「脳卒中・循環器病対策基本法」

脳心血管病関連の21学会が5カ年計画を発表
脳卒中・循環器病の死亡率を5年で5%低下

日本脳卒中学会と日本循環器学会は12月16日、脳心血管病関連の19学会と協力し策定した『脳卒中と循環器病克服5カ年計画』を発表した。脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を5年で5%低下させ、かつ健康寿命を延伸させることを目標とする。計画実現のために、各都道府県が策定する第7次医療計画への反映を求める一方、懸案となっている「脳卒中・循環器病対策基本法」制定へ向けた取り組みも強化する方針だ。

5カ年計画は、脳卒中、心不全、血管病(急性心筋梗塞、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂、末梢閉塞性動脈疾患)を重要3疾患と位置付けている。そのうえで、これら脳卒中・循環器病による死亡率(年齢調整死亡率)を今後5年で5%低下させ、かつ健康寿命を延伸させることを大目標に設定した。計画は5年ごとに見直していく。
目標達成のために、人材育成、シームレスな医療・介護体制の整備、登録事業の促進、予防・国民への啓発、臨床研究・基礎研究の強化――の5つの戦略を掲げた。具体的には、人材育成では「地域包括ケア・在宅医療の普及をリードする人材」「臨床研究推進を担う人材」「チーム医療のリーダーとなる人材」などを学会として育成の強化や拡充を支援するとした。

包括的脳卒中センター、包括的循環器病センターを整備
医療・介護体制の面では、急性期から慢性期さらに在宅療養に至る患者の流れに沿った体制の整備を盛り込んだ。例えば急性期の場合、脳卒中においては発症から4.5時間以内にアルテプラーゼ静注療法(rt-PA治療)の開始を可能とする体制を構築し、rt-PA治療の実施率10%を実現するとしている。循環器病においては、救急隊員の発症現場到着から2.5時間以内にプライマリPCIが常時可能な体制を構築するとした。そのうえで、プライマリ・ケアのレベルで1次脳卒中センター、1次循環器病センターを、基幹施設として包括的脳卒中センター、包括的循環器病センターを整備することを目指す。
登録事業の登録では、現行のJROAD、JROAD-DPCを基盤とした包括的循環器病全国登録システムあるいはJ-ASPECT、日本脳卒中データバンクを基盤とした包括的脳卒中全国登録システム、それぞれの確立を目指す。
予防・国民への啓発では、病態や病期に応じた4つのステージを設定し、ステージごとに達成目標と対策を掲げた。臨床・基礎研究の強化では、疾患データベースやバイオバンクの整備を基盤とし、基礎研究、臨床研究さらに両者の橋渡し研究ごとに、達成目標と戦略をまとめている。
こうした計画実現には国の関与が欠かせないことから、例えばシームレスな医療・介護体制の整備の実現には、都道府県がまとめる第7次医療計画に反映されるよう求めていく方針だ。また、事業の全国的な展開と脳卒中・循環器病の医療の均てん化を押す進めるためには「脳卒中・循環器病対策基本法」の制定が必須としており、関連団体とともに法制化への取り組みを進める。
日本循環器学会代表理事の小室一成氏は今回の5カ年計画について、「関連学会の所信表明と受け取ってもらいたい。学会として、脳卒中と循環器病の克服のためにできることはやる。法律ができればその実現が加速する」と話し、法制化への期待を表明した。

【日経メディカル】



5年で5%低下が目標で、法律制定を目指す。歯科はもっと声をあげるべきです。
# by kura0412 | 2016-12-19 17:17 | 医療全般 | Comments(0)

『高齢者医療、チェックなき膨張』

高齢者医療、チェックなき膨張
2030年 不都合な未来(1)

暮らしや老後を守る社会保障が日本経済を揺るがそうとしている。止めどない高齢化で医療や介護、年金にかかるお金が膨張。財政も刻一刻と危うさを増す。団塊の世代が80代を迎える2030年はどのような社会になるのか。経験したことのない選択を迫られることだけは間違いない。

その男性は西日本の病院で最期を迎えた。享年80。12年に受けた弁膜症の術後の経過が悪く、感染症を繰り返した。透析や胃ろうの処置などあらゆる医療行為を受けた。

■医療費、計7400万円
レセプト(診療報酬明細書)には70以上の病名が並ぶ。「本人も知らなかっただろう」と関係者は話す。3年半の医療費は約7400万円。男性の自己負担は約190万円。残りの大半は税金と現役世代の支援金だ。
高齢者医療費が歯止めを失いつつある。社会保障給付費は30年に今より約50兆円増えて170兆円程度に達する可能性がある。影響が大きいのが医療費。とりわけ75歳以上の後期高齢者医療費は約1.5倍の21兆円に達する公算が大きいことが全国調査をもとにした分析で分かった。
取材班は全国約1740市区町村の後期高齢者の1人当たり医療費を調べた。厚生労働省は都道府県単位の数値を集計しているが、市区町村の全容は初めて判明した。
1人につき年100万円以上の医療費を使っている市区町村は14年度分で347に及ぶ。30年の人口推計などから試算すると、全体の後期高齢者医療費は現在の約14兆円から大きく膨れ上がる。
最多と最少の自治体格差は14年度時点で2.6倍。東京都台東区など都市部の自治体も上位に入った。大きな医療費格差はなぜ生じるのか。
1人当たり医療費が133万4453円と全国最多の福岡県宇美町。高齢者らが長期入院する療養病床は人口対比で全国平均の3倍超。在宅療養を支援する診療所は乏しく医療費がかさむ入院に頼りがちだ。

息子夫婦と暮らし、通所介護を利用する80代女性は約1年前、軽い胃の不調を訴え、町内の病院を受診した。「検査に時間がかかるので療養病床に入れる」。病院からこう聞いた担当のケアマネジャーは1カ月後に確認したが「退院したら連絡する」と告げられ、検査入院が長期化。ケアマネによると、女性は現在も入院したままだという。
高齢者医療制度はチェック機能を担う広域連合が市町村の合議体で、責任の所在が曖昧という問題を抱える。保険者としての機能不全は覆い隠せない。その裏側で高齢者医療費の4割を支える現役世代の負荷が高まる。
「手取りが……」。オムロングループの30代女性は10月の給与明細に目を疑った。1年前より1万円ほど減っていた。30万円台前半の基本給は7000円ほど上がったが、健康保険料が3600円、厚生年金保険料が7800円増えた。会社の方針で残業手当が減ったことも誤算だった。

■賃上げむなしく
「今の制度はもたない」。創業100年超の化学メーカー、第一工業製薬の赤瀬宜伸常務(57)は断言する。同社は単一の健康保険組合を維持するのは困難と判断し、自主的に解散した。05年度に6.6%だった保険料率は9.5%に上昇。人間ドック補助の削減などを重ねたが万策尽きた。
07年度に1518あった健保組合は100以上が消え、経団連によると13、14年度の賃上げ効果の46%分は社会保険料として吸い上げられた。
たとえ高齢者医療の綻びを繕えても、それだけで光明が差すわけではない。学習院大学の鈴木亘教授の試算では、年金や医療、介護にかかわる債務は30年時点で今より350兆円増えて2000兆円規模に達する。
支えを求める高齢者が増え続け、細る現役がその負担を迫られる。制度を根本から作り替えないまま、不都合な未来はもう目の前に来ている。

【日経新聞】



この記事は今朝の1面・全面での掲載です。
# by kura0412 | 2016-12-19 09:13 | 医療政策全般 | Comments(0)

「高血圧マフィア」・週刊ポストネタですが

血圧新基準は患者激減恐れた「高血圧マフィア」が潰した

日本高血圧学会が定める「高血圧」の基準値は、2014年のガイドラインでは、まず血圧の上(収縮期)130mmHg以上を正常高値血圧と呼び“高血圧予備群”として注意を促し、さらに140以上を「高血圧」と分類し、治療対象にしている。

本誌・週刊ポストは今から2年前の2014年、「血圧147は健康値」という大特集を組んだ(5月12日号)。この根拠は、日本人間ドック学会が同年4月、健康保険組合連合会との共同研究による「新たな健診の基本検査の基準範囲」と題した報告書を発表したことにある。約150万人に及ぶ人間ドックの健診受診者のデータから、健康な人の「正常な基準範囲」の上限として、現行基準よりも大幅に緩い147という数値を公表した。
これまで高血圧と診断されていた人たちが「正常」となるならば、いったいこれまでの基準値は何だったのか──本誌がこの報告を大々的に報じたことで、血圧の基準値をめぐる大論争に発展した。この人間ドック学会の発表に対し、他の学会が猛反発した。高血圧学会や動脈硬化学会は〈人間ドック学会の「基準範囲」は日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの〉と強く批判した。
その結果、人間ドック学会はその後、「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」とトーンダウンしてしまう。
果たして、「血圧147は健康値」という新基準は誤りだったのか。健康基準についての研究を行なう東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所長は、「新基準は正しかった」と断言する。…
「同時期(2014年)に米連邦政府のガイドライン作成委員会(JNC8)が決めた新基準では、血圧は60歳以上なら上は150以上が高血圧とされた。それどころか60歳未満については上の基準を定めること自体に『科学的根拠がない』とも指摘しています。人間ドック学会の新基準はこの数値とも近く、高く評価されるべきものでした。
が、日本では高血圧の基準が非常に厳しく定められているため、それと相容れない新基準は医師会や臨床学会から大きな批判を浴び、脅えた人間ドック学会も議論自体を引っ込めてしまったのです。日本の高血圧基準を見直す大きなチャンスだっただけに、残念でなりません」

なぜ、そうまでして医療界は新基準を潰したかったのか。
「過去の調査によると、30~80歳の男女で『血圧の上が130以上』には全体の約30%の人が当てはまります。それに対し、新基準で基準範囲外とされる148以上の人は約8%しかいない。高血圧とその予備群が3分の1以下になる。この基準が臨床に適用されれば、高血圧患者が激減して町医者の経営が成り立たなくなり、薬局にも大ダメージになる。だから、業界を挙げて猛反発したのです。
その動きを牽引したのが、降圧剤のセールスのために、学会に働きかけて血圧の基準を下げてきた集団です。欧米では『高血圧マフィア』と呼ばれるその集団によって、20年前に米国政府やWHO(世界保健機関)の血圧基準が下げられた。その反省から、基準が緩和されたのです。ところが、日本では今も既得権に固守する勢力が、学会と厚生労働省の定める基準に強い影響を及ぼし、基準がそのままという現実がある」(同前)

【週刊ポスト】



週刊ポストネタですが。そもそも高血圧とは何ぞやの議論がありません。歯科も新たな病名を考えていますが、この点を考えないと逆に国民に不信感を与えかねないだけに、十分な留意が必要です。
# by kura0412 | 2016-12-16 09:48 | 医療全般 | Comments(0)

早くも中医協でW改定の議論が始まる

2018年度医療介護の同時改定、「キックオフ」
「連携」重視、次回に検討課題とスケジュール
厚生労働省は、12月14日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、「2018年度診療報酬改定に向けた現状と課題」を提示、同改定に向けた議論が実質的にスタートした。同省は、2025年の医療提供体制構築を念頭に、介護報酬との同時改定となる2018年度改定は「極めて重要な意味を持つ」と位置付けると同時に、「2025年から先の将来を見据えた対応」も求められていると打ち出した点が特徴だ。

厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「今日は次回改定に向けたキックオフ」と述べ、次回総会に全体的な検討項目と検討スケジュールを提示する方針を示した。
さらに迫井課長は、その前提として同時改定であることから、医療と介護の連携に向け、
(1)療養病床・施設系サービスにおける医療、
(2)居宅等における医療、
(3)維持期のリハビリテーション――の3項目を検討課題に含める方針を提示、了承された。2017年度末に設置期限を迎える介護療養病床等については新しい類型への変換を進めるため、(1)はそれを踏まえた対応だ。

日本医師会副会長の中川俊男氏は、各論に入る前の根本的な問題として、厚労省の資料が、国債残高の累増などの国の財政悪化は、社会保障関係費が原因であるように表現している点を指摘。「歴史的に、厚労省は改定に当たって、社会保障財源を全力で確保するという姿勢を貫いてきた。しかし、厚労省としての役割を果たそうという気概が見えない」と述べ、今は「逆の立場」に立っていると問題視した。
支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、厚労省が示した「医療と介護の現状と課題」について、「基本的な認識には異論はない」と述べつつ、次回改定は、医療計画や地域医療構想など、医療関連のさまざまな制度改革が進む中で行われることになるため、その全体像を俯瞰できる資料の提示を求めた。
そのほか疑義が呈せられたのが、「2025年から先の将来を見据えた対応」との方針を掲げた点。連合総合政策局長の平川則男氏は、「今の社会保障・税一体改革は、2025年を念頭に置いたもの。その先まで見据えた対応を求められるのは、やや気が重い」とコメント。
迫井課長は、「2025年以降の体制は、人口構成が大きく変化していくことを前提にして考えることが必要」と説明。2015年6月にまとめられた「保健医療2035」でも「2035年」に触れていることなどを挙げ、医療ニーズが変化するだけでなく、医療提供側にとってもマンパワーの確保も問題になってくることから、「2025年以降も踏まえて、大きな方向性を捉えていかなければならない」と理解を求めた。

