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『高齢者医療費の月額上限、外来は2倍に』

高齢者医療費の月額上限、外来は2倍に 一般所得者

厚生労働省が検討する高齢者医療費の負担見直し案が28日、分かった。一定の収入がある70歳以上の一般所得者は外来時の月額上限を1万2000円から2万4600円に、入院時は同4万4400円から5万7600円とする案を軸に与党と調整する。現役並みの所得がある人の上限も引き上げる。所得に応じた負担に変え、医療費の伸びに対応する。

厚労省は30日、社会保障審議会医療保険部会を開き、毎月の医療費負担の上限を定めた「高額療養費制度」を議論する。一定の収入がある一般所得者は1万2000~1万3000円程度引き上げる案を軸に複数案を示す方向だ。与党の合意を得られれば、2017年度に上限を引き上げる。見直しの対象になるのは約1400万人にのぼる。
年収370万円以上の現役並み所得者は現在、外来の上限を4万4400円としている。69歳以下で最も負担の重い人の2割以下で済む。厚労省はこの優遇措置をなくし、8万円程度への引き上げを検討してきた。負担の急増を懸念する声もあり、段階的に引き上げる案が有力だ。
高額療養費制度は個人負担が増えすぎないよう、所得に応じて一定の上限を定めている。低所得者に配慮し、住民税が非課税の人は外来の場合、月8000円の上限を維持する。
厚労省は17年度予算で高齢化に伴う社会保障の伸びを5000億円程度に抑えるよう求められている。夏の概算要求では6400億円だった。高額療養費制度の見直しで300億円超圧縮したい考えだ。

【日経新聞】



一般紙からいろいろな臨床に直結するようなニュースが報道されていますが、歯科界での話題には至っていません。
by kura0412 | 2016-11-29 09:53 | 医療政策全般 | Comments(0)

『高額がん治療薬いきなり半額、薬価ルール崩壊の内幕』

高額がん治療薬いきなり半額、薬価ルール崩壊の内幕

さまざまながんで効果が期待されるものの高額な薬価でやり玉に挙げられていたがん治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げ議論は、来年2月から50%引き下げることで決着した。ただ、これはルール外にルール外を上乗せした“対症療法”。画期的な薬が生まれるたびに高額薬剤問題は再燃する恐れがある。

「これじゃあ、まるで茶番じゃないか」。11月16日に開催された厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)。事務局である厚労省ががん新薬である「オプジーボ」の公的薬価を50%引き下げる根拠をとうとうと説明する中、傍聴席で製薬業界関係者はため息をつき、独りごちた。
オプジーボは治療対象となるがん患者の範囲が広がったことから、薬価の高さが問題視されるようになった。10月5日の中医協では「市場拡大再算定の特例」を準用する案が了承された。特例とは当初の予想よりも売れ過ぎた薬の価格を引き下げる制度を、巨額品目に拡大適用するもので、オプジーボは最大25%引き下げで決着がついたと多くの人が思っていた。一部の中医協委員が「私だけ勘違いしていたのか」と厚労省に面と向かって皮肉ったほどだ。
“勘違い”の原因は特例にあった。年間販売額1000億~1500億円で予想の1.5倍以上売れたケースでは最大25%、同1500億円超で1.3倍以上のケースでは最大50%引き下げるとしており、製造販売元である小野薬品工業の予想販売額は今年度1260億円で前者に該当するとみられていた。
ところが、10月6日の参院予算委員会で共産党の小池晃書記局長がさらなる引き下げを求め、他の議員や経済界からも注文が相次ぎ、官邸が動いた。これを受けた厚労省が「特例の50%引き下げ条件に適用させるために『結論ありき』で持ち出してきた」と業界関係者が訝るのが、11月16日の中医協で示された販売額推計計算式だ。
それによると、小野薬品公表の1260億円は「仕切価格(メーカーが医薬品卸に売る価格)」ベースで、流通経費、消費税などを勘案して国が定めた公定価格ベースでは1516億円になるという。
緊急的対応で実際の薬価調査をしていないため、これまでの平均値などから机上で導き出したもので、厚労省は「明確な根拠はないが『保守的に厳しく』見積もった」などと、苦しい説明に追われた。薬価改定は通常2年に1度であり、次回は2018年度。期中改定が最初の「ルール外」なら、計算式は「ルール外の上のルール外」だ。
計算式に対し、中医協委員からは「仮定の上に仮定を重ねており不安」「基礎額の微妙なずれで1500億円というボーダーを切る計算だ」など疑問の声が相次いだ。
厚労省が示した、小野薬品からの不服申し立て期限は11月22日。引き下げの告示は祝日を挟んだ2日後の24日で、「不服は出てこない」と言わんばかりの日程だ。ある製薬会社幹部は「株価に影響するので事前に小野薬品と折り合いがついていてもおかしくないが、それにしても強引」とあきれる。
以上が「茶番」の内幕だ。

