高額がん治療薬いきなり半額、薬価ルール崩壊の内幕

さまざまながんで効果が期待されるものの高額な薬価でやり玉に挙げられていたがん治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げ議論は、来年2月から50%引き下げることで決着した。ただ、これはルール外にルール外を上乗せした“対症療法”。画期的な薬が生まれるたびに高額薬剤問題は再燃する恐れがある。

「これじゃあ、まるで茶番じゃないか」。11月16日に開催された厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)。事務局である厚労省ががん新薬である「オプジーボ」の公的薬価を50%引き下げる根拠をとうとうと説明する中、傍聴席で製薬業界関係者はため息をつき、独りごちた。
オプジーボは治療対象となるがん患者の範囲が広がったことから、薬価の高さが問題視されるようになった。10月5日の中医協では「市場拡大再算定の特例」を準用する案が了承された。特例とは当初の予想よりも売れ過ぎた薬の価格を引き下げる制度を、巨額品目に拡大適用するもので、オプジーボは最大25%引き下げで決着がついたと多くの人が思っていた。一部の中医協委員が「私だけ勘違いしていたのか」と厚労省に面と向かって皮肉ったほどだ。
“勘違い”の原因は特例にあった。年間販売額1000億~1500億円で予想の1.5倍以上売れたケースでは最大25%、同1500億円超で1.3倍以上のケースでは最大50%引き下げるとしており、製造販売元である小野薬品工業の予想販売額は今年度1260億円で前者に該当するとみられていた。
ところが、10月6日の参院予算委員会で共産党の小池晃書記局長がさらなる引き下げを求め、他の議員や経済界からも注文が相次ぎ、官邸が動いた。これを受けた厚労省が「特例の50%引き下げ条件に適用させるために『結論ありき』で持ち出してきた」と業界関係者が訝るのが、11月16日の中医協で示された販売額推計計算式だ。
それによると、小野薬品公表の1260億円は「仕切価格(メーカーが医薬品卸に売る価格)」ベースで、流通経費、消費税などを勘案して国が定めた公定価格ベースでは1516億円になるという。
緊急的対応で実際の薬価調査をしていないため、これまでの平均値などから机上で導き出したもので、厚労省は「明確な根拠はないが『保守的に厳しく』見積もった」などと、苦しい説明に追われた。薬価改定は通常2年に1度であり、次回は2018年度。期中改定が最初の「ルール外」なら、計算式は「ルール外の上のルール外」だ。
計算式に対し、中医協委員からは「仮定の上に仮定を重ねており不安」「基礎額の微妙なずれで1500億円というボーダーを切る計算だ」など疑問の声が相次いだ。
厚労省が示した、小野薬品からの不服申し立て期限は11月22日。引き下げの告示は祝日を挟んだ2日後の24日で、「不服は出てこない」と言わんばかりの日程だ。ある製薬会社幹部は「株価に影響するので事前に小野薬品と折り合いがついていてもおかしくないが、それにしても強引」とあきれる。
以上が「茶番」の内幕だ。

開発後期多数でがん適用拡大必至
天文学的数字に?
10月5日の中医協から11月16日の中医協までの約1カ月半の間に何があったのか。関係者が指摘するのが、官邸と厚労省の折衝だ。
安倍晋三首相がさらなる引き下げに意欲を見せる一方、厚労省の本音は最大25%引き下げでとどめたかったとされる。それはなぜか。
大幅引き下げをした場合、まず小野薬品からの訴訟リスクの懸念があった。加えてうわさされるのが、「厚労省が財源カードを18年度まで残しておきたかったのでは」(アナリストなど)という線。
18年度は薬価を含め、診療報酬と介護報酬が同時改定される。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年に向けた重要な改定で、「このタイミングで薬価引き下げ分を財源として活用したいので、今はキープしておきたい」という思惑があったのではというのだ。
結局、来年2月1日から、オプジーボ点滴静注100ミリグラムの薬価は72万9849円から36万4925円に下がる。同じ100ミリグラムで「米国約30万円、英国約14万円、ドイツ約20万円」(塩崎恭久厚労相の参院予算委員会での答弁)であり、欧米と比べるとまだ高い。

オプジーボの開発状況は前途洋々。「対象患者が増えれば医療費は天文学的数字にならないか。他の高額薬剤との併用療法問題も近い将来必ず起きる。そうなってから慌てるのではなく準備を」という中川俊男日本医師会副会長の意見ももっともではある。
厚労省は18年度薬価改定に向け、今回のような緊急的な薬価見直しが起きないよう、ルールを見直す方針を示している。
中医協では「薬価制度全体を抜本的に見直すべき」(中川副会長)、「新薬から十分な収益がなければ次の新薬の開発が困難」(塩野義製薬の加茂谷佳明常務執行役員)と激しい意見の応酬があり、限られた医療財源をめぐり関係者間でつばぜり合いが始まっている。

【DIAMONDONLINE】
# by kura0412 | 2016-11-28 14:30 | 医療政策全般 | Comments(0)

マイナンバーで医療控除 領収書不要
17年度分から

政府・与党が2017年度税制改正で実施する納税や徴税の環境を整備する施策の全容が25日、わかった。17年度分から、家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除は、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)を使って領収書の提出を不要にする。法人をつくる時に税務署に出さなければならない書類は減らす。一方、税務調査についてはIT(情報技術)データを強制的に徴収できるようにするなど厳しくする。

25日の自民党税制調査会の幹部会合で案を示した。医療費控除の対象は1年間の家族の医療費から、保険で補填された額を引いた額が10万円を超える場合。基準を超えた額を所得から差し引き課税所得を減らせる。ただ現在は医療費の領収書を確定申告の際に提出しなければならず、手続きの煩わしさから申告を諦めている人も多いという。
政府・与党は17年度分の所得税の確定申告から提出を不要にする。保存は義務付け、税務署に求められたら提示する。
マイナンバーの個人用サイト「マイナポータル」の利用が念頭にある。健康保険組合から個人サイトに医療費通知を送ってもらい、利用者はこのデータを税務署にネット経由で送れれば、医療費控除の申請が簡単になる。領収書の提出義務を外すことで利便性を高め、マイナンバーの活用を促すねらいだ。
16年度税制改正で医療費控除の対象に認めた大衆薬も、領収書の提出を不要にする。申告する際に明細書と健康の維持促進に取り組んだことを証明する書類を提出する。
法人を設立する時の提出書類も削減する。現在は設立後に税務署に貸借対照表や登記事項証明書、株主などの名簿の写しの提出が必要だ。17年度税制改正で登記事項証明書の提出を不要にする。企業には証明書の取得に必要な手間や費用がなくなる。税務署と法務省が登記情報をやりとりして確認する仕組みにする。

脱税調査ではインターネット上に保存されているメールなどの情報を強制的に押収できる権限を認める。ITを駆使した悪質な脱税や国際的な税逃れが増えていくとみており、国税の査察権限を強化する。夜間の強制調査もできるようにする。
政府・与党が進めている成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正を踏まえ、税制上の年齢要件の引き下げも検討する。少額投資非課税制度(NISA)や、親や祖父母から住宅購入資金をもらった場合に贈与税の非課税枠を拡充する特例措置の利用が18歳から認められる見込みだ。酒類の販売管理者の要件も引き下がる可能性がある。18年度改正で検討し、必要な措置を講じる。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-25 14:52 | 医療政策全般 | Comments(0)

薬価を毎年改定へ 後発薬値下げ、医療費抑制
政府調整

政府は薬の公定価格(薬価)を決める仕組みを見直す調整に入る。
原則2年に1回の薬価改定を毎年実施し、価格を柔軟に引き下げる案が軸。新薬の原価など根拠となるデータの公表を義務付けたり、後発医薬品の価格を抑える方策も議論する。国の薬剤費支出を抑える狙いだ。
25日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で民間議員が見直し案を提示する。諮問会議は厚生労働省などと連携して改革の方針を取りまとめる。

価格の安い後発薬の普及で薬全体の流通価格は下落傾向にあるが、改定が2年に1回のため市場の実勢を反映しづらい。民間議員は国が負担する薬剤費の膨張を抑制するため、毎年薬価を下げられるようにしたい考え。下げすぎた場合は翌年の薬価調査で調整する。
医師会や製薬業界はこれまでも「価格調査などの負担が増す」などの理由で毎年改定に反対しており、見直しに抵抗も予想される。
民間議員は薬価の透明性向上に向け、製造原価の内訳や患者数の見込みなど詳細の公表を義務付けることも訴える。超高額のがん治療薬オプジーボのように、海外の2倍以上高い薬は速やかに公定価格を見直す仕組みも求める。厚労省も中央社会保険医療協議会(中医協)で見直し策を議論し、2018年度の薬価改定時に導入する方針だ。
後発薬の価格は原則新発薬の5割に設定されている。民間議員は「国際的にみて高すぎる」と指摘し、20年度までに後発薬の普及率を80%に高めるため新発薬の3~4割に引き下げるべきだと提起する。
製薬業界の研究開発投資促進も課題に挙げる。薬の効能に応じて一定額を加算するといった価格改定のルールをつくり、研究開発の意欲を高めるよう求める。

【日経新聞】



もしこの報道の通りとなれば、薬価差額そのものが医療費抑制の財源になりかねません。
# by kura0412 | 2016-11-24 14:40 | 医療政策全般 | Comments(0)

口・歯の衰えに診断基準 老年歯科学会

日本老年歯科医学会(理事長=桜井薫・東京歯科大学教授)は22日、口や歯の機能が衰えた「口腔(こうくう)機能低下症」の診断基準を発表した。この状態が進行すると低栄養や要介護の状態を招く恐れがあるとし、機能の回復や維持につなげたいという。

診断基準では、
①口の中の細菌数
②口の中の乾燥度合い
③かみ合わせる力
④舌や唇の運動機能
⑤舌が食べ物を押しつぶす圧力
⑥かむ機能
⑦のみ込む機能
――の計7項目を検査で調べ、うち3項目が基準以下ならば該当するとした。

近年、日本歯科医師会などは、口や歯の機能が落ちてきた状態を「オーラル・フレイル」と呼び、注意を呼びかけてきた。今回の診断基準は、オーラル・フレイルが進んだ状態を口腔機能低下症と位置づけた。これがさらに進行すると、食べ物をのみ込めなくなる摂食嚥下(えんげ)障害や咀嚼(そしゃく)障害を起こす可能性があるとした。
学会は、診断基準はこれまでの研究成果をもとにまとめたとし、新たな知見が出てくれば見直すという。

【朝日新聞】
# by kura0412 | 2016-11-24 12:05 | 歯科 | Comments(0)

よくかむ習慣、メタボ防ぐ? 新潟大など、50~70代調査

よくかんで食事をする人はそうでない人に比べ、メタボリック症候群になる割合が低いとの研究結果を、新潟大や大阪大などのグループがまとめた。
研究グループは50~70代の男女1780人にグミを30回かんでもらい、グミの表面積の増加量を基に、かむ能力を測定した。能力の高い順に4グループに分け、各グループでメタボ症候群の有無を調べた。
かむ能力が下から2番目のグループは1番高いグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.46倍高かった。各グループの70代の人たちを比べると、かむ能力が2~4番目のグループは1番のグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.67~1.90倍高かった。
新潟大の小野高裕教授は「かめていないことをはっきり意識できていない人に危険がある」と指摘。メタボ症候群などの予防へ、「歯科検診でかむ能力が衰えていると診断された人に特定健康診査(メタボ健診)を勧めるなど、医科と歯科の連携を提案したい」と話した。
小野教授らは、かむ能力とメタボ症候群の因果関係を解明するため、追跡調査を続ける方針。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-21 16:49 | 歯科 | Comments(0)

高所得高齢者の負担増、医療費1000億円抑制 政府原案

財務・厚生労働両省は2017年度予算案で医療費の伸びを1000億円規模抑制する政府原案をまとめた。高齢化に伴う急激な医療費膨張に歯止めをかけ、社会保障費の自然増を抑える。高所得で経済力のある高齢者に一定の負担を求め、外来時の負担を増やしたり、初診料に追加負担が求められる病院を拡大したりする。高齢者の過度な優遇を見直す。
政府は16~18年度の社会保障費の自然増を1.5兆円に抑える目標を立てている。来年度は自然増分が6400億円程度とみており、5000億円程度に抑える方針だ。判明した政府原案では1000億円を医療費で、400億円を介護保険制度の改革で捻出する。与党の意見を踏まえ、12月上旬に具体案を固める。

政府は余力があるとみられる高齢者に一定の負担を求める考え。医療費抑制の柱は、高齢者の負担拡大だ。毎月の医療費負担の上限を定めた「高額療養費制度」と、75歳以上が加入する公的健康保険「後期高齢者医療制度」の保険料の軽減措置の見直しが軸になる。
高額療養費は、70歳以上を対象にした外来の負担を軽くする制度の一部を段階的に廃止する。現在は入院費より低く抑えている。月額負担の上限額をどう設定するか今後政府・与党で調整するが、完全に廃止すれば、年収370万円以上の現役並み所得者の負担は4.4万円から少なくとも8万円以上になる。一定の収入がある「一般所得者」だと1.2万円から5万7600円になる。
75歳以上の高齢者医療の保険料は「元被扶養者」とされる専業主婦らと、夫の年金収入が153万~211万円の人への軽減措置を段階的に廃止する。また高齢者らが長期入院する療養病床のうち、65歳以上の比較的症状の軽い入院患者には1日あたり370円の光熱水費を求める。現在の320円から引き上げる。

このほか、過剰な受診も減らし、紹介状なしで大病院を受診した際に初診料で5000円以上の追加料金をとる制度も拡大する方向だ。現在は病床500床以上の病院が対象だが、「200床以上」に引き下げると、少なくとも1200以上の病院が対象となる。
全国健康保険協会(協会けんぽ)に対する補助金も削減する。雇用環境の改善で財政は改善しており、数百億円を捻出できるとみられる。薬価では超高額の抗がん剤オプジーボの公定価格(薬価)を来年2月に半額にして、国費を180億円圧縮。一方でかかりつけ医以外の病院を受診した際に少額の負担を求める仕組みの導入は見送る。
与党との調整が円滑に進めば、来年度予算の社会保障費は過去最大の32兆円台となる見通しだ。歳出総額を押し上げる主因だ。安倍政権は自然増を抑える一方、介護・保育といった社会保障の充実にも予算を割く。ただ、介護士や保育士の待遇改善などに充てる財源は景気の改善を背景とした一時的なものにすぎず、消費増税などによる恒久財源の確保が必要だ。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-21 15:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