「保健医療2035」も議論のベースに
「2018年度診療報酬改定に向けた現状と課題」は、(1)現状と課題、(2)これまでの検討の概要、(3)医療・介護提供体制に係る基本施策、(4)診療報酬改定での対応――という章建て。
(2)では、社会保障改革国民会議の報告書(2013年8月)、「保健医療2035」提言(2015年5月)、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太方針2016、2016年6月)のほか、経済財政諮問会議と未来投資会議の二つの会議の検討状況を挙げた。換言すれば、今後の検討課題は、これらの報告書等や検討状況がベースになる。

議論になったのは、(1)の「現状と課題」。厚労省が挙げたのは、「少子高齢社会」「医療の高度化」「社会保障に係る財政状況」の3項目だ。
「社会保障に係る財政状況」についての「一般歳出の約55%は社会保障関係費で増加傾向」「歳出が歳入を上回る状況、国債残高の累増、支え手の減少」「医療費増加の要因は、高齢化に加え、医療の高度化等も影響」との記載を問題視したのが、中川氏だ。
その真意を問う中川氏に対し、迫井課長は、「医療を取り巻く課題、さまざまな状況をファクトとして示している。網羅的に見ていく中で、その大きな要因として、財政状況も当然含まれるべきではないか」と説明、診療報酬などを議論する際には、財政的な視点での問題意識も求められるとした。
中川氏は、この説明に納得せず、「これは重大な問題であり、この文章を見ると、国債残高の累増などは、社会保障関係費が要因になっているように見える。その意図で書いたのか」などと質した。迫井課長は、「ファクトとして示したもの。財政状況を見据えた上で、診療報酬の議論をすることが必要という趣旨で記載した」と繰り返し、2016年度診療報酬改定の基本方針でも、財政との関係に言及していると説明。同方針では、「医療政策においても、経済・財政との調和を図っていくことが重要」と記載されている。
これに対し、中川氏は、国債残高の累増は、1990年代の大型公共投資事業、2008年のリーマンショックに伴う税収の減少が要因であると指摘。厚労省の記載に対し、「国民皆保険を享受しすぎたので、我慢する時期に来ているとの表現に見える。消費税率10%への引き上げは延期されたものの、2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化の旗を降ろしていない。消費税率10%を前提としている政策を、8%のまま強引にやろうとしている」などと問題視。
その上で、中川氏は、本来ならば厚労省は、次期改定に向けて、財源を確保しなければいけない立場にあるにもかかわらず、今は「逆の立場」に立っていると問題視した。「歴史的に、厚労省は改定に当たって、社会保障財源を全力で確保するという姿勢を貫いてきた。しかし、厚労省としての役割を果たそうという気概が見えない」(中川氏)。

同時改定の検討プロセスも課題
同時改定に当たって、検討プロセスを質問したのは、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏。介護報酬は、社会保障審議会介護給付費分科会で議論する。「いつものスケジュールよりも、前倒しでやっていくことが必要」と述べ、「医療と介護のすみ分けと連携を考えた上で、個別の議論に入っていくことが求められるのではないか」と提案した。改定財源にも触れ、消費税率引き上げ延期を踏まえ、「厳しい改定になるだろう。その中で、医療と介護にどんな財源を充当していくか厳しい議論になるだろう」と見通した。
これに対し、中川氏は、「診療報酬と介護報酬のすみ分けの議論は、財源をどちらでカバーするかの問題であり、それは事務局(厚労省)がどう考えるかに尽きる。早く議論することがいいこととは限らない」と釘を刺した。さらに、財源問題についても、「次回改定は極めて重要な意味を持つ。財源が少ない場合に、いろいろな改定をやろうとすると、何とか保っていた医療と介護の均衡が壊れる可能性がある」とつけ加えた。

【医療と介護の連携に関する主な検討項目】
ア)療養病床・施設系サービスにおける医療
・介護療養病床の見直し(新施設体系)を踏まえた、外付け医療サービスの給付調整の在り方について
・療養病棟の入院患者の患者像を踏まえた適切な評価の在り方について
イ)居宅等における医療(訪問診療・訪問看護、歯科訪問診療、薬剤師の業務等)
・介護報酬における居宅療養管理指導による評価と、診療報酬における訪問指導管理の評価の在り方について
・医療と介護の訪問看護のサービスの在り方について
・居宅等における看取り支援の在り方について
ウ)維持期のリハビリテーション
・外来や通所におけるリハビリテーションの在り方について
・地域(居宅等)におけるリハビリテーションの在り方について

【m3.com】



来年度政府予算もまだ決定していない現時点で、中医協で早くもW改定の議論が始まりました。これだえみても、いかのこの改定が重要であり、またある意味厚労省が危機感を感じている証です。
# by kura0412 | 2016-12-15 17:46 | 医療政策全般 | Comments(0)

社会保障費全体の自然増を1400億円圧縮する目標達成か

高齢者医療見直し案を了承 自民厚労部会

自民党は15日の厚生労働関係部会で、患者負担の月額上限を定めた「高額療養費制度」を巡り、70歳以上の中所得者の年間外来医療費の見直し案を了承した。月額上限を2017年8月から現行の1万2000円を1万4000円に、18年8月から1万8000円に段階的に引き上げる。年間の負担上限は14万4000円とする。
公明党も15日の関係部会で了承する見通しだ。

厚労省は当初、月額上限を2万4600円に引き上げる案を示したが、中所得者の負担増に反発する自民党の厚労族や公明党が1万2000円を維持するよう主張。自公両党の政調会長が14日に会談し、引き上げ幅の圧縮と段階的な導入で折り合った。
政府・与党は来年度予算で社会保障費全体の自然増を1400億円圧縮する目標を掲げる。厚労省は高額療養費制度の見直しを含む一連の医療・介護保険制度改革で「おそらく達成できる」(担当者)としている。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-12-15 15:16 | 政治 | Comments(0)

『オプジーボは大病院で』

「オプジーボは大病院で」 厚労省、使用指針案で条件提示

厚生労働省は14日、超高額の抗がん剤オプジーボの使用ガイドライン案を公表した。がん診療の拠点病院であることや一定の臨床経験のある医師を配置していることなどを条件にした。条件を満たさなければ、公的医療保険を適用しない場合もある。適正な使用を促し医療費の膨張を抑える。
厚労省は14日開いた中央社会保険医療協議会(中医協)でガイドライン案を示した。2017年3月までに適用する。

ガイドラインではオプジーボを使う病院や患者それぞれに条件を設けた。全国427施設あるがん診療の拠点病院や高度な医療技術を提供できる特定機能病院などに限る。重い副作用が発生した場合、検査結果がその日のうちにわかるなど、迅速な対応も求める。
オプジーボを投与する前に一部の肺がん患者には、事前検査で有効性を確認することが望ましいとした。検査結果によっては薬価の安い既存の抗がん剤を優先して投与することも盛りこんだ。
オプジーボは小野薬品工業が販売する。大人1人に1年間使った場合、約3500万円かかる。公的医療保険財政を圧迫するとして政府内で大幅な値下げを求める意見が強まり、厚労省は17年2月に薬価を半額に下げる。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-12-15 15:12 | 医療政策全般 | Comments(0)

『薬価制度改革について・横倉義武会長』

薬価制度改革について
横倉義武会長

横倉義武会長は、12月14日の定例記者会見で、薬価をめぐる最近の動きを踏まえた、薬価制度の見直しに関する日医の見解を改めて説明した。

横倉会長は、まず、薬価は従来、中医協で診療報酬と切り離さずに議論されてきたことに言及。「現在、診療報酬とは切り離したところで議論が進められており、これは大変問題である」と改めて危機感を示した。
現行でも、2017年2月にオプジーボの薬価引き下げ、2018年4月には診療報酬と介護報酬の同時改定、2019年10月には消費税率10%引き上げに伴う改定、2020年4月には診療報酬改定―が予定されており、2017年から2020年まで薬価の改定が毎年行われる見込みであると説明。その上で、本来、「イノベーションの推進」と「国民皆保険の持続性」を両立し、「国民負担の軽減」を考慮しながら、「医療の質の向上」を実現するのが厚生労働省の役割であり、その具体的な検討をする場は中医協であるとし、「薬価については、まさに中医協で議論すべきである」と改めて強調した。
また、「薬価と市場実勢価格の乖離率が一定幅以上の品目に限った、部分的な見直しを模索している」との一部報道については、「全ての医薬品を見直しの対象とするものではなく、乖離率が一定幅以上の一部の医薬品を薬価見直しの対象とすることには一定の理解ができる」とする一方、医療技術のイノベーションを評価できる体系にはなっていないと指摘。「医薬品だけでなく、先進的な医療技術の進歩によるメリットを、国民に迅速に提供できるよう、技術進歩を保険診療に採り入れていくことが重要であり、薬価等引き下げの財源は、本体改定財源にきちんと充当して活用すべきである」と主張した。

更に、横倉会長は、「働き方改革実現会議」において安倍晋三内閣総理大臣が、「ベースアップを3年連続で実施してきたが、4年連続の実施をお願いしたい」と述べたことに対して、「医療機関には全国で300万人以上が従事している。医療分野は他の産業よりも雇用誘発効果が大きく、特に医療従事者の比率が高い地方においては経済の活性化に多大な貢献をしており、それを支えているのが診療報酬の技術料である」と強調。
「日医は、今後も、いかに公的医療保険制度を維持しつつ、必要としている患者さんに新しい医療を提供していくかという視点で主張していく」との考えを示した。

【日医ONLINE】
# by kura0412 | 2016-12-15 15:09 | 医療政策全般 | Comments(0)

出口で締めるだけ?

歯科医、2029年には1万4千人過剰…合格基準引き上げも検討

歯科医師が2029年に約1万4000人過剰となるという推計を厚生労働省がまとめた。厚労省は文部科学省と連携し、歯学部定員の削減や国家試験の合格基準引き上げを検討する。

歯科医師は14年で約10万人おり、20年間で約2万人増えた。開業する歯科医師も多く、診療所数は約6万9000で、「(5万店超の)コンビニエンスストアより多い」と指摘される。競争激化から診療所の経営が厳しさを増す中、不必要な診療が行われたり治療が長引いたりする懸念がある。
厚労省は、将来の歯科医師の過不足を把握するため需給見通しを試算した。現行の歯科医師数や国家試験の合格者数から、将来の歯科医師数を推計。少子高齢化を踏まえた推定患者数や歯科医師が1日に診る患者数などから、必要となる歯科医師数を算定した。
1日に診る患者数を厚労省や日本歯科医師会の調査を基に3段階で想定すると、17年は3100人不足~1万5600人過剰、29年は600~1万8100人過剰と幅が出た。厚労省の有識者検討会が、中間的な想定が精緻で妥当と結論づけたため、最終的な推計値は17年で1万1300人、29年で1万4100人過剰になるとされた。

【読売新聞】



出口で締めるだけですか?
今一度、喫緊の問題として歯科界で論じ、実行に移さなければならないようです。
# by kura0412 | 2016-12-15 08:51 | 歯科医療政策 | Comments(1)

『蓮舫・民進党の「体たらく」が、首相の解散判断に影響を与える可能性』

蓮舫・民進党の「体たらく」が、首相の解散判断に影響を与える可能性
時間が経つほど、自民党がトクをする?

