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『訪問診療専門の医療機関、来年度から解禁へ』

訪問診療専門の医療機関、来年度から解禁へ

厚生労働省は来年度から、訪問診療だけを専門に行う医療機関の設置を認める方針を固めた。
現行では医療機関を開設する際、外来患者に対応できる体制を持つことが事実上の要件となっているが、高齢化で在宅での医療や介護が必要な患者が増えていることを考慮した。今秋の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で運用方法を検討する。

訪問診療では、医師が患者の自宅や介護施設を定期的に訪れて診察や治療を実施する。厚労省によると、在宅療養をしている患者の85%以上は要介護状態にあり、通院が困難な人が多いため、訪問診療専門の医療機関を認めることにした。
ただ、「高額な診療報酬目当てに特定の施設だけを相手にする医療機関が出てくるのではないか」、「施設を持たない医師を認めるのか」などの懸念も出ており、厚労省は一定の制約要件を定める方針だ。

【YOMIURI ONLINE】



果たしてここに歯科診療所も加わるのか。
いずれにせよ、歯科にも大きな影響があるかもしれません。
by kura0412 | 2015-09-24 16:23 | 医療政策全般 | Comments(0)

『脳卒中後の抗菌薬予防投与に肺炎抑制効果なし』

Lancet誌から
脳卒中後の抗菌薬予防投与に肺炎抑制効果なし
嚥下障害合併者を対象としたランダム化比較試験STROKE-INFで判明

脳卒中の急性期には約1割の患者が肺炎を発症し、発症率は嚥下障害の合併者で高いことが知られている。英King's College LondonのLalit Kalra氏らは、英国の脳卒中ユニットに入院した脳卒中患者のうち、脳卒中後に嚥下障害を発症した1200人を対象に、抗菌薬の予防投与の有用性を調べるランダム化比較試験「STROKE-INF」を実施。抗菌薬を予防投与しても肺炎の発症率は低下しないことを明らかにして、Lancet誌電子版へ2015年9月3日に報告した。

急性脳卒中後に約10%の患者が発症する脳卒中後肺炎は、死亡リスクの上昇と機能的な転帰不良に関係する。脳卒中後に50~55%の患者が嚥下障害を合併するが、肺炎罹患率は嚥下障害があると16~19%と、嚥下障害がない患者(2~8%)より高いことが報告されている。嚥下障害を示す脳卒中後の患者に抗菌薬を予防的に投与すれば、脳卒中後肺炎や死亡、障害を防げる可能性があるが、抗菌薬関連の感染症のリスクが上昇する可能性もある。

著者らは、脳卒中後に嚥下障害が認められた患者に対する抗菌薬の予防的投与が、脳卒中発症から14日以内の肺炎のリスクを低減するかどうかを明らかにするため、オープンラベルのクラスターランダム化試験を実施。2008年4月21日から2014年5月17日まで、UK National Stroke Auditに所属している英国の脳卒中ユニット48施設を、施設単位で2通りのケアにランダムに割り付けた。24施設は、脳卒中ユニットで行う標準的なケアを実施。残りの24施設は、標準的なケアに加え、7日間、抗菌薬を予防投与した。予防投与には、クラリスロマイシン(商品名クラリシッド、クラリス他)と、アモキシシリン(サワシリン、パセトシン他)またはアモキシシリン・クラブラン酸配合剤(オーグメンチン、クラバモックス)を用いた。
主要評価項目は、脳卒中の症状発現から14日以内の肺炎に設定。脳卒中発症の有無は、米CDCの肺炎診断基準に基づく階層アルゴリズムまたは主治医の判断に基づいて判定し、intention-to-treat分析した。割り付け後14日以内に11ユニットが参加の意思を撤回したため、37ユニットの1217人(抗菌薬群618人、対照群602人)がintention-to-treat分析の対象になった。
抗菌薬群の患者の平均年齢は77.7歳で男性が43%、89%が脳梗塞。対照群の平均年齢は78.0歳、男性は43%で、91%が脳梗塞だった。脳卒中発症から7日後までに、抗菌薬群の477人(78%)が、割り付けられた抗菌薬の予防投与を受けた。一方、対照群の144人(24%)も、感染症の発症や原因不明の発熱に対して、何らかの抗菌薬の投与を受けていた。
その結果、CDCの肺炎診断基準に基づく階層アルゴリズムで判定した肺炎の発症率は、抗菌薬群が13%(564人中71人)、対照群が10%(524人中52人)で、抗菌薬の予防投与に肺炎発症の抑制効果は認められないことが判明。調整オッズ比は1.21(95%信頼区間0.71-2.08、P=0.489)、級内相関係数(ICC)は0.06(0.02-0.17)だった。なお、129人(10%)については十分なデータが得られず、アルゴリズムに定義される脳卒中後肺炎の有無は明らかにならなかった。

肺炎の発症の有無を主治医が判定した場合も、結果は変わらなかった。
抗菌薬群で肺炎と診断された患者は615人中101人(16%)、対照群では602人中91人(15%)であり、調整オッズ比は1.01(0.61-1.68、P=0.957)で、ICCは0.08(0.03-0.21)になった。両群の死亡率や、機能的転帰が良好な患者の割合にも差は無かった。
最も多く見られた有害事象は、脳卒中後肺炎とは関係の無い感染症(主に尿路感染症)で、抗菌薬群で有意に少なかった(4% vs. 7%、オッズ比0.55、P=0.02)。クロストリジウム・ディフィシル毒素(CDT)陽性の下痢は、抗菌薬群では2人(1%未満)、対照群では4人(1%未満)に発生した。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の定着は、それぞれ11人(2%)と14人(2%)に認められた。