「最大の課題は社会保障分野」、財政審建議
社会保障関係費の伸びは5000億円に抑制、改革の前倒し提言

財務省の財政制度等審議会(会長:吉川洋・立正大学経済学部教授)は11月17日、2017年度の予算編成等に関する建議をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。社会保障関係費の伸びを「5000億円」に確実に抑制し、その他の政策経費を含めた一般歳出を5300億円に抑えるべきと提言している。「最大の課題は社会保障分野」と強調、経済財政諮問会議が2015年12月にまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の検討項目を中心に、改革の基本的な考え方を4つに整理し、できる限り前倒しして改革を実現するよう求めている。

4つの基本的な考え方とは、
(1)年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担(高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなど)、
(2)大きなリスクは共助、小さなリスクは自助(入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方など)、
(3)医療・介護提供体制の構築(かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、地域医療構想に沿った医療提供体制の実現、医療費適正化計画の策定・実現など)、
(4)公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護(高額薬剤の薬価等の在り方、生活習慣病治療薬等の処方の在り方など)――だ。

これらの大半は、厚生労働省の社会保障審議会や中央社会保険医療協議会をはじめとする関係審議会・検討会で、並行して議論してきた内容だ。高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなどは実現の見通しだが、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率などは、「反対」で意見が一致。11月18日にも、社保審医療保険部会が開催され、今年内数回の議論を経て、2017年度以降実施の制度改正案を取りまとめる予定。また高額薬剤については、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価を2017年2月から50%引き下げる方針が、11月16日の中医協で決定した。
社会保障関係費の伸びを年5000億円に抑制するのは、2015年6月に閣議決定した「経済・財政運営と改革の基本方針2015」に基づく対応。今年8月の厚労省の2017年度予算概算要求では6400億円の伸びとなっており、高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、オプジーボの薬価引き下げなどで抑制する見通し。

そのほか(3)では、2017年度予算編成には関係しないものの、医師需給問題にも言及。今後の医学部定員については、医師需給の見通しを踏まえた精査・見直しを進めると同時に、医師の地域・診療科偏在是正に向け、(1)医師不足の地域・診療科従事を、特定の医療機関の病院長といった管理者になるための要件とする、(2)保険医の配置・定数の設定など、医師配置等に係る規制も含め、国や都道府県の権限強化――を提言している。

「改定がない時こそ、改革を」
財政審の建議は、財政制度分科会で議論してきた内容を取りまとめたもの。9月7日以来、会議を計7回開催。社会保障関係については、10月4日と10月27日の2回議論)。
建議では社会保障関係について、「社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成していくため、医療・介護分野の改革の実現は、喫緊の課題」とし、「2017年度予算編成においては、診療報酬・薬価改定および介護報酬改定が予定されていないが、こうした時こそ、改革を集中的に進める機会と捉えていくべき」と指摘。その上で改革の基本的な考え方を4つに整理し、具体的な改革項目を解説している。

【m3.com】
# by kura0412 | 2016-11-19 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長

脳卒中などの発症後、早期に短期集中リハビリを実施することが重要である。このため、リハビリ能力の低い急性期病院では、入院から20日までにリハビリ能力の高い後方病院に患者を送るべきである―。
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、17日の理事会後に開催した記者会見で、こういった提言を行いました。

短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減
この提言は、17日の日慢協理事会で承認された「日本の寝たきりを半分」にするための10か条に基づくものです。
武久会長は、我が国の医療、とくにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることを指摘。

これらを改革しなければ、寝たきり患者が減らないとし、次の10か条の提言をまとめています。
(1)急性期リハビリの充実(入院日からのリハビリ)
(2)急性期リハビリ能力のない場合、入院後20日までにリハビリ能力と治療能力のあるPost acute(後方病院)に患者を移す
(3)高齢者の急性期治療の改善(栄養・水分出納・身体侵襲の軽減)
(4)嚥下・排泄リハビリの優先
(5)短期集中リハビリのできる環境に
(6)「寝たきり」より「座りきり」
(7)無理な歩行訓練より車いす自立を
(8)慢性期治療の徹底
(9)延命ではなく日常復帰を
(10)慢性期総合診療医の養成

これらは大きく「急性期状態からの早期リハビリなどの充実」((1)から(5))と「リハビリのあるべき姿の共有」((6から(10))に分けて考えることができそうです。
(1)と(2)はセットで考えることができます。武久会長は「リハビリ能力のある急性期病院では早期にリハビリを開始し、能力の低い急性期病院では早期に後方病床に患者を送るべき」と強調しました。
また(5)では、リハビリの診療報酬を包括化することで、より患者の状態に合わせた柔軟かつ適切なリハビリ(早期の集中リハビリを可能とし、維持期の箇条リハビリを適正化する)の実施が可能になると武久会長は提案しています。
一方(6)と(7)は、急性期病院のみならず、リハビリに携わるすべての病院への提言と言えます。武久会長は、「低栄養などでリハビリの効果が落ち、寝たきりになっていく」という実態があることを指摘し、「離床コーディネーター」を多くの病棟に配置し、1日数回、患者を離床させることを徹底すべきと訴えます。コーディネーターの職種については、理学療法士などのリハビリ専門職種が主導すべきとしたものの、看護師や介護師なども広く対象になるとの見解を示しています。
さらに武久会長は(8)から(10)で、「超高齢者であっても、治せる傷病は治療し、天寿を全うさせることが必要である。十分に治療できない病院ほど、適切な治療を行えないことを『ターミナル』という言葉で逃げている」とも訴えました。

  【メディワォッチ】
# by kura0412 | 2016-11-19 09:35 | 医療全般 | Comments(0)

オプジーボ、来年2月から50%引き下げへ
11月24に告示予定、2016年度販売額、1516億円超と推定

中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月16日、抗PD-1抗体製剤オプジーボ(一般名ニボルマブ)を対象に、緊急薬価改定を行い、50%引き下げることを決定した(資料は、厚生労働省のホームページ)。薬価は、点滴静注20mg15万200円から7万5100円、100mg72万9849円から36万4925円にそれぞれ下がる。販売元の小野薬品工業からの不服意見提出期限は11月22日、提出がなければ11月24日に告示、2017年2月1日から適用する。

オプジーボの薬価引き下げは、診療側と支払側ともに、了承していたが、その実施時期と下げ幅が焦点だった。当初、「最大で25%」との見方もあったが、医療費への影響が懸念され、政府レベルでも薬剤費の高さが問題視され、より一層の引き下げ圧力が高まっていた上、「社会保障費の自然増を年5000億円に抑える」という政府方針からも早期の実施が不可避だった。
厚労省は、「できる限り既存の考え方を活用」との考えから、2016年度薬価制度改正で新設された「市場拡大再算定の特例」の適用が合理的であると判断。小野薬品工業の予想年間販売額(出荷価格ベース)を基に、薬価ベースに換算すると2016年度の販売額は1516億円超と見込まれることから、「年間販売額が1500億円超かつ予想の1.3倍以上」の対象となり、「最大50%の引き下げ」が適用された。2017年2月1日付けの改定実施は、医療機関での在庫管理など、医療現場における円滑実施の観点から2カ月以上の期間を設ける必要があるとの判断からだ。

日本医師会は、オプジーボの薬価引き下げには以前から同意していたものの、薬価改定財源を診療報酬財源に充当するには、従来通り、薬価と診療報酬を同時改定しないことには難しく、落とし所が焦点だった。
中医協総会後、日医副会長の中川俊男氏は、m3.comの取材に対し、「社会保障費の抑制圧力がある上、薬剤費の高騰が問題になっている。オプジーボについては類似の上市も予定されており、ここで薬価を大幅に引き下げることは、薬剤費の抑制、かつ公的医療保険下で適正価格で薬を患者に届けることにつながるため、苦渋の決断として、了承した」と説明する。
類似薬とは、オプジーボを基に類似薬効比較方式で薬価が決まる、抗PD-1抗体製剤のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)。既に「根治不能な悪性黒色腫」の効能で薬事承認され、「切除不能な進行または再発の非小細胞肺がん」で承認申請中だ。さらに、1次治療を対象とした国際共同第3相試験での有用性が、今年10月の欧州臨床腫瘍学会で報告されており、1次治療まで使用が広がれば、対象患者の一層の拡大が見込まれる。
中川氏は中医協総会とそれに先立ち開催された薬価専門部会でも、キイトルーダ上市後の薬剤費高騰への懸念を呈しており、かねてからの主張通り、2018年度薬価制度改正における現行の薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。今回のように問題が生じてからではなく、「問題が生じる前に、準備をしておくことが必要」(中川氏)

一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏も、薬価専門部会で、「緊急的な対応は、歓迎する。新たなルールを作るのは混乱を招くので、できるだけ既存の考え方を適用することも、合理的だと思う」などと述べ、オプジーボへの対応を支持。その上で、現行の薬価算定方式では、効能・効果追加による市場拡大といった事態に対応できないため、中川氏と同様に、「薬価算定方式の抜本的な見直しの議論は、早急に開始すべき」と述べた。
専門委員の立場から加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、期中改定は企業経営への影響が大きいことから、「止むを得ず例外的な措置として実施するもの」と受け止めた。「国内市場において新薬から十分な利益を得られなければ、次の新薬開発が難しくなる」と述べ、薬価算定におけるイノベーションの評価を期待するとともに、2018年度薬価制度改正に向けた議論には、製薬業界としても積極的に参画すると決意を示した。今回の対応は、あくまで緊急対応であり、2018年度に改正を行い、その結果に基づき調整を行う。今回の薬価引き下げを行わなかったと仮定した販売額を算出の上、再算定を改めて実施する。
なお、オプジーボについては、薬価引き下げに加えて今後、「施設要件」や「患者要件」などを定めた「最適使用ガイドライン」を策定する(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。その医療保険上の取り扱いについて、厚労省保険局医療課長名で「留意事項通知」が出される予定。年内にも最終案がまとまる見通しだ。ガイドラインは、日本臨床腫瘍学会と日本臨床内科医会が中心となり、策定が進められている。中川氏は、ガイドラインや通知について、(1)最終段階だけではなく、途中の段階から中医協総会で説明し、議論する、(2)厚労省の医薬・生活衛生局と保険局が連携する――などの必要性を指摘、医療保険の観点を踏まえて策定するよう釘を刺した。

米国約15万円、イギリス 約30万円との比較でも高額
中医協総会では、医療費への影響が大きい高額薬剤として、(1)2015年10月から、2016年3月までに効能・効果または用法・用量の一部変更が承認された既収載品、(2)2016年度の企業予想年間販売額(薬価ベース)が1000億円を超え、かつ薬価収載された時点における予想年間販売額に対して、10倍以上となる既収載品――のいずれにも当てはまるものと規定、2018年度薬価改定を待たずに改定を実施することを決定した。複数の候補の中から、対象となったのは、小野薬品工業のオプジーボのみ。
オプジーボは、2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の適応で承認、同年9月の薬価収載時のピーク時の予想投与患者数は年470人、予想年間販売額は31億円だった。その後、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能が追加されたのは2015年12月であり、2016年度薬価改定において、「市場拡大再算定の特例」の対象から外れた。
海外との比較でも日本のオプジーボの薬価は高く、点滴静注100mgの場合、日本の72万9849円に対し、米国約15万円、イギリス約30万円 との推定がある。

2016年度販売額、1560億円超と推定
オプジーボの薬剤費は年1兆7500億円(薬価ベース)との推計もあったが、今回の緊急薬価改定に当たっては、小野薬品工業による2016年度の予想年間販売額の1260億円(出荷価格ベース)を基に、流通経費、消費税、薬価と出荷価格の乖離率のほか、今後の効能拡大を見込み、以下の方式で算定した。オプジーボは、8月26日付けで、腎細胞がんの効能追加が承認された。小野薬品工業が11月7日に公表した予想年間販売額は、腎細胞がんの効能追加込みの金額だ。
◆オプジーボの薬価算定の考え方 1260億円÷[流通経費7%(1-0.07)]×1.08(消費税)÷[乖離率(1-0.069÷2)]×[効能追加、2016年度分X円]=1516億円+X円

この計算式について問い質した一人が、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏。薬価と医療機関への納入価の差である乖離率は、2015年度薬価調査の「その他の腫瘍用薬(注射薬)」の平均乖離率6.9%の「2分の1」とした根拠を質した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、「明確な根拠はないが、あくまで保守的に、厳しく見積もるため」と説明。乖離率を高く見積もるほど、薬価ベースに換算した販売額は高くなる。一方で、少なく見積もれば、例えば、万代氏の試算では、3分の1とすれば、1500億円を超えず、この場合の薬価の最大下げ幅は25%だ。
日医副会長の松原謙二氏も、薬価調査を実施していないため、乖離率や流通経費などの数値を正確には把握できないことから、「計算式自体が、仮定の上に仮定を重ねていることに不安を覚えている」と指摘。これに対し、中山薬剤管理官は、流通経費は「医薬品産業実態調査報告書」のデータを用いているなどと説明、「大丈夫だと考えている」と回答。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、「流通経費などが実態と異なるのであれば、小野薬品工業が不服意見を申し立てればいいと理解している」との考えを述べた。

「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠
オプジーボの薬価下げ幅の計算式のほか、議論になったのは、小野薬品工業が不服意見を提出した際の手続きについて。
日医の中川氏は、いったんは中医協総会で薬価が決まったものの、企業の意向で取り下げ、再申請後に薬価が決まった乾癬治療薬「トルツ皮下注」(一般名イキセキズマブ)を例に挙げ、「手続きは極めて重要」と指摘した。中山薬剤管理官は、小野薬品工業から不服意見が出た場合には、中医協総会に諮り、対応を検討すると答えた。
さらに中川氏は再三にわたり、薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。例えば、類似薬効比較方式については、対象国から米国を除外するなどの外国平均価格調整の在り方の見直し、原価計算方式についてはコストの算定根拠を明確にする必要性を指摘。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、さまざまな意見を踏まえ、2018年度薬価制度改正に向けた議論を進めていく方針を表明した。

【m3.com】



総医療費で考えれば1560億円あれば歯科は5%以上アップ程の規模になります。
# by kura0412 | 2016-11-17 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

