迂回寄付事件初公判

迂回寄付事件 堤元会長・髙木前会長「起訴内容」を否認 日歯連盟も無罪主張

日本歯科医師連盟を巡る迂回寄付事件で政治資金規正法違反(虚偽記載等)に問われた堤直文元会長、髙木幹正前会長と団体としての罪を問われた日本歯科医師連盟の初公判が1月13日、東京地方裁判所(前田巌裁判長)で開かれ、罪状認否で堤・髙木両氏は起訴内容を否認した。なお、髙木氏らの裁判と分離して行われている村田憙信前副理事長の第1回公判(昨年12月7日)で、村田氏は「問題となった資金移動は政治資金規正法の違反には当たらない」と起訴内容を否認している。

堤氏は「起訴状にある客観的事実は間違いないが、何ら違法なことはしていない。会計事務には疎く会計責任者(村田前副理事長)に一任し、問題となった寄付については『適法』であるとの説明を受けていた。また、村田氏と予め共謀したということもない」と起訴内容を否認した。髙木前会長も「起訴状による資金移動や収支報告書の作成・提出に直接関与していない」「会計担当だった村田氏は常に合法的処理を心がけ会議の場でもそのような発言をしていたし、村田氏を全面的に信頼していた。今でも、村田氏が違法なことを承知の上でこのような処理をしたとは思っていない」「会議の場でもそれ以外の場でも、村田氏と共謀した事実はない」旨を述べ、起訴内容を否認した。
団体として起訴された日歯連盟代表者の代理人は「髙木氏の主張等を踏まえ、日歯連盟とても無罪を主張するが、裁判所においては、慎重かつ公正な判断をお願いする」と述べた。

【デンタルタイムス21 Online】
# by kura0412 | 2017-01-17 08:41 | 政治 | Comments(0)

『混合介護、東京・豊島区で解禁へ』

混合介護、東京・豊島区で解禁へ
家族向けサービスも一体提供

介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」が2017年度中にも東京都豊島区で解禁される見通しとなった。地域限定で規制緩和する国家戦略特区の制度を活用し、豊島区が月内にも事業計画をまとめ、国に提案する。実現すれば全国で初めてとなる。介護と一体的に多様な業務を認め、職員の賃金や生産性の引き上げにつなげたい考えだ。

介護保険のサービスは、原則1割の負担で利用できるが、保険外のサービスとは同時・一体的に提供できない。混合介護は、介護が必要な利用者本人だけでなく、その家族向けにも調理や炊事・洗濯などを事業者が同時に提供できる仕組みだ。
簡単な庭掃除や草むしりなども訪問介護の時に一緒に提供できる。家族はいつも利用する顔見知りの事業者に別のサービスも頼めるため、事業者の収入の機会が増える。介護職員の平均給与は全産業平均より低く、事業者の経営や職員の待遇の改善が課題だった。
豊島区は近く有識者会議を設置し、事業者が満たす要件などを詰める。政府も国家戦略特区ワーキンググループと厚生労働省が解禁に向け協議に入る。保険と保険外のサービスを「明確に区分すべきだ」とする厚労省見解を見直す方向だ。
東京都の小池百合子知事は昨年、混合介護の推進を表明した。都が保険制度の運営主体である市区町村と協議を始め、知事が国会議員時代に地盤だった豊島区が最初に手を挙げた形だ。他の自治体も水面下で関心を示しており、豊島区の事例を参考に追随しそうだ。
介護を手掛ける民間事業者や社会福祉法人の期待も強い。最大手のニチイ学館は混合介護を「成長機会」とにらむ。SOMPOホールディングスやベネッセスタイルケア(東京・新宿)など他の大手からも解禁へ準備する企業が出てきそうだ。
一方、混合介護が解禁されると事業者が保険外の高額なサービスを優先し、保険内の介護を十分に提供しない懸念もある。悪意のある事業者が不当に高いサービスを提供したり、高齢者が過度に介護サービスに依存して自立支援を妨げたりする、との指摘もある。
政府は利用者保護のため一定の規制を設け、基準を満たさない事業者に混合介護を認めない方針。豊島区の混合介護では、事業者に「保険内サービスを単体で一定割合以上こなす」との要件を課す案が浮上している。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2017-01-16 09:29 | 介護 | Comments(0)

『「医療のことに口出しするな」怒られたケアマネ』

「医療のことに口出しするな」怒られたケアマネ

「医療のことに口を出すな!」「家族に対して余計なことを言うな!」――。これらは、ケアマネジャーが開業医の先生方からよく浴びせられる言葉です。

在宅介護におけるケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護保険制度の利用者が住み慣れた住まいで継続した日常生活を送るために必要なフォーマルサービス(介護保険サービス)とインフォーマルサービス(介護保険外サービス)を組み合わせてケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、各サービスの日時の調整やマネジメントまで行う役割を担っています。ケアマネジャーが仕事を行う上で苦労するのが、医療機関との連携。特に在宅医療を担う開業医の先生は、多くのケアマネジャーにとって敷居が高すぎる存在のようで、連携するにも数々の困難があるようです。

「お世話になっている先生にそのようなことは言えない」
先日、こんな事例がありました。褥瘡が発生している要介護5の利用者Aさんは、介護保険サービスとして訪問看護、訪問介護、訪問入浴などを利用していました。地域の診療所の主治医による訪問診療も月2回程度ありました。
ケアマネジャーのBさんがAさんの担当になって約2か月たった頃、訪問看護師からAさんの褥瘡の状態について相談がありました。「褥瘡の状態を主治医に診てもらっているがどんどん悪化している。主治医は皮膚科専門ではないので、『一度皮膚科の往診医に診てもらった方がよいのではないか』と家族に提案しているが、家族が『お世話になっている先生に対してそのような話は申し訳なくてできない』と拒否されている」とのことでした。
確かに、Aさんの主治医はとてもプライドが高そうな雰囲気で、普段の診察時に、Aさんの家族からも主治医に聞きたいことが聞けていない状況でした。「Aさん本人のことを思うとすぐにでも皮膚科の専門医に診てもらいたい……」。ケアマネジャーのBさんや訪問看護師がそう思っていても、家族の了承が取れなければ動き出すこともできません。
その後、Aさんは家族のレスパイト目的で介護施設のショートステイを15日間利用することになりました。Bさんと訪問看護師は、これはチャンスとばかりに、ショートステイを利用する間、施設に併設されたクリニックに褥瘡の状態も診察してもらえるよう、家族の了承を取った上で依頼。併設クリニックの医師と、施設の看護師がしっかりした褥瘡治療とケアを行ってくれたおかげで、自宅に戻ってくる頃にはAさんの褥瘡は回復傾向となっていました。
ところが、在宅生活に戻ると、見る見るうちに褥瘡の状態は悪化。このままではAさんに申し訳ないと思い、Bさんがついに勇気を出して主治医に「褥瘡の状態が悪くなっているので皮膚科の専門医に診察を依頼するのはどうでしょうか」と提案します。
すると主治医は、「医療のことに口を出すな!」「家族に対して余計なことを言うな!」とBさんに激怒しました。しまいには、主治医から家族に対して「今の担当ケアマネジャーを変更しなさい!」と指示して、家族はやむなく了承。Bさんは担当ケアマネジャーを外されることになりました。家族は、何も言えず主治医の言う通りにするしかなく、訪問看護師も申し訳なさそうにしていたようです。

医師に対する恐怖心が強いケアマネ
ここまで極端なケースではなくとも、冒頭のように医師から心ない言葉を投げかけられた経験を持つケアマネジャーは少なくなく、彼らは医師との関係に気を揉んでいます。利用者のことをどのように主治医に相談したらよいか悩み、結局主治医に言い出せないまま、結果的に利用者が不利益を被ってしまうケースは少なくありません。
もちろん、在宅医療を手がけられている先生方の多くはチームでの医療介護サービスの提供を大切にしておられますし、まだまだケアマネジャーの力量に問題があるのも事実です。しかし、特に介護職種からケアマネジャーになった方の場合、元々医師に対する敷居は非常に高く、医師に対して必要以上の遠慮や恐怖心もあるようです。そんな中、事例のようなことが一度でもあると、医師への恐怖心が倍増してしまうのです。
在宅医療を手掛けられる先生方には、ケアマネジャーなどの職種がこういった心理状態にあることを知っていただければありがたいと思っています。
今後、高齢者が住み慣れた地域で在宅生活を継続できるよう支援するためには、医師をはじめとした医療職種と介護職種、そしてケアマネジャーが何でも情報交換できるフラットな関係を築き、協働で支援していくことが欠かせません。それぞれの専門職が互いに笑顔で相談できる関係こそが、患者や利用者の笑顔につながるのではないかと思うのです。

【日経メディカル・樋口 昌克】



歯科医師も気をつけなければいけませんし、逆に医師に対しても同じようなケースもあります。
# by kura0412 | 2017-01-14 09:58 | 介護 | Comments(0)

『診療報酬と介護報酬、同時改定に向けた議論開始』

診療報酬と介護報酬、同時改定に向けた議論開始…中医協

厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は11日、総会を開き、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた議論を始めた。
高齢化の進展を踏まえ、医療・介護の連携強化や在宅医療の充実などが主な検討テーマで、18年2月までに結論を出す。
診療報酬は、2年ごとに見直される医療サービスや薬剤の公定価格。介護サービスを提供した事業者が受け取る対価である介護報酬の改定は3年ごとで、18年度は、6年に1度の同時改定となる。
介護報酬の改定は、社会保障審議会介護給付費分科会で4月頃から議論が始まる見込みだ。医療・介護の連携強化については、中医協と分科会の委員が意見交換を行う場を設けて議論する方針だ。

【読売新聞】
# by kura0412 | 2017-01-13 14:50 | 医療政策全般 | Comments(0)

『初公判で無罪主張』

日歯連前・元会長「共謀なく、違法性もない」 初公判で無罪主張

政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)をめぐる迂回(うかい)献金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載、量的制限)罪に問われた日歯連前会長、高木幹正被告(72)と元会長、堤直文被告(74)、団体としての日歯連の初公判が13日、東京地裁(前田巌裁判長)で開かれた。各被告はいずれも無罪を主張した。
共犯者として同罪に問われた日歯連の元会計担当役員、村田憙信(よしのぶ)被告(72)も昨年12月の初公判で無罪を主張している。
高木被告と堤被告は「会計は村田被告に一任していた。共謀はない」と主張。両被告の弁護人も「資金の流れは忠実に政治資金収支報告書に記載されており、違法性はない」とした。
検察側によると、各被告は日歯連が擁立した候補を高い得票で当選させ日歯連の発言力を増すためには多額の資金が必要だと考え、迂回献金を計画。高木被告は村田被告と共謀し、平成25年、1つの政治団体への献金は年間5千万円までと定められているのに、日歯連の口座から民主党議員(当時)の後援会を迂回させるなどして自民党候補の後援会に計9500万円を献金。堤被告は村田被告と共謀して22年、民主党候補の後援会に民主党支部を迂回させるなどして計1億円を献金したとされる。

【産経新聞】
# by kura0412 | 2017-01-13 14:48 | 政治 | Comments(0)

『歯磨き粉4万7千個超回収』

サンスター、歯磨き粉4万7千個超回収 自社の基準を上回る微生物検出

サンスターは12日、歯磨き粉「セッチマはみがきSP80g」で自社の基準を上回る微生物が検出されたとして、4万7760個を自主回収すると発表した。
対象は、昨年11月15日から12月22日までに製造された製品。サンスターは見つかった微生物について「自然界に広く存在するもので、重篤な健康被害が生じる恐れはない」としている。
材料を混ぜ合わせた後、次の工程に進む配管を洗浄した際、乾燥が十分でなかったため微生物が発生して増えた可能性.

【SANSPO.COM】
# by kura0412 | 2017-01-13 10:16 | 歯科 | Comments(0)

『「恒久財源5兆円提示」衆院選公約で民進・野田幹事長』

民進・野田幹事長「恒久財源5兆円提示」 衆院選公約で

民進党の野田佳彦幹事長は10日、日本経済新聞のインタビューで、目玉政策に据える教育無償化など「人への投資」に必要な5兆円を、消費税など全て恒久財源で賄うよう努める考えを示した。次の衆院選の公約で財源案を示す方針だが、どこまで具体的な案を示せるかが焦点となる。今夏の東京都議会選挙で、小池百合子知事との連携もあり得るとの認識を示した。

――昨年12月に「経済政策」をまとめたが、政策の全体像が見えない。
「この間の経済政策は政権公約の一部で『人への投資』を主眼においた。全体像は選挙の際の旗印にする。社会保障は社会保障、エネルギーはエネルギーで打ち出さなければいけない。異次元の金融緩和は異次元の副作用しかないが、異次元の人への投資は労働生産性の向上にも資する」

――旧民主党政権は財源を捻出できなかった。
「『人への投資』では、就学前教育などでの教育無償化を目指している。約5兆円かかるが、消費税1%分や金融所得課税の強化、歳出の見直しなど、全て恒久財源をあてる。旧民主党時代には特別会計からの捻出などワンショットの金も混在していたので、そこは進化だ。ほかの政策も財源論はきちんと踏まえる」

――将来の消費増税の可能性も含めた国家像を示してほしい。
「現政権は2回引き上げを引き延ばした。まず2019年10月までに10%にちゃんと上げるか注視する。民進党は『未来への責任』を理念に掲げており、財政に関わる部分は相当大きい。理念を踏まえて対応するので、静かに期待してほしい」

――天皇陛下の退位で皇室典範改正を主張している。特例法にしたい政府との溝は埋まるか。
「合意形成できるようにしたい。陛下のお気持ちを忖度(そんたく)しない制度論はない。天皇は国民の総意に基づく存在で、世論を踏まえた対応をするのが大事な視点だ。政府側は政局にしないように慎重な運びをしてほしい」

――夏の都議選で小池知事と連携する可能性は。
「小池氏が都議会自民党と戦っていく立ち位置なら、連携はあり得る」

――どういう形の選挙協力をやるのか。
「個別の選挙区ごとにいろんな相談(が必要)になる。一定の調整が必要になるところもある」

――支持率がいっこうに上がらない。
「蓮舫代表への評価はまだ定まっていない。発信力を生かし、安定感あるチームだということを示していく。長期政権は慢心が生まれ、隙ができる。無党派の人たちの支持が向かうよう存在感を示したい」