以上から著者らは、「脳卒中ユニットにおいては、脳卒中後に嚥下障害を示す患者の肺炎予防を目的に、抗菌薬をルーチンで投与することは推奨されない」と結論付けている。

【日経メディカル】




やはりファーストチョイスは口腔ケアということでしょうか。
by kura0412 | 2015-09-18 17:30 | 歯科 | Comments(0)

既に供給増でも需要を生まない状況に

歯医者なぜ長引く 供給過剰、無駄な治療も
「削りしろ」探せ(3)

東京都内の30代の男性会社員は歯科医の言葉に首をかしげた。「次はいつ来院できますか?」。虫歯の治療は終わったはずだが……。歯科医いわく「歯周病の疑いがあります」。結局、治療を続けることを決めた男性は「いったん歯医者にかかると、なかなか終わらない」と苦笑する。
こんな経験をした人は多いだろう。背景の一つと指摘されるのが、歯科医が置かれた環境の厳しさだ。

■「経営のために」
神奈川県で開業する50代の歯科医は「経営のために一人でも多く患者を診なければならない。すぐ治療の必要がない虫歯や歯周病で通院を長引かせるケースはある」と打ち明けた。
歯科医の数は全国で約10万人。厚生労働省によると、人口10万人当たりの歯科医数は1978年の40.7人から12年には80.4人に増えた。医師より開業する割合が高く、定年もない。この結果診療所は6万8701カ所(13年)と、コンビニエンスストア(約5万2千店、15年)を上回る。
一方、フッ素うがいの普及などで子供の虫歯は減少している。12歳の平均虫歯数はこの20年で4分の1になった。需要と供給が反比例するいびつな市場だ。
厚労省は国家試験の合格者を絞るが、15年は前年比1%減にとどまる。愛知学院大学の田中貴信・前歯学部長は「合格率が低い大学の定員削減や統廃合などに乗り出す時期」と危機感を募らす。日本歯科医師会も抑制を求める。ただ歯学部の定員削減は私立大の経営に直結し、「自主的な協力をお願いするしかない」(文部科学省)。

■採用に応募殺到
歯科医に限らない。リハビリテーションを指導する理学療法士も競争激化が懸念される。高齢化を見越して養成する専門学校や大学の設置規制を緩和したところ、00年に年約3千人だった国家試験合格者は13年に1万人を突破した。
現場ではすでに過剰感がにじむ。都内の総合病院は今春、若干名の募集に40人超の応募があった。リハビリに詳しい日下隆一仏教大教授は「このままのペースだと25~30年にも飽和状態になる可能性がある」。さほど日常生活に支障がない、老化に伴う骨の変形なのに長期間リハビリするような弊害も指摘される。

医療界では「供給が需要を生む」との言葉がある。
サービスの提供者が診療内容を決め、患者側はそれを受け入れざるを得ない。豊富な人材供給は手厚い医療体制に必要な半面、不要な治療を生み出したり、無駄な支出につながったりする土壌にもなる。
埋もれたニーズを発掘する動きもある。茨城県結城市の歯科医、三木次郎さん(60)は寝たきりの在宅療養患者の口腔(こうくう)ケアに取り組む。ケアで健康状態が改善し、誤えん性肺炎などのリスクが低下する患者は多く、「結果として医療費全体を下げる効果も期待できる」。
必要な人が、必要な治療を適切に受けられる。そのためにはどんな体制が求められるのか。医療界だけの論理ではなく、社会全体で探る時期にきている。

【日経新聞】



冒頭のようなケーズの場合、多くの患者さんは転院されます。
歯科の場合は既にこの供給増でも需要を生まない状況になっています。だから窮状と叫んでいるのです。
by kura0412 | 2015-09-18 15:08 | 歯科医療政策 | Comments(0)

5年保存後のカルテの処分

診療記録丸見え…カルテ軽トラ1台分廃棄される

個人情報の書かれたカルテ(診療録)が、静岡市清水区の民間の古紙回収所に廃棄されていたことが15日、静岡市保健所への取材で分かった。
保健所は「保存期間が終了したカルテは、個人情報保護法の観点などから、溶解などで処分するのが適当」として、今後の対応を検討している。

保健所によると、14日午後4時頃、カルテが捨てられているという情報が寄せられ、職員らが現場を確認。カルテを回収した。
カルテはひもで結んだものや、段ボールに入れられたものがあった。廃業した病院のカルテとみられ、患者の名前や診療日時、診療の記録が誰でも見える状態だった。軽トラック1台分弱の量があったという。
カルテは医師法で、診療の完了時から5年間、医療機関で保存することが定められている。

【読売新聞】



現状でも個人情報保護の観点で違反なのかもしれませんがよく分かりません。大きな病院となるとシュレッダーレベルでは済まず経費が嵩むかもしれません。
by kura0412 | 2015-09-16 11:39 | 医療政策全般 | Comments(0)

「かかりつけ薬局」は制度として

かかりつけ薬局、24時間対応など条件 厚労省が制度案

厚生労働省は14日、患者が薬や健康についていつでも相談できる「かかりつけ薬局」の制度案をまとめた。
24時間体制で患者に対応する、仕切りで区切った相談窓口がある、といった条件をつけた。条件を満たした薬局は都道府県に対し自らがかかりつけ薬局であることを報告し、都道府県はホームページで公表して利用を促す。

厚労省が同省の検討会に報告書案を示し、大筋了承された。厚労省は、かかりつけ薬局に市販薬をある程度そろえてもらうことも検討する。生活習慣病の予防教室や薬に関する相談会開催なども求める。新制度は2016年度にも始まる。
厚労省がかかりつけ薬局の普及に取り組むのは、患者の安全性に配慮しながら医療費を抑えるのが狙いだ。
複数の病院に通う患者は、それぞれの病院のそばにある別々の薬局で薬を受け取ることが多い。1つのかかりつけ薬局が患者の全ての薬を把握できるようになれば、患者は危険な薬の飲み合わせを避けられる。
同じ薬を重複して投薬されることもなくなり、医療費の負担が減る効果も期待できる。
厚労省は16年度以降の医療サービスの公定価格(診療報酬)の改定で、かかりつけ薬局が受け取る報酬を優遇する方針だ。具体的には診療報酬を決めるにあたり、かかりつけ薬局の認定基準は別に議論する見通しだ。

