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ネットプラスの可能性も

16年度診療報酬改定 医科、歯科はネットプラス、調剤マイナスの可能性も

財務省と厚労省の間で、16年度の予算編成をめぐる折衝が本格化した。
焦点の薬価・診療報酬改定については、厚労省が8月時点の概算要求時点で高齢 化の伸びを6700億円増としたのに対し、財務省は5000億円弱に抑制するよう求めており、1700億円程度のギャップが生じている。現在までに薬価等 の改定財源は約1400億円とされるが、財務省はこれを診療報酬本体の財源とせず、調剤報酬の“抜本的な見直し”でさらに深掘る方針だ。これに対し厚労省 は、薬価等の改定財源に加え、薬価制度改革や大型門前薬局の適正化を見据えた調剤基本料の見直しなど、報酬・制度改正で300億円を捻出し、1700億円 を賄う考え。さらなる診療報酬・制度改正による財源を確保することで、プラス改定も視野に入れている。
医療費の1%は国費で1110億円。これをベースに試算すると、改定率は薬価等財源を振り替えなかった場合でマイナス1.5%程度。薬価財源に診療 報酬・制度改正を上積みした場合にはマイナス改定と仮定しても、マイナス0.1~0.4%程度となる。どこまで高齢化の自然増の圧縮を見込めるか、薬価以 外の財源をどう確保するかがカギとなる。

◎調剤基本料にメスが入る可能性も 大型門前薬局適正化を視野
もう一つの焦点は、医科、歯科、調剤のバランスをどう図るかだ。今回の改定では特に調剤報酬への切り込みを財務省が求めている。かかりつけ薬局、かかりつ け薬剤師の機能を評価し、重複投薬や残薬対策などに重点が置かれる一方で、調剤基本料にメスが入る可能性が高い。特に、いわゆる大型門前薬局の適 正化をめぐり調剤基本料の見直しが想定される。現行の調剤基本料は41点で、処方せん回数と集中率で特例として25点への引下げが設定されている。特例引 下げは、処方せん回数が月4000回超で集中率70%の場合とされたが、14年改定では月2500回超で集中率90%超と範囲が拡大された経緯がある。16 年改定でもこの拡大をめぐる議論が焦点となる。この結果、調剤はマイナス改定となる一方で、医科、歯科はネットプラスとなる可能性も出てきた。
2000年以降の改定では、高齢化に伴う自然増の伸びに2200億円のキャップがはめられた経緯がある。02年度改定はマイナス1.3%、04年度改定 は±0%、06年度改定はマイナス1.36%だった。日本医師会など医療関係団体は過去のこうした改定が地域医療の崩壊につながったと強く反発しており、 今回も同じような改定につながることに強い警戒感を示している。

【ミクスONLINE】



ネットプラスの可能性も出てきたようですが果たしてどうなるか・・・
by kura0412 | 2015-11-30 17:11 | 医療政策全般 | Comments(0)

薬価差額を本体部分に充当せず

診療報酬引き下げへ 厚労省など、社会保障費抑制めざす

厚生労働省と財務省は2016年度の診療報酬を引き下げる調整に入った。
薬の公定価格にあたる「薬価」と医師らの技術料にあたる「本体」を合わせた全体でのマイナス改定は8年ぶりとなる。病院の収入が減る一方、患者や国・地方の負担は減る。社会保障費の伸びを抑制する政府目標に向け、診療報酬を下げざるをえないと判断した。

診療報酬は医療サービスの公定価格で2年に1回見直している。前回の14年度改定は消費増税分の上積みを除くとマイナスで、実質的には2回連続の引き下げとなる。
医療費の総額は15年度の見通しで43兆円。診療報酬を1%引き下げると医療費を4300億円削減できる。これにより国費の負担が1110億円減るほか、患者の窓口負担も540億円減る。
政府は6月に閣議決定した経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で、高齢化による社会保障費の伸びを年5000億円(国費ベース)に抑える目標を掲げた。厚労省が8月末に財務省に提出した16年度予算要求から1700億円の削減が必要になる。
政府は27日の臨時閣議で、6月の社会保障費の抑制目標を踏まえて来年度の予算を編成する方針を確認した。16年度は年金や介護で大きな制度改正はないため、1700億円の大半を診療報酬の引き下げでまかなう必要がある。
診療報酬のうち薬価部分は薬の実勢価格に応じて毎回下がっており、近年は1.4%前後のマイナス改定が続いている。技術料の本体部分は財務省が引き下げを求める一方、厚労省は引き上げを求めている。今年末にかけての予算編成の過程で攻防が続きそうだ。
仮に本体部分が小幅なプラス改定になったとしても、薬価のマイナス幅を埋めることは難しく、全体ではマイナスになる見通しだ。

【日経新聞】



薬価差額を財源とした本体部分へのアップは、これで今後厳しくなったようです。
前回の改定時にこのような状況が予測されていたのに・・・
by kura0412 | 2015-11-28 14:40 | 医療政策全般 | Comments(0)

