コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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ミラー片手に歯科医師の本音
『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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「KPI]:経済財政諮問会議・社会保障WG

諮問会議の社会保障WGが初会合

経済財政諮問会議の社会保障ワーキング・グループ は28日、初会合を開催した。ワーキング・グループは、骨太の方針2015の「経済・財政再生計画」を進めるため、「経済・財政一体改革推進委員会」のもとに置かれた。
骨太方針2015に盛り込まれた社会保障関連の検討項目や進め方を確認するとともに、項目ごとにKPI(重要業績評価指標)を設定する方針を示した。
項目としては、地域医療構想による医療機能の分化・連携、都道府県の医療費水準を示す医療費適正化計画、調剤報酬の見直しや患者本位の医薬分業の実現などがある。

【社会保険旬報メールサービス】




現場の意向を聞くことなく、いろいろな政策が決まってきそうな雰囲気です。
「KPI」新しい用語です。
by kura0412 | 2015-08-31 16:29 | 医療政策全般 | Comments(0)

日病協、歯科衛生実地指導料:医師の指示でも算定できるよう改定を要望

中医協委員も排出している日病協が、次期期改定に歯科衛生実地指導料:医師の指示でも算定できるよう改定を要望しました。
中国の人工島のように既成事実を積み上げてやられるのかもしれません。何も対応してこなかっただけに苦しい状況になっているかもしれません。果たしてどんな対応があるのか、出来るのか。
by kura0412 | 2015-08-29 14:57 | コラム | Comments(0)

安倍一強の流れは変わらずか

「安倍1強」支える野党の漂流

維新の党最高顧問の橋下徹、顧問の松井一郎が離党届を提出した。橋下は「分裂が目的ではない」としているが、党の創始者が離党するのだから事実上の分裂と言っていい。
幹事長の柿沢未途が9月の山形市長選で民主、共産両党が推す立候補予定者を応援したのが直接的なきっかけのようだ。しかし、松井が党の幹事長である柿沢を「わがままな坊ちゃん」などと批判するくらい、この党の構造問題である東西対立はもはや修復不可能なレベルに達している。
思い出すのが昨年11月のみんなの党の解散だ。自民党との協調を重視する党の「オーナー」である渡辺喜美と、民主党出身で野党再編を模索する党代表の浅尾慶一郎が激しく対立し、衆院選を前に「第三極」の一角が消滅した。
維新も構図は似ている。柿沢はみんなの党の出身で、維新には前代表の江田憲司とともに合流した。民主党なども含めた野党再編を目指している。一方、橋下、松井ら大阪系は首相の安倍晋三、官房長官の菅義偉と関係が良く、政権との距離は近い。

■対立軸は「安倍との距離」
2012年12月に自民党が政権に返り咲いて以来、野党の「第三極」はいずれも安倍官邸との距離感を軸に対立し、内部分裂に至ったことになる。27日には次世代の党の幹事長、松沢成文も離党届を出した。党首選への立候補に意欲を示す参院会長の中山恭子との党運営を巡る路線対立が原因だという。こちらも松沢によると「自民党との連携を最重視している」という中山と、「自分の第三極路線がぶつかった。党首選をやれば分裂する可能性があった」のだという。
安倍官邸との距離がいつまでも対立軸になり続けるということは、それだけ「安倍1強」体制が揺るぎそうにないことの表れでもある。距離を測る物差しは安全保障や憲法、社会保障など政策的な論点は多くある。長期政権のメリットもある。しかし、そもそも政権を奪おうという戦略や迫力が野党内からも自民党からもみえてこない。