――支持団体の連合が政権や自民党と距離を縮めている。戦略ミスではないか。
「全幅の信頼を置いている。疑心暗鬼になったことはない。首相と連合会長が会うことが『(民進党との)分断だ』と書かれるが、ペンの走りすぎだ」

――仙谷由人元官房長官は野田氏を「担がれる人であっても、人を動かす人じゃない」と評した。
「向いてないということですかね」

――動いてほしいという期待があるのでは。
「先輩の叱咤(しった)激励として受け止める」

――野田カラーが見えない。消費税の主張も控えめすぎないか。
「私も物足りない。ただ、幹事長というのは己をむなしくすることで、カラーを出し過ぎるとよくない。あまり出しゃばらない」

【日経新聞】



ここで消費税10%上げ+αで5兆円ねん出と言っていますが、既にこの部分は社会保障費財源に組み込まれることなっているはずです。どう考えているのでしょか?
# by kura0412 | 2017-01-11 15:22 | 政治 | Comments(0)

『心肺停止!でもAEDは簡単に借りられるとは限らない理由』

心肺停止!でもAEDは簡単に借りられるとは限らない理由

学校や駅、役所、警察、交番などの公共施設、民間企業にもAED(自動体外式除細動器)が設置されているのを見かけたことが一度はあることだろう。しかし設置場所に行っても、意外に借りられるとは限らないことがわかった。今回は、一般社団法人日本防災教育訓練センター代表理事で国際消防&防災ジャーナリストのサニー神谷氏がAEDに関する現状にどうすればいいのか、語ってもらった。

現在、一般的に行われている心肺蘇生法講習で「119番通報をお願いします」「AED(自動体外式除細動器)を持ってきてください」と当たり前のように指導されていますが、実際にいくつかのAED設置場所に行って、AEDの貸し出し条件を確認したところ、必ずしも簡単に借りられるとは限らないことがわかりました。
また、AEDの販売会社や各種AEDマップアプリを提供している財団などにもAEDの貸し出し条件について電話で質問してみましたが、「AEDは任意設置なので、貸し出し条件やバッテリー充電確認などの管理条件はお任せしています」とのことでした。
心肺蘇生法等の救命講習で指導する立場として、受講者に「AEDを持ってきてと頼んでください」と教えるのは簡単ですが、実際にAEDを借りに行かれる方が貸し出しを断られたり、貸し出し簿の記載を求められたら、せっかくの勇気あるバイスタンダー行為が傷ついてしまうのではないかと感じています。

AEDの貸し出し条件には事前調査が必要である
そこで、私が保育園や中小規模の民間事業所など東京都内のAEDを設置していない事業所で心肺蘇生講習を行う際、次の2つの事前調査をお願いしています。
・半径100m内(約1分以内)にAEDを借りてこられる場所を調べ、リストにして受講者に配れるようにしてください。
・周囲のAED設置場所から緊急時に貸りられる時の詳細な条件を調べてきてください。
この受講前事前調査によって、AEDを設置している公的機関や民間事業者ごとに、貸し出し条件が様々であることを明確に把握することができます。

(1)警察署や派出所でAEDを借りる場合:
まず、確実に借りられる場合が考えられる警察署の条件として、受講者から下記の2つの調査報告がありました(注:日本全国同じとは限りませんので、この内容を鵜呑みにせず、必ずご自身で確認してください)。
A:警察署や派出所に警察官が居る場合:
「基本的に警察官が同行するが、警察官は定期的に心肺蘇生法を受けていない場合も有り、また、AEDの使用方法を知らない場合もあるので、同行しても、心肺蘇生法はしないと考えておいてください」

B:警察署や派出所に警察官が居ない場合:
「派出所内に誰も居ない場合で施錠されていない場合でも、AEDを持ち出していただいて結構ですが、借りた人、または、関係した人が返却時する際、AEDを使った人の名前、住所、電話番号、使った場所、内容などを書いて報告していただくことをお願いしてます」

(2)ある民間企業のロビー内のAEDの場合:
「このAEDはビル建物と敷地内で発生した心肺蘇生法が必要な事案に対応するためのもので、基本的に敷地外には貸し出しておりません。もし、数分内の近くで起こった場合、臨機応変に貸し出すことも可能かもしれませんが、総合防災センターの職員が同行できればの話です」
(注:上記は、AEDの周りに誰も居なかったために入り口の警備員さんにAEDの貸し出しについて訪ねたところ、総合防災センターに問い合わせた結果です)

(3)某コンビニエンスストアの場合:
店員さん曰く「すいません。たぶん、使っていただいていいと思いますけど、店長に確認してきます」しばらくして、店長が出てきて、「貸し出したことがないですが、本部からは地域貢献のために自由に使っていただいてくださいと言われていますので、使用後に返却していただければ問題ないと思います」
などなど。貸し出し条件がさまざまであることがわかっているため、現時点では、民間で任意設置されているAEDは、貸し出し条件などを統一化するのは難しいと思います。そのため、身近なAEDを設置している各公的機関、民間事業所などの貸し出し条件を調べてみてリスト化しておくことをおすすめしています。
また、借りる手続きに時間が掛かったり、簡単には借りられないばかりか、場合によってはバッテリー切れのAEDもあるかもしれませんので、現状から考えると実際の心肺停止の救命現場で「あなた、AEDをお願いします」とたった1人に頼むのではなく、数名の方にAEDを頼んだ方が救命率は上がると思います。

AEDを借りたら使用報告をしなくてはならない
AEDを借りた場合、返却時に使用報告の記載を求められることが多いそうですが、特に報告書のフォームや記載内容などが決まっておらず、また何のための報告書なのか、どのように活かされるのかも特に決められていないことがあります。そのため、救命について意識の高い事業者に対して下記のようなフォームを作成し、自由に使っていただくよう、お配りしています。
■自動体外式除細動器(AED)使用報告書
もし可能であれば、この「自動体外式除細動器(AED)使用報告書」が心肺蘇生法のマニュアルなどに参考として掲載されたり、各AED設置事業所などで活用され、どこか公的な救命講習指導団体や大学研究機関などで統計データとしてまとめられれば、新しいAEDの開発時や救命手法の検討などにも活かされそうな気がいたします。

まとめ
実際に心肺蘇生法などの講習を行う時間が限られているため、講習時間内ですべてをお伝えするのは難しいと思いますが、事前に予習資料を提供して受講者に読んできてもらったり、また、下記のようなクイズを出して、答えていただくのもいいかもしれません。

クイズ1:AEDを取り出すとき、ボックスを開けると大音量が鳴りますが、それはどうしてでしょう?
A 盗難防止
B 周りの人に気づかせるため
C 119自動通報装置が作動するため

クイズ2:AEDは何をするためのものでしょう?
A 心臓の動き(細動)を止めるため
B 電気ショックで心臓をよみがえらせるため
C 脳に電気的刺激を与えて目を覚まさせるため

いかがでしたか?
私はガイドラインに従って、ただ事務的に心肺蘇生法を教えるのではなく、いかにバイスタンダーの立場になって、実際に起こることを予測して指導する必要性を強く感じています。
もしみなさんのなかで、現行の心肺蘇生法の指導方法に改善が必要と感じていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、今回の記事の内容を検討されてみてください.

【DAIAMOND ONLINE】
# by kura0412 | 2017-01-11 14:54 | 医療全般 | Comments(0)

『解散を急がなくていい3つの理由』

解散「言い間違え」安倍首相の本心は、どこにある?
解散を急がなくていい3つの理由

発言に慎重な首相だから……
首相・安倍晋三は5日、帝国ホテルで開かれた新年互礼会であいさつし、新年早々、今年中に衆院を解散する可能性を否定した。
「では今年も選挙があるか、と言えば、これは時事通信の互礼会なんで最初に言っておいた方がいいと思うが、全く考えてない。36年前は選挙をやっておりませんから、酉年であれば必ず総選挙というわけではない。
まあ例外というか、例外ですかね、まあ例外と言うと普通はあるみたいだが、今年は全く考えていないということははっきりと申し上げておきたいと思うが、ただ酉年はこのように変化のある年。大きく世の中が変わっていく可能性を秘めた年。そして、かつ今年は、ひのとりであって、大きく変化と新しい芽が出てくる年になる」
この発言を受けて「首相、年内解散否定」との速報が流れた。
安倍は互礼会を退席した後、首相官邸に戻り、イタリア首相・ジェンティローニとの電話会談と、定例の「正副官房長官会議」を開いた。安倍はこの会議で速報を知り、出てきた1人が「首相から『言い間違えた』と聞いた。『今月』と言おうとした」と語り、発言を訂正した。
正副長官会議は安倍を中心に、官房長官・菅義偉、副長官の萩生田光一、野上浩太郎、杉田和博、首席首相秘書官・今井尚哉の計6人でほぼ毎日開かれている。この会議の役割を安倍はこう言っていた。
「(正副長官会議は)雑談のことも多いんだけど、人間って雑談すること大切なんですよ、とってもね。呼吸がわかるんです。何考えてるのかなと、なんか困ったことがあるのかなと、そこで言うじゃないですか」
この会議で萩生田が安倍発言に関する記事を紹介し、安倍が「そんなこと、言っていない」と否定した。このため、訂正され、年内解散否定発言が一人歩きするのが避けられた。
こういうことがこの会議の効用の一つだが、衆院解散・総選挙がないのは年内なのか、今月なのか――。
私は、安倍は現段階で年内の解散は考えていないと見ている。言葉を慎重に選ぶ安倍がこんな言い間違いをするはずがない。
安倍はなぜ、衆院解散を急いでいないのだろうか。その回答は3つある。

「次の次」まで読んでいる
まず、国民は落ち着いた政権運営を望んでいるという判断だ。
トランプ米政権の誕生などによって国際情勢が不安定化する中で、日本の政権が揺らぐようなことはすべきではないというのが大方の世論だろう。
また、昨年夏の参院選で、安倍は経済再生を約束した。それが道半ばであるのに、来年12月まである衆院議員の任期が半分を過ぎたところで解散するのは大義名分がない。
次に野党第一党、民進党の勢いがまったくないことだ。
昨年9月の代表選で選ばれた蓮舫は政治家として思慮深さに欠けることが露呈。蓮舫の右腕である幹事長・野田佳彦は4日、仕事始めのあいさつで民進党の現実を「我々は背水の陣ではない。すでに水中に沈んでいる。どうやって浮き上がるか、覚悟が問われる年だ」と話す始末だ。
こんな現状だから、政権側から見れば、解散を先延ばししても恐くないわけだ。
最後は、いつ総選挙となっても、自民党は議席を減らすことだ。
自民党が内々行っている世論調査によると、議席は「マイナス20~30」と言われる。取りこぼしを少なくするために、当選1、2回議員が選挙運動できるだけ長く取った方がいい。
この3点以上に重要なのは、安倍は来年9月の自民党総裁選で3選され、2021年9月まで政権を維持することを前提に、解散時期を考えていることだ。
たとえば、今年10月に衆院解散・総選挙が行われると仮定すると、選ばれた議員の任期は4年後の21年10月までとなる。その直前に、安倍の3期目の任期が切れるので、さらにもう1回、解散せざるを得なくなる。
18年10月に衆院解散・総選挙が行われたと仮定しよう。その議員の任期は22年10月まで。安倍はその間に解散することができるし、次の総裁にバトンタッチすることもできる。つまり、選択肢が広がるわけだ。
こう考えれば、安倍は次の解散をできるだけ先送りすることによって、次の次は解散しても良し、しなくても良しという政治状況をつくることができる。急いで衆院を解散する必要性に乏しいと言える。

【田崎 史郎・ニュースの深層】
# by kura0412 | 2017-01-11 09:08 | 政治 | Comments(0)

『血液1滴でがん診断』

血液1滴でがん診断、「AI活用で驚きの結果」
国立がん研究センター研究所の落谷氏が語る

1滴の血液や尿、唾液から、がんを超早期に診断する――。そんな技術の臨床応用を、人工知能(AI)が後押しする可能性が高まってきた。

がん細胞が分泌するマイクロRNA(リボ核酸)に着目し、大腸がんや乳がんなど13種類のがんにそれぞれ特徴的なマイクロRNAを組み合わせ、がんの超早期発見につなげる。日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトでそんな技術の確立を目指している国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏が「第54回日本癌治療学会学術集会」(2016年10月20~22日、パシフィコ横浜)に登壇し、AIの効用を語った(関連記事1、同2)。
落谷氏はまず、がんはマイクロRNAを巧みに操ることで生存を獲得しているとし、「マイクロRNAに起こる異常ががんの本質でもある」と説明した。マイクロRNAは血液や尿、唾液にも含まれ、これらの液体試料でがんを診断するリキッドバイオプシーと呼ばれる手法は「マイクロRNAをベースにすることが期待される」(同氏)。
がん治療に関して現在、世界的な注目を集めている免疫療法。そのカギを握るPD-L1(がん細胞に発現し、免疫細胞による攻撃を止めるように作用する物質)でさえ、「マイクロRNAの支配下にある」と落谷氏は話す。ある種のマイクロRNAの発現状態はPD-L1の発現状態と相関し、再発など、不良な予後の予測因子になり得るという。
マイクロRNAでがんを診断する上で落谷氏らが着目しているのが、マイクロRNAを内包するエクソソーム(exosome)と呼ぶ物質だ。エクソソームはもともと、さまざまな細胞が分泌し放出する粒子で、細胞間の情報伝達などに関わっている。がんはこの「エクソソームを利用し、周囲の細胞を“教育”して支配下に置く」(同氏)というメカニズムを採用している。マイクロRNAを内包するエクソソームを媒介として、がんが増悪や転移を引き起こすことが分かってきた。

