(0)

IT企業と医療

米中の巨大IT企業が狙う医療スタートアップ

米グーグルの持ち株会社米アルファベットや米マイクロソフトなどの巨大IT(情報技術)企業が、医療関連のスタートアップに積極投資している。彼らが商機を見いだしているのが、新薬開発から病院まで様々なところで無駄が目立つ医療業界の非効率性だ。そこに新興企業のデジタル技術でメスを入れ、新ビジネスにつなげる考えだ。どんな企業にITマネーが流れ込んでいるのか、大手IT企業の投資動向をまとめた。
ヘルスケアは規模が大きく、非効率的な業界だ。米国ではこの業界の規模は国内総生産(GDP)の19%に上るが、一部の研究によると支出の20~25%が無駄だとされる。
こうした効率の悪さは業界全体で目につく。医師や病院の報酬を計算する医療事務の従事者は17万5000人を超え、新薬が市場に投入されるまでの費用は平均で25億ドルにも上る。企業が拠出する医療費は今や年間2万ドルに達している。
世界各地で市場が拡大し、無駄なコストがかさみ、より優れた医療への需要が高まっているため、この業界は世界の大手テクノロジー企業にとって格好の投資対象になっている。
2018年の米デジタルヘルス部門のスタートアップ企業への投資額は前年比16%増の110億ドルと過去最高を記録した。今年に入り、医療保険の米クローバーヘルス(Clover Health)がシリーズEで5億ドルを調達、遺伝子解析の米ギンコ・バイオワークス(Ginkgo BioWorks)がシリーズEで2億9000万ドルを調達して企業価値が42億ドルに、薬局の米カプセル(Capsule)がシリーズCで2億ドルを調達するなど、技術革新に取り組む企業が、多額の資金を調達している。
一方、世界第2の経済大国である中国は、高齢化やより優れた医療への需要を背景に国家政策としてヘルスケアに多額の資金をつぎ込んでいる。こうした取り組みは09年の新医療制度改革や(16年に発表された)「健康中国2030計画」により促進された。その結果、世界保健機関(WHO)によると中国のヘルスケア市場は年17%のペースで成長している。
デジタルヘルス市場の成長に伴い、医療関連以外の企業もこの分野に関心を抱くようになっている。19年の大手テクノロジー企業によるデジタルヘルス企業への投資件数はこれまでに38社に上っており、過去最高だった18年の49社に並ぶペースとなっている。
本稿では、デジタルヘルス部門への投資件数が最も多い大手テクノロジー企業上位10社について調べる。

■投資家の戦略のトレンド
大手テクノロジー企業で最も多くのデジタルヘルス部門のスタートアップに投資しているのは、米グーグル、米マイクロソフト、中国の騰訊控股(テンセント)だ。3社は大手テクノロジー企業によるデジタルヘルス部門への投資全体の7割以上を占めているが、投資先や戦略はそれぞれ異なる。

■グーグル(アルファベット)
グーグル(アルファベット)は誰もが認めるデジタルヘルス投資のリーダーで、投資件数は93件、投資企業は57社に上る。こうした投資の7割以上をコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)のグーグル・ベンチャーズ、キャピタルG、グラディエント・ベンチャーズが担っている。
生命科学分野について研究する米ベリリー・ライフサイエンス(Verily Life Sciences)など、アルファベット傘下の「ムーンショット(野心的な研究に取り組む)」企業は、自社のプロジェクトに直接関連する企業に投資している。例えば、ベリリーは個人の健康記録を手がける米スタートアップ、シチズン(Ciitizen)に資金を投じている。
グーグルが運営するスタートアップ向け育成・起業支援プログラム「グーグル・ローンチパッド・アクセラレーター」はデジタルヘルス企業17社に投資している。
グーグルの主な投資分野は「遺伝子解析」(18件)、「臨床研究」(15件)、「保険&福利厚生」(12件)だ。
遺伝子検査サービスの米23andMe、がん解析ソフトなどを手がける米フラットアイアン・ヘルス(Flatiron Health)、がんの早期発見を目指す米フリーノム(Freenome)などグーグルから出資を受けている企業は、患者のデータを大量に収集し、最先端の人工知能(AI)や機械学習を使って有意な知見を得たり、商業化を推進したりしている。これはグーグルが検索帝国を築いたのとよく似た戦略だ。
グーグルはさらに、オンラインで医療保険を提供する米オスカーヘルス(Oscar Health)と米クローバーヘルスという米国で最も企業価値の高い未上場の医療保険スタートアップにも出資している。両社は既存大手と差別化するため、最先端のデータアナリティクス(解析)と患者との革新的な関係構築モデルを活用している。
グーグルは以前は「患者の遠隔モニタリング」分野の企業に直接投資していなかったが、19年に米フォッシル・グループのスマートウオッチ研究開発部門を4000万ドルで買収し、この分野に初めて投資した。この分野はグーグルのヘルスケア、特に臨床研究戦略を進める上で極めて重要になるだろう。ベリリーは既に自社開発したウエアラブル機器「スタディーウオッチ」を複数の研究で使っている。

■マイクロソフト
マイクロソフトの投資の大半はグーグルとは違い、「マイクロソフト・スケールアップ」や「マイクロソフトAIファクトリー」といった育成・企業支援プログラムから出ている。これらのプログラムは草創期のデジタルヘルス企業を対象としたもので、プログラムを修了したデジタルヘルス企業は35社に上る。
AIを活用した理学療法ツールを提供するポルトガルのスウォード・ヘルス(SWORD Health)、遺伝子解析の米ジノークス(Genoox)、医療データプラットフォームの米ケンサイ(KenSci)、医療システムの開発を手がけるインドのシグタプル(SigTuple)など多くの企業はその後、追加の資金調達を受けている。
一方、マイクロソフトのCVC「M12」は、慢性疾患を管理する米リボンゴ・ヘルス(Livongo Health)のプレIPO(新規株式公開)ラウンドや、医療データプラットフォームの米イノベーサー(Innovaccer)のグロースラウンドなど、中後期段階のスタートアップの資金調達ラウンドに参加している。
マイクロソフトはヘルスケア部門の戦略を個人の健康データから、大手ヘルスケア企業によるこうしたデータの保存・活用の推進へと転換しており、投資先も変わっている。16年以降の投資の大半は「データ管理&アナリティクス」「遺伝子解析」企業に向けられている。

■テンセント
中国のテンセントはデジタルヘルス部門で3番目に活発に投資している大手テクノロジー企業だ。投資件数は52件、投資企業は40社に上る。そのうち31件の投資を同社の顧客基盤がある中国で実施している。
注目すべきなのは、18件が米国企業への投資である点だ。これはテンセントが海外展開を狙っていることを示している。残りはインド企業への投資だ。
テンセントは広範な企業に投資していることで知られており、18年時点での投資件数は700件以上に上る。テンセントによるデジタルヘルス投資のうち、テンセント本体による投資は84%で、残りはAI育成支援プログラムを通じて実施している。
テンセントは事業対応力の強化を目標に掲げ、「臨床研究」と「管理ツール」に積極投資している。一方、同社は「医療コンテンツ&マーケティング」への投資額が最も多い企業でもある。対話アプリ「微信(ウィーチャット)」だけで月間利用者が11億人に上るため、投資企業に貴重な顧客獲得ルートを提供している。

■その他の企業
10年以降に5社以上のデジタルヘルス企業に出資したその他の大手テクノロジー企業は、米インテル、韓国・サムスン電子、中国のネット通販最大手のアリババ集団、米アマゾン・ドット・コム、米メディア大手コムキャストだ。

コムキャストは通信会社として唯一このリストに登場するユニークな投資家だ。同社は22万5000人に上る従業員と家族のために、医療費に年約13億ドルを費やしている。そこで、従業員の医療体験を改善し、医療費をより適切に管理するために、医療システムを手がける米アコレード(Accolade)、健康アプリの米Kヘルス(K Health)や米シャイン(Shine)などのスタートアップに出資している。
米アップルはヘルスケア業界への投資件数が少ないため、10位以内には入っていない。だがこの分野では買収を重視する戦略をとっており、これまでにデジタルヘルス企業3社を買収している。
買収したのはいずれも「個人の健康データの管理&モニタリング」分野の企業で、アップルがヘルスケアで目指す方向に沿った事業を手がけている。例えば、個人の健康情報を管理する米グリンプス(Gliimpse)は、iOS端末に搭載されている革新的なアプリ「ヘルスケア」の土台になった。
グリンプスの最高経営責任者(CEO)はその後、シチズンを創業した。同社はグーグルの出資を受けている。

■分野別の投資トレンド
新たなテクノロジーの台頭や規制内容の変更に伴い、テクノロジー大手各社が注目するデジタルヘルスの分野も移り変わっている。
18年のテクノロジー大手によるデジタルヘルス部門への投資件数は過去最高に達した。18年に投資件数が最も多かった分野は「臨床研究」だったが、19年に入り投資ペースは減速している。18年には「慢性疾患の管理」への投資はわずか1件だったが、サムスン電子による出資が相次いだため、19年の投資額は増えている。
19年で投資額が最も多いのは「データ管理&アナリティクス」だ。中国のAI医療エアドック(Airdoc)、肺疾患の検出支援ツールを手がける米リバーレイン・テクノロジーズ(Riverain Technologies)、中国の万里雲(Wanlicloud)、イノベーサーなど画像を手がける企業が多額の出資を受けている。
一方、16年に投資額が最も多かったのは「遠隔治療」で、その直後の17年には遠隔治療の利用が急増した。利用が急増したのは保険の適用範囲の拡大といった制度変更などの追い風を受けたのが要因だった可能性が高い。