衆院解散・総選挙時期をめぐる報道がまた、にぎわしくなってきた。
産経新聞が12月8日付朝刊で「首相、年内解散見送り 外交優先 来秋ずれ込みか」と打てば、日経新聞は「早期解散巡り臆測 年内?年明け? 真珠湾訪問で与野党に警戒感」(同9日付朝刊)、朝日新聞は「1月解散論 自民に浮上 真珠湾訪問 支持率上昇期待 年明け情勢調査へ」(同10日付朝刊)と報じた。「年内・年明け解散」の有無をめぐって、朝日、日経両紙と産経新聞が真っ向から対立する構図だ。
衆院解散・総選挙時期の見立ては首相退陣と同じくらい、各社政治部の力量が問われる。その戦いに、私も加わってみよう。

「自民60議席減」の予測もあるなか…
衆院解散は首相の専権事項だから、解散時期を予測するには、安倍晋三、およびその側近にどれだけ食い込んでいるかが試される。と同時に、衆院解散・総選挙をめぐる情勢への認識が問われる。
まず、今、解散するべき時期なのか。2014年12月14日投票の衆院選から2年が経過したので、いつ解散が行われても不思議ではない時期に入った。だから今後、政局は解散の可能性がつねに1割程度はある展開になる。
だが、解散には、国民がなるほどと思う一定の理解が必要だ。米国で来年1月、大統領にトランプが就任。トランプがどんな政策を打ち出すかによって世界が大きく変わる。今年6月、英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まった。今月、イタリアでは憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、敗れた首相・レンツィは辞意を表明した。
来年4~5月にフランス大統領選、来秋にはドイツで連邦議会(下院)選がある。その結果次第では、ドイツ首相・メルケルが続投できるかどうか分からない。世界が不安定化している中で、先進7カ国( G7)首脳会議(サミット)参加国で安定した政権運営を長期に続けているのは日本だけである。こんな時に解散して、国民が納得するだろうか。
国内の政治日程を見ても、安倍は来年1月中旬に豪州、東南アジア訪問を検討し、下旬には訪米してトランプと正式な日米首脳会談を行うことも計画している。そんな時期に衆院解散を行うのは日程的に厳しい。政権の命運がかかった衆院選を行うには、選挙態勢づくり、公約作成、争点設定など緻密な作業が求められるからだ。
また、衆院議員の定数削減・是正は4月の衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)の勧告を経て、6月ごろ実現する見込み。このため、年明け解散だと「定数削減・是正逃れ」と批判されるようになるだろう。
次期衆院選で、自民党が議席を減らすのは必至とみられていることも、解散を判断する重要な要素だ。
自民党が衆院選で続けて290を上回る議席を獲得したのは12年、14年しか例がない。次期衆院選では、野党統一候補が増える一方、自民党の12年当選組の選挙準備不足などによって、自民党は少なくとも30議席、多い場合には60議席近く減るとみられている。

解散先延ばしの原因は「民進党」にアリ 
安倍は18年の自民党総裁選で3選され、21年まで続投する可能性が高い。これが現実となるなら、21年までにもう1回、衆院を解散することができる。
その場合、可能性が高いのは20年夏の東京オリンピック・パラリンピック直後の20年秋だ。年明け
解散だと当選した議員の任期は21年2月ごろとなり、任期満了近くになってしまう。来秋以降の解散なら、任期満了までに余裕を持つことができる。
安倍官邸が衆院解散を急いでいない最大の理由は、9月に民主党代表に就任した蓮舫の人気が沸かないことだ。
7日の党首討論で蓮舫は安倍を「息をするようにウソをつく」となじった。蓮舫の発言は前大阪市長・橋下徹が「人格攻撃」と指摘したように度を超えており、反安倍の人たちには受けても、分厚い保守層は民進党からますます離れただろう。
蓮舫の任期は19年9月まで。蓮舫を見る党内外の目は冷ややかであっても、当分、辞めそうにない。政権中枢部はこう言う。
「蓮舫の支持は今後も伸びず、民進党はもっと落ちていくだろう。解散は先に延ばした方が有利ではないか」
民進党の体たらくが解散時期を先延ばした方が有利という安心感をもたらしている。新聞社の攻防は産経の勝利になるのではないか。

【現代ビジネス・田崎史郎】
# by kura0412 | 2016-12-13 14:53 | 政治 | Comments(0)

『薬価改定 崩れる聖域』

薬価改定 崩れる聖域(下)医師会の懸念払拭なら… 絶対阻止派に綻びも

薬価の毎年改定に対する反対派の巻き返しは、驚くほど早かった。
「必要なら反対理由の説明に人を派遣します」。11月24日、塩崎恭久厚生労働相の携帯電話に医療機器メーカー幹部からけん制メールが届いた。
薬価の毎年改定が提案された経済財政諮問会議の前日のことだ。同じ日に都内で開かれた製薬関係者の会合では、日本製薬団体連合会の多田正世会長と、日本医師会の中川俊男副会長が気勢を上げた。「一緒に毎年改定を絶対阻止しよう」
薬価の毎年改定は何度議論されても実現しなかった「岩盤」だ。最近では甘利明前経済財政・再生相が2014年の骨太の方針に盛り込もうとしたが、厚労族の議員や医師会の反発で断念した。

薬価引き下げの影響をもろに受ける製薬会社が反対なのはわかるが、なぜ医師会が乗るのか。
ポイントは2年に1度、医師の技術料などを変更する診療報酬改定だ。薬価は診療報酬と同時に改定され、原則2年間固定される。ただ実際に病院や薬局が仕入れる価格は、時間がたつと公定価格である薬価より下がっていく。薬価改定はこうした実勢価格に公定価格を合わせる作業で、通常はマイナス改定になる。

下げ分を上乗せ
薬価引き下げで浮いた分の一部は医師の技術料など診療報酬本体に上乗せされてきた。毎年改定になれば上乗せの“原資”が半減する可能性がある。これこそが医療関係者の懸念だ。
ある自民党のベテラン厚労族議員は「引き下げ分を診療報酬本体に充当するのはルール化されている」と主張する。
その根拠の一つは1972年、中央社会保険医療協議会の建議だ。そこには「薬価の引き下げで生じる余裕を(医師の)技術料を中心に上積みする」とある。背景には医療保険制度の改正を巡って対立していた当時の佐藤栄作首相と日本医師会の武見太郎会長の手打ちがあったとされる。

反対大義に無理
薬価が急に下がると院内で薬を処方する病院の経営全体に響きかねない――。当初は「技術料の上乗せは激変緩和措置」との解釈もあったとされるが医薬分業が進み、院内処方は減っている。財政赤字も膨大になる中、40年以上前の建議を毎年改定に反対する大義にするのには無理がある。
政府は薬の効能や対象となる患者が増えたタイミングで価格を動かす「随時改定」も同時に実施する方針。反対派はこれを容認し「全医薬品の毎年改定」の阻止に絞る。
ただ反対派に綻びがないわけではない。「引き下げ分を技術料に少し上乗せすることを担保すれば、医師会は毎年改定を容認してしまうのではないか」(製薬大手幹部)。製薬会社側にはこんな不安もよぎっている。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-12-13 09:38 | 医療政策全般 | Comments(0)

薬価の毎年改定に対しての日医のスタンスは?

「断固反対」、薬価の毎年改定、製薬団体
薬価専門部会、関係団体ヒアリング、「改定財源」論議にも発展

中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長:西村万里子・明治学院大学法学部教授)で12月9日、日本製薬団体連合会(日薬連)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の日米欧3団体は、企業の競争力の弱体化などの理由から「毎年の薬価改定には断固反対」と主張した。日本医薬品卸売業連合会も、医薬品の安定供給に支障を生じかねないことから同様に反対した。
9日の同部会の議題は、薬価制度改革に関する関係団体へのヒアリング。オプジーボに代表される高額薬剤問題に端を発した改革は、中医協でも議論してきたが、12月7日の経済財政諮問会議で、「薬価の毎年改定」でほぼ意見が一致、安倍晋三首相も同会議の議論を踏まえ、塩崎恭久厚労相ら4大臣で改革案を取りまとめるよう指示しており、関係団体の姿勢が注目されていた。

製薬3団体は、毎年改定の反対理由として、(1)企業の競争力を一様に弱体化、(2)イノベーションの創出や医薬品の安定供給に支障――などを挙げ、「2年に一度の診療報酬改定と合わせて薬価改定を行うことが、医薬品と技術の適正な評価とバランスの確保につながると考えており、薬価のみ毎年改定を行うことは、診療報酬体系とのバランスを損なうことになる」「薬価制度には、さまざまな政策的なルールが導入されており、改定に当たって、その効果を検証し、十分な議論を行うためには、少なくとも2年の間隔が必要」と主張した。日薬連会長の多田正世氏は、「9日の議論が、4大臣会合において反映されることを期待している」と求めた。
もっとも、仮に毎年改定を実施する場合、全医薬品を対象にするか一部に限るかについての意見や、塩崎厚労相が経済財政諮問会議に提案していた、「効能効果が審議・承認された医薬品」や「当初の予想販売額を上回る医薬品」の新薬収載(年4回)時の薬価見直しに関する言及はなかった。

日本医師会副会長の中川俊男氏は、製薬3団体の意見に対し、薬価改定財源を診療報酬改定財源に充てることを念頭に置いているのかなど、毎年改定に反対する理由を質問。多田氏は、「医療保険制度全体を見据えた議論が必要。改定は、保険医療の環境変化に対応するのが目的。診療報酬と薬価制度は、一体の制度であるため、その一部のみを取り出した改定には反対という意味だ」と述べ、財源問題は別の話と回答した。中川氏は「一体の制度」との考えは支持したものの、財源については「私は別の問題とは考えていない」と返した。
全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、「2年に1回の改定がベストという合理的理由はあるか」と質問。多田氏は、「経営は、予見性を持ってやるべき。毎年改定や期中の改定は、経営の前提条件が変わること」と述べた上で、「できれば長い方がありがたい」としたものの、薬価と実勢価格の乖離が続く問題もあるとし、「2年はバランスのいい期間ではないか」と回答した。
この回答を捉え、中川氏は、「頻回に薬価を改定する必要が生じないよう、抜本的に制度を改革するのが我々の目的」と指摘した。

毎年の薬価改定、「流通改善に逆行」
卸連は、薬価の毎年改定に反対する理由の一つに、「流通慣行に逆行」を挙げた。医療機関と医薬品卸との価格交渉において、個別の医薬品ごとに納入価を決める「単品単価取引」を進めない限り、実勢価格を薬価改定に反映するのは難しい。しかし、毎年改定になれば、より短期間での価格交渉が求められるため、購入する医薬品全体の納入価を決める「総価取引」がかえって増加し、個別の納入価が分からなくなり、流通改善に逆行すると指摘。そのほか、改定前の買い控えと返品も増え、結果として必要な医薬品の欠品、緊急配送が増加するなど、卸に多大な負担がかかりかねない点も懸念した。

日医副会長の松原謙二氏も、「年1回の薬価調査は手間がかかる」としたほか、価格交渉は医療機関にとっても負担のため、「総価取引」が増加するほか、交渉努力をしなくなり、かえって薬価が下がらなくなる懸念もあり、結局はプラスにはならないとの見解を示した。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、毎年改定の可否を判断するために、薬価改定後2年間の間に、実勢価格がどのように動いているのかについて質問。「改定直後に価格を下がるのか、それとも経年的に変化していくのか、あるいは高止まりして、薬価調査後に下がるのか」(幸野氏)。卸連の村井泰介氏は、個別の医療機関と卸との関係で納入価が決まるため、全体の納入価の推移についてのデータは持ち合わせていないと回答。
そのほか、幸野氏は、「業務量が増え、多忙なことは分かるが、毎年改定は、物理的にできないわけではなく、克服できるということでいいのか」とも確認。

「薬価制度改革の議論、あくまで中医協」
もっとも、9日の議論で、診療側と支払側ともに、最も問題視したのは、薬価制度の改革論議の進め方だ。
吉森氏は、12月7日の経済財政諮問会議に、塩崎厚労相が資料を提出したことに触れ、「中医協での議論が十分になされないままに、『年内(の結論)ありき』で、物事が進むのは問題。鉄は熱いうちに打て、と言うが、何が正しい打ち方なのかをきちんと議論する必要がある」と指摘。さらに薬価の毎年改定は以前から中医協でも議論になっているとし、「一から議論するより、過去にどんな議論があったのか、想定されるメリット、デメリットを整理した資料を出してもらいたい」と厚労省に求めた。

続いて中川氏も、「前回の中医協でも言ったが、薬価制度改革の議論を進めるのは、経済財政諮問会議から指示されたからではなく、中医協で自主的かつ自律的に議論を進めていくべきという議論に至ったからだ」と述べ、薬価制度改革論議は、あくまで中医協主導で進めるべきと釘を刺した。
その上で、中川氏は、中医協の議論は、高額薬剤が公的医療保険制度を揺るがしかねないことに端を発しているとし、厳しい保険財政下、「原価計算方式と類似薬効比較方式も含め、薬価制度自体を抜本的に見直すのが目的」と改めて確認。これに対し、塩崎厚労相の資料では、「実勢価格・量を機動的に少なくとも年1回薬価に反映」としている一方、「製薬産業について、より高い創薬力を持つ産業構造に転換」と記載していることから、「国民皆保険が危機に陥っている状況を、厚労省として何とかしようという思いが伝わらない」と中川氏は指摘した。

厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、薬価制度改革の目的は「イノベーションの推進」と「国民皆保険の持続性」の両立にあるとし、中川氏の指摘事項は重要で、同様の認識であると説明した。
この迫井課長の発言を受け、中川氏は、仮に薬価の毎年改定が導入された場合でも、「薬価改定財源を、診療報酬本体の改定財源に充てる従来の方針は、厚労省として今後も変わることはないのか」と改めて質した。迫井課長は、「従来から、改定率や改定財源は、政府の予算編成過程の中で議論してきた。そのプロセス自体は今後とも続けていく」と回答。対して中川氏は、「プロセスとしてはそうだが、それ(改定財源を本体財源に充当すること)を要求していくべき」と要求した。「厚労省は、財政当局なのか、国民皆保険を守る省庁なのかが分からなくなってきている」(中川氏)。

外国平均価格調整、「米国を外すべき」
薬価制度改革の個別課題として、議論になったのは、「外国平均価格調整」だ。これは薬価を算定した結果、外国平均価格(米、英、独、仏の4カ国)の1.25倍を上回る場合は引き下げ調整、0.75倍を下回る場合は引き下げ調整をする仕組み。ただし、4カ国の最高価格が最低価格の3倍以上の場合、当該最高価格を除外した外国平均価格を用いる。

中川氏は、米国の場合、薬価は公定価格ではなく、「メーカー希望小売価格」であるため、「外国平均価格調整」の在り方を抜本的に見直すべき、という持論を展開。具体的には、同調整の対象から、米国を除外すべきとした。
これに対し、日本製薬工業協会会長の畑中好彦氏は、「米国の価格は従来から問題になっている」と認めたものの、「米国は世界最大のマーケット」とし、海外の企業も日本の薬価の在り方を注視しているとし、米国価格の除外には、慎重な議論が必要だとした。