深層学習で解析
落谷氏が主導するAMEDのプロジェクトでは、国立がん研究センターのバイオバンクが保存する血清検体などを使い、最終年の2018年までにがん患者の臨床情報とリンクした7万件の検体を解析。マイクロRNAなどに関するデータベースを構築することを計画している。
現在までに3万以上の検体を解析済みで、例えば乳がんについては約1700検体を解析したという。試しているのは、マイクロRNAによる解析で(既に診断がついている)がんを正しく診断できるかどうか。既に、非常に有望な結果が得られている。
乳がんでは、いくつかのマイクロRNAを組み合わせて、感度97.3%、特異度82.9%という判別率を確認した。大腸がんについても感度80.1%、特異度95.0%という結果が得られており、現行の腫瘍マーカーである「CA19-9よりも優れたマーカーになる」(落谷氏)。今後、自治体や検診センター、海外の機関とも組みながら、がん診断マーカーとしての実用性を評価していく。
さらに、マイクロRNAの解析やデータベース化に、人工知能の手法の一種である「ディープラーニング(深層学習)を採り入れる」(落谷氏)ことを検討中だ。マイクロRNAによる乳がんの診断アルゴリズムに試験導入し、「驚くべき結果が得られた」(同氏)という。

病期によらず診断可能
落谷氏に続いて登壇した国立がん研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野の土屋直人氏は、エクソソームが内包するマイクロRNAを用いたがん診断の研究成果を、詳細に語った。
がん診断マーカーとしてのマイクロRNAの特徴には「腫瘍が小さいうちから、がん細胞の特徴を反映する」(土屋氏)ことがあるという。例えば大腸がんでは、CA19-9やCEAのような現行の腫瘍マーカーでは、I期(ステージ1)のような早期段階では異常を検出しにくい。病期が進むほど検出率が高くなるのが、一般的なマーカーの性質だ。
これに対しマイクロRNAは、ステージIのがんも十分に検出可能という。すなわち、腫瘍の大きさや病期によらず、どの段階でも有効なマーカーとなり得る。
大腸がんや肺がん、すい臓がんといった異なる臓器にできたがんに対する、マイクロRNAの発現の比較も試みている。それぞれのがんのマイクロRNAの平均プロファイルには、明瞭な違いが現れるという。このように、マイクロRNAは「がんがどこにできたかも強く反映する」(土屋氏)。
このほか、がんの術後にはマイクロRNAの値が下がることから、マイクロRNAが担がん(体内に腫瘍が存在する)状態を反映すること、検体の状態の影響を受けにくく測定再現性が高いこと、などの特徴があるという。ただし、エクソソーム以外にもマイクロRNAを分泌する様式が存在する可能性があることから、がん診断への応用に向けては、エクソソーム由来のマイクロRNAとそうでないものを区別して考える必要があるとした。

【日経デジタルヘルス】



iPS細胞の臨床応用よりもAIによる臨床診断の方が実現が早いかもしれません。
# by kura0412 | 2017-01-10 11:10 | 医療全般 | Comments(0)

看取りの手順

意外と知らない看取りの手順

死亡の確認は、日本では医師と歯科医師だけに許された仕事です。その割にその方法を学ぶ機会は少なく、現場で先輩医師の振る舞いを見てまねたり、必要なことは独学したりしてやってきました。同じような医師は少なくないのではないかと思います。ここでは、最低限必要な手順と、私がしている工夫を紹介したいと思います。

事前準備をぬかりなく
患者さんの病室もしくは自宅に行く前に、まず簡単に病歴を復習します。病気の経過をひと通り頭に入れておかないと、家族との会話がかみ合わなかったりするからです。特に、当直などで初対面の患者さんの死亡確認をするときには、家族が患者さんの死を受け入れられているかどうかも含めて、カルテの記録を読んだり、担当の病棟看護師や在宅であれば訪問看護師に聞くなどして必ず確認するようにしています。
医師が死亡確認を依頼されるタイミングには、患者さんの息がまだ続いていて「そろそろ呼吸が止まりそうだ」と呼ばれる場合と、既に呼吸が止まっている場合とがあります。

「そろそろ呼吸が止まりそう」というときは
看取りの主役は家族です。最後の大切な時間を邪魔しないように、医療者は少し離れて本人の様子を観察します。多くの場合は呼吸が先に停止し、心臓の拍動はそれより数分遅れて止まります。心拍は、心電図モニターが付いていると止まったことが分かりますが、身体所見で止まったことを確認するのにはコツがいります。最も見やすいのは「頸動脈の動き」です。皮膚表面の動きを接線方向で見ると微弱な拍動も分かりやすいので、自分から遠い側の首の皮膚を見るようにします。呼吸停止から5 分以上拍動が続くことはよくあり、「心臓が頑張っています」と話して、動きが見えなくなるまで待つようにしています。
脳幹部の機能が停止したことは、一般的には対光反射の消失で確認します。睫毛反射の消失で代用することもあります。呼吸と心拍が止まったばかりのときは、対光反射は残っていることもあります。その場合、厳密には死の三兆候(瞳孔反応停止、呼吸停止、心停止)がそろっていないことになるので、少し間をおいてから再確認するのが原則です。また、死亡確認をしてよいタイミングに至ったかどうかを判断する際には、家族の準備が整っているかどうかの確認も重要です。間違っても、泣きすがる家族を引き離して確認してはいけません。ご遺体にすがって存分に泣いてもらう時間は、家族が悲しみを乗り越え、これからの人生を前向きに歩んでもらうためのプロセスとして大事です。
家族がそろうまで確認を待ってほしいという家族もいて、待てる範囲で待つようにしています。最近では少なくなりましたが、中には、家族が到着するまで心臓マッサージでも人工呼吸でも何でもして生かしておいてほしいという家族もいます。しかしそれは、どうやっても命が終わる場面では「家族のためだけ」にする処置であり、患者さん本人のためにはならないことなので、臨終に間に合いそうにない家族にはその旨を電話で説明し、静かに到着を待ちます。

死亡確認の実際と注意点
実際の死亡確認では、
◎ 胸部の聴診で呼吸と心拍が停止していること
◎ 視診で頸動脈の拍動が停止していること
◎ ペンライトで対光反射が消失していること
を確認するのが、最低限の手順です。頸動脈や橈骨動脈の触診をする場合もあります。

いずれの場合も、生きている兆候がすべて見られなくなってから、ゆっくり死亡を確認するというのがポイントです。最後の呼吸間隔は1分を超えてくることもあります。死亡確認をしてから呼吸が現れたり、モニター上に明らかな波形が現れたりすると、「死亡診断もまともにできない医者」という目で見られかねません。モニターの波形があっても心拍は停止している場合もありますが、家族がその波形を見ている中で、医師がモニターの電源をあっさり切って死亡確認すると、見切り発車されたような気分になるようです。
アンビューバッグを使って人工呼吸をした場合は、死亡後に胃に入った空気が出てきて、声のように聞こえることがあります。呼吸が止まって数分で、皮膚がピクピクする線維束性収縮が見られることもあります。これらは死亡後に起こっておかしくないことですから、家族にはそのように説明します。死亡を確認したら、そのことをはっきり家族に告げます。死亡時刻を気にする家族は多いので、できるだけ正確な時計をもとに、確認した時刻と死亡した旨を伝えます。このときの言い方は医師によってさまざまですが、私は「○時○分、死亡したことを確認しました」と言うことが多いです。
以上が死亡確認の手順です。
この後、落ち着いてから、闘病の経過を知っている患者さんや家族の場合には「本当に良く頑張りました。ご本人が一番頑張ったけれど、ご家族も良く頑張ったと思います。お疲れさまでした」と付け加えることもあります。

家族の「グリーフケア」にも配慮
死亡確認をしたら、死亡診断書を作成します。
死亡診断書は死亡統計の材料にもなるので、できるだけ病態を反映した病名を記入するようにします。紹介状や伝聞による手術の情報は、カッコ(  )に入れて書くことになっています。一番下の欄には、診断書作成日と医療機関名、そして医師名を書きます。自筆の署名があれば捺印はいらないことになっていますが、後で「『印』というところにハンコが押してない」と言ってくる家族がいることと、押印した方が格好いいような気がして、私は捺印しています。死亡診断書の作成に当たっては、くれぐれも間違いがないように気をつけます。特に患者さんの氏名は、カルテと健康保険証に記載されている漢字が違っている場合もあり、家族に確かめて書いた方が確実です。
患者さんが死亡すると、家族は遺族になります。緩和ケアでは家族もケアの対象と考えるので、遺族に対するケアも欠かせません。死亡確認をして死後の処置をして送り出したら、仕事は終わりという医療機関も多いと思いますが、遺族のケアについても簡単に触れておきます。

愛和病院では、チャプレン(病院付き牧師)の司会で「お別れ会」という小さな会を開いています。ご遺体を中心に家族とスタッフが囲むように座り、礼拝のような形式で患者さんの人生と闘病生活を振り返り、本人と家族とスタッフの労をねぎらい、お別れします。一つの区切りの儀式ですが、遺族の気持ちを整理したり、後悔を納得に変えていくのに大きく役立っているように思います。
 遺族のケアのことを「グリーフケア」と呼びます。家族を失ったことによるダメージは、人によって全く違います。ほとんどの人は次第に元の生活に戻れますが、大きく沈んで何年も引きずる人もいます。沈んでいる人にとっては、「あなたを気にかけている人がいますよ」ということが伝わると、生きるのが少し楽になります。手紙を送ったり、お悔やみ訪問をしたり、遺族が集まる会を開いたりなど、さまざまな方法で遺族の気持ちが沈んだままにならないようにケアをしています。

【日経メディカル・平方 眞】



冒頭にあるように歯科医師も死亡診断書が書けます。
# by kura0412 | 2017-01-10 10:49 | 医療全般 | Comments(0)

一般参賀

この正月休みで一回だけ動いたのが、1月2日の皇居での一般参賀でした。20年振りかの参賀でしたが、非常に良い正月を迎えられた気持ちで一杯になりました。
報道によれば参賀者数薬10万人。今年は5回お出ましになったので1回2万人です。以前はセキュリティチェックはなかったのですが、今回は手荷物と身体検査があり、皇居に到着して終わるまで2時間半かかりました。その間、誰一人として自分勝手な行動も、大きな声も発せらることなく、厳粛のままに天皇陛下の新年の挨拶を聞き無事終わりました。お出ましの時間は10分も満たなかったかもしれません。警察官が周囲に警備していることは当然ながら、粛々と進む参賀者の姿には驚きでした。外国人の参賀者も多かったですが、彼らがこの状況をどう感じたか興味のあるところです。
皇居にいる間は水も飲まずに立ちっぱなし。今回は一人で行ったので話し相手もなく、携帯をいじってひたすらお出ましを待っただけに、多少の疲れは残りましたが、こんなところで日本人の素晴らしさを感じました。そして、天皇陛下の元気なお姿と、佳子様の光り輝く存在が特に印象的でした。
# by kura0412 | 2017-01-07 15:42 | 思うこと | Comments(0)

『ローソン玉塚会長・厳罰で健診受診率100%に』

[ローソン玉塚会長]厳罰で健診受診率100%に
私の「カラダ資本論」

仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、ローソンの玉塚元一会長CEOの最終回は、自らチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO:最高健康責任者)として取り組む「健康経営」についてうかがいました。健診受診率100%を達成した秘訣とは?

ローソンは2013年に、コーポレートスローガンを「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」に変更しました。少子高齢化が進み、医療費をはじめ社会保障費の増大が国の深刻な課題となっており、私たち一人ひとりが健康へのアクションを起こして、医師や薬に依存しない生活を目指すことが大切と考えています。ローソンとしても、お客様の「未病」「予防」につながる事業展開を強化することで、マチの健康に貢献していきたいと考えています。
ローソンでは、医薬品取り扱い店舗を拡充し、低糖質のブランパン、グリーンスムージーといった健康志向の商品を展開しています。そうした取り組みのなかで、お客様の健康に対する意識やニーズが高まっていることを実感しています。かつて健康志向の商品は美容に関心の高い若い女性やシニアの利用が多かったのですが、現在は老若男女関係なく広がってきています。実際、4年ほど前には、健康に関する商品の構成比はごくわずかだったものの、今ではおよそ2500億円の売上規模となっています。
実は、東京にある本社には社員食堂がないのですが、ビル内にローソンの店舗があり、健康志向の商品が多いということもあって、そこでランチ用の食品を購入する社員も多いのです。

2018年までに高い目標値を設定
2015年10月にチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO)に就任してからは、お客様の健康はもとより、ローソングループの社員や加盟店オーナーの健康増進、改善も重要なテーマと位置づけて、様々な取り組みを行っています。
2013年度に実施した、社員の健康診断の受診率100%を目指した取り組みもその一つです。仕事が忙しいことを理由に健診を受けなかった結果、体調を害してしまう社員を減らすことが目的で、ペナルティも科しました。健診を受けなかった社員に数回、受診を勧める通知をしても受けなかった場合は、本人の賞与を15%、直属の上司の賞与も10%減額するという厳しい措置です。その結果、受診率100%を達成しました。
ただ、受診率100%を実現したのは、厳しいペナルティを科したことよりも、経営トップ直下、人事本部内に設置した「社員健康チーム」や、健康保険組合、労働組合とも連携して、常に社員へメッセージを発信し、コミュニケーションを図ったことが大きかったと思います。管理職には、部下の健康を管理するのも上司の役目の一つと理解してもらいました。やはり、お客様の健康をサポートするローソングループとしては、社員一人ひとりの健康を維持することが重要であり、社員の健康は会社の業績にも直結すること。仕事で最高のパフォーマンスを発揮するためには、健康が欠かせないこと。元気で働くことが本人や家族の幸せにつながること。そうした背景や目的をしっかり伝えて、腹落ちしてもらうことが大切ですね。

また、コンビニという業態に特有の健康課題もあります。
社員の4割はスーパーバイザーといって、会社から貸与された車で店舗を回り、アドバイスを行っています。勤務は不規則ですし、加盟店オーナーに新商品を案内するための試食もする。そのため、必然的に歩いたり運動をしたりする機会が少なくなり、肥満や高血糖を指摘される人の割合が、一般企業よりも高くなっています。
そこで、ローソンでは2018年までに、肥満や血糖値などが正常でない人の割合を減らす目標を定めました。とくに肥満者(BMIが25以上)の割合は、2014年の実績で男性37.2%を2018年は27.7%に、女性18.6%を17.0%に減らす目標を掲げています。こうした目標達成に向けて、2015年6月からは「ローソンヘルスケアポイント」を導入しました。これは、健診結果から各自が取り組むべき健康目標を3つ設定し、90日間欠かさずに行動チェックをすることでポイントが付与され、目標を達成すればさらにポイントが加算されるというものです。獲得したポイントは「Ponta」の加盟店で利用できます。