次期参議院選挙で組織代表擁立白紙撤回

日歯連 来年参院選に候補者擁立せず

政治資金を巡る事件で前会長らが起訴された日歯連=日本歯科医師連盟は27日、内部の会議を開き、来年の参議院選挙では組織を代表する候補者を擁立しない方針を決めました。

日歯連の前会長、高木幹正被告(70)ら3人は参議院議員を後援する日歯連関連の団体に寄付した際、収支報告書にうその記載をしたなどとして先月、政治資金規正法違反の罪で起訴され、団体としての日歯連も起訴されました。
日歯連はこれまで診療報酬などを巡って政治への働きかけを強めるため、参議院選挙の比例代表に組織を代表する候補者を擁立してきましたが、日歯連は27日、地域の代表を集めた会議で来年の参議院選挙では組織代表の候補者を擁立しない方針を決めました。また献金などの政治活動もいったん自粛し、弁護士や有識者などで作る第三者委員会が組織改革や再発防止策などについて検討を進めているということです。
会議のあとの記者会見で日歯連の高橋英登会長は、「候補者の擁立断念は苦渋の決断だったが前会長ら幹部や日歯連自体が起訴されている状況で選挙運動を行うことは難しいと考えた」などと説明しています。

【NHKnewsweb】




昨日開催された日歯連盟臨時評議員会で、既に組織代表候補決定者を擁立して次期参議院選挙に臨むことを白紙撤回すると共に、現執行部を信任することを可決しました。
by kura0412 | 2015-11-28 08:47 | 歯科 | Comments(0)

医師の本音

薬の大量処方で医者が儲かるという「大ウソ」
薬が減らないのには2つの原因があった

医者は金儲けのために薬を出しているのではない
日本人は、諸外国と比べて、医者に行った時の薬の処方が多い。それに疑問を感じているのか、「薬漬け」ということばもよく使われる。
その理由について、医者が利益を得るために薬を必要以上に大量に出しているからだと考える人が少なくない。だから一般の人と比べて医者の収入が多いと思われているフシもある。
どうも日本には医者の「性悪説」のようなものがあるようだ。
たとえば、かつて老人医療費が無料になった時代があるが、当時、病院の待合室が高齢者であふれ返っていた。高齢者のサロンとさえ揶揄された。
その際に待合室で元気そうな高齢者が、次に行く旅行の相談をしているとか、いつも来ているおじいさんが今日は顔を見せないので聞いてみると「風邪をひいてるから」というようなオチになっている。要するに、病気でも何でもない高齢者を医者が集めて金儲けをしていて、本当に病気のときは来ないという話である。
しかし、ここでよく考えてほしい。高齢者の通院患者というのは、風邪をひいたなどの急性の病気で医者にくるほうが珍しく、多くの場合は、高血圧や糖尿病、骨粗しょう症など慢性の病気で医者に来ているのである。体調がいいのであれば、待合室で旅行の相談をするのは何の不思議もないし、むしろ待合室でよぼよぼしているとすれば、薬の出し過ぎか、医者がちゃんと体調を管理できていないことになる。私の外来に通う認知症の患者さんだって、風邪をひいている時は、代わりに家族が来ることなどざらにある。
しかし、日本の医者は薬を出すことで金儲けをしていると厚生労働省(当時は厚生省)も考えたようで、90年代後半くらいから医薬分業を強烈に推し進めた。要するに院内で処方するのではなく、院外薬局で薬を患者がもらうシステムに変えていった。そうするといくらたくさん薬を出しても、医者に入るお金は処方箋料だけとなる。たくさんの薬を書くと余計に手間が増えるのに入るお金は同じというシステムだ。
結論的にいうと、これでほとんど処方は減らなかった。世間や厚生省が考えるほど、医者は金儲けのために薬を出していたのではなかったのだ。

薬漬け医療を生む「専門分化主義」の弊害
では、なぜ、たとえば高齢者だと15種類も出されるような、多剤処方、いわゆる薬漬け医療が蔓延するのだろうか?拙著『だから医者は薬を飲まない』でも解説しているが、私は基本的に医学教育の在り方に問題があるのだと考えている。
ひとつは「専門分化主義」、もうひとつは「正常値至上主義」である。
大病院、とくに大学病院に行ったことがあればお気づきになるだろうが、内科という科はその手の病院では消滅している。代わりに、呼吸器内科、内分泌科、消化器内科、循環器内科という臓器別の診療科が並んでいる。
このような専門分化は、特定の臓器の病気と診断がついている場合、とくに珍しい病気に対して、専門的に治療を行うには望ましい。しかし、それによって専門外の分野の治療はお粗末になってしまうということは珍しくない。
一般に大学病院や大病院の医師などが開業する場合、糖尿病の専門医や消化器内科の専門医として開業できればいいが、それでは広く患者が集めきれないので、一般内科ということで開業するケースが多い。ところが高齢者の場合、一人でいくつもの病気を抱えているほうがむしろ通常だ。高血圧で血糖値も高く、そのうえ、骨粗鬆症も始まっているなどということがざらだ。
その際、循環器の専門医であれば、高血圧に関しては、自分の専門知識で治療ができるだろう。しかし、糖尿病や骨粗鬆症については、専門外の素人のような感じで治療をすることになる。
そういう際の医者向けのマニュアル本はいっぱい出ている。それぞれの病気についての「標準治療」が紹介されている本だ。どんな検査をして、どんな治療をすればいいかが書かれているから、確かに大外れの治療にはならないだろう。しかし、多くの場合は標準治療として、2、3種類の薬を飲ませればいいという話になっている。すると、4つ病気を抱えたお年寄りに「標準治療」を行うと12種類の薬を飲ませることになる。
ところがこの手の標準治療は、ほかの病気が合併していることはほとんど考慮に入れられていない。基本的にその病気の専門家が作るのだが、その病気に詳しくてもほかの病気に詳しくないことには変わらない。そして、多くの場合、ほかの薬を飲んでいる場合に、その処方をどうすればいいのかなどは書かれていない。