【日経新聞】



<薬局>健康づくり支援 厚労省、認定制度導入へ

厚生労働省が検討しているかかりつけ薬局の機能強化策の原案が判明した。医療機関に処方される薬剤だけでなく、市販薬や健康食品の上手な活用法など個人の健康管理のための助言をしたり、地域住民の健康相談に応じたりする薬局を「健康づくり支援薬局」(仮称)と認定。薬局名を公表して地域の健康づくりの拠点としたい考えだ。健康促進による医療費抑制につなげる狙いがある。
健康づくりのための薬局の機能強化は、政府の成長戦略に、自発的に盛り込まれ、厚労省の検討会で議論してきた。具体案を盛り込んだ最終報告が14日の検討会に示され、2016年春までの導入を目指す。

厚労省は、複数の病院で処方された薬を一元的に管理し、服薬指導や相談などに24時間対応する「かかりつけ薬局」の大幅拡大を目指している。かかりつけ薬局のうち、地域の健康づくりを積極的に支援する薬局を健康づくり支援薬局とする。
具体的には、医薬品や健康食品の安全で適正な使用の助言▽地域住民の健康相談や、かかりつけ医らの紹介▽地域の他の薬局への健康づくりに関する情報の発信や取り組みの支援--を要件とする。

【毎日新聞】




たんに診療報酬の一環としてではなく、制度として「かかりつけ薬局」を考えています。
「健康ステーション」として捉えれば、歯科診療所の方が有用であると思うのですが。
by kura0412 | 2015-09-16 10:28 | 医療政策全般 | Comments(0)

ワタミが介護事業譲渡

ワタミの介護事業に同業が手を挙げないワケ

居酒屋チェーン「和民」などを経営するワタミは9月10日、介護事業「ワタミの介護」の譲渡を協議していると発表した。
ワタミは、2015年3月期で連結売上高は1553億円、連結最終損益が126億円と、2期連続の赤字を計上した(前期は49億円の赤字)。こうした厳しい財務状況から、2015年3月期の決算短信で初めて、「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております」と記載された。
2016年3月期の第1四半期も、低迷は続いている。連結売上高は前年同期に比べて12.5%減り、経常損益は12億4500万円の赤字となった。自己資本比率は6.2%まで落ち込んでいる。
創業者である渡邉美樹氏(現自由民主党参議員)が度々メディアに取り上げられた効果もあり、ワタミは一時、外食産業や介護事業で成功企業と目されていた。しかし、今のワタミには継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に注記が付く状態が続いている。

稼ぎの柱だった介護事業を売却へ
業績不振の影響は、金融機関との契約にも及んだ。これまでワタミは金融機関と財務制限条項付きの契約を結んでいたが、業績不振でこの条項に抵触。そのため、今年7月には「連結ベースの純資産額を2015年3月期末に対して100%以上維持する」との主旨に変更した。純資産を維持するには、黒字化が必須であり、そこで浮上したのが介護事業の売却とみられる。

ワタミの介護は、介護付き有料老人ホームの「レストヴィラ」など112施設(6月末現在)を展開。2015年3月期で売上高354億400万円、営業利益は23億9900万円の黒字だった。
今でこそ、「ブラック企業」との批判のあおりを受けて入居率は70%台に落ち込んでいるが、かつては入居率は9割台を維持していた。2013年3月期には54億3800万円の利益を出し、ワタミグループの中で稼ぎ頭だったのだ。
今年6月の株主総会後のインタビューで清水邦晃社長は、「金融機関などから売却の話を出されるが、その予定はない」と語っていた。だが水面下では、売却に向け模索していたようだ。ある介護大手の幹部は「今年2月頃に買収を打診されたが、断った」と明かす。
今回、ワタミの介護買収に手を挙げているのが、損保ジャパン日本興亜など「異業種参入組」で、大手介護からは関心を示す声すら聞こえてこない。なぜなのか。

有料老人ホーム業界は競争が激化
その一つが、同業の多くは有料老人ホーム事業の将来性を不安視しているからだろう。有料老人ホームは既に参入企業が多くいて、都市部を中心に料金やサービス内容で競争が激しくなっている。また、有料老人ホームよりも相対的に低額で、バリアフリーの建物に主に賃貸借契約で住み、介護サービスを外部の業者からも受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」の普及も、競争環境を一段と厳しくしている。
利用者が入居する際の年齢の高齢化も、懸念材料だ。これまでの有料老人ホームは、高額な入居一時金を支払った上で利用料を月々支払うタイプが主流だった。だが、高齢になってから入居する人が増え、入居一時金なしで月額利用料を支払うタイプを選ぶ人が増える傾向がある。人員を配置し、設備投資も必要な有料老人ホーム事業にとって、入居一時金は大きな収益の柱だったが、そのビジネスモデルは崩れつつあるのだ。
さらに、社会保障費の抑制による介護報酬の引き下げは今後も続くと見られる。一部の大手では、スタッフの配置を手厚くしたり、施設での看取りを強化したりして増収を目指す動きもみられるが、資本力が不可欠となる。
こうした経営環境の厳しさから、「大手介護の中には、有料老人ホーム事業の売却に動いているところもある」(介護大手幹部)ほどだ。

