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やはりW選挙想定で

衆院解散総選挙は自民党総裁選後の来年暮れ以降!「2018年まで続投」狙う安倍首相の目算

永田町を回っていて、「この秋に衆院解散・総選挙があるんじゃないですか」とよく聞かれる。当初は一笑に付していたが、今秋に解散・総選挙という観測が案外、根強く流れている。
なので、あえて断言しよう。解散・総選挙は、来年9月の自民党総裁選で首相・安倍晋三が再選された後、来年暮れ以降だと──。

ささやかれる「今秋解散」は首相にメリットなし
解散は通常、時の首相にとってメリットがあるときに行われる。
前回2012年、民主党政権下で当時の首相・野田佳彦や、前々回09年の同・麻生太郎が断行した解散を振り返ると、いずれも政権の喪失につながり、メリットはなかった。
それでも野田が解散したのは、翌年の通常国会で予算案を成立させられるメドが立たなかったからだ。また、麻生は解散時期を先延ばししているうちに任期満了近くになってしまった。つまり、最も有利な時期に、と思っているうちにその時期しかなくなってしまったわけで、野田も麻生も議席減を最小化する最善の選択と信じていた。
安倍に今秋解散するメリットはあるだろうか? その説の火元となっている民主党の議員に聞くと、以下のような理由を上げる。
①北朝鮮の拉致問題の進展と絡めれば、自民党にとって今秋が最も有利なはずだ。
②この時期を逃すと景気がどうなるか分からない。景気が悪くなったら内閣支持率も下がり、解散どころではなくなる。
③安倍は来秋の総裁再選後、総裁任期が切れる18年9月まで続投しようとしている。今秋、解散しておけば、4年間は解散せずに総裁任期満了を迎えられる。
そのように聞くと、もっともらしい。だが、これらの見立ては大事なことを見落としている。今ほど自民党にとって有利な政治状況を衆院解散・総選挙によってつくり出せるかということだ。
野党の選挙協力阻む「衆参同日選」も

現在の政治状況を俯瞰すると、次のような好条件に恵まれている。
①自民党は公明党と合わせ、衆院で3分の2を上回る325議席を、参院でも過半数を上回る134議席をそれぞれ得ている。
②野党各党は一致した行動が取れず、自公両党に協力する政党がある。言い換えると、野党分断策が奏功している。
③民主党、みんなの党などは分裂する可能性をはらんでいる。
解散・総選挙を行った場合、①の衆院の議席は多少増えるかもしれない。でも、すでに圧倒的多数を得ているのだから、増えたところであまり意味はない。むしろ、減る可能性の方が強いだろう。
一方、野党側がどうなるかを予測すると、いざ解散・総選挙となれば、一気に野党再編が進み、自民党に対抗する勢力が一つか二つ誕生する可能性が高い。一昨年暮れの総選挙や昨年夏の参院選で自民党が圧勝したのは、野党が候補者を乱立させ、非自民票が分散したことが大きな原因だったからだ。
こう考えると、今ほどの好環境は解散しても望めない。今の状況が続くならば、たとえば集団的自衛権に関する憲法解釈の変更でも、自公両党が合意さえすれば法案は成立したも同然になる。そんな優位性を維持できるのである。
ならば、解散・総選挙の時期はいつか。私は自民党総裁選後の来年暮れから参院選が行われる16年夏の間とみている。公明党は難色を示すだろうが、衆参同日選の可能性もある。同日選なら、野党の選挙協力が非常に難しくなるからだ。
いまのところ、安倍は来年9月の総裁選で再選されるのは確実だ。そこでさらに3年の任期を得れば、総選挙で多少数を減らしても、安倍は続投することができる。このように見るのが政局の筋だろう。

【田崎史郎「ニュースの深層」】



やはり2年後にW選挙と想定して政局は動くと考えていた方が良いのかもしれません。
by kura0412 | 2014-06-30 09:43 | 政治 | Comments(0)

『「組織力強化」「地域医療を支える」「将来の医療を考える」』

横倉日医会長、「三つの方針」で2期目始動
副会長選挙、現職の3人が当選

6月28日の日本医師会定例代議員会で役員選挙が実施され、副会長選挙では現職の3人が当選した。奈良県医師会長の塩見俊次氏は落選した。有効投票数1074票(投票者数は358人)のうち、中川俊男氏は334票、今村聡氏は324票、松原謙二氏は297票を獲得、塩見氏は75票だった。白票44票、無効票はなかった。
今回の役員選挙は、副会長選挙以外は、2期目となる横倉義武会長をはじめ、無投票だった。そのほかの役員は、常任理事10人、理事15人で、理事のうち、勤務医と女性医師が1人ずつ入った。いずれも任期は、2016年6月に開催予定の代議員会までの2年。