開発後期多数でがん適用拡大必至
天文学的数字に?
10月5日の中医協から11月16日の中医協までの約1カ月半の間に何があったのか。関係者が指摘するのが、官邸と厚労省の折衝だ。
安倍晋三首相がさらなる引き下げに意欲を見せる一方、厚労省の本音は最大25%引き下げでとどめたかったとされる。それはなぜか。
大幅引き下げをした場合、まず小野薬品からの訴訟リスクの懸念があった。加えてうわさされるのが、「厚労省が財源カードを18年度まで残しておきたかったのでは」(アナリストなど)という線。
18年度は薬価を含め、診療報酬と介護報酬が同時改定される。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年に向けた重要な改定で、「このタイミングで薬価引き下げ分を財源として活用したいので、今はキープしておきたい」という思惑があったのではというのだ。
結局、来年2月1日から、オプジーボ点滴静注100ミリグラムの薬価は72万9849円から36万4925円に下がる。同じ100ミリグラムで「米国約30万円、英国約14万円、ドイツ約20万円」(塩崎恭久厚労相の参院予算委員会での答弁)であり、欧米と比べるとまだ高い。

オプジーボの開発状況は前途洋々。「対象患者が増えれば医療費は天文学的数字にならないか。他の高額薬剤との併用療法問題も近い将来必ず起きる。そうなってから慌てるのではなく準備を」という中川俊男日本医師会副会長の意見ももっともではある。
厚労省は18年度薬価改定に向け、今回のような緊急的な薬価見直しが起きないよう、ルールを見直す方針を示している。
中医協では「薬価制度全体を抜本的に見直すべき」(中川副会長)、「新薬から十分な収益がなければ次の新薬の開発が困難」(塩野義製薬の加茂谷佳明常務執行役員)と激しい意見の応酬があり、限られた医療財源をめぐり関係者間でつばぜり合いが始まっている。

【DIAMONDONLINE】
by kura0412 | 2016-11-28 14:30 | 医療政策全般 | Comments(0)

『マイナンバーで医療控除 領収書不要』

マイナンバーで医療控除 領収書不要
17年度分から

政府・与党が2017年度税制改正で実施する納税や徴税の環境を整備する施策の全容が25日、わかった。17年度分から、家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除は、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)を使って領収書の提出を不要にする。法人をつくる時に税務署に出さなければならない書類は減らす。一方、税務調査についてはIT(情報技術)データを強制的に徴収できるようにするなど厳しくする。

