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恐るべし官僚

自民党は霞が関の焼け太りを防げるか

公務員制度改革の法案が内閣官房から出てきた。
はっきり言って骨抜きだ。
2009年に当時の自民党政権が提出した法案と比べても、内閣人事局への機能移管が不完全だし、国家戦略スタッフもなくなった。
2009年法案には書かれていた総理主導の公募制度と数値目標もなくなった。
さらに、自民党が野党時代に提出した幹部公務員法案に規定していた幹部公務員の降格制度も極めて限定的なものに戻された。
つまり、2009年当時に霞が関が嫌がっていたものが全部なくなってしまった。

しかし、最悪なのが「官民交流制度を拡大します」という、厚さ1センチの要綱・法案・新旧対照表の中に隠された毒薬だ。
官民交流というのは、現役出向と同じで、もともとは若い官僚を民間企業に出していろいろと勉強させるための制度だ。
それが民主党政権になって、天下りの代替策となった。
若い官僚ではなく肩たたき寸前の官僚を民間に出し、一時は役所に戻ってくるが辞めた後、そこに舞い戻って就職するという天下りもどきだ。
今回の公務員制度改革の中に官民交流法の一部改正なるものが紛れ込み、この新「天下り」を拡大しようという条文が盛り込まれている。

公務員制度改革の法案に、官民交流の拡大が盛り込まれているという情報を得て、29日の午後五時に党本部の望月行革推進本部長の部屋に内閣官房を呼ぶ。
説明はしどろもどろ。
しかし..
ここで法案を修正していると、この短い臨時国会での審議に間に合わなくなる。そうなると喜ぶのは反対派と人事院だ。ここは涙をのんでこの法案でやるしかない、という声が上がる。
しかし、内閣委員会には、この法案以外に国家戦略特区法案もかけられる。特区法案をこの臨時国会で通さなければ、いよいよ三本目の矢が危なくなる。だからここで公務員制度改革法案を出しても、審議できない可能性が高い。だから焦らず、まともな公務員制度改革をやるべきだ。
が、このなんちゃって法案にさえ自民党の参議院の中では反対が強い現状では、これでやるしかないという判断が下される。
30日の午後2時、行革推進本部と内閣部会の合同会議に、厚さ1センチの要綱・法案・新旧対照表が提出され、内閣官房が自分に都合の良い説明を10分ほどしたところで議論になり、3時前に法案の承認が求められる。

現在の自民党の事前審査では、法案をきちんと読んで問題点をあぶりだすことができない。結局、法案に霞が関が潜り込ませたいろいろなトリックがそのまま通ってしまう。
延々と受け継がれた法案審査の自民党方式は、事実上、東京電力している、いや、破綻している。この法案審査わずか一時間という形骸化された事前審査のおかげで国会の審議も形骸化され、霞が関の焼け太りを政治が防ぐことができない。
国会改革と同時に、与党の法案審査も改革し、国会で真の議論が行われるようにしなければならないし、国会の採決で、議員一人一人の賛否が記録されるようにしなければならない。

【河野太郎衆議院議員ブログ】



裏の裏までよく分析しないと凄いことになるようです。
恐るべし官僚。果たして政治がこれにどう対応するでしょうか。
by kura0412 | 2013-10-31 17:52 | 政治 | Comments(0)

劇薬まで含むとなると

三木谷氏、劇薬含め全面解禁を主張…ネット販売

政府の産業競争力会議メンバーの三木谷浩史楽天会長兼社長が29日、同会議の分科会に出席し、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売について「処方箋薬まで展望した医薬品のネット販売は、今後増大が予想される医療費の削減に寄与する」と述べ、副作用のリスクが高い「劇薬」を含め全てを解禁するよう改めて主張した。
政府は「劇薬」5品目のネット販売を禁止し、医療用から切り替え直後の市販薬については、一定期間後に解禁する方向で調整している。
今国会に見直しを盛り込んだ薬事法改正案を提出する方針だが、三木谷氏は同改正案に反対の立場で、調整は難航している。

これに関連し、自民党の「医薬品のネット販売に関する議員連盟」(会長・尾辻秀久元厚生労働相)は29日の総会で、政府内の調整に時間がかかるようであれば、ネット販売を規制する同法改正案を議員立法で今国会に提出する方針を確認した。

【読売新聞】



劇薬まで含むネット販売となると国民の理解は得られるでしょうか。最近拡大している本と薬の取り扱いは根本的に違います。
by kura0412 | 2013-10-30 17:46 | 医療政策全般 | Comments(0)

3年間安泰とはいかないかもしれません

安倍カレンダー、「黄金の3年間」に意外な空白

ねじれ国会を解消し、自民党内にも有力な挑戦者が見当たらない首相の安倍晋三。2016年の参院選まで大型国政選挙の予定はなく、安定政権を享受できるかもしれない。ただ、「黄金の3年間」を見渡すと、政権運営カレンダーに意外な空白ができかねない。14年の通常国会だ。