結果的にほかの分野のことを知らない専門医が次々と開業していくうえに、患者層の多くが高齢者(これからはその傾向がどんどん強まっていくだろう)なので、多剤併用の傾向がさらに進んでいくことになる。
ところが大学病院というのは、基本的に教育スタッフがほとんどこの手の「専門家」である。こういう人が医学教育を牛耳っている以上、多少制度をいじっても、むしろ受けた教育に忠実なまじめな医者ほど薬をたくさん使ってしまうことになる。

本当は正常ではない「正常値」
もうひとつの問題は、「正常値」主義である。
要するに検診などで異常値が出れば、ある病気の早期発見ができたということで、治療が開始されてしまうということだ。
2012年の人間ドック学会の発表によると、人間ドックでどの項目も異常がなかった人はわずか7.8%しかいなかったという。92.2%の人は何らかの形で異常を抱え、それを医者に見せるとその異常値を正常化させるような治療が行われてしまう。
ここでも、専門分野の病気なら、「この程度の異常なら大丈夫」と言えるのかもしれないが、専門外の場合は「一応、治療しておきましょう」になりかねない。
実際、血圧の正常値などは大規模調査の結果などで、ときどき変更されるが、検査の正常値というのは、平均値プラスマイナスアルファなどという「雑な」決め方をされていることが多い。身長が平均よりひどく高くても、ひどく低くても病気とは言えないように、「平均を外れていること=病気である」とは言えないだろう。
どの値を超えれば病気になりやすいという大規模調査をすればいいのに、それがほとんど行われていないのが現実だ。また検査データを正常にしたら、本当に病気が減るのかもわからないということも珍しくない。
本当に「正常な値」と、薬を使うことで「正常にした値」というのは、体に与える意味が違う。たとえば、ピロリ菌があると胃がんになるというので、最近は除菌が盛んに進められるが、生まれつきピロリ菌がない人は確かに胃がんにならないのだが、長い間ピロリ菌が胃の粘膜に影響を与えていた人は、菌を殺しても胃がんにならないとは限らないそうだ。
検査値を正常にしないといけないというイデオロギーに、医者(患者の多くも)が染まっている限り、異常値にはつい薬を使うということになって、どんどん薬が増えていってしまう。

これからの時代に必要な医者とは
最近になって高齢者が増えてきたこともあって、専門医でない総合診療医や、地域の患者への往診を含めて(要するにその患者さんの生活状況もみる)サポートしていく地域医療医が再評価されているという。
総合診療医というのは、専門医ほど各臓器には詳しくないが、人間全体をみて、その人に何が大切かの優先順位がつけられる。15種類の薬を飲んでいる人に、これだけは飲んでくれという5種類が選べるような医師だ。
総合診療や地域医療、そして彼らによる啓もう活動が盛んな長野県は平均寿命が男性1位、女性1位になっていながら、ひとり当たりの老人医療費は全国最低レベルだ。つまりきわめてコストエフェクティブ(コストがかからず、患者さんの健康長寿につながる)な治療を行っていることになる。いっぽうで、大学病院の多い県ほど、平均寿命が短く、老人医療費も高いという傾向がある。検査値の正常主義はむしろ時代遅れなのだ。
高齢化が進んでいるのだから、医学教育の大幅な改変が求められる。しかし、大学の医学部の教授というのは、一度なると定年までやめないし、各医局が定員を削る気がないから、専門医ばかりが養成され、総合診療医がなかなか教育できない。
だとすれば、旧来型のダメな大学病院は半分くらいスクラップして、総合診療や心の治療、がんへの特化などのニーズにあった医学部をどんどん新設すべきなのだ。
厚生労働省は医療費を制度で削ろうとばかりするが、医学教育改革こそが、もっともコストエフェクティブな制度だと私は信じている。