代議員会後の記者会見で、横倉氏は2期目を迎えるに当たって、「三つの方針」で臨むと表明。「医師会の組織力強化」「地域医療を支える」「将来の医療を考える」――だ。
横倉会長は、「これらに取り組むのは、全て国民の医療と健康のため。国民の安全な医療に資する政策か、公的医療保険による国民皆保険が堅持できる政策か、これら二つを様々な政策の判断基準の基礎に置いて、今後も政府の提案する政策に対して、是々非々の態度で臨んでいく」との決意を語った。

経済重視で、医療に対して厳しい目を向ける安倍政権との関係を聞かれ、横倉会長は、「政権が提案する政策はしっかりと中身を見て、二つの政策の判断基準を基に、是々非々で対応していく」と繰り返した。その上で、「社会保障である医療の一翼を担う我々としては、政権と完全に敵対することはあり得ない。国民の健康を守るためには、政権に対して、必要なことは持続的に訴え、理解を求めていく」と述べ、安倍政権との関係には配慮した医師会運営を続けるとした。

記者会見では、3人の副会長も挨拶。
中川副会長は、直近の課題として、「地域医療ビジョン、2025年に向けた医療提供体制の構築、地域包括ケアシステムの確立が第一」と掲げるとともに、政府が打ち出す医療の規制改革に対しては、政府の新成長戦略で打ち出された「患者申出療養(仮称)は、程よいところに決着した」とし、「その攻勢と引き続き戦っていく」との所信を述べた。
今村副会長は、前期の2年間が、総務と税制の担当だったことから、「引き続いて担当するのであれば、組織強化、特に医学生や勤務医の支援に今まで以上に力を入れていく。また税制については、消費税率10%になれば、医療に大変大きな影響を与える。その対応に全力を挙げて取り組んでいく」との方針を示した。
2013年10月に副会長に就任した松原氏は、再選されたことを受け、「代議員の先生方からは合格点をもらえたのではないか。『チーム横倉』として、一丸となり、患者や国民のためにがんばっていきたい」とコメントした。

日医、約20万人の会員を目指す
記者会見の冒頭、横倉会長は、1期目の過去2年間について、「継続から改革、地域から国へ、という二つのスローガンを掲げて、医療の様々な問題解決に向け、努力をしてきた。また、医療界のさらなる大同団結を訴えながら、地域医療の再興に向けて取り組んだ2年間だった。検討中の多くの課題が、解決に向かうのが今からの2期目になる」と振り返り、執行部が一丸となって取り組んでいくとした。

2期目の「三つの方針」の第一は、「医師会の組織力強化」。
横倉会長は、「私たちが主張する国民のための医療をさらに推進していくためには、医師会の組織力を従来以上に強化していかなければいけない」と述べ、日医内に実務を担う委員会を立ち上げるとともに、郡市区医師会、都道府県医師会、日本医師会がそれぞれバラバラだった会員情報システムを再構築するなど、より実践的な議論と取り組みを進めていくとした。日医会員は現在、約16万5000人。今後は、約20万人弱の郡市区医師会の会員の全てが日医会員になるよう、組織力強化に取り組んでいくとした。
第二の「地域医療を支える」は、1期目からの継続課題。
横倉会長は、「超高齢社会を迎えるに当たって、かかりつけ医を中心として、地域包括ケアシステムを、地域の行政や地域の医師会が主体となって構築し、各地域に即した形での街づくりを進めていくことが必要」と強調。その担い手である、かかりつけ医については、日医として教育・研修にも力を入れていくとした。
第三の「将来の医療を考える」について、横倉会長は次のように語った。
「国民が必要とする医療を、過不足なく受けることができる社会を作っていくために、生涯保健事業の推進、健康寿命健康の延伸など、時代に即した改革を進めながら、国民皆保険を堅持し、持続可能なものとしなければならない」。郡市区医師会、都道府県医師会、日本医師会のそれぞれが役割を果たし、持続可能なシステムを確立できるか、「今からが正念場」と横倉会長と意気込みを見せた。

【m3.com】
by kura0412 | 2014-06-28 17:11 | 医療政策全般 | Comments(0)