■ずれ込む憲法9条解釈の変更
「集団的自衛権の行使について、私が今、結論づけているわけでは全くない。専門家の議論を待ちたい。与党でも議論が行われる。行使するには、担保する法律もなければならない」
22日の衆院予算委員会。安倍は憲法9条が集団的自衛権の行使を禁じている、とする従来の政府解釈の見直しと、それに伴う自衛隊法など安全保障法制の抜本見直しに意欲をにじませた。ただ、当面は有識者でつくる「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書を待つ姿勢も強調。解釈変更や法整備の工程表は示さなかった。
会期が12月6日までの今国会で、首相官邸は外務、防衛両省を統括し、安保戦略を主導するための国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案の成立を急ぐ。今、集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更を持ち出せば、法案審議が紛糾しかねないと警戒する。安倍側近は「安保法制懇の報告書提出は今国会終了後。いつにするかは決めていない」と越年にも含みを持たせる。
連立を組む公明党は「平和の党」が看板で、集団的自衛権の行使に慎重姿勢を崩さない。
報告書を受けて内閣として憲法解釈を変更し、安保法制見直しへ進むには、与党関係をきしませる調整を迫られる。安倍の意欲は強いが、官邸からも「14年1月召集の通常国会で法整備までできればいいが、そう円滑に運べるかどうかは分からない」とじっくり構える声が漏れる。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉も先行き不透明だ。
安倍は24日の参院予算委で「日本も今や交渉の中核を担っている。年内妥結に向け積極的な役割を果たしていきたい」と力を込めた。関税撤廃など複数の分野で交渉は難航。「年内妥結」自体も見通しづらいが、国内政治への跳ね返りの本番はいずれにしろ、交渉の妥結後に訪れる。
コメ市場を部分開放した多国間貿易交渉のウルグアイ・ラウンドを振り返ろう。
各国が協定に署名したのは1994年4月。政府・与党は95年1月の協定発効をにらみ、94年10月に事業費6兆100億円の国内農業対策を決めた。11~12月で協定と関連法案の国会承認・成立手続きを取り、94年度補正予算で対策の初年度分を計上した。政局のヤマ場は農業対策作りと国会だった。
TPPでも、農産物の関税撤廃などの合意を国際協定として発効させるまでに、各国とも国内承認手続きに相当の期間を求めるのは確実だ。
「年内妥結」にこぎつけても、14年の通常国会で直ちにTPP協定の承認や国内対策の予算措置に動く流れは想定しにくい。交渉が14年前半までかかればなおさら、胸突き八丁は秋以降にずれ込む。

■14年に臨む旗印が見えない
政権を懸けた政策の旗印を掲げ、国会で与野党攻防を乗り切って立法し、実現する……。この「決める政治」の積み重ねが、時の首相の求心力にもつながる。
近年、前首相の野田佳彦が政治生命を懸けた12年の消費税国会や、元首相の小泉純一郎が「劇場政治」の最終幕を演じた05年の郵政国会は政治史に残る。

14年の通常国会が「安保国会」や「TPP国会」になりづらいとすると、小泉以来の強い政権基盤を得た安倍はどんな政治の物語を紡ぐのか。旗印と工程表がまだ見えない。足元の今国会もちぐはぐだ。25日の衆院本会議で先頭を切って審議入りしたのはNSC設置法案。安倍は「成長戦略実行国会」にすると宣言したはずだが、表紙をめくると違う物語が始まっている。
政権運営は常に遠い先の着地点を見据えてそこからカレンダーを逆算し、組み立てるものだ。いま、与野党議員が意識するゴールは16年7月の参院改選議員の任期満了だ。ここで実施する参院選まで国政選挙の予定はない。同年12月が任期切れの衆院も併せて衆参同日選挙となる可能性があるとみられている。

その前年の15年9月には安倍の3年間の任期満了に伴う自民党総裁選が控える。その手前の4月に統一地方選挙もある。政権運営が厳しくなれば、ジリ貧を避けたい安倍が衆院解散・総選挙カードを早めに切る展開もありうる。つまり、15年以降の安倍は次々巡ってくる「選挙」を乗り切り、長期続投を勝ち取る政略に傾斜せざるを得ない。政策もそれに縛られてくる。