自民党は27日、党総裁選の日程を9月8日告示、20日投開票とする方針を固め、これまで態度を保留していた岸田派や石原派も他派閥にならって安倍再選を支持する方針を固めた。
この日程に安倍の対抗馬を封じる狙いがあるのは明らかだ。政権の最重要課題である安全保障関連法案は9月中旬に参院採決に踏み切る可能性が高く、14日以降になれば参院で採決しなくても衆院の3分の2以上の多数で再可決できる「60日ルール」が適用できる。国会がいよいよ緊迫の度を増すなか、党内で「総裁選などやっていていいのか」という空気が強まるのは必至だ。
そんななかで出馬すれば、候補者本人はもちろん、20人集めなくてはいけない推薦人も「負ければ人事などで間違いなく干される」(閣僚経験者)リスクはより高まる。安倍の最大のライバルと目されていた地方創生相の石破茂の周辺からは「そろそろ官邸との距離を縮めようかな」などと冗談交じりのため息も聞こえる。

■総裁選後みる大番頭
安倍官邸の大番頭である菅は早くも総裁選後を見ているようだ。
25日夜、都内で松井と会談した。安全保障関連法案の修正協議や、11月22日投開票の大阪市長選・府知事選などを巡って意見交換したとみられるが、今回の離党が話題になっていても不思議ではない。
安倍政権の基本戦略は、民主党の保守派を割るか、維新を取り込むことだ。
維新内では代表の松野頼久や柿沢ら執行部に対する大阪系の不満が強まっている。安保法案をはじめ政権の強引な印象を薄めようと野党の取り込みに必死な安倍官邸にとって絶妙のタイミングだ。橋下は今年5月の「大阪都構想」をめぐる住民投票の結果を受け、大阪市長の任期満了をもって政界を引退する意向を表明したが、安倍や菅が橋下を放っておくとも思えない。
なぜなら、いくら安倍政権の足場は固まっていても、内閣支持率は下降局面をたどっているからだ。与党内では安保法案の採決でさらに下がるとの見方が強い。来年夏には参院選があり、再来年春の消費税率引き上げをにらみながら衆院選の時機も探らなくてはならない。長期政権への道は決して安泰ではないはずなのに、野党は漂流し、自民党内は「安倍1強」が続く。=敬称略

【日経新聞】
by kura0412 | 2015-08-28 14:48 | 政治 | Comments(0)

またものや朝日新聞が

安倍首相の戦後70年談話で
朝日新聞が「重大誤報」!?
~官邸の陽動作戦に引っかかったのか

まず「トーンダウン」があった
この欄「ニュースの深層」で複数の筆者が執筆されているが、首相・安倍晋三の「戦後70年談話」について書き残しておきたいことがある。それは、決定のプロセスと、新聞報道に関することだ。いつ、どこでこの談話が決まったかが正確に報道されているとは言えず、少なからず「誤報」もあったからだ。
この談話を作成したのは、安倍と首相秘書官・今井尚哉の二人だ。とりかかったのは6月上旬からだった。今井の補助として、秘書官付の佐伯耕三が加わった。一部で報道された内閣官房副長官補・兼原信克は有識者会議「21世紀構想懇談会」の報告書のとりまとめに当たっただけで、この打ち合わせには加わっていない。