なぜ、人手不足なのに介護士の給料は上がらないのか

介護職員の賃金は全産業の平均より低い
介護職は人材難が叫ばれて久しいが、その理由の一つに、労働内容に給料が見合わないことが挙げられる。
厚生労働省は2015年度の介護職員の賃金調査結果を発表した。それによると、平均月給は28.7万円と前年度実績より1.3万円上がった。月1.2万円分の介護報酬の積み増しもあり、深刻な人手不足を受けて賃上げに迫られた施設が多かったという。それでも全産業の平均より低い。
また、介護施設内の8職種ごとに月給を見ると、介護職員は下から2番目。看護師(37.5万円)や生活相談員(32.1万円)などに遠く及ばない。厚労省の賃金構造基本統計調査でも介護職員の平均月給(賞与除く)は23万円で全産業平均より10万円低い。
それにしても介護士は圧倒的に足りないのに、どうして給料が上がらないのか。
「厳しい財政制約を受けており、介護報酬の水準が低いから」という説が有力だ。しかし、同じく不足する麻酔科医の派遣給与は国が定めた診療報酬に関係なく“時価”。介護職員だけが低い理由はない。そう考えると、介護スタッフは専門職としての地位がいまだ確立していないのが、低賃金の原因かもしれない。
事実、女性のホームヘルパーや福祉施設介護員の年齢別賃金を見ても、年功に関係なくほぼ一定だ。年功序列賃金体系の日本にあって、長く勤めても給料が上がらないのでは人生設計がままならない。
それを意識してか、厚労省も介護職員の資格制度を見直すという。
現在、国家資格の「介護福祉士」や、初めて介護の仕事に就く人向けの「介護職員初任者研修」といった資格がある。見直しの方向は、専門性が高い順に「介護福祉士」「研修等を修了し一定の水準にある者」「基本的な知識・技能を有する者」と整理し、資質の向上に配慮しつつ、裾野を拡大する考えだ。

ポイントはこの制度改正が、介護士の給料にどんな影響を与えるかだ。
介護業界は他職種に比べ賃金が低めであることなどから、若い世代の定着率が低い。そのため、高齢者や時間に余裕のある主婦が手軽に資格を取って介護の仕事に就きやすいようにして、人手不足を補う狙いがあるというが、それはかえって逆効果ではないか。ハードルを下げすぎると介護スタッフの平均賃金がむしろ引き下がるからだ。
また、これとは別に政府は、介護福祉士の資格を得た外国人が日本にとどまって働けるよう在留資格を与える法改正を検討中だが、これも言葉のハンディが大きい日本の介護市場が外国人にとって魅力的かどうかだ。問題文にルビをふったとはいえ、難解な国家試験も待ち受ける。
ちなみに日本が手本にしたドイツの介護保険制度では、家族介護にも一定の手当が支払われる。さらに専門の介護士の給与も地域差を反映してもう少し柔軟な価格制度になっている。
これに対して、わが国の介護報酬は最大でも20%の上乗せしかなく、きめ細かに対応していない。たとえば現行の「地域別最低賃金」を見ると、最高額の東京都は907円で最低額の鳥取県・高知県・宮崎県・沖縄県の693円と比較すると、実に約1.31倍も差が生じている。そのため、特に大都市圏では他の産業と競争できず、人材確保が困難になり、離職率を高める要因にもなっている。
これを抜本的に是正するためには、介護報酬算定の基礎を「地域別最低賃金」に改正し、早期に環境改善を図る必要がある。
さらに民間の資金を活かす改革も必要だ。現に個人保険の保有契約高は857兆円にのぼる。また、国民の金融資産は1700兆円を超え、そのうちの6割は60歳以上が保有している。国は貧しいが、一部の高齢者はお金持ちだ。

【川崎孝一・PRESIDENT ONLINE】
# by kura0412 | 2016-11-15 09:22 | 介護 | Comments(0)

糖尿病を予防したければ歯医者へ行け  医科・歯科連携、2氏に聞く

14日は世界保健機関(WHO)が定めた国際糖尿病デーだ。日本の糖尿病患者は「予備軍」も含めて2200万人ともいわれる。最近の研究で糖尿病の原因に歯周病が関係していることがわかってきた。一方、これに対する内科医と歯科医の意識は低く、患者に情報は行き渡っていない。このテーマに詳しい医学博士・糖尿病専門医の西田亙氏と、歯科医の森昭氏に話を聞いた。

■体重18キロ減の理由

――はじめに糖尿病専門の西田先生にお聞きしますが、糖尿病の予防に歯周病の治療が有効だというのは本当ですか。
西田氏 まずこの写真を見てください。左は7年前、歯周病治療を始める前の私です。体重は92キロ。まさに“医者の不養生”ですが、血糖値は高めで糖尿病予備軍でした。下はその頃の歯の写真です。リンゴをかじると血だらけになるような歯周病でした。それが、あるきっかけで歯のケアをするようになり、体重は18キロやせて74キロになりました。

――そのきっかけとは。
西田氏 7年前、歯科医師会に呼ばれて、糖尿病と歯周病について講演したのをきっかけに共同研究が始まったのです。それ以来、食後にはフロス(歯間清掃用の糸)をし、定期的に歯石を取ってもらうようにしました。歯をきれいにすると、汚したくないので間食が減ります。不思議と体を動かして汗をかきたくなり、ウオーキングや自転車に乗るようになりました。

――森先生は歯科医の立場から糖尿病予防としての歯のケアを提唱されています。
森氏 歯科というのは、ただ歯を治すだけでなく、内科の予防に役立つのだということを訴えています。米国では予防歯科が進んでいて、虫歯だけを治す歯医者さんは「カーペンター・デンティスト(大工みたいな歯医者)」と皮肉を込めて呼ばれます。まず歯科で体の異変を察知する。歯科は、病の進行の最前列に位置すると考えているのです。ただ私もそれに気づいたのは10年前ぐらいのことです。

――どんなきっかけですか。
森氏 当時、歯周病の治療の一環で、口の中をマッサージして唾液を出す処置をしていました。唾液には歯周病菌の力を弱めたり、口の中の傷を治して、菌が血管に入り込むの防ぐ効果があります。あるとき、患者さんから血糖値がよくなった、血圧がよくなったという声が上がってきました。顔のほてりがなくなったとか、更年期障害が軽くなったとか。なにか体に関係あるなと。

■糖尿病患者はほぼ歯周病キャリア
西田氏 まさにその通りなんです。歯周ポケットに入り込んで繁殖した細菌が出す炎症性ホルモンが、歯肉から血管に入りこみ、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めることがわかっています。体はなんとかして、より多くのインスリンを作ろうとしますが、これが続くと、インスリンを作る細胞が疲弊し、糖尿病を発症します。
森氏 もう1つ、唾液が少なくなることによる味覚障害も糖尿病を悪化させます。歯周病がひどくて味がわからなくなって偏食になる人は山ほどいます。ハンバーガーとかフライドチキンとか濃い味にながれ血糖値が上がります。

――糖尿病患者のうち、歯周病が原因である比率はどの程度でしょう。
森氏 データとしてはありません。ただ、歯周病が国内に8000万人で、糖尿病が予備軍いれて2200万人ですから、糖尿病患者はほぼ歯周病を持っていると考えていいですよね。

――学術的にはどれだけ立証されているのですか。
西田氏 最初は1993年に、アメリカの歯科医が発表した論文がきっかけでした。糖尿病には、腎症、網膜症、神経症などの合併症がありますが、その第6が歯周病である、というものです。その後15年たってようやく、日本糖尿病学会の治療ガイドラインに歯周病が合併症の一つとして登場しました。
森氏 その後も両者の相関関係はあまり注目されずに来ましたが、去年あたりから風向きが変わってきましたね。歯をケアすると血糖値が改善し糖尿病が良くなるというのが学問的にもコンセンサスになりはじめていると思います。

■うまくいかない医科・歯科連携
西田氏 歯医者さんが最初に見つけた、というのがポイントなんです。この相関関係に気がついたのは、歯科医がつねに患者の口を観察しているからです。歯肉の色が悪いとか、ぶよぶよしているとか、目や手で感じる治療をしているわけです。一方で糖尿病医を含む内科医は、検査データばかり重視する傾向がある。

――実際に内科医と歯科医が連携した治療は行われているのですか
西田氏 糖尿病専門医は国内に5000人前後いますが、残念なことに、実際に患者を紹介するなど、行動している人はごくわずかでしょう。

――どうしてでしょう。予防が徹底すると糖尿病のお客さんがいなくなってしまうから?
西田氏 そんなことはありません。2200万人も患者がいるのですから、なるべく減らしたい。むしろ、歯科医から、糖尿病の疑わしい患者を紹介してもらえるのですから、売り上げアップにつながる「金鉱」です。
森氏 歯科医にとってもそうです。歯科医の領域が糖尿病というテーマに広がればと市場が広がる。口だけでなく、体を守るために、と患者が考えてくれたら、とてつもない「ブルーオーシャン」になります。

――ではなぜ両者は動かないのでしょうか。
森氏 やはりすべては教育だと思います。大学の医学部では歯科の大事さなど教えない。歯学部も糖尿病なんて関わりがない。歯科は人の命に関わるのですよという教育を歯学部ではしていません。
西田氏 両者が同居する総合病院や大学病院でさえ、横の連携はできていません。ただ、最近になってすこし気になる動きがあります。

――気になる、というのは。
■歯科衛生士の争奪戦が始まる
西田氏 昨年5月に、「元気な体は口腔(こうくう)から」という全面広告が全国紙に載りました。出稿元は歯科医師会かなと思ったら違って、日本医師会なのです。9月には日本医師会の雑誌が、歯科衛生士に関する興味深いデータを掲載しました。入院中の患者に対し、歯科衛生士が歯のケアをした場合と、看護師がした場合を比較したのです。その結果、入院日数は看護師の場合が4カ月、歯科衛生士は2カ月でした。

――それは何を意味するのですか
西田氏 入院日数が延びるのは、まちがいなく感染症によるものです。プロの歯科衛生士のケアと、歯科については素人の看護師のケアで、この差がついている。2カ月が4カ月になれば、医療費は数倍以上になると見ていいでしょう。
森氏 近い将来、歯科衛生士の争奪戦が起こるということですね。歯科医の業界ではよくいわれることですが、歯科衛生士は、その技能に比べると、労働条件や社会的評価が必ずしも高くないため、離職者が多いのです。出産を契機にだいたい辞めてしまって、復職しません。歯科衛生士の免許登録は20万人なのに、実際稼働しているのは10万人しかいないんです。
西田氏 口というのは、体の内部の粘膜が外部に露出した最も大きな部分ですから、口腔感染制御は極めて大事です。ただし、内科医が感染症に敏感なのに比べると、歯科医の意識は一部ではまだまだ低い。それが歯科衛生士を軽んじる風潮にもつながっているのではないでしょうか。このデータが周知されれば、病院は歯科衛生士を抱え上げようとするでしょう。社会保障もはるかに病院のほうがいいですから。新聞に広告が出たのは偶然じゃないと思います。厚生労働省や日本医師会の頭の良い人たちが動き始めたのでしょう。

――いずれにせよ、医科と歯科の連携はこれからますます必要になりますね。
西田氏 制度的にも追い風が吹いています。今年の4月からは、内科医が歯科医に対して糖尿病患者の紹介状を書けば、歯科医で抗生物質による歯周治療が直ちに開始できるようになりました。「糖尿病医による歯周病(英語名perio)処置」という意味で「P処(糖)」と呼ばれます。糖尿病の患者さんは、担当医に言ってみてください。
森氏 これまでの医科・歯科連携はがんや高齢者医療などでなんども試みられましたが、ことごとく失敗でした。大学や病院での縦割り意識が、そのまま社会に残っていることは、患者にとってハッピーではありません。
西田氏 糖尿病患者は、医者から「ご飯は8分目、1日1万歩」とさんざん聞かされて馬耳東風になっているでしょう? ところが「歯磨きをしましょう」というと、みんな新鮮に感じてくれるんです。他のサービスと同様に、治療も、患者のモチベーションを引き出す努力が必要です」

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-11-14 09:52 | 歯科 | Comments(0)

飲み込みやすさ、ひと目で分かるように 消費者庁、介護食品のパッケージ表示を改善へ

消費者庁は9日、飲み込む力が衰えた高齢者などを想定したゼリー状の「えん下困難者用食品」について、メーカーに義務付けているパッケージの表示を改める方針を固めた。より具体的な記載が加わるため、商品を選ぶ際の分かりやすさが向上しそうだ。

「えん下困難者用食品」は、消費者庁が定めている柔らかさ、詰まりにくさ、まとまりやすさなどの基準をクリアしたもの。すでに12の商品が認められている。パッケージにはマークと、性質や形状の違いに応じてI、II、III(3種類)と類型が書かれている。こうした表示に対し、「もっと分かりやすくすべき」との声が出ていた。
消費者庁は今回、有識者会議で進めてきた議論の成果をまとめた報告書を作成。今後の改善策として、類型Iに「そのまま飲み込める」、IIに「口の中で少しつぶして飲み込める」、IIIに「少しそしゃくして飲み込める」と加筆させるとした。来年にもルールを変える予定。実施時期はメーカーなどと協議したうえで定める。
有識者会議ではこのほか、誤嚥を防止するために液体にとろみをつける「とろみ調整用食品」を、「えん下困難者用食品」に追加することも決まった。

http://www.joint-kaigo.com/article-2/pg82.html

【介護のニュースサイトJOINT】
# by kura0412 | 2016-11-11 16:38 | 嚥下摂食 | Comments(0)

「オプジーボ」3つの壁 薬価下げ・副作用・競合薬

小野薬品工業の先行きが晴れない。2016年4~9月期の連結純利益は前年同期比95%増の231億円と過去最高を更新したと7日に発表したが、けん引役であるがん免疫薬「オプジーボ」販売に数々の壁が立ちはだかっている。悩ましいのは薬価引き下げ問題だけではないのだ。

「オプジーボの薬価はどうなるのか」。相良暁社長は決算説明会でこう問われ「当事者なのでコメントできない」と硬い表情で答えるしかなかった。4~9月期の純利益が期初予想を16億円上回ったのに、17年3月期の純利益を前期比2.2倍の558億円と予想を据え置いた理由も「プラスとマイナス要因があり、予測できない」。
オプジーボはがん細胞が持つ特殊な免疫抑制機能を解除し、がんへの攻撃力を高める画期的新薬だ。日本で皮膚がんの一種、悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として14年7月に承認され、肺がんの8割を占める非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療でも順次認められた。今後も対象拡大が見込まれている。
悩ましいのは100ミリグラムで73万円という高額薬価への批判だ。体重60キログラムであれば年3千万円程度かかる計算だ。これが財政を圧迫するとの主張を受け、18年4月の薬価改定を待たずにオプジーボを25~50%程度引き下げるべきだとの議論が出ている。
厚生労働省は月内にも方針を示す見通しだが、小野薬品の業績への影響は避けられない。オプジーボは世界に先駆けて日本で承認した通称「ピカ新」。薬価はこの点が考慮され、厚労省も納得済みだった。小野薬品にとってははしごを外された格好で、収益計画は大きく狂う。

