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気管挿管患者のリスク

日赤に1・2億円賠償命令 神戸の病院で医療ミス

兵庫県災害医療センター(神戸市中央区)での治療ミスによって重い障害が残ったとして、三木市で入院中の女性(42)が同センターを運営する日本赤十字社などに損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁は29日、同社に約1億2100万円の支払いを命じた。

判決によると、女性が搬送された5日後の2008年3月26日、医師が女性の気管に挿入中のチューブを抜いたところ異変が生じ、再挿管を2回試みたが心停止となった。別の医師が喉の切開手術で気道を確保したが、手足が動かせず、食事を自分で取れないなどの障害が残った。
地裁は、心停止時間と蘇生の関係などから、チューブを抜いた医師が切開手術ができる別の医師に早期に応援を求めておけば、重篤な後遺障害は残らなかったと指摘。「医師の注意義務違反と因果関係が認められる」とした。
日本赤十字社は「判決を吟味し、弁護士と対応を協議中」とコメントした。
センターを設置した兵庫県の賠償も請求されたが、地裁は棄却した。

【m3.com】




気管挿管している患者のリスクを感じるニュースです。周術期口腔管理の推進は良いことですが、このリスクがあることも考えておかなければいけない課題です。
by kura0412 | 2016-03-31 09:55 | 歯科 | Comments(0)

『薬剤師国試、合格者は1万人超』

薬剤師国試、合格者は1万人超に-6年制卒業生の受験開始以来、初めて

厚生労働省は28日、第101回薬剤師国家試験の合格発表を行った。合格者は、前回試験より2444人多い1万1488人で、6年制の教育課程を卒業した学生の受験が開始された2012年以来、初めて1万人を超えた。合格率も76.85%と、前回試験より13.68ポイント上昇した。

今回の薬剤師国試は先月27、28の両日に実施され、1万4949人(前回比633人増)が受験した。1万1488人の合格者のうち、男性は4515人で、女性は6973人。また、合格者は、「6年制新卒」が7108人(同972人増)で、合格率は86.24%(同13.59ポイント増)、「6年制既卒」は4201人(同1407人増)、合格率は67.92%(同14.8ポイント増)、「その他」は179人(同65人増)、合格率は34.29%(同15.6ポイント増)だった。
大学区分別の合格率は、国立が84.43%(合格者数580人)、公立が84.49%(同256人)、私立が76.31%(同1万652人)となった。
合格基準については、今回の試験から新基準が適用された。従来では、必須問題の各科目で50%以上の得点をした上で、総得点の65%以上の得点が必要だったのに対し、第101回試験からは必須問題の各科目の得点基準が30%以上に引き下げられた。一方、総得点に関しては、受験者の平均点と点数のばらつきの度合いを表す標準偏差で導き出した基準を上回ることが求められた。

■「地域医療に貢献」「アスリートの役に」との声
合格発表会場となった厚労省の講堂では、合否を確認するため、多くの受験生らが詰め掛けた。
「試験の手応えがあまりよくなかったので、合格してほっとしている」という長谷川知也さん(千葉県市川市)は、来月から病院で働く予定で、「在宅も含めた地域医療で貢献する薬剤師になりたい」と語った。
寺坂ゆりえさん(さいたま市)も合格した喜びをかみしめながら、「まずはCRO(医薬品開発受託機関)で経験を積み、将来的にはアスリートの役に立つ薬剤師になりたい」と意欲を示した。
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【キャリアブレイン】




歯科医師の6倍以上の合格者数です。上手く組織化されればもう10年すれば物凄いパワーに成り得ます。しかし、目先の利益だけを考えれると過当競争となります。それは歯科で実証済みです。
by kura0412 | 2016-03-29 14:21 | 医療政策全般 | Comments(0)

『口の中から見える格差と貧困』

この現実を見よ! 口の中から見える格差と貧困 子どもから老人まで広がる口腔崩壊って何だ!

「どうしてこんなになるまで放っておくのか」。子どもから老人まで、虫歯が10本以上あるなど「口腔崩壊」と呼ばれる状態が広がっている。経済的困窮から医療機関にかかることを諦め、歯は生命の危機に直結しないため軽視されがちなことなどが背景にある。