談話の内容、決定方式をめぐる本格的な報道が始まったのは6月下旬からだった。朝日新聞が同23日付朝刊で「70年談話、閣議決定せず 自身の歴史観反映か 首相方針」と報じた。
《安倍晋三首相は戦後70年を迎える今夏に発表する「安倍談話」について、閣議決定をしない方針であることがわかった。首相周辺が22日、明らかにした》
朝日は翌24日朝刊2面「時時刻刻」で「『個人の談話』あえて選択 安倍首相、閣議決定見送りへ 村山談話「上書き」せず」という見出しで詳細に続報した。
《安倍晋三首相は、今夏に出す戦後70年の「安倍談話」を閣議決定しない意向を固めた。政府の公式見解となる「首相談話」ではなく、あえて首相個人の「首相の談話」と位置づけることで、閣議決定された戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話の上書きはしないとの姿勢を示す》
朝日はよほど自信があったのだろう、25日の社説で「戦後70年談話 いっそ取りやめては」と書いた。しかし、一連の報道から約1ヵ月半後の8月6日付朝刊1面で「安倍談話、閣議決定の方向 14日発表で調整 戦後70年」と180度転換した。
《安倍晋三首相は、戦後70年の談話(安倍談話)について、14日に発表する方向で調整に入った。政府関係者が明らかにした。政府の公式見解とするため、閣議決定する方向で検討している。》
《首相は当初、談話の閣議決定を見送る方向で調整していた。連立与党を組む公明党が村山、小泉両談話を大きく書き換えることに慎重で、閣議決定には公明党の閣僚の同意も必要になるからだ。しかし、首相周辺から、談話が「個人の見解」となることに異論が出たうえ、公明党も、首相が同党と事前に調整して閣議決定することを求めた》
「意向を固めた」とまで書いたのに、事実上の訂正記事で「見送る方向で調整していた」とし、さらに後で記す15日付社説で「傾く」とトーンダウンさせるのは潔くない。しかし、記事がこのように転換したのは必ずしも「誤報」ではない。私が6月24日、安倍と会食した際、与党との調整が必要になることを理由に閣議決定に消極的だったからだ。
しかし、この理由だけでは閣議決定の有無を決める根拠に乏しいと判断したし、安倍は「決めていない」とも語っていたので、朝日の報道は踏み込みすぎだと思った。

3日時点で「おわび」はあった
とはいえ、報道によって状況が変わることはよくあること。朝日の報道をきっかけに閣議決定をした方がよいという意見が官邸内で強まり、安倍も考え方を徐々に変えていったのは事実だ。この点では朝日に全面的に非があるわけではない。
しかし、9日付朝刊1面の「安倍談話『おわび』盛らず 首相原案、公明『侵略』明示要求」は「誤報」だ。

《安倍晋三首相が14日に閣議決定する戦後70年の談話(安倍談話)をめぐり、首相が7日夜に自民、公明両党幹部に示した原案には、戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話に盛り込まれたアジア諸国への「おわび」の文言が入っていないことが分かった。公明は、おわびの気持ちを伝えるとともに、「侵略」という文言も明確に位置づけるよう注文を付けたという》
ご承知の通り、70年談話には「おわび」が盛り込まれていた。私の取材では、70年談話の原案は7月中旬には出来上がり、同下旬には閣議決定することが固まっていた。

そして、8月3日、官邸で開かれた「正副長官会議」で原案が提示された。正副長官会議とは、首相を中心に官房長官・菅義偉、官房副長官・加藤勝信、世耕弘成、杉田和博、それに今井が加わる官邸の司令塔だ。ほぼ連日、内々に開かれている(この会議の詳しい内容は拙著『安倍官邸の正体』を参考にしてほしい)。
この原案は、その後、5日午前に自民党幹事長・谷垣禎一、総務会長・二階敏博、広島から帰京後の6日午後に副総裁・高村正彦、政調会長・稲田朋美、総務相・高市早苗、公明党出身の国土交通相・太田昭宏、7日夜に公明党代表・山口那津男、井上義久に、10日夕にケネディ駐日米大使らに事前に示された。
原案はすべて回収された。安倍は14日夕に記者会見して談話を公表したが、13日までの段階で原案を持っていたのは安倍、今井、佐伯の3人だけだった。3日に正副長官会議で示された原案と、実際に発表された談話は違っていたのか。正副長官会議に出席した6人のうち複数のメンバーはこう断言している。
「まったくと言っていいほど変わっていない」

「悲惨な迷走」はどっちのほうか
以上から、9日付朝日新聞の報道は「誤報」だったということだ。私たちも気をつけなければならないので内実を一つ明かしておく。正副長官会議で、あるメンバーが内容に驚きこう提案した。
「よくここまで踏み込まれました。14日まで厳秘にしましょう。外にはできるだけ『期待値』を下げるように話しておきましょう」
3日以降、官邸の要人は記者からの取材に対し、できるだけ期待値を下げるように話したわけだ。朝日は官邸の陽動作戦にひっかかってしまったのではないか。にもかかわらず、朝日は15日付朝刊社説で「戦後70年の安倍談話 何のために出したのか」と題してこう書いた。