【和田秀樹:東洋経済ONLINE】




本音の部分が満載で面白い内容です。
歯科医師が医科の知識をもって取り組めば、医科のセカンドオピニオンとして患者さんに接することも夢ではないのかもしれません。
by kura0412 | 2015-11-26 12:02 | 医療全般 | Comments(0)

「総合医療政策課」

日医には「総合医療政策課」という部署があるんですね。

凄いわけです。
by kura0412 | 2015-11-26 09:44 | 思うこと | Comments(0)

大きな傷跡を残した経験があるのに

2016年度予算、医師の技術料引き下げ焦点 財制審「下げ不可欠」

財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は24日、2016年度予算に向けた建議を麻生太郎財務相に提出した。社会保障費の伸びを年5000億円弱に抑えるように主張し、医師の技術料の引き下げを求めた。一方、厚生労働省は引き上げを訴える。診療報酬全体は引き下げが濃厚だが、技術料を巡って年末の予算編成まで曲折がありそうだ。

「(6月末に決めた財政計画は)初年度からきちんとした方向性を出すことが一番大事」。麻生財務相は同日の閣議後の記者会見で、今後3年間の高齢化による社会保障費の伸びを1兆5000億円に抑える計画の達成を強調した。厚労省は8月末の概算要求で社会保障費の伸びとして6700億円を求めており、達成には2000億円程度の切り込みが必要だ。
焦点は医療サービスの公定価格である診療報酬の改定だ。診療報酬は医師の技術料に当たる「診療報酬本体」と「薬価」に分かれる。薬価は薬の卸売価格に合わせて毎回下がる。12月上旬にも公表する薬価調査で引き下げ率が決まる。

焦点は診療報酬本体の改定だ。
財制審は「一定程度のマイナス改定が必要」と主張した。薬価の引き下げ幅は毎年1400億円前後。社会保障費を2000億円程度減らすには薬価に加えて本体のマイナス改定が欠かせないとみる。本体の引き上げは保険料や患者負担の増加を招き「経済成長の足を引っ張る」(財務省幹部)とも訴える。
厚労省は本体のプラス改定を求める。厚労省の調査では、医療機関の損益は消費増税や人件費の増加で悪化。16年度改定で本体を引き下げれば、医療機関の経営が一段と厳しくなると訴える。政策への影響力が大きい日本医師会も本体のマイナスには反対だ。
本体と薬価を合わせた診療報酬全体では8年ぶりのマイナス改定が濃厚だ。
厚労族議員や医師会も全体のプラス改定を求める声は乏しい。「国家財政が破綻しても困る」(日本医師会の横倉義武会長)ためだ。

【日経新聞】




もはや薬価引き下げによる財源ねん出どころか、本体そのものを引き下げるような議論になっているようです。
その結果、更に医療現場が混乱して大きな傷跡を残すことを前回の本体マイナス改定で経験しているのに、その反省が生かされていません。
by kura0412 | 2015-11-25 08:50 | 医療政策全般 | Comments(0)

「いつでも、どこでも、だれでも」が崩壊する

国民皆保険を崩壊させる財務省の「受診時定額負担」

環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、テレビのバラエティー番組などでは黒船脅威論のごとく、「医療費が高騰する!」「混合診療が解禁される」といった話がまことしやかに語られているようだ。
だが、11月5日に外務省が発表した「TPP協定の全章概要」を読むかぎり、その心配はないように思う。医療分野で直接言及されているのは医薬品の特許期間だが、妥結内容は日本の国内制度と乖離するものではなく、この点での影響はない。
アメリカの通商代表部(USTR)が毎年発表する「外国貿易障壁報告書」を見ても、2012年以降はアメリカの要求は医薬品や医療機器の算定ルール(新薬創出加算の恒久化)に絞られてきている。
薬価の高止まりは健康保険財政にとっての不安材料ではあるが、そのことと混合診療の全面解禁の関係性は薄い。「TPPで日本の医療が崩壊する」という地獄のシナリオが現実のものとなる可能性は極めて低いといえるだろう。

それよりも今問題にすべきは、本来は国民生活を守るべき日本の財務省からジワジワと医療給付を縮小する圧力が働いていることだ。
今年6月に発表された「財政健全化計画等に関する建議」には、健康保険の理念を損なうとして過去に否定された「受診時定額負担・免責制の導入」が、ちゃっかりと復活しているのだ.