「口の中がぼろぼろだから、全部治してほしい」
42歳の男性が昨年11月、立川市の「相互歯科」に駆け込んだ。前歯が1本なく、奥歯のほとんどは歯根だけが残っている状態だった。
「20年ぶりの歯医者なんです。お金がなく、ずっと歯医者に行けなかった」
パチンコ店や引っ越し作業員などのアルバイトを続けてきたが、長く勤めても「正社員」の道は開けず、収入は不安定なまま。体調を崩したこともあり、1カ月前に仕事を辞めた。
自宅近くの「立川相互病院」に行ったところ、食生活の乱れのためか、糖尿病などを患っていることがわかった。
入院が必要だったが、費用の持ち合わせがない。同院のソーシャルワーカーの助言を受け、生活保護の受給申請を行った。
一人暮らしの男性は、長らく両親や弟たちとは疎遠なため、生活支援を頼れる人はいなかったという。
生活保護の受給を機に虫歯の治療もすることに。生活保護の受給者は、医療費は扶助が適用されるので、自己負担なしで診療を受けることができる。男性は立川相互病院と同じ医療法人が経営する相互歯科に向かった。
「にっこり笑えるようになれば相手に与える印象は良くなる。歯をしっかり治してから、就職活動を始めたい」
と、“ぼろぼろ”になった口の中を治療している。

治療費払えず受診控える
虫歯の治療に行けず、かみ合わせが悪くなったり、歯が抜け落ちたりする「口腔崩壊(こうくうほうかい)」が社会問題となっている。
「『なぜこんな状態になるまで来院しなかったのか』と思えるほど、歯の状態が悪い患者が多い」
そう話すのは、全国約1700の医療・福祉の事業所でつくる全日本民主医療機関連合会(民医連)歯科部長の江原雅博氏だ。
口腔崩壊の理由を、江原氏は、「近年の格差と貧困の問題が深刻さを増している。経済的な事情から歯医者に行けないからだ」と指摘する。
「そのような患者の多くは『保険証がない』『治療費が払えないため受診を控えてきた』といった問題を抱えています」(江原氏)

民医連歯科部は、全国の民医連加盟事業所から集めた口腔崩壊の事例をまとめた『歯科酷書(こくしよ)』を公表している。その一部を紹介する。
20代の男性は、ほぼ全部の歯が根っこだけ残っているような状態だ。
中学卒。建設業の作業中に背骨にひびが入り、勤務継続が困難となり仕事を辞めた。その時、労災申請はしていない。
仕事を求め20歳のとき上京。日雇い仕事をするが、仕事がなくなり、路上生活に。隣県の実家には両親と弟がいるが戻る気はない。
自立支援センターなどに入り、仕事を探すが、採用面接時に見た目が悪くて困ることから、治療を希望。同センターからの紹介を受け来院した。
40代男性は、14本の虫歯があり、奥歯でしっかりかめていない状態。歯周病もある。
歯が悪いことを自覚しており治療をしたいと思っていたが、朝6時に家を出て夜11時に帰宅する毎日で、歯医者に行けない。最近25年間勤めていた会社を突然リストラされて時間ができたことから治療することにした。
60代男性は、歯がないため、1日1回の食事はおかゆのみだったという。
個人事業主(エンジニア)で、月50万~60万円の収入があったが、取引先との契約が突然打ち切られ無収入に。国民健康保険料滞納による自治体の督促に耐えきれず夜逃げ。預貯金は差し押さえられた。
70代女性は、19本の残存歯のうち17本が虫歯。歯周病も重度に進行しているという。
内縁の夫の年金は月20万円あるものの、知り合いの借金の肩代わりをしているため手元に残るのは10万円のみ。女性本人は無年金だ。生活はぎりぎりの状況で、歯科への支払いは年金が入ったときにまとめて支払っている。経済的な事情から3年前に治療を中断している。

子どもに二極化、世代間連鎖も
子どもたちの口腔崩壊も少なくない。
4歳男児は、乳歯20本のうち14本が虫歯。右上乳歯に急性症状があり、頬をパンパンに膨らませて来院したという。
男児には障害を持った兄がいる。両親は離婚していて、生活保護を受給している母子家庭だ。母親は療育施設に通う長男につきっきりで、次男の歯磨きまでは手が回っていなかった。
過酷な状況が浮かぶが、一方、文部科学省の調査によると、12歳児の永久歯の虫歯の平均数は、1994年度の4・00本から昨年度は1・00本と改善。全体として子どもの歯の状況が良くなっている中、“口腔内格差”と言える二極化がうかがえる。
先の相互歯科の歯科医師・岩下明夫(はるお)氏は、子どもの口腔崩壊の背景を調べると、「親の経済的な事情」「ひとり親」「多数のきょうだい」「親の喫煙」といったキーワードが浮かび上がるという。
「『今月はお金がないので次の予約は来月に』と頼まれたりする。親が失業して途中で治療に来なくなった子もいます」(岩下氏)