中川氏はそのほか、製薬3団体資料の「外国平均価格調整」における、「薬理作用類似薬との価格バランスや、為替レート変動の影響という観点も踏まえ、極端な乖離が生じた場合のみに限定的に適用する方向で検討すべきと考える」との記述の意味を質した。
専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、「今は1.25倍を上回ったら、引き下げの対象になる。それが妥当なのかどうか。(類似薬効比較方式や原価計算方式による)算定値の補正措置という概念から言えば、こうしたルールは趣旨から逸脱しているのではないか、という問題認識を我々は持っている」と回答した。
中川氏は回答を受け、「外国平均価格調整」の在り方を議論する以前の問題として、(類似薬効比較方式や原価計算方式による)薬価算定が妥当かを見直すことが必要、と返した。

「製造総原価」の公表めぐり議論
そのほか中川氏は、製薬3団体が、「新薬を原価計算方式で算定する場合、医薬品の価値を十分に反映することには限界がある」とし、「製造総原価は、企業秘密であり、公表できない」とした点も、不透明感があるとし、「身も蓋もない」と問題視した。
多田氏は、「製造総原価は、企業秘密」と答え、不当競争防止法などを踏まえても、「原価などの公表はあり得ない、というのが産業界のルール」と述べ、「薬価を決める非公開の場では、製造総原価を説明し、最終的に納得を得ているとした。中川氏は、対象疾患が拡大した場合の薬価引き下げについての考えを質すと、多田氏は「大きく原価が下がる状況になった場合、薬価を下げるのが我々の考え」と回答した。

【m3.com】



製薬業界が反対するのは分かりますが、この問題に対しての日医のスタンスは?
そして日歯は??
# by kura0412 | 2016-12-10 09:24 | 医療政策全般 | Comments(0)

『完全無料のクラウド型電子カルテ』

きりん、完全無料のクラウド型電子カルテ
診療報酬債権の流動化や情報掲載料で収益確保

医療系アプリケーションベンチャーのきりんは2016年12月1日、完全無料で利用できるクリニック向けのクラウド型電子カルテ「きりんZERO」の正式版をリリースした。マルチデバイスに対応し、レセコン機能や予約システム、アプリなどと連携する。

きりんZEROは、電子カルテ機能に加え、外来予約・受付・レセコン機能についても、初期導入費用・月額利用料いずれも無料で利用できる。登録患者数が増えたとしても、無料である。
レセコン機能では、日医標準レセプトソフト「ORCA」と連携する。診療報酬改定時もクリニックによる改定対応の必要がなく、常に最新の情報でレセプトを作成できる。また、診察と病名、薬剤と病名のチェック機能があり、レセプト病名チェックの必要がなく、病名付け忘れも防げる。
マルチデバイスに対応しており、インターネット環境があればWindowsパソコン、Mac、タブレット端末などで利用できる。また、患者向けには専用アプリ(無料)を用意しており、予約システム機能により患者自身で受信予約することも可能。

なぜ完全無料が可能か
きりんZEROが完全無料で提供できる背景には、同社が提供する「きりんFRM」「きりんMR」などのサービスによる収益モデルがあるからだという。「きりんFMR」は、クリニック経営を支援するキャッシュフロー改善サービスで、きりんZEROのサービス開始と並行して提供する。
診療報酬は請求から支払基金から入金されるまで通常45日ほどかかるが、きりんZEROでの診療データを活用することで当月に立替払いを行い、キャッシュフローを改善するもの(診療報酬債権の流動化を利用)。また、地域の複数のレセプト請求データを解析し、返戻を最小限にするとともに、算定漏れを防止するレセプトチェックサービスを行い医療事務の負担を軽減する。同社はきりんFMRを提供するために、りそな銀行およびマーチ・アセット・マネジメント(売掛債権などの流動化のための特別目的会社)から診療報酬再譲渡の資金調達を行っている。
「きりんMR」は、きりんZEROを利用した処方時に薬剤情報を提供するサービス。新薬やジェネリック医薬品などの情報を専用枠で提示することで、同社は製薬会社などから情報掲載のための費用を徴収する。
また、きりんZEROの普及により取得された医療情報を個人情報が特定できない医療ビックデータとして蓄積。データ解析による新たなビジネスモデルを製薬会社や保険会社と協業していく予定という。

【日経デジタルヘルス】



歯科もこの手を使えないものでしょうか。
# by kura0412 | 2016-12-08 15:38 | 医療全般 | Comments(0)

『「薬価の毎年改定」で一致、「全品か一部か」が焦点 』

「薬価の毎年改定」で一致、「全品か一部か」が焦点
経済財政諮問会議、基本方針は4大臣で決定

12月7日の経済財政諮問会議で、民間議員と塩崎恭久厚労相はともに、医薬品の市場実勢価格を薬価に反映するため、「少なくとも年1回」の薬価改定を提言、安倍晋三首相は塩崎厚労相ら4大臣に対し、これらの提言と7日の議論を踏まえ、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針を決定して、次回の諮問会議で報告するように指示した。薬価の毎年改定はほぼ確実となり、今後の焦点は、全医薬品かあるいは一部に限るかに移る。

11月25日の諮問会議では、同会議自体が基本方針を決定する予定だった(『安倍首相「薬価制度改革の基本方針、年内に取りまとめ」』を参照)。7日の安倍首相の指示で変更され、塩崎厚労相のほか、石原伸晃・内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、麻生太郎財務相、菅義偉・内閣官房長官の4大臣で基本方針を決定、諮問会議に報告することになった。中央社会医療保険協議会では、諮問会議での決定に疑義が呈せられていた。
諮問会議は12月下旬に予定されており、それまでに基本方針が決まる見通し。

「市場規模拡大」は年4回見直し、塩崎厚労相
4人の民間議員は連名で、(1)全医薬品を対象として、保険収載後、前提となっていた使用量または市場実勢価格の変化幅に応じて、年1回以上(後発医薬品を含む)を見直すこと、(2)イノベーションを推進する効果的な仕組み――など、4つの原則から成る基本方針を提言。
石原大臣は、諮問会議後の会見で、民間議員の提言に対し、「かなりハードルが高い、また重要性が高い提言がされたと認識している」との受け止めを示した。
一方、塩崎厚労相は、
(1)実勢価格・量を機動的に少なくとも年1回薬価に反映、
(2)現行の薬価算定方式のさらなる改善、
(3)製薬産業について、より高い創薬力を持つ産業構造に転換
――の3点を提言。(1)では、下記の2点を盛り込んだ。

◆実勢価格・量を、機動的に少なくとも年1回薬価に反映(塩崎厚労相提言)
・市場規模拡大による影響を迅速に薬価に反映(効能効果が審議・承認された医薬品、当初の予想販売価格を上回る医薬品を、NDBも活用し、新薬収載の機会(年4回)に薬価を見直し
・市場実勢価格を迅速に把握、少なくとも年1回薬価を見直し(調査方法に応じて、適切な引き下げ幅を設定)
そのほか、民間議員からは、「製薬業界は、再編も含めて、構造転換を進めるべき」「第三者による検証や調査結果の公表など、薬価調査の仕組みについて、検証し、来年中に結論を得るべき」「費用対効果評価については、専門的知見や第三者的な視点を導入すべき」「薬価調査について公平性、透明性を持って全品調査を行うべき」などの意見が上がったという。

【m3.com】
# by kura0412 | 2016-12-08 09:45 | 医療政策全般 | Comments(0)

15年ぶりの学術発表

12月4日に『にいがた摂食嚥下障害サポート研究会』で「甲状腺癌術後に両側反回神経麻痺を認めた一例」の演題で学会発表を行いました。日頃、医療政策や医政での講演やっている私も学術発表は15年ぶりで緊張しました。

ネットで当日の研究会の報告書がネットに掲載されてありました。
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/dysphagia/support/seminar/2016/20161204report.pdf

新鮮な経験をさせていただきましたが、学術発表はこれで終わりでしょうか。これでやっと普通の活動が出来ます。(笑)
# by kura0412 | 2016-12-08 09:25 | 思うこと | Comments(0)

『「名医」検索サービスは、どう名医を判断しているのか』

「名医」検索サービスは、どう名医を判断しているのか

名医を見つける方法を知っているか?
みなさんは病院を選ぶとき、どうしているだろうか。掛かりつけのクリニックへ行く、ネットの口コミサイトで良さそうな病院を探す、友人・知人に評判を聞いてみる……。
軽症の場合は良いけれど、重篤な病気になった場合は、そう簡単には決められない。
特に外科手術を行うとなると、症状によっては命に関わる場合もあり、どの医師に執刀してもらうかが心身ともに大きな負担を強いられるからだ。
とはいえ、良い医師を見つけるには情報が少なすぎるのが、日本の医療界の現状だ。書店に行けば、名医を特集した本も並んでいるが、どんな基準で選ばれているのか一般人にはなかなかわかりにくい。なかには掲載料という名目の広告費を取って、医師を紹介しているケースもある。病院のホームページで検索しても、手術実績などのデータを掲載しているところは意外にも少ない。技術面では優れていても、情報公開に関しては、日本は「医療後進国」と言っても過言ではない。
こういう現状を打破しようと始まったサービスがある。それは、名医を本気で探している人向けに作られた名医検索サイト「クリンタル」だ。2015年8月にリリースされ、現在、月に数十万の閲覧数、月に10%以上の割合で伸びている、知る人ぞ知るサイトである。
検索は、「有数の専門医検索」と、「街の名医検索」の2つがある。サイトの手順に沿って検索をすると、その疾患に関する名医が一覧表示される。ドクターは「臨床実績」「学術活動」「受診のしやすさ」の3項目が5段階評価で表示。2016年11月30日現在、有数の専門医検索の場合は24の診療科、129の疾患、街の名医検索の場合は36の診療科に対応している。
例えば、消化器外科では、胃がんに始まり、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、大腸がんなどが細かく分類されており、その手術の実績がある名医が表示される仕組みだ。有数の専門医は3686名が名医として登録(同11月30日現在)をされており、この数は、日本の医師20万人の約1.8%にあたる。

どのように「名医」と判断しているのか?
では、どうやって名医と判断しているのか、誰もが気になるところだ。開発にあたった株式会社クリンタル代表取締役社長の杉田玲夢(すぎた・れいむ)氏にきいてみた。
「このサービスには、診療科ごとに3、4名の現役医師に協力をしてもらっています。彼らがまず、専門医資格を所持している医師から候補者を抽出します。手術数や論文数などの定量的データによってさらに絞り込みます。その上で、医師から見た信頼性、業界内での評判など定性的な指標をかけ合わせ、名医と称するにふさわしいドクターを選んでいます」
名医となれば、多忙を極め、受診にこぎ着けるのが難しいこともある。そんな場合は、有料(6000円)の名医紹介サービスも用意されている。
こちらは、患者の症状や希望なども加味して、クリンタルの協力医師が実際に適切な受診先の判断を行う。その上で、「紹介時には掛かりつけの医療機関からFAXをその医師宛てに送ってもらってください」とか「この曜日のこの時間帯に受診してください」といったアドバイスをしてくれると言う。

患者が得られる医療情報が少なすぎる!
杉田氏が名医検索サービスを立ち上げた背景には、当時、東京大学医学部附属病院で眼科の医師をしていた杉田氏自身の体験がある。ある日、父親が網膜剥離になってしまう。網膜剥離は最悪の場合、失明の恐れのある病気である。急を要する状況であった杉田氏は、適切な医師を探すのに苦労をしたという。
「勤務医をしていると、友人や知人から良いドクターを知らないか、と尋ねられることが多かったんです。そういった数々の体験から、一般の人が得られる医療情報があまりに少ないと気づき、これはなんとかしなければ、と思いました」
その後、アメリカのビジネススクールへ留学し、現地で様々な医療事情を学んできた。
「アメリカでは、クリンタルと同じようなサービスがすでに行われており、導入している企業は、従業員の医療費を削減することに成功していました。これを日本で行えば、医療費削減につなげられるかもしれないと思ったのがきっかけです」
現在、クリンタルの検索数で多いのは、がんや小児科、婦人科関連の疾患だという。ユーザーからは「受診先のあてがなく困っていたが、光が射した」、「今の治療で良いのか自信がなかったので、セカンドオピニオンの目的で利用した」――こんな声が多い。

ドクターの技術向上には医療の“機能分化”が必要
「このサービスを通じて目指しているのは、実は医療の“機能分化”なのです。例えば、総合病院は便利ですが、何が得意なのか一般人にはわからない。しかし、「がんセンター」とか「循環器センター」といった専門施設ならすぐにわかります。そのように医療機関を専門化していくことで、同じ領域の患者さんが集まります。そうなればドクターも経験を積むことができ、技術が向上していきます。結果として入院期間が短くなり、医療費を抑えることにつながると考えています」と杉田氏は言う。
医療の“機能分化”を取り入れようとする背景には、日本では患者が得られる情報が少なく、「医療後進国」といわれる現状を打破したいという杉田氏の思いが強くにじみ出ている。
「海外ではこういう“機能分化”が盛んに行われています。一例を挙げると、カナダには鼠径ヘルニアの専門病院があるんです。鼠径ヘルニアは再発率の高い病気ですが、全米から患者さんが集まることでトップレベルの技術を維持することができ、再発も減りました。結果、医療費削減に寄与したのです」(同氏)
日本の医療費について言えば、2015年度に40兆円を突破した。厚生労働省によると「2020年には66.9兆円、2025年には76.4兆円にまで膨れ上がる」と予測しているようだ。
今や国家的急務である医療費の削減が高まっている中で、クリンタルの名医検索サービスはその一助となる可能性を秘めている。
同サイトは、名医以外に地域の信頼できる医師を検索することもできる。軽症や掛かりつけ医のいない方は、このサイトの活用をお勧めしたい。

