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「不採算で常設をやめようとした歯科口腔外科も」

当事者の証言(3)病院なくすとは言えない

熊本県を最大震度7が襲った昨年4月。熊本市民病院は天井などが崩壊。約310人の入院患者が転院を余儀なくされた。
あれから1年強。地元では市民病院の移転・新築計画が進む。ただ熊本市は人口10万人当たりの病床数が全国平均の1.7倍に達する。復興は大事だが医療費膨張の点で見るとどうか。記者(31)は現地に向かった。
一部閉鎖中の市民病院。近隣の熊本赤十字病院を訪ねると混雑をわびる貼り紙があった。市民病院に通っていた男性(64)は「早く再開を」と待ち望む。
市民病院の再建が決まるのは2度目だ。5年前、建設費133億円で建て替えを決めたが、資材の高騰などで209億円に膨れ、計画は凍結。そこに地震が起きた。新計画では約160億円かかるが、復興の補助金約90億円で一部は賄われる。
入院・外来患者数は2015年まで6年連続で減少。病床利用率を上げるため、移転後の病床数は3割減の392床だ。だが熊本市全体の必要病床数が25年に14年比で約2300床減とされるなか、過剰感は否めない。

再建計画づくりでは、医師の代表として県と市の医師会長が、診療科の編成や計画の文言に注文を付けた。
不採算で常設をやめようとした歯科口腔(こうくう)外科も、医師会の要望で復活した。地域のクリニックからの紹介率を引き上げ、来院数を増やしたい市民病院。人口減を見据えた「最適解」を探る議論は不足していた。

とはいえ、病床過剰の結果、患者の奪い合いが起きるのではとの不安も地元ではよぎる。
民間病院の院長は「市民病院と別の赤字病院を統合する話もあった」と明かす。別の院長は「開業医が中心の医師会は医師の代表だが、病院の代弁者とは思っていない」と計画の一部に反対を唱える。
熊本県医師会の福田稠会長は「3~4年かければ、市民病院の機能を他病院に振り向けることはできた」と吐露した。ただ復興に向け再建ありきの議論の中、「医師会の立場で病院をなくそうとはとても言えない」。
目先の治療か、10年先の医療体制か。社会保障費の膨張を食い止めたいと考え、これまで取材してきたが、震災の爪痕が残る地元を見て「将来の医療費のことも考えて」と単純には言い切れない惑いが残った。
新病院の建設予定地を散歩していた男性(70)が記者につぶやいた。「病院できる分には誰も反対せん。市にいくらお金があるのか知らんけど」

(日経新聞)
by kura0412 | 2017-06-29 14:55 | 歯科医療政策 | Comments(0)

『既得権サークルの聖域』

既得権サークルの聖域 カネと票、厚労族走らす
不作為の果てに(1)

社会保障制度の改革が進まない。社会保障にかける国のお金が膨らむと、新たな票も生み、政治家、官僚、業界の既得権サークルは力を蓄える。ツケを生活者に押しつけてきた改革の不作為を追う。

7日の参院本会議。遺伝子検査をする病院や検査所に一定数の臨床検査技師の配置を事実上義務づける改正医療法が成立すると、笑みを浮かべる議員がいた。日本臨床衛生検査技師会会長を兼ねる宮島喜文氏だ。

■強固なパイプ
同法は血液や遺伝子を検査する臨床検査技師の職域を広げるもの。宮島氏が事務局長の自民党議員連盟が成立を主導した。業界の利益拡大が狙いではないか。取材班の問いに「検査の質を高めるためだ」と話した。日本臨床衛生検査技師会は2010年の参院選で自民党から独自候補が初当選。13年は落ちたが、16年に出馬した宮島氏は3年前の7倍の得票で当選した。
日本医師会など直近2回の参院選比例代表で自民党から出た社保系8団体。参院選で集めた「社会保障票」は01年の約66万票から16年は約92万票に増えた。
社会保障関係費(当初予算ベース)は01年度の約17兆5千億円から16年度に約31兆9千億円に膨張した。新たな票につながり、厚労族を走らす。
政府が9日に決めた経済財政運営の基本方針(骨太の方針)。原則自己負担や後発薬価格までの引き下げを含めて検討し、本年末までに結論を得る――。特許切れの新薬と後発薬の価格差を巡り、素案の段階で入っていた記述が抜け落ちた。
「ここまで踏み込む必要があるのか」。3日前の自民党の政調全体会議。薬剤師出身の渡嘉敷奈緒厚生労働部会長が異を唱えると拍手が起こった。
生活者にとって薬は安い方がよいはず。渡嘉敷氏にぶつけると「業界を発展させ安定した医療を受けられる環境づくりも重要だ」。薬の開発にお金がかかるのは理解できるが、厳しい財政状況の中で、効率よくできる部分はないものか。
医師会の政治力も健在だ。骨太の素案に盛りこまれた医師の業務を看護師に移す「タスク・シフティング」の推進。地域ごとの医師不足に対応するためだが「十分議論を行った上で」との一文が加わった。