《それにしても、談話発表に至る過程で見せつけられたのは、目を疑うような政権の二転三転ぶりだった。安倍氏は首相に再登板した直後から「21世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい」と表明。村山談話の歴史認識を塗り替える狙いを示唆してきた。
そんな首相の姿勢に中国や韓国だけでなく、米国も懸念を深め、首相はいったんは閣議決定せずに個人的談話の色彩を強めることに傾く。それでは公式な政府見解にならないと反発した首相側近や、公明党からも異論が出て、再び閣議決定する方針に。節目の談話の扱いに全くふさわしくない悲惨な迷走ぶりである。
この間、国内のみならず欧米の学者も過ちの「偏見なき清算」を呼びかけた。世論調査でも過半数が「侵略」などを盛り込むべきだとの民意を示した。そもそも閣議決定をしようがしまいが、首相の談話が「個人的な談話」で済むはずがない。日本国民の総意を踏まえた歴史認識だと国際社会で受け取られることは避けられない。それを私物化しようとした迷走の果てに、侵略の責任も、おわびの意思もあいまいな談話を出す体たらくである。》

「目を疑うような二転三転」、「悲惨な迷走」をしたのは政権ではなく、朝日新聞である。朝日の社説は「論」として立派かもしれない。しかし、誤った報道に基づいて「論」を構成するなら、砂上の楼閣ではないか。(敬称略)

【田崎史郎:ニュースの深層】




マスコミ関係者がここまで「誤報」と断じることは珍しいことです。ここでも非常に気を使いながら書いています。同じマスコミ人として朝日新聞の書き方が堪んないのだと思います。
提灯記事を書く必要はありませんが、少なくても誤りのない報道は、今の朝日新聞には求められているはずです。
by kura0412 | 2015-08-24 11:27 | 思うこと | Comments(0)

マイナンバーのセキュリティは大丈夫なのでしょうか

厚労省にも4月にサイバー攻撃 年金情報流出検証委が報告

サイバー攻撃を受けて日本年金機構の個人情報が流出した問題で、有識者で構成する検証委員会(委員長・甲斐中辰夫元最高裁判事)は21日、機構を監督する厚生労働省も「サイバー攻撃への対応や意識が不十分だった」とする報告書をまとめた。
機構への攻撃が始まる前の4月に、厚労省が手口の似たサイバー攻撃を受けていたことも新たにわかった。
検証委は、20日に調査報告書を公表した機構とは別に、第三者の立場から流出問題の原因や再発防止策をまとめた。厚労省と機構は報告書の内容を踏まえて、関係者の処分を検討する。

報告書によると、4月22日に厚労省年金局などが標的型メールを受信。端末がウイルス感染し、約2時間後にネットワーク環境から遮断した。これについて内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)から「同種のウイルスに感染した場合、被害が大きくなる可能性がある」との注意を受けていた。
だが、厚労省は5月8日に機構が似た攻撃を受けた際にも、機構に情報提供しなかった。この段階で情報提供しても一連の情報流出がすべて防げたかは不透明だが、検証委は「(危機感を)意識することはできたはず」と分析している。
報告書では、厚労省の情報セキュリティーを担当する専任の職員が実質1人しかいなかったことも指摘、「到底十分な体制とは言いがたい」と批判した。サイバー攻撃を受けた機構のLANシステムの担当部署が、厚労省内で不明確になっている点も問題視し「監督官庁としてあり得ない」と断じた。

【日経新聞】



これでマイナンバーは大丈夫なのでしょうか。
しかし犯人は誰?
by kura0412 | 2015-08-22 10:39 | 政治 | Comments(0)