買収による現場の士気低下も課題
もう一つ、同業が手を出さない理由として、前述の介護大手幹部が挙げるのが、「現場のオペレーションや経営方針などの相違」だ。ワタミの介護は、渡邉美樹氏の強いリーダーシップの下で拡大してきた。こうした動きは同業他社から見れば「扱いづらい」(大手幹部)というわけだ。
いちよし経済研究所企業調査部第二企業調査室の永田昌寿・主任研究員は、「こうした問題は介護業界ならではと言えるかもしれない。利用者への説明と従業員のモチベーションの維持が重要だ」と話す。
実際、ワタミもかつて買収をめぐり“苦い思い”をしている。2005年に「アールの介護」を買収した際に、アールの介護のスタッフの多くが、社風の違いを理由にワタミを去ったという話もあるからだ。

ワタミは、今回の売却先に対して、(1)サービスの質の維持、(2)従業員の雇用の確保、(3)食事はワタミのサービスを利用する──といった条件に加え、経営理念の継続を求めている。
「売却先に介護事業をこれから手掛けていくような企業を選べば、介護の現場スタッフにとっては、主導権を取りやすいだろう」と永田主任研究員は話す。
ワタミの介護は、今期から落ち込んだ入居率を高める施策を打ち始めた。
広告に頼る入居者の獲得から、各施設の入居相談員を増員し、医療機関からの紹介による入居を強化している。また、看護師が常駐する「ナーシングホーム」やサービス付き高齢者向け住宅、低価格帯のホームを展開するなど、様々な取り組みを始めてはいる。

ただ、ワタミのこうした動きを「遅すぎる」と見る業界関係者は少なくない。
2004年の介護事業参入から10年余り。おいしい食事と懇切丁寧なケアを売りに介護業界で一躍名をはせたワタミの介護だが、外食同様、時代のトレンドに取り残された感も否めない。新たな買い手の下で、培ってきたサービスを継続して提供できるのか、まさに瀬戸際に立たされている。
介護事業の売却額は不明だが、200億円程度と見積もられている。
その収益があれば、2016年3月期に3期ぶりの黒字化達成の可能性は高まる。だが、主力事業の外食では、依然として売上高や客数は前年割れが続いている(7月のみ既存店の客数は前年同月比を上回った)。介護事業が思惑通りに売却できたとしても、予断を許さない状況に変わりはない。

【日経ビジネス・河野紀子】




この記事は介護はまさにビジネスという一面を見ることができます。
それが正しいとか誤りとかいう議論は一旦おいて置いておいて、歯科もそのビジネスの中にいることを再確認する必要があるようです。ちなもにワタミの介護の売りは配食サービスです。
by kura0412 | 2015-09-15 16:07 | 介護 | Comments(0)

『現代世代だけが支える社会保証制度は、見直すべきだ』

「現代世代だけが支える社会保証制度は、見直すべきだ」
森田朗・社会保障・人口問題研究所所長に聞く

日経ビジネス本誌9月14日号特集「あなたに迫る 老後ミゼラブル」では、高齢者が急増し、社会全体の対応が追い付かない中、普通の社会人が転落しかねない日本社会の実態に迫った。未曾有の高齢化が進む中で今後、現役世代はどう生き抜いていけばいいのか。森田朗・国立社会保障・人口問題研究所長に話を聞いた。

森田さんはここのところ、かなり悲観的な予測に基づいた提言をされています。

森田:国立社会保障・人口問題研究所は、客観的な事実から将来をどう読み取れるかについて分析しています。一般的な成長率の予測などに関して言うと、非常に楽観的な予測で語られることが多いですね。暗い将来は考えたくないというお気持ちでそうなるのだと思うんです。
ですので将来をあくまで楽観的に見るんですが、これが、必ずしも現実に即した議論をしていないと思うわけです。
私が言い始めて最近はほかの人も使っていますが、政策が「エビデンスベースド(evidence-based、客観的根拠に基づく)」ではなくて「願望投影型」になっているということなのです。

願望投影型の政策がもたらす国難

願望投影型?

森田:こうありたいという形から逆算していくやり方です。例えば、財政赤字を減らしてプライマリーバランスを黒字化するのを2020年に実現しようとすれば、経済成長率を逆算して3%を見込む。これが典型的なケースです。
今の地方創生の政策も、かくありたいという「思い」が政策に投影されている。衰退した地方の自治体がかつてのように繁栄したいと願い、国から補助金を出してもらって人を呼び寄せ、人口を増やそうと考えています。しかし人口の原理からいうと、大量に海外から移民でもない限り、人口は長期間増えません。
例えば今年20歳の人は125万人ぐらいです。どこかの自治体がこの20歳の人口を増やしたら、別のどこかでその分減るだけの話で、ゼロサムゲームなのです。
東京にはたくさん若者がいるから引き戻そうという議論も出ていますが、そうしたら東京の若い人たちも、これからどんどん減っていくことになります。

確かに最近、首都圏の高齢化が注目され始めています。例えば首都圏の特別養護老人ホームなどの施設整備が、高齢者人口の増えていく規模から考えるといずれ追いつかなくなる。一方で、高齢化はそのペースを超えるスピードで進んでいくと。

森田:私はそのことを数年前から言っているのですが、生まれた時の同世代の数というのは増えることはなく、だんだん減っていきます。当たり前の話ですが。
昔は途中で次第に亡くなり、人口構造が文字通りピラミッド型になったのですが、今は高齢になるまであまり亡くならないから、毎年生まれる子供が少なくなればなるほど、人口ピラミッドの底辺、つまり若年層がすぼんだツボ型になってきます。
2060年に一番多い世代は86歳です。早くたくさん亡くなるか、亡くならないかで推計には中位と低位と高位とあるのですけれど、中位推計で86歳の女性が71万人もいる一方、同じ中位推計で新しく生まれてくる女の子が23万人しかいないという状況です。