前出の江原氏は、「子どもと親が置かれている生活環境の深刻さが増している」と指摘。長時間労働を余儀なくされているなど、親は子どもの口腔ケアにまで手が回らないことから、子どもは歯磨きの習慣がなかったり、菓子やジュースを口にしながら床に就いたりするという。
虫歯を放置する事態は深刻な結果を引き起こす。「虫歯を放置すると乳歯が抜け落ちた穴に膿(うみ)がたまり、生え変わる永久歯も虫歯になったり歯並びが悪くなったりするケースも少なくない」(岩下氏)。「乳歯は生え変わるから」という安易な認識は改めたほうがいいようだ。
そして、懸念されるのは、口腔崩壊の「世代間連鎖」だ。「親自身も口腔内のケアが不十分だと、子どもに歯磨きを習慣づけるなどのケアを定着させることは難しい」(岩下氏)。『歯科酷書』によれば、先述の4歳男児の母親もまた27本の歯のうち15本が治療が必要な状態だったという。
親の経済事情や生活状況などにより、口腔崩壊に陥る子どもだが、多くの自治体で小児・学童期の医療費自己負担の助成制度があり、医療費がかからないのに「面倒くさい」などと親が子を受診させない、育児放棄(ネグレクト)を疑わせる事例もみられるという。子どもの口腔崩壊はさまざまな理由が絡み合っている。

減免制度や無低診の活用も
各年代層に広がる口腔崩壊。このような事態をどうすればよいか。
江原氏は「医療費の自己負担の無料化もしくは免除が必要だ」と指摘する。だが、政府は財政健全化に向け医療費の抑制を進めている。また、「歯は命に関係ない」といった風潮も根強く、その実現性は容易(たやす)くなさそうだ。

では、今、生活に困ったときに歯科医療を受けるには、どうしたらいいのか。
「公的医療保険の減免制度を活用してもらいたい」と江原氏は言う。
国民健康保険法44条は「特別の理由がある被保険者」について減額・免除・猶予を認めている。
どういうケースに適用するかといった判断などの運用基準は保険者(市区町村)に委ねられている。
そのため、生活困窮者に対する減免制度の実施状況には「地域差がある」(江原氏)のが実情だ。民医連歯科部は各自治体に柔軟な運用を求めている。
同時に注意するべき点がある。
「減免制度は、自分から申請しないといけない。医療機関のソーシャルワーカーなどに相談するのもいいだろう」(同)
生活保護の受給申請を行うのも重要だ。生活保護による医療扶助を受ければ、医療費を自己負担する必要はない。だが、すべての人が生活保護を受給できる要件を満たすわけではない。そのようなときは、
「『無料低額診療』を実施している医療機関に相談してみてください」(同)
冒頭の42歳男性が頼った「立川相互病院」「相互歯科」の両院とも、経済的に困窮している人を対象に、診療費の無料・低額に応じる「無料低額診療」(無低診)を行っている。
診療希望者の申請を受けた医療機関(ソーシャルワーカー)が生活状況を聞き取り、収入などを審査した上で、医療費の減額・免除を決める。
厚労省社会・援護局によれば、どのくらいの収入の人が制度を利用できるのか、どのくらい減免されるのかなどは個々の医療施設に委ねられているという。
無低診は、社会福祉法などに基づく社会福祉制度で、社会福祉法人や財団法人の病院などが実施している。厚労省によれば、実施施設は15年3月時点で622。うち歯科診療を行っている施設数の統計は取っておらず、不明だという。
利用者の延べ人数は約740万人(昨年度)。約468万人が生活保護の受給者だったという。

口腔内を大切にすることが肺炎、動脈硬化、認知症まで予防する
「口の健康を保つことは人生の豊かさにつながる」
そう話すのは東北大学歯学研究科の村上任尚(たかひさ)助教(高齢者歯科学)だ。
「自身の歯が少なくなることで、食べることができるものに偏りが出る。摂取栄養素の不足に伴い、筋力や運動能力が低下することで活発な行動ができなくなると脳の活動が鈍ります」(村上助教)
特に前歯を失った場合は、外出や会話といった人との交流を避けたり、笑顔など感情を表情に出さなくなったりすることから、脳活動の低下につながりやすい。
「さらに、かんだり食いしばったりすることはストレスの軽減や発散にもつながります」(村上助教)
神奈川歯科大の山本龍生教授(社会歯科学)は、「高齢者特有の病気の防止にも役立ちます」という。

近年、口と全身との科学的解明が進み、歯周病菌と肺炎や動脈硬化などの関連が報告されている。特に、高齢者の直接死亡原因上位にある肺炎は、外部からの感染ではなく、口腔内で増殖した肺炎原因菌を肺に誤嚥(ごえん)することで発症することが少なくないという。
歯があれば、認知症を予防したり、進行を遅らせたりすることもある。
「かむことで脳が活動的になるからです。かむことができなければ、認知症を引き起こす可能性があります」(山本教授)
山本教授らは、厚労省の研究事業として、歯と認知症の関連を調べるため、愛知県内に住む65歳以上の高齢者4425人を対象に4年間追跡調査した。
その結果、歯がほとんど残っていない人(0~9本・義歯の使用なし)は、歯が20本以上残っている人に比べ、認知症の発症リスクが1・85倍も高かった。食べ物をあまりかめない人の発症リスクは、なんでもかめる人に比べ、1・25倍だった。
一方、歯がなくても義歯を使用している人の発症リスクは1・09倍と低く、義歯を使ってかむことが重要であることが分かった。
「歯を失うとかむことが少なくなり、脳への刺激が減り、脳の機能が低下して認知症になりやすくなるのでしょう」(山本教授)