もう暫くかかりそうです

日歯連「違法献金事件」で関係先を新たに捜索

日歯連=日本歯科医師連盟をめぐる違法献金事件で、東京地検特捜部が、当時の会計責任者の関係先などを新たに家宅捜索していたことがわかりました。

日歯連はおととし、自民党の石井みどり参議院議員を支援する政治団体に、法律の上限を超える総額9500万円の寄付を別の団体をう回させるなどして行った疑いがもたれています。
関係者によりますと、特捜部は、20日、日歯連で、当時、会計責任者を務めていた男性が現在会長を務める歯科大学の同窓会事務所など数か所を家宅捜索したことが新たにわかりました。
特捜部は19日も関係先の捜索を行っていて、金の流れなど、実態解明をさらに進めるものとみられます。

【TBS Newsi】



再び捜索されたということで、一応の結果が出るにももう暫くはかかりそうです。
by kura0412 | 2015-08-21 10:57 | 歯科 | Comments(0)

日医と医学部長会議が合同で動く

日医・医学部長会議が医師の偏在解消に向け緊急提言
医療機関の管理者要件に「医師不足地域での勤務経験」を

日本医師会と全国医学部長病院長会議は8月19日、医師の地域や診療科ごとの偏在の解消に向けた緊急提言の骨子を発表した。正式な提言は今後の検討を踏まえて発表される見通し。
骨子では冒頭、「現状の医師不足の本質は、絶対数ではなく、医師の地域・診療科偏在にある」とした上で、この課題解決のためには、「医師自らが新たな規制をかけられることも受け入れなければならない」と、一定の規制はやむなしとの考えを初めて表明した。

ここまで踏み込んだ提言を出したのは、これまで日医などが懸念を示し続けてきた千葉県成田市での医学部新設が現実味を帯びたため。政府は7月31日、「国家戦略特区」に指定されている成田市に、早ければ2017年度にも大学医学部を新設する方針を決めた。今秋をめどに医学部の開設を禁じている文部科学省の省令を改正する。
そうした状況に何とか一矢報いようというのが今回の緊急提言の狙いだ。
柱となる施策は、各大学医学部に、卒業後の医師の異動を生涯にわたって把握する「医師キャリア支援センター」(仮称)を設置するというもの。すべての医学生・卒業生は出身大学のセンターに必ず登録しなければならない仕組みとし、各センターでは医籍登録番号を活用して医師の異動を追跡する。
そのほか、センターは、医学生や卒業生に対して、学部教育、研修医マッチング、臨床研修、生涯教育などの様々な場面で相談に乗り、キャリア形成を支援する。このうち臨床研修については、自由に場所を選べる現在の仕組みを改め、出身大学の所在地域(出身大学の関連病院のある範囲を含む)で行うことを原則とする。臨床研修医の需給が均衡していない地域では、全国の支援センターをつなぐ組織として新設する「全国医師キャリア支援センター連絡協議会」(仮称)が各地域の情報を共有し、地域ごとの需給調整を進める。
さらに医師の偏在解消に向けて、提言では、「一定期間、医師不足地域で勤務した経験があること」を病院・診療所の管理者要件に新たに加えることも盛り込んだ。へき地などでの勤務経験を医療機関の管理者要件にするプランは、過去に厚生労働省が示したり、地方団体が要望してきたものの、日医などの強い反対に遭って実現せずにきた経緯がある。それが今回、一転した格好だ。

ただし、新たに管理者となる医師だけを対象にするのかどうか、医師不足地域や勤務期間をどう設定するかなどの詳細については、まだ詰め切れておらず、今後明らかにしていく方針だという。
日本医師会と全国医学部長病院長会議では、今回の骨子に基づく正式な提言書を近く取りまとめ、厚生労働省に示すとしている。

【日経メディカル】



自主的なこうゆう動きする医科の政策を実現する力は流石です。
by kura0412 | 2015-08-21 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)