■「成長戦略国会」は仕切り直し?
14年はどうか。
4月に消費税率が8%になる。景気後退リスクも抱えて12月には、法定されている15年10月からの消費税率10%を15年度予算案に計上するか否かの判断も迫られる。安保法制見直しやTPP対応で上半期の通常国会を素通りしていくと、秋の臨時国会から年末にかけて懸案処理が集中。高支持率の「貯金」を取り崩しながらしのぐ険しい道のりになりかねない。
永田町の一寸先は闇。
安倍にとって国政選挙まで間があり、権力基盤が最も安定しているのは今かもしれないのだ。小粒な法案が目立ち、不完全燃焼しそうな今の「成長戦略実行国会」。次の通常国会で仕切り直すなら、岩盤規制の改革などで年内に目玉商品を用意しないと間に合わない。政府・自民党がコメの減反見直しなどに突貫工事で動き始めたのは、そんな危機感の表れともいえる。=敬称略

【日経新聞】



確かに一つ一つ分析するとそう簡単に3年間安倍政権安泰とはいかないかもしれません。
そしてその鍵を握るは経済成長ではないでしょうか。
by kura0412 | 2013-10-29 18:07 | 政治 | Comments(0)

専門学会から指針が示され

「高血圧治療ガイドライン2014」最終案公表,欧米を踏襲せず
わが国の疾病構造を反映

第36回日本高血圧学会総会(10月24~26日,大阪市)の最終日に,「高血圧治療ガイドライン2014」〔作成委員長:島本和明氏(札幌医科大学学長)〕の最終案(JSH2014,以下「最終案」)が公表された。
今年(2013年)8月に同学会が公開した原案へのパブリックコメントについても十分検討した上で,最終案に盛り込んだ。最終案では,海外で糖尿病合併高血圧の降圧目標値が緩和される中にあって,わが国では脳卒中発症リスクの観点から厳格な目標値が維持されるなどの独自性を示した他,合併症がない高血圧患者における第一選択薬からβ遮断薬を除外し,あくまで心疾患合併患者への積極的適応に位置付けるなどの方向性を打ち出した。

初診時の高血圧管理計画を「高血圧」に特化
今回,高血圧の診断として,既報の通り(関連記事)診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合,家庭血圧による診断を優先するという。
血圧値の分類として,現行のガイドライン(GL)では「至適血圧」「正常血圧」「正常高値血圧」が記載されているが,今回これらをさらに「正常域血圧」として分類する。
リスクの層別化では,従来のカラム表示を踏襲するが,「正常高値血圧」(130~139/85~89mmHg)は削除し,初診時の高血圧管理計画を「高血圧」(診察室血圧140/90mmHg~,家庭血圧135/85mmHg~)に特化させた。

高齢者の降圧目標は「前期」「後期」別に設定
また,降圧対象の分類や降圧目標値が一部変更され,下記のようになる予定だ。
若年・中年患者,前期高齢患者:診察室血圧140/90mmHg未満,家庭血圧135/85mmHg未満
後期高齢患者:同150/90mmHg未満(忍容性があれば140/90mmHg未満),145/85mmHg未満(忍容性があれば135/85mmHg未満)
糖尿病患者:同130/80mmHg未満,125/75mmHg未満
蛋白尿陽性の慢性腎臓病(CKD)患者:同130/80mmHg未満,125/75mmHg未満(目安)
脳血管障害患者,冠動脈疾患患者:同140/90mmHg未満,135/85mmHg未満(目安)

若年・中年患者は,130/85mmHg未満から診察室血圧140/90mmHg未満,家庭血圧135/85mmHg未満に緩和された。

これまで高齢者はひとくくりにされていたが,今回は老年医学上の分類から高齢者を前期(65~74歳)と後期(75歳以上)に分け,それぞれに応じた降圧目標値を挙げている。
後期高齢患者では,忍容性があれば(1)の前期高齢患者と同様の降圧を目指すが,なければ合併症があっても(2)の降圧目標値となる。

糖尿病合併例の降圧目標は130/80mmHg未満に維持
厳格に降圧しても心疾患や総死亡などの有意な抑制が得られなかったACCORD-BP試験(N Engl J Med 2010; 362: 1575-1585)の高血圧患者のサブグループ解析や,糖尿病および耐糖能異常(IGT)を対象とした13試験のメタ解析(Circulation 2011; 123: 2799-2810)の成績を受け,世界のGLでは糖尿病合併患者の降圧目標値が緩和されつつある。

一方,わが国では糖尿病合併患者の降圧目標値は診察室血圧130/80mmHg未満に維持された(家庭血圧は125/75mmHg未満)。
前述の成績では,脳卒中リスクの有意な低下および低下傾向が認められており,脳卒中の発症が欧米の1.5~2倍というわが国の特徴が考慮された。
島本氏およびGLの当該部分の執筆を担当する伊藤裕氏(慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科教授)は,「欧米人と疾病構造が違うわが国が欧米のGLを踏襲する必要はない」「脳卒中の発症率が高い国として,独自のGLをつくるべきではないかというのが今回の立場だ」と述べ,糖尿病合併患者の降圧目標を厳格にした理由を明かした。