スポーツで職場環境も向上
職場の活性化を目的としたスポーツ大会も実施しています。2009年から毎年続いていて、今年はソフトボール大会を開催。私が率いる「たまちゃんドリームチーム」が地区大会で見事優勝を果たしました。役員が主体の平均年齢が一番高いチームが勝ち上がっていったので、大いに盛り上がりましたよ。ただ、実は野球部出身の若手社員を助っ人に加え、戦力をアップしていたのですが(笑)。
そのほか、4人制で柔らかいボールを使う、ソフトバレーを毎週行っている支店(各地にある運営事務所)もあります。そうした職場では、ソフトバレーの日は定時で仕事を終わらせるために、効率良く仕事をするようになったと聞いています。職場での会話やコミュニケーションが増えて、業績の向上につながっている支店も多いようです。スポーツでのチームプレーが、職場のチームワークにも生かされる。スポーツは今後も積極的に採り入れていきたいと思っています。
最近は、ローソンの中でラグビー経験者20人ほどを集めて、タッチラグビーのチームを結成しました。やはり最後はラグビーになるのかな(笑)。2カ月に1度、1時間程度汗を流して、飲み会を開いています。タッチラグビーはタックルやスクラムのない、いわば簡易版ラグビーですが、これが意外ときついんですよ。ラグビー経験者とはいえ、練習を始めて15分もすると、吐きそうになっている部員もいます(笑)。結成からまだ日が浅いものの、タッチラグビーの協会にチーム登録もしたようなので、対戦などもしていけるといいですね。

今後もCHOとして、自身の健康、グループ社員や関係者の健康維持・増進に取り組むと同時に、健康志向商品の品揃えをより充実させていきたい。とはいっても、押し売り型の店舗にするつもりはありません。私自身も、健康志向の食事をすることもあれば、覚悟を決めるような日はガツンとしたラーメンを食べることもある。お客様の多様なニーズに応えるためには、ドカ弁もたばこもそろえます。そのなかでの選択肢として、健康志向商品の品揃えや開発は、他社に負けないように進めていきたい。そして、よりマチの健康に貢献できる企業であり続けたいと思っています。

【日経ビジネス】
# by kura0412 | 2017-01-06 15:21 | 医療政策全般 | Comments(0)

迂回献金事件13日初公判

日歯連前会長ら13日初公判 迂回献金事件

政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)の迂回献金事件で、東京地裁は5日までに、政治資金規正法違反罪で起訴された前会長高木幹正被告(72)、元会長堤直文被告(74)と、団体としての日歯連の初公判を13日に開くと決めた。
起訴状によると、両被告は、それぞれ参院選があった2010年と13年、日歯連が組織内から擁立した候補に法定の上限を超す寄付をしたのに、これを隠すため一部は別団体を経由したように政治資金収支報告書に記入したとしている。
事件では元副理事長村田憙信被告(72)も同罪で起訴され、昨年12月の初公判で無罪を主張した。

【共同通信】
# by kura0412 | 2017-01-06 15:14 | 歯科 | Comments(0)

『「高齢者の定義75歳以上に」老年学会提言』

「高齢者の定義75歳以上に」老年学会提言

超高齢社会を迎え、日本老年学会は現在65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げたうえで、それより若い人たちには就労やボランティアなどの社会参加を促すべきだとする提言をまとめました。
日本老年学会は医療の進歩などで健康的に生活できる期間が延びていることから、現在65歳以上とされている「高齢者」の定義について、医師や大学教授などのグループで見直しを進めてきました。そして、「高齢者」とする年齢を体力的な面などからも75歳以上に引き上げるべきだとする国などへの提言をまとめ、都内で発表しました。

提言では、そのうえで現在は「高齢者」とされている65歳から74歳までの人たちについては新たに「准高齢者」と位置づけ、健康な間は仕事を続けたり、経験を生かしてボランティアに参加するといった活動を後押しするなど、活力のある社会をつくっていく必要性を強調しています。
その一方で、今回の提言を年金の支給年齢の引き上げなど、今の社会保障の枠組みに直接結びつけず、慎重に議論するよう求めています。

日本老年学会のワーキンググループの座長を務める、大内尉義医師は「この20年ほどで老化のスピードが遅くなり、今、高齢者と呼ばれる人は生物学的に5歳から10歳ほど若返っていると見られる。若い労働者が減るなか、現在、高齢者とされている人たちの意識を変えて、社会を支える側に回ってもらう必要があるのではないか」と話していました。
高齢者 法律上の定義はなし
総務省などによりますと、「高齢者」の年齢に法律上の定義はありません。
昭和31年に国連の報告書が当時の欧米の平均寿命などをもとに、65歳以上を「高齢」と表現したことを受けて、日本でも事実上、65歳以上の人を「高齢者」と位置づけてきました。当時(昭和31年)、日本人の平均寿命は、男性が63.59歳、女性が67.54歳でしたが、その後、食生活の改善や医療の進歩などで延び続け、おととしは(平成27年)、男性が80.79歳、女性が87.05歳となりました。
また、介護の必要がなく、健康的に生活できる「健康寿命」も、平成25年の時点の推計で、男性が平均で71.19歳、女性が74.21歳で、いずれも70歳を上回りました。
こうした中、去年、厚生労働省が行った意識調査で、「自身について何歳から高齢者になると思うか」を尋ねたところ、全体で最も多かったのが70歳以上という回答で41%、次いで現在と同じ65歳以上が20%、75歳以上が16%などとなりました。また、平成25年に内閣府が60歳以上の男女を対象に行った意識調査で、「何歳ごろまで仕事をしたいか」を尋ねたところ、「働けるうちはいつまでも働きたい」という回答が30%と最も多く、次いで「70歳くらいまで」が24%で、「65歳くらいまで」は21%でした。意識調査では、65歳を超えて働きたいという人は合わせて66%となり、3人に2人の割合でした。
高齢者の健康と生活支援に詳しい、国立長寿医療研究センターの鳥羽研二理事長は「海外では定年がない国もあり、高齢者の社会貢献の促進が進められているが、日本はそうした施策が遅れている。企業も高齢とされている人たちが、知識や技術を社会で生かせるよう、積極的に取り組んでいくことが期待される」と話していました。

街の人は…
日本老年学会が現在65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げるべきと提言したことについて、東京・銀座で聞きました。
教育関係の仕事をしている61歳の女性は「まだまだ働けますし、いつまでも若くいたいので、高齢者と呼ばれるのは65歳より、もう少しあとにしてほしい」と話しています。横浜市に住む61歳の女性も「今でも席を譲られるのは少し抵抗があるので、高齢者と呼ぶのは70歳くらいからにしてもらいたいです。ただ今も年金での生活は苦しいので支給年齢が引き上げられたりすると、困るなという気持ちもあります」と話していました。
一方、都内に住む76歳の男性は「高齢者と呼ばれてもそれほど抵抗はありませんし、今までどおり、65歳以上のままでも構わないと思います」と話していました。また去年退職したという川崎市の64歳の男性は「仕事の内容しだいでは65歳を超えても働き続けられると思いますが、実際には体力的に衰えてしまいます。高齢者と呼ばれても構わないので、無理をせずに早く休みたいというのが本音です」と話していました。
このほか、都内に住む40歳の会社員の女性は「両親も高齢者と言われる世代ですが、まだまだ現役で仕事も運動もしているので、『高齢』という言葉はそぐわないと思います。そもそも体力などは人それぞれなので、高齢者という言葉でひとくくりにすることに疑問を感じます」と話していました。

【NHK NEWSWEB】
# by kura0412 | 2017-01-06 08:34 | 医療全般 | Comments(0)

『予防医療で医療費を減らせるか』

予防医療で医療費を減らせるか(1)健康の維持・増進には寄与

予防医療とは病気になることを防いだり、病気を早期発見・早期治療することで病気による障害や死亡を減らすことを目指す医療です。規則正しい生活習慣、バランスのとれた食事、適度な運動などにより、生活習慣病やがんの発生を抑制することを一次予防といいます。定期健診やがん検診などにより、無症状の早期の段階で病気を発見し、早期の治療につなげることを二次予防といいます。
健康はすべての国民にとってかけがえのない便益と言えます。予防医療によって病気の発生や進行を抑え、健康を維持・増進することは、国家レベルでも個人レベルでも優先度が高いと言えるのではないでしょうか。そのため、予防医療の推進そのものに異を唱える人はあまりいません。
予防医療を推進することは、病気の発生・進行を抑え、結果的に医療費の抑制につながる、と一般には考えられがちです。政府は、高騰を続ける国民医療費を抑制する手段の一つとして予防医療の推進をたびたび掲げています。最近では、健康診断の受診など健康管理に努めた人に公的医療保険の自己負担割合を引き下げることを若手政治家グループが提言したというニュースもありました。
しかし、予防医療を推進することによって国民医療費を削減することは可能でしょうか。実際には、これまでの医療経済学の多くの研究によって、予防医療による医療費削減効果には限界があることが明らかにされています。
それどころか、大半の予防医療は、長期的にはむしろ医療費や介護費を増大させる可能性があります。そのことは医療経済学の専門家の間ではほぼ共通の認識です。しかしながら、まだ一般には、その事実があまり浸透していないように見受けられます。
「予防医療は医療費・介護費を抑制できない」というメッセージを読んで、驚いた読者がいるかもしれません。次回から予防医療が医療費・介護費に与える短期的・長期的な影響について、具体的な事例を紹介しながら詳しく解説します。

【日経新聞・東京大学教授 康永秀生】
# by kura0412 | 2017-01-05 10:24 | 医療政策全般 | Comments(0)

餅を小さく切って食べるなど注意しただけでは

三が日に餅のどに詰まらせ2人死亡 都内

ことしの元日から3日までの3日間に、都内では餅をのどに詰まらせて21人が病院に運ばれ、このうち、2人が死亡しました。引き続き餅を食べる機会が多いことから、東京消防庁は、餅を小さく切って食べるなど注意を呼びかけています。

東京消防庁によりますと、ことしの元日の午後1時すぎ、東京・板橋区の81歳の男性が自宅で雑煮の餅を食べた際にのどに詰まらせ、病院に運ばれましたが、その後、死亡しました。また同じ日に、北区でも60歳の男性が餅をのどに詰まらせて死亡しました。
都内では、元日から3日までの3日間に餅をのどに詰まらせて病院に運ばれた人は、28歳から91歳までの男女21人に上り、このうち65歳以上の高齢者は19人と、全体の9割を占めているということです。
引き続き餅を食べる機会が多いことから、東京消防庁は、餅を小さく切ってよくかんで食べるよう注意を呼びかけています。また、もし、のどに詰まらせた場合は、意識があるか周りの人が確かめたうえで、反応があれば、あごを支えてうつむかせ、背中を強くたたいて吐き出させるなどの対応を取るよう呼びかけています。

【NHKNEWSWEB】



毎年のことながらこの種の事故は減りません。摂食嚥下機能低下を知らずに食べている高齢者を確認することが必要です。
# by kura0412 | 2017-01-04 16:16 | 歯科 | Comments(0)

新年が先生方の良き年となりますようにご祈念申し上げます。

今年も残すところあと僅かとなりました。

1年間、本ブログにお付き合いいただきありがとうございました。

新年が先生方の良き年となりますようにご祈念申し上げます。
# by kura0412 | 2016-12-30 11:03 | 思うこと | Comments(0)

『日米の絆 アリヨシ元ハワイ州知事』

安倍首相真珠湾訪問・「謝りにこいという国とは違う」日米の絆 アリヨシ元ハワイ州知事

「とても感動的だった」。米国初の非白人知事を務めた日系2世のジョージ・アリヨシ元ハワイ州知事(90)は27日、真珠湾に沈む戦艦アリゾナの真上にある慰霊施設「アリゾナ記念館」で、安倍晋三首相がオバマ米大統領と静かに黙●(=示へんに寿の旧字体)をささげる姿を見てそう感じた。取材に応じたアリヨシさんは、「命を亡くした方々を慰霊したことを後世に伝えなければいけない」と語った。

安倍首相は、犠牲者の名が刻まれた壁を前にオバマ米大統領と並び、花輪に3、4度触れて慰霊した後、40秒ほど目を閉じた。
「驚きはなかった。いつかはこういう日がくるだろうとずっと思っていた」
ハワイの日系社会の重鎮。「戦後、日本が苦労していた時代に、祖国の親戚(しんせき)に両親が物資を送っていたことを思いだす」と語る。
「2つの祖国が敵味方に分かれた。育ててくれた国に忠誠を尽くし、家族を守るため死力を尽くした事実に心を揺さぶられる」
安倍首相は26日、日系人との夕食会でそうあいさつし、戦中、戦後の日系人らの苦労をねぎらった。

第二次世界大戦の欧州戦線に派遣された米陸軍第442連隊戦闘団は、大半が日系人だった。3分の2以上がハワイ出身者とされ、米史上最多の勲章を授与された部隊だった。アリヨシさんも高校卒業後、陸軍情報部日本語学校に入学し、終戦直後には連合国軍総司令部(GHQ)の通訳として、廃虚と化した東京に滞在した。
日本を訪れた際、言葉を交わした靴磨きの7歳の少年が忘れられない。背筋を伸ばして一生懸命に働いていた。おなかが空いているだろうと思い、ピーナツバターとジャムをぬったパンを渡した。少年は礼を言ってパンを受け取ったが、食べずに道具箱にしまった。3歳の妹が腹をすかせて家で待っている。一緒に分け合って食べるのだという。
悲哀を感じた。だが、苦難で国も家族も大変なときに、自分も何かやらねばと子供ながらに思ったその精神に、アリヨシさんは心を打たれた。「米国は日本の早期回復を望み、復活は実際、早かった。奇跡に近かった」と振り返る。

安倍首相の祖父、岸信介元首相と父、安倍晋太郎元外相と親交が深く、首相とも親しい間柄だ。だから、安倍首相はこの7歳の少年のエピソードを講演などで好んで語る。
謝罪ではなく、慰霊だった。「米国は首相に謝ってほしいといったことはなく、首相も自らお越しになった。謝りにこいという国との違いは大きい」。アリヨシさんはこう語り、日米の関係が、歴史認識で日本を揺さぶろうとする中国などの国とは違うことに触れ、「真珠湾攻撃の生存者と首相の握手はすばらしかった」と改めて述べた。
「オバマ大統領は間もなく任期を終えるが、国のトップ同士の関係だけでなく、これをきっかけに、国民同士のつながりも一層深まることを期待する」と、日米関係の未来を見据えるように話した。