『超高齢化社会におけるインプラント療法の問題点』

日本歯科医師会雑誌の今月号に掲載された小宮山弥太郎先生の論文「超高齢化社会におけるインプラント療法の問題点」はいろいろなことを示唆し考えさせられました。
日本のインプラント先駆者の先生だけに、臨床現場の現状を憂いているのだと思います。今、改めればまだ対応は可能です。
by kura0412 | 2014-06-28 12:44 | コラム | Comments(0)

基金がスタートしましたが

一括法公布、新基金が正式スタート-11月に交付先決定へ

基金の仕組み
医療・介護制度改正の一括法が25日に公布され、904億円の新たな財政支援制度(基金)の創設など、幾つかの改正事項が同日に施行された。
基金は消費税増収分が財源で、病床の機能分化のために必要な事業や医師確保のための取り組みなどが交付対象。厚生労働省はこれまで、都道府県への配分を決めるため個別のヒアリングなどを行っており、今年11月に交付先を決定する。一括法ではこのほか、今年10月に病床機能報告制度が始まるほか、来年10月に医療事故調査制度と看護師による特定行為のための研修制度が動きだす。
基金の創設が明らかになったのは昨年12月20日。
この日、田村憲久厚労相が今年度の診療報酬改定率を発表した記者会見の中で、基金についても触れた。その後、基金の創設を盛り込んだ今年度予算が3月に成立。都道府県は医療機関や病院団体などから意見を聞き、交付対象にする事業の内容や希望する金額の規模などをまとめ、来月までに国に報告する。その後、都道府県が作成した計画に基づき、交付先が決まる。なお、基金は4月に遡及して適用できるため、一部地域ではすでに交付を見込んだ事業が動きだしている。

同省が挙げている具体的な事業例は、
▽がんの医療体制における空白地域の施設・設備整備▽在宅医療の実施に係る拠点の整備
▽女性薬剤師等の復職支援▽看護職員が都道府県内に定着するための支援
▽勤務環境改善支援センターの運営
▽有床診療所における非常勤医師を含む医師、看護師等の確保支援-など。

■胸部X線のみ、医師の立ち会い不要に
25日に施行された法改正には、診療放射線技師法の一部も含まれる。これにより、
巡回検診車など病院や診療所以外の場所で胸部X線撮影のみを行う場合、これまで不可欠だった医師または歯科医師の立ち会いが不要になった。ただし、これまでも、ほとんどの健診機関で医師などが“同行していた”が、撮影時に実地に“立ち会ってはいなかった”ため、この改正は現実の追認という意味合いが強く、現場への実質的な影響は少ないとみられる。

【キャリアブレイン】



基金がスタートしましたが、やはり歯科では都道府県歯は予算獲得に苦慮している所が多いようです。
一部各取り組みの提案をみましたが、既に昨年度からスタートしている口腔保健推進事業とこの基金を一緒に考えている所があります。しかし、国の補助の予算の出所は違います。今回の基金での歯科の対象は、基本的には在宅とスタッフ養成関連の事業です。この点をはっきり区別しないと、今後の予算獲得も厳しいかもしれません。
by kura0412 | 2014-06-26 08:56 | 医療政策全般 | Comments(0)

方向性を見据えてきめ細かい対応がー安倍政権の打ち出す医療改革に対して

安倍政権の医療制度改革:
医療、「公的保険はブレーキ、保険外はアクセル」-政府が「骨太の方針」「新成長戦略」を閣議決定

政府は6月24日、「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)および新成長戦略を閣議決定した(首相官邸のホームページを参照)。これらは、臨時閣議に先立ち開催された、第6回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議で正式に了承された。公的保険給付は抑制を図る一方、保険外給付や健康・予防分野については拡大を図り、医療・健康産業全体では成長を図るのが政府の方針だ。

「基本方針2014」では、効率化・適正化を図る分野として医療を位置づけ、病床再編やICT活用による保険者機能の強化をはじめ、多数の改革項目を掲げた。
その一方、2013年まとめた日本再興戦略を改訂し、「新成長戦略」として打ち出し、医療を成長産業分野に位置づけた。「改革に向けての10の挑戦」の1つに医療が加わり、(1)非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮)の創設、(2)個人への健康・予防インセンティブの付与、(3)保険外併用療養費制度の大幅拡大(患者申出制度(仮称)の新設など)――を通じて、社会保障制度の持続可能性の確保と、健康産業の活性化を図るとしている。
安倍晋三首相は臨時閣議後の会見で、「安倍内閣の成長戦略にタブーも聖域もない。あるのはただ一つ、どこまでもやり抜く強い意志。新しい成長戦略でも、岩盤のように固い規制や制度に果敢にチャレンジした」と述べ、労働制度改革や外国人材の活用、農協の抜本改革と並んで、「医療でも患者本位の新しい制度を導入する」とし、患者申出制度(仮称)の新設をアピールした。