では、すでに“歯を失っている”場合はどうしたらいいか。先述の東北大学の村上助教はこう話す。
「失った歯を放置せず、義歯やインプラント、ブリッジといった治療法を用いて、早期にきちんとかむことができる状態にすることが大事です」
治療法の選択には、年齢や持病、体調、費用などを考慮する必要があるが、
(1)残っている歯に負担がかかりにくいようにすること
(2)清潔さを保ちやすいこと
(3)痛みなくきちんと機能する(かめる)こと
 ――の3点が大事だという。
「違和感を嫌ってどんどん入れ歯を小さくしてしまうと、金具をかける歯に負担がかかってしまうことにつながる。接着して固定するブリッジは着脱の煩わしさはないが、外して洗える入れ歯のほうが清潔に使える場合もある。残っている歯が大事だとはいえ、歯周病でグラグラして痛みがある歯を無理に残してもモノがかめないし、入れ歯やブリッジを入れても不具合があり使えなければ意味がありません」(村上助教)
かかりつけの歯医者に通うことは、歯周病や虫歯の予防のほか、認知症などの早期発見につながることもあるという。定期的な受診をしたい。

【サンデー毎日】




医療の中で経済的理由で1番後回しにされるのが歯科です。
by kura0412 | 2016-03-28 18:33 | 歯科 | Comments(0)

『介護療養では肺炎による死亡も多い』

特養と老健の7割、介護療養の8割で積極的な看取りを実施―2015年度介護報酬改定・結果検証2

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と介護老人保健施設ではおよそ7割、介護療養型医療施設ではおよそ8割の施設では、看取り期に入った入所者に対して看取りが行われており、その場合、特養ホームと老健施設の8割で看取り計画が立てられている―。
こうした状況が、16日の社会保障審議会・介護給付費分科会「介護報酬改定検証・研究委員会」に厚生労働省が提出した2015年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(2015年度調査)結果から明らかになりました。

特養と老健では老衰による死亡が大半だが、介護療養では肺炎による死亡も多い
お伝えしたように、介護報酬についても2015年度報酬改定の効果・影響について調査が行われています(関連記事はこちら)。今回は、「介護保険施設等における利用者等の医療ニーズ」の状況に焦点を合わせてみましょう。
まず介護保険3施設における定員100名当たりの死亡対象者数を見ると、特養ホームでは4.8名、老健施設では3.9名、介護療養では16.6名という状況です。ちなみに医療療養では20対1で29.6名、25対1で31.0人となっています。
また退所者に占める死亡退所者の割合を見ると、老健施設では20%未満の施設が8割弱なのに対し、特養ホームでは80%以上の施設が5割弱となっていることが分かりました。ただし、特養ホームでは「病院に入院しても3か月以内に退院が見込める場合には退所と扱わない」旨が厚労省令(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準)で定められているため(病院に入院して死亡した入所者も死亡退所者にカウントされる)、割合が高くなっている点も考慮する必要があります。

なお、死因(主たるもの)について見ていると、特養ホームと老健施設では老衰が58.3%、47.2%と最も多くなっていますが、介護療養では肺炎(25.5%)と老衰(25.4%)が多くなっており、若干の違いがあります。

計画に沿った看取りの実施は、特養と老健の半数程度、介護療養の25%程度
このように介護保険施設で人生の最期を迎える方も一定程度いるわけですが、各施設において看取りの状況はどのようになっているのでしょう。
今般の調査結果からは、特養ホームの76.1%、老健施設の64.0%、介護療養の81.9%で「看取り期に入った入所者に対して看取りを行っている」実態が明らかになりました。前年度(2016年度)調査に比べて、看取り実施の割合が高まっています。
また、看取りを実施している場合に「全員に看取り実施計画を策定している」施設の割合は、特養ホームで51.1%、老健施設で45.2%、介護療養で25.4%となっています。ただし在宅復帰機能強化型の介護療養では看取り計画を立てていない施設の割合は5.9%(介護療養全体では31.5%)に止まっています。