■ジョージ・アリヨシ氏■ 1926年3月、ハワイ・ホノルル生まれ。終戦直後、連合国軍総司令部の通訳として東京で勤務。その後、ハワイ大マノア校、ミシガン州立大、同大法科大学院を修了。ハワイ州議員などを経て1974年12月から3期12年、同州知事を務めた。

【産経ニュース】
# by kura0412 | 2016-12-30 10:08 | 政治 | Comments(0)

来年の歯科界話題のキーワード「薬価改定」

2016けいざいあの時(4)オプジーボ薬価下げ 厚労省、主導権奪われ

がん治療薬オプジーボ。今年初めにはごく限られた人しか名前を知らなかった薬の価格を巡り、政府や医療関係者を巻き込んだ論争が沸き起こった。膨張する医療費の象徴として、2017年2月に今の価格を半分にすることが急きょ決まった。いくつもの誤算が重なった厚生労働省は薬価改定の主導権を奪われた。

「オプジーボ狙い撃ちと言われても仕方ない」。厚労省幹部は5月下旬、消費増税の再延期を伝える報道にうめいた。17年4月に予定していた消費増税に合わせ、厚労省は増税分を薬価に反映する改定を予定していた。全薬品の価格改定とともに、オプジーボを値下げする腹づもりだった。当てが外れ、一つの薬に限った異例の改定が動き出す。誤算の始まりだった。
オプジーボは体内の免疫細胞に作用し、人間の持つ異物を排除する能力を高めてがんを治療する。一部のがんに画期的な効果が確認された。想定する対象患者は470人と少ないことから高額な薬価が付いた。

「夢の薬」が医療保険制度を脅かす――。財務省が4月に開いた財政制度等審議会でこんな認識が広がった。5万人が1年間使えば1兆7500億円かかるとの試算が示された。
厚労省は中央社会保険医療協議会(中医協)で今年夏から値下げに向けた議論に入った。日本医師会の松原謙二副会長は「薬の価格が高くなり過ぎるのは速やかに改善してほしい」と要求。薬価の引き下げ分を医師の診察料など診療報酬本体に回すのが医師会の伝統的な行動原理だ。「技術革新を阻害する」と主張する製薬業界は劣勢だった。
値下げが決まったのは10月。厚労省は17年度に25%下げる方針で中医協の了承を得た。18年度に薬価制度を抜本的に変え、さらに値下げする案を温めていた。段階値下げで製薬業界の反発を和らげる狙いだった。
思わぬ伏兵となったのが共産党の小池晃書記局長だ。10月6日の参院予算委員会で「25%では不十分」と安倍晋三首相に迫った。野党の質問にもかかわらず、厚労省案への疑問が首相官邸で広がった。
10月14日の経済財政諮問会議でも民間議員が50%の引き下げを突き付けた。「なぜ1回でできないのか」。首相官邸も同調。厚労省職員は説明に回ったが、理解は得られない。次第に大幅値下げに傾いていった。
「国民の納得が得られる対応を講じていくことが大事だ」。50%値下げが固まった11月10日、菅義偉官房長官は記者会見で述べた。
厚労省には誤算が重なる。薬価改革の主導権を諮問会議が握ったことだ。民間議員は11月、2年に1度の改定を毎年にするよう提言。毎年改定は安倍首相の指示ですんなり決まった。
勢いに乗る民間議員は12月21日、診療報酬も議論すべきだと発言。診療報酬は病院経営に直結するため、医師会は横倉義武会長名で翌日、「大それた発言で青天のへきれき」とのコメントを出した。「聖域」の診療報酬本体に手を付ければ、震度はオプジーボの比ではなくなる。

【日経新聞】



来年の歯科界の話題のキーワードが「薬価改定」になるかもしれません。
# by kura0412 | 2016-12-30 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

『真珠湾訪問・日米 新たな時代へ 』

真珠湾訪問・日米 新たな時代へ

5月のオバマ米大統領の広島訪問に続く安倍首相の真珠湾訪問によって、日米関係は新たな時代に入った。強固な同盟関係を確認しながらも、両国国民の間にはそれぞれ拭いがたい不信感の根が残っていた。それが広島、長崎への原爆投下であり、米国民にとっての真珠湾攻撃だった。両首脳はそれぞれ謝罪の言葉は口にしなかったものの、そろって慰霊に訪れたことの意味は重く大きい。広島の原爆資料館の記帳ノートに「リメンバー・パールハーバー」と書いてあるのを見たことがあるが、そう書く米国人は減るだろう。真珠湾はどこにある? という質問に「三重県」と答える日本の高校生もいなくなるだろう。

安倍首相を真珠湾訪問に駆り立てた背景には3人の人物が関係していると私は見る。1人は日米の同盟関係を見直すと明言しているトランプ次期大統領。「なぜ真珠湾に来ないのか」と言われる前に先手を打った。もう1人はオバマ大統領。大統領選直後に安倍首相がトランプ氏と会談したことに現職のオバマ大統領は不快感を示していた。その釈明と労をねぎらうために真珠湾で最後の会談をしたかったのではないか。最後の1人はことし8月に単身、真珠湾を訪問した安倍首相の昭恵夫人。「真珠湾に行ってきますと言ったら、神妙な面持ちをしていた」(昭恵さん)という。
そのころ首相が真珠湾訪問の意向を固めていたかどうかはわからない。昭恵夫人の突然の訪問と、帰国後に首相に伝えた印象が首相を動かした面もあるように思う。政府筋によると安倍首相はオバマ大統領の広島訪問については「絶対に日本側からお願いするようなことはするな」と外務省に指示していたという。また真珠湾訪問について12月初めのペルーでの首脳会談で合意した際にも「これは広島訪問のお返しではない」と強く外務省首脳に伝えたようだ。真珠湾訪問の意向を安倍首相から伝えられたオバマ氏は「(返礼のような)強制された形なら遠慮したい」と初めは否定的だった。それを口説き落としたのは首相の熱意だった。
トランプ次期大統領に配慮した訪問だったとしても、真珠湾訪問、とりわけアリゾナ記念館を日本の首相として初めて訪問したことの意義はいささかも損なわれるものではない。「パールハーバー」という言葉はわれわれ日本人が想像できないほど米国の一般大衆の心の奥に突き刺さっている。それは「卑怯なだまし討」という意味をこめた「日本人」のイメージと結びついている。この深層心理がこれまでにも貿易摩擦や安保ただ乗り論などと結びついて時折顔を出してきた。

安倍首相の真珠湾訪問は世界に「75年ぶりの日米和解」と報じられるだろう。国際情勢が地球規模で混迷しているいま、日米がともにのどに突き刺さった小骨を取り除いたことはトランプ時代の日米関係にとっても良い結果に結びつくと考えたい。個人的なことになるが、ワシントン勤務から帰任するとき、真珠湾を訪れ、アリゾナ記念館に立ち寄ったことがある。全米各地から世代を超えてたくさんの人々が訪れていた。青い空と青い海に囲まれた白亜の記念館を見ながら、ここが戦場だったとは、という思いと、日本人にとっての広島、長崎と同様に、真珠湾は米国人の心のよすがなのだと知った。
このところの安倍首相の外交を見ていて感じるのは、外交にとって安定した政権と、リーダーとして長く各国首脳と付き合うことの大事さである。過去の日本政治のように毎年首相が代わるのでは外交にならない。首脳会談で用意された会話しかできない首相が多すぎた。臨機応変な会話が、両国関係を劇的に近づけることはよくある。安倍首相は2度目の首相在任が4年をすぎた。この間に世界の指導者たちと五分に渡り合う術を身につけたようだ。大混乱が予想される来年の世界情勢、安倍外交の真価が問われる。

【四国新聞社SHIKOKUNEWS・田勢康弘】
# by kura0412 | 2016-12-30 09:35 | 政治 | Comments(0)

『高齢者受難の時代到来』

高齢者受難の時代到来、70歳以上の高額療養費がアップ

12月15日、自民・公明両党の厚生労働部会が医療・介護制度改革案を承諾。これを受けて、2017年度の政府予算案が22日に閣議決定された。
社会保障にかかる費用は、新薬や医療機器の開発などによる医療の高度化、人口の高齢化などによって自動的に増える宿命を背負っている。厚生労働省の予測では、この社会保障費の自然増が、2017年度分は6400億円になると予測していた。
だが、安倍政権は「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針2015)」で、2020年まで社会保障の自然増を年間5000億円以内に収めるという具体的な数値目標を提示し、社会保障費を厳しく抑制することを政策に据えている。そのため、2017年度の予算も自然増を5000億円以内に抑制することが至上命令となっていたのだ。
そこで、今回、ターゲットとなったのが高齢者の医療・介護だ。なかでも大きな割合を占めるのが、これまで本コラムで何度も取り上げてきた70歳以上の人の高額療養費で、来年8月から低所得層を除いて限度額が引き上げられる。
ただし、70歳以上の人の医療費の引き上げは、高齢者の票離れを進め、政局にも影響を及ぼす。そのため、自己負担限度額の決定までには、最後までせめぎあいがあった。いったい、いくらで決着したのだろうか。

高齢者の高額療養費は通院のみの限度額がある
通常、病院や診療所を受診すると、年齢や所得に応じてかかった医療費の1~3割の一部負担金を支払う。だが、治療が長引いたり、手術を受けたりして、医療費が高額になると、その一部負担金を支払うだけでも大変になる。
そこで、健康保険では、患者が1ヵ月に支払う医療費の自己負担額に上限を設けており、医療費が家計の過度な負担にならないように配慮している。これが高額療養費で、年齢や所得に応じた限度額が決まっている。
70歳未満の人の限度額は、2015年1月から所得に応じて5段階に分類され、年収約770万円以上の高所得層は限度額が引き上げられた。
70歳以上の人の限度額も、過去に何度も見直しの議論は行われてきたものの、高齢者の反発を恐れた歴代政権は、特例措置によって据え置きを続けてきたのだ。
だが、今回は、社会保障費の自然増を5000億円に抑制するという安倍政権が掲げたミッションを遂行するために、最後の砦にも手をつけざるを得なくなった。
70歳以上の人の高額療養費の限度額は、所得に応じて4段階となっており、これまで通院(外来)のみの上限も別枠で設けられてきた。この外来特例は、2002年10月に、70歳以上の人の一部負担金が1割になり、それまでの老人医療制度の月額上限を廃止したことによる経過措置で、いずれは70歳未満の人と同じように入院もした場合の金額に一本化するはずだった。
高齢者の外来特例は導入から14年が経過し、1割負担が定着したこともあり、厚生労働省の審議会では、経済界側の委員から外来特例の撤廃を求める意見が相次いでいた。
だが、今回また政治的な理由によって、当面は外来特例が維持されることになった。また、自己負担額の引き上げ幅も、当初、提案されていた金額よりも低く抑えられた。

2017年8月から段階的に限度額の引き上げが開始
このなかで、いちばん対象者が多いのが、住民税課税世帯で年収約370万円以までの「一般」の所得区分の人で、約1250万人が影響を受ける。
一般の人の高額療養費は、当初予定では通院のみの限度額を現行の1万2000円から2万4600円に引き上げる案が濃厚だった。しかし、最終的には引き上げ幅は抑えられ、2017年8月から1万4000円、2019年8月に1万8000円にすることで決着。
また、通院の高額療養費については、1年間の上限額を14万4000円にする新たな制度が導入されることになったため、1年を通じた限度額はこれまでと同じになる。がんの通院治療などで継続的に医療費がかかっている人は、医療費が大幅に増える心配はない。
入院もした場合の世帯の1ヵ月の限度額は、これまで4万4400円だったが、来年8月から5万8000円に引き上げられる。ただし、こちらも多数回該当(過去12ヵ月間に、高額療養費に該当する月が3回以上あると、4回目から限度額が引き下げられる制度)が導入され、4回目以降は4万4400円になる。
厚生労働省の審議会で、「低所得層への配慮」はほとんどの委員の一致した意見だったこともあり、住民税が非課税の低所得層の限度額は据え置かれることになった。
一方、負担が大幅に増えるのが、150万人程度いる年収約370万円以上の「現役並み所得者」の人たちだ。
まず、通院のみの限度額は、現行の4万4400円から2017年8月から5万8000円に引き上げられ、2018年8月からは外来特例そのものが廃止される。同時に、上図のように所得区分は細分化され、通院も入院も関係なく限度額は一本化される。お金のある高所得層には70歳以下の人たちと同じ医療費の負担をしてもらおうというわけだ。
たとえば、年収1160万円以上の人で、1ヵ月の通院の医療費が100万円だった場合の自己負担額は、これまでの万4400円から、2018年8月以降は25万4180円と大幅にアップする。
これは、「年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担」をという観点によるものだという。もちろん、社会保険は応能負担が原則だが、それを病気やケガをした患者という立場の人に背負わせるのは正しいことなのか。
とくに、高齢者は医療機関の受診率が高く、実際に自己負担している金額は現状でも現役世代の2倍になっている。今後、高所得高齢者世帯では、家計に占める医療費の割合はますます増えていくことが予想されるが、その先に待っているのはどのような社会なのか。

小泉改革による医療崩壊を彷彿とさせる安倍政治
前出の「骨太方針2015」では、社会保障費の自然増を年間5000億円に抑えるという具体的な数値を示す一方、2013年8月に出された社会保障制度改革国民会議の報告書で何度も用いられた「社会保障の機能強化」という言葉が消えた。
こうした医療費や介護費の厳しい抑制政策は、小泉改革を彷彿とさせる。小泉内閣時代に出された「骨太の方針2006」では、社会保障関連費の自然増を年間2200億円削減する政策が強行されたが、その結果、「医療崩壊」という言葉を生み出すまでに医療の現場を疲弊させることになった。
今回の社会保障費の自然増の抑制は、小泉改革よりも厳しい数字だ。その数字合わせのために、高齢者の高額療養費の負担増だけではなく、今回は後期高齢者医療制度の保険料軽減特例の見直し、入院時のホテルコストの見直しなども同時に行われ、病気やケガをした人の負担はどんどん増すことになるだろう。
「高齢者の高額療養費の限度額引き上げ」は、たんに制度改革のひとつかもしれないが、それを導火線として、小泉改革で経験したような貧困の増大、医療・介護の現場の疲弊につながる可能性は否定できない。
だが、少し前の過去は、そうした数字合わせの政策は都合よく運ばないことを教えてくれている。小泉改革は結局のところ実現せず、反対に社会保障を機能強化しようという大きな社会運動に発展したからだ。
今回の安倍政権による社会保障費の大幅削減は、2017年の日本の社会をどのように導くのか。目を凝らして見ていきたいと思う。