■「安さより命」
動いたのは元医師会副会長の羽生田俊・参院厚生労働委員長。看護師の力を借りた方が効率的な医療になるとの取材班の疑問に「医療行為は命にかかわる。安く済むという発想はなじまない」との答えが返ってきた。ここでも財政事情より「命」という命題に突き当たるが、看護師ができる部分はないか議論は必要だ。
菅義偉官房長官は周囲に「社保改革を数年かけて全力でやる」と語るが、既得権サークルの壁は厚い。聖域を崩せるのは、長期政権をうかがえる政治資産を持つ安倍晋三首相しかいない。

(日経新聞)
by kura0412 | 2017-06-26 18:11 | 政治 | Comments(0)

安倍憎しはいいけれど

「面従腹背」に官邸疑心=加計問題、霞が関の不満影響か

学校法人「加計学園」をめぐる文部科学省の内部文書が次々に明らかになった背景には、人事権を握り、締め付けを強めてきた首相官邸に対する中央官庁の不満もあるようだ。

「面従腹背」に見える霞が関の動きに疑心を募らせる官邸は、政府の内部文書管理の在り方を見直す方針を打ち出したが、効果は見えない。
2014年の国家公務員制度改革関連法成立を受け、安倍政権は官邸が中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局を創設。審議官級以上約600人の異動について、菅義偉官房長官らが目を光らせてきた。
実際、政府関係者によると、菅氏は官僚ごとに仕事や言動をチェック。「独自の情報網から『あれは駄目、これも駄目』とバツをつけてきた」という。人事を握られ、官邸の意向に逆らえない風潮が強まり、省庁からは「役所の権限で今までできていた仕事ができなくなった」「官邸の監視の下でびくびくしているのが現実」と嘆く声が漏れていた。
そうした中で発生した「加計」文書問題。民進党が入手した文科省の内部文書について、菅氏は「怪文書」と片付けていたが、前川喜平前事務次官が「本物」と認め、現役の文科省関係者が報道機関の取材に応じて追随。政府は存在を認める事態に追い込まれた。
文科省は天下りあっせん問題で前川氏らが処分を受け、加計学園の獣医学部新設問題では官邸から「抵抗勢力」と位置付けられている。前川氏の座右の銘は「面従腹背」。内部文書発覚の動きについて、政府関係者は「文科省の抵抗のあらわれ」と解説する。
菅氏は19日の記者会見で、文科省の文書が報じられる理由を問われ「私が聞きたい」といら立ちを隠さなかったが、官邸関係者の一人は「反旗を翻す動きが続けば政権の終わりの始まりになる」と危機感を強める。「文書管理の新たなルールをつくっても『ざる』になるだけ」。ある文科省職員はこう語った。 

(時事通信)



マスコミは官僚支配に逆戻りさせたいのでしょうか。ちなみに文科省は他省庁も厳守した天下り斡旋を続けていました。安倍憎しもほどがあります。
by kura0412 | 2017-06-22 09:34 | 政治 | Comments(0)

『「プランB」は派閥が作る? 』

民進党から出てこない 「プランB」は派閥が作る?

欧州統合の父と呼ばれるフランスの政治家、ジャン・モネはかつてこう語った。「何事も個人なしには始まらない。しかし組織なしには継続しない」
強いリーダーの存在は重要だが、その意志を受け継ぐしっかりした組織も大事だ。2012年に欧州連合(EU)がノーベル平和賞を受けた時、英国離脱という大波がまもなく来ると予期した人はまれだろう。
洋の東西を問わず「1強」に見える体制はもろさをはらむ。環境が激変した時に対応できる他の選択肢はあるのか――。政治に限らず、企業経営などにも通じる重要な視点だ。