【DAIAMOND ONLINE】
# by kura0412 | 2016-12-01 08:57 | 医療全般 | Comments(0)

『高齢者医療費の月額上限、外来は2倍に』

高齢者医療費の月額上限、外来は2倍に 一般所得者

厚生労働省が検討する高齢者医療費の負担見直し案が28日、分かった。一定の収入がある70歳以上の一般所得者は外来時の月額上限を1万2000円から2万4600円に、入院時は同4万4400円から5万7600円とする案を軸に与党と調整する。現役並みの所得がある人の上限も引き上げる。所得に応じた負担に変え、医療費の伸びに対応する。

厚労省は30日、社会保障審議会医療保険部会を開き、毎月の医療費負担の上限を定めた「高額療養費制度」を議論する。一定の収入がある一般所得者は1万2000~1万3000円程度引き上げる案を軸に複数案を示す方向だ。与党の合意を得られれば、2017年度に上限を引き上げる。見直しの対象になるのは約1400万人にのぼる。
年収370万円以上の現役並み所得者は現在、外来の上限を4万4400円としている。69歳以下で最も負担の重い人の2割以下で済む。厚労省はこの優遇措置をなくし、8万円程度への引き上げを検討してきた。負担の急増を懸念する声もあり、段階的に引き上げる案が有力だ。
高額療養費制度は個人負担が増えすぎないよう、所得に応じて一定の上限を定めている。低所得者に配慮し、住民税が非課税の人は外来の場合、月8000円の上限を維持する。
厚労省は17年度予算で高齢化に伴う社会保障の伸びを5000億円程度に抑えるよう求められている。夏の概算要求では6400億円だった。高額療養費制度の見直しで300億円超圧縮したい考えだ。

【日経新聞】



一般紙からいろいろな臨床に直結するようなニュースが報道されていますが、歯科界での話題には至っていません。
# by kura0412 | 2016-11-29 09:53 | 医療政策全般 | Comments(0)

『高額がん治療薬いきなり半額、薬価ルール崩壊の内幕』

高額がん治療薬いきなり半額、薬価ルール崩壊の内幕

さまざまながんで効果が期待されるものの高額な薬価でやり玉に挙げられていたがん治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げ議論は、来年2月から50%引き下げることで決着した。ただ、これはルール外にルール外を上乗せした“対症療法”。画期的な薬が生まれるたびに高額薬剤問題は再燃する恐れがある。

「これじゃあ、まるで茶番じゃないか」。11月16日に開催された厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)。事務局である厚労省ががん新薬である「オプジーボ」の公的薬価を50%引き下げる根拠をとうとうと説明する中、傍聴席で製薬業界関係者はため息をつき、独りごちた。
オプジーボは治療対象となるがん患者の範囲が広がったことから、薬価の高さが問題視されるようになった。10月5日の中医協では「市場拡大再算定の特例」を準用する案が了承された。特例とは当初の予想よりも売れ過ぎた薬の価格を引き下げる制度を、巨額品目に拡大適用するもので、オプジーボは最大25%引き下げで決着がついたと多くの人が思っていた。一部の中医協委員が「私だけ勘違いしていたのか」と厚労省に面と向かって皮肉ったほどだ。
“勘違い”の原因は特例にあった。年間販売額1000億~1500億円で予想の1.5倍以上売れたケースでは最大25%、同1500億円超で1.3倍以上のケースでは最大50%引き下げるとしており、製造販売元である小野薬品工業の予想販売額は今年度1260億円で前者に該当するとみられていた。
ところが、10月6日の参院予算委員会で共産党の小池晃書記局長がさらなる引き下げを求め、他の議員や経済界からも注文が相次ぎ、官邸が動いた。これを受けた厚労省が「特例の50%引き下げ条件に適用させるために『結論ありき』で持ち出してきた」と業界関係者が訝るのが、11月16日の中医協で示された販売額推計計算式だ。
それによると、小野薬品公表の1260億円は「仕切価格(メーカーが医薬品卸に売る価格)」ベースで、流通経費、消費税などを勘案して国が定めた公定価格ベースでは1516億円になるという。
緊急的対応で実際の薬価調査をしていないため、これまでの平均値などから机上で導き出したもので、厚労省は「明確な根拠はないが『保守的に厳しく』見積もった」などと、苦しい説明に追われた。薬価改定は通常2年に1度であり、次回は2018年度。期中改定が最初の「ルール外」なら、計算式は「ルール外の上のルール外」だ。
計算式に対し、中医協委員からは「仮定の上に仮定を重ねており不安」「基礎額の微妙なずれで1500億円というボーダーを切る計算だ」など疑問の声が相次いだ。
厚労省が示した、小野薬品からの不服申し立て期限は11月22日。引き下げの告示は祝日を挟んだ2日後の24日で、「不服は出てこない」と言わんばかりの日程だ。ある製薬会社幹部は「株価に影響するので事前に小野薬品と折り合いがついていてもおかしくないが、それにしても強引」とあきれる。
以上が「茶番」の内幕だ。

開発後期多数でがん適用拡大必至
天文学的数字に?
10月5日の中医協から11月16日の中医協までの約1カ月半の間に何があったのか。関係者が指摘するのが、官邸と厚労省の折衝だ。
安倍晋三首相がさらなる引き下げに意欲を見せる一方、厚労省の本音は最大25%引き下げでとどめたかったとされる。それはなぜか。
大幅引き下げをした場合、まず小野薬品からの訴訟リスクの懸念があった。加えてうわさされるのが、「厚労省が財源カードを18年度まで残しておきたかったのでは」(アナリストなど)という線。
18年度は薬価を含め、診療報酬と介護報酬が同時改定される。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年に向けた重要な改定で、「このタイミングで薬価引き下げ分を財源として活用したいので、今はキープしておきたい」という思惑があったのではというのだ。
結局、来年2月1日から、オプジーボ点滴静注100ミリグラムの薬価は72万9849円から36万4925円に下がる。同じ100ミリグラムで「米国約30万円、英国約14万円、ドイツ約20万円」(塩崎恭久厚労相の参院予算委員会での答弁)であり、欧米と比べるとまだ高い。

オプジーボの開発状況は前途洋々。「対象患者が増えれば医療費は天文学的数字にならないか。他の高額薬剤との併用療法問題も近い将来必ず起きる。そうなってから慌てるのではなく準備を」という中川俊男日本医師会副会長の意見ももっともではある。
厚労省は18年度薬価改定に向け、今回のような緊急的な薬価見直しが起きないよう、ルールを見直す方針を示している。
中医協では「薬価制度全体を抜本的に見直すべき」(中川副会長)、「新薬から十分な収益がなければ次の新薬の開発が困難」(塩野義製薬の加茂谷佳明常務執行役員)と激しい意見の応酬があり、限られた医療財源をめぐり関係者間でつばぜり合いが始まっている。

【DIAMONDONLINE】
# by kura0412 | 2016-11-28 14:30 | 医療政策全般 | Comments(0)

『マイナンバーで医療控除 領収書不要』

マイナンバーで医療控除 領収書不要
17年度分から

政府・与党が2017年度税制改正で実施する納税や徴税の環境を整備する施策の全容が25日、わかった。17年度分から、家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除は、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)を使って領収書の提出を不要にする。法人をつくる時に税務署に出さなければならない書類は減らす。一方、税務調査についてはIT(情報技術)データを強制的に徴収できるようにするなど厳しくする。

25日の自民党税制調査会の幹部会合で案を示した。医療費控除の対象は1年間の家族の医療費から、保険で補填された額を引いた額が10万円を超える場合。基準を超えた額を所得から差し引き課税所得を減らせる。ただ現在は医療費の領収書を確定申告の際に提出しなければならず、手続きの煩わしさから申告を諦めている人も多いという。
政府・与党は17年度分の所得税の確定申告から提出を不要にする。保存は義務付け、税務署に求められたら提示する。
マイナンバーの個人用サイト「マイナポータル」の利用が念頭にある。健康保険組合から個人サイトに医療費通知を送ってもらい、利用者はこのデータを税務署にネット経由で送れれば、医療費控除の申請が簡単になる。領収書の提出義務を外すことで利便性を高め、マイナンバーの活用を促すねらいだ。
16年度税制改正で医療費控除の対象に認めた大衆薬も、領収書の提出を不要にする。申告する際に明細書と健康の維持促進に取り組んだことを証明する書類を提出する。
法人を設立する時の提出書類も削減する。現在は設立後に税務署に貸借対照表や登記事項証明書、株主などの名簿の写しの提出が必要だ。17年度税制改正で登記事項証明書の提出を不要にする。企業には証明書の取得に必要な手間や費用がなくなる。税務署と法務省が登記情報をやりとりして確認する仕組みにする。

脱税調査ではインターネット上に保存されているメールなどの情報を強制的に押収できる権限を認める。ITを駆使した悪質な脱税や国際的な税逃れが増えていくとみており、国税の査察権限を強化する。夜間の強制調査もできるようにする。
政府・与党が進めている成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正を踏まえ、税制上の年齢要件の引き下げも検討する。少額投資非課税制度(NISA)や、親や祖父母から住宅購入資金をもらった場合に贈与税の非課税枠を拡充する特例措置の利用が18歳から認められる見込みだ。酒類の販売管理者の要件も引き下がる可能性がある。18年度改正で検討し、必要な措置を講じる。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-25 14:52 | 医療政策全般 | Comments(0)

『薬価を毎年改定へ・政府調整』

薬価を毎年改定へ 後発薬値下げ、医療費抑制
政府調整

政府は薬の公定価格(薬価)を決める仕組みを見直す調整に入る。
原則2年に1回の薬価改定を毎年実施し、価格を柔軟に引き下げる案が軸。新薬の原価など根拠となるデータの公表を義務付けたり、後発医薬品の価格を抑える方策も議論する。国の薬剤費支出を抑える狙いだ。
25日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で民間議員が見直し案を提示する。諮問会議は厚生労働省などと連携して改革の方針を取りまとめる。

価格の安い後発薬の普及で薬全体の流通価格は下落傾向にあるが、改定が2年に1回のため市場の実勢を反映しづらい。民間議員は国が負担する薬剤費の膨張を抑制するため、毎年薬価を下げられるようにしたい考え。下げすぎた場合は翌年の薬価調査で調整する。
医師会や製薬業界はこれまでも「価格調査などの負担が増す」などの理由で毎年改定に反対しており、見直しに抵抗も予想される。
民間議員は薬価の透明性向上に向け、製造原価の内訳や患者数の見込みなど詳細の公表を義務付けることも訴える。超高額のがん治療薬オプジーボのように、海外の2倍以上高い薬は速やかに公定価格を見直す仕組みも求める。厚労省も中央社会保険医療協議会(中医協)で見直し策を議論し、2018年度の薬価改定時に導入する方針だ。
後発薬の価格は原則新発薬の5割に設定されている。民間議員は「国際的にみて高すぎる」と指摘し、20年度までに後発薬の普及率を80%に高めるため新発薬の3~4割に引き下げるべきだと提起する。
製薬業界の研究開発投資促進も課題に挙げる。薬の効能に応じて一定額を加算するといった価格改定のルールをつくり、研究開発の意欲を高めるよう求める。

【日経新聞】



もしこの報道の通りとなれば、薬価差額そのものが医療費抑制の財源になりかねません。
# by kura0412 | 2016-11-24 14:40 | 医療政策全般 | Comments(0)

「口腔機能低下症」の診断基準

口・歯の衰えに診断基準 老年歯科学会

日本老年歯科医学会(理事長=桜井薫・東京歯科大学教授)は22日、口や歯の機能が衰えた「口腔(こうくう)機能低下症」の診断基準を発表した。この状態が進行すると低栄養や要介護の状態を招く恐れがあるとし、機能の回復や維持につなげたいという。

診断基準では、
①口の中の細菌数
②口の中の乾燥度合い
③かみ合わせる力
④舌や唇の運動機能
⑤舌が食べ物を押しつぶす圧力
⑥かむ機能
⑦のみ込む機能
――の計7項目を検査で調べ、うち3項目が基準以下ならば該当するとした。

近年、日本歯科医師会などは、口や歯の機能が落ちてきた状態を「オーラル・フレイル」と呼び、注意を呼びかけてきた。今回の診断基準は、オーラル・フレイルが進んだ状態を口腔機能低下症と位置づけた。これがさらに進行すると、食べ物をのみ込めなくなる摂食嚥下(えんげ)障害や咀嚼(そしゃく)障害を起こす可能性があるとした。
学会は、診断基準はこれまでの研究成果をもとにまとめたとし、新たな知見が出てくれば見直すという。

【朝日新聞】
# by kura0412 | 2016-11-24 12:05 | 歯科 | Comments(0)