【DAIAMOND ONLINE・早川幸子】



こうゆう考えもあります。
# by kura0412 | 2016-12-29 10:11 | 医療政策全般 | Comments(0)

『社会保障費「5000億円増に抑制」では甘すぎる』

社会保障費「5000億円増に抑制」では甘すぎる
不足財源を賄うため、いずれは大幅増税に

国の一般会計歳出の3割超を占め、最大の費目となっている社会保障費。12月22日に閣議決定された2017年度予算でも、2016年度の当初予算から4997億円増加し、32兆4735億円まで膨らんだ。今や社会保障費は、日本の財政を左右する大問題となっている。
当初、厚生労働省からは高齢化に伴う自然増として対当初予算比6400億円増の要求があったが、「経済・財政再生計画」の目安である5000億円増の範囲に抑制された。70歳以上の高額療養費制度の見直し(224億円削減)、後期高齢者の保険料軽減特例の見直し(187億円削減)、高額薬剤(がん治療薬「オプジーボ」)の薬価引き下げ(196億円削減)、介護納付金の総報酬割(所得に応じて介護保険料の負担を算出する方法)の導入(443億円削減)などが盛り込まれた。

数字合わせのための一時しのぎの抑制策だけ
全般的に70歳以上の高齢者や高所得者の負担を求めるものだが、「なんとか5000億円増という目標値に合わせた印象だ。一時的な効果しかなく、歳出への切り込みが不十分」と、日本総合研究所の湯元健治副理事長は指摘する。過去には補正予算で当初予算の抑制額を上回ったこともあり、補正予算での追加を含めた決算ベースの数字にも注目する必要がある。
年金については、12月14日に年金制度改革関連法が成立。賃金スライド(賃金上昇率によって年金額を改定する仕組み)を強化するなど、将来世代への影響の軽減に向けて一定の前進があった。一方で医療・介護費は急膨張が見込まれる。2025年までには団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となるからだ。後期高齢者は前期高齢者(65~74歳)と比べ、1人あたり医療費の国庫負担分が約5倍、介護費が約10倍になるとされる(2014年、財務省)。後期高齢者の人口が増えればその分医療費が膨らみ、財政に与える影響も大きくなる。

日本総研の湯元氏は、根本的な給付抑制につながる、以下のような制度設計を議論すべきだと指摘する。
(1)医療機関への「フリーアクセス」の制限、かかりつけ医の強化
日本では一般的に、患者が自由に病院を選び診療を受けることができる。そのため軽症であっても高度な医療設備を持った大病院を受診して過剰な医療サービスを受けたり、受診回数が多くなったりするケースが指摘される。病院側も診療報酬を得られるため、医療行為を抑制するインセンティブが働きにくい。
欧州では原則としてまずはかかりつけ医の診断を受け、症状が重篤な場合はかかりつけ医の紹介状を持って大病院に行くという病院の機能分化が進んでいる。日本でもかかりつけ医の受診へと誘導するため、かかりつけ医以外の病院では定額負担を課す案が厚生労働省で審議されたが、かかりつけ医の定義や負担額をめぐり議論は難航している。

(2)終末期医療の制限
高齢者などで回復の見込みがないと判断された場合でも、家族の希望に応じて胃ろうや点滴などによる延命治療が行われるケースもある。諸外国では延命治療が制限されることも多いが、日本ではかつて患者の人工呼吸器を外した医師が警察の捜査を受けた事件もあり、延命治療の差し控えはタブー視される傾向にある。そもそも、どこからが「終末期」なのかといった定義も難しく、終末期にかかる医療費の試算や削減の検討はほとんどなされていない。

(3)要介護認定基準の厳格化
介護費用は介護保険制度の始まった2000年度(3.6兆円)から急激に増え、2016年度には10.4兆円に達している。うち、4割弱は生活支援を中心とする要介護1〜2とその前段階の要支援1〜2に相当する軽度者が中心であり、本当に介護サービスが必要か、どのような介護サービスが必要かといった内容を精査する必要がある。また、限度額の範囲内であれば原則1割(高所得者は2割)の自己負担額の引き上げについても議論されている。

不足財源を消費税でカバーなら税率は17%に
以上のような医療・介護費の抑制策は不利益を被る人も少なくないため、これまでは不人気政策として先送りされてきた。今後も給付削減が困難であるとすれば、財源確保のために10%を超える消費税率の引き上げも検討しなければならない。
湯元氏の試算によれば「今後の社会保障の不足財源をすべて消費税でカバーする場合、17%への消費税引き上げ率が必要となる」という。さらに、子育て支援など現役世代への給付も充実させるとすれば、それ以上の引き上げも視野に入る。政治家も国民も、現実を直視しなければならない時期に来ている。

【東洋経済ONLINE】




後段の抜本的改正と称する3つの考え方は、考えることは理解できても、実際、医療・介護現場ではそう簡単に対応できるものではありません。
# by kura0412 | 2016-12-29 09:56 | 医療政策全般 | Comments(0)

『首相、拒絶から融和に転換 民共連携が急接近を後押し』

長期政権へ連合に秋波
首相、拒絶から融和に転換 民共連携が急接近を後押し

安倍晋三首相と民進党の支持母体である連合が距離を詰めている。首相は22日に連合の神津里季生会長を首相官邸に招き会談。神津氏は首相と労働政策などを協議する「政労会見」の再開を要請した。2012年の第2次政権発足後、一貫して連合を拒んできた方針をなぜいま転換したのか。

「共に理解し合いながら進めなければ実を上げられない。これからも様々な提言や意見を賜りたい」。首相は会談でこう呼びかけた。神津氏も「非常に意義深い話し合いだ」と応じ、首相と労働政策などを協議する「政労会見」の再開を求めた。
話し合いの中心は政権の目玉である働き方改革だった。首相が「政権最大の挑戦の一つが働き方改革だ。経済を浮揚させるうえで重要だ」と語ると、神津氏も「その点は全く同感だ」と応じた。担当閣僚は小・中学校で神津氏と同級生の加藤勝信一億総活躍相。新設した「働き方改革実現会議」の委員に神津氏を入れ、距離を縮めてきた。

政策に共通点
自民党は昨年10月の神津氏の会長就任以来、二階俊博幹事長ら幹部が連合側と接触を重ねてきた。今では連合執行部が自民党の会合に出て、政府の施策を「連合の政策と共通点が多い」(逢見直人事務局長)と歓迎する。
首相の思惑は政策面だけではない。「野党の状況はちょっと面白いね」。周囲にこう語る首相が注視するのは、野党と連合を取り巻く関係だ。
首相は次期衆院選での民進党と共産党との共闘を警戒する。日本経済新聞社が14年の前回衆院選の小選挙区で現在の野党4党が候補者を一本化した場合の勝敗を試算したところ、自民、公明両党は計60選挙区で逆転され、自民党単独では過半数を割る結果が出た。
ところが連合は、民共連携に不信感を強めている。連合はかつて共産党系労組と激しく対立してきた。「共産党とは相いれない関係なので連携はあり得ない」。神津氏は22日の記者会見でこう断言した。10月の衆院補欠選挙では共産党の支援を受けた民進党候補者の事務所から連合の運動員が手を引く事態も起きた。

民進離れ進む
連合の民進党離れはすでに進んでいる。連合執行部内では、全国約680万人いる組合員のうち若者を中心に自民党支持が3割近くまで増えているというのが共通認識だ。執行部には「賃上げできなかった旧民主党を応援する理由はない」との厳しい意見が寄せられる。賃上げに積極的な安倍政権への接近は、執行部には求心力維持の一助となる。4年連続の「官製春闘」を前に、労組としての存在意義を問う声が少ないのもそのためだ。
連合内では政権交代が当面期待できそうにない民進党ではなく、与党との関係強化に活路を見いだすべきだとの声もある。「新しい民社党をつくった方がいいんじゃないか」。連合執行部の中には、かつて保守系労組を中心に立ち上げ、自民党が長期政権を維持した55年体制下で連携したことがある民社党に言及する者まで現れてきた。
ある自民党幹部は「連合が離れた民進党が共産党と連携して左派色が強まれば、政権交代の可能性もそれだけ減る」と語る。首相周辺は「あわよくば新しい『55年体制』を狙いたい」と連合への接近の思惑を語る。
条件は整いつつある。
民進党は党名を変え、新代表を蓮舫氏に選んだが支持は広がらない。安全保障など党内で路線の違いがあっても表立った政策論争はなく、活力に欠く。自民党内でも「ポスト安倍」をにらんだ派閥活動が再び活発になりつつある。派閥間の競争で党の政策の幅が中道へと広がれば、民進党の支持層にも食い込める。
首相周辺は衆院解散の時期について、簡単に政権交代が起きないよう「野党に決定的な打撃を与える機会を見極めたい」と語る。ただそれは政権交代可能な二大政党政治の時代が再び遠のく道でもある。民進党が国民から政権担当能力を疑われるような状況が続くなら、そんなシナリオも現実味を帯びてくる。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-12-28 08:45 | 政治 | Comments(0)

『「最大の目的は国民皆保険の維持」のはず』

「薬価制度の抜本改革、メーカーの成長戦略か」と疑念
中川日医副会長、「中医協の自主性低下」も危惧

中央社会保険医療協議会薬価専門部会(部会長:西村万里子・明治学院大学法学部教授)は12月21日、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を議論した。同基本方針は、薬価調査を毎年実施し、価格乖離が大きい品目について、薬価改定を行うことが骨子で、前日20日に開かれた塩崎恭久厚労相ら4大臣会合で合意していた。

日本医師会副会長の中川俊男氏は、基本方針に対し、「改めて読むと、非常に大きな問題がある。薬価改定財源を国民皆保険制度の維持ではなく、製薬企業の成長戦略のために充てる方針のように見える」と疑念を呈した。毎年の薬価改定を打ち出す一方、「費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入」「より高い創薬力を持つ産業構造への転換」などと記載しているからだ。
さらに中川氏は、薬価専門部会でも薬価制度改革について議論しており、本来は中医協マタ―であるにもかかわらず、「4大臣合意」として基本方針が取りまとめられたことを踏まえ、「中医協の自主性が少しずつ失われつつあるのではないか」とも懸念、中医協での主体的な議論を訴えた。

一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、薬価の毎年改定に向けた薬価調査の在り方をはじめ、基本方針には「来年中に結論を得る」とされている点について、その主体を質した上で、「一方的に経済財政諮問会議からボールが投げられることがないように留意してもらいたい。検討項目は多岐にわたり、相当ハードな議論になるだろう。優先順位を付けて、納得性のある議論をするためにも早く議論を開始してもらいたい」と中医協で主体的に議論していくよう、釘を刺した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、吉森氏の質問に対し、2017年の年初から、薬価専門部会で議論を開始し、基本的な内容については同部会で議論を深めていくと説明。ただし、その結論は、関係省庁や経済財政諮問会議と最終的に調整をして、2017年末までに得るとした。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、各論について質問。薬価の毎年改定のための薬価調査が、「大手事業者等を対象に行い」とされている点について、大手4社で取り扱う医薬品の数量シェアは約75%だが、中小卸を外すことで、実勢価格を正しく評価できるか」と質問。さらに、DPCなど薬剤費が包括されている点数の扱いのほか、薬価制度と同様に特定保険医療材料の価格算定方式についても検討が必要だとした。

抜本改革の基本方針には、薬価の毎年改定のほか、
(1)オプジーボに代表されるように効能追加等に伴い、市場が一定規模以上拡大した薬については、新薬収載の機会を最大限活用して、年4回薬価を見直す、
(2)新薬創出・適応外薬解消等加算制度をゼロベースで見直し――が盛り込まれており、12月21日の経済財政諮問会議に報告される。
今後の焦点は、毎年改定の薬価調査の方法、「価格乖離の大きい品目」の定義、毎年薬価改定の財源の取り扱いだ。通常の薬価調査の在り方なども含め、2017年中に結論を得ることになっており、2017年の年明けから議論がスタートする。

「最大の目的は国民皆保険の維持」のはず
中川氏はまず、「このような基本方針を、中医協が主体的かつ自律的にまとめることなく、4大臣合意という形でまとまったのは、非常に遺憾」と述べ、「来年末までに結論を得る」などと指示されていることなども踏まえ、「中医協の自主性が少しずつ失われつつあるのではないか」と指摘し、診療側と支払側ともに自戒すべきと語った。
吉森氏が、今後の議論はハードであり、時間がかかると見通した点については、中川氏はこれまでも議論を重ねてきたことから、それほど時間はかからないとし、厚労省に対し、スピード感を持って議論を進めるよう求めた。「のんびり議論していたのでは、経済財政諮問会議が何らかの意見が出てきかねない。そうした危機感を持ってやってもらいたい」(中川氏)。

その上で、中川氏は、基本方針が、安倍政権がかかげる成長戦略を狙った方針に映ると指摘した。
基本方針は、序文に「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」の両立を基本理念として掲げている。中川氏は、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価引き下げを求めていたのは、公的国民皆保険の維持が最大の目的であり、現実にはこれらの両立は容易ではないと指摘。
基本方針には、「革新的新薬創出を促進するため、新薬創出・適応外薬解消等促進加算をゼロベースで抜本的に見直すこととし、併せて費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入」「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するため、革新的バイオ医薬品およびバイオシミラーの研究開発支援方策等の拡充を検討、ベンチャー企業への支援」など、イノベーション評価や研究開発投資の促進を狙った記載が多い。