美容整形大国・韓国

なぜ韓国は「美容整形大国」となったのか

韓国で医学部生に最も人気のある診療科の一つが形成外科です。その根底には、美を追求する国民意識があります。

なぜ韓国では美容に対する意識が高いのか?
韓国での美容外科、美容医療の発展の根底には、美に対する韓国人の関心の高さがありますが、これは韓国が「美容整形大国」「美容整形先進国」などと言われるずっと前から存在する価値観の一つではないかと考えます。
韓国では子供の頃、もっと言えば生まれた時から、容姿や外見を評価されます。男女限らず、この子は美男だ、美女だ、あるいはその逆も、歯に衣を着せず周りからはっきり指摘されます。それは幼少時から大人になるまで続き、褒められるにしろそうでないにしろ当然強く意識するようになるでしょう。
人間は様々な環境、仕事の中で、自分の個性や能力を持って評価されるものですから、外見だけにこだわり続けることはありません。しかし、潜在意識の中に容貌に関する価値観は持ち続けます。
韓国のように価値評価の中で外見の占める割合が高いと考えられている社会では、特に女性の場合、美を追求することが自己価値を上げると考えるのも当然と言えば当然です。
最新の美容法や化粧品が広がる以前から、民間療法的な美容法や美肌法が多くあるのも、韓国女性が昔から美容に高い関心を持ち、実践してきた証拠でしょう。

形成外科が人気、国の観光事業にも
美容に対する関心と需要に後押しされるように、韓国における形成外科は瞬く間に人気の科目となり、目指す研修医も増えました。
日本の場合、大学の医学部を卒業し医師国家試験に合格すれば、何科を専攻するかは本人が自由に選択できます。しかし、韓国では専門医の数を厳格に管理しているため、人気の科に希望しても必ずしも思い通りにはなりません。
私が卒業した当時はまさに形成外科が人気の的で、狭き門でした。成績はもちろん、噂では人間関係(?)やコネも必要だという話まで出ていたくらいです。とにかく形成外科に優秀な卒業生が集まったのは事実です。しかし形成外科医が増加し、他の科の医師まで美容医療に関心を示すことから、最近はさすがに美容医療への集中もやや落ち着いてきたようです。
現在、韓国全体では美容外科、美容皮膚科のクリニック、医院が4000ほどありますが、その40%がソウルに存在します。ソウル市の高級住宅街がある江南(カンナム)地区には、いわゆる「美容整形通り」と言われる場所があり、そこだけで800のクリニックが密集しています。いくら需要があるとはいえ、さすがに国内では飽和状態になってきているのも事実です。
このような状況の中で、韓国は海外の患者を受け入れるべく、医療観光を国の経済政策の一つとして力を注いでおり、美容外科の高い技術力をベースにソウル以外でも医療特区として指定されている地域もあります。

【現代ビジネス:鄭 憲(テイ ケン)】



聞くところ、審美歯科も積極的に行われているようです。
by kura0412 | 2015-08-20 09:39 | 医療政策全般 | Comments(0)

注目されていれも

高齢者の衰え「フレイル」、運動や食事で予防・回復
1日5~6千歩 日光浴びる

年を重ねるごとに筋肉が減り歩く速さが遅くなる。次第に身体の活動水準も低下する。高齢者の衰弱はそのまま介護に向かう状態と考えられてきたが、運動や食事など積極的な対策によって予防や回復が可能と受け止められるようになってきた。日本老年医学会が2014年に「フレイル」という考え方を提唱し、従来の衰弱に対する見方が変化し始めた影響が大きい。

「いったん始まったらもう戻れない。そんな悪い印象を拭い去れたと思う」
老年医学会のワーキンググループでフレイルの導入を唱えてきた国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の荒井秀典副院長は、提案後1年間の変化をこう解説する。
フレイルは、英語で虚弱を意味する「Frailty」をもとにした造語。
高血圧や糖尿病など生活習慣病の危険が高まるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を「メタボ」、筋力の低下によって引き起こされるロコモティブシンドローム(運動器症候群)を「ロコモ」と省略して呼び、社会に浸透しやすくなった事例を参考に言葉を決めた経緯がある。