壁はまだある。予想外の重篤な副作用報告が相次いでいる。
これまでの臨床試験や通常の抗がん剤使用で確認されていない重症の糖尿病や「重症筋無力症」などの副作用が発生。個人輸入で本来認められていない診療所が使い、死者が出た例もある。小野薬品には防ぎにくかったわけだが、ネガティブ情報は投資家に嫌気され、株価の下げ要因になる。

最大の壁は競合薬の出現だ。
オプジーボと同様の仕組みを持つ米メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」が9月に承認。年末までに薬価が決まり、発売される可能性がある。
オプジーボの優位性が崩れかねない理由は今年発表された臨床試験の結果だ。従来の抗がん剤治療を経ずに肺がんに最初から使うための臨床試験で失敗。キイトルーダは同様の試験に成功した。ある私立大医学部の教授は「キイトルーダを優先する医師もいるだろう」と指摘する。
小野薬品は有力な新薬候補が少なく、オプジーボの「一本足打法」。今後はオプジーボだけに頼らず、企業買収などで新たな成長の種を仕込む必要があるかもしれない。

【日経新聞】




頭頚部ガンは来年の3月期には承認予定とのことです。
# by kura0412 | 2016-11-10 16:30 | 歯科 | Comments(0)

オプジーボは口や喉の進行がんにも効いた!1年後の生存率が19%上昇
再発した頭頸部扁平上皮癌患者361人が参加

抗がん剤のニボルマブ(商品名オプジーボ)は、免疫のしくみを利用する画期的な薬として登場し、大きな話題になっています。口腔がんや喉頭がんなどに対しても効果を調べた研究から、余命が長くなったという結果が報告されました。

頭頸部がんにニボルマブは効くか?
医学誌『New England Journal of Medicine』に報告された研究を紹介します。
この研究では、以下すべてに当てはまる患者が対象とされました。
•頭頸部がん(頭や首の部分にできるがん)がある
•がんが扁平上皮癌というタイプ
•がんが治療後再発した
•プラチナ製剤を使った化学療法(抗がん剤治療)のあと6か月以内にがんが進行した
361人の対象者が集まりました。対象者のがんは、口腔がん(口の中のがん)、咽頭がん(鼻の奥から喉にかけてのがん)、喉頭がん(気管の入り口に当たる、声帯などがある場所のがん)などでした。対象者はランダムに2グループに分けられました。
•ニボルマブを使って治療する
•標準的な抗がん剤(メトトレキサート、ドセタキセル、またはセツキシマブのいずれか単独)を使って治療する
2グループで、治療後の生存率が比較されました。

ニボルマブとは?
体の中に異物が入ってきたとき、免疫のしくみが異物を攻撃することで、感染症などが防がれます。
免疫にはがん細胞を攻撃する力もあるのですが、ある種のがん細胞は、免疫の攻撃をかわす能力を持っています。
ニボルマブは、がん細胞が免疫から逃れるしくみをブロックして、免疫から攻撃されるようにします。理論上、多くの種類のがんに対して有効と期待されています。
ニボルマブは日本では皮膚がんの一部、肺がんの一部、腎臓がんの一部に対してすでに承認されています。

既存薬よりも余命が長くなる効果
治療から次の結果が得られました。
全生存期間の中央値は、ニボルマブ群で7.5か月(95%信頼区間5.5-9.1)、標準治療を受けた群で5.1か月(95%信頼区間4.0-6.0)だった。全生存期間はニボルマブ群で標準治療よりも有意に長く(死亡のハザード比0.70、97.73%信頼区間0.51-0.96、P=0.01)、1年生存率の推定値は標準治療よりもニボルマブでおよそ19ポイント高かった(36.0% vs 16.6%)。
ニボルマブを使ったグループでは、半数の対象者が7.5か月以上生存しました。対して、既存の薬を使ったグループでは半数の対象者が5.1か月以上生存しました。治療開始から1年後の生存率を計算すると、既存薬のグループでは16.6%、ニボルマブのグループでは36.0%となりました。

副作用について次の結果がありました。
グレード3または4の治療関連有害事象はニボルマブ群の患者の13.1%に起こり、対して標準治療群では35.1%に起こった。
入院が必要な程度以上の、副作用の可能性がある症状の悪化などの出来事は、既存薬のグループでは35.1%に起こりましたが、ニボルマブを使ったグループでは13.1%の人に起こりました。

ニボルマブはがん治療を変えるのか?
頭頸部がんの一部に対してニボルマブの効果が示されました。ニボルマブが使われる範囲は、今後さらに広がるかもしれません。
ニボルマブが働くしくみは多くの種類のがんに関係するため、ニボルマブは画期的な治療になるのではないかと期待されています。
ニボルマブはさまざまな状況に対して試され、効果があったとする数多くの報告が出てきていますが、すべてが有効という結果ではありません。対して、ニボルマブと同様のしくみで働く薬もほかに開発されています。日本でもペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)がすでに承認されています。ニボルマブとペムブロリズマブなどの使い分けが次の課題になる可能性もあります。
一方、ニボルマブはきわめて高価な薬価でも話題になっています。もし現在の薬価のまま使われる場面が広がれば、日本の保険制度が危うくなるのではないかと懸念する声があります。10月14日に開かれた政府の経済財政諮問会議では、塩崎恭久厚生労働相が例外的な薬価の引き下げに言及しています。
新しい治療を必要とする人に適切に届けるために、費用と効果の議論は避けて通れません。一部の報道ではニボルマブに対して「夢の新薬」といった表現がなされていますが、冷静に実際のデータをふまえて理解することが、ニュースを読み解く上でも大切です。

【MEDLEY】



19%生存率上昇というのはけっして低い数字ではありません。関係ないと思われたオブシーボも歯科にも問題を投げかけるかもしれません。
# by kura0412 | 2016-11-10 14:29 | 歯科 | Comments(0)

顎骨壊死の防止に向け、医科歯科連携強化を
骨粗鬆症学会アンケート結果より
学会レポート | 2016.11.04 07:05

これまで治療実態に応じた骨折予防効果を大規模に検証してきた骨粗鬆症至適療法研究会(A-TOP研究会)では昨年、顎骨壊死に関する緊急アンケート(A-TOP調査)の結果が報告されたが、対象者数が少なかったため、その信頼性には若干の疑問が残された。そこで、松本歯科大学歯科放射線学講座教授の田口明氏は、日本骨粗鬆症学会所属の全医師を対象にアンケートを実施し、より妥当性の高い結果を示すとともに、種々の回答項目から、顎骨壊死を防止するためには、医科歯科連携をよりいっそう強化する必要性があると第18回日本骨粗鬆症学会(10月6~8日)で訴えた。

休薬しなかった群でも抜歯後の顎骨壊死はなし
A-TOP調査では、ビスホスホネート(BP)製剤やデノスマブなどの骨吸収抑制薬を抜歯前に休薬すると、顎骨壊死を予防することなく、骨折リスクを上昇させ、骨粗鬆症治療を妨げる恐れがあると示唆されたが、調査対象が206人と少数であったため、その調査の妥当性には議論の余地が残されていた。今回実施したアンケートでは、A-TOP調査時の3倍を超える629人から有効回答が得られた。回答者の診療科は約74%が整形外科、約13%が内科であり、この割合はA-TOP調査とほぼ同様であった。
アンケート結果によると、骨吸収抑制薬による治療中、抜歯前に歯科医師から休薬依頼があった場合は83.1%が休薬すると答えていた。休薬期間が3カ月未満、3カ月以上と答えた群の骨折および顎骨壊死の発生率は、前者でそれぞれ約3.6%、0.7%、後者で約5.3%、約1.6%となり、後者の方が骨折、顎骨壊死のリスクが高かったという。
また、休薬しなかった場合の抜歯の有無を尋ねる問いでは、52.8%が抜歯をしていたが、抜歯後の顎骨壊死は発生しなかった。一方、休薬後における骨粗鬆症治療の状況について問うと、16.8%で治療中止を経験していたという。

歯科医師への口腔ケア依頼、医科歯科連携はいずれも低い割合
顎骨壊死の発生には口腔内に常在する放線菌が関与すると考えられていることなどから、口腔内衛生環境の管理も重要であるが、骨吸収抑制薬による骨粗鬆症治療前に歯科医師に口腔ケアを依頼しないと回答した医師が約60%に達していた。加えて、骨吸収抑制薬を投与している骨粗鬆症患者について、医科歯科連携がなされているかという設問に対しては、71.5%がしていないと回答した。
以上の結果はおおむねA-TOP調査の結果と同様であったことから、田口氏は「以前行われたA-TOP調査の妥当性が担保された」と述べた。加えて、同氏は「骨吸収抑制薬の休薬や治療中止により骨粗鬆症患者の抜歯が遅滞すると、口腔内の感染が拡大し顎骨壊死が増加する懸念がある。つまり今回のアンケートの結果は、医科歯科連携が不十分であると、感染症の感染源が放置され、顎骨壊死を引き起こしてしまう恐れがあることを示している」と警鐘を鳴らし、より緊密な医科歯科連携の重要性を説いた。

顎骨壊死問題解決の一助に
成人病診療研究所 所長・白木正孝氏
顎骨壊死に関する実態調査から驚くべき結果が示された。歯科でルーチン化した休薬がこの問題の解決にならないこと。骨吸収抑制薬使用前における歯科検診が医師の間で常態化していないこと。この知見は顎骨壊死をめぐる問題の解決に向けた一助となることが期待された。

【Medical Tribune】




実は私が昨日参加した日本有病者歯科医療学会・学術教育セミナーでもこの問題が指摘されました。そして、この顎骨壊死に関しては、以前の考えから少し変化しているようです。
# by kura0412 | 2016-11-07 11:58 | 歯科 | Comments(0)

“過激”な委員が集結した「規制改革推進会議」

構造改革を進めるうえでカギを握る会議
国の規制の具体的な見直しを議論する政府の「規制改革推進会議」が本格的に動き始めた。安倍官邸に設置された会議体は「経済財政諮問会議」「働き方改革実現会議」「未来投資会議」など乱立しているが、その中で最も“改革色”が強いのがこの会議。具体的な成果が見えないと批判されるアベノミクスの構造改革で、どれだけ実効性を上げられるかはこの会議にかかっていると言えそうだ。
いくつもの会議体がある中で、その時々で重要な役割を担う会議がある。小泉純一郎内閣から第1次安倍晋三内閣にかけては、「改革の司令塔」としての役割を担ったのは経済財政諮問会議だった。首相が議長を務め、民間人議員も加わった会議体をフル活用することで、首相のリーダーシップを発揮する場となった。毎年6月に「骨太の方針」を示すことで、改革を進めた。

経済財政諮問会議からは、大胆な改革案が出にくくなった
経済財政諮問会議が主導する改革は霞が関の各省庁の権限を抑え込むことになることから、官僚組織からは敵視されてきた。徐々に包囲網が作られ、大胆な改革プランがなかなか出しにくくなった。
第2次安倍内閣以降は、民間人議員の発言力が大きい「産業競争力会議」(議長・安倍首相)が設置され、改革の司令塔の役割を担ってきた。毎年6月に出される「成長戦略」を策定するのが主要な役割だが、そこに改革プランを盛り込むことで各省庁を動かした。
6月には「成長戦略」と、経済財政諮問会議が出す「骨太の方針」、規制改革推進会議の前身である規制改革会議がまとめた「規制改革実施計画」の3つが同時に閣議決定されるパターンが定着していた。
今年の夏はこうした官邸の会議が大きく模様替えされた。産業競争力会議は休止されて未来投資会議に衣替えされたほか、規制改革会議は規制改革推進会議として新装開店した。

医療、農業、雇用分野を「岩盤規制」だと名指し
安倍首相は「アベノミクスの一丁目一番地は規制改革だ」と繰り返し述べている。さらに医療、農業、雇用分野を「岩盤規制」だと名指しして、その改革を強調してきた。岩盤規制については「国家戦略特区」を使って穴を空ける試みが繰り返されてきたが、全国一律の規制改革はなかなか進んでいない。背景には従来の規制改革会議が非力だったからだ、という指摘もある。主要会議体の中で規制改革会議だけが首相が議長を務めていないことから、政治のリーダーシップを発揮しにくいという事情もあった。
そんな中、9月12日に初会合を開いた新生「規制改革推進会議」は改革派が名を連ねた。大田弘子・政策研究大学院大学教授を議長に、総勢14人の民間人で構成した。大田氏は第1次安倍内閣時代に民間人閣僚として入閣、経済財政担当相を務めた。当然、安倍首相の信任も厚い。従来、この手の会議は財界人がトップを務めてきたが、学者の大田氏を据えたのは安倍首相とのつながりを重視した結果とも言える。
ナンバー2の議長代理には金丸恭文・フューチャー会長兼社長を据えた。菅義偉官房長官とのパイプが太く、安倍首相にも信頼されている。金丸氏は前身の規制改革会議のメンバーで農業ワーキング・グループの座長を務めた。JA全中(全国農業協同組合中央会)の改革案を取りまとめるなど、強い農業の再生に向けた農協改革で手腕を発揮。足下では生乳の生産・流通に関する規制の改革に力を注いでいる。
金丸氏は自民党農林部会長の小泉進次郎・衆議院議員とも緊密に連携している。金丸氏のこうした人脈ネットワークの広さによって、難題だった農業改革に切り込むことを可能にした。

【磯山友幸・日経ビジネス】
# by kura0412 | 2016-11-04 11:54 | 経済 | Comments(0)

デフレに逆戻り。経済に魔法なんかありません。

黒田日銀による金融超緩和政策によってデフレから脱却すると言ってももう誰も信用しなくなりました。総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が99.6で7ヶ月連続の下落となりました。
デフレを脱却すれば、経済の成長を取り戻せるという魔法の言葉をマスコミは信じたのか、まるでテレビジャックしたようにリフレ派の経済学者の人たちが登場した時期もありましたが、実体経済が変わらないのに、金融政策だけでデフレ脱却、めでたく経済成長というのは眉唾ものだ感じていた方が多かったのではないでしょうか。経済界も信用しておらず、積極的な投資や賃上げを見送り、結局は円安で得た利益は、安倍内閣が強く要請したにもかかわらず、内部留保に回りました。
振り返ってみると、リフレ派の学者よりも普通の人たちの考えかたや感触のほうがあっていたということです。それにしても金融緩和に疑問を唱えると、まるで魔女刈りのように非難していた学者さんがいたことも気になったところです。
結局は、経済に魔法はなく、産業構造を変えつつ、サービス産業の生産性を高めていく王道でしか日本の経済再生の道はないということでしょう。そのためにはなにに重点を置き、どんな姿を実現するのかの新鮮なビジョンを打ち出すことでしょうが、自民党も種切れ、野党第一党の民進党からも共感できるビジョンがでてきません。
きっと目指しているのが、新しい価値観やビジョンで競うことではなく、個々の政策の対案づくりで競うというレベルに置いていることが致命的なのでしょう。
新しい発想がでないというのなら、腰をすえて、教育投資世界一なり、人材づくりと海外からの人材誘致を目指せばいいのですが、政治と官僚とスポーツ界がつるんで、人よりは箱モノという古い体質を東京オリンピックでも見せてしまいました。