中川氏は、創薬支援の対象となる「我が国の製薬産業」とは、内資系企業に限るのか、外資系企業も含まれるかを質問。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算で恩恵を受けたのは、内資系ではなく、外資系企業であるという歴史的な経緯がある」(中川氏)。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「我が国に必要な医薬品を提供するという制度設計を行っている」と述べ、内資系か外資系かを問わず、日本の医療において薬を提供する企業全体を指すと説明。
そのほか、現在は試行的に導入されている「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、ゼロベースで見直すとされている点も質問。中川氏は従来から、革新的新薬創出の支援は、診療報酬ではなく、補助金等で対応すべきと主張してきた。中山薬剤管理官は、「現行の加算について、どのような課題があるかを洗い出して、研究開発投資の促進という観点で見た場合、どんな制度であるべきかをしっかり考え直すことだと理解している」と述べるにとどまった。
中川氏はそのほか、オプジーボの類薬に当たるキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)の薬価の問題にも言及。
キイトルーダは12月19日、悪性黒色腫に続いて、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果について薬事承認された。オプジーボはセカンドラインに使用するが、キイトルーダはファーストラインにも使用可能だ。早ければ2017年2月にも薬価収載される見通し。この点も踏まえ、中川氏はオプジーボの患者からの変更だけでなく、対象患者の拡大が見込まれる上、今後も他の癌種でも効能・効果の拡大が検討されていることから、厚労省に対し、迅速な対応を求めた。

【m3.com 】
# by kura0412 | 2016-12-27 10:13 | 医療政策全般 | Comments(0)

『「全員加盟の医師の団体」の是非を議論、日医 』

「全員加盟の医師の団体」の是非を議論、日医
委員長には京都大名誉教授の本庶佑氏

日本医師会の今村聡副会長は12月21日の定例記者会見で、日医内に設置した「医師の団体の在り方検討委員会」の検討状況の中間報告を説明、「医師偏在を含む医療のさまざまな問題をどのように解決するのか、そのためにどのような団体の在り方が必要なのかを検討している」と語った。
委員長は京都大名誉教授の本庶佑氏、副委員長は今村副会長で、委員には地域医療機能推進機構(JCHO)や日本病院会のトップなどが参加している。10月31日に第1回、12月8日に第2回の検討会を開いており、2017年春に最終報告を行う。議論の結果は厚生労働省の医師需給分科会などにも報告する方針。

今後の議論の方向性として、
(1)医師の団体が自主的・自律的に何らかの仕組みを作ることについて、その必要性の有無、(2)全員加盟の団体を形成することの是非や可能性・実効性の検討、
(3)全国的な視野に立ちつつ、都道府県を単位として、医師の団体等が大学等と協働し、また行政   とも連携して問題解決にあたる仕組みの検討、
(4)これらについて、例えば保険医や保健医療機関の在り方等も含め、議論の深化を図っていく――の4点を掲げている。

今村副会長は「医師が一つの団体に所属をして自主的・自律的に活動していくことが望ましいというのは、日医だけでなくさまざまな医療団体、学術会議で提言されていること。今回は本庶先生から、そうした団体の必要性が指摘され、とりあえず日医という場の中で議論をしていくことになった」と説明。
「全員加盟の医師の団体」が日医を指すのかという質問に対しては、「現実問題として、医師会以外に医師が加盟する団体を作るのは困難だと思うが、組織が必要かどうかということをゼロベースで議論していく」と今村副会長は回答。政治とのかかわりを含めて日医の在り方も検討の対象になるかについては「公益社団法人である日医と、政治活動を行う日本医師連盟とは別組織になっており、本来的には一緒にする話ではないと思うが、いろいろな意見が出てくるとは思うので、そのような話しも出てくるかもしれない」と述べた。

【m3.com】
# by kura0412 | 2016-12-27 09:05 | 医療政策全般 | Comments(0)

『保険医療制度、“焼野原”にするな 』

保険医療制度、“焼野原”にするな
第57回日本肺癌学会学術集会、國頭・日赤医療センター

第57回日本肺癌学会学術集会(福岡市)で企画された12月20日のシンポジウム「医療経済から観た適正な肺癌診療」で、日本赤十字社医療センター化学療法科部長の國頭英夫氏が登壇、「私の第一の目的は、次の世代に今の医療システムを、焼野原にせずに、いかに引き継いでいくかにある」と述べ、高額薬剤の登場が相次ぐ時代にあって、「効果と副作用が同等なら、安い方の薬を使う」など、費用対効果を念頭に置いた処方行動の重要性を訴えた。

オプジーボ(一般名ニボルマブ)に代表される昨今の高額薬剤が社会問題化したのは、國頭氏が2015年の同学術集会で問題提起し、メディアで大々的に取り上げられたのが、一つのきっかけだ。國頭氏は、「オプジーボを非小細胞肺癌の適応用量で使用した場合、1人当たりの薬剤費は、年3500万円、5万人に使用すると年間約1兆7500億円」という試算を提示。國頭氏は、2016年4月の財務省の財政制度等審議会財政制度分科会でもプレゼンテーションした。
オプジーボの薬価は、2017年2月から50%引き下げられることになった(『オプジーボ、来年2月から50%引き下げへ』を参照)。國頭氏は20日の講演では、この薬価引き下げ問題には言及せず、批判の矛先は現場の臨床医だった。「新しいものはいいと、無条件で考えられている」(國頭氏)現状があり、結果的に効果や副作用が同等でも、新規、かつ多くの場合は高額な治療法に向かう傾向を問題視。オプジーボなどの高額薬剤については、最適な使用法を見いだすための臨床研究に取り組む重要性を強調した。
国際医療福祉大学大学院薬学研究科教授で、医療経済が専門で医師の池田俊也氏も、カナダのpCODR(pan Canadian Oncology Drug Review)でのオプジーボの評価などを紹介し、費用対効果評価が世界的な潮流になっていると説明。費用対効果評価に当たっては、将来の予後予測等も含めて行うため、推計が入るなど、手法の限界もあるものの、今後は医療経済の専門家と臨床医が協力体制を構築し、エビデンスを構築していく必要性を指摘した。
もっとも、せっかく費用対効果評価を実施しても、その結果を基にした医療が実践されなければ意味がないため、池田氏は「その辺りについて、医療者の合意形成に至っていないのではないのか」と問題提起した。「目の前の患者に最善を尽くすことは必要だが、我々は無償で医療を提供しているわけではない。その費用は、誰かが負担している。同じ効き目だったら、安い方の薬を使うという合意形成すらなされていない。医療者の間での意思統一がないと、国民を巻き込んだ議論に至らない」と述べ、医療者の取り組みに期待した。

オプジーボ、「無駄打ち」のコスト高く
國頭氏は、自身のCOIとして、日本イーライリリーからの講演収入を挙げて、講演をスタート。
まず問題視したのは、「Low benefit,High cost」の化学療法が採用されている現状だ。「効果も副作用も同じなのに、価格だけ数倍。なぜこうした治療法が取り入れられるのかが不思議だ。新しいものはいいと、無条件で信じられている」(國頭氏)。
幾つかの例を挙げたが、その一つが、サイラムザ(一般名: ラムシルマブ)。製造販売元は、日本イーライリリー。日赤医療センター化学療法委員会では、本剤の大腸癌に対する使用を全員一致で見送った。既存薬と効果・副作用が同じで価格が2.8倍であるためだ。
一方で問題になるのが、「High benefit,High cost」、つまりコストも効果も高い抗癌剤だ。その代表例がオプジーボ。同薬の有効率は20~30%と必ずしも高くはないが、効果持続期間が長いのでベネフィットは大きい。しかし、事前に有効な患者を見極めるバイオマーカーは現時点では確立されていない。また一過性に画像診断で陰影が大きくなり、その後に縮小して効果が明らかになるという「偽増悪」もあり、臨床的に無効であるとの判断、つまり「諦め時」が見極めにくい。さらに、有効の場合でも、いつまで投与を続けるべきかについては現時点では確立されておらず、無期限の投与になっているなどの問題もある。結果的に、オプジーボの場合、「無駄打ち」のコストがかかる可能性が高い、と國頭氏は指摘する。

オプジーボを効率的に使用するため、幾つかの臨床試験が現在進行もしくは検討中だ。
國頭氏が挙げたのは、無効であることを早めに判断するための観察研究。検討中なのは、有効な場合に、いつまで投与を継続するかという判断のための臨床試験だ。「開発者である本庶先生(京都大学名誉教授の本庶佑氏)は、オプジーボは半年程度の投与で十分、とおっしゃっている。それでその後も効果が続くなら、以降の投与は無駄であり、中止できればコストと副作用の削減につながる」(國頭氏)。
もっとも、これらの臨床試験は、「No excitement,No breakthrough」。國頭氏は、「こうした研究は今までの薬の効果をより高めはせず、ブレークスル―にはならない。だから面白くない。なのに、なぜわざわざこんな研究をしなければいけないのか」と問いかけた。
今後、日本では人口の高齢化が進み、高齢者人口が急増する。「安易に『全ての人を助けたい』と言えればいいが、保険財政が破たんしてしまったのでは、『この人たち』を捨てることと同じだ。それは最悪の選択だろう」(國頭氏)。「この人たち」とは、次世代を担う若者たちであり、「私の第一の目的は、次の世代に今の医療システムを、焼野原にせずに、いかに引き継いでいくかにある」と述べ、國頭氏は講演を締めくくった。

カナダ、オプジーボは「費用対効果の改善が条件」
池田氏は、英国のNICEのほか、カナダのpCODRなどの実例を基に、臨床効果だけでなく、費用対効果という社会的な価値を含めて、欧米諸国では医療技術の評価に取り組んでいる現状を紹介。評価の指標としては、ドイツを除いて、「QALY」(質調整生存年)を用いる国が多く、同指標には限界があるものの、「QALY」より優れた指標が現時点では見当たらないと説明。
費用対効果評価に取り組んでいる代表例が、イギリス。NICE(National Institute for Health and Care Excellence)という組織が取り組んでいる。全ての医薬品について評価しているわけではなく、国民保健サービス(NHS)を所掌する英保健省と相談して、対象品目を決めている。
NICE の2008年から2014年11月までのデータを見ると、評価対象となった267品目のうち、医薬品が246品目、うち抗癌剤の占める割合は多く、88品目に上る。ただし、評価結果は厳しく、医薬品全体では「推奨」となったのは49%だが、抗癌剤に限ると「推奨」は40%と下がり、「非推奨」43%、「一部推奨」7%、「その他」11%――という結果だ。
池田氏は、「日本でも、次々と出てくる新しい技術に対して、どう対応していくか」が課題になるとした。費用対効果評価の試行が、2016年4月から始まっており、2018年度診療報酬改定で、その評価結果も踏まえて価格の見直しを行う予定になっている。医薬品は7品目で、オプジーボも含まれる。

池田氏が紹介した、もう一つの海外の例が、カナダのpCODR。
抗癌剤を専門に分析している組織であり、オプジーボの評価結果を紹介した。非小細胞肺癌の場合、「ICER」(増分費用効果比)は、企業提出データは15万1560カナダドルと、通常受け入れられる水準である10万カナダドルを超えていた。企業が想定した予後予測モデルをpCODRが見直した場合の再分析結果は19万3918~21万9660カナダドルと、費用対効果はさらに悪化した。「最終的にpCODRは、『オプジーボには臨床的な効果があり、ぜひ保険償還すべきだが、費用対効果が一定の水準まで改善することが条件』と判断。つまりカナダの各州政府が企業と交渉して一定の価格まで下がった場合に限り、保険で使いましょう、という判断だ」(池田氏)。
費用対効果評価に当たっては、無増悪の状態から増悪の状態にどのくらいのスピードで悪化するか、悪化した場合の死亡率などのデータが必要になるが、短期的な臨床試験の結果を基に、長期的な予後を推計することになる。前提条件や推計モデルをによって推計結果が変わるため、その精度の改善は今後の課題でもあるとしたものの、池田氏は「エビデンスが十分そろわないからと言って、評価を先伸ばしにするのはおかしい。今、償還するか否か、現場で使用するかどうかを判断しなければならないので、エビデンスがそろった頃に費用対効果を評価しても、手遅れになる。現在利用し得る情報を最大限に活用して費用対効果評価を実施し、不確実性を考慮した上で、総合的に判断することが求められている」と述べ、費用対効果評価の重要性を強調した。

医師でもある池田氏は、「目の前の患者に最善を尽くす、という医学教育を受け、これまでやってきた。ところが、社会から見た価値や財源の問題を無視していいのか、という問題が生じている。患者だけでなく、財源のことも踏まえながら、総合的に判断していくことがこれからの医師に求められる役割」と指摘した上で、「薬の価格を細かく調整しても、結局、臨床現場で薬がコスト意識を持たずに使われていては意味がない。われわれ医療者が費用対効果をどう考えていくのか、ガイドラインに経済性の観点をどう取り入れていくかなどは、学会を中心に議論していくべき課題」と訴えた。

【m3.com】
# by kura0412 | 2016-12-27 09:00 | 医療政策全般 | Comments(0)

『「中医協の自主性低下」も危惧』

「薬価制度の抜本改革、メーカーの成長戦略か」と疑念
中川日医副会長、「中医協の自主性低下」も危惧

中央社会保険医療協議会薬価専門部会(部会長:西村万里子・明治学院大学法学部教授)は12月21日、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を議論した。同基本方針は、薬価調査を毎年実施し、価格乖離が大きい品目について、薬価改定を行うことが骨子で、前日20日に開かれた塩崎恭久厚労相ら4大臣会合で合意していた。

日本医師会副会長の中川俊男氏は、基本方針に対し、「改めて読むと、非常に大きな問題がある。薬価改定財源を国民皆保険制度の維持ではなく、製薬企業の成長戦略のために充てる方針のように見える」と疑念を呈した。毎年の薬価改定を打ち出す一方、「費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入」「より高い創薬力を持つ産業構造への転換」などと記載しているからだ。
さらに中川氏は、薬価専門部会でも薬価制度改革について議論しており、本来は中医協マタ―であるにもかかわらず、「4大臣合意」として基本方針が取りまとめられたことを踏まえ、「中医協の自主性が少しずつ失われつつあるのではないか」とも懸念、中医協での主体的な議論を訴えた。
一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、薬価の毎年改定に向けた薬価調査の在り方をはじめ、基本方針には「来年中に結論を得る」とされている点について、その主体を質した上で、「一方的に経済財政諮問会議からボールが投げられることがないように留意してもらいたい。検討項目は多岐にわたり、相当ハードな議論になるだろう。優先順位を付けて、納得性のある議論をするためにも早く議論を開始してもらいたい」と中医協で主体的に議論していくよう、釘を刺した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、吉森氏の質問に対し、2017年の年初から、薬価専門部会で議論を開始し、基本的な内容については同部会で議論を深めていくと説明。ただし、その結論は、関係省庁や経済財政諮問会議と最終的に調整をして、2017年末までに得るとした。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、各論について質問。薬価の毎年改定のための薬価調査が、「大手事業者等を対象に行い」とされている点について、大手4社で取り扱う医薬品の数量シェアは約75%だが、中小卸を外すことで、実勢価格を正しく評価できるか」と質問。さらに、DPCなど薬剤費が包括されている点数の扱いのほか、薬価制度と同様に特定保険医療材料の価格算定方式についても検討が必要だとした。