2社以上のテクノロジー大手から出資を受けている企業は8社だ。血液検査でがんを発見する米グレイル(GRAIL、グーグルとテンセント、アマゾンが出資)、インドの医師検索サイト運営プラクト・テクノロジーズ(Practo Technologies、グーグルとテンセント)、AIによる推論を可視化する米コグニティブスケール(CognitiveScale、インテルとマイクロソフト)などだ。
12年以降で世界のテクノロジー大手による投資企業の数が最も多いのは「データ管理&アナリティクス」「健康」「遺伝子解析」だ。
投資件数別では「遺伝子解析」が「健康」を上回り2位につけている。

「コンテンツ&マーケティング」分野の企業はコミュニティー構築やコンテンツ生成(利用者が生成することも多い)に取り組んでおり、ヘルスケア企業へのウェブアクセスの商業化を最終目標に掲げている。この分野の企業には中国の美容整形医療プラットフォームの新氧(SoYoung)、中国の外科医向けサイトの唯医骨科(Weiyi)、教育用医療コンテンツなどを手がける米アウトカムヘルス(Outcome Health)などがある。
「補助&リハビリツール」分野のスタートアップは、テクノロジーを使って身体障害者を支援したり、患者の機能回復を助けたりしている。例えば、マイクロソフトの「スケールアップ・プログラム」を修了したスウォード・ヘルスは、デジタル理学療法ツールを販売している。
「医薬品の配送」には薬局のサプライチェーン(供給網)に注目しているスタートアップなどが含まれる。

(日経新聞)





歯医者が株でもやっていない限りIT企業のことは知らないで良いと思っていましたが、この記事のこと位は一般的な知識として知っておく必要があるのかもしれません。現在、将来の歯科領域はどうなのでしょうか?
# by kura0412 | 2019-11-15 16:38 | 経済 | Comments(0)

今月の文芸春秋

【特集】健康寿命はまだまだ延ばせる

[歯科治療]「80歳で28本」歯を残そう 石井謙一郎

[誤嚥性肺炎 ]「左向き寝」「歯磨き」「バナナ」で防ぐ 大谷義夫

[ウォーキング]高齢者の「大股」「腕ふり」は間違い 田中尚喜

[排尿]「色」と「出方」で分かる重大病リスク 近藤幸尋

[脱水]水のがぶ飲みは「水中毒」にご用心 木村雄弘

[気象病]めまい、腰痛……その症状「天気痛」!? 佐藤 純

[頭痛]脳の「過剰な興奮」が痛みを起こす 清水俊彦

舌がん「ステージIV」からの生還 堀ちえみ

(文芸春秋HP)



この特集以外にも面白い内容です。珍しい。
# by kura0412 | 2019-11-09 12:08 | 思うこと | Comments(0)

チャンス到来、具体的なアクションプランは

予防医療、不足なら「罰則」 自治体交付金を減額
厚労省が来年度から 健康教育・検診の強化促す

厚生労働省は2020年度から、予防医療への取り組みが不十分な自治体に「罰則」を科す。事業ごとに加減点数を設け、実施率が低い自治体には減点に応じて交付金を減らす。一方で実施率が高い自治体には手厚く交付金を配分する。企業と連携した健康教育など新たな指標もつくる。厚労省と財務省は関連予算枠を今より5割増の1500億円規模に拡大し、予防医療の強化を促す。

国民健康保険(国保)の保健事業では、特定健診(メタボ健診)の実施率や健康診断の受診率、後発医薬品の使用割合などが高い自治体に交付金を手厚く配分する制度がすでにある。19年度までは1000億円の予算枠を設けてきた。20年度以降は1500億円を原資に、これらの項目の一部で「マイナス評価」による減点方式も採用する。
過去の実績よりも実施率が下がったり、全国平均より低かったり、といった項目があった場合、獲得点数が減る。点数が低いほど交付金も減る。ある項目で高い点数を取っても、ほかの分野の実施率が低いと相殺される。予防医療や健康づくりにまんべんなく取り組まないと交付金が増えない仕組みに改め、自治体による予防医療への動機づけを強める。
交付金を減らされかねない自治体の警戒心は強い。政府内には「激変緩和措置として、段階的に減点の幅や対象事業を広げることもあり得る」との声もある。厚労省と財務省は年末の予算編成過程で詳細を詰める。

現行は1000億円の関連予算策も拡充する。厚労省と財務省は20年度当初予算案で新たに500億円の予算枠を追加する方向で調整に入った。
500億円のうち、一部は新たに設ける予防・健康づくり事業に必要なお金に充てる。具体的には医療機関の専門職による保健指導、住民の健康や医療情報のデータベース構築、各種検診へのICT活用などに使ってもらう。残りはこれらの事業の達成度合いに連動して自治体に交付する原資にする。
国保の被保険者数は06年度の3678万人をピークに減少に転じた。国民健康保険中央会によると、17年度(速報値)は2945万人と3千万人を割り込んだ。
被保険者の4割超を医療費がかかりやすい65歳以上の高齢者が占める。その比率がさらに高まるのは確実だ。高齢化と医療技術の進歩を理由に、1人あたりの保険給付費は16年度で年30万7500円と5年間で約2割増えた。
予防医療を充実させれば、健康寿命が延びて医療費や介護費が増えるとの試算はある。しかし、高齢化に伴う病気を事前に防げれば、高齢者が元気に働くことができ、納税を通じた社会保障費の負担の担い手を増やす効果が期待できる。予防医療や健康管理、生活支援サービスといった「ヘルスケア市場」が新たな医療関連ビジネスとして育つ下地にもなる。
政府は6月に閣議決定した成長戦略実行計画で「公的保険制度における疾病予防の位置づけを高めるため、保険者努力支援制度(国民健康保険)の抜本的な強化を図る」と明記した。関連予算枠の拡充と成果に連動した交付金の減額制度の導入はその具体策で、予防医療や健康づくりへの取り組みを推進する狙いだ。

(日経新聞)


チャンス到来。果たして歯科界の具体的なアクションプランは?
# by kura0412 | 2019-11-08 08:53 | 医療政策全般 | Comments(0)

医療のこと知っている経済学者だと思っていたのですが

財務省、診療報酬「マイナス改定」案の衝撃
年内の決着に向け、改定率めぐる攻防始まる

財務省は11月1日に開催された財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、2020年度に実施される診療報酬改定について、国民負担を抑制するためにマイナス改定を行うことを提案した。
診療報酬とは、公的医療保険での診療における医療行為等の対価として、病院・診療所や薬局が患者・保険者から受け取る報酬で、原則2年に1回政府が改定する。
2020年度の診療報酬改定については、年内に財務相と厚生労働相が合意して診療報酬全体の改定率を決めることとなっている。その後、各診療行為の報酬や個別の薬価等について、年明けに中央社会保険医療協議会(中医協)で改定案を取りまとめ、厚生労働相に答申して決定する。

過去10年間で保険料負担は35万円増加
目下の焦点は、年内に決める診療報酬全体の改定率である。これにより、2020年度の医療費総額(予算ベース)が決まる。診療報酬は大きく、医師の人件費など技術・サービスの評価に関わる「診療報酬本体」と、薬の値段などモノの価格評価に関わる「薬価等」に分かれる。
もちろん、医療にはお金がかかる。ただ、お金をかければかけるほどよくなるわけではない。医療にかかる財源は、誰かが何らかの形で負担しなければ確保できない。
診療報酬は、1%引き上げると4600億円の負担増となる。そのうち、税負担が1800億円、保険料負担が2300億円、患者負担等が600億円である。そして、それらが病院や診療所、薬局、製薬会社、医療機器メーカーの収入になる。
2%の消費税率引き上げで負担増はつらいというなら、診療報酬引き上げに伴う負担増も看過できないところである。2007年度と比べて2017年度は、1人当たりの年間保険料負担は約35万円、患者負担等は約4万円増えた。この10年で毎年のように増えた。
そうした観点から、医療の無駄を省き、診療報酬をマイナス改定、つまり患者の負担を抑制することを財務省は提案したというわけである。
財務省による診療報酬のマイナス改定提案は、今に始まったことではない。2年に1度の診療報酬改定に合わせて、2017年にも同様の提案があった。しかし、医療関係者の心中は穏やかではない。診療報酬がマイナス改定になれば、診療報酬単価を下げられる可能性が高くなるからだ。
単価が下がっても、高齢者が増えて患者数が増えれば、医療機関の収入は増えることもありうる。診療報酬の改定率には、患者数の変動の影響は含まれていない。従って、マイナス改定が直ちに医療機関の収入減少を意味するわけではない。
とはいえ、マイナス改定となると、医療関係者の間で「パイの奪い合い」が激しくなる。

小泉政権期以外、診療報酬本体はプラス改定
第2次安倍内閣以降の過去3回の診療報酬改定(消費増税対応分を除く)をみると、診療報酬全体では、2014年度はプラス0.1%、2016年度はマイナス0.84%、2018年度はマイナス0.9%だった。
その内訳をみると、2014年度は診療報酬本体でプラス0.73%、薬価等でマイナス0.63%、2016年度は本体でプラス0.49%、薬価等はマイナス1.33%、2018年度は本体でプラス0.55%、薬価等でマイナス1.45%だった。財務省は否定するが、薬価を下げて浮いた財源を診療報酬本体に振り替えているようにみえる。
薬価を下げられると困るのは製薬会社である。診療報酬本体が増えると喜ぶのは、病院、診療所、薬局である。
薬価は、先発薬の特許が切れて価格が安い後発医薬品(ジェネリック)が出ることで単価が下がる効果があり、1990年度以降はずっとマイナス改定だった。診療報酬本体は小泉内閣期に、2度のマイナス改定と1度のゼロ改定はあるが、それ以外はプラス改定である。
ただ、今年の議論は、少し様相が異なる。これまで薬価は2年に1度改定していたが、2018年度以降は実質的に毎年改定されることになった。
2019年度には薬価改定が行われ、すでにマイナス改定を実施している。2年に1度の改定時には2年分の薬価の下落をまとめて反映するようにマイナス改定をしていたが、2020年度改定では1年分の薬価の下落しか反映できない。
薬価を下げて浮いた財源を診療報酬本体に振り替えようにも、下げられる薬価は大きくないかもしれない。診療報酬全体をマイナス改定にするなら、診療報酬本体を大きくプラスに改定できない可能性がある。