2011年に猛烈な反発で消えた受診時定額負担の蒸し返し
現在、病院や診療所の窓口で負担するのは、年齢や所得に応じてかかった医療費の1~3割。定率の負担をするだけでよい。財務省が提案する受診時定額負担や免責制は、この定率負担に加えて、医療機関を受診する人から一定額を徴収しようというものだ。
受診時定額負担は、医療機関を受診するごとに年齢や所得に関係なく、すべての患者から1回につき100円などの定額を徴収することが想定されている。免責制は、医療機関を受診しても500円~1000円などの一定額までは健康保険を適用せず、それを超えた分が健康保険の対象になる。

このように医療の財源確保のために、患者から定額の負担を徴収しようという動きは初めてではない。
最初に持ち上がったのが免責制で、2005年に小泉政権下の「経済財政諮問会議」で、「健康保険は大きなリスクを保障し、風邪など軽度な症状は自己負担すべき」といった考えから提案された。また、受診時定額負担は、2011年の「社会保障改革に関する集中検討会議」で、当時、見直しの議論が行われていた高額療養費の財源確保のために提案された。
だが、そもそも社会保険とは「収入に応じて保険料を負担し、必要に応じて医療を利用する」もので、“定率”負担が原則だ。受診者から、収入に関係なく“定額”を徴収する免責制や受診時定額負担は、日本の健康保険のあり方を揺るがす大問題で、実施されると病気になった患者のみに負担の皺寄せがいくことになる。そのため、過去の議論では医療関係者や専門メディアなどから猛烈な反発を受け、導入が見送られたという経緯がある。
それが、再び蒸し返されたのだから穏やかではない。もしも、導入されると国民の負担はどの程度増えるのだろうか。

1回100円の徴収で2000億円規模の増収に
財務省の2015年の建議の参考資料には、制度導入イメージとして「受診時定額負担」の図が示されているので、今回は免責制ではなく、受診時定額負担の導入が本丸だと予測される。
ここでは受診時定額負担の導入による財政影響には触れられていないが、2011年に受診時定額負担の是非が議論されたときの厚生労働省の資料(PDF)をたどると、1回あたりの徴収額が100円の場合で、年間約2060億円の新たな収入が見込めるという(低所得層への配慮なしの場合)。
だが、逆の見方をすれば、そのお金は患者が負担するということだ。これまで社会保険料や税金の形で国民全体で負担していたお金を、病気で苦しむ人の負担に付け替えることになるのだ。
しかも、こうした定額負担は、いったん導入されると財源不足を理由に、どんどん引き上げられる可能性もある。最初は1回100円でも、1回500円になれば約1兆円、1000円なら約2兆円もの負担が、患者に押し付けられることになる。
患者負担の増大というと、健康保険が適用されない先進医療に目が行きがちだが、こちらは2014年度の実績でも約174億円(厚生労働省「平成26年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」より)。それに比べると、受診時定額負担の財政への影響のほうがはるかに大きいといえるのだ。

法的に矛盾するものを選定療養費で強引に導入
これまで定額負担の導入が見送られてきたのは、反対の声をあげてきた関係者の力もあるが、法的な拘束力があったのも大きい。
2002年の改正健康保険法の附則では、「医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するもの」とされている。附則は法律の本則と同じ効力を持つもので、健康保険の自己負担割合は今後も3割を超えないことを約束しているのだ。
患者の自己負担割合については、2006年の改正健康保険法でも付帯決議がつけられており、法的には患者に3割を超える負担を求めることは難しい。そのため、2011年の厚生労働省の審議でも受診時定額負担の導入は見送られ、これまでは患者負担の増大を阻止してきたという面もある。

最終的に高額療養費の見直しは、税と社会保障の一体改革によって決まった消費税の引き上げを財源とすることで決着したが、その後、安倍政権は安全保障関連法の成立を優先させるために消費税10%への引き上げを凍結。改革のための財源の見通しが立たなくなったため、公的医療費を抑制させ患者負担を拡大させる傾向が強まっている。
今年5月に成立した医療制度改革関連法では、紹介状なしで大病院を受診した場合に5000~1万円の特別料金を徴収することが義務化された。一方で、患者の負担は3割を超えてはならないことが、附則や付帯決議で決められている。

そこで、国は、保険外併用療養費の選定療養の枠組みで、大病院を受診した際の特別料金を義務化するという荒業で制度化させたのだ。
本来、選定療養費は、患者が自分の意志で利用するかどうかを決めるもので、国や医療機関が強制するものではない。それを義務化するというのは、明らかに制度的に矛盾している。
これまでの法律の解釈では、財務省が提案する受診時定額負担も、前述した附則や付帯決議に抵触することになる。だが、憲法違反や違法性が指摘されながらも、強引に安全保障関連法を成立させた第2次安倍政権のやり方を見ていると、受診時定額負担も選定療養費を使うという荒業によって、あっさり患者負担増額への道が開かれてしまうのではないかと不安になる。