抜本改革の基本方針には、薬価の毎年改定のほか、
(1)オプジーボに代表されるように効能追加等に伴い、市場が一定規模以上拡大した薬については、新薬収載の機会を最大限活用して、年4回薬価を見直す、
(2)新薬創出・適応外薬解消等加算制度をゼロベースで見直し――が盛り込まれており、12月21日の経済財政諮問会議に報告される。
今後の焦点は、毎年改定の薬価調査の方法、「価格乖離の大きい品目」の定義、毎年薬価改定の財源の取り扱いだ。通常の薬価調査の在り方なども含め、2017年中に結論を得ることになっており、2017年の年明けから議論がスタートする。

「最大の目的は国民皆保険の維持」のはず
中川氏はまず、「このような基本方針を、中医協が主体的かつ自律的にまとめることなく、4大臣合意という形でまとまったのは、非常に遺憾」と述べ、「来年末までに結論を得る」などと指示されていることなども踏まえ、「中医協の自主性が少しずつ失われつつあるのではないか」と指摘し、診療側と支払側ともに自戒すべきと語った。
吉森氏が、今後の議論はハードであり、時間がかかると見通した点については、中川氏はこれまでも議論を重ねてきたことから、それほど時間はかからないとし、厚労省に対し、スピード感を持って議論を進めるよう求めた。「のんびり議論していたのでは、経済財政諮問会議が何らかの意見が出てきかねない。そうした危機感を持ってやってもらいたい」(中川氏)。

その上で、中川氏は、基本方針が、安倍政権がかかげる成長戦略を狙った方針に映ると指摘した。
基本方針は、序文に「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」の両立を基本理念として掲げている。中川氏は、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価引き下げを求めていたのは、公的国民皆保険の維持が最大の目的であり、現実にはこれらの両立は容易ではないと指摘。
基本方針には、「革新的新薬創出を促進するため、新薬創出・適応外薬解消等促進加算をゼロベースで抜本的に見直すこととし、併せて費用対効果の高い薬には薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入」「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するため、革新的バイオ医薬品およびバイオシミラーの研究開発支援方策等の拡充を検討、ベンチャー企業への支援」など、イノベーション評価や研究開発投資の促進を狙った記載が多い。

中川氏は、創薬支援の対象となる「我が国の製薬産業」とは、内資系企業に限るのか、外資系企業も含まれるかを質問。「新薬創出・適応外薬解消等促進加算で恩恵を受けたのは、内資系ではなく、外資系企業であるという歴史的な経緯がある」(中川氏)。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「我が国に必要な医薬品を提供するという制度設計を行っている」と述べ、内資系か外資系かを問わず、日本の医療において薬を提供する企業全体を指すと説明。
そのほか、現在は試行的に導入されている「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、ゼロベースで見直すとされている点も質問。中川氏は従来から、革新的新薬創出の支援は、診療報酬ではなく、補助金等で対応すべきと主張してきた。中山薬剤管理官は、「現行の加算について、どのような課題があるかを洗い出して、研究開発投資の促進という観点で見た場合、どんな制度であるべきかをしっかり考え直すことだと理解している」と述べるにとどまった。
中川氏はそのほか、オプジーボの類薬に当たるキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)の薬価の問題にも言及。
キイトルーダは12月19日、悪性黒色腫に続いて、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果について薬事承認された。オプジーボはセカンドラインに使用するが、キイトルーダはファーストラインにも使用可能だ。早ければ2017年2月にも薬価収載される見通し。この点も踏まえ、中川氏はオプジーボの患者からの変更だけでなく、対象患者の拡大が見込まれる上、今後も他の癌種でも効能・効果の拡大が検討されていることから、厚労省に対し、迅速な対応を求めた。

【m3.com】
# by kura0412 | 2016-12-22 10:24 | 医療政策全般 | Comments(0)

『薬価にメス、医療費抑制 毎年改定 品目など次の焦点 』

薬価にメス、医療費抑制 毎年改定 品目など次の焦点

政府は20日、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針をまとめた。2年に1回変えてきた薬の公定価格を毎年の改定に改めるのが柱だ。市場の実勢に近い価格に下げやすくし、医療費の抑制につなげる。日本医師会や製薬業界の反対が強かった毎年改定に踏み込んだが、改革がうまくいくかどうかは今後の具体策づくりがカギを握る。
塩崎恭久厚生労働相、菅義偉官房長官、麻生太郎財務相ら関係4閣僚が20日、会合を開いて基本方針を決めた。21日に開く政府の経済財政諮問会議で示し、新制度の具体策は中央社会保険医療協議会(中医協)を中心に決める。

薬価の毎年改定は2018年度から実施する。
公的保険を適用する薬の価格は国が決定権を持つ。今の制度では2年に1回見直す決まりだ。1度決まれば2年間、薬価(公定価格)は変わらないが、医療機関の仕入れ値に近い市場価格は後発薬の普及などで下がる傾向にある。
この差額は製薬会社や医療機関の収益となっている。超高額のがん治療薬オプジーボのように海外より2倍以上高い薬が登場し、政府は見直しの頻度を高める必要があると判断した。

今後は(1)対象品目(2)薬価見直しの条件(3)浮いた財源――の3つが焦点になる。
市場で流通する医薬品は2万~3万。対象品目を巡っては、日本医師会の横倉義武会長が今月14日の記者会見で「オプジーボや外国に比べて高いものは一定の理解をせざるを得ない」としつつも、品目は限定すべきだとの認識を示した。
政府の経済財政諮問会議の民間議員は全品目を対象にすべきだとの立場だった。しかし、最後は医師会などに配慮せざるを得なかった。
もう1つの焦点になる毎年改定の条件として、基本方針は実勢価格と薬価の差が大きいことを盛りこんだ。この条件次第で品目は大きく変わる。厚労省が15年に実施した2年に1回の医薬品価格調査(速報値)では実勢価格と薬価の差は平均8.8%だった。単純計算で年間の下落率は5%弱だ。例えば、毎年改定の条件を5%以上の価格差とすれば、対象は大幅に狭まる見通しだ。
毎年改定で浮いた財源の扱いも現時点では不透明だ。医師会は薬価の引き下げ財源は医師の技術料など診療報酬本体に上乗せすべきだとの立場だ。医療費の伸びを抑制して、財政再建につなげる必要がある。

【日経新聞】
# by kura0412 | 2016-12-22 10:18 | 医療政策全般 | Comments(0)

骨折予防ワクチンとなったらBRONJの対応は?

年1回投与型ビスホスホネートの実力と注意点
海外では全死亡減少のエビデンスも

今年11月、百花繚乱の骨粗鬆症治療薬にニューフェースが登場した。年1回の静注薬ゾレドロン酸(商品名リクラスト、製造販売元:旭化成ファーマ)である。海外では使用実績があるビスホスホネート製剤だが、どれほどの実力を持ち、治療ガイドラインではどのように位置付けられるのだろうか。
ゾレドロン酸は、国内では悪性腫瘍による高カルシウム血症や骨病変を適応とする薬剤(ゾメタ)として使われてきたが、海外では骨粗鬆症治療薬として既に115カ国以上で承認され実績を持つ成分である。
日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団編『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版』刊行から1年半しか経過していないため、そこにはゾレドロン酸に対する記述はない。
しかし、同ガイドライン作成委員会のメンバーで鳥取大学保健学科教授(同大附属病院リハビリテーション部長)の萩野浩氏は、骨密度の上昇、椎体骨折、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折の各予防の評価指標において、アレンドロン酸やリセドロン酸と同等レベルのAランクに相当すると太鼓判を押す。

非椎体骨折を初めて有意に抑制した薬剤
実際、665例を対象に実施された国内の治験(ZONE study)では、主要評価項目の新規椎体骨折の発生をプラセボ群に比べて65%(P=0.0029)、副次評価項目の非椎体骨折を45%(P=0.0292)と、それぞれ有意に抑制した。国内試験において非椎体骨折の抑制に関して有意差が得られた初の骨粗鬆症治療薬だという。
大腿骨近位部骨折後患者に対する海外の試験では、プラセボとの比較で二次骨折の発生の抑制(P=0.001)のみならず、全死因死亡も28%(P=0.01)と有意に減少しており(P=0.01)、骨折予防で生命予後を改善できることが示唆されている(N Engl J Med. 2007;357:1799-809.)。
ゾレドロン酸の作用機序は他のビスホスホネートと同様、破骨細胞のアポトーシス誘導および機能喪失によって骨吸収を抑制するというもの。活性化された破骨細胞が骨を吸収する際に、骨に沈着したビスホスホネートが破骨細胞内に移行して、アポトーシスを誘導する。
ヒドロキシアパタイトに対する親和性がビスホスホネート製剤の中で最も高いために骨への取り込み量が多く、いったん溶出しても再吸収されてリサイクルされる可能性が示されている(Bone. 2006;38:617-27.)。骨組織中での半減期は150~200日とされ、長期間骨に取り込まれ、中断後も残存効果が期待できる(Drug Metab Dispos. 2008;36:2043-9.)。

萩野氏は、「長期間にわたり骨折が抑制でき、高リスクだが頻回受診できない人にとって、年1回の注射薬であることはメリット。ポリファーマシー(多剤併用)を防げるという利点も大きい」と語る。
使用可能な骨粗鬆症治療薬の強度は、デノスマブ(抗RANKL 抗体)とテリパラチド(副甲状腺ホルモン薬)が双璧とされる。ゾレドロン酸も、70歳以上で骨折がある人、あるいは骨折に至らないまでも骨密度が低い人が投与対象になるとみられている。
「重篤な患者には、まず2年ほど骨形成促進薬であるテリパラチドを用いて骨量を増やした後、デノスマブを5~10回打ち、ゾレドロン酸を2~3回投与するのが望ましい。テリパラチドの後治療としてゾレドロン酸あるいはデノスマブ単独というリレーもあり得る」(萩野氏)。
一方、ゾレドロン酸の国内第3相試験では、安全性評価対象症例333例中197例(59.2%)に副作用が認められている。頻度の高い副作用は、発熱、関節痛、筋肉痛、倦怠感などだが、いずれも重症には至らず、顎骨壊死の症例も国内の2年間の試験では報告されていないが、あらかじめリスクを伝えておくことが重要になる。

年1投与でも定期的なフォローは不可欠
萩野氏によれば、発熱、関節痛、筋肉痛、倦怠感といった副作用は、初回投与時だけで2回目以降は起きにくい。元々ビスホスホネートを使用している人、高齢者なども頻度は低いという。一方、ビスホスホネート関連顎骨壊死は、投与期間が長くなるほどリスクが高まる。なお、重度の腎障害(CCr<35mL/分)がある場合には用いることはできない。
年1回の投与では、その後患者が来院しなくなるなどの懸念もある。しかし投与対象となる高齢患者などでは、糖尿病や高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチなどの基礎疾患を持っていたりするケースは多い。投与の有無にかかわらず、かかりつけ医として内科的なフォローは不可欠だ。そのようなハイリスク患者にはゾレドロン酸を、“予防注射”的に年1回投与できれば理想的だという。
また、ステロイド内服者のステロイド性骨粗鬆症を早めにキャッチすることも大事だが、これに対するゾレドロン酸の骨折予防効果の報告はまだないため、アレンドロン酸もしくはリセドロン酸が第一選択となる。

「骨粗鬆症治療薬は、全般的に有害事象が少ない。骨密度測定などは連携病院で行うようにすれば、プライマリ・ケア医で十分対応可能だ」と萩野氏は語る。
  東永内科リウマチ科(大阪市東淀川区)は、骨粗鬆症を積極的かつ専門的に診療している診療所の1つ。リウマチ専門医である院長の兪炳碩(ゆう・へいせき)氏は骨粗鬆症の罹患率の高さに注目し「骨粗鬆症外来」を掲げ、リウマチ診療とともに同院の柱としている。
日本骨粗鬆学会が2015年に開始した認定医(第1期)の資格も取得。骨密度の測定については、DXA(デキサ)X線骨密度測定装置が高額であるため、かつての勤務先である淀川キリスト教病院(東淀川区)、近隣の済生会吹田病院(吹田市)などに測定を依頼している。骨密度とは無関係に、X線上で椎体骨折を認めれば治療を開始している。

毎年の“骨折予防ワクチン”として
兪氏は、「骨粗鬆症治療の最大の目的は、大腿骨近位部骨折の予防。X線があれば、低コストで簡便に脊椎の骨折をチェックできる。かかりつけ患者のうち高リスク者は、半年ないし1年に1回大腿骨骨折リスクを見極めている」と語る。
同院では、2012年からの4年間で、2600枚以上の紹介状・診療情報提供書を作成している。そのうち、「ビスホスホスネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー」に基づき、歯科医に注意を促すための紹介状・情報提供書は150枚を超えている。
ゾレドロン酸について兪氏は、「薬価も抑えめであり、毎年の“骨折予防ワクチン”という感覚で打とうという患者もいるのではないか。特に消化器症状や嚥下に問題を抱えて内服が難しい患者、コンプライアンスの悪い患者にとって有力な選択肢になり得る」とみる。
ゾレンドロン酸の薬価は約4万円と一見高額な印象だが、従来の月1回投与型ビスホスホネートの年間の薬剤費(約3500円×12回)を超える額ではない。
大腿骨近位部骨折が起これば高齢者の生活は一変し、その質は著しく低下する。そうしたリスクに対するアンテナの感度を高めて、治療効果のある薬剤を選択することは患者を利するのみならず、介護などに要する社会的費用の軽減にもつながるはずだ。

【日経メディカル】



骨折予防に対しては有用であっても、BRONJの可能性は大幅に高まります。
# by kura0412 | 2016-12-20 10:18 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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