地方主権の促進や、とくに首都圏一極体制から脱却し、産業の地域多極化をはかることが、働き方革命を促進し、また豊かな多様性を生み出すことにつながり、生産性のアップの有効な切り札になってくるはずです。それを促進するには、まずは国民のコンセンサスづくりから始まりますが、それは政治の役割なので、政治家のみなさまには頑張ってもらいたいものです。
そういえば地方といえば、業種がITだからでしょうか、沖縄宜野座村から企業誘致の案内をいただきましたが、大阪でも充分にローカルのメリットがあります。
周りを見渡せば、民間は頑張っていると感じます。というか、成長意欲の高い企業の方から問い合わせがくる仕事なので、バイアスがあるかもしれませんが、創意工夫で再び来たデフレ時代を切り抜けていこうという意欲がもしかすると日本を衰退から救うのではないでしょうか。

【大西 宏・マーケティング・エッセンス】
# by kura0412 | 2016-11-04 11:49 | 経済 | Comments(0)

口腔がん対策、データ収集などで実態把握を- 推進協議会で日歯副会長が提言

日本歯科医師会(日歯)の佐藤保副会長は、26日に開かれた厚生労働省の「がん対策推進協議会」に参考人として出席し、口の中やその周辺にできる口腔がんの実態を把握すべきだと提言した。口腔がん対策については委員から、歯科衛生士も交えた医科・歯科連携を進めるべきとの声が上がった。

同協議会では、来年6月に施行予定の第3期のがん対策推進基本計画の策定に向けて議論している。佐藤氏は、国内で口腔がん治療などのデータを収集するシステムが整備されておらず、実態を把握することが困難だと指摘。また、専門的な歯科医が不足していることに加え、患者を歯科医療機関から専門的な医療機関に紹介する歯科医の育成が不十分なため、口腔がんの早期の発見・治療につながりにくい現状を問題視した。
その上で、データ収集やスクリーニングの方法の確立による口腔がんの継続的な実態の把握に、国を挙げて取り組む必要性を強調。さらに、予防や早期の発見・治療といった対策も推進すべきだとした。
意見交換で、若尾直子委員(NPO法人がんフォーラム山梨理事長)は、がん診療連携拠点病院などで「歯科衛生士がラウンド(巡回)するのが当たり前のようになってほしい」とし、歯科衛生士を含めた医科・歯科連携を推進する必要があるとした。
これに対し、佐藤氏は「(口腔がん対策として)歯科衛生士のあり方をしっかりと示していきたい」と述べた。

【キャリアブレイン】
# by kura0412 | 2016-11-02 09:21 | 医療政策全般 | Comments(0)

安倍首相に「早期解散見送り」を決断させた、驚きの選挙予測
86選挙区で敗北の可能性アリ?

首相・安倍晋三は衆院解散・総選挙の時期について「来年1月解散・2月総選挙」をとりあえず選択肢から外した。よほどのことがない限り、この時期には行わず、2018年暮れの衆院議員任期満了をにらんで「来年秋以降~再来年年頭」を軸に解散時期を模索する構えだ。
来年年頭に解散しないのは、自民党総裁の任期が「2期6年」から「3期9年」にスムーズに延長されること、来年5、6月ごろに実現する見通しの衆院定数削減・是正前に解散すると「定数削減逃れ」という批判を招くこと――などが理由だ。
だが、真相は自民党が勝てない、公明党を含め政権維持に必要な過半数の議席を確保しても、議席を大幅に減らす可能性があるからではないか。

若手議員の後援会作りは3割以下
自民党は10月中旬から、衆院当選1、2回の若手議員約120人を3グループに分け、選挙対策の勉強会を始めた。席上、幹事長・二階俊博は「次に選挙があるのは衆院であることは間違いない。そろそろ準備をしておく。(衆院解散は)いずれ来る」「選挙は一人ひとり、個人個人の問題だ」とあいさつし、発破をかけた。
24日の会合では官房副長官・萩生田光一が「皆さんの活動状況次第では候補者を差し替えるというのが安倍総裁の意向だ」と述べ、候補差し替えに言及した。
前回の衆院選から約2年、自民党が政権を奪還した12年12月の衆院選からは約4年が経過している。にもかかわらず、今になって選挙対策の勉強会を開いたり、候補者差し替えを検討したりしていることに、自民党の危機感が表れている。
かつての自民党議員なら、選挙対策を指導する必要はなかった。選挙運動と後援会づくりは一体であり、立候補を決断した段階から後援会作りに励んだ。それが、多少逆風が吹いても当選する源泉だった。元首相・田中角栄の「越山会」が有名で、元首相・竹下登は「角サンの票は一票、一票を鋲(びょう)で止めてあるようだ」と語っていた。
ところが、今の当選1、2回議員の選挙運動の実態について、自民党実力者はこう語る。
「しっかりした後援会を作っているのは3割に満たないのではないか」

中堅議員も、彼らの怠慢ぶりに驚きを隠さない。
「彼らが初めて当選した12年暮れの衆院選直後、13年元日に皇居で行われた新年祝賀の儀に、初当選したばかりの議員がいっぱい来ていた。私は、大差を付けて当選できるようになってから出席した。それまではずっと欠席していた。元日は、地元の神社を回るもんですよ。そこで、お参りに来た有権者に当選の御礼をする。年頭から選挙運動を始める気持ち、意識を、そもそも持っていないんですね……」
新年祝賀の儀に限らず、国会議員に案内状が出される会に当選1、2回若手議員が出席している姿を見かけることが多い。「当選1回議員の最大の仕事は2回目に当選すること」と言われ、若手議員が選挙区を丹念に回るのは今や昔、となってしまったようだ。 

野党一本化なら自民は86議席減?
前回の衆院選は、12年衆院選から約2年で行われた。その結果、12年初当選組119人のうち104人が当選を果たした。
「小泉チルドレン」と言われた自民党の05年初当選組83人が09年衆院選で10人(旧みんなの党を含む)に、「小沢チルドレン」と言われた旧民主党の09年初当選組143人が12年衆院選で11人(同)に、それぞれ激減した。これに比べ、12年当選組の大半が生き残った。
議席が大きく変動した衆院選は前回との間が4年、3年4カ月と空いていた。しかし、12年当選組は約2年で次の選挙を迎えた。14年衆院選は旧民主党批判が強く、安倍政権が順調な時期だった。かつ、民主、共産、社民、生活の各党がバラバラに戦っていた。
ところが、次期衆院選は14年とは様相が異なることになりそうだ。野党4党が調整を水面下で進め、候補者を一本化する公算が大きい。
「野党(候補)が一本化された場合、前回の衆院小選挙区獲得議席のうち、単純な足し算で86選挙区は勝てない可能性もある」
幹事長代行・下村博文は自民党の選挙対策勉強会でこう語り、危機感をあらわにした。自民党の衆院議席は現在、自民系を含め294。下村が指摘する86選挙区すべてで議席を失ったら208。公明党の35議席を加えても、定数削減後の過半数233議席をやっと上回る程度に落ち込むことになる。
もちろん、自公両党はそれでも過半数を確保できるのだから、政権を維持する。しかし、自民党が大きく議席を減らすなら、18年9月の自民党総裁選で安倍の3選に黄信号が点滅することになるだろう。
その時に敗北の責任を問われないためには、14年11月の解散時のように安倍の主導権で解散するのではなく、多くの自民党議員が「この時期ならやむを得ないな」と思われるような解散時期を選ぶ必要がある。
その時期は任期満了の1年前あたり、つまり来年秋からだろう。それまでは当選1、2回議員に地盤を固める、最後の猶予期間となるに違いない。

【ニュースの深層・田崎史郎】
# by kura0412 | 2016-11-01 15:17 | 政治 | Comments(0)

「食」が「学問」になる日
立命館大学が食科学部設置構想を推進

2018年4月、立命館大学は食科学部の新設を構想中だ。食を総合的に研究し、教育する学部が日本にできるのはこれが初めて。世界的に見てもほとんど例のない画期的な学部になる見込みだ。少子化の時代に新学部を開設するのは立命館大学にとっても大きなチャレンジ。食の安全や飢餓が人類史的な問題となっている中で、食について高度で専門的な知見やマネジメントスキルを持つ人材を育てることは、グローバルに見ても大きな意義がある。このチャレンジングな取り組みには、国内はもとより海外からも大きな注目と期待が寄せられている。
食を総合的に研究・教育する

「今、世界は食をめぐる大きな問題に直面しています」
食科学部開設の目的を問うと、立命館大学経済学部の井澤裕司教授はそう話し始めた。行動経済学の研究者として知られる井澤教授は、食科学部設置委員会の事務局長も兼務している。
「かつては食の問題といえば、量だけの単純な問題でした。けれども今は飢餓と肥満の問題が併存し、食の安全、流通、あるいは食文化などが複雑に絡み合っています。もはや一つの学問分野だけでは解決不能ですし、従来からの価値観やツールだけでも解くことはできません。食科学部の開設には、そういう社会問題を解決したいという強い思いが前提としてあります」
食べることは、人間生存の本質にかかわること。人類はどこで何をどう食べてきたのか、食べることの倫理、哲学はどう変容してきたのか、そうした深い教養がなければ食の問題は解決できないし、一方では科学や技術に関する深く専門的な知識も必要になる。
「だから食科学部では、フードマネジメント、フードカルチャー、フードテクノロジーを総合的に研究し、教育します。海外には食科学系の大学や学部がすでにありますが、ここまでトータルに食をとらえた高等教育機関はほかにありません」
特に重視しているのが、複雑な問題を解決する能力としてのマネジメントスキルだ。
「日本のサービス産業は生産性が低いという弱点があります。サービス産業のかなりの部分が食関連産業であり、その生産性を上げるために何よりも必要なのが教育です。マネジメントできる人材を育てることは、食科学部の大きな目標の一つです」

グローバル志向も特徴の一つ
こうした動きを産業界はどう評価しているのか。外食大手のロイヤルホールディングスの代表取締役会長兼CEOで、日本フードサービス協会の会長も務める菊地唯夫氏が外食産業界を代表してこう語る。
「食科学部設置の計画を知ったときには、日本でもようやくこういう動きが出てきたかという思いがしました。海外には食やホスピタリティの学校がたくさんあるのに、日本ではなぜ食というと農学や栄養学などに限定されているのだろうかと長年思っていたからです。外食産業界は、業界全体を俯瞰してみることのできる人材を必要としており、フードマネジメントを総合的に教育する学部ができることは、業界としても大歓迎です」
もう一つ、食科学部が重視するのはグローバル志向だ。食といっても和食だけに価値を見出すのではなくグローバルに食をとらえ、グローバルな観点で問題解決に寄与できる人材を育てる。そのために食科学部では「語学教育にも特徴を持たせる予定だ」と井澤教授は言う。
「英語教育のレベルは立命館大学でもトップクラスにします。学生には、ビジネスに使える、発信力のある英語を身に付けさせます。授業時間は本学の文学部や国際関係学部と同等。近年は英語専修の流れが強い中、あえてイタリア語等の第二外国語も必修です」

ル・コルドン・ブルーと提携
ここで注目すべきなのが、ル・コルドン・ブルーとの提携だ。
立命館大学は、文化と料理の関係を考察するガストロノミーやホスピタリティ、マネジメントの世界的な教育機関であるル・コルドン・ブルー・インターナショナルとの大型提携を進めていこうとしているのだ。ル・コルドン・ブルーは世界でこれまでに約30余の大学や専門教育機関とパートナーシップを結んでいるが、日本の大学では立命館大学が初めての本格的な提携大学となる。この提携について、ル・コルドン・ブルー・インターナショナルのアジア代表兼ビジネスディベロップメント・ディレクター、シャルル・コアントロ氏は次のように述べている。
「数年前からパートナーとなる日本の大学を模索していました。立命館大学とは何度も話し合った結果、未来志向のビジョンで多くの意見が一致しました。食科学部のキャンパスにル・コルドン・ブルーの教育施設を設けることも検討しています。日本では2020年に向けて海外からの観光客が急増しています。しかしそれに対応するホテルや飲食店のスタッフのレベルが追いついていません。エデュケーションプロバイダーとして私たちの役割、責任を果たしていくうえでも、立命館大学とパートナーシップを結ぶことは大きな意義があると考えています。食文化やホスピタリティの高等教育機関として食科学部は間違いなくワールドクラスのキャンパスになるでしょう」
一方、立命館大学は、日本の文化人類学研究の中心的存在である国立民族学博物館とも協力関係を結んでいる。文化人類学は食文化や食の研究をしてきた長い歴史があり、食科学の研究は文化人類学の領域とも密接なつながりを持つ。そのため立命館大学は国立民族学博物館と食文化の共同研究を推進するための学術交流協定を締結しているのだ。2014年には国立民族学博物館と共催で国際シンポジウム「世界の食文化研究と博物館」も行っている。

LE CORDON BLEU
世界20カ国で35校を展開する
エデュケーションプロバイダー
ル・コルドン・ブルーは、1895年、フランス料理の学校としてスタートした教育機関。現在は食文化やホスピタリティなどについて教育する学校を20カ国で35校以上展開している。生徒の国籍は約130カ国に及び、東京と神戸にも学校がある。日本の学校ではアジアをはじめとする日本以外の国々からの入学生が増えているため、授業は日本語、英語、中国語の3カ国語で行っている。各国に複数のキャンパスがあるため、たとえば東京校で料理の基礎コースを学んだら、その次はカナダのオタワ校で別のコースを学ぶということも可能だ。