国民皆保険の理念を損なう2015年の財務省建議
財務省の建議では、受診時定額負担・保険免責制の導入の必要性を次のように理由付けしている。
〈我が国の医療保険制度は、定率の患者負担を求めつつ、高額療養費(患者負担の月額上限)を設けることにより、医療費が多くかかった場合にはより厚めの保険給付を行う(患者の実行負担率が逓減する)、つまり、リスクの大きさに応じて公的保険がカバーする範囲が大きくなる仕組みとなっている。この考え方に立って、限られた医療資源の中で、疾病等に伴う大きなリスクをカバーするという保険の基本機能を十分に発揮しながら、国民皆保険制度を維持していく観点から、現行の定率負担に加え、少額の定額負担を導入すべきである〉
だが、健康保険の基本機能が大きなリスクをカバーするものという考えには根拠が示されておらず、この理由づけは取りやすいところからお金をとるために、健康保険の存在意義を歪曲した解釈でしかない。
そもそも健康保険は、「大きな病気になったときの保障」と限定して作られたわけではなく、病気になったときには「いつでも、どこでも、だれでも」、少ない自己負担で医療を受けられることを理念としている。
高額療養費によって、医療費が高額化した場合に多くの給付を受けられるのは事実だが、これは医療費が家計に過度な負担を与えないために配慮したもので、制度全体が高額な医療費に保障の比重を置いているわけではない。
国民皆保険ができた理念や歴史的背景を無視して、受診時定額負担が導入された場合には、本当に具合が悪いのに経済的な理由から受診を控える患者を今まで以上に増やすことになるのは確実だ。
症状が悪化してから受診すると、本人の健康を妨げることはもちろん、治療費にお金がかかって反対に医療費が増大してしまう可能性もある。それはとくに、低所得層に重い負担となってのしかかってくる。
「たかが100円」と思うかもしれないが、全体ではスケール感は変わってくる。そして、受診時定額負担はいったん導入されてしまうと、政府側の都合によっていくらでも引き上げ可能な「医療費の財源」となる危険を秘めているのだ。
それはまさに、ボディーブローのようにジワジワと家計を追い詰め、国民皆保険を空洞化させることになるだろう。

社会保険の原則にのっとれば、医療費の財源は所得の再分配機能をもった保険料で徴収するのが筋であるし、そもそもプログラム法で決めたスケジュール通りに消費税を引き上げていれば受診時定額負担の提案などはなかったはずだ。
公的な医療費抑制や患者負担増大は、今に始まったことではなく、過去、ずっと引き継がれてきた政策ではある。だが、第2次安倍政権になってから、その傾向は強まっている。このままこの政権に政治を任せておくと、セーフティネットであるはずの社会保障の機能はどんどん低下していきそうだ。
日本が長い時間をかけて築いてきた「いつでも、どこでも、だれでも」の安心の医療を突き崩す魔の手は、TPPによる外国からの圧力ではなく、日本国内にこそ潜んでいる。

【DAIAMOND ONLINE】




受診時定額負担が医療保険制度根本を崩れさせる要因と成り得ることが上手く解説されています。
by kura0412 | 2015-11-20 15:45 | 政治 | Comments(0)

介護事業に陰りも

ニチイ学館、介護最大手が赤字転落する理由
中堅中小事業者の倒産は過去最高に

介護事業で最大手、ニチイ学館が今期業績予想を大幅に下方修正した。11月10日に発表した2016年3月期の連結決算予想によると、通期の経常利益は、従来の61億円の黒字から、24億円の赤字へと転落する。同社の連結経常赤字は、2001年3月期以来、何と15年ぶりのことである。

中国事業の本格稼働遅れの影響もあるが、最大の要因は、人手不足による、主力である介護事業の不振だ。高齢化によって介護需要の増加が続く中、今期は介護人材の不足によって利用者数の減少が続くという、異例の事態となっていた。今年4月、支店体制の見直しによる人材確保策を打ったが、その効果発現が想定より遅れたため、今回の下方修正につながった。
人手不足は業界全体の課題になっている。が、上場企業の介護事業大手で赤字転落となるのは、ニチイ学館だけ。なぜ同社だけがここまで厳しいのだろうか。

訪問介護が主力ゆえのハンデ
一つの理由は、他社が有料老人ホームなどの施設系やデイサービスなどの通所系を主力としているのに対し、ニチイ学館が訪問介護を中心としている点にある。
施設系や通所系なら、未経験の新人介護職員でも、先輩のサポートを受けながら即戦力になりやすい。だが、利用者宅内で、1人で介護サービスを行うことも多々ある訪問介護では、より熟練した人材が求められる。そのため、人材確保のハードルがより高くなる。

もう一つ、大きな理由がある。それは、自社の介護資格講座の受講生を人材の供給元としていたが、この受講生が昨今、大幅な減少となっていたことだ。
きっかけは2013年4月に実施された、介護資格の制度変更である。従来の介護資格の入り口となるホームヘルパー(2級)が、初任者研修というものに代わった。受講の総時間は変わらないが、学ぶ内容が高度になったほか、試験に受からないと資格取得も不可能になった。これに伴って、介護資格講座のコストもアップし、受講費用が従来の10万円弱から約16万円に値上がり。その途端、受講生の減少が始まった。
業績悪化を受けて、ニチイ学館は2015年8月~10月末、初任者研修講座の受講費用の半額キャンペーンを断行。受講生は増加に転じたという。加えて、今春に行った、支店における資格講座事業と介護事業の統合の効果も手伝い、「第4四半期をメドに、介護事業の収益は底を打つ見込み」(ニチイ学館)だ。