保険者機能、ICTで強化
「基本方針2014」では、歳出の重点化・効率化を進める分野の一つとして、社会保障改革を掲げ、医療・介護提供体制の適正化、保険者機能の強化と予防・健康管理、介護報酬・診療報酬等改定、薬価・医薬品に係る改革などを課題として挙げている(『「薬価毎年改定」消える、骨太の方針素案』を参照)。
医療・介護提供体制の適正化については、地域医療ビジョンを策定し、病床数等の目標設定と政策効果の検証を行いつつ、病床の再編を進めるほか、地域包括ケアを推進する必要性を指摘。さらに、地域医療ビジョンと整合的な医療費の水準や医療提供に関する目標を設定し、実現に向けて加速するよう、医療費適正化計画を見直すとしている。
保険者機能の強化の一環として掲げられたのが、ICTの活用。各保険者が、レセプト・健診等のデータを活用して、後発医薬品の使用促進、かかりつけ医の協力を得て患者の意識改革を進めることによる頻回受診の抑制、生活習慣病の早期治療等による重症化予防、公的保険外サービスの活用を含む予防・健康管理などに取り組む必要性を指摘した。その際、医療費効率化の効果などを指標としたPDCAサイクルを回すとしている。保険者が被保険者に対して、本人の予防・健康管理への取組に応じてインセンティブを付与する取り組みも推進するとした。
診療報酬改定については、医薬品や医療機器の保険適用に当たって、費用対効果評価を行うべきとしている。同評価は、ここ数年来、中央社会保険医療協議会で議論が続いている。そのほか、「医療提供者に対して良質かつ効率的な事業運営を促す報酬の在り方」を検討することも求めている。
薬価・医薬品に係る改革では、まず医薬分業の在り方について言及しているのが注目点。「診療報酬上の評価において、調剤重視から服薬管理・指導重視への転換を検討」との方針を掲げたほか、処方変更がない場合、処方せんを一定期間内に繰り返し利用する「リフィル制度」の検討を提言。そのほか、長期収載医薬品などの薬価の在り方、市場実勢価格を適正に反映できる薬価改定、スイッチOTCや後発医薬品の推進など、多数の改革項目を挙げている。

大学病院、「大学から独立」も可能に
新成長戦略では、「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮)」を創設するとし、複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的に経営することを可能にするため、2015年中の措置を目指すとした(『複数の医療法人一体経営可能に、日本再興戦略改定案』を参照)。さらに、新法人制度を活用して、「大学附属病院を大学から別法人化できるよう、必要な制度設計について検討」するとし、2014年度中に結論を得て、2015年度中の措置を目指すとしていることも注目点だ。
個人への健康・予防インセンティブの付与」については、(1)医療保険制度において、個人へのヘルスケアポイントの付与や現金給付が可能であることを明確化、(2)個人の健康・予防の取組に応じて財政上中立な形で各被保険者の保険料に差を設けることを検討――の二つが柱で、いずれも2015年度中の措置が目標。
「保険外併用療養費制度の大幅拡大」として、患者の治療の選択肢を拡大するため、「患者申出制度(仮称)」を新設し、次期通常国会への提出を狙う。現行の保険外併用療養費制度についても、「先進医療」については、評価を迅速化・効率化するほか、費用対効果評価のほか、「日本版コンパッショネートユース」も2015年度から開始すべきことなどを提言している。

【m3.com】



今回の骨太方針に沿った成長戦略のそれぞれの政策に対して、果たして現在の歯科界で対応は可能でしょうか。腹据えて政策に対して方向性を見据えて、きめ細かい対応が求められています。
by kura0412 | 2014-06-25 13:09 | 医療政策全般 | Comments(0)