診療報酬本体をめぐり、早くも前哨戦
そうなると、医科、歯科、調剤という診療報酬本体の中でのメリハリづけが重要になってくる。
それを察してか、早くも前哨戦が繰り広げられている。医科と歯科で報酬を減らさないなら、調剤の報酬を減らすことが考えられる。それを意図しているかわからないが、調剤報酬の構造転換を促す声は、財務省のみならず中医協でも出始めている。
中医協では、薬剤師が薬局で医薬品を調剤する際の技術料である調剤料の見直しが取りざたされている。薬局で内服薬を調剤すると、処方日数が14日(14日分のお薬を処方してもらうという意味)までは、1日長くなるにつれて調剤料がどんどん増える仕組みになっている。
入院時など院内で医薬品を調剤するときは、処方日数が何日であっても調剤料は定額である。しかし、同じ内服薬でも薬局で処方されると、日数が長くなるほど金額がかさむことになる。したがって、診療報酬本体を大きく増やせないとしても、調剤報酬を抑えられれば、医科と歯科の取り分は増えることになる。
他方、医科と歯科も問題なしとは言えない。目下注目されているものの1つに、医師の働き方改革を診療報酬にどう反映するかという点がある。病院勤務医の過労を抑えるために、医師にも時間外労働上限規制が適用されることになった。
医師の働き方改革を進めるには追加的な人件費がかかり、診療報酬を増額して対応すべきとの声がある。病院勤務医の人件費を増やすには、病院勤務医がより多く従事する入院医療に対する診療報酬を増やす方策が考えられる。

2025年までにメリハリのついた医療改革を
しかし、前述の診療報酬本体の改定率を内閣で決める際に、入院と外来を分けて改定率を決める方式は近年採られていない。2010年度に1度だけそうしたことがある。病院勤務医を対象とした診療報酬改定ということであれば、入院と外来を分けて改定のあり方を考える必要が出てくるが、そうすると、入院医療に携わる病院と外来医療が主の診療所との「パイの奪い合い」を顕在化させる懸念もある。
それよりも、病院勤務医の超過勤務を減らす分を看護師など他の医療従事者の勤務で補い、人件費が増えないように工夫することもできる。病院勤務医の中でも、診療科や病院の種別によって時間外労働の状況に大きなばらつきがあり、病院勤務医が十把一絡げに過重労働というわけではない。そうした工夫がなされれば、すべてを診療報酬の増額で対応しなくてもよい。
年内の医療に関する議論は、診療報酬改定ばかりではない。世代間の負担の公平化を目指して、高齢者の患者負担割合の見直しを図ることも重要な議題である。団塊世代が75歳以上になる2025年までに、メリハリのついた医療制度改革を着実に進めていくためには、今年の残り2カ月は空費できない。

(東洋経済ONLINE・土居 丈朗 )



いろいろな政府の委員をやられている筆者ですが、この論文を読むと意外と医療のことを知らないことを感じます。現在の看護師不足を知らないようです。
ちなみに診療報酬の部分100億円ほど足し算があいません。
# by kura0412 | 2019-11-06 11:27 | 経済 | Comments(0)

「虎の尾踏んだ厚労省」

「オレは聞いてない」 病院再編、虎の尾踏んだ厚労省

宮仕えの身なら一度や二度は覚えがあろう。そんな話は聞いていないという上役のひと言で、実現間近だと思っていたプロジェクトが仕切り直しになる――。
9月下旬、厚生労働省は地方自治体が経営する公立病院と日赤などの公的病院について、再編や統廃合を議論する必要があるとみている424の病院を名指しして公表した。心疾患、脳卒中、救急など9分野の高度医療について、2017年6月のレセプト(診療報酬明細書)データを分析し「診療実績が乏しい」「代替する民間病院が近くにある」などの基準をもとに選び出した。
これが文字どおり「聞いていない」問題を引き起こした。名指しされた側の大半が424の名前を唐突に出してきたと受けとめたのだ。再編や統廃合について、各病院をかかえる自治体や医療圏での議論の材料にしてほしいという厚労省の意図は、たちどころに吹き飛んでしまった。

「ウチは閉鎖対象なのか」(リストに載った病院の院長)、「なぜ民間病院の名前は出さないのか」(該当する自治体の首長)、「地域住民や患者に説明できないじゃないか」(地方議会の議員)といった抗議の声が同省に相次いだ。名指しされた側の被害者意識は、今なお増幅している。
たしかに唐突感はあった。筆者も日経電子版が424病院のリストを載せたのをみて初めて知り、取るものも取りあえず担当課に取材に行った。だが説明を聞くと、準備を重ねて公表にいたった経緯がみえてきた。
安倍政権は6月に閣議決定した骨太の方針2019に次のような趣旨を盛り込んでいた。「すべての公立・公的病院に関する具体的な対応方針について、診療実績のデータを分析し、その内容が民間病院に担えない機能に重点化され、(中略)医療機能の再編や病床数の適正化に沿うよう国が助言や集中支援する」
高度急性期・急性期という病院機能に着目した客観的なデータは、関係者を交えた同省主宰の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の議論に基づくものだった。ワーキンググループに出された資料は厚労省のウェブサイトに掲載されているし、公表までに時間がかかる難点はあるが議事録も公開している。問題意識をもって一連の議論をフォローしてきた関係者にしてみれば、出るべくして出てきたリストだった。
戦後ベビーブーム期に生を受けた団塊世代のすべてが75歳以上の後期高齢者になる2025年をにらみ、病院の機能を高度急性期・急性期主体から、リハビリテーション向けの回復期や長期入院の慢性期主体に移行させる必要性は、多くの医療関係者が意識している。リストの公表はその導火線になるはずだったが「聞いていない」問題に発展した以上、厚労省の意図は二の次にされ、一気に政治的な色彩を帯びてしまった。

慌てた同省は、10月中に全国5ブロックで説明会を開くべくセットした。「意見交換会と言わなければおしかりを受ける」という気の使いようだ。11月には特に強い要望が出た県の担当部局に、手分けして個別に説明に赴くことにしている。17日に福岡市内で開いた九州ブロックの説明会では、橋本岳副大臣が冒頭にあいさつし「住民のみなさまの不安を招いてしまったことを、われわれとしても反省しています」と低姿勢で臨んだ。
それでも「聞いていない」側は収まる風がない。18日付の本紙九州経済面は、名指しされた国立病院機構大牟田病院(大牟田市)の関係者が「職員や患者は病院がなくなるのではないかと不安に思っている。風評被害を払拭するメッセージを出してほしい」と求めたと伝えている。また公立種子島病院(鹿児島県南種子町)の担当者は「医師不足で困っているのに、若い医師が来てくれるか」などと訴えた。
公立病院再編の必要性を唱えてきたある識者は「たしかに名指しされた病院は若くて腕がいい医師を集めにくくなるかもしれないが、それによって自治体の首長は再編・統廃合にいや応なく向き合わざるを得なくなるのではないか」と語る。リストの公表にはショック療法の意味合いがあるとみているわけだ。

もちろん厚労省は再編を押しつける立場にない。民間病院では代替機能を果たしにくい災害医療やへき地医療を担っている公立・公的病院もあり、一律に再編対象にするのが難しいケースも出てくるだろう。議論の素材として出したリストだったが、地方政界や医療界を巻きこむ事態に発展し、戸惑いが隠せないといったところだ。
心配なのは、厚労省がめっぽう政治に弱い官庁である点だ。行政官として理にかなった政策だと信じて出したものも、与党幹部や首相官邸がダメを出すと、たちどころに萎縮してしまう傾向が否めない。消費税収を積み立てたファンドを使ってリストラされる関係職員の退職金を割り増しするのも、政治的な妥協ではないか。
公立・公的病院の再編・統廃合はほとんどの自治体の首長が遅かれ早かれ直面する難題だ。高齢化は待ってくれない。「聞いていない」と言われてひるむのではなく「いま聞いたのだから、いいじゃないですか」と言い返すくらいの気概を厚労省に持ってほしい。

(日経新聞・大林 尚)
# by kura0412 | 2019-10-23 11:55 | 医療政策全般 | Comments(0)

久々に15年前のあの事件がマスコミに

「現役」に迫る保険料30% 都合よい財布やめよ

清濁併せ呑(の)むタイプという人物評を聞くことが少なくなったように思う。
下村健(たけし)。通称シモケン。2006年に75歳で亡くなったこの昭和の厚生官僚は、みごとに清濁を併せ呑んだ。
1956年(昭和31年)に入省し、社会保険庁長官を最後に89年(平成元年)に退官した。健康保険組合連合会の副会長に天下ると、国民医療費を差配する中央社会保険医療協議会の支払い側委員として辣腕をふるった。
ところが、である。歯医者に有利な診療報酬が必要だという趣旨を中医協の席で述べる見返りに、日本歯科医師会の別動隊ともいえる日本歯科医師連盟から賄賂をもらったかどで、贈賄側などとともに東京地検に逮捕されたのが04年4月。本人は罪を認め、同年暮れ東京地裁で懲役2年6月、執行猶予5年、追徴金629万円の判決が確定した。
健康保険料を月々払っている国民と経済界、さらには患者の側を代表する立場なのに診療報酬をもらう側を利すべく動いた。「濁」の真骨頂であろう。この日歯連事件は、のちに中医協の役割を制限する法改正につながった。
「清」はどんなところに表れたのか。医療政策通のあいだに定着しているのは、99年に健保連が展開した老健拠出金の不払い運動はシモケンが旗をふったからこそ成就したという評価である。
企業の健保組合が高齢者の医療費として拠出する額が集めた保険料の4割を超え、全体の8割強の企業健保が赤字に陥っていた。異常事態に業を煮やした健保連は、全国の企業健保に拠出金を延滞するよう働きかける。共鳴して運動に参加した企業健保は全体の97%におよび、日経連と連合がこれを支持した。