『よくかむ習慣、メタボ防ぐ?』

よくかむ習慣、メタボ防ぐ? 新潟大など、50~70代調査

よくかんで食事をする人はそうでない人に比べ、メタボリック症候群になる割合が低いとの研究結果を、新潟大や大阪大などのグループがまとめた。
研究グループは50~70代の男女1780人にグミを30回かんでもらい、グミの表面積の増加量を基に、かむ能力を測定した。能力の高い順に4グループに分け、各グループでメタボ症候群の有無を調べた。
かむ能力が下から2番目のグループは1番高いグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.46倍高かった。各グループの70代の人たちを比べると、かむ能力が2~4番目のグループは1番のグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.67~1.90倍高かった。
新潟大の小野高裕教授は「かめていないことをはっきり意識できていない人に危険がある」と指摘。メタボ症候群などの予防へ、「歯科検診でかむ能力が衰えていると診断された人に特定健康診査(メタボ健診)を勧めるなど、医科と歯科の連携を提案したい」と話した。
小野教授らは、かむ能力とメタボ症候群の因果関係を解明するため、追跡調査を続ける方針。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-21 16:49 | 歯科 | Comments(0)

『高所得高齢者の負担増、医療費1000億円抑制 政府原案 』

高所得高齢者の負担増、医療費1000億円抑制 政府原案

財務・厚生労働両省は2017年度予算案で医療費の伸びを1000億円規模抑制する政府原案をまとめた。高齢化に伴う急激な医療費膨張に歯止めをかけ、社会保障費の自然増を抑える。高所得で経済力のある高齢者に一定の負担を求め、外来時の負担を増やしたり、初診料に追加負担が求められる病院を拡大したりする。高齢者の過度な優遇を見直す。
政府は16~18年度の社会保障費の自然増を1.5兆円に抑える目標を立てている。来年度は自然増分が6400億円程度とみており、5000億円程度に抑える方針だ。判明した政府原案では1000億円を医療費で、400億円を介護保険制度の改革で捻出する。与党の意見を踏まえ、12月上旬に具体案を固める。

政府は余力があるとみられる高齢者に一定の負担を求める考え。医療費抑制の柱は、高齢者の負担拡大だ。毎月の医療費負担の上限を定めた「高額療養費制度」と、75歳以上が加入する公的健康保険「後期高齢者医療制度」の保険料の軽減措置の見直しが軸になる。
高額療養費は、70歳以上を対象にした外来の負担を軽くする制度の一部を段階的に廃止する。現在は入院費より低く抑えている。月額負担の上限額をどう設定するか今後政府・与党で調整するが、完全に廃止すれば、年収370万円以上の現役並み所得者の負担は4.4万円から少なくとも8万円以上になる。一定の収入がある「一般所得者」だと1.2万円から5万7600円になる。
75歳以上の高齢者医療の保険料は「元被扶養者」とされる専業主婦らと、夫の年金収入が153万~211万円の人への軽減措置を段階的に廃止する。また高齢者らが長期入院する療養病床のうち、65歳以上の比較的症状の軽い入院患者には1日あたり370円の光熱水費を求める。現在の320円から引き上げる。

このほか、過剰な受診も減らし、紹介状なしで大病院を受診した際に初診料で5000円以上の追加料金をとる制度も拡大する方向だ。現在は病床500床以上の病院が対象だが、「200床以上」に引き下げると、少なくとも1200以上の病院が対象となる。
全国健康保険協会(協会けんぽ)に対する補助金も削減する。雇用環境の改善で財政は改善しており、数百億円を捻出できるとみられる。薬価では超高額の抗がん剤オプジーボの公定価格(薬価)を来年2月に半額にして、国費を180億円圧縮。一方でかかりつけ医以外の病院を受診した際に少額の負担を求める仕組みの導入は見送る。
与党との調整が円滑に進めば、来年度予算の社会保障費は過去最大の32兆円台となる見通しだ。歳出総額を押し上げる主因だ。安倍政権は自然増を抑える一方、介護・保育といった社会保障の充実にも予算を割く。ただ、介護士や保育士の待遇改善などに充てる財源は景気の改善を背景とした一時的なものにすぎず、消費増税などによる恒久財源の確保が必要だ。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-21 15:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

『改定がない時こそ、改革を』

「最大の課題は社会保障分野」、財政審建議
社会保障関係費の伸びは5000億円に抑制、改革の前倒し提言

財務省の財政制度等審議会(会長:吉川洋・立正大学経済学部教授)は11月17日、2017年度の予算編成等に関する建議をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。社会保障関係費の伸びを「5000億円」に確実に抑制し、その他の政策経費を含めた一般歳出を5300億円に抑えるべきと提言している。「最大の課題は社会保障分野」と強調、経済財政諮問会議が2015年12月にまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の検討項目を中心に、改革の基本的な考え方を4つに整理し、できる限り前倒しして改革を実現するよう求めている。

4つの基本的な考え方とは、
(1)年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担(高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなど)、
(2)大きなリスクは共助、小さなリスクは自助(入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方など)、
(3)医療・介護提供体制の構築(かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、地域医療構想に沿った医療提供体制の実現、医療費適正化計画の策定・実現など)、
(4)公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護(高額薬剤の薬価等の在り方、生活習慣病治療薬等の処方の在り方など)――だ。

これらの大半は、厚生労働省の社会保障審議会や中央社会保険医療協議会をはじめとする関係審議会・検討会で、並行して議論してきた内容だ。高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなどは実現の見通しだが、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率などは、「反対」で意見が一致。11月18日にも、社保審医療保険部会が開催され、今年内数回の議論を経て、2017年度以降実施の制度改正案を取りまとめる予定。また高額薬剤については、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価を2017年2月から50%引き下げる方針が、11月16日の中医協で決定した。
社会保障関係費の伸びを年5000億円に抑制するのは、2015年6月に閣議決定した「経済・財政運営と改革の基本方針2015」に基づく対応。今年8月の厚労省の2017年度予算概算要求では6400億円の伸びとなっており、高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、オプジーボの薬価引き下げなどで抑制する見通し。

そのほか(3)では、2017年度予算編成には関係しないものの、医師需給問題にも言及。今後の医学部定員については、医師需給の見通しを踏まえた精査・見直しを進めると同時に、医師の地域・診療科偏在是正に向け、(1)医師不足の地域・診療科従事を、特定の医療機関の病院長といった管理者になるための要件とする、(2)保険医の配置・定数の設定など、医師配置等に係る規制も含め、国や都道府県の権限強化――を提言している。

「改定がない時こそ、改革を」
財政審の建議は、財政制度分科会で議論してきた内容を取りまとめたもの。9月7日以来、会議を計7回開催。社会保障関係については、10月4日と10月27日の2回議論)。
建議では社会保障関係について、「社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成していくため、医療・介護分野の改革の実現は、喫緊の課題」とし、「2017年度予算編成においては、診療報酬・薬価改定および介護報酬改定が予定されていないが、こうした時こそ、改革を集中的に進める機会と捉えていくべき」と指摘。その上で改革の基本的な考え方を4つに整理し、具体的な改革項目を解説している。

【m3.com】
# by kura0412 | 2016-11-19 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

『短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減』

リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長

脳卒中などの発症後、早期に短期集中リハビリを実施することが重要である。このため、リハビリ能力の低い急性期病院では、入院から20日までにリハビリ能力の高い後方病院に患者を送るべきである―。
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、17日の理事会後に開催した記者会見で、こういった提言を行いました。

短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減
この提言は、17日の日慢協理事会で承認された「日本の寝たきりを半分」にするための10か条に基づくものです。
武久会長は、我が国の医療、とくにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることを指摘。

これらを改革しなければ、寝たきり患者が減らないとし、次の10か条の提言をまとめています。
(1)急性期リハビリの充実(入院日からのリハビリ)
(2)急性期リハビリ能力のない場合、入院後20日までにリハビリ能力と治療能力のあるPost acute(後方病院)に患者を移す
(3)高齢者の急性期治療の改善(栄養・水分出納・身体侵襲の軽減)
(4)嚥下・排泄リハビリの優先
(5)短期集中リハビリのできる環境に
(6)「寝たきり」より「座りきり」
(7)無理な歩行訓練より車いす自立を
(8)慢性期治療の徹底
(9)延命ではなく日常復帰を
(10)慢性期総合診療医の養成

これらは大きく「急性期状態からの早期リハビリなどの充実」((1)から(5))と「リハビリのあるべき姿の共有」((6から(10))に分けて考えることができそうです。
(1)と(2)はセットで考えることができます。武久会長は「リハビリ能力のある急性期病院では早期にリハビリを開始し、能力の低い急性期病院では早期に後方病床に患者を送るべき」と強調しました。
また(5)では、リハビリの診療報酬を包括化することで、より患者の状態に合わせた柔軟かつ適切なリハビリ(早期の集中リハビリを可能とし、維持期の箇条リハビリを適正化する)の実施が可能になると武久会長は提案しています。
一方(6)と(7)は、急性期病院のみならず、リハビリに携わるすべての病院への提言と言えます。武久会長は、「低栄養などでリハビリの効果が落ち、寝たきりになっていく」という実態があることを指摘し、「離床コーディネーター」を多くの病棟に配置し、1日数回、患者を離床させることを徹底すべきと訴えます。コーディネーターの職種については、理学療法士などのリハビリ専門職種が主導すべきとしたものの、看護師や介護師なども広く対象になるとの見解を示しています。
さらに武久会長は(8)から(10)で、「超高齢者であっても、治せる傷病は治療し、天寿を全うさせることが必要である。十分に治療できない病院ほど、適切な治療を行えないことを『ターミナル』という言葉で逃げている」とも訴えました。

  【メディワォッチ】
# by kura0412 | 2016-11-19 09:35 | 医療全般 | Comments(0)

『「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠』

オプジーボ、来年2月から50%引き下げへ
11月24に告示予定、2016年度販売額、1516億円超と推定

中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月16日、抗PD-1抗体製剤オプジーボ(一般名ニボルマブ)を対象に、緊急薬価改定を行い、50%引き下げることを決定した(資料は、厚生労働省のホームページ)。薬価は、点滴静注20mg15万200円から7万5100円、100mg72万9849円から36万4925円にそれぞれ下がる。販売元の小野薬品工業からの不服意見提出期限は11月22日、提出がなければ11月24日に告示、2017年2月1日から適用する。

オプジーボの薬価引き下げは、診療側と支払側ともに、了承していたが、その実施時期と下げ幅が焦点だった。当初、「最大で25%」との見方もあったが、医療費への影響が懸念され、政府レベルでも薬剤費の高さが問題視され、より一層の引き下げ圧力が高まっていた上、「社会保障費の自然増を年5000億円に抑える」という政府方針からも早期の実施が不可避だった。
厚労省は、「できる限り既存の考え方を活用」との考えから、2016年度薬価制度改正で新設された「市場拡大再算定の特例」の適用が合理的であると判断。小野薬品工業の予想年間販売額(出荷価格ベース)を基に、薬価ベースに換算すると2016年度の販売額は1516億円超と見込まれることから、「年間販売額が1500億円超かつ予想の1.3倍以上」の対象となり、「最大50%の引き下げ」が適用された。2017年2月1日付けの改定実施は、医療機関での在庫管理など、医療現場における円滑実施の観点から2カ月以上の期間を設ける必要があるとの判断からだ。

日本医師会は、オプジーボの薬価引き下げには以前から同意していたものの、薬価改定財源を診療報酬財源に充当するには、従来通り、薬価と診療報酬を同時改定しないことには難しく、落とし所が焦点だった。
中医協総会後、日医副会長の中川俊男氏は、m3.comの取材に対し、「社会保障費の抑制圧力がある上、薬剤費の高騰が問題になっている。オプジーボについては類似の上市も予定されており、ここで薬価を大幅に引き下げることは、薬剤費の抑制、かつ公的医療保険下で適正価格で薬を患者に届けることにつながるため、苦渋の決断として、了承した」と説明する。
類似薬とは、オプジーボを基に類似薬効比較方式で薬価が決まる、抗PD-1抗体製剤のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)。既に「根治不能な悪性黒色腫」の効能で薬事承認され、「切除不能な進行または再発の非小細胞肺がん」で承認申請中だ。さらに、1次治療を対象とした国際共同第3相試験での有用性が、今年10月の欧州臨床腫瘍学会で報告されており、1次治療まで使用が広がれば、対象患者の一層の拡大が見込まれる。
中川氏は中医協総会とそれに先立ち開催された薬価専門部会でも、キイトルーダ上市後の薬剤費高騰への懸念を呈しており、かねてからの主張通り、2018年度薬価制度改正における現行の薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。今回のように問題が生じてからではなく、「問題が生じる前に、準備をしておくことが必要」(中川氏)