45年後ですね。45年後で86歳というと、第2次ベビーブーム世代にあたります。

森田:この間に1人の女性が産む子供の数が増えたとしても、母集団の実数がここまで少なくなってくると、人口は一体どこまで減ってしまうのか、という話です。産む世代の女性の数自体が半分になれば、短期的に増やすのはまず無理でしょう。
出生率がずっと下がってから安定し、その後はうまくすれば上がってくると言うけれど、それは30年~40年先の話になりかねない。なかなか政策的にコントロールできないのが実情です。

確かに現代は以前より結婚しないし、子供を産みません。一方で寿命は延びています。少子化はどんどん進む一方で、人間は、一体何歳まで生きられるようになるんですか。

森田:100歳以上が、2060年ごろになると60万人以上になる感じです。だから鳥取県の人口程度の人数、100歳以上がいることになります。
一方で全人口ですが、現在、1年間の人口減少が30万人程度で、今後急速に増えます。現在でも、2年程度で鳥取県1つ分ぐらいの人口が減っていく計算になります。鳥取県の人口が60万人を切っていますからね。

するとこれから、人口が少なかった頃の日本へと戻っていくのでしょうか。過去の人口はどのぐらいでしたか。

森田:明治時代で3000万人台でした。今の3分の1以下だったんです。人口は、長期的なトレンドとして、いずれにせよ右肩下がりになると考えられます。しかし我々日本人が社会の在り方を考える時に、それにふさわしいプログラムを持ってない。
右肩上がりがベースラインだという発想で、さっき言った願望投影ではないけれど、人口は増えるはず、増やさねばいかんという気持ちが先に立って色々とお金を使っているのが現状ということです。
市町村合併も、農村部の人口が減ってくるから合併しようという話でしたが、国全体が増える見込みはないので、都市と農村で限られた人口を、どう配分するかという問題になっている。今のような首都圏集中状態では、小さな自治体では、基本的な行政サービスが成り立たなくなるところも出てきています。これは、お金がないというのがまず先ですが。

東京に集まる「独身の女性」

若い人が地方に移住したら、出生率も多少は上がっていくのですか。

森田:それはそういう……願望はあるでしょうね(笑)。例えば、2014年の1人の女性が生涯に産む子供の平均数を表す合計特殊出生率(TFR)ですが、東京は1.15で非常に低い。一方で沖縄は1975年以来全国1位でずっと高い(1.86)し、ほかの地方にも宮崎県、島根県など高いところはある。
しかしそもそも、東京は結婚をしていない人が多い。その点を調整して分析してみると、実態は東京も地方もそれほど変わらないのです。
もっと言いますと、独身の女性がたくさん東京に集まってきているのでしょう。それならば、東京の環境を改善して、東京に集まってきた若い女性が東京で子供を産むようにした方が、子供の数は全体として増えるのかもしれません。しかしそうすると、今度は地方が大変になってしまいますね。
東京都の場合、1950年代から1960年ぐらいまでは一斉に人が流入したんですけれど、それ以後1990年代の半ばまでは転出者の方が多いのです。ただ、生まれてくる子供が多かったからほぼプラスマイナスがフラットでした。
その後また入ってくる人の方が多くなって、人口が増えていますけれど、これも間もなくピークになって下がります。東京から出ていく場合は、どこへ出ていったのか?

東京の郊外でしょうか。

森田:そうです。ここは人口がもう増えっ放しだったのです。ということは、東京に入りきれなくなって郊外へ移って来た「団塊の世代」の人たちが、これから高齢化してくるのです。
高齢化「率」でいうと実感がわかないのですが、「数」でいうと東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏だけでも全部足し合わせるとすごい人数になる。その事態をどうしますかという話です。
東京都はお金があるから、伊豆方面などの入所者が減ってきた施設に行ってもらう、あるいは自分たちで施設を建てたり、地元の施設を援助したり買い取ったりする形で場所を確保できるのかもしれませんが、首都圏全体で必要な施設やサービスを確保するのは難しい。
そこでもう1つの発想は、米国発のCCRC(Continuing Care Retirement Community)というコミュニティです。CCRCは現在、石川県金沢市、栃木県那須塩原市などに既にあります。
高齢者の人たちが地方に住んで、そこでコミュニティを作る試みです。寝たきりになって施設に行くのではなく、50代の後半~60代ぐらいの早めにリタイアした人たちが元気な時に移って、元気なうちに新しい生活を始める。病院などケア施設も整っているので、介護が必要になればそこで介護を受ける。
介護が必要になってから地方に行くのでは、「うば捨て山」になってしまう。そうではなく、介護が必要になる前に、余力がある人たちが移るのです。
米国の場合には地方で、経営が苦しくなった大学などとタイアップして、キャンパスの中に施設をつくると同時に大学の講義を聴けるようにしたり、介護のサービスを付けたりする場所もある。日本もそういう施設を増やしましょうという話が進められています。

元気なうちの地方移住は、職業探しがネック

ということは、早めに、40代~50代でそうしたコミュニティへの移住というのが本当はベストですか。

森田:それも1つの選択肢です。ただし生活をどうするか。CCRCは、生活費のある部分は年金が手当てできる前提で、今までの蓄えと、地方のささやかな収入源があればほどほどの生活ができるという設定です。
しかし40代では年金はもらえませんので、移住先でしっかりとした稼げる仕事がないと当然ながら成り立ちません。

う~ん、これからも社会保障を支え続ける現役世代にはあまり救いがありませんね…。

森田:高齢社会の最大の要因は、医療の進歩によって、高齢で病気になっても長生きできるようになったことです。ただし完全には治らない。治すのではなく、病気をコントロールしていく。