25日の自民党税制調査会の幹部会合で案を示した。医療費控除の対象は1年間の家族の医療費から、保険で補填された額を引いた額が10万円を超える場合。基準を超えた額を所得から差し引き課税所得を減らせる。ただ現在は医療費の領収書を確定申告の際に提出しなければならず、手続きの煩わしさから申告を諦めている人も多いという。
政府・与党は17年度分の所得税の確定申告から提出を不要にする。保存は義務付け、税務署に求められたら提示する。
マイナンバーの個人用サイト「マイナポータル」の利用が念頭にある。健康保険組合から個人サイトに医療費通知を送ってもらい、利用者はこのデータを税務署にネット経由で送れれば、医療費控除の申請が簡単になる。領収書の提出義務を外すことで利便性を高め、マイナンバーの活用を促すねらいだ。
16年度税制改正で医療費控除の対象に認めた大衆薬も、領収書の提出を不要にする。申告する際に明細書と健康の維持促進に取り組んだことを証明する書類を提出する。
法人を設立する時の提出書類も削減する。現在は設立後に税務署に貸借対照表や登記事項証明書、株主などの名簿の写しの提出が必要だ。17年度税制改正で登記事項証明書の提出を不要にする。企業には証明書の取得に必要な手間や費用がなくなる。税務署と法務省が登記情報をやりとりして確認する仕組みにする。

脱税調査ではインターネット上に保存されているメールなどの情報を強制的に押収できる権限を認める。ITを駆使した悪質な脱税や国際的な税逃れが増えていくとみており、国税の査察権限を強化する。夜間の強制調査もできるようにする。
政府・与党が進めている成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正を踏まえ、税制上の年齢要件の引き下げも検討する。少額投資非課税制度(NISA)や、親や祖父母から住宅購入資金をもらった場合に贈与税の非課税枠を拡充する特例措置の利用が18歳から認められる見込みだ。酒類の販売管理者の要件も引き下がる可能性がある。18年度改正で検討し、必要な措置を講じる。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-11-25 14:52 | 医療政策全般 | Comments(0)

『薬価を毎年改定へ・政府調整』

薬価を毎年改定へ 後発薬値下げ、医療費抑制
政府調整

政府は薬の公定価格(薬価)を決める仕組みを見直す調整に入る。
原則2年に1回の薬価改定を毎年実施し、価格を柔軟に引き下げる案が軸。新薬の原価など根拠となるデータの公表を義務付けたり、後発医薬品の価格を抑える方策も議論する。国の薬剤費支出を抑える狙いだ。
25日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で民間議員が見直し案を提示する。諮問会議は厚生労働省などと連携して改革の方針を取りまとめる。

価格の安い後発薬の普及で薬全体の流通価格は下落傾向にあるが、改定が2年に1回のため市場の実勢を反映しづらい。民間議員は国が負担する薬剤費の膨張を抑制するため、毎年薬価を下げられるようにしたい考え。下げすぎた場合は翌年の薬価調査で調整する。
医師会や製薬業界はこれまでも「価格調査などの負担が増す」などの理由で毎年改定に反対しており、見直しに抵抗も予想される。
民間議員は薬価の透明性向上に向け、製造原価の内訳や患者数の見込みなど詳細の公表を義務付けることも訴える。超高額のがん治療薬オプジーボのように、海外の2倍以上高い薬は速やかに公定価格を見直す仕組みも求める。厚労省も中央社会保険医療協議会(中医協)で見直し策を議論し、2018年度の薬価改定時に導入する方針だ。
後発薬の価格は原則新発薬の5割に設定されている。民間議員は「国際的にみて高すぎる」と指摘し、20年度までに後発薬の普及率を80%に高めるため新発薬の3~4割に引き下げるべきだと提起する。
製薬業界の研究開発投資促進も課題に挙げる。薬の効能に応じて一定額を加算するといった価格改定のルールをつくり、研究開発の意欲を高めるよう求める。

【日経新聞】



もしこの報道の通りとなれば、薬価差額そのものが医療費抑制の財源になりかねません。
by kura0412 | 2016-11-24 14:40 | 医療政策全般 | Comments(0)

「口腔機能低下症」の診断基準

口・歯の衰えに診断基準 老年歯科学会

日本老年歯科医学会(理事長=桜井薫・東京歯科大学教授)は22日、口や歯の機能が衰えた「口腔(こうくう)機能低下症」の診断基準を発表した。この状態が進行すると低栄養や要介護の状態を招く恐れがあるとし、機能の回復や維持につなげたいという。