看護職員から見た「在宅生活がふさわしい利用者」、老健では55.2%
次に、介護保険施設に勤務する看護職員が、「利用者に必要な医療」「利用者の必要な介護」「最も適切な生活・療養の場」をどう考えているのか、を見てみましょう。
介護保険3施設別に、入所者のうち「在宅医療・外来医療で対応可能な人」がどの程度いるのかを見ると、特養ホームでは43.2%(在宅11.7%、外来31.5%)、老健施設では55.2%(在宅22.6%、外来32.6%)、介護療養では26.5%となっています。
また入所者のうち「在宅の介護サービスで対応可能な人」がどれだけいるのかを見ると、特養ホームでは5.4%、老健施設では27.4%、介護療養では11.8%となっています。
さらに、自宅での生活・療養がふさわしいと考えられる入所者の割合については、特養ホーム5.7%、老健施設23.5%、介護療養7.5%という状況です。
こうした数字を見ると「老健施設には医療・介護の必要性が低く、自宅に戻れるにもかかわらず入所している人が多い」と考えてしまいますが、そもそも老健施設は在宅復帰を目指す施設であり、リハビリなどによって「在宅復帰が見えてきた」利用者が多いと考えるべきでしょう。老健施設が「本来の機能」を果たしていると言えます。

医療療養の医療区分1患者、在宅・外来で対応可能な人は5割程度
また、介護保険3施設における医療区分1の入所者(診療報酬上の医療区分)の状況を見ると、「自宅での生活・療養がふさわしい」人(看護職員の判断)は、特養ホームで5.9%、老健施設で26.1%、介護療養で9.1%、医療療養で23.6%となっています。
ここで、現在、各都道府県で策定が進められている「地域医療構想」では、「医療療養に入院する医療区分1の患者の7割は、在宅医療等で対応する」ことになります(厚労省の地域医療構想策定ガイドライン)。

調査結果を眺めると、医療療養の入院患者にとって、最もふさわしい生活・療養の場は、自宅23.6%、特養ホーム16.0%、老健施設10.6%、医療療養24.1%、介護療養14.9%などとなっており、「医療療養でなければ対応できない患者」の割合は地域医療構想と合致していると見ることもできます。
ただし、必要な医療については、入院40.4%、在宅37.4%、外来14.9%などとなっており、「7割を在宅医療等で対応する」ことが適切かどうか、改めて検証する必要もありそうです。

在宅強化型・加算型の老健、訪問指導や情報共有に積極的
ところで、老健施設については2012年度の前回介護報酬改定で「在宅強化型」(基本報酬が高く設定されている)と「加算型」(在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定)が新設され、2015年度改定でも評価の充実が行われました。
この在宅強化型・加算型と従来型を比べてみると、在宅強化型・加算型では、「入所前後訪問指導」「入退所前後以外における自宅などへの訪問」「入院・入所1週間以内の退所・退院調整」「在宅復帰を見据えた家族への指導・助言」「退所・退院計画の入所者・家族との共有」などを実施している割合が高いことが明確となりました。
裏を返せば、利用者宅の訪問や利用者・家族との情報共有などが、在宅復帰にとって極めて有効であるとも考えられます。
急性期入院医療でも平均在院日数の短縮と、そのための退院支援の充実が大きなテーマとなっており(関連記事はこちらとこちら)、老健施設の取り組みも重要な参考情報となりそうです。

【メディウオッチ】
by kura0412 | 2016-03-25 08:37 | 医療政策全般 | Comments(0)

消費税再増税延期はアベノミクスが失敗したからか

マイナス金利がだめ押し?「円高・株安」でアベノミクスはもう限界

デフレは貨幣現象、金融政策で変えられる
年始からの歴史的な金融市場に翻弄され、「アベノミクス信者」に変化が現れている。中国をはじめ海外経済の減速を前に「日本のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は悪くない」と冷静に装ってきたが、いまだ低空飛行を続ける個人消費を目の当たりにして動揺が走っているのだ。「円安・株高→企業収益の改善→雇用・所得環境の向上→消費の回復……」という経済の好循環シナリオに狂いが生じ、首相ブレーンからもアベノミクスの「誤算」を認める声が漏れ始めている。
「今から言うと、言い訳に聞こえるかもしれないが、ここまでひどいとは思わなかった」
アベノミクスの生みの親である首相の経済政策ブレーンの1人はこう打ち明ける。そもそもアベノミクスの根幹にあったのは「デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられる」というものだ。だが、実際は理論通りにいっておらず、各種の経済指標が発表されるたびに首相官邸内は重苦しい雰囲気に包まれている。