サルコぺニアにロコモ、今度はフレイルです

高齢者は「フレイル」に注意 放置すると要介護に ・筋力衰え疲れやすい

高齢になると筋力が衰え、短い距離を移動するのも一苦労。そのうえとても疲れやすい。老化現象だと高齢者の多くが半ばあきらめていた症状を、日本老年医学会が「フレイル」と名称を統一し、予防の必要性を指摘する提言を5月にまとめた。専門家は適切な運動と食事を心がければ「要介護状態に陥るのを防げる可能性がある」と対策を呼びかけている。

高血圧や膝関節症などの治療のため通院している高齢女性は、最近だるさや疲れやすさを自覚するようになった。体重が減り、歩くのも遅くなったため青信号のうちに横断歩道を渡りきれないこともある。寝付きが悪くなり、睡眠薬を処方してもらっている。専門家によると、こうした例がフレイルの典型だという。
フレイルとは英語で虚弱や老衰などの意味を指す「Frailty」をもとにした概念で、日本老年医学会が考案した。
まだ医療現場では浸透しておらず、同医学会の声明では、高齢者の医療介護に携わる専門職に対して「食事や運動によるフレイルの1次、2次予防の重要性を認識すべきだ」と訴えた。統一名称を用いることで、予防の大切さを分かりやすく訴え、認知度を高めようという意図だ。

■国内に推定約450万人
フレイルは高齢者が介護が必要になる手前の段階。歩く速度が落ちたり、体重ががくんと減ったりして日常生活を送るのに必要な体力が衰えてしまう。何の対策もとらずにいると、75歳以上の後期高齢者の多くがこの段階を経て、要介護状態に徐々に近づく。
フレイルに似た概念では、年齢とともに筋力が落ちる「サルコペニア」や、運動機能が低下した状態になる「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群、ロコモ)も提唱されている。ロコモは、内臓に脂肪が蓄積して生活習慣病の危険が高まるメタボリックシンドローム(メタボ)に続き、世間でも徐々に知られるようになってきた。

これに対し「フレイルは高齢者に対象を絞り、筋肉以外にも様々な体調不良が表れる」と同学会の提言作成の中心となった京都大学の荒井秀典教授は説明する。うつ症状や認知症など精神的な問題につながる恐れもあるという。
荒井教授によると、介護保険で要支援と認定された人と合わせれば国内で約450万人がフレイルの症状にあると推定されるという。これらを要介護予備軍とすると、国の医療費と介護給付費の増加に直結する。「フレイルの予防や、フレイルの状態になるのをできるだけ遅らせることが重要になる」(荒井教授)
国内ではまだフレイルの正式な評価法はなく、荒井教授らは現在、独自の評価法づくりに取り組んでいる。米国老年医学会の基準では(1)体重減少(2)歩行速度の低下(3)握力の低下(4)疲れやすい(5)身体の活動の低下――これらの5項目のうち、3つが当てはまるとフレイルとなる。
この評価法は身体的な変化をみているが、荒井教授は「記憶力の低下や社会的な環境などにも着目することが必要だ」と訴える。高齢者では、配偶者が先に亡くなった後の独居や貧困などによる生活環境の変化が、心身ともに影響を及ぼす恐れがあるからだ。こうした考えをもとに日本の評価法を策定する方針だ。

■適度な運動と食事で予防、1日5000歩目安に
どうすればフレイルの予防につながるのか。専門家は適度な運動と食生活の組み合わせが欠かせないと指摘する。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利運動科学研究室長は「高齢者では、ウオーキングなど無理のない範囲で運動するのが効果的だ」と呼びかける。青柳室長は2000年から群馬県中之条町の協力を得て、65歳以上の高齢者を対象に健康づくりプロジェクトに取り組んできた。
延べ約1000人が腰に身体活動計を一日中つけて日常のウオーキングと健康の関係を調査。生活習慣病やうつ病など病気ごとに予防に効果的と考えられる歩数を特定した。要支援・要介護、認知症などの予防には1日5000歩を歩き、そのうち7分30秒は早歩きすると効果があるという。青柳室長は「フレイル予防もこの数字を目安に考えてほしい」と話す。
食生活への配慮も重要。
糖尿病などの持病がある人は悪化しないよう気をつけつつ、「肉や魚、乳製品、大豆などの良質なたんぱく質を含む食品を75歳以上になっても積極的にとるよう心がけてほしい」と荒井教授は訴える。特に「体重が減った人は高たんぱく食品を中心にしっかり栄養をとってほしい」。ビタミンやミネラルの摂取も効果的だ。
最近は高齢者用の運動プログラムを組むジムも増えている。
自治体の中には商店街の活性化とウオーキングを結びつけ、高齢者が外出しやすい環境を整える動きもある。こうした仕組みを有効活用するのもよいだろう。