医療費、介護費、年金が連動して増幅
ということはずっと医療費が掛かり続けるわけです。心身に支障が出てきたら介護が必要になりますし、生存中は年金を受け取ることができる。これらが高齢化によって連動して増加することが社会保障の負担増として、近年、問題にされているのです。
不必要な延命治療の是非や健康寿命を延ばそうという考え方なども、そうしたところから出てきている議論だと思いますが、最善の医療技術を尽くせば死なないのなら、その限りで長生きをすべきだというのが、これまでのわが国の考え方です。

では、どうすればよいのでしょう。

森田:とても難しい問題ですが、現在の年金や医療制度は非常に複雑な仕組みです。私は、この制度を改革して、できるだけムダを減らし効率化する。その努力にまず取り組むべきだと思います。
それとともに、人生とはどういうものか、とくにその終末の在り方について、近年の医療技術の急速な進歩なども踏まえたうえで、国民全体で深く議論し、価値観、考え方自体を見直す必要があるのではないでしょうか。
さらに、それでも発生する大きな負担について、その担い方も変えるべきと思っています。今は、若い世代の人たちの肩に、巨額の負担を負わせているのですから。

30年後に生まれる子供たちにツケ

実際、金融資産を最も保有しているのは高齢世代で、巨額の預貯金を残したまま亡くなるケースも多いと聞きます。

森田:中には、生命保険も掛けていたのを忘れたような人がそのまま亡くなっていくわけです。一方でそういう人たちの社会保障を、若い世代に負担させている。
既に18歳以上の人たちは選挙権がありますが、今は0歳どころか、まだ生まれていないマイナス20歳、マイナス30歳の人にまでつけを回している。これはいつまで持つんですか、という話になってくる。
そういう文脈で言えば、高齢者福祉に関してはもう、できる限り世代内での再配分で解決すべきでしょう。若い人には、可能な限り借金を回さない。そういう仕組みでいかないと、持続可能にならない。
例えば、東京・港区あたりに200坪ぐらいの土地を持っていて、ほかに収入のない一人暮らしの高齢者の人が年金をもらっているとする。年金で収入が月数万円だったら、これは低所得者層に位置付けられるわけですが、こういう低所得者層ならば不動産を売りなさいという仕組みにするとか。
普通の人が貧しくなったら、不動産を売ることを考えるでしょう。売ったらいっぺんにリッチになりますが、逆にそうしない限りはずっと、いろいろな負担が軽くなってしまう。

マイナンバーの活用が解決策の1つ

そもそも資産状況を把握できていないからそういうことが起こっているのですね。

森田:そういうことです。マイナンバーが導入されたとしても、収入、フローの把握はできますけれど、資産を捕捉しようと思ったら、民間の金融機関、銀行の口座に番号を入れて、名寄せをして、きちっと資産を掌握しなければいけません。
格差を研究しているフランス人経済学者のトマ・ピケティではありませんが、日本では高齢の「持てる者」に資産課税をすることも考えなければならないかもしれません。
課税の原則からは資産課税はあまりよくないと、昔の経済学は教えていたようです。しかし、現状では負担できる人に負担してもらうことを考えるべきでしょう。

すると、資産課税などを通じて同世代内で再配分という結論が、一番理にかなっていると森田さんはお考えなんですね。

森田:そうです。世代内再配分が必要なのであって、世代間の再配分をこれ以上増やすのはやめようということです。そうでないと、若い人がかわいそうどころか、もう社会が持続できなくなるでしょうから。
そう遠からずこの世からいなくなってしまう人はいいのかもしれませんけれど、まだこれから先30年、40年、この日本で生き社会を支えなければならない人は本当に大変です。30年後、40年後にそれがさらに悲惨なことになりかねない。

そうなる前に、まずはマイナンバーをきちんと導入すべきと。

森田:マイナンバーを導入しても、すぐに問題が解決するわけではありません。しかし、水面下の見えない部分をしっかり可視化して、客観的に把握することが大事です。それができて初めて、公正で効率的でしかも透明度の高い社会保障が可能になると思います。

【日経ビジネス】
by kura0412 | 2015-09-14 17:48 | 医療政策全般 | Comments(0)

歯学部の定員削減は

医学部の定員削減、政府検討 医療費膨張防ぐ

政府は2020年度から医学部の定員を減らす検討に入った。将来の医師数が都市部などで過剰になると見込み、03年度以来17年ぶりに医学部生の削減にかじを切る。全体の定員は減らす一方で、地方の医療機関に就職する学生の枠を広げて医師不足に対応する。人口減少と病院ベッド数の削減を見据えて医師の数も抑える。医療費の膨張を防ぐ狙いだ。

厚生労働省が来月をめどに検討会を立ち上げ、中長期の医師の需要と供給の推計作りに着手する。16年をめどに全国と都道府県別の数字をまとめる。文部科学省が推計値をもとに20年度以降の定員数の方針を定める。
政府は国公立大と私大の医学部の入学定員を通じて医師数を管理する。
高度成長期には福祉の充実を目的に増員を重ねた。1973年に全都道府県に医学部を置く「1県1医大構想」を閣議決定し医学部の数も急増した。80年代には医師余りと医療費膨張への懸念が強まり、一転して入学者数の抑制方針を閣議決定した。定員は84年度の8280人をピークに03年度まで減らし続けた。
しかし妊婦のたらい回しが社会問題となり、「医療崩壊」との批判を受けて08年度に再び増員に転換。15年度は9134人と最高になった。政府は19年度まで増員を続ける方針を決めている。
医師の総数は12年時点で30.3万人と、10年前に比べ4.1万人増えた。医師として専門を持つには医学部6年と研修医2年の計8年かかる。27年度までは定員が増えた医学部生が現場に出るため、医師数の増加ペースに拍車がかかりそうだ。