安倍晋三政権は2013年春にリフレ派の黒田東彦氏を日銀総裁に起用し、「異次元緩和」で円安・株高を誘因。企業収益は過去最高に達し、雇用環境はバブル期以来の良好な指標が並ぶようになった。基本給を底上げするベースアップ(ベア)も相次ぎ、所得環境も改善が見られてきている。
だが、肝である個人消費の低迷は深刻で、15年10~12月期の国内総生産(GDP)は再びマイナス成長に転落した。1月の消費支出(2人以上世帯)を見ても、物価変動を除いた実質で前年同月比3.1%減と5カ月連続で前年同月を下回っており、消費の不振は鮮明だ。
その理由について、エール大名誉教授の浜田宏一内閣官房参与は14年4月の消費税増税が「思った以上に効いている」と見る。本田悦朗内閣官房参与は「消費税率の8%への引き上げは間違えていた」との立場で、アベノミクスに誤算が生じていることを率直に認めるようになった。

羅針盤を失ったアベノミクスの誤算
政府内には、人口構造の変化や消費を引っ張る中間層が弱くなったと原因を分析する声があがるが、何より社会保障制度など将来への不安感から国民に節約志向が強まっている点は否めない。首相は「信頼する経済ブレーンの計算間違いには失望も大きかった」(首相側近)とされる。通常国会では野党側から「アベノミクスはすでに破綻している」などと繰り返し追及されており、首相が答えに窮する場面も見られるようになった。
アベノミクス推進派の亀裂が意味するのは「羅針盤」の喪失だ。
本田内閣官房参与は、来年4月に予定される消費税率10%への再引き上げは凍結すべきだと主張。インフレ率が2%程度で安定し、デフレ脱却が確実になるまでの間、増税実施は不必要との持論を展開している。これに呼応したのは政権の大番頭である菅義偉官房長官で、「税率を上げて税収が上がらないようなところで、消費税を上げるということはありえない」と後押しした。
だが、麻生太郎財務相に加えて、安倍首相は税率引き上げを予定通り実施する考えを繰り返し強調している。3月2日の参院予算委員会では「リーマンショックあるいは大震災級の事態にならなければ予定通り引き上げる」と明言し、増税先送りの憶測を否定してみせた。
これまで首相はブレーンの進言を丁寧に聞き、閣内の意見調整を踏まえた上で最終決断するスタイルを重ねてきた。だが、ブレーンへの不信に加えて閣内の要だった甘利明前経済再生担当相が退場し、そのバランスは安定感を失っている。関係閣僚が有識者と世界経済の動向を分析する「国際金融経済分析会合」を新設し、政府の外からの意見をあえて採り入れるとの考えはその現れでもある。

今年夏の衆参ダブル選挙が濃厚になる中、消費税再増税の延期をその大義とするのか。それともダブル選は回避し、再増税を断行するサプライズに出るのか。羅針盤を失ったアベノミクスの限界が近づいてきている。

【PRESIDENT ONLINE】



消費税再増税延期はアベノミクスの失敗が原因だったのでしょうか。W選挙の争点となるかもしれません。
経済は上向きに陰りが見えていることは間違いありませんが、政策の失敗とはいいずら部分もあります。
by kura0412 | 2016-03-24 11:29 | 政治 | Comments(0)

『日医委員会、非課税還付制度を答申- 医療界として一本化できるか検討 』

日医委員会、非課税還付制度を答申- 医療界として一本化できるか検討

日本医師会(日医)は23日、社会保険診療への消費税が非課税であるために生じている控除対象外消費税が医療機関の経営を圧迫している問題に対して医業税制検討委員会が取りまとめた、診療報酬での上乗せ超過額の還付を受けることができる新たな制度の創設を盛り込んだ答申を明らかにした。日医は今後、同問題の解決に向け、消費税の課税転換を要望してきた病院団体に、この制度への理解を求めた上で、医療界の要望として一本化できるかの検討を始める。

日医が明らかにした医業税制検討委員会の答申は2014年9月に横倉義武会長から諮問を受け、同委員会が議論して取りまとめたもので、今月1日に横倉会長に提出。同委員会の委員長は、品川芳宣・筑波大名誉教授で、地区医師会の代表のほか、西澤寛俊・全日本病院協会長や伊藤伸一・日本医療法人協会会長代行など、病院団体からの代表も含まれている。23日の記者会見では、日医の今村聡副会長が答申を説明した。
答申では、控除対象外消費税問題の解決策について、「日医はじめ医療界が、一本化した提言を要求できないことが、立法当局の解決先延ばしの口実に使われてきた」と指摘。病院団体が要望している消費税の課税転換は、政治情勢や国民的な理解を得ることが難しいため、医療機関が設備投資などをした際に還付を受けることができる制度を、医療界として求めていく重要性を強調している。
この制度は、消費税導入時から診療報酬に上乗せされている2.89%相当額を上回る仕入れ消費税額を負担している場合には、その超過額の還付を認めるもの。これにより、中小の診療所は、消費税が課税転換されることにより、これまでの診療報酬上乗せ分の「引きはがし」が起こることもなく、大学病院などの大規模な設備投資などが経営を圧迫することがなくなると説明している。