【日経新聞】


歯科は実際あって治療の対象がありながら新たな病名を作り出すのに苦労していますが、医科はサルコぺニアにロコモ、そして今度はフレイルと続々と新たな病名を導いています。
by kura0412 | 2014-06-24 15:36 | 歯科 | Comments(0)

「口腔機能低下症」「要介護性口腔症候群」「オーフス(オーラルフレイルの略)」

日本老年歯科医学会 第25回学術大会 開催される

6月13日(金)~14日(土)電気ビルみらいホール(福岡市中央区)において,標記の学術大会が「生活に寄りそう歯科医療と高齢社会」をテーマに開催された.大会長は柿木保明氏(九州歯科大).約1,300名が参加する盛会となった.
初日に行われたミニシンポジウム1「超高齢社会における高齢者の歯科診療を考える」(座長:櫻井薫氏・東京歯科大)では,
細矢哲康氏(鶴見大)が高齢者の根管治療について,福島正義氏(新潟大)が高齢者の根面齲蝕とその対応としてのフッ化ジアンミン銀の使用について,角保徳氏(国立長寿医療研究センター)が口腔ケアを主体として口腔機能の維持・向上を目指す「高齢者歯科医療」を確立する必要性について,それぞれ解説した.
特別講演「高齢者医療と緩和ケア」(座長:森戸光彦氏・鶴見大)では,
佐藤英俊氏(佐賀大)が,米国・英国での緩和ケアのあり方を参考に設立された同大緩和ケア病棟での取り組みを紹介.緩和ケアにおける他職種によるチームアプローチの重要性を強調するとともに,「最期まで口から食べる」ことを支える歯科医療職の役割についても言及がなされた.
特別企画「高齢者の口腔乾燥症への対応」(座長:柿木保明氏・九州歯科大)では,
小笠原正氏(松本歯科大)が口腔乾燥の患者にみられる口腔内付着物の形成機序およびその予防としての口腔保湿のあり方について,中村誠司氏(九州大)が口腔乾燥を引き起こす代表的疾患であるシェーグレン症候群について,佐藤裕二氏(昭和大)が口腔乾燥による義歯の維持力低下への対応について,それぞれ解説した.
シンポジウム1「医科歯科連携における歯科の役割」(座長:羽村章氏・日本歯科大)では,
林田裕氏(北九州中央病院)が,自身が関わった事例をもとに,連携において「向きは同じでも温度差がある」現実を紹介し,"face-to-face"で向き合うことの重要性を訴え,大渡凡人氏(東京医科歯科大)は自大における医科病院・歯科病院の連携の現状と問題点を紹介した.藤本篤士氏(札幌西円山病院)はPAP(舌摂食補助床)による嚥下補助の例などを挙げ,医科歯科連携において歯科が「歯科にしかできないこと」を認識することの重要性を強調し,中村真理氏(北九州八幡東病院)は,療養型病院における連携の現状を報告した.
歯科衛生士シンポジウム「いつまでも自分の口から食べるために~食べるを支える歯科衛生士の力」(座長:大野友久氏・聖隷三方原病院,石黒幸枝氏・地域包括センターいぶき)では,
西川利恵氏(東名厚木病院),梶原美恵子氏(フリーランス),髙野ひろみ氏(高野歯科医院),西岡心大氏(長崎リハビリテーション病院)の4氏が急性期病院,在宅,回復期リハ病棟での経験を紹介し,高齢者の「食べる」の支援における歯科衛生士の役割と他職種協働の実際について述べた.