高齢者の医療費が足りなければ現役世代に出させればいい――。政府にとって都合のよい財布とみられることがあった企業健保の反乱は、08年に導入された後期高齢者医療制度をはじめとする一連の医療改革につながった。
同年6月の参院決算委員会で福田康夫首相が答弁している。「これ(延納)は大変だということで(中略)翌年、老健制度は変えると参院委員会で決議した。何としても変えなきゃいけないということになった」。見ようによっては、これも「濁」の一面が出たといえるかもしれない。
それから11年がすぎた。いびつな老健制度を正したはずの後期医療制度だが、高齢者医療に充てるべき税財源が慢性的に不足する状況は、かえって深刻になった。そのツケを回された企業健保は、またもや政府に都合のよい財布と化している。
およそ1400の企業健保が18年度に高齢者医療に拠出した総額は、3兆4500億円。義務的経費の46%を占める巨費だ。個別にみると、この割合が50%以上の企業健保は397を数える。
戦後ベビーブーム期に生まれた団塊世代の1期生が後期高齢者になる22年度を境に、拠出額は急速に増大する。同年度は加入者と家族の医療費に充てる分が4兆円、拠出金総額は3兆9300億円と、ほとんど差がなくなるというのが健保連の見立てだ。
このとき、厚生年金と介護保険を含めた社会保障3本柱の平均保険料率は、労使合わせて30%を突破する。現役世代と経済界にとっては明らかに負担の限界である。
ただでさえ現役世代は狙われやすい。小泉進次郎環境相がかつて提唱したこども保険は、財源を現役世代と経済界に出させる構想だった。今回の消費増税分の一部を幼児保育・教育の無償化に充てるという首相裁断で、小泉構想は沙汰やみになったが、取る側からみれば社会保険料は今も魅力的な財源である。
それは、消費税と違って高齢者に負担がおよびにくいからだ。自民党のある1年生議員は地元の駅頭で辻立ちすると、消費税は金輪際上げてもらっては困るという高齢者の声をひしひしと感じる。官僚出身の彼は社会保障財源としての消費税の優位性を熟知しているが「10%より先の話など考えられない」という。
かたや社会保険料は健康保険にかぎらず引き上げがたやすい。04年に13%台だった厚生年金の保険料率を、厚労省は毎年律義に0.354%ずつ上げてきた。17年に18.3%に達したところで固定したが、年金の水準がこの先、政府公約を下回る事態になれば引き上げ論が再び俎上(そじょう)に載る可能性がある。
マクロ指標をみれば、平成年間はそれが積もり積もった時代だったことがわかる。国民所得に対する社会保険料の比率を示す社会保障負担率は10.2%から17.6%に上がり、租税負担率は27.7%から24.9%に縮んだ。

なすべきことは言い尽くされている。後期高齢者向け医療サービスへの規律を高めるために低年金者などに配慮しつつ窓口負担を原則20%に上げる▽花粉症薬など薬局でも売っている薬は患者負担を上げたり保険適用外にしたりする▽生活習慣病の薬は有効性・安全性の確保を前提に低コストの処方指針を取り入れる――などだ。
何より公費を充てるべき医療費には、現役世代の保険料や借金に頼らず裏付けある税財源をつぎ込む。都合のよい財布あつかいされていることに、経済界と労組団体はもっと声をあげてしかるべきだ。いくら言ってもわからなければ、時に「清」のシモケンに学ぶことも必要だ。

(日経新聞・大林尚)



この論説委員は先鋭的な医療費抑制論者ですが、15年前のあの事件を引っ張り出してきました。せっかく論説するならば、その後歯科がその後どんな経緯を経たかも述べてもらいたかったです。
# by kura0412 | 2019-10-15 10:01 | 政治 | Comments(0)

「健康データ」に成長の芽

伝統スタイル変える生保 「健康データ」に成長の芽

生命保険会社の伝統的な商品や販売手法が変わり始めている。ヘルスケア関連のサービスを保険と組み合わせたり、大手生保がネット販売に取り組み始めたりしている。金融業界の中でも保守的とされてきた保険業界に変化の兆しが出てきた。

「保険金を支払ったわけでもないのに契約者から感謝されるとは」。住友生命保険の橋本雅博社長は発売から1年を迎えた健康増進型保険「バイタリティー」が、契約者との関係にもたらした変化を実感する。
バイタリティーは健康診断の結果や日ごろの運動などの取り組みに応じて保険料が増減し、健康的な生活をするように動機づけるユニークな設計だ。1年間で契約者の1日当たりの平均歩数は2割増え、血圧が高かった契約者の約5割で血圧が下がるなど一定の効果を示した。
日銀がマイナス金利政策を導入して3年以上が経過し、国債での運用は一段と難しくなった。貯蓄性の高い保険商品は販売休止が相次ぐ。一方、金利に左右されない「健康」は、医療費の抑制や健康寿命の延伸といった社会の要請も背景に、生保への新たなニーズとして高まってきた。

日本生命保険は来春にも、健康保険組合などに対して糖尿病の予防サービスを始める。
糖尿病の予備軍や、腹囲や血糖値が高めの人を対象に、病院の保健師が食事や運動の改善を指導する。
19年度は自治体などを対象に1000人規模の実証実験を実施し、データの蓄積を進める。血糖値を24時間モニタリングするのに加えて、体重や血圧、歩数などのデータを組み合わせることで、予測や予防の精度が高まってきたという。
蓄積したデータの使い道は、健康や予防サービスにとどまらない。第一生命保険は1000万人の医療データを分析し、保険加入の間口を段階的に広げている。これまで加入できなかった一部の高血圧や糖尿病などの基準を引き下げたことで、年間約2万件の引き受けが新たに可能になった。
拝田恭一事務企画部長は「高齢化で健康不安を抱える人が増えるなか、放っておけば保険に加入できる人のパイは縮小してしまう。データを活用し縮小させないことが重要だ」と話す。
例えば目に持病がある人は、他の病気のリスクも高いとみなされ排除されてしまう。しかし、他の病気との関連がないとデータで明らかになれば、目のリスクを取り除いた保険の設計が個別に可能になる。
蓄積した健康データを使って最適なサービスを提供しようという動きもある。SOMPOひまわり生命保険の大場康弘社長は「保険販売ありきではなく、介護などのグループ内のヘルスケアサービスと保険を最適なバランスで提供していく」という。死亡保険が飽和状態にある生保業界で、健康データは新しい成長ビジネスにつながり得る芽を抱えている。
大手生保は万人単位の営業職員を動員し、職場で働き盛りの契約者を大量に獲得する販売スタイルを得意としてきた。だが、職場訪問が難しくなった今は多様化した働き手のニーズもとらえきれなくなってきた。生保を取り巻く環境の厳しさが伝統スタイルからの脱却を促している。

(日経新聞)



この視点からならば歯科でも提案でくることもあるはずです。民間保険ならば直ぐに実行に移れるのですが。
# by kura0412 | 2019-10-10 09:00 | 医療政策全般 | Comments(0)

「全世代型会議」年明け以降に本格的な議論

医療・介護、負担増が焦点 全世代型会議が初会合

政府は20日、全世代型社会保障検討会議の初会合を開いた。少子高齢化に対応するため70歳まで働けるよう雇用改革を進めるなど、支え手の拡大に軸足を置く。議長を務める安倍晋三首相は「年齢にかかわらず働ける環境を整えることが必要だ」と述べた。2022年度以降、75歳以上の高齢者が急増する。医療や介護で給付と負担の見直しにどこまで踏み込めるかが焦点になる。

社会保障は利害関係者が多いため、与党で検討する場も設ける。自民党は24日、岸田文雄政調会長が本部長を務める「人生100年時代戦略本部」を開いて議論を開始する。政府と与党で調整を進めながら方向性を決める。
年内の中間報告に向けて年金や介護、高齢者の就労拡大といったテーマの検討を進める。制度改正を控える年金と介護は、来年の通常国会での法案提出をめざす。

年明け以降は医療が大きなテーマになる。
来年6月に閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、医療制度改革の内容を固める。
22年度以降、人口の多い団塊世代が75歳になり始め、現役世代の負担は重くなる。大企業の会社員などが入る健康保険組合では、22年度にも医療・介護・年金を合わせた保険料率が30%(労使合計)を超える見通しだ。
初会合を終えた西村康稔経済財政・再生相は「次世代に引き継ぐという視点で、給付と負担の見直しについても検討していきたい」と述べた。
年金と異なり保険料率が固定されていない医療と介護が改革の本丸になる。外来で医療機関を受診した人の窓口負担に一定額を上乗せする「受診時定額負担」の導入や、現在、自己負担が無料となっている介護計画の作成支援の有料化などが焦点となる。
健康寿命を延ばして元気なうちは働いてもらい、社会保障の支え手を増やす政策も重要だ。
12年から19年にかけて生産年齢人口は540万人減った。一方、女性や高齢者で働く人が増え、就業者数は全体で450万人増えた。就業率を高めれば少子高齢化の影響を和らげる効果がある。
政府は70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする法改正をめざす。中途採用や副業を後押しし働きやすい環境を整備したり、出生率を高めたりする政策も課題になる。65歳という年齢のみで規定される「高齢者」の定義が妥当かを考え直すなど、従来の常識にとらわれない議論が欠かせない。

(日経新聞)
# by kura0412 | 2019-09-23 12:40 | 医療政策全般 | Comments(0)

日医からパンチの応酬

会社員の負担増を提案 医療制度改革で日本医師会

日本医師会は健保組合の保険料率を2019年度の平均9.22%から10%に引き上げれば、保険料収入は約1兆円増えると試算した

日本医師会(日医)は18日、政府が社会保障改革の議論に入るのを前に、医療制度改革に向けた提言を発表した。大企業の会社員が入る健康保険組合の保険料率引き上げや、消費税以外に新たな税財源を活用することなどを盛り込む一方、患者の負担は増やさないように求めた。
横倉義武会長が同日の定例会見で発表した。日医は政府が近く初会合を開く「全世代型社会保障検討会議」のメンバーに入っていないが、患者負担を増やす議論をけん制した形だ。