【キャリアブレイン】
by kura0412 | 2016-03-24 09:58 | 医療政策全般 | Comments(0)

『中医協の議論としては、本体改定率が一番重要』

2016年度本体改定財源、前回の5倍 - 宮嵜雅則・厚労省保険局医療課長に聞く
中医協の議論、「本体改定率」がベース

2025年の医療提供体制に向け、地域包括ケアシステムの構築が主眼となった2016年度診療報酬改定。7対1入院基本料の基準が見直されたほか、調剤報酬も「患者本位の医薬分業」を確実に推進する方針が打ち出された。今改定を踏まえ、医療を実践していくためには、各点数の根底にある改定趣旨を読み解くことが不可欠だ。診療報酬改定を担当する、厚労省保険局医療課長の宮嵜雅則氏に、2016年度改定の主たるポイントとその考え方などについてお聞きした。

――まず今改定の位置付けをお教えください。
2014年10月の課長への取材では、2016年度改定は、2012年度と2014年度の改定の後段階である一方、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定の前段階と位置付けられていました。想定通りの改定が実施できたとお考えですか。

2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築していく流れの中で、前回、前々回の改定で取り組んだことを今改定で一歩進めていく。あるいは前回改定の修正すべき点は修正し、次回2018年度の同時改定につなげていく。これらの点については、ある程度できたのではないかと思っています。
具体的には後で触れることになると思いますが、入院関係では、7対1入院基本料や、前回改定で新設した地域包括ケア病棟入院料などの要件の見直し、外来ではかかりつけ機能の評価などを実施しました。前回改定で集合住宅等への点数を引き下げた在宅医療については、もう少しきめ細かに評価すべきとの意見があり、対応しています。

――改定率についてお聞きします。中医協総会でも、医薬品の「市場拡大再算定」のほか、今改定で導入された「特例再算定」による改定率は、なぜ「外枠」として扱うのか、といった議論がありました。

薬価調査を実施し、薬価と市場実勢価格の乖離率を基に薬価算定を行うのは、これまで通りのやり方です。「市場拡大再算定」など、大きく制度として枠組みが変わるようなものは、過去にも予算上は別に計上していたことはあり、それほどおかしい話ではないと思います。

――「市場拡大再算定」については、従来は薬価改定率に含めて計算していたのでは。

過去には全てを含めて薬価改定率を出していた時もあれば、個別に改定率を出していた時もあります。今回は、通常の薬価調査に基づく改定、市場拡大再算定や特例再算定に基づく改定について、それぞれ個別に改定率を示しているだけです。

――診療報酬本体と薬価等・材料の改定率はあくまで別々に扱うべきとお考えですか。

中医協での診療報酬改定の議論は、本体改定財源が基となり、どこにどのように配分し、評価していくかについての検討がメーンです。したがって、中医協の議論としては、本体改定率が一番重要。前回はプラス0.1%、医療費ベースで約400億円、今回はプラス0.49%、医療費ベースでは約2100億円で、改定財源は約5倍です。結果的に、いろいろなところに、きめ細かい評価ができたと思っています。

――次回改定でも、「診療報酬本体がプラス0.49%」をベースに議論することになりますか。

社会保障費に関する政府の予算編成過程では、「どの分野で効率化、適正化できるか」も論点となり、その議論は今回もあり、そして次回も行われると思います。ただし、中医協で改定の議論を行う際には、本体改定財源がどの程度あるかが重要な要素になります。

――「薬価の引き下げ財源は、診療報酬本体の財源に充てるべき」という議論は、中医協の議論とは別であるということですか。

中医協の診療側に、そうした意見があることは承知していますが、改定率は、政府の予算編成過程で決定することとなっています。極論すると、薬価の財源だけではなく、他の財源が本体改定率に入ってくることもあり得ますので、予算編成過程でどう考えるかという問題です。

【m3.com】
by kura0412 | 2016-03-22 15:22 | 医療政策全般 | Comments(0)

合格率63.6%と53%

本年度の国家試験の合格発表がありました。
全体の合格率63.6%、1973人合格でした。
http://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2016/siken02/about.html

ちなみに医師の方は91.5%です。
目につくのが受験者数は3103人に対して出願者数は3706人で、出願者数との比較だと53%となります。
そろそろ需給問題対策も転換期に来ているようです。
by kura0412 | 2016-03-18 15:43 | 歯科医療政策 | Comments(0)

米国人が経済として医療を見ると

画期的新薬を阻む日本の薬価制度は本末転倒だ
米国メルク会長兼CEO ケネス・C・フレージャー

医療費削減に迫られ大きく変わる日本の薬価制度。米研究製薬工業協会(PhRMA)会長で、米製薬大手メルクのケネス・C・フレージャー会長兼CEOに聞いた。

──日本ではがん治療の新薬「免疫チェックポイント阻害剤」が、効果は高いものの高額で医療財政を圧迫するという議論が出ています。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブの「オプジーボ」が販売され、メルクも同じタイプの「キートルーダ」(海外名)を日本で開発しています。