翌日に開催されたミニシンポジウム2「高齢者の口腔機能低下」(座長:下山和弘氏・東京医科歯科大)では,
昨年開催された本学会ワークショップ「高齢者の口腔機能低下を病名にできるか」における討論内容について,上田貴之氏(東京歯科大),山本健氏(鶴見大),渡邊裕氏(国立長寿医療研究センター研究所)の3氏より報告がなされ,病名として「口腔機能低下症」や「要介護性口腔症候群」,また広く国民に普及させるための通称として「オーフス(オーラルフレイルの略)」などといった提案が紹介された.森戸光彦氏(鶴見大)における指定発言でも,早急に名称を策定することの必要性が強調された.
教育講演「認知症の予防・治療の最前線」では,
西野憲史氏(西野病院)が,まず認知症の進行過程や診断基準,研究の現状などについて説明.その上で,自院における取り組みを紹介し,認知症患者に対して園芸療法などを通じてアクティビティを提供することが生活意欲の活性化につながると述べた.また,残存歯数や歯周病と認知症の関連など,歯科と認知症との関係性についても言及した.
シンポジウム2「終末期高齢者における歯科の対応」(座長:平野浩彦氏・東京都健康長寿医療センター研究所)では,
まず小原由紀氏(東京都健康長寿医療センター研究所)が,テキストマイニングといわれる手法を用いて各医療職種へのアンケート結果を分析した研究を紹介し,終末期医療における歯科の役割として経口摂取の支援への期待が大きいことを報告した.清水哲郎氏(東大大学院人文社会系研究科)は,"End-of-Life Care"に携わる上で求められる医療・介護従事者の倫理的姿勢について,哲学者の立場から提言した.阪口英夫氏(大生病院)は,終末期ケアという概念の先駆者である歯科医師のAustin Kutscherの考えを紹介し,終末期ケアに歯科がどのように関わっていくべきかを論じた.
シンポジウム3「アジアにおける高齢者歯科の連携に向けて」(座長:小野高裕氏・大阪大)では,
黄純徳氏(台湾・高雄医科大),Orapin Kaewplung氏(タイ・Chulalongkorn大),下山和弘氏(東京医科歯科大)の3氏により,急速に高齢化が進むアジアにおける歯科医療の現状と課題についての紹介と,日本とアジア諸国との高齢者歯科の分野における連携の必要性についての提言がなされた.
次回第26回学術大会は,パシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催予定.

【Ishiyaku Dent Web】



私もこの学会に参加しきましたが非常に熱気のある学会でした。
その中でも、今だ口腔機能低下に対しての病名がないのは色々な意味で大きな問題であること感じました。
by kura0412 | 2014-06-23 09:29 | 歯科 | Comments(0)

『サービス経営学、50大学で』では歯科は

サービス経営学、50大学で 京大院に専門課程

政府は飲食、宿泊、医療・介護などサービス産業の生産性を高めるため、経営者から現場で働く人までを対象に専門教育を通じた人材育成に乗り出す。2014年度から5年間で全国50大学に専門の学部・学科を設置する目標を設定。京都大学の大学院などにサービス業に特化した経営学コースを18年度に新設する。近く閣議決定する新成長戦略に盛り込む。

12年時点でサービス業は日本の国内総生産(GDP)の約6割を占め、年々拡大している。だが、サービス業の労働や資本の効率性を示す全要素生産性は1970年時点の1.5倍と、同3倍に伸びた製造業と比べて低迷している。
新しいサービスを生み出すIT(情報技術)の使い方や最新の経営手法を学んだ経営者が少ないことも、生産性の低さの背景にある。個人経営者の比率は飲食・宿泊業で6割超。映画館など娯楽業と生活関連サービスは7割弱だ。サービス業の大半は中小企業で、経営者の多くは現場で働きながら経営のイロハを身につけた。
米欧などではサービス業の経営学を学べる場が多い。米コーネル大学にはホテル経営学部がある。米国とシンガポールにある外食産業界のハーバード大ともいわれるカリナリー・インスティテュートや、流通部門の経営学で名高い英オックスフォード大学院が有名だ。

政府は日本にサービス産業の専門教育の場が少ないことに着目した。大学院、大学、専門学校の3段階でサービス業に特化した学習課程をつくる取り組みを支援する。8月末に締め切る15年度予算の概算要求に関連予算を盛り込む。
例えば、京都大の大学院に18年度から設けるサービス業の経営学コースの修了者には「サービス経営学修士」の学位を授与する。一橋大の大学院にも同様のコースを置くことを検討している。美容ビジネスが専門のハリウッド大学院大学(東京・港)は「おもてなし」と企業経営を学ぶコースを15年度に開く。
経済産業省は7月にも京都大学とサービス業に携わる民間企業約10社などを集めた産学官の協議会を開き、科目や教材など具体策の検討に入る。必要な教員は民間企業からも募る。政府の補助金に加え、民間企業が資金面で学校を支える仕組みも検討していく。
50大学へのサービス業専門の学部・学科の設置は、都道府県ごとに最低1校が目安。管理職になる人材の層を厚くするのが目的だ。先行例として政府が参考にするのは、千葉商科大学(千葉県市川市)のサービス創造学部だ。サービス業に特化した経営学や財務会計、ITを学ぶことができ、就職率は99%に上る。