食が学問になることを立証する
その国立民族学博物館の名誉教授で、現在は立命館大学経済学部教授・国際食文化研究センター長の朝倉敏夫氏は「食というのは人間にとって大きなテーマ」と指摘する。
「食は文化人類学の基本テーマであり、食文化を学ぶことは人間を学ぶことにほかなりません。しかも食というのは、農学や栄養学、さらには経済学、地理学、民俗学などすべての学問につながります。ただ日本では、食というのは極めて身近な個人的な行為とみなされがちなため、食が学問として扱われることがあまりありませんでした。しかし今は食の安全や流通などが人類史的な問題となっており、食を学問として確立しなければいけない時代になっています。食が学問になることを立証するのも、食科学部の大きな使命だと考えています」
計画では、食科学部は立命館大学の「びわこ・くさつキャンパス(BKC)」に設置されることになっている。BKCには、理工学部、情報理工学部、生命科学部、薬学部などの理系学部が集まっており、総合科学である食科学の研究・教育拠点を置くには学術環境として最適といえる。食科学部が開設されれば文化人類学など人文系の研究者も数多く参集することが予想される。
「本当の意味での総合大学の教育を高いレベルで提供できるベースがBKCにはあります。立命館大学の食科学部は、世界一の学部になりえる可能性を十分持っています」(井澤教授)
2年後、食科学部が産声を上げる。食が学問として確立される取り組みがそこから始まる。そしてそれはまた立命館大学が世界一に挑む壮大な挑戦の始まりにもなる。

国も高く評価し支援する
サービス産業は国内総生産(GDP)及び雇用の約7割を占めています。政府はGDPを600兆円にする目標を打ち出していますが、それを達成するためには、GDPや雇用の太宗を占めるサービス産業の生産性向上が不可欠、特に経営の質の向上が必要です。そのため経済産業省は今後のサービス産業の生産性向上を担う経営人材を育成する施策として、平成27年度から「産学連携サービス経営人材育成事業」を行っています。産学共同による経営人材育成に資するカリキュラム開発を支援する事業で、立命館大学の食科学部設立に向けた取り組みは2年連続で補助事業に採択されました。非常に専門的、実践的で、かつ大きな取り組みというところが評価され、平成27年度末の事業報告会では特別賞も受賞しました。
食科学部設立に向けた取り組みは他大学の刺激にもなりますし、他地域の大学と連携すれば全国的な広がりが出てくることも考えられます。海外の大学や教育機関と連携すれば、「立命館」の名がさらに世界的に知られるようにもなるでしょう。
井澤裕司先生には何度かお会いしましたが、大変な熱意を感じました。井澤先生のような存在も、原動力になっているのではないでしょうか。食科学部ができて5年後、10年後、優秀なマネジメント人材が輩出されサービス産業の生産性が向上し、さらに魅力ある産業に発展していくことを期待しています。世界のトップを走る学部にぜひなってほしいと思います。
 
事業モデルの転換を図る外食産業
日本の外食産業は、狭義で24兆円、広義だと30兆円の市場規模を持つ巨大産業です。しかしその外食産業が今、大きな転換期を迎えています。多店舗化による成長モデルの見直しが必要になってきたからです。
人口減少時代を迎え、外食産業界では労働力不足が深刻になりつつあります。昨年は人手が確保できずに閉店したお店もありました。今は募集しても応募者が集まらない状況が続いています。私はこれを、供給制約の時代と規定しています。労働力の供給制約が産業のあり方まで変えるほどシビアになってきているのです。
労働人口が減少しても、すべての産業が同じように厳しくなるわけではありません。魅力のある産業には、人が集まります。つまり外食産業は事業モデルのあり方を変えるとともに、魅力ある産業に転換しなければならないのです。そのためには付加価値を上げて生産性を高めていくことが不可欠です。そしてそれを実現するために必要なのが、優秀なマネジメント人材なのです。
実はロイヤルホールディングスも既存店の売り上げは前年割れが続いていました。しかし直近では4期連続の増収増益を実現しています。そこにはいろいろな要因がありますが、社員教育の効果も大きかったと考えています。「経営塾」という教育研修の制度を設け、財務諸表の見方や経済・経営の専門知識を教え、自社の経営を客観的に見られる力を養うようにしてきた効果が表れ始めたのです。
そういう意味で立命館大学の食科学部設置構想は、まさに我が意を得たりという思いがします。持続的な成長モデルを自分たちで考えないといけないときに、学問的なサポートが得られれば非常に心強いですし、食をトータルに学び、マネジメント力を身に付けた優秀な人材が輩出されれば、頼もしい限りです。日本の食のすばらしさを海外にもっと発信していくためにも、外食産業界は立命館大学食科学部に協力を惜しみません。
 
# by kura0412 | 2016-10-31 12:43 | 経済 | Comments(0)

インフレ知らず悲観的…物価2%、ゆとり世代が壁
消費より貯蓄優先

1990年代後半以降のデフレ下で育ってきた若者の消費がさえない。収入があっても貯蓄にお金を回しがちで、中高年が夢中になった自動車やステレオなど見向きもしない。日銀の物価2%目標のメドがいっこうに立たないのは、そんな「ゆとり世代」の冷めた物価観や消費行動が一因かもしれない。

記者は1993年生まれの23歳。バブル経済もインフレも経験したことがない。物心ついたころには街中に100円ショップが立ち並び、軒先に「飲み放題」を掲げた居酒屋にサラリーマンが吸い込まれていく姿はありふれた光景だった。
確かに物欲は乏しい。夕食もコンビニ弁当が多い。ただ日本の消費に占める30歳未満の比率は1割強程度とされる。若者だけがお金を使わないと決めつけるのは、少し無理がある。
総務省によると1999年から2014年にかけて30歳未満の消費支出は14.6%減少した。ほかの年代も似たり寄ったりで支出の減少幅は平均で約12%。30~39歳に限れば25.8%も減った。
若者が消費低迷のやり玉にあがるのは、稼いだ額に見合うお金を使っていない面があるからだ。
可処分所得は多くの年代で減少したが、30歳未満では99年から14年の間に逆に2%増えた。一方で消費が減った結果、貯蓄率は15.7%から30.9%へとほぼ2倍に高まった。全年齢平均の貯蓄率の上昇幅は5.8ポイントなので、若者がお金をため込んでいるように映る。

デフレ時代に育った私たちは「日本は少子高齢化で大変なことになる」と聞かされ続けた。「社会保障への不安から、将来に備えお金をためようという発想が強い」(日本総合研究所の下田裕介氏)のは否定できない。
インフレを知らないからお金を寝かしておくリスクにも実感がわかない。
野村証券の試算によると29歳以下の若者の1年後の物価上昇予想(期待インフレ率)は1.9%だ。全世代平均は2.1%で、インフレを知らない若年層の物価上昇「期待」は一貫して低めだ。
日銀の黒田東彦総裁は21日、「デフレが長く続いたため、人々の予想物価上昇率が過去の物価上昇率に強く引きずられる傾向がある」と発言。日銀は物価目標に関し、実績ベースで「2%超を見るまで緩和を続ける」と約束して「期待」を刺激しようとしているが、“低体温”の若年層がカベになる可能性がある。

若者がお金をためるのは魅力的な「モノ」がない裏返しではないか。
若者の音楽離れが指摘されるが、音楽ライブの年間売上高はこの5年で2倍以上に増加した。モノから、イベントや旅行といった「コト」への消費シフトが進み、ハロウィーン市場は今やバレンタイン関連を抜いた。
テレビなど民生用機器の出荷額は15年までの5年間で7割近く減ったが、スマートフォン(スマホ)の普及率は約7割に高まった。SNS(交流サイト)の広がりもあり、人とほどよいつながりを求めるのが若者流だ。
人手不足もあって、モノの値段が下がり続ける中でもサービス価格は上昇中だ。若者消費が熱を帯びれば経済の体温も少しずつ上がるだろう。「デフレから脱却できるかは若者の動向が大きなカギを握る」(野村証券の木下智夫氏)。インフレを知らない世代が、インフレをもたらす日はそう遠くないかもしれない。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-10-31 10:15 | 経済 | Comments(0)

節約志向で…百貨店、苦境突出 10月日経DI
2四半期連続悪化

百貨店など物販の景況感が大幅に悪化している。四半期ごとの消費関連企業の景況感を示す「日経消費DI」の10月調査は業況判断が7月調査から2ポイント低下のマイナス20となり、2四半期連続で下落した。特に百貨店は同30ポイント下落のマイナス80と、2010年1月以来の低水準。消費者の節約志向が強まっているほか、インバウンド(訪日外国人)消費にも陰りが見られる。

調査期間中の9月は台風や残暑で外出する消費者も減り、衣料品などの季節商品が振るわなかった。天候不順に加え、円高による企業収益の悪化などで先行き不透明感が強まり、消費者の節約志向が高まっている。今回は外食やサービスを含む全15業種のうち、7業種の業況判断が悪化した。
最も悪化した百貨店からは「訪日客の宝飾品消費もさえない」(三越伊勢丹)との声が漏れる。スーパーは同23ポイント下落のマイナス17、コンビニ・ミニスーパーも同29ポイント下落のマイナス29だった。物販全体では同10ポイント下落のマイナス26となった。
消費者の節約志向は消費関連企業の戦略にも影響を与え始めた。「無印良品」を展開する良品計画は8月から靴下の価格を3足1200円から同990円に値下げした。松崎暁社長は「価格戦略を見直す」と強調する。
ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は節約志向の強まりなどを受けて「2020年の東京五輪前にかつてない不景気が来る可能性がある」と厳しい見通しを示す。9月には一部店舗で色調に一体感を持たせた低価格帯のインテリア雑貨を投入した。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も「消費者の生活防衛意識は強まっている」と指摘する。

日経消費DIの業況判断は今年に入ってマイナス圏に沈み続けている。第2次安倍晋三政権が進めた「アベノミクス」や3年連続の賃上げなどで消費環境は一時、改善に向かい、この3年間でプラス圏に浮上する時期もあった。ただ現在はマイナス20まで低下、第2次安倍政権の発足前後の水準まで戻った。
3カ月後の業況見通しはマイナス12と7月調査と同じだった。年末の宴会シーズンを迎える外食が5ポイント上昇のマイナス22だった一方で、百貨店が10ポイント低下のマイナス40と景況感が悪化するなど業種ごとのばらつきが見られる。

▼日経消費DI 
日本経済新聞社がまとめる景気指標。業況判断は「良い」と答えた割合から「悪い」を引いた値。スーパーや百貨店、旅行・運輸、外食など15業種を対象に1995年に始めた。「消費者の支出意欲」「今後3カ月の売上高見通し」なども調査する。今回は278社にアンケート用紙を郵送。2016年9月上旬から10月上旬に187社から回答を得た。回収率は67%。調査票の発送、回収、集計は日経リサーチが担当した。

【日経新聞】



景気動向に大きく影響する歯科としては悩ましい状況になっているようです。
# by kura0412 | 2016-10-29 10:05 | 経済 | Comments(0)

かかりつけ医以外の外来定額負担 反対多く 厚労省審議会

厚生労働省は26日、外来で病院を受診した際にかかりつけ医以外なら定額の負担を患者に求めることができるかを社会保障審議会で議論した。過剰な受診を減らし、医療費の伸びを抑えるのが狙いだ。出席した委員からは「公的保険の7割給付を守るべきだ」など反対が大勢を占めた。低所得者を含め幅広い層に負担を求めるため、厚労省自体も慎重姿勢だ。医療費抑制の道は険しい。
かかりつけ医以外を受診した場合に定額の負担を求める案は政府が2015年末にまとめた経済・財政再生計画で検討を明記。財務省も厚労省に導入を求めている。

26日の社会保障審議会医療保険部会で複数の委員が反対の根拠にしたのが02年の改正健康保険法だ。現役世代の自己負担を2割から3割に引き上げた一方、同法の付則で「医療にかかわる給付割合は将来にわたり7割を維持する」とした。定額負担を導入すれば、3割を超えた負担をする人が出る。このため、日本医師会の松原謙二副会長が「(定額負担は)不適切だ」と厳しく批判した。
医療保険財政の維持へ一定の負担増を容認する健康保険組合連合会(健保連)の白川修二副会長も「国民の納得を得られると思えない」と表明。反対の理由は、政府側がかかりつけ医を普及させるために定額負担を導入するとした点にある。
かかりつけ医の普及は26日の部会でも賛成多数だったが、厚労省はどのような医師がかかりつけ医なのか定義を示していない。高齢者が内科や外科など複数のかかりつけ医がいるとした場合、定額負担をどう課すかも不透明。この状態で導入すれば混乱しかねない。
定額負担を巡っては、11年に全ての病院を受診した際に100円程度の負担を求める案を検討したものの、反対が根強く断念した。今回、かかりつけ医の普及という名目での再挑戦は戦略ミスとなった可能性がある。
白川氏は「定額負担や7割給付を幅広く議論したらどうか」と提案した。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の1人あたりの年間外来受診回数は12.8回。英国(5.0回)やドイツ(9.9回)より多い。15年度の概算医療費は41.5兆円まで膨らみ、大半を税と社会保険料で賄う。患者負担の引き上げは避けられない情勢だ。
医療保険部会では年末までに制度改正案をまとめる方針だが、個人に負担を求める不人気政策には及び腰だ。70歳以上を対象に自己負担の月額上限を定めた「高額療養費」は引き上げ対象が高所得者中心になる見通し。金融資産に応じた個人負担の導入は見送りの公算が大きい。現役世代の社会保険料は増え続け、取りやすいところから取る状況が続く。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-10-28 16:47 | 医療政策全般 | Comments(0)

もう東電を切り捨てるしかない!新潟県知事選「想定外の大差」の意味
再稼働なんて夢物語

ぬぐえない原発への不信感
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡る「ワンイシュー(単一争点)選挙」となった先週日曜日(10月16日)の新潟県知事選挙で、「現状では議論も始められない」と対立候補よりも慎重な立場をとった米山隆一氏(共産、自由、社民各党が推薦)が、自民、公明両党推薦で「徹底的な検証」を主張した森民夫前長岡市長らを予想外の大差で破った。
この選挙が浮かび上がらせたのは、有権者の間に、福島第1原発の事故で経営破綻に瀕した東京電力を庇い続けてきた菅、野田、安倍の歴代3政権の原発政策に対する根強い不信感が、今なお存在するという事実だろう。
選挙戦の最中(10月12日)に、当の東電グループが35年間も使い続けたケーブルで火災を起こし、都心で大停電を招いたことも、有権者に原発事故当時から拭えない懸念を思い起させた。どんなに原子力建屋などの耐震基準を厳格化しても、肝心の東電の体質が変わらないのでは、原発を委ねられないという懸念である。
その一方で、大型原子炉が7基もある柏崎刈羽は、世界最大の発電容量を持つ原発だ。きちんと動かせれば、化石燃料市況にコストを左右されない首都圏への安定電力供給源になる。その意味では、現政権の経済面での1枚看板である成長戦略の一翼を担うことも可能だろう。
1日も早く再稼働させたいと政府が本気で願うのならば、遅ればせながら東電保護政策と決別する時だ。東電を同原発の運営と切り離し、信頼される他の主体に委ねることにして、新潟県民の原発への信頼を取り戻す必要がある。