一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏も、薬価専門部会で、「緊急的な対応は、歓迎する。新たなルールを作るのは混乱を招くので、できるだけ既存の考え方を適用することも、合理的だと思う」などと述べ、オプジーボへの対応を支持。その上で、現行の薬価算定方式では、効能・効果追加による市場拡大といった事態に対応できないため、中川氏と同様に、「薬価算定方式の抜本的な見直しの議論は、早急に開始すべき」と述べた。
専門委員の立場から加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、期中改定は企業経営への影響が大きいことから、「止むを得ず例外的な措置として実施するもの」と受け止めた。「国内市場において新薬から十分な利益を得られなければ、次の新薬開発が難しくなる」と述べ、薬価算定におけるイノベーションの評価を期待するとともに、2018年度薬価制度改正に向けた議論には、製薬業界としても積極的に参画すると決意を示した。今回の対応は、あくまで緊急対応であり、2018年度に改正を行い、その結果に基づき調整を行う。今回の薬価引き下げを行わなかったと仮定した販売額を算出の上、再算定を改めて実施する。
なお、オプジーボについては、薬価引き下げに加えて今後、「施設要件」や「患者要件」などを定めた「最適使用ガイドライン」を策定する(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。その医療保険上の取り扱いについて、厚労省保険局医療課長名で「留意事項通知」が出される予定。年内にも最終案がまとまる見通しだ。ガイドラインは、日本臨床腫瘍学会と日本臨床内科医会が中心となり、策定が進められている。中川氏は、ガイドラインや通知について、(1)最終段階だけではなく、途中の段階から中医協総会で説明し、議論する、(2)厚労省の医薬・生活衛生局と保険局が連携する――などの必要性を指摘、医療保険の観点を踏まえて策定するよう釘を刺した。

米国約15万円、イギリス 約30万円との比較でも高額
中医協総会では、医療費への影響が大きい高額薬剤として、(1)2015年10月から、2016年3月までに効能・効果または用法・用量の一部変更が承認された既収載品、(2)2016年度の企業予想年間販売額(薬価ベース)が1000億円を超え、かつ薬価収載された時点における予想年間販売額に対して、10倍以上となる既収載品――のいずれにも当てはまるものと規定、2018年度薬価改定を待たずに改定を実施することを決定した。複数の候補の中から、対象となったのは、小野薬品工業のオプジーボのみ。
オプジーボは、2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の適応で承認、同年9月の薬価収載時のピーク時の予想投与患者数は年470人、予想年間販売額は31億円だった。その後、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能が追加されたのは2015年12月であり、2016年度薬価改定において、「市場拡大再算定の特例」の対象から外れた。
海外との比較でも日本のオプジーボの薬価は高く、点滴静注100mgの場合、日本の72万9849円に対し、米国約15万円、イギリス約30万円 との推定がある。

2016年度販売額、1560億円超と推定
オプジーボの薬剤費は年1兆7500億円(薬価ベース)との推計もあったが、今回の緊急薬価改定に当たっては、小野薬品工業による2016年度の予想年間販売額の1260億円(出荷価格ベース)を基に、流通経費、消費税、薬価と出荷価格の乖離率のほか、今後の効能拡大を見込み、以下の方式で算定した。オプジーボは、8月26日付けで、腎細胞がんの効能追加が承認された。小野薬品工業が11月7日に公表した予想年間販売額は、腎細胞がんの効能追加込みの金額だ。
◆オプジーボの薬価算定の考え方 1260億円÷[流通経費7%(1-0.07)]×1.08(消費税)÷[乖離率(1-0.069÷2)]×[効能追加、2016年度分X円]=1516億円+X円

この計算式について問い質した一人が、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏。薬価と医療機関への納入価の差である乖離率は、2015年度薬価調査の「その他の腫瘍用薬(注射薬)」の平均乖離率6.9%の「2分の1」とした根拠を質した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、「明確な根拠はないが、あくまで保守的に、厳しく見積もるため」と説明。乖離率を高く見積もるほど、薬価ベースに換算した販売額は高くなる。一方で、少なく見積もれば、例えば、万代氏の試算では、3分の1とすれば、1500億円を超えず、この場合の薬価の最大下げ幅は25%だ。
日医副会長の松原謙二氏も、薬価調査を実施していないため、乖離率や流通経費などの数値を正確には把握できないことから、「計算式自体が、仮定の上に仮定を重ねていることに不安を覚えている」と指摘。これに対し、中山薬剤管理官は、流通経費は「医薬品産業実態調査報告書」のデータを用いているなどと説明、「大丈夫だと考えている」と回答。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、「流通経費などが実態と異なるのであれば、小野薬品工業が不服意見を申し立てればいいと理解している」との考えを述べた。

「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠
オプジーボの薬価下げ幅の計算式のほか、議論になったのは、小野薬品工業が不服意見を提出した際の手続きについて。
日医の中川氏は、いったんは中医協総会で薬価が決まったものの、企業の意向で取り下げ、再申請後に薬価が決まった乾癬治療薬「トルツ皮下注」(一般名イキセキズマブ)を例に挙げ、「手続きは極めて重要」と指摘した。中山薬剤管理官は、小野薬品工業から不服意見が出た場合には、中医協総会に諮り、対応を検討すると答えた。
さらに中川氏は再三にわたり、薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。例えば、類似薬効比較方式については、対象国から米国を除外するなどの外国平均価格調整の在り方の見直し、原価計算方式についてはコストの算定根拠を明確にする必要性を指摘。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、さまざまな意見を踏まえ、2018年度薬価制度改正に向けた議論を進めていく方針を表明した。

【m3.com】



総医療費で考えれば1560億円あれば歯科は5%以上アップ程の規模になります。
# by kura0412 | 2016-11-17 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

『なぜ、人手不足なのに介護士の給料は上がらないのか』

なぜ、人手不足なのに介護士の給料は上がらないのか

介護職員の賃金は全産業の平均より低い
介護職は人材難が叫ばれて久しいが、その理由の一つに、労働内容に給料が見合わないことが挙げられる。
厚生労働省は2015年度の介護職員の賃金調査結果を発表した。それによると、平均月給は28.7万円と前年度実績より1.3万円上がった。月1.2万円分の介護報酬の積み増しもあり、深刻な人手不足を受けて賃上げに迫られた施設が多かったという。それでも全産業の平均より低い。
また、介護施設内の8職種ごとに月給を見ると、介護職員は下から2番目。看護師(37.5万円)や生活相談員(32.1万円)などに遠く及ばない。厚労省の賃金構造基本統計調査でも介護職員の平均月給(賞与除く)は23万円で全産業平均より10万円低い。
それにしても介護士は圧倒的に足りないのに、どうして給料が上がらないのか。
「厳しい財政制約を受けており、介護報酬の水準が低いから」という説が有力だ。しかし、同じく不足する麻酔科医の派遣給与は国が定めた診療報酬に関係なく“時価”。介護職員だけが低い理由はない。そう考えると、介護スタッフは専門職としての地位がいまだ確立していないのが、低賃金の原因かもしれない。
事実、女性のホームヘルパーや福祉施設介護員の年齢別賃金を見ても、年功に関係なくほぼ一定だ。年功序列賃金体系の日本にあって、長く勤めても給料が上がらないのでは人生設計がままならない。
それを意識してか、厚労省も介護職員の資格制度を見直すという。
現在、国家資格の「介護福祉士」や、初めて介護の仕事に就く人向けの「介護職員初任者研修」といった資格がある。見直しの方向は、専門性が高い順に「介護福祉士」「研修等を修了し一定の水準にある者」「基本的な知識・技能を有する者」と整理し、資質の向上に配慮しつつ、裾野を拡大する考えだ。

ポイントはこの制度改正が、介護士の給料にどんな影響を与えるかだ。
介護業界は他職種に比べ賃金が低めであることなどから、若い世代の定着率が低い。そのため、高齢者や時間に余裕のある主婦が手軽に資格を取って介護の仕事に就きやすいようにして、人手不足を補う狙いがあるというが、それはかえって逆効果ではないか。ハードルを下げすぎると介護スタッフの平均賃金がむしろ引き下がるからだ。
また、これとは別に政府は、介護福祉士の資格を得た外国人が日本にとどまって働けるよう在留資格を与える法改正を検討中だが、これも言葉のハンディが大きい日本の介護市場が外国人にとって魅力的かどうかだ。問題文にルビをふったとはいえ、難解な国家試験も待ち受ける。
ちなみに日本が手本にしたドイツの介護保険制度では、家族介護にも一定の手当が支払われる。さらに専門の介護士の給与も地域差を反映してもう少し柔軟な価格制度になっている。
これに対して、わが国の介護報酬は最大でも20%の上乗せしかなく、きめ細かに対応していない。たとえば現行の「地域別最低賃金」を見ると、最高額の東京都は907円で最低額の鳥取県・高知県・宮崎県・沖縄県の693円と比較すると、実に約1.31倍も差が生じている。そのため、特に大都市圏では他の産業と競争できず、人材確保が困難になり、離職率を高める要因にもなっている。
これを抜本的に是正するためには、介護報酬算定の基礎を「地域別最低賃金」に改正し、早期に環境改善を図る必要がある。
さらに民間の資金を活かす改革も必要だ。現に個人保険の保有契約高は857兆円にのぼる。また、国民の金融資産は1700兆円を超え、そのうちの6割は60歳以上が保有している。国は貧しいが、一部の高齢者はお金持ちだ。

【川崎孝一・PRESIDENT ONLINE】
# by kura0412 | 2016-11-15 09:22 | 介護 | Comments(0)

『糖尿病を予防したければ歯医者へ行け  医科・歯科連携』

糖尿病を予防したければ歯医者へ行け  医科・歯科連携、2氏に聞く

14日は世界保健機関(WHO)が定めた国際糖尿病デーだ。日本の糖尿病患者は「予備軍」も含めて2200万人ともいわれる。最近の研究で糖尿病の原因に歯周病が関係していることがわかってきた。一方、これに対する内科医と歯科医の意識は低く、患者に情報は行き渡っていない。このテーマに詳しい医学博士・糖尿病専門医の西田亙氏と、歯科医の森昭氏に話を聞いた。

■体重18キロ減の理由

――はじめに糖尿病専門の西田先生にお聞きしますが、糖尿病の予防に歯周病の治療が有効だというのは本当ですか。
西田氏 まずこの写真を見てください。左は7年前、歯周病治療を始める前の私です。体重は92キロ。まさに“医者の不養生”ですが、血糖値は高めで糖尿病予備軍でした。下はその頃の歯の写真です。リンゴをかじると血だらけになるような歯周病でした。それが、あるきっかけで歯のケアをするようになり、体重は18キロやせて74キロになりました。

――そのきっかけとは。
西田氏 7年前、歯科医師会に呼ばれて、糖尿病と歯周病について講演したのをきっかけに共同研究が始まったのです。それ以来、食後にはフロス(歯間清掃用の糸)をし、定期的に歯石を取ってもらうようにしました。歯をきれいにすると、汚したくないので間食が減ります。不思議と体を動かして汗をかきたくなり、ウオーキングや自転車に乗るようになりました。

――森先生は歯科医の立場から糖尿病予防としての歯のケアを提唱されています。
森氏 歯科というのは、ただ歯を治すだけでなく、内科の予防に役立つのだということを訴えています。米国では予防歯科が進んでいて、虫歯だけを治す歯医者さんは「カーペンター・デンティスト(大工みたいな歯医者)」と皮肉を込めて呼ばれます。まず歯科で体の異変を察知する。歯科は、病の進行の最前列に位置すると考えているのです。ただ私もそれに気づいたのは10年前ぐらいのことです。

――どんなきっかけですか。
森氏 当時、歯周病の治療の一環で、口の中をマッサージして唾液を出す処置をしていました。唾液には歯周病菌の力を弱めたり、口の中の傷を治して、菌が血管に入り込むの防ぐ効果があります。あるとき、患者さんから血糖値がよくなった、血圧がよくなったという声が上がってきました。顔のほてりがなくなったとか、更年期障害が軽くなったとか。なにか体に関係あるなと。

■糖尿病患者はほぼ歯周病キャリア
西田氏 まさにその通りなんです。歯周ポケットに入り込んで繁殖した細菌が出す炎症性ホルモンが、歯肉から血管に入りこみ、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めることがわかっています。体はなんとかして、より多くのインスリンを作ろうとしますが、これが続くと、インスリンを作る細胞が疲弊し、糖尿病を発症します。
森氏 もう1つ、唾液が少なくなることによる味覚障害も糖尿病を悪化させます。歯周病がひどくて味がわからなくなって偏食になる人は山ほどいます。ハンバーガーとかフライドチキンとか濃い味にながれ血糖値が上がります。

――糖尿病患者のうち、歯周病が原因である比率はどの程度でしょう。
森氏 データとしてはありません。ただ、歯周病が国内に8000万人で、糖尿病が予備軍いれて2200万人ですから、糖尿病患者はほぼ歯周病を持っていると考えていいですよね。

――学術的にはどれだけ立証されているのですか。
西田氏 最初は1993年に、アメリカの歯科医が発表した論文がきっかけでした。糖尿病には、腎症、網膜症、神経症などの合併症がありますが、その第6が歯周病である、というものです。その後15年たってようやく、日本糖尿病学会の治療ガイドラインに歯周病が合併症の一つとして登場しました。
森氏 その後も両者の相関関係はあまり注目されずに来ましたが、去年あたりから風向きが変わってきましたね。歯をケアすると血糖値が改善し糖尿病が良くなるというのが学問的にもコンセンサスになりはじめていると思います。