日医は健保組合の保険料率を2019年度の平均9.22%から10%に引き上げれば、保険料収入は約1兆円増えると試算した。また病気やケガで働けないときに健康保険から支給される「傷病手当金」を雇用保険で賄うことも提案した。
新たな税財源について横倉会長は「賃上げや設備投資がない企業の内部留保への課税」を挙げ、政府の検討会でも議論するよう求めた。
保険料の増収と新たな税財源の投入で患者の自己負担の引き上げは避けられるとの考え方だ。政府の検討会に日医が入っていないことについて横倉会長は「外で議論できる場をつくっていく」として日医の主張を発信していく考えを示した。

(日経新聞)



健保連からいろいろな意見が出始めている中で、日医がパンチを放ちました。記事ある疾病手当金を医療保険で対応することに疑問をもっていただけに今後議論が進むかもしれません。
# by kura0412 | 2019-09-20 16:49 | 医療政策全般 | Comments(0)

「食べる」は日本の社会の大きなテーマ

先週の金土と日本摂食嚥下リハビリテーション学会に出席してきました。この学会はメンバーが多職種であるのが特徴的で、歯科医師は会員数18000人の約二割で言語聴覚士に次いで2番目、学会当日席者は6000人と聞きました。とにかくどの会場も超満員の芋洗い状態の大盛況でした。
したがって、13に分かれた会場を頻繁に移動することが出来ずに、限られたセッションでの講演ではありましたが、全体的なイメージとして「歯科の重要性」「咀嚼」について、他業種の演者から指摘されていたのが印象に残りました。
もう一つ驚くのが企業展示です。年々その数も増えると共に、参加企業も大手メイカー目白押しでした。その中でも面白かったのは「吉野家」の調整食で。のその発想の原点が社員が自分の母に最期に食べさせてやりたかったことで、会社内のプロジェクトが立ち上がり、損得抜きでの実現となった話を聞きました。
「摂食嚥下」そして「食べる」ということが、これからの大きな日本の社会のテーマであることを確認できた学会でした。歯科が先頭に立たないと。
# by kura0412 | 2019-09-09 17:34 | コラム | Comments(0)

「政府が寄せる期待に歯科医師会は応えられるか」

「健康寿命延伸」に歯科界も加勢、その裏事情
政府が寄せる期待に歯科医師会は応えられるか

歯科医は儲かる──。かつてそんなふうに言われていたことがあった。子供の虫歯が蔓延して「虫歯の洪水状態」と呼ばれた1960~70年代の頃だ。だが、それも遠い昔の話。歯科界の虫歯予防に向けた取り組みや歯磨き習慣の定着などで、子供の虫歯は激減。平成の時代だけ見ても、12歳児の虫歯の数は、1989年の平均4.3本から2018年は同0.74本となった。
さらに、年を取っても自分の歯が多く残る人が増えている。厚生省(当時)と日本歯科医師会(日歯)が提唱した、80歳で自分の歯が20本以上ある状態を目指す「8020(はちまるにいまる)運動」が始まったのは1989年。それから30年が経過し、当初7%程度だった達成者率は、2016年調査では51.2%と半数を超えた。
片や、歯科医の数は増え続け、2012年には10万人の大台を突破。今も毎年約2000人の歯科医が誕生している。歯科医院の施設数も増えており、厚生労働省の調べでは2018年1月末で全国に約6万9000カ所と、コンビニの数(約5万6000軒)よりも多い。
患者は減っても医院が増えるので、生き残りをかけた競争は激しさを増すばかり。さらにここへ来て、人手不足に伴う歯科衛生士や事務スタッフなどの人件費の上昇、歯材コストの値上がり、機器類の高額化の波が押し寄せ、大半の歯科医院の経営は苦境に追い込まれている。
歯科医療経営にとって頼みの綱の保険診療点数もなかなか上がらず、低迷したまま。実際、全体の国民医療費の総額がこの10年で約34兆円から42兆円に増大しながらも、そのうち歯科医療費は2兆円台半ば~後半で伸び悩みが続いている。

そんな事態を何とか打開しようと歯科界は新たなビジョンの策定に乗り出した。
日歯は6月19日、「令和における歯科医療の姿~2040年を見据えた歯科ビジョン」の策定に向けた検討会を設置し、初会合を開いた。堀憲郎会長は冒頭、「年号も変わった本年は歯科界にとっても極めて重要かつ歴史的な局面になる年」とした上で、「少子高齢化がピークを迎える2040年に向けて、歯科医療の新しい役割と責任を明らかにしていきたい」と抱負を述べた。ビジョンには、2040年に向けた歯科保健医療のあるべき姿とその実現に向けたアクションプランを盛り込む予定。10月をめどに取りまとめる。

口腔ケアが全身の健康につながる
では日歯はどこに活路を見いだしているのか。結論から言えば、口腔健康管理だ。今や元気に長生きするには、口の健康維持が欠かせないことはよく知られる。虫歯や歯周病などで歯を失い、よく噛めないままでは十分に栄養を摂取できず、体力が衰えてしまうからだ。噛むことは脳を活性化する効果もある。
さらに最近の研究では、口の中のケアを怠ると、動脈硬化や糖尿病、アルツハイマー型認知症、さらには膵がんの発症リスクまでも上がりかねないことが明らかになっている。歯周病が様々な臓器に影響を与えることは、疫学的には随分前から知られていた。だが、新たな動きとして、歯周病菌があらゆる臓器に影響を与えることを示すしっかりしたエビデンスが出てきたのだ。
口の健康が全身の健康に密接に関わる以上、当然ながら医療の財政側面に与える影響も大きい。日歯ではここ数年来、多くの調査結果などのデータを収集・分析することで、口腔機能管理の徹底によって、病気をしないで長生きできる期間が長くなるほか、誤嚥性肺炎の抑制や入院日数の短縮、抗菌薬の投与期間の減少などがもたらされる旨を実証してきた。いずれも医療費の抑制につながる。
これらを踏まえ今の日歯のアピールポイントは、口内の衛生管理は、全身の健康や寿命をも左右し、医療の財政側面に大きく貢献する点。実はその主張には追い風も吹いている。

安倍晋三首相の肝いりの政策である「健康寿命の延伸」。その旗印のもと、2017年6月に政府がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2017(骨太の方針)」では、「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む」と、口の中の健康について初めて明記された。翌年の骨太の方針2018は、さらにその記述が拡充され、今年度の骨太方針2019に至っては、原案ベースだが、エビデンスを蓄積しつつ、国民への適切な情報提供も進めるといった一層踏み込んだ記述が見られる。
つまり、口腔内の健康を保つことで全身の健康の保持・増進に努めようという考え方は既に国の方針として盛り込まれている。

「喪が明けた」歯科医師会
果たして政府による歯科医療への追い風を生かせるかが今、日歯には問われている。口腔健康管理の重要性への国民的理解は深まりつつあり、歯科界の目指す新しい歯科医療の姿は国の方針として共有されつつある。そんな中で策定する2040年を見据えた新たな歯科ビジョン。そこで示す歯科医療のあるべき姿によって今後の日歯の行方もおのずと占えるだろう。
日歯を巡っては、これまで「政治とカネ」にまつわる事件を繰り返してきた歴史がある。日歯の政治団体である日本歯科医師連盟は2015年に迂回政治献金問題で当時の会長らが逮捕・起訴され世間を騒がせた。2004年にも自民党旧橋本派に対する1億円のヤミ献金事件が摘発され、やはり当時の会長らが有罪となった。同じく2004年には診療報酬改定を議論する中央社会保険医療協議会の委員を相手に贈収賄事件を起こすという前代未聞の不祥事も発覚した。
背景には政治にすがらざるをえない、歯科を取り巻く苦しい業界事情があったとはいえ、度重なる事件に世間は日歯に対し冷たい目を浴びせた。結果、世間へのアピールも限られてきた現実がある。だが、そろそろ「喪が明けたのだろう」と話すのはさる厚労省高官の弁。政府が歯科界に寄せる期待は大きいだけに、今後の日歯の行方を興味深くウオッチしたい。

(Beyond Health:庄子 育子)
# by kura0412 | 2019-09-04 10:53 | 歯科医療政策 | Comments(0)

「社会保障改革7年ぶり始動」

予防医療、企業に補助金 社会保障改革7年ぶり始動

政府は今秋、医療や年金など社会保障制度の全体像を見渡した改革を再始動する。
糖尿病などの生活習慣病の早期治療などに力を入れる。予防医療に積極的に取り組む企業を補助金などで支援し、社員の負担を軽減する案などを検討する。年金改革は公的年金の受給開始年齢の上限を75歳に上げ、パートにも適用を拡大する方向だ。7年ぶりの改革で膨張する社会保障費をいかに抑制できるか成果が問われる。
政府が本格的な社会保障改革に乗り出すのは、2012年に当時の民主党政権が自民、公明両党と消費税率を5%から2段階で10%に引き上げるのを決めた社会保障と税の一体改革以来だ。
政府は並行して財政改革にも取り組んできたが、高齢化に伴う医療費などの急増に対応しきれていない。

22年度から団塊の世代が後期高齢者の75歳以上になり始め、40兆円を上回る医療費を中心に社会保障費の急増が見込まれる。負担増など痛みを伴う改革への切り込みが課題だ。
今回の改革は安倍晋三首相や菅義偉官房長官が取り組んできた「全世代型社会保障」の総仕上げの位置づけだ。首相はさらなる消費税増税を否定しており、予防医療や年金の担い手拡大などを改革の柱にする。月内に有識者会議を立ち上げる。
生活習慣病の患者数は全国で約1800万人いる。予防医療に積極的な広島県呉市はレセプトデータを基に糖尿病患者に保健指導したところ、新たに人工透析した患者数が6割減った。内閣府の試算では喫煙や血糖値などリスク項目が多く当てはまる社員の1割がリスク要因を改善すると年3200億円削減できる。

