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『「社会保障制度改革推進会議」の役割』

「消費税10%」後の社会保障制度とは?
17日スタート!「社会保障制度改革推進会議」の役割

7月17日に、社会保障制度改革推進会議の初会合が開催された。筆者はその委員を仰せつかったが、今後この会議が何を担い、どのように議論を進めて行くかについて、ぜひ読者の皆様に紹介したい。
この会議の役割の1つは、「2025年を展望し、中長期的に受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るための、改革の総合的な検討を行うこと」である。硬いことを抜きにしていえば、消費税率を10%に引き上げて社会保障の充実や重点化・効率化を行った後、わが国の社会保障制度をどうするか、である。

「消費税率10%もまだなのに!」と言う前に・・
消費税率を10%に上げるかどうかの最終判断は、年末までに行うとされている。まだ上げると決めていないのに、誰がそんな議論を始めろと言ったのか、と気の短い方は思われるかもしれない。この詳細は、後に言及しよう。
社会保障制度改革推進会議は、そもそも昨年12月に成立した社会保障改革プログラム法を根拠に、内閣に設置される総理大臣の諮問機関である。明確な法的根拠のある会議である。さらにさかのぼって、社会保障改革プログラム法は、消費税率を10%に引き上げることを決めた社会保障・税一体改革関連法(2012年8月成立)を受けて、消費税率引き上げによる増収分をどの社会保障給付に充てるかについて、その全体像と進め方を明示した法律である。さらに社会保障改革プログラム法に基づき、社会保障制度改革推進会議は、社会保障・税一体改革の進捗状況の確認という役割も担うこととされている。
別の言い方をすれば、社会保障改革プログラム法自体は、消費税率を10%に引き上げることを規定した法律ではない。しかし、社会保障改革プログラム法は、消費税率を10%に引き上げることを想定して、子ども子育て、医療、介護、年金の各分野で必要な制度改革の進め方を規定したものである。そして、その社会保障改革プログラム法によって、社会保障制度改革推進会議の設置が根拠づけられている。

2025年見据え、横断的視点で社会保障制度改革を議論
要するに、社会保障制度改革推進会議には、ポスト「一体改革」を意識した議論を託されたものといえよう。したがって、社会保障制度改革推進会議は、消費税率を10%に上げるか否かを決める機関ではないものの、消費税率を10%に引き上げることを想定して企画された社会保障改革について進捗状況を確認し、さらにその後2025年を見据えたわが国の社会保障制度のあり方を、5年以内に打ち出すことを目指している。
では、社会保障制度改革推進会議は、当面どこに焦点を当てて議論するのか。
社会保障に関する有識者会議は、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会があり、そこではより専門的に各分野の具体策について議論する場が設けられている。さらに、医療では、健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する中央社会保険医療協議会がある。社会保障制度改革推進会議は、社会保障審議会や中央社会保険医療協議会などと対抗する形で議論する場ではない。むしろ、社会保障制度の分野横断的な内容を扱うのに向いている。
その観点から言えば、他の会議体では扱いにくい内容で分野横断的なものとして、基礎年金の給付水準と生活保護給付の水準の調整や、医療と介護のより包括的な連携、社会保障給付と税制との関係などが考えられよう。

とはいえ、政権として消費税率を10%に引き上げることを最終判断していない以上、今夏以降の年内において、それが前提になるような社会保障制度の具体策を、社会保障制度改革推進会議で議論するのはなじみにくいだろう。この会議の直接的な担当である、甘利明・社会保障・税一体改革担当大臣は、目下の景況をにらむ経済財政政策担当大臣でもある。社会保障制度改革推進会議議長に就任した清家篤慶応義塾長は、第1回会合後の記者会見で、まだ消費税10%も本決まりでなく、まずは10%を前提とした制度の成り行きを注視するとの旨を述べている。
そうした微妙な立ち位置も見計らいつつ、ひとまず年内は、地域医療ビジョンの策定をにらんだ作業が中心となってこよう。それ1つとっても、今後のわが国の社会保障をめぐっては軽視できないものである。早速、社会保障制度改革推進本部の下に、「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」を設置して、地域横断的な医療・介護情報の活用方策などを検討することから始めることとなっている。