診断基準では、
①口の中の細菌数
②口の中の乾燥度合い
③かみ合わせる力
④舌や唇の運動機能
⑤舌が食べ物を押しつぶす圧力
⑥かむ機能
⑦のみ込む機能
――の計7項目を検査で調べ、うち3項目が基準以下ならば該当するとした。

近年、日本歯科医師会などは、口や歯の機能が落ちてきた状態を「オーラル・フレイル」と呼び、注意を呼びかけてきた。今回の診断基準は、オーラル・フレイルが進んだ状態を口腔機能低下症と位置づけた。これがさらに進行すると、食べ物をのみ込めなくなる摂食嚥下(えんげ)障害や咀嚼(そしゃく)障害を起こす可能性があるとした。
学会は、診断基準はこれまでの研究成果をもとにまとめたとし、新たな知見が出てくれば見直すという。

【朝日新聞】
by kura0412 | 2016-11-24 12:05 | 歯科 | Comments(0)

『よくかむ習慣、メタボ防ぐ?』

よくかむ習慣、メタボ防ぐ? 新潟大など、50~70代調査

よくかんで食事をする人はそうでない人に比べ、メタボリック症候群になる割合が低いとの研究結果を、新潟大や大阪大などのグループがまとめた。
研究グループは50~70代の男女1780人にグミを30回かんでもらい、グミの表面積の増加量を基に、かむ能力を測定した。能力の高い順に4グループに分け、各グループでメタボ症候群の有無を調べた。
かむ能力が下から2番目のグループは1番高いグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.46倍高かった。各グループの70代の人たちを比べると、かむ能力が2~4番目のグループは1番のグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.67~1.90倍高かった。
新潟大の小野高裕教授は「かめていないことをはっきり意識できていない人に危険がある」と指摘。メタボ症候群などの予防へ、「歯科検診でかむ能力が衰えていると診断された人に特定健康診査(メタボ健診)を勧めるなど、医科と歯科の連携を提案したい」と話した。
小野教授らは、かむ能力とメタボ症候群の因果関係を解明するため、追跡調査を続ける方針。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-11-21 16:49 | 歯科 | Comments(0)

『高所得高齢者の負担増、医療費1000億円抑制 政府原案 』

高所得高齢者の負担増、医療費1000億円抑制 政府原案

財務・厚生労働両省は2017年度予算案で医療費の伸びを1000億円規模抑制する政府原案をまとめた。高齢化に伴う急激な医療費膨張に歯止めをかけ、社会保障費の自然増を抑える。高所得で経済力のある高齢者に一定の負担を求め、外来時の負担を増やしたり、初診料に追加負担が求められる病院を拡大したりする。高齢者の過度な優遇を見直す。
政府は16~18年度の社会保障費の自然増を1.5兆円に抑える目標を立てている。来年度は自然増分が6400億円程度とみており、5000億円程度に抑える方針だ。判明した政府原案では1000億円を医療費で、400億円を介護保険制度の改革で捻出する。与党の意見を踏まえ、12月上旬に具体案を固める。

政府は余力があるとみられる高齢者に一定の負担を求める考え。医療費抑制の柱は、高齢者の負担拡大だ。毎月の医療費負担の上限を定めた「高額療養費制度」と、75歳以上が加入する公的健康保険「後期高齢者医療制度」の保険料の軽減措置の見直しが軸になる。
高額療養費は、70歳以上を対象にした外来の負担を軽くする制度の一部を段階的に廃止する。現在は入院費より低く抑えている。月額負担の上限額をどう設定するか今後政府・与党で調整するが、完全に廃止すれば、年収370万円以上の現役並み所得者の負担は4.4万円から少なくとも8万円以上になる。一定の収入がある「一般所得者」だと1.2万円から5万7600円になる。
75歳以上の高齢者医療の保険料は「元被扶養者」とされる専業主婦らと、夫の年金収入が153万~211万円の人への軽減措置を段階的に廃止する。また高齢者らが長期入院する療養病床のうち、65歳以上の比較的症状の軽い入院患者には1日あたり370円の光熱水費を求める。現在の320円から引き上げる。