予防医療に取り組む企業への支援は、例えば少量の血液でがんを見つける高度な検査で、健康保険組合などが費用を補助しやすくする。人間ドックの個人負担の軽減も探る。体重や1日の歩数などをスマートフォンで管理し、糖尿病の兆候がある人に医師が改善を促す仕組みをつくる。フィットネスジムの利用負担の軽減も検討する。
給付と負担の是正も進める。年齢にかかわらず外来で受診した人の窓口負担に一定額を上乗せする「受診時定額負担」の導入を検討する。花粉症薬や湿布などを保険対象から外すことも進める。

年金制度は受給者の増加を見据えた改革に着手する。公的年金をもらい始める年齢は現在60~70歳の間で選択できるが、上限を75歳に引き上げる方向だ。元気な高齢者は働けばより多くの年金を受給できるようにする。働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度も縮小し就労意欲を高める。
政府は将来的にすべての労働者が年金に加入する「勤労者皆年金」をめざす。雇用者数は約6000万人と5年前に比べ約400万人増えた。増加分の多くが約1500万人いるパート・アルバイトが占める。
現在、厚生年金は(1)従業員501人以上の企業に勤める(2)労働時間が週20時間以上(3)月額賃金が8.8万円以上――などの要件を満たす労働者を対象にする。まず従業員の規模要件を500人以下の企業に段階的に引き下げる方向だ。
介護保険を利用する際の自己負担の引き上げも検討の対象とする。現在の負担は原則1割で、一部の高所得者が2割だ。これを原則2割に引き上げるか判断する。
改革の全体像は政府が20年6月ごろに閣議決定する経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。

(日経新聞)



社会保障全体の枠組みの中で歯科の位置づけをどう考えるのか。先ずはその議論の輪の中に入ることを肝要です。
# by kura0412 | 2019-09-03 09:03 | 医療政策全般 | Comments(0)

老朽パソコン

IoT導入阻む「老朽パソコン」
サポート切れ、工場に数十万台 予期せぬ生産停止懸念

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の波に国内の工場が乗り遅れている。原因の一つはサポートの切れた「老害パソコン」が数十万台規模で稼働していること。生産設備と密接に絡み、更新すると予期せぬ停止を引き起こすリスクがある。だが放置したままではサイバー攻撃の標的になりかねず、対策が急務だ。
千葉県松戸市のパソコン修理専門店「ピーシーエキスパート」には、全国各地から旧型パソコンの修理依頼が押し寄せる。毎月の引き合いは100件以上にのぼる。店内には「ウィンドウズ95」など旧式の基本ソフト(OS)で稼働するパソコンがずらりと並ぶ。

大手でも「延命」
記者が訪れた日に修理していたのは高炉大手の「製鋼用クレーン端末」だ。液晶ディスプレーが故障して設備の制御に利用できなくなったため、部品を丸ごと交換していた。同店の森田達也代表取締役は「古いパソコンをどうにか延命させたいと、中小製造業はもちろん、自動車などの大手も駆け込んでくる」と打ち明ける。5インチフロッピーディスクを搭載した30年前のパソコンを持ち込む企業もあるという。
国内パソコン市場は特需に沸く。米マイクロソフトが「ウィンドウズ7」のサポートを2020年1月に終了するのを控え、更新需要が高まっているためだ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、19年4~6月のパソコンの国内出荷台数は217万台と、前年同期比で36%増えた。
だがピーシーエキスパートの活況は、「7」より古いOSを搭載したパソコンが延命措置を受けながら稼働し続けている実態を浮き彫りにする。正確な統計はないが、サポートが終了した旧式のパソコンは国内の工場だけで数十万台を優に上回るとみられる。
1980年代以降にパソコンが普及し、多くの工場で生産設備の制御を担うようになった。
ただし、パソコンの耐用年数が4~5年であるのに対し、生産設備は数十年にわたって使い続けることが多い。日本機械工業連合会(JMF)が6月に公表した生産設備保有期間実態調査によれば、導入から10年以上が経過した設備が62.4%を占め、30年以上も19.1%ある。

刷新費用足かせ
一般的に工場は、いったん稼働させたらシステム構成を維持し、変更を避ける傾向がある。設備の安定稼働を重視するためだ。うかつに制御用のパソコンだけを更新し、制御用ソフトが動作しないなどのトラブルで設備停止を引き起こせば膨大な経営損失を招く。
生産設備とパソコンを一緒に刷新するには数千万円規模の投資が必要となり、決断しにくい。その点、パソコンの修理のみなら数十万円で済む。こうして寿命が尽きても引退しない「老害パソコン」が増えていく。
短期的には、だましだまし使い続けるのが合理的だろう。だが先送りを続けてきたことで、老害パソコンは様々な問題の温床となっている。
特に深刻なのは、IoTの導入を停滞させることだ。老害パソコンが居座る現場では、生産設備にセンサーなどを装着して稼働状況を分析しようと思ってもうまくいかないことが多い。OSが旧式だとサイバー攻撃への対策が難しくなるためだ。サポート切れのOSでは、セキュリティーの欠陥が発覚しても原則的に修正されない。工場のサイバー対策に詳しいラックの木田良一IoT技術研究所チーフは「安易にインターネットに接続するのは危険」と話す。
17年に猛威を振るった身代金要求ウイルスの「ワナクライ」はここにつけ込んだ。欠陥を修正せずに使い続けていたパソコンに感染し、ホンダなどの工場を一時、操業停止に追い込んだ。
最新の調査からもIoT導入が停滞する様子がうかがえる。総務省の「平成30年通信利用動向調査」によると、IoTと人工知能(AI)の両方またはいずれかを導入済みの製造業は16.6%にとどまっている。

ここに商機を見いだしたのがKDDI子会社のソラコム(東京・世田谷)だ。専用通信回線を使い、社内ネットなどから切り離した環境でIoTを導入できるサービスを提供する。製造業以外も含むが、契約数は6月に100万を突破した。
ただ独立した環境でも万全とはいえない。保守作業などで外部からUSBメモリーなどを持ち込んだ際に、ウイルスに感染する恐れがある。老害パソコンに早く別れを告げることが、最も確実な対策だ。

(日経新聞)



オンライン化導入に対して大きなハードルの存在を示しているかもしれません。
# by kura0412 | 2019-08-29 11:38 | 経済 | Comments(0)

「高橋執行部、信任求める動議が否決」

日歯連盟、第138回臨時評議員会を開催
高橋執行部、信任求める動議が否決

さる8月22日(木)、AP市ヶ谷(東京都)において、日本歯科医師連盟(以下、日歯連盟、高橋英登会長)による第138回臨時評議員会が開催された。通常、9月中旬に開催される評議員会だが、先般の第25回参議院選挙での結果を受け、今後の会務運営について評議員に図るべく前倒しで臨時評議員会が開催された。
開会後、比嘉奈津美氏(日歯連盟前顧問)は、自民党の公認を得たのち日歯連盟の支援を受けたものの次点となった今回の参院選の結果について、時折言葉を詰まらせながら支援を受けた会員に対して感謝の意を示した。

会長報告では、高橋会長が参院選で職域代表を出せなかったことに対して、評議員らに陳謝するとともに自身の出処進退について言及。「私がいちばん危惧していることは組織の崩壊・分裂である。ここで身を引くと、新執行部が立ち上がるまでかなりのタイムラグが生じる。組織代表が不在の今こそ、これまで培ってきた力を会員の先生方と一般国民のために発揮することが私の使命」と述べ、会長としての職責を果たしていく姿勢を示した。
その後、評議員から会長の信任を求める動議が出されたが、投票の結果否決された。次期診療報酬改定をはじめとする諸問題への対応が急務のなか、「国民の健康を支える歯科医療」実現のために政治活動に取り組む日歯連盟は一致団結できるのか。7月に発足した高橋新執行部は厳しい船出となりそうである。

(メールマガジン『クイント』)
# by kura0412 | 2019-08-29 10:56 | 政治 | Comments(0)

「市販類似薬の患者負担増、厚労省「検討の事実ない」」

市販類似薬の患者負担増、厚労省「検討の事実ない」
中医協総会で一部報道を否定

厚生労働省保険局総務課長の宮崎敦文氏は8月28日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、市販薬に類似した軽症患者向けの医療用医薬品を保険適用外や自己負担増としたりすることを同省が検討に入ったとの一部報道について、「記事にあったようなことを検討している事実はない」と否定した。日本医師会常任理事の松本吉郎氏の質問に答えた。

市販類似薬の患者負担増については、日経新聞が8月21日付、共同通信が同26日付で報じ、これと関連して健康保険組合連合会は同23日、花粉症のOTC類似薬の保険適用除外・自己負担率の引き上げや、「リフィル処方箋」の導入などの政策提言を発表した。松本氏はこの報道の事実関係について質した(『花粉症のOTC類似薬、保険適用除外や自己負担率の引き上げを』を参照)。
宮崎氏は、健保連などからの提言や関係審議会からの意見があることや、2018年12月30日に閣議決定された「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」で「薬剤自己負担の引上げについて、諸外国の薬剤自己負担の仕組みも参考としつつ、市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス等の観点から、引き続き関係審議会において検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる」とされていることを紹介。その上で「こうした論点については、論点ということだ。(記事は)具体的に書かれていたが、検討している事実はない」と答弁の最初と最後に重ねて否定した。

(m3.com)
# by kura0412 | 2019-08-29 08:57 | 医療政策全般 | Comments(0)

どう判断すれば一枚岩に

昨日日歯連盟の臨時評議員会が開催され、恐らく先日の参議院選挙結果の総括が議論されたと思います。そして漏れ伝わるところ会議中動議があり、採決され動議提案を否決との話です。
未確認情報ですが、歯科界が一枚岩にならなければいけないこの時期の話です。どうゆう判断をすれば一致団結できるが最優先かと思います。各都道府県歯連盟の発表、また会議の中でその実際をご確認ください。
# by kura0412 | 2019-08-23 14:28 | コラム | Comments(0)