専門調査会での討論は、医療費適正化の重要なステップ
「医療・介護情報の活用方策」と抽象的に言われても、何のことかわからないだろう。
専門調査会の名前は抽象的だが、ミッションははっきりしている。それは、社会保障改革プログラム法で方向性が示され、今年の通常国会で成立した地域医療・介護総合確保推進法に盛り込まれたものだが、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保のための体制整備に必要な情報整理と分析である。
地域医療・介護総合確保推進法では、医療機関が病床機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を都道府県に報告する仕組みである、病床機能報告制度を設けることが決まった。そして、この制度を基に、地域医療構想(ビジョン)を都道府県が策定することになっている。予定では、今年度中に、都道府県が地域医療ビジョンを策定するために必要なガイドラインを策定し、ガイドラインを踏まえ来年度に都道府県が地域医療ビジョンを策定することとなっている。
地域医療ビジョンでは、病床の機能分化・連携を進めるなど、医療提供体制改革を行うことを目指すとともに、過剰な医療機能への転換の中止要請、稼働していない病床の削減要請、要請に従わない医療機関の管理者の変更など、強化された都道府県の権限で、医療費を適正化することが期待されている。したがって、この専門調査会は、この予定をにらんでの作業を進めることとなろう。
地域医療ビジョンがより有効に策定されれば、患者のニーズと医療機関の体制のミスマッチを減らして、都道府県間で1人当たり医療費が高い県と低い県が顕著にある現状を改めて、医療の質を保ちながら医療費の負担を適正にすることが可能である。2025年を見据えて的確な一歩を踏み出せるかどうかがかかっている。

※ 本稿において意見にわたる部分は、あくまで筆者の個人的見解であり、筆者が関わる組織や会議等を代表するものではない。

【土居 丈朗:東洋経済・岐路に立つ日本の財政】




もう一度国民会議の報告書とプログラム法案を精査して、歯科界としてどうこの議論に取り組むかを再検討する必要があるようです。
by kura0412 | 2014-07-29 16:20 | 医療政策全般 | Comments(0)

薬価改定の問題はまだ決着はついていません

薬価改定の頻度、予算案決定までに検討を- 諮問会議が来年度予算の全体像取りまとめ

政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)は25日、来年度予算の全体像を取りまとめた。社会保障関係では、政府が来年度予算案を決めるまでの間に、薬価改定の頻度などを検討したり、医療や介護などの支出のいわゆる「自然増」について、内容を厳しく精査したりする方針が示された。
政府は、全体像を踏まえて同日、来年度予算の概算要求基準を閣議了解した。全体像の内容は、今後の各省庁の概算要求や、予算編成にも反映される。

全体像では、来年度予算の考え方として、国と地方の基礎的財政収支の改善目標の着実な達成を目指す方針を強調。そのために、社会保障支出の自然増を厳しく精査して、その伸びを最小限に抑え、国債の新規発行額を着実に減少させるよう取り組むとした。
そのほか、昨年の「骨太方針」に盛り込まれた施策や措置が、今年度予算にどれだけ反映されたかをフォローアップし、その効果などを検証したり、各省庁の予算事業のうち、5年以上継続しているものについて、原則として縮小・廃止したりすることも盛り込まれた。

また、主な歳出項目をめぐる施策にも言及した。社会保障に関しては、医療や介護の支出の効率化・適正化を図ったり、来年度予算による事業で、医療と介護の提供体制の適正化を推し進めたりする方針を示した。提供体制を適正化させる具体策には、地域医療ビジョンの策定と、それと整合性の取れた医療費の水準などの目標を設定することを挙げた。
さらに、後発医薬品の普及率向上の具体化を図るほか、薬価調査と薬価改定の在り方を、頻度を含めて検討するとも明記。
介護報酬改定では、社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた適正化を行いつつ、介護保険サービス事業者の経営状況などを勘案して見直すとした。

【キャリアブレイン】



毎年の薬価改定の問題はまだ決着してはいません。
by kura0412 | 2014-07-28 17:25 | 医療政策全般 | Comments(0)