脳血管障害・心疾患合併例ではより厳格な値も提示
CKD合併患者の降圧目標については,蛋白尿陽性例(尿アルブミン/クレアチニン比0.15mg/gCr)のみ記載された。
尿蛋白は心血管疾患(CVD)と末期腎不全(ESRD)と関連することから,蛋白尿陽性例では診察室血圧130/80mmHg未満,家庭血圧125/75mmHg未満(目安)に据え置かれた。

脳血管障害合併例の降圧目標値は,診察室血圧140/90mmHg未満,家庭血圧135/85mmHg未満(目安)だが,SPS3試験,わが国のBAT研究の成績から,ラクナ梗塞,抗血栓薬服用者では可能であればさらに低い130/80mmHg未満を目指す。
しかし,いずれの成績も有意差は得られなかったため,今回は「降圧目標値」ではなく,あくまで「目指す」値にとどまった。
また心疾患合併例についても,降圧目標値は診察室血圧140/90mmHg未満,家庭血圧135/85mmHg未満(目安)となるが,降圧のエビデンスは不十分ながらも心筋梗塞既往例,糖尿病やCKDなど,心血管イベントのリスクが重積した患者では130/80mmHg未満を目指すとした。

一般的な高血圧に対する第一選択薬からβ遮断薬を除外
心疾患合併例におけるβ遮断薬投与の重要性は,豊富なエビデンスからも明らかであり,同薬はそのような合併症(積極的適応)がある場合に用いられる主要降圧薬である。
しかし,第一選択薬が「積極的適応がない場合の高血圧に使用すべきもの」と定義された今回,β遮断薬は一般的な高血圧に投与する第一選択薬から除外された。
その理由について当該部分の執筆を担当する島田和幸氏(新小山市民病院院長)は,ASCOT-BPLA試験,LIFE試験を含むメタ解析やわが国のCOPE試験などの大規模臨床試験におけるβ遮断薬の糖代謝障害,臓器障害・中心血圧低下の効果減弱などの成績を総合的に判断。その上で,同薬の除外を決めたと説明した。
β遮断薬は,あくまで主要降圧薬として心疾患合併例に対し積極的に投与する。

保険診療に合わせ配合剤は第一選択薬を見送り
近年,降圧薬同士の配合剤の承認が増えており,当初第一選択薬への位置付けが検討されていた。しかし,同薬は保険診療上,第一選択薬として認められていない他,降圧の用量調整ができず安全性への懸念が残ることから,保険診療に沿う形で今回は見送った。

「授乳が可能と考えられる降圧薬」を提示
わが国では,この10年間で35~40歳の高齢妊娠は4人に1人となった。妊娠高血圧症候群のリスク増加が危惧される中,「女性の章」では妊娠20週未満の第一選択薬として中枢作動薬メチルドパ,血管拡張薬ヒドララジン,αβ遮断薬ラベタロールの3剤が,20週以降ではこれにCa拮抗薬ニフェジピンを加えた4剤が示された。
妊娠中のACE阻害薬の催奇性は否定的な報告もあるが,安全性の上で「原則禁忌」とし,β遮断薬やCa拮抗薬を投与する場合は患者へのインフォームドコンセントを行い,医師の責任の下で使用する。

従来,降圧薬服用例では授乳の中止が望ましいとされていたが,今回「授乳が可能と考えられる降圧薬」として,以下の10成分が提示される予定だ。
Ca拮抗薬:ニフェジピン(アダラート),ニカルジピン(ペルジピン),アムロジピン(ノルバスク,アムロジン),ジルチアゼム(ヘルベッサー)
αβ遮断薬:ラベタロール(トランデート)
β遮断薬:プロプラノロール(インデラル)
中枢作動薬:メチルドパ(アルドメット)
血管拡張薬:ヒドララジン(アプレゾリン)
ACE阻害薬:カプトプリル(カプトリル),エナラプリル(レニベース)
※ カッコ内は商品名

「年内いっぱい議論を」
最終案に対する議論は,公開の場としては同学会総会が最後となった。しかし島本氏は,年内いっぱい議論を行い,GLの評価ツールであるAGREE Ⅱ(Appraisal of Guidelines for Research&Evaluation Ⅱ)の評価項目の1つで,現在の評価が83%とされている「提示の明確さ」を90%台に持っていきたいとの意向を示した。
実地医家のための透明性の高いGLづくりを目指したJSH2014は,2014年4月1日の公開を予定しており,英語版も同時に公開される。

【MT pro】



恐らくこの学会の指針が保険でもスタンダードになるものと思います。
疾患の定義が専門学会でのリードで定められています。変化しているう蝕の定義の変更も可能なはずです。
by kura0412 | 2013-10-29 15:16 | 歯科 | Comments(0)