「医師処方の市販類似薬、患者負担上げ 厚労省が検討 」

医師処方の市販類似薬、患者負担上げ 厚労省が検討
保険財政圧迫に対応

厚生労働省は、医師が処方する軽症向けの市販類似薬について患者負担の引き上げを検討する。一部の湿布や漢方薬を念頭に、定率の1~3割負担に一定額を上乗せする案が浮上している。がんなど重症向けで増える高額薬は保険の対象に加えていく方針で、保険財政を圧迫する。市販薬があるのに病院で処方される薬は年5千億円超あり、これに切り込む。
今秋以降に社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会などで議論し、21年の通常国会で関連法の改正案の提出をめざす。

厚労省が検討対象にするのは、処方箋なしで買える市販薬に類似した医療用医薬品だ。
具体的には一部の湿布やビタミン剤、漢方薬、皮膚保湿剤などが含まれる見込みだ。患者の自己負担は現役世代なら原則3割、75歳以上で現役並みの所得がなければ1割で済む。残りは健康保険からの給付や税で賄われる。患者としては市販薬より安価に入手でき、安易な受診につながりやすい。

日本経済新聞の調査では市販薬と同じ成分を含む医薬品の処方額は16年度で5469億円だった。
財務省によると、ある湿布薬は医療機関なら3割負担で96円だが、同じ有効成分を含む市販薬は2551円だ。財務省は価格差が大きく問題だとして、こうした薬について保険から外すべきだと主張している。一方、厚労省は保険適用を維持したうえで「保険の重点を重症者向けに置く方が適切だ」との姿勢を強めている。
厚労省内では従来の1~3割の「定率負担」を据え置き、1回500円といった「定額負担」を上乗せする案がある。保険薬局で500円の定額負担を求めると、国費で年1000億円の削減につながると試算する。このほか、患者の自己負担率を現状から引き上げる案もある。
薬の患者負担の見直しや保険外しは過去に何度も議論されてきたが実現していない。「公的医療保険の給付範囲の縮小は国民皆保険を崩壊させる危険性がある」として日本医師会などが反対してきたためだ。受診を控えるようになれば重症化を招くおそれもある。

ただ高額薬の相次ぐ登場で公的医療保険を巡る状況は変わりつつある。5月に白血病治療薬「キムリア」の公定価格が3349万円に決まった。乳幼児の難病治療薬「ゾルゲンスマ」は1億円を超える可能性があり、早ければ年内にも保険適用が承認される見通しだ。
医療保険財政の持続可能性を懸念する声が強まっている。これまで反対してきた日本医師会も「何が何でも(市販品類似薬を)保険適用という時代ではなくなっていく。財政との見合いで考えなければならない」(横倉義武会長)と理解を示す。
フランスは薬剤の種類に応じて自己負担割合を変えている。たとえば抗がん剤など代替のきかない高額医薬品の自己負担はゼロ。他の薬は有効性などに応じて自己負担割合が100%、85%、70%、35%と分かれている。重症患者ほど給付が手厚い制度といえる。
患者が保険薬局で受け取る薬剤費だけで5兆5千億円(16年度)にのぼり、医療費全体42兆1千億円の13%を占める。

(日経新聞)



この考えを一度導入されると今後拡大される可能性があります。果たして歯科界はどう考えるのか?問題提起の声すら歯科界から聞こえてきません。
# by kura0412 | 2019-08-22 08:45 | 医療政策全般 | Comments(0)

歯科が参加しないければ

予防医療をアフリカで展開 政府、中国の戦略と一線

政府はアフリカで日本企業の製品やサービスを使った予防医療の普及をめざす。非政府組織(NGO)や病院と組み、現地の人々の衛生意識を高めながら、日本の浄水装置やせっけんなどを購入してもらう。政府の資金も投入する。アフリカでは中国が資源投資とインフラ建設を通じて各国と関係を深めている。政府は中国との違いが見える支援により、日本の存在感を高めたい考えだ。

8月下旬に横浜で開く第7回アフリカ開発会議(TICAD)で「アフリカ健康構想」として表明する。まずケニアやセネガル、タンザニア、ガーナなどと協力の覚書を結ぶ。これらの国とモデル事業に取り組み、軌道に乗れば他のアフリカ諸国に広げたい考えだ。
第1弾の事業として、現地の行政機関や病院とも組み、地域の医療サービスの多くを包括的に担う取り組みを始める。
例えば、日本の医療機関などが巡回で検診を実施。立ち寄った地域の医療・保健拠点向けにNGOが手洗いの習慣や水道の衛生について指導し、清潔に保つ製品やサービス、人材育成の重要性を理解してもらう。同時に企業が衛生を改善する浄水装置やせっけんを病院や自治体に売り込む。
これまで日本のNGOや企業はアフリカで個別に衛生指導や製品販売に取り組んできた。今回の構想では、各者が一体になって現地で利用してもらえるようにする。

すでにアジアでは日本の官民が医療関連の製品やサービスを共同で売り込んできた。今回の構想はNGOとの密接な連携が特徴だ。製品などの販売を拡大するうえで、NGOによる指導などが重要だと判断した。
経済産業省や外務省、経団連、経済同友会などが立ち上げた「アフリカビジネス協議会」に健康分野の作業部会を設け、参加する医療機関やNGO、企業を募る。すでに20社程度が関心を示しているという。
資金面では政府開発援助(ODA)の活用を検討するほか、経産省や厚生労働省、環境省も各省の政策を通じた支援をめざす。国際協力機構(JICA)や日本貿易振興機構(ジェトロ)、日本貿易保険(NEXI)も人材と資金で協力する。
地域の医療に丸ごと関わることができれば大きな商機となるが、アフリカでは現地の行政機関が動かず、事業が停滞することも多いという。今回は各国政府に日本との覚書を交わし、構想を支持してもらうことで滞らないようにする考えだ。

国連貿易開発会議(UNCTAD)などによると、中国からアフリカへの直接投資残高は約430億ドル(約4.5兆円、2017年時点)となり、日本からの5倍以上に達した。石油や鉱物など資源と道路や港湾などインフラに傾斜している。
日本も資源とインフラを重視しているが、生活に密接な分野や経済の自立に役立つ分野でも協力して独自性を示す考え。医療のほかにスタートアップの支援も進める。
アフリカではコンゴ民主共和国(旧ザイール)でエボラ出血熱の流行が深刻化し、世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を発した。疾病の予防への関心は高まっており、診療や医薬品販売などとあわせて日本の官民で集中的に支援する。

(日経新聞)



この動きに歯科が参入しないでどうするのでしょうか。歯科界全体で積極的に。
# by kura0412 | 2019-08-09 17:32 | 歯科医療政策 | Comments(0)

孫氏も歯科定期健診受診

孫正義が3カ月に一度歯医者に行く理由

時価総額約9兆円、最近は中国の大手IT企業アリババに投資した20億円が含み益8兆円を超えるとも言われるソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏。彼が健康面で人一倍気を使っているのは、歯。世界中を飛び回り、VIPとの商談が続く多忙な中でも、定期的に3カ月に1度の歯科検診は長年続けているという。
元ソフトバンク社長室長で、現在は英語教育事業TORAIZを運営する三木雄信氏がウェブメディアにその背景を次のように語っていた。

孫氏がそこまで歯のチェックにこだわっているのは「米国などでは歯並びと白い歯がその人の健康のバロメーターという考え方があるからです。彼はサプリメントでバランスよくビタミンを摂取していたし、好んで飲んでいたのもフランス製のミネラルウォーター・ペリエでした」(ウェブメディア「マネー現代」より引用)
ちなみに、酒を一滴も飲めず、食にはこだわらないことで有名な孫氏だが、定期的な運動など、自己のメンテナンスには多大な注意を払っていたようである。
健康法というと、病気にならないための運動や食事がすぐに思い浮かぶが、孫氏のエピソードを受け、樺沢氏は「予防医療で重要なのは自己の健康状態をまず知ること」と話す。
「定期健診に足を運ぶ社長は、自身の体調におかしなところがあれば、すぐに病院に行って診てもらうフットワークの軽さを持っています。対して、定期健診に行かない人は調子が悪くてもすぐには病院に行かないため、結果的に体が蝕まれてしまう危険性があります」

定期歯科検診はもはや常識
孫氏が3カ月に1度通う歯医者についても「常識」と樺沢氏は言う。
「私も孫さんと同じく、3カ月に1度は歯医者で歯石を除去してもらっています。歯石はどうしてもたまるもの。たまり続けると歯周病が悪化します。また、残存歯数が少ないほど認知症になりやすい。歯周病がアルツハイマーの原因として関与しているという研究も出ています」
アンケート調査でも、「毎月、歯のクリーニングに行っている」(えむずう・渡部真澄氏)、「年に4回歯科検診に通っている(ぺあのしすてむ・伊藤昭浩氏)」といった歯に関する回答が相次いだ。ほかには「年2回の血液検査」(プリベント少額短期保険・花岡裕之氏)を実施している経営者もいた。
今や、経営者ならずとも定期的な検診は常識。自分の歯の寿命が、自分の仕事での“活躍寿命”を決めると言っても過言ではないのだ。
「ただし、若い頃からバリウムやCTなどで、X線を何度も浴びることは、医療被ばくのリスクが心配です。40代半ばからでよいので、定期健診を徹底してください」

(樺沢紫苑,鈴木 俊之:PRESIDENT)
# by kura0412 | 2019-08-03 09:56 | 歯科 | Comments(0)

「一団体、一職種のたねだかに働いてきたわけではありません」

「歯科医師の組織代表として参議院議員となりましたが、一団体、一職種のためだけに働いてきたわではありません。」
7月28に付けで参議院議員を退任された方の挨拶からです。

http://www.ishii-midori.jp/
# by kura0412 | 2019-07-30 16:17 | 政治 | Comments(0)