歯科も介護予防の中に

民間の力で介護予防 地域別、橋渡し役1万人養成
厚労省、財政負担も軽減

厚生労働省は介護の必要性が薄い「要支援」の高齢者向けサービスを市町村単位で民間事業者が手がける仕組みをつくる。
事業を担うNPOや企業などと自治体を仲立ちする調整役の人材を2017年度までに全国に1万人置く。全国一律だった介護サービスをきめ細かく各地域で必要なサービスに変えて要支援の人が要介護状態に悪化するのを防ぎ、介護にかかる財政負担も軽減する。

6月に成立した医療介護総合推進法で、介護予防を15年度から3年間で市町村の事業に段階的に移すことが決まった。市町村事業は毎年の予算で管理する。これまで平均、年5~6%だった費用の伸びを75歳以上人口の増加率並みの3~4%以内に抑える。
介護予防は従来、デイサービスなどの専門事業者が手掛け、介護保険で費用を賄ってきた。地域差にかかわらず内容、価格が全国一律のため、介護保険からの給付費が予防効果と比べてかかり過ぎるとの指摘が多かった。
まず1年間で全国300市町村に調整役を置く方針で、14年度から1カ所あたり人件費など800万円を市町村に支給する。財源は約8割を国・地方の税金、残りを介護保険料で賄う。15年度から全市町村に広げ、16年度以降は平均人口1万人の中学校区ごとに配置する。計1万人が必要になるため、養成を急ぐ。
調整役は市町村から委託され、地域のNPOなど民間事業者と自治体の間の連絡や調整にあたる。ボランティアやNPOを立ち上げた経験や行政や社会福祉協議会の職歴など実績を持つ人に自治体が調整役を依頼し、都道府県単位の研修を受けてもらう。
地域で介護予防サービスを手がけるのはボランティア、社会福祉法人、企業などの民間事業者だ。高齢者の交流サロンや体操教室などのほか、掃除や洗濯、料理など家事の手伝いや見守りを担う。15年度からはこれら民間事業者の活動経費も助成する。
全国一律だった介護保険での予防サービスや価格を各地の実情に合わせ、サービスを効率的に提供する体制に置き換える。介護が必要となる要介護者を予防サービスによって減らし、そのままなら25年度には今の倍の約20兆円に膨らむ見込みだった介護給付費を抑制する。

【日経新聞】



ここに歯科医師、歯科衛生士が入り込むことは出来ないものでしょうか。
by kura0412 | 2014-07-28 16:11 | 介護 | Comments(0)

改定年度ではなくても

歳出100兆円以下に絞り込み 15年度予算編成が本格化

政府は25日、2015年度予算の概算要求基準をまとめ、予算編成作業が本格的に始まった。各省庁が予算要求する際のルールとなる今回の基準に従えば、一般会計の要求総額は14年度予算(95.9兆円)を上回って100兆円を超える可能性が高い。財務省は100兆円以下に絞り込みたい考えで、高齢化で膨らむ社会保障費を抑制できるかがカギとなる。

15年度予算の最大の特徴は、地方再生を軸にした成長戦略を実現するため、4兆円規模の特別要望枠を設けたこと。来年春の統一地方選も視野に、アベノミクスの恩恵を全国津々浦々まで行き渡らせる狙いがある。
4兆円の特別枠のほか、年金や医療などの社会保障費の増加分などを加えると、要求規模は100兆円を超える可能性が高い。これをすべて認めれば、国と地方で基礎的財政収支の赤字を10年度比で半減するという国際公約は守れなくなる。
財務省は来年度予算の規模を少なくとも100兆円以下に絞り込みたい考え。内閣府が25日公表した中長期の試算でも、15年度の歳出規模は98.9兆円とした。
政府は経済成長と財政健全化の両立を看板に掲げている。成長戦略を実現するための予算をできるだけ残しながら歳出規模をどう抑えるかが、年末の予算編成に向けた大きな焦点になる。