このほか、過剰な受診も減らし、紹介状なしで大病院を受診した際に初診料で5000円以上の追加料金をとる制度も拡大する方向だ。現在は病床500床以上の病院が対象だが、「200床以上」に引き下げると、少なくとも1200以上の病院が対象となる。
全国健康保険協会(協会けんぽ)に対する補助金も削減する。雇用環境の改善で財政は改善しており、数百億円を捻出できるとみられる。薬価では超高額の抗がん剤オプジーボの公定価格(薬価)を来年2月に半額にして、国費を180億円圧縮。一方でかかりつけ医以外の病院を受診した際に少額の負担を求める仕組みの導入は見送る。
与党との調整が円滑に進めば、来年度予算の社会保障費は過去最大の32兆円台となる見通しだ。歳出総額を押し上げる主因だ。安倍政権は自然増を抑える一方、介護・保育といった社会保障の充実にも予算を割く。ただ、介護士や保育士の待遇改善などに充てる財源は景気の改善を背景とした一時的なものにすぎず、消費増税などによる恒久財源の確保が必要だ。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-11-21 15:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

『改定がない時こそ、改革を』

「最大の課題は社会保障分野」、財政審建議
社会保障関係費の伸びは5000億円に抑制、改革の前倒し提言

財務省の財政制度等審議会(会長:吉川洋・立正大学経済学部教授)は11月17日、2017年度の予算編成等に関する建議をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。社会保障関係費の伸びを「5000億円」に確実に抑制し、その他の政策経費を含めた一般歳出を5300億円に抑えるべきと提言している。「最大の課題は社会保障分野」と強調、経済財政諮問会議が2015年12月にまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の検討項目を中心に、改革の基本的な考え方を4つに整理し、できる限り前倒しして改革を実現するよう求めている。

4つの基本的な考え方とは、
(1)年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担(高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなど)、
(2)大きなリスクは共助、小さなリスクは自助(入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方など)、
(3)医療・介護提供体制の構築(かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、地域医療構想に沿った医療提供体制の実現、医療費適正化計画の策定・実現など)、
(4)公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護(高額薬剤の薬価等の在り方、生活習慣病治療薬等の処方の在り方など)――だ。

これらの大半は、厚生労働省の社会保障審議会や中央社会保険医療協議会をはじめとする関係審議会・検討会で、並行して議論してきた内容だ。高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなどは実現の見通しだが、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率などは、「反対」で意見が一致。11月18日にも、社保審医療保険部会が開催され、今年内数回の議論を経て、2017年度以降実施の制度改正案を取りまとめる予定。また高額薬剤については、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価を2017年2月から50%引き下げる方針が、11月16日の中医協で決定した。
社会保障関係費の伸びを年5000億円に抑制するのは、2015年6月に閣議決定した「経済・財政運営と改革の基本方針2015」に基づく対応。今年8月の厚労省の2017年度予算概算要求では6400億円の伸びとなっており、高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、オプジーボの薬価引き下げなどで抑制する見通し。

そのほか(3)では、2017年度予算編成には関係しないものの、医師需給問題にも言及。今後の医学部定員については、医師需給の見通しを踏まえた精査・見直しを進めると同時に、医師の地域・診療科偏在是正に向け、(1)医師不足の地域・診療科従事を、特定の医療機関の病院長といった管理者になるための要件とする、(2)保険医の配置・定数の設定など、医師配置等に係る規制も含め、国や都道府県の権限強化――を提言している。

「改定がない時こそ、改革を」
財政審の建議は、財政制度分科会で議論してきた内容を取りまとめたもの。9月7日以来、会議を計7回開催。社会保障関係については、10月4日と10月27日の2回議論)。
建議では社会保障関係について、「社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成していくため、医療・介護分野の改革の実現は、喫緊の課題」とし、「2017年度予算編成においては、診療報酬・薬価改定および介護報酬改定が予定されていないが、こうした時こそ、改革を集中的に進める機会と捉えていくべき」と指摘。その上で改革の基本的な考え方を4つに整理し、具体的な改革項目を解説している。