『口腔衛生異常の累積は高血圧罹患リスクと関連』

口腔衛生異常の累積は高血圧罹患リスクと関連、吹田研究より

歯周病、歯肉出血、歯数減少、咬合機能低下といった口腔衛生異常の累積は高血圧と関連しており、異常が累積した例では高血圧罹患リスクが高くなることが明らかになった。
10月26日まで大阪で開催されていた日本高血圧学会(JSH2013)で、国立循環器病研究センター高血圧・腎臓科の岩嶋義雄氏が発表した。

歯周病および歯数と高血圧の関連を示唆する報告はあるが、口腔衛生異常と高血圧罹患の関連を包括的に検討した報告はない。このため、岩嶋氏らは、同センター予防健診部と大阪大学大学院顎口腔機能再建学講座との共同で、都市部一般住民を対象とするコホート研究である吹田研究の参加者を対象に、口腔衛生と高血圧罹患の関連について検討した。
今回の対象は、1989年9月から1994年3月に国立循環器病研究センターで健康診断を受診して2年ごとに検診を受けている吹田市在住の一般住民6485人(登録時30~79歳)のうち、心血管系疾患の既往がなく、2008年6月から2012年3月に同センターで歯科検診を受診した1643人とした(男性713人、女性930人)。
血圧値を早朝空腹安静座位5分後に自動血圧計で2回測定し、平均値が収縮期140mmHg以上かつ/または拡張期90mmHg以上、あるいは降圧薬を内服中であれば高血圧と診断した。

口腔機能の評価は歯科医師が行い、歯周病の評価にはCPITN(地域歯周疾患処置必要度指数)を、咬合機能の診断・評価にはEichnerインデックスを用いた。歯肉・口腔内出血はテープ法で診断し、歯数も計測した。
その上で、中等度以上の歯周病(CPITNステージ3以上)、歯肉出血(歯肉・口腔内出血あり)、歯数減少(男性18個以下、女性21個以下)、咬合機能低下(Eichner分類でBまたはC)があれば、口腔衛生異常の罹患ありとした。
また、歯科口腔衛生に影響を与えると思われる生活習慣(喫煙、飲酒、果物・砂糖入り飲料の摂取、運動、睡眠時間)についても、自己記入式の問診票を用いて調査した。

対象の男女別での高血圧罹患率はそれぞれ51.6%、44.1%であった。生活習慣については、高血圧の男性の方が高血圧でない男性よりも「砂糖入り飲料の摂取量が多い」割合が有意に高く、高血圧の女性の方が高血圧でない女性よりも睡眠時間が有意に長かったが、他の項目には差がなかった。
口腔衛生異常の罹患数と高血圧リスクの関連については、歯周病のCPITNステージ分類に歯肉出血の評価が含まれるため、「歯周病+歯数+咬合機能」「出血+歯数+咬合機能」の2つのモデルを用いて検討した。

まず歯周病、歯数、咬合機能の罹患数と高血圧リスクの関連について多重ロジスティック回帰分析で評価したところ、男性では有意な関連が認められなかったが、女性では罹患数0の群に比べて罹患数3の群での高血圧罹患のオッズ比が1.69(95%信頼区間:1.04‐2.76、P=0.033)と有意に高かった。
出血、歯数、咬合機能の罹患数と高血圧リスクの関連の検討では、男女ともに、罹患数0の群に比べて罹患数3の群での高血圧罹患のオッズ比が有意に高く、オッズ比は男性で2.06(95%CI:1.08‐4.05、P=0.028)、女性で1.78(95%CI:1.04‐3.07、P=0.035)だった。
続いて、降圧薬を服用していない1148人で口腔衛生異常の罹患数と収縮期血圧の関連を検討したところ、歯周病、歯数、咬合機能の罹患数と収縮期血圧の間には女性のみで、出血、歯数、咬合機能の罹患数と収縮期血圧の間には男女ともに、罹患数が多いほど収縮期血圧が高いという有意な関連性が認められた(いずれもP<0.05)。

これらの結果から岩嶋氏は、「累積した口腔衛生の異常は高血圧罹患と関連していた。一方、口腔衛生異常と高血圧罹患の関連は男女で異なる可能性が示唆された」と結論した。
なお、本研究は横断研究であるため、口腔衛生異常と高血圧の関連の機序は明らかではないが、歯周病に伴う炎症、咬合機能低下に伴う栄養状態や呼吸循環の変化が関係している可能性があると岩嶋氏は推測している。

【日経メディカルオンライン】



この報告が医科の学会での発表に意味があります。糖尿病だけでなく高血圧にも関与となると歯周病への注目が更に増してきそうです。
by kura0412 | 2013-10-29 10:00 | 歯科 | Comments(0)