歪んでいる歯科界の現象か

歯科医が愛娘に"うちは継ぐな"と言うワケ

周囲の閉院。増える患者。それでも……
過当競争の中、生き残りのため戦略的経営を余儀なくされる歯科医業界。職人的な「医者」のイメージとはほど遠く、経営コンサルを受けSEO対策に躍起になる歯科医も少なくない。だが一方で、そんな業界の風潮の中、昔ながらの方法で細々と診療を続ける地方歯科医も存在する。

舞台は関西地方にある人口14万人の小さな地方都市。この地で26年前に開業し、歯科医院を営んできた関さん(仮名)に話を聞いた――。
世間では歯科医院が増えすぎて、国が歯科医師抑制政策を行っているくらいですが、ここではそんな実感はありません。市内では過去6年間に8軒もの歯科医院が閉院し、新規開業は1軒もないという状況で、むしろ医院は年々減っています。ここは世間の流れに逆行した場所だと思っています。
寂しいことですが、当院の半径1km以内でもここ2年間で2軒の歯科医院が閉院しました。その影響で、当院には新規の患者さんが急増しています。現在、1カ月の患者数は210~260人ほどです。
患者さんが増えるのはありがたいことではありますが、最近は視力が下がり、1日にたくさんの患者さんを診ることができなくなりました。そのため、営業日数を増やしてなんとかこなしています。
もう50代も半ばなので体力的にきついときもありますが、月曜日から土曜日まで週6日間フルタイムで診療しています。
最近は10分刻みで予約を入れる歯科医院もあるようですが、私は患者さんには時間をかけて誠実に向き合いたいと思っています。その結果、長時間仕事に従事することになるわけですが、歯科医としてこの姿勢を崩すつもりは絶対にありません。
歯科医経営に馴染みのない方から見れば、「これだけ診療していれば、さぞ利益が出ているんだろうな」と思う方もいるかもしれませんが、実は収益はトントンです。保険診療費が安すぎるため、私がフル回転しても利益はほとんど出ないのです。収入は医院の維持費と家族の生活費でほとんどが消えます。

利益を得るためには、非保険診療にシフトしていくべきかと思うこともありますが、患者さんが求めていないのに、高額なインプラントやホワイトニングを勧めることはしたくありません。また、巷ではコンサルを受けて戦略的な経営を行う医院も増えていると聞きますが、増大する新規患者の治療計画の作成と既存患者のメンテナンスに追われて、私には経営のことを考える余裕はありません。もちろん、患者さんのことを後回しにして経営のことを考えるわけにはいきませんから、来る日も来る日も日々の診療を実直に行う毎日です。

「うちは継ぐな」。娘への本当の気持ち
周りの医院が相次いで閉院していったのは院長の高齢化と後継者不足が原因なのですが、それは他人事ではありません。私には歯科医の娘がいますが、自分の医院では働かせず、都市部の歯科医院で修業させています。
この医院を継がせても、ここを含めて田舎の医院には最新の医療設備などありませんし、立地が悪すぎるのでスタッフも集まらず、ハードな勤務をせざるをえないからです。毎月これだけ多くの患者さんを診ても利益がトントンという現状から、将来利益が上がることもないでしょう。娘の幸せを考えれば、そこまでのリスクを負って、娘に継がせる理由はありません。私がもっと年をとったら、近隣の医院と同じようにここも閉院する運命にあるのでしょう。
今の歯医者業界は過当競争がよく問題視されていますが、田舎の開業医である私から見ると、高齢化も重大な問題だと感じます。私の地域の開業医は60代や70代が多く、50代の私でも若輩者扱いされるほど。国の歯科医師抑制策の影響で若手の開業歯科医がどんどん減少しているからです。

医科の世界も同様ですが、歯科医師の数を減らすのではなく、開業医の地域間格差をなくすように国の政策を変えてもらいたい。後継者不足で町の歯医者が次々と閉院していったら、行き場のない患者たちはどうすればよいのでしょうか。私の医院が閉院したら、多くの患者が市内にあるもう1つの医院へ殺到し、その医院はパンクしてしまうのではないでしょうか。
田舎では、歯科医だけではなく患者の高齢化も深刻です。高齢者の訪問診療をするにしても、それを実現するためには若くて体力のある歯科医のマンパワーが必要不可欠です。若手の歯科医が地方都市に来ない現状では、地域包括ケアの構築など絵に描いた餅にすぎないと思っています。

(PRESIDENT Online)



最近同じように、私よりも若いのも拘わらず体を壊しながらも、物凄い数の患者を診ている先生の話を聞きました。都会は過当競争、そして田舎は歯科医師不足でありながらこの様な状態。歯科界全体が歪んでいるような印象です。
# by kura0412 | 2019-07-29 15:55 | 歯科 | Comments(0)

当選した日医でも

「羽生田氏、参院当選をもってよしとせず」、横倉日医会長
医師会における医政活動の在り方を抜本的に見直す

日本医師会の横倉義武氏は7月24日の定例記者会見で、7月21日に投開票が行われた参議院議員選挙を受けて、自身が委員長を務める日本医師連盟の組織内候補である羽生田たかし氏について、「15万2807票を獲得して、何とか2期目の当選を果たした。全ての人に優しい医療介護を提供できる社会の実現に向けて、2期目もより一層活躍されることを期待している」と述べた一方、「当選をもってよしとせず、しっかりと分析をしていかなければならない。今後の医師会における医政活動の在り方を抜本的に見直していかなければならない」と気を引き締めた。

羽生田氏が、2013年の初当選よりも10万票近く票を落としたことについて、「やはり我々の気持ちの中にも、また会員の先生方にも、気の緩みもあり、厳しい状況であることを徹底することが大変だった」と振り返り、「参院選の投票率が、約6ポイント減少したことや、九州地方での大雨による影響もあった」など投票率自体の問題のほか、自民党比例で社会保障関係の候補者が10人立候補し、票が分散したことも、要因として挙げた。
羽生田氏の得票数は、15万2807票。日本看護連盟で現職の石田昌宏氏、日本薬剤師連盟で新人の本田顕子氏という、いずれも自民党比例で立候補した2人の得票数を下回った(『医師候補4人が当選、第25回参議院議員通常選挙を』、『日医連推薦の羽生田氏当選も、1期目から10万票近く減』を参照)。
「今後、発言力が弱まるのでないか」との質問には、横倉氏は、「発言力が弱まらないよう、頑張らなければいけない。やはり政治の中では、医療の代表は、医師会代表の候補者であるという認識だ」と回答し、次のように続けた。「石田氏については、日頃から日本看護協会と密に連携を取りながら取り組んでいるので、そう大きな課題ではない。本田氏が上に行ったことでどんな影響があるかだが、我々は調剤技術料が過大ではないか、調剤薬局の過剰な利益を社会保障費に還元しなければいけないと主張しているが、その点については薬剤師会とよく話し合いをしていきたい」。
さらに横倉氏は、「10月には消費税率が、10%に引き上げられる。これから年末にかけて、2020年度診療報酬改定に向けた議論とともに、来年の『骨太方針2020』に向けて、厳しい議論が行われることが予想される。日医は国民に必要な医療が過不足なく受けられるよう主張していく」と決意を新たにした。

医師会の組織力強化、地方議会議員との連携強化が課題
横倉氏は、自民党で当選した医師の古川俊治氏(埼玉選挙区)、武見敬三氏(東京選挙区)、尾辻秀久氏(鹿児島選挙区)のほか、野党では日本維新の会の梅村聡氏(比例)、共産党の小池晃氏(比例)の2人の医師を挙げ、「より良い社会保障の実現のため、手を携えて協力していきたい」とコメント。一方で、医師の小松裕氏(長野選挙区)については、横倉氏自身が何度も応援に足を運んだものの、落選したことを「大変残念」とした。
「選挙前の各種世論調査では、有権者が社会保障政策を最も重視していると報じられていた。自民党比例では、社会保障関係の候補者が10人で120万票を超える票を獲得している。国民の医療や介護に対する関心が極めて高いことが選挙結果にも表われている。しかし、今回の選挙では多数の社会保障関係者が、自民党比例から立候補したこともあり、その結果として社会保障に造詣の深い候補者が国政の場に声を届けられなくなったこともあり、残念に思う」

横倉氏はこう述べ、日医だけではなく、都道府県医師会等でも選挙結果を分析し、対応していく必要性を強調し、(1)日医の組織力をより一層強化していくため、これまで時代の要請に応じた若手医師の育成と環境整備に取り組んできたが、今後は日医の考え方を一方的に理解してもらうだけでなく、若手医師の意見も吸い上げていく方式に変えていく、(2)市町村や都道府県の議会議員にも、医療の問題点を共有してもらうことが大切であり、地方議会議員に医師会の考え方を理解してもらう取り組みを進めていく――の2つを挙げた。具体的には、医師会と医師連盟のさらなる連携強化、病院をはじめとした医療機関等の若い医師への積極的なアプローチ、地域医師会と地方議会議員の日常的な連携などに取り組んでいくとした。
ただし、組織力強化や若手医師対策は従来から主張してきたものであり、それでも羽生田氏の票が10万票近く減ったことについて、改めて問われると、横倉氏は次のように回答した。「具体的には、今から議論をしなければいけない。我々の医療政策は、次の世代がしっかりと医療ができるようにしていくことが重要だが、その辺の訴えが十分ではなかった。現在の状況を継続できるように、とばかり訴えてきた反省はある。今さまざまな改革が行われている中で、もっと次の世代が医療をやりやすいよう、変えていかなければならない。こうした主張をやるべきだったが、しなかったことが、票数を減らした原因かもしれない。また多くの候補者が出たので、そこに流れすぎたこともある。しっかりと食い止めることもしていかなければいけなかった」。

(m3.com)




職域代表が当選となった日医でも今回の選挙結果を深刻に受け止め、今後の政治活動を考えているようです。
# by kura0412 | 2019-07-25 16:47 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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