【m3.com】
by kura0412 | 2016-11-19 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

『短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減』

リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長

脳卒中などの発症後、早期に短期集中リハビリを実施することが重要である。このため、リハビリ能力の低い急性期病院では、入院から20日までにリハビリ能力の高い後方病院に患者を送るべきである―。
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、17日の理事会後に開催した記者会見で、こういった提言を行いました。

短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減
この提言は、17日の日慢協理事会で承認された「日本の寝たきりを半分」にするための10か条に基づくものです。
武久会長は、我が国の医療、とくにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることを指摘。

これらを改革しなければ、寝たきり患者が減らないとし、次の10か条の提言をまとめています。
(1)急性期リハビリの充実(入院日からのリハビリ)
(2)急性期リハビリ能力のない場合、入院後20日までにリハビリ能力と治療能力のあるPost acute(後方病院)に患者を移す
(3)高齢者の急性期治療の改善(栄養・水分出納・身体侵襲の軽減)
(4)嚥下・排泄リハビリの優先
(5)短期集中リハビリのできる環境に
(6)「寝たきり」より「座りきり」
(7)無理な歩行訓練より車いす自立を
(8)慢性期治療の徹底
(9)延命ではなく日常復帰を
(10)慢性期総合診療医の養成

これらは大きく「急性期状態からの早期リハビリなどの充実」((1)から(5))と「リハビリのあるべき姿の共有」((6から(10))に分けて考えることができそうです。
(1)と(2)はセットで考えることができます。武久会長は「リハビリ能力のある急性期病院では早期にリハビリを開始し、能力の低い急性期病院では早期に後方病床に患者を送るべき」と強調しました。
また(5)では、リハビリの診療報酬を包括化することで、より患者の状態に合わせた柔軟かつ適切なリハビリ(早期の集中リハビリを可能とし、維持期の箇条リハビリを適正化する)の実施が可能になると武久会長は提案しています。
一方(6)と(7)は、急性期病院のみならず、リハビリに携わるすべての病院への提言と言えます。武久会長は、「低栄養などでリハビリの効果が落ち、寝たきりになっていく」という実態があることを指摘し、「離床コーディネーター」を多くの病棟に配置し、1日数回、患者を離床させることを徹底すべきと訴えます。コーディネーターの職種については、理学療法士などのリハビリ専門職種が主導すべきとしたものの、看護師や介護師なども広く対象になるとの見解を示しています。
さらに武久会長は(8)から(10)で、「超高齢者であっても、治せる傷病は治療し、天寿を全うさせることが必要である。十分に治療できない病院ほど、適切な治療を行えないことを『ターミナル』という言葉で逃げている」とも訴えました。

  【メディワォッチ】
by kura0412 | 2016-11-19 09:35 | 医療全般 | Comments(0)

『「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠』

オプジーボ、来年2月から50%引き下げへ
11月24に告示予定、2016年度販売額、1516億円超と推定

中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月16日、抗PD-1抗体製剤オプジーボ(一般名ニボルマブ)を対象に、緊急薬価改定を行い、50%引き下げることを決定した(資料は、厚生労働省のホームページ)。薬価は、点滴静注20mg15万200円から7万5100円、100mg72万9849円から36万4925円にそれぞれ下がる。販売元の小野薬品工業からの不服意見提出期限は11月22日、提出がなければ11月24日に告示、2017年2月1日から適用する。