『患者紹介ビジネス禁止で療担規則改正も』

患者紹介ビジネス禁止で療担規則改正も-厚労相「違法でないが、不適切」

厚生労働省は、高齢者施設で暮らす患者を仲介業者が医師に紹介し、見返りとして手数料を受け取る「患者紹介ビジネス」を禁止するため、療養担当規則を改正する方針だ。患者が医療機関を自由に選べない事態が発生していることなどを重く見た。

田村憲久厚労相は25日の閣議後の記者会見で、患者紹介ビジネスについて、「現行制度では違法とは言えないが不適切」と明言。その上で、療養担当規則に、医療機関が同ビジネスにかかわることを禁ずる規定を設ける可能性を示した。ただし、この方法では、仲介業者や患者を紹介する側の高齢者施設を、直接処分することはできないため、依然課題は残る。
患者紹介ビジネスについては、23日の中央社会保険医療協議会の総会で、厚労省が禁止することを提案していた。
同省は、同ビジネスにより、訪問診療の現場で、患者が医療機関を自由に選ぶことを制限されたり、過剰診療につながる恐れがあったりした事例があると指摘。8月に地方厚生局や都道府県に報告を求めたところ、全国で少なくとも20件あったとした。

【キャリアブレイン】
by kura0412 | 2013-10-28 17:34 | 医療政策全般 | Comments(0)

農政は大きく舵を切りそうです

コメ減反見直し 生産目標廃止や所得保障減額も検討へ

政府・与党は24日、コメ価格を維持するために農家に生産を抑えてもらう「減反(生産調整)」の見直しに着手した。
国が都道府県ごとに年間生産量の目標を決める制度の廃止や、減反に協力した農家への所得補償を減らすことなどを検討する。減反は長くコメ農政の柱になってきたが、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加などをきっかけに競争を重視する方向を目指す。

安倍政権の「成長戦略」を話し合う産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は24日、農業分科会を開き、民間議員らが減反の廃止を提言した。与党・自民党も25日から議論を始めることにしており、政府は産業競争力会議の議論も踏まえて与党と調整を進める。11月末までには具体策を固め、来年の通常国会に関連法案を提出する方向だ。
民間議員らは提言で、減反について「農業の担い手の自由な経営判断を著しく阻害している」と指摘した。そのうえで、3年後に生産数量目標の廃止▽減反に協力したコメ農家に10アールあたり1万5千円を配る「直接支払交付金」の廃止▽コメの販売価格が大きく下がった場合に標準的な価格との差を埋める「米価変動補填(ほてん)交付金」の廃止▽大豆や麦に転作する農家への「水田活用の直接支払交付金」の見直し、を求めた。
政権は成長戦略の一つとして、「守りの農政」から「強い農家づくり」に軸足を移す考えを打ち出している。大規模農家に農地を集約したり、輸入米と競えるように生産費用を減らして安いコメをつくれるようにしたりして競争力を高める方針だ。コメの価格維持をねらう減反はこうした方針と矛盾するおそれがある。

【朝日新聞】



農政は大きな方向転換に舵を切りそうです。
さて医療に対しての安倍首相の決断は如何に。
by kura0412 | 2013-10-25 10:22 | 政治 | Comments(0)

「新しい技術を導入したか否かで差が広がった」

自民党・国民歯科問題議員連盟会長に尾辻秀久氏が就任

10月17日,東京・永田町の自民党本部において同党国会議員408名中255名が所属する国民歯科問題議員連盟・総会(事務局長:石井みどり参議院議員・厚労委員長)が開かれ,96名の議員(代理65名)が出席した.
まず「役員改選」では,会長に尾辻秀久参議院議員(元 厚労大臣)が承認された.
同氏は,特に8020運動などを例に挙げて,歯と口が国民の健康にとってきわめて重要であることを強調した上で,「現在,歯科は多くの問題を抱えている.(過去にも)同じ名前の議連があったが(参院選後,役員の構成や立場が変わったことにより)再出発することになった」と挨拶.他の役員人事については,尾辻会長に一任となった.