大手の赤字転落は珍しいが、中堅中小介護事業者の倒産は増えている。
東京商工リサーチによると、2015年1~9月の介護事業者の倒産件数は、57件にも上り、2014年を上回って過去最高となった。その最大の要因は、ニチイ学館と同じく、介護人材不足による業績悪化だ。
さらに、2015年4月に行われた3年に1度の介護報酬改定は、9年ぶりにマイナスの改定率となったが、その影響も否定できない。
もともと労働市場における、介護職の地位向上を目指して、資格制度の拡充を行った厚生労働省。だが、皮肉にもそれが介護資格受講者の減少につながった。安倍晋三政権の掲げる、「介護離職ゼロ」目標にも、今や逆風となりつつある。

【東洋経済ONLINE】




訪問介護が収益落ちるなら、訪問診療はどうなのでしょうか。
by kura0412 | 2015-11-17 11:14 | 介護 | Comments(0)

在宅医療推進といっても医科では

在宅医療、医科に厳しい評価の方針
厚労省案、患者状態や居住場所別に点数設定

中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が11月11日に開かれ、在宅医療について議論した。
厚生労働省は、訪問看護や在宅薬剤管理、在宅歯科医療を推進する方向での評価を提案。
一方、医科に関しては、在宅医療で患者の状態や居住場所に応じた評価の導入が掲げられ、在宅時医学総合管理料(在総管)等の算定要件の厳格化を求める声もあり、他の在宅系に比べて厳しい改定になりそうだ。

在宅医療をめぐる論点のうち、問題となったのは「同一建物同一日」の訪問に係る在総管等の算定方法。2014年度改定では、高齢者向け集合住宅への訪問を規制する観点から減額されたが、同一日を避ければ減額の対象外とされた。
厚労省は、改定後に複数日に分けて同一建物に訪問するなど、非効率的なケースが出ているとして、高齢者向け集合住宅と居宅を区別して評価することや、同一建物における診療報酬上の評価を、重症度や診療患者数で細分化して評価することなどを提案した。
これに対し、支払側は、「きめ細かい対応は分かるが、要件設定に合わないものは減額的な設定も必要」(全国健康保険協会理事の吉森俊和氏)、「通院できる人も訪問診療を利用しているのが、そもそもの問題。自立や要支援の方など、通院可能な方は訪問診療の対象から外すべき」(健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏)など、要件の厳格化、減額設定の明確化を主張した。
診療側からは「診療患者数ごとの細分化は違和感。
前回改定は一部不適切な医療機関の排除が目的で一定の効果はあったかもしれないが、訪問診療行う医師のモチベーション下げた。現状を見る必要がある。丁寧な議論が必要」(日本医師会常任理事の松本純一氏)、「細分化すると、(患者の人数を集める仲介業者など)ネットワークを持った在宅専門業者が現れるかもしれない。またモラルハザードが起きないようにすべき」(日本医師会副会長の中川俊男氏)など、慎重な議論を求める声が相次いだ。

診療患者数も評価の指標に
厚労省は、在宅医療の評価体系の論点として、
(1)高齢者向け集合住宅等か居宅等かで差を設定、
(2)診療患者数によって細分化、
(3)集合住宅の診療患者数に応じた評価、
(4)一般のアパート・団地等において複数の患者に訪問診療した場合については一定の配慮――を挙げた。
在総管と特医総管(特定施設入居時等医学総合管理料)の評価方法については、患者の重症度を加味し、現行の「同一建物居住者」「それ以外」の2分類から、「重症患者(月2回以上訪問)」「その他(月2回以上訪問)」「その他(1回訪問)」の3つに分類。その上で、集合住宅内の診療患者数に応じて評価を細分化することを提案した。
診療側からは慎重な議論を求める声のほか、「医師の移動時間と患者の重症度で評価を分ければ、居場所で分けなくてもいいのではないか」(全日本病院協会副会長の猪口雄二氏)といった意見や、支払側からも「集合住宅と一口に言っても簡易宿泊所のようなところもある。またモラルハザードが起きないようにしっかり検討を」(連合総合政策局長の平川則夫男氏)といった意見が出た。

1カ月に1回訪問を評価
患者の重症度に応じた評価に関しては、
(1)人工呼吸器が必要なケースや、悪性腫瘍や肺高血圧症などの長期にわたる医学管理の必要性が高い患者について、疾患・病状に応じた評価を導入、
(2)1カ月に1回の医学管理を評価――の2点を厚労省が提案。
厚労省は背景として、在総管では重症度に関わらず一括で評価しているが、実際は健康診断のみの患者から人工呼吸器が必要な患者まで、患者像は幅広いことや、患者の状態に関わらず1カ月に2回の訪問が要件になっているものの、1カ月に1回の頻度の訪問診療と、1カ月に2~3回の訪問診療では、患者の重症度や満足度に大きな違いは無いとする資料を提示し、医学的に必要な回数を超えて診療が行われている場合もあると指摘した。
松本氏は「患者の訪問診療が必要かどうかは医師の判断に任せるべき」と主張。猪口氏は「長期だけでなく、急に状態が悪くなった時も手がかかるので、短期の評価も必要」と指摘し、診療訪問の回数については、「1カ月に1回が2回になったからと言って、仕事量が半分になるわけではない」と述べ、2回目以降の評価の在り方を慎重に議論するよう求めた。