オプジーボの薬価引き下げは、診療側と支払側ともに、了承していたが、その実施時期と下げ幅が焦点だった。当初、「最大で25%」との見方もあったが、医療費への影響が懸念され、政府レベルでも薬剤費の高さが問題視され、より一層の引き下げ圧力が高まっていた上、「社会保障費の自然増を年5000億円に抑える」という政府方針からも早期の実施が不可避だった。
厚労省は、「できる限り既存の考え方を活用」との考えから、2016年度薬価制度改正で新設された「市場拡大再算定の特例」の適用が合理的であると判断。小野薬品工業の予想年間販売額(出荷価格ベース)を基に、薬価ベースに換算すると2016年度の販売額は1516億円超と見込まれることから、「年間販売額が1500億円超かつ予想の1.3倍以上」の対象となり、「最大50%の引き下げ」が適用された。2017年2月1日付けの改定実施は、医療機関での在庫管理など、医療現場における円滑実施の観点から2カ月以上の期間を設ける必要があるとの判断からだ。

日本医師会は、オプジーボの薬価引き下げには以前から同意していたものの、薬価改定財源を診療報酬財源に充当するには、従来通り、薬価と診療報酬を同時改定しないことには難しく、落とし所が焦点だった。
中医協総会後、日医副会長の中川俊男氏は、m3.comの取材に対し、「社会保障費の抑制圧力がある上、薬剤費の高騰が問題になっている。オプジーボについては類似の上市も予定されており、ここで薬価を大幅に引き下げることは、薬剤費の抑制、かつ公的医療保険下で適正価格で薬を患者に届けることにつながるため、苦渋の決断として、了承した」と説明する。
類似薬とは、オプジーボを基に類似薬効比較方式で薬価が決まる、抗PD-1抗体製剤のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)。既に「根治不能な悪性黒色腫」の効能で薬事承認され、「切除不能な進行または再発の非小細胞肺がん」で承認申請中だ。さらに、1次治療を対象とした国際共同第3相試験での有用性が、今年10月の欧州臨床腫瘍学会で報告されており、1次治療まで使用が広がれば、対象患者の一層の拡大が見込まれる。
中川氏は中医協総会とそれに先立ち開催された薬価専門部会でも、キイトルーダ上市後の薬剤費高騰への懸念を呈しており、かねてからの主張通り、2018年度薬価制度改正における現行の薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。今回のように問題が生じてからではなく、「問題が生じる前に、準備をしておくことが必要」(中川氏)

一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏も、薬価専門部会で、「緊急的な対応は、歓迎する。新たなルールを作るのは混乱を招くので、できるだけ既存の考え方を適用することも、合理的だと思う」などと述べ、オプジーボへの対応を支持。その上で、現行の薬価算定方式では、効能・効果追加による市場拡大といった事態に対応できないため、中川氏と同様に、「薬価算定方式の抜本的な見直しの議論は、早急に開始すべき」と述べた。
専門委員の立場から加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、期中改定は企業経営への影響が大きいことから、「止むを得ず例外的な措置として実施するもの」と受け止めた。「国内市場において新薬から十分な利益を得られなければ、次の新薬開発が難しくなる」と述べ、薬価算定におけるイノベーションの評価を期待するとともに、2018年度薬価制度改正に向けた議論には、製薬業界としても積極的に参画すると決意を示した。今回の対応は、あくまで緊急対応であり、2018年度に改正を行い、その結果に基づき調整を行う。今回の薬価引き下げを行わなかったと仮定した販売額を算出の上、再算定を改めて実施する。
なお、オプジーボについては、薬価引き下げに加えて今後、「施設要件」や「患者要件」などを定めた「最適使用ガイドライン」を策定する(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。その医療保険上の取り扱いについて、厚労省保険局医療課長名で「留意事項通知」が出される予定。年内にも最終案がまとまる見通しだ。ガイドラインは、日本臨床腫瘍学会と日本臨床内科医会が中心となり、策定が進められている。中川氏は、ガイドラインや通知について、(1)最終段階だけではなく、途中の段階から中医協総会で説明し、議論する、(2)厚労省の医薬・生活衛生局と保険局が連携する――などの必要性を指摘、医療保険の観点を踏まえて策定するよう釘を刺した。