次に,厚労省より「わが国の口腔保健・歯科医療の抱える課題について」と題し,歯科医療政策について各担当官(上條英之・医政局歯科保険課長,田口円裕・保険局医療課歯科医療管理官,唐澤 剛・政策統括官 社会保障担当)より説明が行われた.
そして,日歯連盟を代表して髙木幹正会長が挨拶するとともに要望を述べ,日歯・大久保満男会長からのメッセージを三塚憲二・同副会長が代読.その後,討議に入ったが,おもなやりとりは下記のとおり.
Q(上月りょうすけ・参議院議員/茨城):「消費税率が8~10%に上がっていく中で,増税に見合った手当がきちんとなされ,個々の経営がしっかりしなければ,いい診療をしてもらおうと思っても成り立たないおそれがある.経営をきちんと守るという観点からも,診療報酬の中に消費税分を別枠で示していただかないと,翌年から訳がわからなくなるので,もう少し要求していったほうがいいのではないか…….」
A(田口円裕・保険局医療課歯科医療管理官):「消費税が上がる分については,診療報酬で手当をすると決定されている.中医協・分科会の中で議論を進めてきたが,去る9月25日に中間整理を行った.消費税の引き上げに伴う診療報酬上の対応としては,基本的に初・再診料に上乗せして行う方向で議論が進んでいる.控除対象外の消費税については,医療経済実態調査等の結果をみる必要があるが,例年以上に精緻に調査を行っているところである.結果をふまえて具体的に対応をしてまいりたい.」
Q(尾辻秀久会長):「医療費全体は28年前のちょうど2.8倍になっている.2.8倍になる間に医科の診療報酬はどれだけ延びているのか?」
A(唐澤 剛・政策統括官):「約20年前,医科の診療所と歯科の診療所はそれほど収入の差がなかった.20年間経過し,増えている医療費の一番の要因は,新しい技術が保険導入されて,それが普及したことである.これらは“自然増”と呼ばれているが,そこに違いがあったのでは.歯科においても新しい技術を保険導入して,そこを目指し対応していただくことになれば(今日ではいわゆる“護送船団方式”は難しくなっているため,すべての診療所でというわけにはいかないが),“医療費”は充実していくのではないか.」
→これに対し,尾辻会長は「調剤」医療費を叩いて診療報酬に充てる手法がとられがちだが,「増やす分は医科にとられて歯科に回っていないのでは」との問題意識を示した.

参加した各議員が歯科医療にきわめて大きな関心を持っていることが伝わる,活気に満ちた総会であった.同時に,歯科医療政策と診療報酬改定,消費増税に向けた対応における諸課題が浮き彫りにもなった.
歯科界からは,先の参議院選挙で「職域代表」として石井みどり氏を国会に送り出したが,同氏は今期2期目を迎え,厚労委員長に就任し,たしかな「実績」を期待する声が高まっている.こうした会合での討議や情報交換をとおして,政策がより充実し豊かなものとなり,近い将来,国民にとっても,歯科界にとってもより望ましい歯科医療施策が実現することを期待したい.

【ヒョーロンニュース】



厚労省の高官が歯科の現状を認識していることだけでも分かったことは、大きな意義があった会合のようです。
さてこの認識の下で、これからどのように具体的な施策に結びつけたいくのでしょうか。
by kura0412 | 2013-10-24 14:16 | 歯科医療政策 | Comments(0)

負担増の中での軽減策

国保、軽減対象拡大へ…年収上限266万円に

厚生労働省は23日、国民健康保険と後期高齢者医療の保険料について、軽減措置をとる低所得者の対象を2014年4月から拡大する方針を社会保障審議会医療保険部会に示した。

軽減措置の対象となる世帯の年収上限額は国保が223万円から266万円に、後期高齢者医療では238万円から258万円にそれぞれ引き上げる。厚労省は、新たに計510万人の負担軽減になるとみている。
国保と後期高齢者医療の保険料は、所得の少ない人から7割、5割、2割軽減されている。厚労省案は5割と2割軽減の対象を広げる。また、2人以上の世帯に限定されていた5割軽減を単身世帯でも認める。
国保では夫婦に子1人の世帯の場合、現在年収147万円以下98万円超が5割軽減の対象だが、上限を178万円に引き上げる。223万円以下147万円超が対象の2割軽減は、266万円以下178万円超に広げる。同様に後期高齢者医療では夫婦世帯で夫の年収を基準にした場合、5割軽減は上限を217万円(現在は192万5000円以下168万円超)にし、2割軽減は258万円以下217万円超(同238万円以下192万5000円超)にする。

【読売新聞】



負担増ある中でこの対応が唯一の負担軽減に結びつくところでしょうか。
この公的医療制度を守るだけでも負担増が必要なことを、正直に国民に伝える決断も必要ではないでしょうか。
by kura0412 | 2013-10-24 14:07 | 医療政策全般 | Comments(0)

オバマケアが事の発端で

「米国はなぜ国民皆保険にしてこなかったのか?」 ~医療保険改革法にみるアメリカの苦悩〜

■医療保険改革法(オバマケア)、裁判の結果は?
6月下旬、ちょうど私がアメリカ・シアトルに滞在していたとき、オバマ政権が成立させた医療保険改革法が「合憲」という判決が出たことが大きなニュースになっていました。
医療保険制度改革はオバマ大統領が2008年の大統領選の公約に掲げた重要政策でした。そして、2010年3月、『原則、アメリカ国民に健康保険の加入を義務付ける』という「医療保険改革法」がスッタモンダの果てにようやく成立しました。この「医療保険改革法」は通称「オバマケア」とも呼ばれています。
しかし、「これは個人の自由を侵害する憲法違反だ」として州の知事たちが政府を提訴しました。その判決が今回、「合憲」となったことで「オバマケア」が法律として揺ぎないものとなったのです。これで2014年からアメリカの医療保険のあり方が大きく変わることになることが確定的になりました。