動作が遅くなったり転倒しやすくなったりするなど身体的な問題だけではない。フレイルには認知機能の障害やうつ病などの精神や心理的な問題、独り住まいや経済的な困窮などの社会的な問題も含む。放置すれば介護が必要な状態に陥るし場合によっては生命にかかわる。荒井副院長は「医療関係者だけでなく社会の関心も高め、適切な対策を取る必要がある」と強調する。
正式な診断方法はまだなく、学会で検討中だ。ただ介護予防事業で用いられている基本チェックリストには似た考え方の項目があり参考になりそうだという。米老年医学会など海外でもいろいろな基準が検討されているが、福祉や医療の現場で使いにくい課題がある。

桜美林大学加齢・発達研究所(東京都町田市)の鈴木隆雄所長は「分かりやすい判断基準が2つある。
歩行速度と握力だ」と話す。

高齢者の歩行速度の研究から、1秒間に0.8メートル以下になると介護が必要になるリスクが高くなることが分かってきた。筋肉の量ではなく筋力が重要で、足を蹴り出す力やももを持ち上げる力の衰えが歩幅を小さくして歩行速度を遅くする。横断歩道の青信号は毎秒1メートルの速度で渡れるように設計されており、横断歩道を渡れなくなると要注意だ。
握力も50歳を超えたころから徐々に低下する。過度に低下すれば自分を支えるために手すりにつかまりにくくなるし、荷物の持ち運びができなくなる。男性では26キログラム、女性では18キログラム未満になると支障が出る目安になっている。
高齢者で介護が必要になる要因を年齢別にみると、70代までは「脳卒中」が圧倒的に多い。80歳以上になると「衰弱(フレイル)」が増え、90歳以上では3割を超す。「フレイル対策は後期高齢者で特に重要になる」(荒井副院長)といえる。
フレイルを防ぎ健康を回復するにはどうすればよいのだろうか。基本はやはり運動と食事だ。

運動ではウオーキングが一番取り入れやすい。最低でも1日5000~6000歩を継続すると筋力の低下を防げる。長寿医療研究センターは、ロボット技術を生かした歩行補助装置を使ったウオーキングでも、自立の歩行とほぼ同様の効果があることを確かめており、人によっては活用も考えられる。
また荒井副院長らは高齢者向けに、ゴムバンドを使う筋肉トレーニングのプログラムを作った。屋内でできるし、ゴムの強さを調節して関節を痛めないように配慮した。

食事面では、筋肉のもととなるたんぱく質の摂取が大切だ。
性別を問わず体重1キログラム当たり1グラムのたんぱく質を毎日食事から取ることが望ましい。体重50キログラムの人の場合は50グラムだ。肉や魚、大豆、牛乳などがたんぱく質を多く含む。平均すると日本人は必要なたんぱく質を取っているが、好き嫌いの差があり人によってまちまちで、注意が必要だ。
同時にビタミンDも必要だ。
体内のビタミンDは太陽光を受けて活性化し、たんぱく質の合成を促す。最近注目されている作用だ。鈴木所長は「1日に5分でいいから日光に当たろう」と付け加える。
日本人の平均寿命は長いが、自立して生活できる健康寿命との差は男性で約9年、女性で約13年もある。フレイルの回避で健康寿命を延ばせる。関係者はこの期間を半分にしようと目標を立てている。

■名前変えただけと批判も… 対策、分野超えた連携を
「フレイル」の考え方は介護や福祉の関係者に理解され始め、他の医療分野でも取り入れるケースが出てきた。
例えば日本歯科医師会では「オーラル・フレイル」と呼び、滑舌が低下する現象や食べ残し、むせかえり、かめない食品の増加などを指標に、食欲の低下や食材の種類の減少などに注意を払う運動を始めた。80歳になっても自分の歯を20本以上持っていようという「8020運動」と並ぶ主要な活動に位置づけている。