小児の在宅医療を評価
このほか、厚労省はNICUにおける長期入院児が増加し救急受け入れできない事例が生じていることや、在宅での人工呼吸器管理が必要な子供や小児慢性特定疾患の患者も増加傾向で、長期療養の子供への在宅支援の充実が求められていることを指摘。
機能強化型の在宅療養支援診療所等の実績要件として、在宅看取り実績だけでなく、超重症児等に対する医学管理の実績を加味して評価する方向性を示した。診療側、支払側から特に異論は出なかった。

【m3.com】




在宅診療を推奨しているからといっても、普及が進めばいろいろな制約が増えてくることが、先行する医科の動きから推測されます。
by kura0412 | 2015-11-13 11:50 | 医療政策全般 | Comments(0)

『現執行部の信を問う選挙』

山科会長が立候補表明会見  “許されない会務の停滞” 現執行部の信を問う選挙

日本歯科医師会の山科透会長は11月11日、次期日歯会長予備選挙立候補表明の記者会見をアルカディア市ヶ谷で開催した。
会見には、山科氏の推薦母体である広島県歯科医師会の荒川信介会長と現執行部の柴田勝副会長・浅野正樹専務理事・竹内千恵理事が同席したほか、常務理事・理事や広島県歯関係者も会見を傍聴した。会見では、山科執行部の信を問う姿勢が明確に打ち出された。

会見は小枝日歯常務理事の司会で進行、先ず、荒川会長が11月5日の県歯理事会で山科氏に対する立候補要請を全会一致で議決したこと等を報告するとともに「山科氏は大歯卒業後、広島大学歯学部補綴学講座に勤務し専任講師まで務めるなど学術的にも研鑽を積まれた。その成果は、広島県歯会長に就任して直ぐに糖尿病と歯周病に関する調査『Hiroshima Study』の形で表れている。学術・保険さらに地域保健の3拍子を備えた優秀な先生であり、日歯会長職を務められるのは山科氏以外にいないと思っているし、他団体からも山科氏に期待する声を聞いている」旨を述べた。

所信表明に立った山科氏は「現在の日歯の状況をこのままにしておくわけにはいかない。今回の事件から何が判り、何を教訓として、組織を見直し、次の歯科界を受け継ぐ人たちに何を残すのかを明確にすべものと考える」とした上で、
①外部有識者を主軸と下検証委員会の設置、
②公益法人としての意識改革、
③組織としての透明性を担保した機構改革、以上の3項目に取り組むとした。
また、山科氏は平成28年度改定への対応や基金への対応などの喫緊の課題と公的医療保険の堅持と制度の充実や途切れることのない歯科医療提供体制の整備・充実などの中長期的な課題を示した後、「多くの課題が山積している中、停滞・中断することなく会務を全力で執行できる体制づくりをしていくことが使命と考えている。現執行部は、厚労省等と実質的な協議の佳境に入っている。今の日歯には幾許もの時間的余裕はない。これまでの4ヶ月間、全力で取り組んできた実績がこの難局を乗り切れる真実であると確認している」と語った。

質疑の中で、「総辞職した者は立候補を辞退すべき」という意見について、山科氏は「髙木会長が辞任され代表理事に選任されたが、(会長予備選挙の洗礼を受けていないため)会員から本当の信頼を得られているとは言えない。従って、一旦引いて、会長予備選挙を行い、会員の信頼を得た上で仕事を継続させてもらいたい。これが辞職した者が立候補する主旨である」とし、ケジメをつけ対応に理解を求めた。
柴田日歯副会長は「人心一新や表紙を変えることが目的になってしまっている。人心一新等は手段であって、目的は国民歯科医療を守ること等々にあるはずだ。目的と手段をはき違えている」との考えを示した。
診療報酬改定に関する質疑の中で、山科氏は「疾病構造が変化する中で、改定時における枠組みを変えられないまま今日まで来てしまった。今までは改定率だけを目標にしてきた面があり、中身の仕組みを変えてこなかったが、今後はこの仕組みを変える必要がある。
また、湘南宣言を採択したものの、保険外併用療養費について協議した形跡が殆どない。年月が経れば環境も変わるわけであり、保険外併用療養費制度に積極的に取り組むべきものと考える。医療提供体制への対応も同様であり、こうしたことをトップがしっかり分かっていなかったら、話もできないし方向付けもできない」と強調した。




ケジメの捉え方、保険外併用療養制度への取り組みが争点になるかもしれません。

【デンタルタイムス21 Online】
by kura0412 | 2015-11-13 10:37 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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