■オバマケアをめぐる背景
日本は、国民全員が健康保険に入らなければならないという「国民皆保険制度」です。裕福な人でも貧しい人でも誰でも少しの負担でちゃんとした医療を受けることができます。でもアメリカには高齢者向けなど一部の例外を除き、公的な医療制度がありませんでした。アメリカは先進主要国の中で唯一、国民皆保険ではない国でした。医療保険は個人個人が任意で民間の保険会社と契約しなければいけません。民間の医療保険の保険料も支払うことができない人は無保険になります。現在アメリカではおよそ5,000万人ちかくの人たちが無保険者だそうです。アメリカの人口がおよそ3億人ですから約16%、6人に1人が無保険です。こういう人が病気になるとアメリカの医療費は高額なのですぐ破産へまっしぐらです。「盲腸で破産した」などという冗談のような笑えない話もあったくらいです。
これを変えたのがオバマ政権です。「オバマケア」によって国民皆保険までにはいきませんが90%以上の人が医療保険に入れるようになります。これで、経済的理由で適切な診療が受けられずに、死ななくてもいい命が守られることになるのは素晴らしいことだと思いますし、私たち日本人にしてみればそれが当たり前のことでしょ、という認識を多くの人が持つのではないかな、と思います。

■共和党支持者がオバマケアに反対する理由とは?
合憲判決の翌朝、アメリカ人の初老の紳士と話をしていましたら、その人はオバマケアに反対していて違憲判決が出ることを信じていたとのことでした。
「なぜか?」と聞くとその人の主張はだいたい以下の通りでした。
・「医療保険制度に入るかどうかなどは個人の自由。国が強制することではない。アメリカは自由の国。保険が強制になったらそれはもう社会主義国家だ。」
・「ただでさえアメリカの企業は弱っているし、アメリカ財政も悪化している。それなのにオバマケアは企業負担を増やし、財政をさらに悪化させる。」
・「アメリカは日本とは違う。どんどん貧しい移民がやってくる。人口はこれからも増えていく。自分の国で生きていけない人たちまでアメリカが面倒を見る余裕はない。」
そして「この判決によって大統領選において共和党は不利になるだろう。」とも話していました。

オバマケアに反対して提訴した州知事のほとんどは共和党です。
共和党は、医療保険制度に入るかどうかは個人の自由に任せるべきであり、国が医療保険制度を作るのは社会主義的政策である、として反対しています。私と話していた初老の紳士も共和党支持者でした。
確かに共和党のロムニー候補は、今苦戦しているようですね。
ロムニー候補は今でも医療保険加入を義務付けないようにしたいと考えているようです。しかし加入を義務付けずにオバマケアの制度を維持するというのは無理があるでしょう。
国民健康保険はみんなが入るから制度として成立するのです。
入りたい人だけ入って入りたくない人は入らなくてもいい、として病弱な人だけが加入して、健康な人は参加しないとなると保険料は高くなってしまいます。そうなるともう社会的弱者は保険料を払えなくなってしまい国民保険としては成立しなくなります。それに政府の負担も莫大なものになるでしょう。
ただ、オバマ政権としても社会保障費を増やしながら、どう財政を立て直していくかという困難な課題を抱えています。共和党も民主党もどっちも大変です。アメリカ国民がどう判断していくかは、日本も同様な問題を抱えているだけによく見ておきたいものです。

■さて日本では?
福祉と負担。日本でもよく議論されるテーマです。
「アメリカは自由主義。移民が多いこともあり、自己責任にしないと国の財政が持たない。」
こう語った共和党支持者の初老の紳士の話は日本にはないアメリカの現状を見た思いでした。
しかし日本でも国民健康保険に入らない(入れない)人が増えています。日本では保険に入っていない人が病気になった時でも冷たく突き放すことはせず、生活保護で守ったりしています。
社会保障費の増加により政府の財政が悪化し、地方自治体の生活保護負担も増大しつつある今、止むにやまれぬ事情があるケースも多いかとは思いますが、まずは国民保険料の支払を徹底させたいものです。
盲腸くらいで破産するような人がでるような国にはしたくありませんからね。

今回は以上です。
もっと日本が良くなりますように。

【川瀬 太志 ・誠ブログ】



アメリカがデフォルト危機に陥りそうになった事の発端は、このオバマケアの存在です。医療制度の仕組み、企業負担割合の違いはあるものの、日本ではちょっと考えられないような論争です。
安倍首相が日歯主催のパーティーで「日本の皆保険はすばらしい」と気持ちが具体的な施策としてどう映し出されるか。有言実行を期待します。
by kura0412 | 2013-10-23 17:38 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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