米国約15万円、イギリス 約30万円との比較でも高額
中医協総会では、医療費への影響が大きい高額薬剤として、(1)2015年10月から、2016年3月までに効能・効果または用法・用量の一部変更が承認された既収載品、(2)2016年度の企業予想年間販売額(薬価ベース)が1000億円を超え、かつ薬価収載された時点における予想年間販売額に対して、10倍以上となる既収載品――のいずれにも当てはまるものと規定、2018年度薬価改定を待たずに改定を実施することを決定した。複数の候補の中から、対象となったのは、小野薬品工業のオプジーボのみ。
オプジーボは、2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の適応で承認、同年9月の薬価収載時のピーク時の予想投与患者数は年470人、予想年間販売額は31億円だった。その後、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能が追加されたのは2015年12月であり、2016年度薬価改定において、「市場拡大再算定の特例」の対象から外れた。
海外との比較でも日本のオプジーボの薬価は高く、点滴静注100mgの場合、日本の72万9849円に対し、米国約15万円、イギリス約30万円 との推定がある。

2016年度販売額、1560億円超と推定
オプジーボの薬剤費は年1兆7500億円(薬価ベース)との推計もあったが、今回の緊急薬価改定に当たっては、小野薬品工業による2016年度の予想年間販売額の1260億円(出荷価格ベース)を基に、流通経費、消費税、薬価と出荷価格の乖離率のほか、今後の効能拡大を見込み、以下の方式で算定した。オプジーボは、8月26日付けで、腎細胞がんの効能追加が承認された。小野薬品工業が11月7日に公表した予想年間販売額は、腎細胞がんの効能追加込みの金額だ。
◆オプジーボの薬価算定の考え方 1260億円÷[流通経費7%(1-0.07)]×1.08(消費税)÷[乖離率(1-0.069÷2)]×[効能追加、2016年度分X円]=1516億円+X円

この計算式について問い質した一人が、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏。薬価と医療機関への納入価の差である乖離率は、2015年度薬価調査の「その他の腫瘍用薬(注射薬)」の平均乖離率6.9%の「2分の1」とした根拠を質した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、「明確な根拠はないが、あくまで保守的に、厳しく見積もるため」と説明。乖離率を高く見積もるほど、薬価ベースに換算した販売額は高くなる。一方で、少なく見積もれば、例えば、万代氏の試算では、3分の1とすれば、1500億円を超えず、この場合の薬価の最大下げ幅は25%だ。
日医副会長の松原謙二氏も、薬価調査を実施していないため、乖離率や流通経費などの数値を正確には把握できないことから、「計算式自体が、仮定の上に仮定を重ねていることに不安を覚えている」と指摘。これに対し、中山薬剤管理官は、流通経費は「医薬品産業実態調査報告書」のデータを用いているなどと説明、「大丈夫だと考えている」と回答。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、「流通経費などが実態と異なるのであれば、小野薬品工業が不服意見を申し立てればいいと理解している」との考えを述べた。

「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠
オプジーボの薬価下げ幅の計算式のほか、議論になったのは、小野薬品工業が不服意見を提出した際の手続きについて。
日医の中川氏は、いったんは中医協総会で薬価が決まったものの、企業の意向で取り下げ、再申請後に薬価が決まった乾癬治療薬「トルツ皮下注」(一般名イキセキズマブ)を例に挙げ、「手続きは極めて重要」と指摘した。中山薬剤管理官は、小野薬品工業から不服意見が出た場合には、中医協総会に諮り、対応を検討すると答えた。
さらに中川氏は再三にわたり、薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。例えば、類似薬効比較方式については、対象国から米国を除外するなどの外国平均価格調整の在り方の見直し、原価計算方式についてはコストの算定根拠を明確にする必要性を指摘。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、さまざまな意見を踏まえ、2018年度薬価制度改正に向けた議論を進めていく方針を表明した。

【m3.com】



総医療費で考えれば1560億円あれば歯科は5%以上アップ程の規模になります。
by kura0412 | 2016-11-17 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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