「反省が足りていない」
米山氏は52万8455票を獲得、次点の森氏(得票数46万5044票)に6万3411票の差をつけて当選した。マスコミによると、この差は「予想外の大差」だ。
投票直前まで「どちらが勝つにしても数千票以内の差だ」(産経ニュース)とみていたからである。確かに、地元では8月末、泉田前知事がかねて表明していた4選出馬を撤回した段階で、すでに出馬を表明していた森候補が圧倒的に優勢とみられていた。
森氏は建設官僚時代から政治家への転身を周到に準備してきた人物で、9月初めの退任まで現役の全国市長会長だった。
今回は、自民、公明両党の推薦だけでなく、早々に民進党の最大支持母体である連合のローカルセンター「連合新潟」の支持も取り付け、知名度と組織力の両面で大きくリード。泉田時代に細った中央とのパイプを復活して減った公共事業を回復するとの主張も説得力があった。
一方の米山氏は医師で、どちらかと言えば知名度に難があるうえ、もともと「民進党の次期衆院選候補」とされていた。
ところが、前述のように連合新潟が森氏支持を決めたため、民進党は自主投票を決め込み、米山氏は同党の推薦を受けられなかった。同氏が立候補表明に漕ぎ着けたのは告示のわずか6日前である。当初は、米山氏を泡まつ候補扱いにしたメディアまであったという。
しかし、米山氏は「泉田知事の後継者」「現状では再稼働の議論は始められない」と主張して、ある種の旋風を巻き起こした。
加えて、大きく影響したのが「東京電力パワーグリッド」が選挙期間中(10月12日)、35年も使われてきた、首都圏の3つの変電所を結ぶ地下ケーブルで火災を起こし、それが大停電の原因になったことだ。55分程度で復旧したものの、範囲が東京都内の千代田、中央、港、新宿、豊島など主要10区の58万軒に及ぶ大規模停電だった。
これだけの停電を起こしながら、マスコミ向けの説明と謝罪に出てきたのは、中間管理職だった。この対応を見た有権者の多くが「福島第1原発事故と同じ対応だ。またしても反省が十分でない」、「柏崎刈羽原発でも似たような事故を繰り返すのではないか」と不安にかられ、米山旋風を加速させたとみられる。原発ワンイシュー選挙を恐れる東電
福島第1原発事故以来、東電は、資本主義のルールを無視した国有化、賠償・除染・廃炉に対する巨額の財政支援、そしてBWR型原発の新規制基準適合審査でトップバッターとする優遇措置など、あの手この手の国策支援を受けて、経営破綻を免れてきた。
しかし、事故以前に「(津波堆積物の)痕跡がない」と言い張って津波対策を怠ったのは周知の事実である。それどころか、事故後も今年7月にメルトダウン隠しの事実を認めて謝罪するまで5年以上の歳月を費やすなど、安全軽視の隠蔽体質が一向に改まった兆しが見えて来ない。
そんな電力会社に2度と原発を運転してほしくないと考えるのは、市民として当たり前の感覚だろう。
今回、複数の原発を持つ電力会社がショックを隠せないのは、米山氏の都市部での強さが際立ったことだ。同氏は森氏との得票差の7割弱に相当する4万2580票を新潟市内で獲得した。一方の森氏は、原発立地の柏崎市と刈羽村で米山氏を上回る支持を得たものの、都市部での大差を埋められなかった。
原発慎重派知事の誕生例として見た場合、米山氏は、今年7月に就任した鹿児島県の三反園訓知事に次ぐケースだ。

件(=くだん)の電力会社は今後、青森、宮城、福井、島根、愛媛、佐賀といった主要な原発立地県で、米山型ワンイシュー選挙を仕掛けて当選する反原発候補が相次ぐことを憂えている。政府の「安全が確認された原発は再稼働する」という原発政策が、知事権限で反故にされかねないからだ。
別の電力会社は、筆者の取材に「もちろん原発再稼働という総論は賛成だ。が、今回は柏崎刈羽の再稼働が遠ざかってホッとした」と、耳を疑いたくなるような話をした。
というのは、今年4月にスタートした電力自由化で電力会社間の競争が始まり、本来ならば原子力損害賠償支援機構から受けた資金支援の返済に充てるべき収益を、東電が顧客囲い込みキャンペーンに注ぎ込む場面を目の当たりにして「公正な競争に反する」と不信感を抱いていたからだという。
東電幹部がここへきて「柏崎刈羽が再稼働したら、料金面で大攻勢をかける」と檄を飛ばしていたことも、この電力会社が胸中で森候補敗北期待を膨らませる原因になっていたらしい。

東電擁護策との決別を!
だが、この知事選の結果をどう分析したのか。政府・与党は引き続き、東電擁護政策を堅持どころか、強化していく構えだ。
経済産業省は先月から今月にかけて、審議会の下部組織として「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(貫徹委員会)を設置したほか、研究会として「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)を新設した。
年度内に東電の収益力の一段の強化策や、福島第1原発の廃炉費用を賄うための公的支援の拡充策、そうした費用の一般への幅広い転嫁策などを網羅的にまとめる方針と聞く。
自民党も、経済産業省の政策決定に関与するため、「原子力政策・需給問題等調査会」(会長・額賀福志郎元財務大臣)が、年内に廃炉費用や核燃料サイクル問題に関する提言を作るという。
だが、今回の新潟県知事選挙は、様々な争点のある国政選挙や、地元利害の意見集約の場にしやすい市町村レベルの選挙と異なり、県知事選挙では依然として原発問題が大きな争点になり得、東電への異例の支援が前提の原発政策が批判の的になり易いことを浮き彫りにした。
同じように運営主体問題を抱える高速増殖炉「もんじゅ」では、原子力規制委員会が「相応しい運営主体が見つからなければ、廃炉」と背水の陣を敷いて抜本的な政策転換を迫った。
柏崎刈羽原発も、運営主体の東電に対して多くの市民の危惧が集中しているのだから、もんじゅ同様に運営主体を見直すのは当然のことのはずである。つまり、東電擁護策との決別が信頼回復への第1歩ではないのだろうか。

【町田 徹・ニュースの深層】
# by kura0412 | 2016-10-25 08:45 | 政治 | Comments(0)

「解散フラグ」は立ったのか?

「解散フラグ」は立ったのか――。最近の永田町と霞が関の関心事はこれだ。与野党を問わず、みんながフラグ(旗)を探している。
「フラグ」とは何か。新語を積極的に扱う三省堂国語辞典は2014年からこの言葉を載せている。意味は「先の読める伏線」。小説などで登場人物が死亡する伏線が出ると「死亡フラグが立った」と表現するのが典型的な使い方だ。

■「3次補正なら解散」
永田町では来年1月の衆院解散が取り沙汰されている。12月15日の日ロ首脳会談で北方領土問題が進展するかが解散を左右するとみられるが、自身のクビがかかる衆院議員はもっと早く見極めたい。ライバルを出し抜くには、予兆である解散フラグをいち早く見つけ、選挙準備を始めたい。
「3次補正があれば衆院解散だろうが、今のところ党政調会では全く動きはない」。自民党石破派の10日の会合。党政調会長代理の田村憲久はこう話し、出席議員の笑いを誘った。
政府は毎年11月下旬に、その年度の税収見積もりを修正する。税収の一定割合は地方自治体への地方交付税交付金に回すため、見積もりが変われば補正予算を組む。今年はすでに2回補正を組んだため、次は第3次補正だ。
もし首相、安倍晋三が近く衆院解散に踏み切るなら、景気浮揚のための大規模な経済対策を3次補正に盛り込む動きがそろそろ出てくるはず――。田村は3次補正への動きが解散フラグとみる。

■TPP対決からも?
「TPP解散じゃないか」。副大臣の一人はTPP(環太平洋経済連携協定)承認案を巡る解散を疑う。今国会成立を唱える首相に対し、民進党は真っ向から反対。与党などの賛成多数で承認されても、民進党は内閣不信任決議案の提出を検討するとみられる。
政府関係者は「承認されない場合はもちろん、承認でも不信任案が出れば解散だ」と話す。だが、これは民進党へのけん制にも映る。フラグよりブラフ(はったり)の色合いが濃い。
そもそも1月解散説さえ、自民党幹部には「選挙準備ができていない若手の危機感をあおるためだ」とうそぶく向きもある。
ただ、作家が一人で綿密に構築する小説と違い、政治は多くの勢力のせめぎ合いでシナリオが決まる。フラグやブラフだけでなく、状況変化で回収できなくなる伏線もある。安倍自身、国会答弁ではたびたびビスマルクの言葉を引用し「政治は可能性の芸術だ」と語っている。
民進党は例年1月の党大会を来年は3月開催とした。自民党が先に党大会を通例の1月から3月にしたことが「1月解散のフラグ」とみられているためだ。代表の蓮舫は党内で「解散風がふき始めている」と説く。風ではためくフラグを前に、与野党議員は疑心暗鬼に陥っている。=敬称略

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-10-21 10:30 | 政治 | Comments(0)

降圧薬服用高齢者のフレイル、血圧低値ほど高率

80歳以降の高齢者に対する過降圧はフレイルをもたらす可能性のあることが分かった。
高齢者長期縦断疫学研究SONICの一環として、70歳、80歳、90歳の高齢者計2245人を対象に行われた横断的検討で得られた結果だ。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻総合ヘルスプロモーション科学の樺山舞氏らが、第39回日本高血圧学会総会(9月30日~10月2日、仙台開催)で報告した。

今回の検討は、高齢者高血圧の治療における降圧下限値の明確化を目的に、血圧値と身体的フレイル、高次生活機能との関連性を調べた。
対象は、SONICに参加した地域住民の70歳1000人、80歳973人、90歳272人の計2245人。血圧測定、身体的フレイルの指標である握力と歩行速度の測定、および高次生活機能の指標である手段的日常生活動作能力(IADL)の評価を行った。CHS(Cardiovascular Health Study)基準に基づき、握力、歩行速度のどちらかまたは両方が該当した場合を身体的フレイルと判定した。血圧値は収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)それぞれ4つのレベルに分けた。
SBPは男女とも、70歳より80歳で有意に高く、80歳より90歳で有意に低かった。DBPは男性のみ70歳より80歳が有意に低く、男女とも80歳より90歳が有意に低かった。高血圧は70歳で約7割に、80歳、90歳でそれぞれ約8割に認められた。降圧薬服用者の割合は年齢が高いほど有意に上昇した。また、年齢が高いほど、握力が弱く、歩行速度が遅く、IADLは低かった。身体的フレイルは70歳で37.1%、80歳で64.3%、90歳で91.7%に認められた。
降圧薬服用の有無別に血圧値と握力、歩行速度、IADLの関係を検討したところ、70歳では男女とも、服用群、非服用群のいずれにおいても有意な関連はみられなかった。しかし、80歳の服用群では、男性の握力が、DBPでは80~89mmHg群、90mmHg以上群に比べ、70mmHg未満群で有意に弱かった。SBPと握力の間でも同様の傾向が認められた。こうした関係は非服用群ではみられなかった。90歳では、非服用群の女性のIADLが、SBP160mmHg以上群に比べ同120mmHg未満群で有意に低かった。
身体的フレイルの割合は、服用群において、SBP、DBPが低いほど有意に高率(SBP:P=0.029、DBP:P<0.001)で、SBP120mmHg未満では75.0%、DBP70mmHg未満では72.7%に認められた。こうした関係は非服用群では見られなかった。
ロジスティック回帰分析により、フレイルに関連する要因(年齢、罹患疾患で調整後)を検討すると、非服用群ではアルブミン低値が、服用群ではDBP低値が独立した有意な関連因子となった。

以上より樺山氏は、「降圧薬服用群でのみ血圧がフレイルと関連しており、80歳以降の高齢者の過降圧はフレイルをもたらす可能性が示唆された」と結論した。今後の研究課題については「縦断的解析により、フレイル状態の高齢者の血圧が低いのか、過降圧によってフレイル状態になっているのかを明らかにする必要がある」と述べた。

【日経メディカル】



フレイルが内科でも注目されていることを示しています。
# by kura0412 | 2016-10-21 10:27 | 医療全般 | Comments(0)

超高額薬、値下げ柔軟に 海外と比べ随時改定
18年度から

厚生労働省は超高額の薬の公定価格(薬価)を随時引き下げられるよう制度を大幅に見直す。価格の見直しは原則、2年に1度だが、売上高が1千億円を超えるような超高額薬では必要に応じて、価格を下げられる仕組みを導入する。技術革新に伴い、超高額薬は相次ぎ登場している。現在の硬直的な薬価決定方法を見直し、医療費の膨張を抑える。
厚労省が中央社会保険医療協議会(中医協)で具体的な見直し策を議論する。2018年度の薬価改定時に導入する方針だ。
薬価制度を見直すのは、1年間使うと1人あたり年3500万円かかるとされるがん治療薬オプジーボに対応するためだ。安倍晋三首相は14日の経済財政諮問会議で薬価引き下げを指示した。厚労省は17年度に臨時で最大25%値下げする方針で、薬価制度見直しで一段の引き下げを検討する。

具体的な見直し策の一つは、保険適用する病気を増やした際の引き下げだ。
値下げしても薬を使う患者が増えるので、製薬会社の業績への影響は小さくできる。
オプジーボの場合、最初に保険適用したのは希少がんだったこともあり、高い薬価を付けた。ただ2年に1度の薬価改定が間に合わないまま、患者数の多い肺がんにも保険適用したことが問題視された。保険適用拡大時に価格を見直す仕組みの導入で同じ問題が起きないようにする。
もう一つは薬価を見直す際に海外と比較して高すぎる場合は値下げする案だ。
今でも海外で既に保険を適用して薬価が存在する場合は海外の価格に近づける仕組みがあるが、最初に保険を適用するときのみで、薬価改定時は実施していない。

日本で最初に保険適用したオプジーボは当時、参考にする国がなく、現在は米国の2倍以上の薬価がついている。厚労省は薬価改定時にも海外の価格と比較して値下げできないか検討する。
現在は高額療養費制度があるため、患者個人の負担は低く抑えられている。だが、税と社会保険料で賄っているため、財政の負担は重い。医療保険制度の持続性を高めるため、財務省は新薬の価格を決める際、「費用対効果」を判断材料にする仕組みを幅広い薬に適用するよう求める方針だ。厚労省はこうした案も検討し、医療費の抑制につなげる。
15年度の概算医療費は41.5兆円で前年度より3.8%増えた。ソバルディなど1千億円級の売上高のC型肝炎向けの高額新薬が医療費を押し上げた。年内にもオプジーボと同じ作用を示す新薬「キイトルーダ」が登場する。薬価はオプジーボが基準になり、高額薬となるのは確実。財政負担の抑制と、製薬業界の開発意欲をそがない配慮のバランスが必要だ。