抑制の対象になるのが、来年度も高齢化などで8300億円の自然増が見込まれる社会保障費。
麻生太郎財務相は25日の記者会見で「社会保障費は自然増の内容を厳しく精査し、合理化と効率化に最大限取り組む」と意気込みをみせた。
具体的には、3年ぶりの介護報酬改定で、巨額の内部留保をかかえる社会福祉法人向けの支出の抑制などが課題になる。生活保護の支給水準の見直しや、新薬よりも安い後発医薬品の普及なども議論される見通しだ。
公共事業を抑えられるかも焦点になる。統一地方選を控えて、安倍晋三首相は「成長の主役は地方」と強調しており、与党からの歳出圧力も強まりそうだ。地方重視を錦の御旗に効果の薄い公共事業などが特別枠に紛れ込んでしまえば、成長にも財政再建にもつながらない予算になってしまう。実際に成長につながるかの見極めが例年以上に重要になりそうだ。

【日経新聞】



来年度予算は改定年度ではありませんが、基金の予算も含めてひと波乱あるかもしれません。
by kura0412 | 2014-07-26 16:41 | 経済 | Comments(0)

「医療介護総合確保促進会議」

新型基金の使途や配分を検証・医療介護総合確保促進会議が初会合

厚生労働省は7月25日、「医療介護総合確保促進会議」の初会合を開いた。
先の通常国会では、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」の一部が改正され、地域における医療・介護の総合的な確保を図るため、消費税増収分を活用した新たな財政支援制度が創設。厚労大臣が策定した「総合確保方針」に則って各都道府県が医療と介護の連携強化に向けて有効な提供体制改革の計画を立てて実行に移す場合には、基金で手当てする仕組みが構築された。

同会議は、厚労大臣が策定する「総合確保方針」に盛り込むべき事項を検討するほか、基金の交付の決定を受けて、実際に都道府県の計画に沿って基金が使われた場合に、事業の内容が妥当かどうかなどを検証する役割を担う。
今後のスケジュールとしては、2014年度の基金の交付決定が今年11月に予定されていることから、まずは9月までに「総合確保方針」の取りまとめに向けた議論を実施。その後、総合確保方針が告示され、各都道府県への基金の交付の配分が決定したら、12月ごろから基金の交付状況の報告を受けて、各種検証作業を行う。

【日経ヘルスケア】



先ずは11月に今年度の交付が決定されます。来年度もこの基金は継続との話です。
尚、この会議には日歯からも委員が出向しています。
by kura0412 | 2014-07-26 16:34 | 歯科医療政策 | Comments(0)

特養は内部留保あり

特養「黒字の蓄積」にメス 介護報酬見直し

2015年度の介護報酬の見直し論議で、重度の要介護者を受け入れる特別養護老人ホームの報酬の引き下げが焦点になってきた。黒字の蓄積といえる2兆円を超える剰余金を蓄え、もうけすぎ批判があるためだ。
来年度は3年に1度の介護報酬の見直しの年にあたる。政府は介護の人手不足解消のために給与引き上げを促す報酬の増額を検討しているが、介護費膨張には歯止めをかける必要がある。

23日、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の介護給付費分科会で、厚労省が特養の実態を取り上げたのは報酬削減への布石とみられている。
厚労省が配布した資料によると、特養の内部留保は1施設平均で3億1373万円。全国7982施設全体で、約2.5兆円に上る計算になる。
収入額に対する黒字の比率は10%前後と高い。しかも特養の運営をほぼ独占している社会福祉法人は法人税非課税などの優遇措置を受けている。
「剰余金の問題を議論すべきだ」。委員を務める企業の健康保険組合の代表はぶち上げた。
特養ホームに入ると、食費や部屋代をのぞき、月27万円前後の費用がかかる。利用者の本人負担は1割で、残り9割は公的介護保険で賄う。介護費は14年度予算ベースで10兆円に上る。そのうち特養が約2割を占めて最も多い。このままだと介護費は団塊の世代が75歳以上になる25年度にはいまの倍以上の21兆円に膨らむ見込みだ。
今度の介護報酬改定では、厚労省は介護の人手不足を緩和するために、あえて報酬を増やして介護事業者に職員の給与引き上げを促すことも検討している。だが、特養に対しては「報酬より剰余金を活用するのが先」(健康保険組合連合会)との声が強い。
政府も6月に閣議決定した「骨太の方針」に「内部留保の状況を踏まえた適正化」との文言を盛り込み、事実上の是正勧告を発した。
特養の場合、入所者の寝起きから食事、入浴、排せつまであらゆる日常生活の手助けにかかるコストが、報酬額の中にすべて込みになっている。内訳は明らかではなく、他の在宅向けサービスに比べ割高との見方もある。重度者は介護の手間がかかるとして報酬額が高めなことも、特養の「増収」には有利に働く。
半面、特養は支出には消極的だ。将来の施設の建て替えなどを名目に資金を蓄えるが、入所者のプライバシーに配慮した個室を新たに整備したのは、定員ベースで3割どまりだ。