この新たながん免疫療法について、まず強調したいことは、近年の医学における画期的な発見であり、ブレークスルーとなったという点です。半世紀以上がん領域の研究を続け、ようやくキートルーダのような、自分の体が持っている免疫システムを使ってがん細胞を攻撃できる薬が完成したのです。
キートルーダは、悪性黒色腫や肺がん、胃がんの治療薬として承認に向け動いています。肺がんや胃がんは、日本でも発病率が高く、大きな死因です。キートルーダは、まだまだ可能性があり、30種のがんで効果が期待できます。
メルクとしては、(海外で)そのような価値に見合う価格を付けています。無論、患者のアクセスを促進するための値付けも考える。ただ、重要なのは、その値付けで次の新薬開発を行えるかという点です。

──日本では今年、当初の予想を超えて売れ過ぎた医薬品の薬価を引き下げる“巨額再算定”を導入し、画期的なC型肝炎治療薬などが、その対象となりました。キートルーダやオプジーボも標的となっていくのでは?

願わくば、キートルーダが対象にならないことを祈っています。そもそも、医療費の問題を解決するために再算定の適用を拡大する政策は本末転倒です。
確かに(対象となった)医薬品を見ると、非常に高額だと思います。ですが、創薬というビジネスでは、10年単位の長い時間と多額のコストを掛けた研究開発の大半が、失敗に終わります。リスクを冒し、成功にたどり着いた一握りの企業に対して、まるで罰則を科すような政策だと思います。
また、3年連続の薬価改定が行われますが、薬価についてこのようにシステムの根本を変えてしまうならば、日本市場に長期的に投資することが難しくなります。

──新薬メーカー特有のリスク回避のため、メルクもファイザーのように、M&Aへの注力や、租税回避目的の本社移転といった手段を考えますか。

まず断言しますが、租税回避目的の買収は行いません。また、メルクの戦略と企業価値はリスクを取っても、自らイノベーションを追求し、世の中を変える薬を開発していくことにあります。

【DIAMOND ONLINE】
by kura0412 | 2016-03-18 09:01 | 経済 | Comments(0)

『日歯・堀 憲郎執行部がスタート』

日歯・堀 憲郎執行部がスタート

日本歯科医師会は3月10・11の両日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において第182回臨時代議員会を開催,第5号議案として上程された理事選出に関し,24名の候補者全員が信任された.これは会長予備選挙に当選した堀 憲郎氏が提出した理事候補者に対する信任で,代議員138名による投票で決まったものである.堀氏は122票の信任票を得た(138票のうち,無効票は2票).
堀氏は新会長として11日に第1回理事会を開催し,24名の職務分担について決定した(別表を参照).新執行部の任期は平成29年6月に開催する定時代議員会までだが,現在中医協委員である遠藤秀樹氏は,社保担当の常務理事として再任,継続して中医協委員を務めることになる.

堀新会長は会長予備選挙への立候補に際し“共に新たな航海へ!! ”として「決意表明」した内容につき,遅滞なく着手する義務を負っており,当面短い任期であるとはいえ,新しい執行部の責任は重いものがある.なお,決意表明の一部を以下に示した.

「――略―― 事件による混乱を別としても,真剣に考えるほど,歯科界は気が遠くなるような危機的状況にあると感じます.高齢化に伴い医療政策は音を立てて地域へシフトしています.我々は遅滞なく対応できているでしょうか? 2025年問題,さらにはその先の人口減少問題に対して我々は対応の明確な青写真は持てるでしょうか?

そのような難局にあって,現在の歯科界の停滞から活性化に向けて船を転じるには,とてつもないエネルギーと時間を要することも,先ほど申し上げた事例(中医協における事例:編集部)等を通じて,実体験し理解しています.
ただひとつ,とてつもないエネルギーと時間は掛かるが,その先に達成感をもてる結果が存在することも,私は肌で感じて知っている数少ない人間のひとりと思っています.まだまだ手つかずで可能性を秘めた議論が歯科界には数多くあることも知っております.
今思い描くことが任期中に達成できるとは思っていません.5年,10年,20年,或いは半世紀を要する道のりになるかもしれません.しかし,少なくとも歯科界の歩むべき方向性を示し,その課題をしっかりと整理し,議論の体制を作って次の世代に引き継ぐことは,我々の世代の責任と認識しています.そして一刻も早くこの議論に着手しなければ歯科界の明日は無いと思っております. ――略――」

【HYORON NEWS】
by kura0412 | 2016-03-15 16:38 | 歯科医療政策 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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