「また一緒にやらないか」
「安倍1強」と言われて久しい自民党内でにわかに派閥の動きが視線を集めている。特に大宏池会構想は、安倍晋三首相の「次」を狙う動きそのものだ。登場人物は麻生太郎副総理・財務相、岸田文雄外相、谷垣禎一前総裁らである。
「また一緒にやらないか。政界一寸先は闇。安倍政権の受け皿を作っておくのは与党議員の責任だ」
こうした言葉が飛び交い始めたのは、昨年10月に安倍首相の自民党総裁3選を可能とする党則改正が決まったころだ。
麻生、岸田両派と谷垣グループは、池田勇人元首相が1957年に旗揚げした名門派閥「宏池会」の流れをくみ、経済重視でリベラルな議員が多い。
再結集の旗を最も熱心に振っているのは麻生派だ。だが3派に分かれた過去の経緯を水に流しての大同団結は、最終的に次の一点で結実しなかった。
岸田派の幹部はこう証言する。「麻生氏側から大宏池会政権を目指そうと誘われた。しかし『次の首相候補は岸田ですよね』と念を押したら返事がなかった。それならウチが前のめりになる必要はない」
麻生氏の首相返り咲きへの野心を感じ取ったのは、昨年の自転車事故で長期療養中の谷垣氏も同じだ。自身に近い議員に「再結集の話は時期尚早」と慎重な行動を促した。
岸田派は5月28日、広島市にある池田元首相の銅像の近くで宏池会創設60年の記念植樹をした。岸田氏は記者団に「今からしっかりと力を蓄え、何をすべきか考えなければならない」と力を込めた。
2日後、岸田氏は外相として中国の楊潔篪国務委員(副首相級)と都内で会談して言葉を交わした。
岸田氏「宏池会は結成60年の節目だ。私も会長として日中関係をぜひ前進させたいと強く考えている」
楊氏「岸田外相も大平正芳、宮沢喜一両首相らと同じ精神で中国と協力していくと信じている」
麻生、岸田両氏は当面は閣僚として安倍政権を支える立場だ。だが今後は「ポスト安倍」に意欲的な石破茂元幹事長らとの主導権争いが避けられない。

「二大政党制に替わる政治体制を」
もはや派閥の時代ではないと誰もが知っている。麻生氏はそれでも勢力を拡大する狙いについて周囲にこう語っている。「数合わせをしているわけではない。政策集団として二大政党制に替わる政治体制を発信する気概でやっている」
麻生派(44人)は7月3日に山東派(11人)と谷垣グループを離れた佐藤勉氏らと合流する。額賀派(55人)や岸田派(46人)を抜き、最大派閥である細田派(96人)に次ぐ第2派閥に躍り出る見通しだ。
二大政党を想定した衆院選への小選挙区制の導入から20年余り。「安倍1強」を連日批判する民進党は、経済政策でも外交・安全保障でも説得力のある「プランB」を示せていない。権力闘争の舞台が再び自民党内に戻るなら、政治は進歩したと言えるだろうか。

(日経新聞)
by kura0412 | 2017-06-12 16:19 | 政治 | Comments(0)

既に戦争状態の中で

そこにある脅威 世界同時サイバー攻撃(ルポ迫真)

「教育、交通、医療、エネルギーなどで数十万件のウイルス感染が報告された」。中国内陸部の貴州省で5月25日に開かれたIT(情報技術)関連の国際会議。世界のIT大手関係者を前に中国のサイバーセキュリティーの権威、沈昌祥(76)が厳しい表情で語った。

13日未明、サイバー攻撃が世界を襲っているという一報が中国に飛び込んだ。約30カ国の首脳級を招き、広域経済圏構想「一帯一路(海と陸の現代版シルクロード)」の会議を開く直前だった。
国家主席、習近平(63)の威信がかかる大舞台だ。「一帯一路を絶対に守れ」。公安省トップ、郭声●(たまへんに昆、62)は部下らにシステムの安全確保を厳命した。中国では公安が数万人の「ネット警察」を擁し、ネットの安全も担う。公安は一帯一路の会議を守った一方、自らの組織で失態を見せた。
「今日は受け付けません」。出入国管理当局や免許センターが13日から14日にかけてこんな貼り紙を出した。管理システムで感染が発覚したためだ。北京、上海、天津、江蘇省でビザの手続きなどが止まり、吉林省では運転免許の試験が延期となった。河南省や四川省でも免許などの交通管理システムに支障が出た。
公安だけではない。石油大手、中国石油天然気(ペトロチャイナ)が北京、上海、重慶、江蘇省などで運営するガソリンスタンドの支払いシステムも使えなくなった。
今回の攻撃は米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の弱点を突いた。公安のシステムを手掛けた沈は「中国は独自のOSを開発する必要性がある」と強調。米グーグルの検索サービスを締め出した中国はネットを巡る独自路線をさらに強めそうだ。
英国では工場や病院の情報システムがダウンした。探偵小説「シャーロック・ホームズ」でホームズが相棒の医師ワトソンと出会った聖バーソロミュー病院も手術や診察の先送りを迫られた。
欧州警察機関(ユーロポール)長官のロブ・ウェインライト(49)は「欧州の多くの国で医療部門が特に脆弱だと心配していた」と明かす。英国は欧州債務危機で緊縮財政を進め、公共医療を提供する国民保健サービス(NHS)は予算を減らされた。NHSのパソコンの9割が2014年にサポートが打ち切られたOSを使い続けていた。
システムを止め、元に戻すための「身代金」を求めたサイバー攻撃。大騒ぎと同時に研究者や企業が真相を探り始めた。
ある英国在住の研究者(22)は攻撃に使われたウイルスを停止させる方法に気付いた。ウイルスは暴走に備え、緊急停止指令を受け取ると活動を止める仕組みがあった。その指令を出すウェブサイトを研究者が開設し、感染が収まった。
セキュリティー大手の米シマンテックなどは犯人について「ハッカー集団『ラザルス』とつながりがある」と指摘する。ラザルスは14年にソニー米映画子会社に攻撃を仕掛け、米政府は北朝鮮の関与を断定した。