【日経新聞】



特養は内部留保できるのですか・・・
by kura0412 | 2014-07-24 11:17 | 介護 | Comments(0)

増税成っても社会保障費抑制の圧力は止まらず

社会保障費抑制へ数値目標 政府、来夏メド具体策

政府は財政の立て直しに向け、社会保障費の自然増の抑制など新たな数値目標をつくる方針だ。
2020年度までに国と地方の基礎的財政収支を黒字にする国際公約を掲げるが、公共事業など政策経費の個別項目ごとに抑制目標を掲げ、具体的な道筋を明示する。15年秋に消費税を再増税する計画だが、歳出カットの姿勢も強めることで消費者らにも財政再建の理解を得たい考えだ。

政府は基礎的財政収支を黒字にする財政健全化目標を持つが、現在は具体策を国内外に示していない。小泉純一郎政権だった06年には政策経費の抑制計画にまで踏み込み、国の社会保障費の自然増を5年間で1兆1千億円抑える数値目標を盛り込んだ。ただ08年秋のリーマン・ショックなどで頓挫し、政権交代後は自然消滅していた。
新たな数値目標は政府の経済財政諮問会議で議論し、来年夏をメドに16年度以降の中期計画として策定する。基礎的財政収支は社会保障や公共事業など行政サービスに必要な政策経費を、借金に頼らずまかなえているかを示す指標。政府試算では黒字化には20年度時点でも国・地方で約11兆円足りない。
11兆円の不足分を埋めるため、新たな計画では歳出抑制の数値目標を掲げる。
柱となるのは医療や介護など社会保障費の抑制だ。社会保障費は高齢化によって年1兆円ほど増え続け、14年度の当初予算では初めて30兆円を突破した。10年前に比べて5割強増えて政策経費(14年度は72.6兆円)の4割強を占める。
20年代半ばには「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となるなど、社会保障費の増加はさらに続く見込みだ。基礎的財政収支を黒字にするには年1兆円の社会保障費の自然増をどこまで抑えるかが焦点で、小泉政権時と同様に、毎年度の増加幅を圧縮する具体数値を示したい考えだ。
公共事業費や公務員人件費などは複数年度で削減幅を示す方向で議論する。14年度の公共事業費は当初予算ベースで6兆円とピーク時に比べて4割近く減ったものの、国の政策経費では社会保障費、地方交付税交付金に次ぐ規模があるためだ。

中期計画には歳入改革も明記する。
歳出改革だけで不足分を補うのは難しいためだ。ただ15年秋に消費税率を10%に引き上げる予定で、もう一段の増税議論はしにくい。安倍晋三政権は消費増税だけでなく経済成長による所得増で税収を押し上げたい考えだが、どこまで再増税議論に踏み込むかが焦点となる。

【日経新聞】
by kura0412 | 2014-07-22 10:32 | 経済 | Comments(0)

「真の正念場は中医協、社保審」

混合診療に一転賛成 医師会の妥協と思惑(真相深層)

岩盤規制の象徴だった「混合診療」が拡大する。
政府は6月の成長戦略で、保険外の先端医療を地域の病院でも受けられる制度を作ることを決めた。日本医師会は当初は安全面に問題があるとして猛反発していたが、容認に転じた。医師会が賛成した理由と――。

■消えた全面解禁
混合診療は公的な保険診療と保険がきかない自由診療を組み合わせる制度。現在は保険がきく部分まで全額自己負担になってしまう問題がある。例外として安全性や有効性が確認できた先進医療に限って保険が使える規定もある。
政府の規制改革会議が当初めざしたのは混合診療の全面解禁だ。同会議が3月に提案した「選択療養」は患者と医師が合意すれば混合診療を認める制度。これが事実上の「全面解禁案」だった。
4月に記者会見した日本医師会の横倉義武会長は「安全性や有効性が疑わしい治療が横行しかねない」と反発した。規制改革会議が想定した範囲内の反応だが、本音は別とみていた。混合診療が拡大すると、保険診療が縮小する可能性がある。保険がきくことで患者を集めている診療所は収入が減る恐れがあるのだ。