【日経新聞】



果たしてこれがどのように改定全体に波及していくのでしょうか。
# by kura0412 | 2016-10-20 15:58 | 医療政策全般 | Comments(0)

介護を成長産業にする「混合介護」5つの疑問を解く

昨年末に本欄に「介護離職を減らすには介護サービス料金の自由化を」を寄稿したが、それ以降、これに関する公正取引委員会の報告書も出たこともあり「混合介護」という新しい用語が新聞等を賑わせている。これは旧くから規制改革の大きなテーマであった医療の「混合診療」の介護サービス版であり、政府の介護保険給付と自己負担による保険外サービスとを自由に組み合わせることである。

混合診療とは、例えば虫歯の治療の際に、歯科医から「保険だけにするか私費も使うか」と聞かれる場合がある。これは虫歯を抜いた後に、医療保険で提供される金属の被せ物の代わりに自然の歯と見分けのつかない良い材質を使えば、患者がその差額の費用を支払うことで選択肢が広がる仕組みである。
ただし、これは医療保険では例外的な扱いで、すべての費用を公的保険で賄うか、あるいはすべて自費かのいずれかしか認められない。これが混合診療禁止の原則である。

2000年に設立された介護保険では、もう少し柔軟な仕組みとなっており、例えば週3回認められたホームヘルパーを自費で週5回に増やしたり、自費で追加的なサービスを購入することができる。これをもって厚労省は「混合介護はすでに導入されている」としている。
しかし、同じ週3回のホームヘルパーの価格を、その質に応じて介護保険から支給される給付単価よりも高く設定することは容認されていない。介護保険の下では、利用者に対して「サービス量」の選択肢は認めるが、「サービスの質と価格」の選択肢については認めない統制価格の論理が残されているのである。
もっとも介護保険対象のサービスには、ホームヘルパー以外にも、個人の技量の差の大きなものがあり、例えばリハビリの指導はその典型例である。サービスの質に差が歴然とある以上、質の高いサービスを提供できる労働者にはそれに見合った報酬が必要であり、それが平均的な質を高めるインセンティブを促すことになる。そもそも、医療保険と異なり、介護保険は当初から企業の全面的な参入を認めてきたが、これは事業者間の多様な競争を通じて、介護サービスの量的拡大と同時に、質的向上を目的としたためである。
急速に進展する高齢化社会で、介護サービスが必要な後期高齢者は増える一方である。他方で、低成長の下で介護保険財政は厳しく、十分な数の介護労働者を確保するための介護報酬の大幅な引き上げは困難である。しかし、これを民間の視点で見れば、高齢者の増加で有望なシルバー市場が開けている。政府が基礎的な介護サービスを確実に保障するとともに、民間の創意工夫で多様な上乗せサービスが提供されれば、介護は成長産業となる可能性を秘めている。 

「混合介護」への疑問点
すでに「介護事業を飛躍的に伸ばす、公取委の画期的提言」で福祉ジャーナリストの浅川澄一氏が解説されたように、公正取引委員会が介護分野での競争を抑制する規制等についての研究会を行い、それに基づいた報告書を公表した。この研究会には筆者も参加したが、そこで鈴木亘・学習院大学教授と共同で、混合介護が実現した場合の問題点についても検討している。

第1に、介護サービス価格が自由化されれば、それが高止まりして低所得層は十分なサービスを購入できないのではないかという懸念である。また、多くの事業者が上乗せ料金を得られる高付加価値サービスに特化することで、利用者にとって本来の介護報酬で受けられるサービス供給が制限されるのではないかという疑問もある。
こうした疑問は、暗黙の内に「供給量が一定」という世界を前提としている。しかし、サービス価格を低い水準に統制することが、民間事業者の供給増を抑制し、利用者の長い待ち行列を引き起こす基本的な要因となる。市場経済の最大のメリットは、価格が上がることで供給が増えるメカニズムにある。介護サービス事業には参入規制はなく、小規模の事業者でも開業は容易である。多様な事業者間のすみ分けで、介護保険給付を前提とした通常の介護サービスを提供する事業者が不足するような状況は考え難い。
もっとも、過疎地や離島等で、十分な数の事業者がいない場合には、例外的に何らかの公的な介入が必要な場合もある。例えば、地域の介護サービス事業者に、売上高の一定比率を介護報酬だけで利用できるサービスの供給を義務付けることも考えられる。

第2に、介護保険の利用者の間でサービスの質に差が生じることは格差の拡大ではないかという批判がある。これは伝統的な低所得層を対象とした福祉の専門家の間で根強い考え方である。
しかし、高齢者層の所得格差は年齢層のうちでもっとも大きく、豊かな高齢者は、すでに市場価格で質の高い保険外サービスを利用可能である。混合介護のメリットを受けるのは中所得層であり、介護報酬との差額分だけを負担することで良質の介護サービスを購入できるようになる。また、混合介護の導入で介護サービス事業者の採算が改善すれば、より多くの事業者が参入し、競争が促進されることから、結果的に介護報酬のみでのサービスの利用者にとってもメリットとなる。

介護サービスの質を誰が判断するか
第3に、介護サービスの質を公的に定める基準を作ることは容易ではないという行政側の反対がある。また、現行制度でも、良質のサービスの事業所には行政が定めた改善加算制度があり、それで十分ではないかという。確かに、医療のように患者が医薬品等の効能を判断できない場合には一定の配慮が必要となる。
しかし、日常生活の延長である介護サービスについては、個々の利用者の主観的な判断に委ねればよいのではないか。行政が定めた事業者への報酬加算制度だけでなく、消費者が選択する多様なサービスの提供を促す仕組みが必要とされる。例えば、質の高いサービスを提供するホームヘルパーを利用者が指名して追加料金を支払えば、ヘルパーの受け取る所得が増えることで人材の確保が容易となる。また優れたヘルパーを多く抱える事業者が事業を拡大することで、業界の水準を引き上げることにも貢献する。こうした考え方は、現に介護保険設立時の厚生省の研究会でも議論されたにもかかわらず、中途で立ち消えになったのは残念である。

第4に、混合介護で保険外サービスが増えるのはともかく、それで介護保険への需要が誘発され、保険財政が悪化しないかという心配である。
これは混合診療への反対論と共通したものだが、費用が青天井の医療保険と比べて、介護保険では要介護認定にもとづき利用者が使える介護報酬に上限が定められていることが大きな違いである。介護保険財政が厳しくなるなかで、公的保険はより重度の要介護者に重点を置き、軽度の要介護者は市場サービスを活用する、公私の役割分担が求められよう。

最後に、認知症等で判断力に乏しい高齢者への対応である。
これについては、利用者保護のため、事業者からの上乗せ料金の額や利用の頻度についての情報開示の義務付けを事業者に求める必要がある。また、介護保険と組み合わされる保険外サービスについては、ケアマネージャーへの報告義務を課すことで、過大なサービス購入等のチェックは可能である。一部に判断能力の乏しい高齢者がいることを理由に、高齢者全体の消費行動を規制することは、行政の越権行為といえる。

介護保険本来の精神は市場の活用
2000年に設立された介護保険制度は利用者が介護サービスを購入できる独自の財源を確保し、それを供給面から支える福祉の基礎構造改革と合わせた大改革であった。それ以前の高齢者福祉は、現在の児童福祉と同様に行政が利用者の必要度を認定し、それに見合った供給を措置する行政処分の制度であった。これは高齢者介護が基本的に家族の責任であり、それから漏れた一部の高齢者に対して行政が責任をもつ福祉という考え方である。
しかし、急速に進む人口の高齢化に、介護を必要とする高齢者を家族や社会福祉法人だけで対応することはできない。このため民間企業を主体とした幅広い事業者が、市場競争のなかで多様なサービスを提供することで、活力ある高齢化社会を築くことが、本来の介護保険の精神であった。それが次第に形骸化し、細部における規制の強化が進んでいる。
例えば、すでに認められている介護保険と組み合わせる保険外サービスの際に、利用者に誤解を生じさせないようにホームヘルパーに違うエプロンをつけさせるというような瑣末な自治体のローカルルールは、介護事業者に余計な負担を課し、事業の抑制要因となる。

介護保険は、あくまでも利用者が基礎的な介護サービスを購入できる財源を保障するものである。そこで定められた介護報酬単価を、行政が介護サービス市場を統制する公定価格としている現状は、旧来の画一的な福祉の発想から抜け出せない政治や行政の体質にもとづいている。
高齢化先進国の日本が、それに対応した効率的な介護サービスのビジネスモデルを構築すれば、急速な高齢化が進む中国や他の東アジア諸国にも輸出可能である。混合介護の導入はそのための第一歩であり、市場の活力を活かした成長戦略であるアベノミクスの大きな柱となる規制改革のひとつといえる。

【DAIAMOND ONLINE:八代尚宏】
# by kura0412 | 2016-10-20 08:49 | 介護 | Comments(0)

新潟で反原発知事が当選、どうしても原発を再稼働させたい東電の事情とは

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が争点となった新潟県知事選が16日に行われ、再稼働に慎重な姿勢を示していた無所属の米山隆一氏(共産、社民、自由推薦)が、与党が推薦する候補を破って初当選を果たしました。同原発の再稼働はどうなるのでしょうか。

知事の理解を得なければ再稼働に進むことは困難
同原発は、泉田裕彦前知事が再稼働に対して慎重な姿勢を示してきたことから、再稼働の見通しが立っていませんでした。現在、同原発の6号機と7号機は、原子力規制委員会が安全審査を進めており、場合によっては、年度内に審査に合格する可能性もあります。
泉田氏は今回の選挙に4選を目指して出馬するはずでしたが、8月に突如出馬を撤回。「現状では再稼働は認めない」と主張した米山氏と、元建設官僚で前長岡市長の森民夫氏との事実上の一騎打ちとなりましたが、米山氏が52万票以上を獲得して初当選を果たしました。与党は幹部が応援に入るなど万全の体制で選挙に臨んだものの、支持を広げることはできませんでした。
県知事には再稼働を止める法的な権限はありませんが、原子力政策は自治体の了承を得て進めていくことが大前提となっており、事実上、知事の理解を得なければ再稼働に進むことは困難です。

福島第一原発の廃炉費用は8兆円とも
東京電力と政府は何としても再稼働にこぎ着けたいと考えているのですが、その理由は、東電の経営状況にあります。同社は福島第一原発の事故によって巨額の損失を出し、一時は自己資本比率が5%近くに落ち込むなど財務的に厳しい状況に追い込まれました。その後、電力料金の値上げによってとりあえず同社の経営は一息つきましたが、ここに来て急浮上してきているのが福島第一原発の廃炉費用です。現在、廃炉費用がいくらになるのか分からない状態であることから、負債としては計上されていませんが、一部の報道では廃炉費用が8兆円に達するとの見方も出てきています。

原発が稼働しなくても年間6000億円の費用が発生
現在、東京電力は原発をまったく稼働させていないものの、年間6000億円ほどの費用が原発にかかっています。柏崎刈羽の6号機、7号機を稼働させることで、とりあえず2500億円程度の収益が上乗せされますが、全体からすればまだまだです。ここに8兆円もの負担が加わってくる場合、同社は再び経営危機に陥ってしまいます。
同社や政府が何としても再稼働を実現させたいと考えているのは、こうした切実な事情があるからです。ただ、どのような形になるにせよ、原発事故のツケは、すべて国民が負担するという事実に変わりはありません。

【THE PAGE】
# by kura0412 | 2016-10-18 16:13 | 政治 | Comments(0)

高額薬オプジーボ異例の薬価引き下げが起こす波紋

さまざまながんで効果が期待される治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げ議論で、厚生労働省は10月5日、最大25%減とする案を中央社会保険医療協議会で示し了承された。
薬価は原則2年に1回改定されており、次回は2018年度に実施予定だった。期中での引き下げは異例で、15年度医療費(速報)が41.5兆円と13年連続過去最高を更新する中、国民皆保険制度の維持のため狙い撃ちにした形だ。

「肺がん患者約5万人が1年使ったら総額1兆7500億円」と國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長が指摘し、高額薬剤費問題に火が付いた。ただしこの数字は「非現実的な設定」との批判があり、販売する小野薬品工業も今年度予想売り上げを1260億円とする。いずれにせよ高額であることは確か。業界は「イノベーションに反する」と猛反対したが、厚労省は「効能追加などで大幅に市場拡大し、緊急対応が必要」とし、まとまった。
小野薬品へのねたみも抱えつつ、「企業経営の安定性、予見性から見てひとごとではない」というのが業界共通の思いなのだろう。ただある業界関係者は「非常に良い薬であり、ルール通りにして今の薬価が付いたのに、悪く言われてかわいそう。『引き下げは痛いが、早く悪い話題から消えたい』のが小野薬品の本音では」と言う。
同社幹部が一息ついたかは知る由もないが、オプジーボと同じ免疫チェックポイント阻害薬であるMSDの「キイトルーダ」は近く薬価収載される見通しで、競合薬の市場参入がひたひたと迫る。

次世代のため本質的議論を
「オプジーボだけが騒がれて終わってしまうのが一番怖い」と懸念するのは前述の國頭医師だ。新タイプの高額薬は次々と現れ、薬剤費は膨張するとし、「誰のせいでもなく医学の進歩、人口高齢化が原因。本質的議論を」と主張する。
開発コストが上がる中、薬価を下げ過ぎてメーカーが市場から撤退すれば元も子もない。ある程度までしか下げられないならば、限られた医療財政の中、入りを増やすか出を削るしかない。何もしなければ「高齢世代は満足でも、負担は若い世代にいく。少子高齢化の中、現役世代の負担をまだ増やせるのか」と疑問を呈する。
國頭医師が思い浮かべるのは、スペインの画家・ゴヤが晩年に描いた「我が子を食らうサトゥルヌス」だ。「自分たちの姿じゃないかと真面目に思いますよ。財政がずっと健全なら全部撤回して謝ります。でも僕が聞いたら、誰もが下を向いてしまう」。
「唯一考えついたのが年齢で投与制限をかけること。財政破綻したら『夢の薬』以前に、貧乏人は痛い苦しいもほったらかされて野垂れ死にする。そっちがグローバルスタンダード。それでいいのですか」と國頭医師は問うのだ。

【週刊ダイヤモンド】
# by kura0412 | 2016-10-18 10:41 | 医療政策全般 | Comments(0)