一方で、医療サービスを多く受ける65歳以上の人口は42年をピークに急速に減る。政府は25年までに全国の病院ベッドを最大20万床減らして安易な入院を抑える方針で、全体としては医師の過剰感が強まる見通しだ。
ただ地方では医師不足に悩む医療機関が多い。人口10万人あたりの医師の数は東京都では314人いる一方で、茨城県(176人)、新潟県(195人)、青森県(196人)などは少ない。
そのため医学部定員の総数を削減しながらも、「地域枠」を広げることを検討する。
地域枠は卒業後にその地域の医療機関に就職したい学生を優遇する仕組みで、15年度は1500人強とみられる。例えば地域で9年ほど医師として働けば、都道府県から受け取った計1200万円ほどの奨学金の返済が免除される。
地域枠を導入した一部の大学を文科省が調べたところ、卒業生の89%が地元の医療機関で働いていた。一般枠の54%より高く、地方の医師不足の解消に一定の効果が見込める。地方の医師不足の解消に向けては17年度以降に地方の医療機関への補助金の拡大や、医療サービスの公定価格(診療報酬)の引き上げも検討する。

【日経新聞】



歯学部の定員削減も同時に実施するのでしょうか。
by kura0412 | 2015-09-14 11:28 | 医療政策全般 | Comments(0)

本当に医療は岩盤の象徴なのか

ついに40兆円突破、医療費の膨張止まらず
最大の「岩盤」打破に安倍首相の覚悟が問われる

ついに年間の医療費の総額が40兆円を突破した。厚生労働省が9月3日に発表した2014年度の概算医療費は、前の年度に比べて1.8%増加、40.0兆円に達し、過去最高額となった。最高額の更新は12年連続。概算額は正確には39兆9556億円だが、これには労災や自由診療などの医療費は含まれていないため、確定値では年間の医療費が初めて40兆円を突破するのが確実になった。

相変わらず目立つのが高齢者の医療費増加。医療費全体の36%を占める75歳以上の医療費は2.3%増えた。前の年度の3.7%増に比べると伸び率は鈍化しているが、75歳未満の伸び率(1.5%増)と比べると依然として高い伸びが続いている。
人口の高齢化に伴って高齢者の医療費が増えるのは仕方ない面もあるが、その金額を知ると驚く。75歳以上の人が前年度に使った医療費は1人当たり平均で93万1000円に達するのだ。75歳未満は21万1000円だから何と4倍以上である。65歳以下の現役世代はさらに少ない医療費しか使っていない。終末医療を含め、高齢者への医療のあり方が問われて久しいが、ひとり当たりで見ても増加が止まらないのだ。
すでに36%と医療費全体の3分の1以上を占めるようになった75歳以上の医療費がこのまま増え続ければ、健康保険や国の財政を大きく揺るがす。高齢者の医療費は自己負担率が低く、もろに保険収支を直撃するからだ。
なぜ、医療費の伸びを止めることができないのか。

調剤医療費の伸びが異常に高騰
「調剤医療費の伸びが異常に高い」--。9月9日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会ではそんな声が挙がったという。確かに調剤費の伸びは2.3%増と、診療費の1.6%増を上回っている。
実は、医師会からも調剤費を「問題視」する声が強まっている。
遂に医師の間からも高齢者への無駄な投薬を反省する声が出始めたのかと思ったら、どうも話が違う。医師会が問題にしているのは院外薬局の調剤技術料が増加している点なのだ。院内で処方する方が技術料を節約できるという主張なのだ。
周知の通り、かつて薬は院内の薬局で処方されるのが普通だったが、病院がそれを収益源とすることで、医師が患者を薬漬けにしてしまうという批判が高まり、「医薬分業」の徹底が図られた。患者が処方箋を持って病院から独立した院外の薬局に行って薬をもらうようになったのである。
もちろん、病院前に関係の深い「門前薬局」を置いて形だけ分業にしているところも少なくないという批判もあるが、一方で大手の調剤薬局チェーンなどが勢力を拡大したのも事実。医師会の主張はこうした調剤薬局が儲けすぎているというものなのだ。
調剤薬局チェーンの杜撰な投薬管理などが表面化するなど、こうした主張にも一理あるとの声がある。一方で、「院内処方に戻して、利権を再び手にしたいだけ」という見方もある。
医療費全体の18%を占める調剤費の伸びを抑えることは重要だ。
薬剤師会などは、調剤費が増えているのは処方箋の枚数が伸びているうえ、処方箋1枚当たりの医療費が増えていることが原因と分析している。つまり、そもそも医師側が出す処方に問題があるとしているわけだ。薬剤師会は後発医薬品(ジェネリック)へのシフトを進めることで調剤費の削減に努力しているというスタンスだ。
つまり、医師も薬剤師も、相手に問題があると責任をなすりつけるだけで、医療費を本気で削減しようという姿勢は見られない。このままでは医療費削減は掛け声だけで実現しないのは明らかだ。結局、当事者任せでは医療費は減らないのだ。
医療費削減は安倍晋三首相にとっても大きなテーマだ。
安倍首相自身、厚生労働族に属し、医療問題に詳しい。だからと言って医師会などの利権を守るわけではなく、むしろ斬り込もうとしている。「医療」を、「労働」「農業」と並ぶ「岩盤規制」と位置付けているのがそれを象徴している。
懸案だった労働者派遣法改正案が9月9日の参議院本会議で修正のうえ可決された。11日にも衆議院で再可決されて成立する。8月28日には全国農業協同組合中央会(JA全中)が全国各地の農協に対して持っていた指導権限を縮小する改正農業協同組合法が成立している。岩盤規制のうち、「労働」「農業」の2つについては、まがりなりにも改革の手を打ったことになる。残るはいよいよ医療だ。