ところが難病の患者団体や医療費を支払う健康保険組合の団体もこぞって反対した。
反対派からすれば「終わった話」(自民党厚労族幹部)のはずだったが、改革の目玉を作りたい規制改革会議は粘った。「現行制度を変えることを検討してほしい」と述べた安倍晋三首相の後押しもあった。
例外規定では一定数の症例を集めた研究目的でないと認められない。選択療養は患者の希望で治療法や未承認薬の申請ができる点で、医師会とは相いれない。同会議はやむなく全面解禁をあきらめ、医師会や厚生労働省との妥協を探った。譲れない一線は「患者本位」というキーワードだ。
6月末に会長任期が迫っていた横倉氏は、安倍首相との近さが売り。過去には医師会が断固反対していた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉入りでも政権と折り合いをつけた実績がある。横倉氏は、安倍首相がオバマ米大統領と会談した直後に「医療の皆保険は守れることになった」と、携帯電話に報告を受けた。この首相の確約を反対論者の説得材料にした。今回も首相の確約が決定打になるとみた。
「はじめから政権と敵対することはあり得ない」とする横倉氏。
いずれは医療費に切り込まざるを得ない時が来る。反対論ばかりで政策決定の場から閉め出されるより、関与した方がよほど医師会の利益になる。医師会幹部は混合診療の全面解禁に歯止めをかけるべく働きかけを強めた。
できあがった案は「患者申し出療養制度」と名前を変えた。
患者本位という規制改革会議のメンツをたてる一方、国が専門家の意見を踏まえて決める仕組みを作ることにして全面解禁は避けた。

■法改正を阻止
日本記者クラブで18日記者会見した横倉氏は「安倍首相が(対象になった治療は)保険を適用するとはっきり言ったので医師会がめざす方向と同じになった」と賛成に転じた理由を説明した。
6月29日開いた日本医師会の代議員会。前日に無投票で会長に再選された横倉氏は、混合診療への対応をめぐり、舞台裏を知らない地方の医師会から厳しい言葉で詰め寄られた。横倉氏は「政府はさまざまな提案を出してくるが、声高に反対するだけでは通らない」と理解を求めた。

彼らにとって真の正念場は、新制度に肉付けする中央社会保険医療協議会や社会保障審議会・医療保険部会だ。
6月末の中医協では医師会出身の委員が「法改正は必要ないのではないか」と、現行制度の改善で対処するように求めた。法改正しなければ新制度は実現しない。地域の医療機関で実施する案も「大学病院だけで地域の診療所は入らない」とけん制した。
医師会は着々と「骨抜き作業」に動き始めている。

【日経新聞】
by kura0412 | 2014-07-19 08:56 | 医療政策全般 | Comments(0)

社会保障制度推進会議が社会保障制度抑制会議になるのか

年金・医療 痛みの改革へ 社会保障会議スタート

年金、医療、介護など社会保障制度の改革論議が始まった。1947~49年に生まれた団塊世代の高齢化で、10年後の国の社会保障負担は今より2割増える。給付の抑制、高齢者の負担増など国民に痛みを求める改革に政府は踏み出せるか。
「(受給開始年齢の引き上げ検討など)年金や高齢者雇用の問題が残っている。2025年度を見据えて議論したい」――。社会保障制度改革推進会議の清家篤議長(慶応義塾長)は17日の初会合後の記者会見で、こう抱負を述べた。

改革推進会議は、民主党政権下の12年に設置した社会保障制度改革国民会議の後継組織。社会保障改革プログラム法に基づき、6月に首相の諮問機関として設置された。清家氏のほか、伊藤元重東大教授など10人が委員に入った。国民会議で決まった改革の進捗を確認すると同時に、さらなる改革を首相に提言する。
社会保障改革は日本の活力回復や財政再建の最大の焦点の一つだ。改革推進会議の議論が、来年以降の骨太の方針や成長戦略など政府方針に反映される見通しだ。