厚生労働省もフレイル対策を政策に取り入れ始めた。しかし、社会全般で広く理解されている言葉ではない。呼び方を変えただけで実態は何も変わっていないとの指摘もある。
的確な対策にはスポーツ医学や栄養学、ロボットなどの工学、脳科学など幅広い分野が結集する必要がある。新しい制度の整備や投資と効果を評価する視点も大事だ。関係者の密接な連携が重要といえる。

【日本経済新聞】



名前は付けましたが、その後の展開が全く見えていません。
何がしかの行動を起こさなければ、一過性の話題にしかなりません。
by kura0412 | 2015-08-19 16:33 | 医療政策全般 | Comments(0)

納得する部分はあるのですが

『安心なくして成長なし』

7月末、財務省が平成26年度決算概要を公表しました。
税収額は54兆円。補正後予算額と比べると、約2.2兆円の増収です。その内訳は所得税が約1兆円、消費税が約0.7兆円、法人税が約0.5兆円となっています。経済成長を反映して税収が伸びるわけですから、一見すると喜ばしい数字です。しかし、子細に分析すると、日本経済の実相が見えてきます。

第1に所得税収約1兆円の伸び。
その大半は、配当や株式の譲渡益によるものです。バブル経済を映し出しているといえるでしょう。一方、給与所得による税収増はごく僅かです。アベノミクスが力強い賃金増に結びついているわけではないという証左です。
第2に消費税収約0.7兆円の伸び。
昨年度は消費税の8%への引き上げもあり、約15.4兆円の税収を見込んでいましたが、財務当局の見込み違いが発生しました。まずは、思っていた以上に滞納が少なかったこと。次に、中国人観光客らの爆買いが話題になりましたが、彼(女)らの爆食い、爆飲みが予想以上の税収増につながったことです。
第3に法人税収約0.5兆円の伸び。
日本銀行は年間80兆円も長期国債の購入を続けていますが、これに伴う日銀に支払われた利子は、法人税及び国庫納付金として政府に移転されます。日銀による法人税納付は約0.2兆円です。この分を差し引くと、企業業績の伸びに比べると法人税収の増加が少ないことがわかります。多くの日本企業は事業を海外にシフトしています。子会社配当は親会社の利益には反映されますが、税収増には直結しないということです。
このように冷静に税収の伸びを分析すると、必ずしも日本経済の実力が増したからではなく、バブル的要素も含め極めて一時的な現象であることがよくわかります。

同じく先月、厚生労働省が平成26年国民生活基礎調査の結果を公表しました。
全世帯の生活意識を見ると、「大変苦しい」と「やや苦しい」を合計した「苦しい」という回答は近年増加傾向にあり、今回の調査では初めて6割を超え、62.4%に達しました。これに対し、「普通」という回答は、今回34.0%にとどまりました。かつては「1億総中流」と言われた時代がありました。バブル崩壊直後も「普通」は過半数を超えていました。しかし、今や「中流」にあたる層は全体の約3分の1まで減ってしまったということです。
財務省と厚労省の2つの調査結果から明らかになったのは、円安株高を誘導するアベノミクスの下で上っつらの数字は好転しているように見えますが、日本人の暮らし向きは着実にゆとりが失われ悪化しているということです。バブリーな経済政策よりも「安心なくして成長なし」の理念の下、中低所得者を対象とする社会政策に力を注ぎ「分厚い中間層」の復活をめざすべきです。そもそも、消費性向は高所得層よりも中低所得層の方が大きいのです。中低所得層の所得が増えた方が需要創出効果も大きくなるはずです。

【野田佳彦衆議院議員ブログ】



経済の実体は全国的にはまだら模様で、決して好転はしていません。
納得する部分は多々あるのですが、この党への信頼度が・・
この政策に国民の信頼を得るにはどうするのか。
by kura0412 | 2015-08-18 08:52 | 政治 | Comments(0)