■うまくいかない医科・歯科連携
西田氏 歯医者さんが最初に見つけた、というのがポイントなんです。この相関関係に気がついたのは、歯科医がつねに患者の口を観察しているからです。歯肉の色が悪いとか、ぶよぶよしているとか、目や手で感じる治療をしているわけです。一方で糖尿病医を含む内科医は、検査データばかり重視する傾向がある。

――実際に内科医と歯科医が連携した治療は行われているのですか
西田氏 糖尿病専門医は国内に5000人前後いますが、残念なことに、実際に患者を紹介するなど、行動している人はごくわずかでしょう。

――どうしてでしょう。予防が徹底すると糖尿病のお客さんがいなくなってしまうから?
西田氏 そんなことはありません。2200万人も患者がいるのですから、なるべく減らしたい。むしろ、歯科医から、糖尿病の疑わしい患者を紹介してもらえるのですから、売り上げアップにつながる「金鉱」です。
森氏 歯科医にとってもそうです。歯科医の領域が糖尿病というテーマに広がればと市場が広がる。口だけでなく、体を守るために、と患者が考えてくれたら、とてつもない「ブルーオーシャン」になります。

――ではなぜ両者は動かないのでしょうか。
森氏 やはりすべては教育だと思います。大学の医学部では歯科の大事さなど教えない。歯学部も糖尿病なんて関わりがない。歯科は人の命に関わるのですよという教育を歯学部ではしていません。
西田氏 両者が同居する総合病院や大学病院でさえ、横の連携はできていません。ただ、最近になってすこし気になる動きがあります。

――気になる、というのは。
■歯科衛生士の争奪戦が始まる
西田氏 昨年5月に、「元気な体は口腔(こうくう)から」という全面広告が全国紙に載りました。出稿元は歯科医師会かなと思ったら違って、日本医師会なのです。9月には日本医師会の雑誌が、歯科衛生士に関する興味深いデータを掲載しました。入院中の患者に対し、歯科衛生士が歯のケアをした場合と、看護師がした場合を比較したのです。その結果、入院日数は看護師の場合が4カ月、歯科衛生士は2カ月でした。

――それは何を意味するのですか
西田氏 入院日数が延びるのは、まちがいなく感染症によるものです。プロの歯科衛生士のケアと、歯科については素人の看護師のケアで、この差がついている。2カ月が4カ月になれば、医療費は数倍以上になると見ていいでしょう。
森氏 近い将来、歯科衛生士の争奪戦が起こるということですね。歯科医の業界ではよくいわれることですが、歯科衛生士は、その技能に比べると、労働条件や社会的評価が必ずしも高くないため、離職者が多いのです。出産を契機にだいたい辞めてしまって、復職しません。歯科衛生士の免許登録は20万人なのに、実際稼働しているのは10万人しかいないんです。
西田氏 口というのは、体の内部の粘膜が外部に露出した最も大きな部分ですから、口腔感染制御は極めて大事です。ただし、内科医が感染症に敏感なのに比べると、歯科医の意識は一部ではまだまだ低い。それが歯科衛生士を軽んじる風潮にもつながっているのではないでしょうか。このデータが周知されれば、病院は歯科衛生士を抱え上げようとするでしょう。社会保障もはるかに病院のほうがいいですから。新聞に広告が出たのは偶然じゃないと思います。厚生労働省や日本医師会の頭の良い人たちが動き始めたのでしょう。

――いずれにせよ、医科と歯科の連携はこれからますます必要になりますね。
西田氏 制度的にも追い風が吹いています。今年の4月からは、内科医が歯科医に対して糖尿病患者の紹介状を書けば、歯科医で抗生物質による歯周治療が直ちに開始できるようになりました。「糖尿病医による歯周病(英語名perio)処置」という意味で「P処(糖)」と呼ばれます。糖尿病の患者さんは、担当医に言ってみてください。
森氏 これまでの医科・歯科連携はがんや高齢者医療などでなんども試みられましたが、ことごとく失敗でした。大学や病院での縦割り意識が、そのまま社会に残っていることは、患者にとってハッピーではありません。
西田氏 糖尿病患者は、医者から「ご飯は8分目、1日1万歩」とさんざん聞かされて馬耳東風になっているでしょう? ところが「歯磨きをしましょう」というと、みんな新鮮に感じてくれるんです。他のサービスと同様に、治療も、患者のモチベーションを引き出す努力が必要です」

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-14 09:52 | 歯科 | Comments(0)

『介護食品のパッケージ表示を改善へ』

飲み込みやすさ、ひと目で分かるように 消費者庁、介護食品のパッケージ表示を改善へ

消費者庁は9日、飲み込む力が衰えた高齢者などを想定したゼリー状の「えん下困難者用食品」について、メーカーに義務付けているパッケージの表示を改める方針を固めた。より具体的な記載が加わるため、商品を選ぶ際の分かりやすさが向上しそうだ。

「えん下困難者用食品」は、消費者庁が定めている柔らかさ、詰まりにくさ、まとまりやすさなどの基準をクリアしたもの。すでに12の商品が認められている。パッケージにはマークと、性質や形状の違いに応じてI、II、III(3種類)と類型が書かれている。こうした表示に対し、「もっと分かりやすくすべき」との声が出ていた。
消費者庁は今回、有識者会議で進めてきた議論の成果をまとめた報告書を作成。今後の改善策として、類型Iに「そのまま飲み込める」、IIに「口の中で少しつぶして飲み込める」、IIIに「少しそしゃくして飲み込める」と加筆させるとした。来年にもルールを変える予定。実施時期はメーカーなどと協議したうえで定める。
有識者会議ではこのほか、誤嚥を防止するために液体にとろみをつける「とろみ調整用食品」を、「えん下困難者用食品」に追加することも決まった。

http://www.joint-kaigo.com/article-2/pg82.html

【介護のニュースサイトJOINT】
# by kura0412 | 2016-11-11 16:38 | 嚥下摂食 | Comments(0)

オブシーボ、来年3月期承認予定

「オプジーボ」3つの壁 薬価下げ・副作用・競合薬

小野薬品工業の先行きが晴れない。2016年4~9月期の連結純利益は前年同期比95%増の231億円と過去最高を更新したと7日に発表したが、けん引役であるがん免疫薬「オプジーボ」販売に数々の壁が立ちはだかっている。悩ましいのは薬価引き下げ問題だけではないのだ。

「オプジーボの薬価はどうなるのか」。相良暁社長は決算説明会でこう問われ「当事者なのでコメントできない」と硬い表情で答えるしかなかった。4~9月期の純利益が期初予想を16億円上回ったのに、17年3月期の純利益を前期比2.2倍の558億円と予想を据え置いた理由も「プラスとマイナス要因があり、予測できない」。
オプジーボはがん細胞が持つ特殊な免疫抑制機能を解除し、がんへの攻撃力を高める画期的新薬だ。日本で皮膚がんの一種、悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として14年7月に承認され、肺がんの8割を占める非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療でも順次認められた。今後も対象拡大が見込まれている。
悩ましいのは100ミリグラムで73万円という高額薬価への批判だ。体重60キログラムであれば年3千万円程度かかる計算だ。これが財政を圧迫するとの主張を受け、18年4月の薬価改定を待たずにオプジーボを25~50%程度引き下げるべきだとの議論が出ている。
厚生労働省は月内にも方針を示す見通しだが、小野薬品の業績への影響は避けられない。オプジーボは世界に先駆けて日本で承認した通称「ピカ新」。薬価はこの点が考慮され、厚労省も納得済みだった。小野薬品にとってははしごを外された格好で、収益計画は大きく狂う。

壁はまだある。予想外の重篤な副作用報告が相次いでいる。
これまでの臨床試験や通常の抗がん剤使用で確認されていない重症の糖尿病や「重症筋無力症」などの副作用が発生。個人輸入で本来認められていない診療所が使い、死者が出た例もある。小野薬品には防ぎにくかったわけだが、ネガティブ情報は投資家に嫌気され、株価の下げ要因になる。

最大の壁は競合薬の出現だ。
オプジーボと同様の仕組みを持つ米メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」が9月に承認。年末までに薬価が決まり、発売される可能性がある。
オプジーボの優位性が崩れかねない理由は今年発表された臨床試験の結果だ。従来の抗がん剤治療を経ずに肺がんに最初から使うための臨床試験で失敗。キイトルーダは同様の試験に成功した。ある私立大医学部の教授は「キイトルーダを優先する医師もいるだろう」と指摘する。
小野薬品は有力な新薬候補が少なく、オプジーボの「一本足打法」。今後はオプジーボだけに頼らず、企業買収などで新たな成長の種を仕込む必要があるかもしれない。

【日経新聞】




頭頚部ガンは来年の3月期には承認予定とのことです。
# by kura0412 | 2016-11-10 16:30 | 歯科 | Comments(0)

歯科にも波及か『オプジーボは口や喉の進行がんにも効いた』

オプジーボは口や喉の進行がんにも効いた!1年後の生存率が19%上昇
再発した頭頸部扁平上皮癌患者361人が参加

抗がん剤のニボルマブ(商品名オプジーボ)は、免疫のしくみを利用する画期的な薬として登場し、大きな話題になっています。口腔がんや喉頭がんなどに対しても効果を調べた研究から、余命が長くなったという結果が報告されました。

頭頸部がんにニボルマブは効くか?
医学誌『New England Journal of Medicine』に報告された研究を紹介します。
この研究では、以下すべてに当てはまる患者が対象とされました。
•頭頸部がん(頭や首の部分にできるがん)がある
•がんが扁平上皮癌というタイプ
•がんが治療後再発した
•プラチナ製剤を使った化学療法(抗がん剤治療)のあと6か月以内にがんが進行した
361人の対象者が集まりました。対象者のがんは、口腔がん(口の中のがん)、咽頭がん(鼻の奥から喉にかけてのがん)、喉頭がん(気管の入り口に当たる、声帯などがある場所のがん)などでした。対象者はランダムに2グループに分けられました。
•ニボルマブを使って治療する
•標準的な抗がん剤(メトトレキサート、ドセタキセル、またはセツキシマブのいずれか単独)を使って治療する
2グループで、治療後の生存率が比較されました。

ニボルマブとは?
体の中に異物が入ってきたとき、免疫のしくみが異物を攻撃することで、感染症などが防がれます。
免疫にはがん細胞を攻撃する力もあるのですが、ある種のがん細胞は、免疫の攻撃をかわす能力を持っています。
ニボルマブは、がん細胞が免疫から逃れるしくみをブロックして、免疫から攻撃されるようにします。理論上、多くの種類のがんに対して有効と期待されています。
ニボルマブは日本では皮膚がんの一部、肺がんの一部、腎臓がんの一部に対してすでに承認されています。

既存薬よりも余命が長くなる効果
治療から次の結果が得られました。
全生存期間の中央値は、ニボルマブ群で7.5か月(95%信頼区間5.5-9.1)、標準治療を受けた群で5.1か月(95%信頼区間4.0-6.0)だった。全生存期間はニボルマブ群で標準治療よりも有意に長く(死亡のハザード比0.70、97.73%信頼区間0.51-0.96、P=0.01)、1年生存率の推定値は標準治療よりもニボルマブでおよそ19ポイント高かった(36.0% vs 16.6%)。
ニボルマブを使ったグループでは、半数の対象者が7.5か月以上生存しました。対して、既存の薬を使ったグループでは半数の対象者が5.1か月以上生存しました。治療開始から1年後の生存率を計算すると、既存薬のグループでは16.6%、ニボルマブのグループでは36.0%となりました。

副作用について次の結果がありました。
グレード3または4の治療関連有害事象はニボルマブ群の患者の13.1%に起こり、対して標準治療群では35.1%に起こった。
入院が必要な程度以上の、副作用の可能性がある症状の悪化などの出来事は、既存薬のグループでは35.1%に起こりましたが、ニボルマブを使ったグループでは13.1%の人に起こりました。

ニボルマブはがん治療を変えるのか?
頭頸部がんの一部に対してニボルマブの効果が示されました。ニボルマブが使われる範囲は、今後さらに広がるかもしれません。
ニボルマブが働くしくみは多くの種類のがんに関係するため、ニボルマブは画期的な治療になるのではないかと期待されています。
ニボルマブはさまざまな状況に対して試され、効果があったとする数多くの報告が出てきていますが、すべてが有効という結果ではありません。対して、ニボルマブと同様のしくみで働く薬もほかに開発されています。日本でもペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)がすでに承認されています。ニボルマブとペムブロリズマブなどの使い分けが次の課題になる可能性もあります。
一方、ニボルマブはきわめて高価な薬価でも話題になっています。もし現在の薬価のまま使われる場面が広がれば、日本の保険制度が危うくなるのではないかと懸念する声があります。10月14日に開かれた政府の経済財政諮問会議では、塩崎恭久厚生労働相が例外的な薬価の引き下げに言及しています。
新しい治療を必要とする人に適切に届けるために、費用と効果の議論は避けて通れません。一部の報道ではニボルマブに対して「夢の新薬」といった表現がなされていますが、冷静に実際のデータをふまえて理解することが、ニュースを読み解く上でも大切です。

【MEDLEY】



19%生存率上昇というのはけっして低い数字ではありません。関係ないと思われたオブシーボも歯科にも問題を投げかけるかもしれません。
# by kura0412 | 2016-11-10 14:29 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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