かねてサイバー攻撃への関与を疑われ、米欧の批判を受けてきたロシアも、今回は政府のシステムなどで被害を受けた。
「脅威の根源は米国の情報機関にあるとマイクロソフトが指摘している」。大統領のウラジーミル・プーチン(64)は15日、ここぞとばかりに矛先を米政府に向けた。
マイクロソフト社長のブラッド・スミスは「米国家安全保障局(NSA)から盗まれた(ソフトの)欠陥が世界中の顧客に影響を与えた」と政府を公然と批判していた。
NSAのソフトはウィンドウズの欠陥を突いて感染する。外国政府やテロ組織から機密情報を入手するために秘密裏に開発していた。ロシアと関係があるとされる著名ハッカー集団「シャドー・ブローカーズ」が4月、NSAから流出したとして公開し、12日からの攻撃に悪用された。
サイバー空間は常に米ロや中国などの主要国も北朝鮮も情報入手を競い、攻撃の機会を探る戦場。その「兵器」が市民や企業にも牙をむいた。
「我々は自分たちにふさわしい敵を選ぶ」。シャドー・ブローカーズはブログで米国に挑戦状をたたきつけた。どんな国や組織も備えを磨くことを怠れば危機にさらされる。(敬称略)

(日経新聞)



ネットの政界は既に戦争状態です。その中でIT化、そしてAIを利用することへの危機管理をどう担保出来るか。医療のIT化が進む中で、今一度再考する必要があります。
by kura0412 | 2017-06-05 12:30 | 思うこと | Comments(0)

歯科界が献身的に取り組んだ結果なのに

「80歳で歯20本」5割超す 16年、口腔ケア意識高まる

厚生労働省は2日、80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合が推計で51.2%に上り、初めて2人に1人以上になったとする2016年歯科疾患実態調査の結果を公表した。40.2%だった11年の前回調査から10ポイント以上増えた。担当者は「歯を強くする成分を配合した歯磨き粉が増えたほか、高齢者らの口腔(こうくう)ケア意識が高まった結果ではないか」としている。

20本は、入れ歯なしにほとんどのものを食べられる目安で、厚労省は「8020運動」として、高齢者の口腔ケアを推進している。
調査は昨年10~11月、全国から抽出した1歳以上の男女6278人を対象に実施し、うち3820人の口の中を歯科医が診察した。
20本以上の歯がある人の割合は、75~79歳で8.5ポイント増の56.1%、80~84歳で15.3ポイント増の44.2%だった。80歳時点での割合は、75~84歳の結果から推計した。
1日の歯磨き回数は1回が18.3%で3.6ポイント減少。一方で2回は1.5ポイント増の49.8%、3回以上は2.1ポイント増の27.3%となり、2回以上の割合は前回より増えた。
調査は6年ごとに実施していたが、今回から5年ごとに変更された。(共同)

(日経新聞)




担当者は「歯を強くする成分を配合した歯磨き粉が増えたほか、高齢者らの口腔(こうくう)ケア意識が高まった結果ではないか」としている。
この担当者が歯科関係者ではにことを祈ります。何考えているのか。そしてこの運動の一方である日歯のコメントもありません。その程度の取組だったのでしょうか。
by kura0412 | 2017-06-03 10:25 | 歯科医療政策 | Comments(0)

8020達成者は2人に1人以上に

8020(はちまるにいまる)達成者は2人に1人以上で過去最高~

厚生労働省は、このたび、平成28 年10 月~11 月に実施した「歯科疾患実態調査」の結果
(概要版)を取りまとめましたので、公表します。
この調査は、わが国の歯科保健の状況を把握し、今後の歯科保健医療対策を推進するため
の基礎資料を得ることを目的としています。また、昭和32 年から6年ごとに実施していまし
たが、平成24 年に策定した「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の中間評価にあわせ、
今回の調査から調査周期を5年に変更しました。
今回の調査結果では、80 歳になっても自分の歯が20 本以上ある8020(はちまるにいまる)
を達成した人の割合が、前回調査の40.2%から51.2%に増加していることなどが分かりまし
た。

(厚労省HP)



この快挙に果たしてマスコミはどう反応してくれるでしょうか。
by kura0412 | 2017-06-02 15:59 | 歯科医療政策 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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