厚生労働省によると、2025年度に、75歳以上の人口は15年度の1646万人から2179万人へと急増。全人口に占める割合は13%から18%になる。国の社会保障費は119兆円から148兆円へ増える見込み。
制度を維持するために、さらに踏み込んだ年金、医療の給付削減などが課題になる。
たとえば、年金の減額。04年改革で導入した年金額を0.9%程度削減する仕組みは、一度も使ったことがない。15年度から毎年確実に実施することが課題になる。
医療サービスの縮小も焦点だ。
薬は一度保険に適用すると、外れることがほとんどない。過去にビタミン剤を適用から外した時は、160億円の削減につながった。健康保険組合には、「湿布や風邪薬も適用外にすれば、削減額はもっと積み上がる」との意見がある。
いまの社会保障制度は現役世代に過度な重荷がかかっている。高齢者の医療費の自己負担を増やしたり、支え手を増やす取り組みを進めれば、負担は和らぐ。
社会保障制度を立て直すことは、日本経済の成長につながる。委員の武田洋子三菱総合研究所チーフエコノミストは、「成長戦略と財政健全化にもつながる議論がいる」と指摘した。

【日経新聞】



この会議の議論と社保審、中医協における保険外併用療養の具体的な議論が並行的に進みます。
既にいろいろないわゆる抑制策の意見が出ているようです。
by kura0412 | 2014-07-18 15:39 | 医療政策全般 | Comments(0)

介護での歯科の重要性をアピールできる場面

介護事業に成果報酬 厚労省検討、利用者の状態改善で増額

厚生労働省は介護サービスを通じて要介護者の心身の状態が改善したかどうかを、事業者に支払う介護報酬に反映させる検討に入った。
評価方法の研究を進め、2018年度から評価の高い事業者ほど報酬を多く受け取れる仕組みにする。成果報酬型にすることで高齢者の要介護度の改善を促し、介護給付費の抑制につなげる狙い。

社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護給付費分科会が16日に開いた研究委員会で、介護の質を報酬で評価する手法を調査することを決めた。今年度いっぱいかけて調査し、18年度の介護報酬改定で反映することを目指す。
現行の介護報酬の仕組みでは、高齢者の介護の必要度を示す要介護度が高いほど介護保険で事業者に支払う報酬は増える。重度の人ほど介護が大変だからだ。
ただこの仕組みだと、介護を通じて高齢者の状態を改善して要介護度を下げると、事業者がもらう報酬は減ってしまう。サービスの質や効果を高める動機が乏しく、努力した介護職員の待遇も高まりにくい。そこで介護の質を評価する客観的な指標を作り、評価が高い事業者には介護報酬を増額する仕組みを目指す。
調査研究は在宅復帰を目指す高齢者がリハビリ目的で入所する老人保健施設や、要介護者の介護計画を作るケアマネジャーの事業所を対象に実施する。要介護者の運動機能や認知能力などのデータを継続的に集め、介護保険の利用情報と突き合わせる。介護サービスを通じて状態が改善したかどうかを測る。
心身の状態改善という「成果」をはかる指標だけでなく、例えば寝たきりの要介護者の床ずれを防ぐために体の向きを頻繁に変えるといった、状態改善に向けた「過程」をみる指標も組み合わせた評価にする方針だ。

介護の質の評価は欧米諸国や韓国で先行している。国内でも滋賀県や東京都品川区が要介護度の改善に貢献した事業者に助成金を支給するなど、自治体で独自の取り組みが出ている。
高齢化の進展で介護給付費は25年度には現在の倍の約20兆円に増える見込み。事業者の取り組みで要介護度が改善する高齢者が増えれば、中期的には介護ニーズそのものが減って介護給付費が抑える効果も期待できる。国や自治体のほか、介護保険料を納めている40歳以上の国民の負担軽減につながる可能性もある。
介護の質を評価する仕組みは、政府が閣議決定した新成長戦略にも検討することが盛り込まれている。

【日経新聞】



歯科の重要性が更に増してくるはずなのですが、それを後押し政策の提案が見当たりません。
by kura0412 | 2014-07-17 11:44 | 介護 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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