サービス業関係の専門学校では、5年間で生徒数を倍増させる目標を掲げる。医療・介護や飲食、宿泊業などの専門コースを増やす。社会人が働きながら学びなおせる環境を整える。
高齢化が進み、医療や介護サービスを使う人が増えている。20年の東京五輪を控えて多くの外国人観光客が来日すれば、飲食や宿泊業の需要が拡大すると見込まれる。サービスの質を落とさず事業を維持するには生産性と収益力の向上が欠かせない。

【日経新聞】



われわれも専門学校で学ぶか、歯学部でもこの種の授業を受ける時代が来るのでしょうか。
その成否は別として歯科医療も変化してきています。
by kura0412 | 2014-06-20 16:29 | 歯科 | Comments(0)

『マイナンバー医療での活用は18年度の導入を目指す』

共通番号で医療費抑制 政府方針、投薬など管理

政府は全国民に割り振る社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を医療分野にも活用する方針だ。
本人が同意すれば、医療機関や介護施設が個人の医療情報を共有し、無駄な検査・投薬を避けられるようにする。マイナンバーで集めた医療情報をビッグデータとして分析することで、過剰な検査などを省いて国民医療費を抑制したり、新薬の開発に活用したりする。

マイナンバーは2016年1月に税や年金分野で運用が始まる。医療での活用は18年度の導入を目指す。
今夏から関係省庁、医療機関や産業界の代表を集めた「次世代医療ICT基盤協議会」で制度設計を始める。
政府は個人を特定できないデータは本人の同意がなくても第三者に提供できるようにする個人情報保護法の改正案を来年度の通常国会に提出する方針だ。
マイナンバーは健康保険証などに載せ、医療機関のカルテ、問診や診療報酬明細書(レセプト)などのデータと連結させる。個人は自分の番号を入力すれば、ネットなどで過去の診療や投薬の履歴を見ることができる。今は転職などで加入する医療保険が変わると健康保険証の診療履歴も途切れるが、マイナンバーがあれば一生、把握できる。
政府は集めた医療情報を原則、名前を伏せてビッグデータとして活用する。
レセプト、検体検査や手術記録、問診情報など幅広いデータを分析することで疾病ごとに標準的な診療を把握。健康保険組合などは過剰な検査や診療を見つけやすくなり、医療費の抑制につながる。
本人が同意した場合は個人情報としても活用し患者には便利になる。マイナンバーを使って病院などで投薬や検査が重複しない医療計画を作ってもらえる。緊急時もマイナンバーがあれば過去の病気などを簡単に把握できる。
医療機関もビッグデータを使って業務を効率化できる。
例えばネット上で患者が問診を受けるシステムを導入し、患者がスマートフォンなどから症状や生活習慣、性別・年齢を入力して来院前に送れば、病院での待ち時間を短くできる。二重の検査も避けられる。
さらに医療ビッグデータは国内の製薬企業にも開放し、難病などの新薬開発に生かす。
マイナンバーを医療分野で使うには、全国の病院や診療所に共通のIT(情報技術)システムを導入する必要がある。クラウドなどの活用で「国の予算は導入の支援として数十億円あれば済む」(内閣官房)という。
マイナンバー法が成立した13年5月時点では、個人の医療情報を第三者が使うことに日本医師会が反発し、医療での利用は見送られていた。

▼マイナンバー 
日本国内に暮らす人の個人情報を1つの番号で分かるようにする制度。
年金などの社会保険料や税務などの情報を管理する。行政サービスを効率化するほか、社会保険料の未納を防ぐ狙いがある。漏洩を防ぐ個人情報保護の課題もある。

【日経新聞】



将来的な目標はあっても、即、医療にも活用する話ではなかったはずのですが。
by kura0412 | 2014-06-18 15:07 | 医療政策全般 | Comments(0)

『「保険外併用療養は進んでおり、現在も十分に機能をしています』

日医は「患者申出療養(仮称)」の創設を受けて、「保険外併用療養の拡大について」コメントを出しました。
http://www.ikeipress.jp/wp-content/uploads/2014/06/pdf_201406_01.pdf
その中で「保険外併用療養は進んでおり、現在も十分に機能をしています。」との一文がりました。

確かに日医のスタンスではその通りです。
by kura0412 | 2014-06-18 11:19 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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