安倍政権の次の課題は医療
集団的自衛権を容認する安全保障関連法案も9月中旬には参議院で採決され、成立する見込みで、再び経済最優先に舵を戻すことになる。これまで安倍首相が繰り返し語ってきた「岩盤に穴を空ける」ことを実現し、アベノミクスが順調に進展していることを世の中に示すには、「医療が次の課題」(首相側近)であることは間違いない。
では、どうやって医療分野に斬り込むのか。
実は今年6月、「保健医療2035」というビジョンがまとまっている。厚生労働相の私的な懇談会という位置づけで年初に設置された「保健医療2035策定懇談会」が公表したもので、2035年のあるべき日本の医療の姿を示すことが目的とされた。
懇談会のメンバーには2035年に現役でいる若手世代が集められた。座長は渋谷健司・東京大学大学院教授が務めた。ただし、アドバイザーとして横倉義武・日本医師会会長も入っている。
当初は、あくまで2035年の話と思われていたが、塩崎恭久厚労相が驚くべき指示を出す。省内に組織を作りレポートが求めた2035年の姿を実現するための2035年までの工程表を作れ、というものだった。8月末に東京大学で開いたシンポジウムでも塩崎厚労相は「何が何でも実現する」と意気込みを語ったという。
関係者の間では塩崎厚労相の独断専行と見る向きが多かった。だが、実体はそうではなさそうだ。というのも、安保関連法案のヤマ場にもかかわらず、安倍首相自身が渋谷座長や塩崎厚労相からレポートの改革案の報告を30分も時間を割いて聞いているのだ。
「2035」に沿った改革案が、今後、アベノミクスの「弾」として打ち出されて来る可能性が高いのだ。
ではどんな改革案があるのか。
例えば、レポートにはこんな一文がある。
「先進的又は高額な医療が良い、あるいは検査や薬剤処方も量を投入すればするほど良いとするのではなく、国民の保険料や税金一円あたりの効果・価値を高め、2035 年までに、『より良い医療をより安く』という価値観へ転換する」。そのうえで、「医療提供者の技術、医療用品の効能などの医療技術評価を導入し、診療報酬点数に反映する」としている。
つまり、おカネをどんどん使う医療から、「費用対効果」を考える医療への転換を打ち出しているのである。根底に増え続ける医療費を圧縮させるという狙いがあることは言うまでもない。
データによって過少あるいは過剰な医療サービスを見極めたうえで、改善できた領域にはインセンティブを設定するとも書かれている。
実は、使われている医療費は地域によってばらつきがある。そこにメスを入れることから医療費の削減に結び付ける、そんな動きが一気に強まりそうだ。

医師会に負い目?
昨年度の概算医療費のデータでも、都道府県別医療費の増減に大きなばらつきがある。全国では1.8%の増加だが、千葉は3.1%増で、埼玉、滋賀、兵庫は2.5%以上増えている。調剤だけをみると、福井が8.1%増、富山が6.0%増と突出している。
もちろん、人口の増減や高齢化の進展度合いなど地域差は大きいが、それぞれの地域ごとに医療費抑制に取り組んだ場合にインセンティブを与えることで、全体の医療費を圧縮することが可能になると見ているのだ。
いくら安倍首相が、医療への斬り込みに意欲を示しても、来年7月の参議院議員選挙を控えて、医師会を敵に回すことは難しいのではないか、という見方もある。だが、安倍首相に近い議員によると、それは逆だという。
医師会に厳しい注文を付ければ、少しでも改革を緩めて欲しい医師会はむしろ選挙に協力的になるというのである。「そもそも一度、民主党に寝返った医師会には負い目があって本気で安倍政権に盾を突くことはできない」という見方も霞が関にはある。
安倍首相は「医療」という最強の岩盤に穴を空けることができるのかどうか。今後の医療費の増減にも直結するだけに目が離せない。

【日経ビジネス・磯山友幸の政策ウラ読み】




果たして医療が本当に岩盤規制の象徴なのでしょうか。
by kura0412 | 2015-09-11 08:35 | 政治 | Comments(0)

「食事」への注目が集まり

日本人の長寿を支える「健康な食事」の普及について
―食を通じた社会環境の整備に向けて通知を発出―

日本人の長寿を支える「健康な食事」について、国民や社会の理解を深め、取り組みやすい環境の整備が重要であることから、厚生労働省では平成25年6月から「健康な食事」のあり方に関する検討を重ね、平成26年10月に検討会報告書としてとりまとめました。
この検討会報告書を踏まえ、今般、「『健康な食事』の普及について」及び「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安の普及について」の通知を自治体及び関係団体宛てに発出しました。
この通知による取組は、国民健康づくり運動である「健康日本21(第二次)」に基本的な方向として掲げる健康寿命の延伸に向けて、個人の食生活の改善と社会環境の整備を推進することを目的としたものであり、今後も効果的な取組が推進されるよう、普及に努めてまいります。

1.「健康な食事」の普及について
「健康な食事」が様々な要因から構成されていることを踏まえ、「健康な食事」に関する考え方を整理したリーフレットを作成し、あわせて、健康な心身の維持・増進に必要とされる栄養バランスを確保する観点から、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の更なる推奨を図るよう、シンボルマーク(以下、マーク。)を作成しました。
マークは、ポスター、リーフレット、ホームページ等各種媒体を通して、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の推奨を行う際に活用いただくものです。なお、マークを個別の商品に貼付すること等はできません。

2.生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安の普及について
生活習慣病予防や健康増進の観点から、栄養バランスのとれた食事の普及が様々な食事の提供場面で一層の工夫や広がりをもって展開されるよう、生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安を提示しました。
目安は、事業者が提供する食事のレシピ考案、生活習慣病予防等を目的とした料理教室等に活用いただくものです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000096730.html

【厚労省HP】




時代の求めによって厚労省がこんな政策を考えているのですから、その専門家集団としてもっとこれに関する政策提案を積極的にするべきと思うのですが。
by kura0412 | 2015-09-10 09:20 | 歯科医療政策 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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