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小沢元代表だけでなく

野田首相は輿石幹事長を切り、前へ進めるか

野田佳彦首相と小沢一郎氏が5月30日昼、消費増税法案などをめぐり民主党本部で1時間半にわたって会談を行った。野田さんは会談後に首相官邸で記者会見し、「法案の合意には至っていない」と語った。
前回の本コラム「3代続いた不思議な首相、責任は国民にある」でも書いたように、首相が一党員と会談することなど大きな問題ではない。むしろ二人の会談には不自然さを感じるくらいである。新聞やテレビなどメディアは事前からこの会談を大きな問題として扱っていた。

消費増税法案を「継続審議」にすることを心配する
小沢さんは当然、消費増税法案には反対する。反対しなければ、マニフェストを堅持し行財政改革の優先を主張する小沢さんの政治生命は断たれてしまうからだ。
今回の会談で私が一番心配したのは、輿石東民主党幹事長が同席することで、小沢さんと輿石さんが消費増税法案を「継続審議」にしようとしているのではないか、ということだ。
今国会は6月21日で会期末を迎える。もし消費増税法案を何がなんでも通すということならば、会期を延長して強行採決するしかない。そうなれば党の分裂にもなりかねない。だから、小沢さんと輿石さんはいったん閉会して、継続審議にすべきだと考えるのではないか。

継続審議で時間をかせぎ「傀儡」を立てる
小沢さんと輿石さんが継続審議を求めるとしたら、本当の狙いは別のところにある。会期延長になれば何が起きるかわからない。そこで、継続審議にして一度国会を閉じる。小沢さんはその間に9月の民主党代表選に向けて布石を打つのである。
小沢さん自身は控訴され党代表選には出馬できないから、小沢さんの「傀儡」を立てるだろう。どう立てるかについて、すでに手をつけていると私は思う。継続審議にすれば、傀儡政権をつくるための時間をかせぐことができる。
野田・小沢会談で小沢さんや輿石さんの言うことを野田首相がもし受け入れていれば、野田首相はもう奈落の底に落ちるしかない。まさか野田首相が合意するとは思えないが。

野田首相が選ぶべき道は一つしかない。それは自民党と組むことだ。
私は民主党幹部と自民党幹部の何人かに取材で話を聞いているが、彼らがそろって言うのは、民主党は消費増税法案について自民党の対案を丸のみにするしかない、ということだ。特に民主党が提案している最低保障年金など社会保障に関するところは全部捨てることが条件になる。

自民党と交渉できるのは藤井裕久氏か仙谷由人氏しかいない
ここまでは5月29日、つまり野田・小沢会談の前日に書いた。30日の会談は予想通り平行線、つまり合意形成ならずであった。
こうなれば野田さんのとるべき道は一つしかない。自民党と組むことだ。そして繰り返しになるが、自民党案を丸のみすることだ。

その前に自民党と組むという姿勢を明確に示さなければならない。
それは小沢グループと完全に手を切ったと証明することだ。そのためにはまず自公両党が参議院で問責決議した前田武志国土交通大臣、田中直紀防衛大臣の2大臣を辞めさせなければならない。
それにしても、野田首相はなぜ2大臣を辞めさせることができなかったのか。それは輿石幹事長が断固反対していたからである。輿石幹事長は参議院議員たちを手なずけるために議員たちの反発を買うようなことはしたくないのだ。彼は将来、参院議長になることを強く望んでいるからである。
野田さんが思い切った姿勢を示すとすれば、それは輿石幹事長を更迭することである。そして消費増税に賛成で、しかも自民党と交渉ができそうな人物を幹事長に据えることである。それは藤井裕久氏か、仙谷由人氏だ。これができる勇気があるかどうか

権力者にふさわしくない野田さんの道徳観
だが自民党と交渉するとしても、これがすこぶる難作業である。自民党内がバラバラで党を仕切れる人物がいないからである。
森喜朗氏や古賀誠氏たちのシニア議員たちと谷垣総裁、大島理森副総裁たち、そして社会保障・税問題のまとめ役である伊吹文明氏らの意見が大きく違って、収拾がつかない状態なのである。
だから、交渉を進めるには公式・非公式の両面で、しっかりとした交渉を行う覚悟が必要である。
それにしても野田さんという人は、権力者にはふさわしくない道徳観を持っているのではないか。つまり、交渉ごとはすべて表からやるもので、裏の交渉はアンフェアだと思っているようだ。だからこそ、わざわざ野田・小沢会談をやったのである。
小沢さんとの会談が終わらなければ自民党との交渉はできない。しかも、自民党との交渉も公式会談でないとアンフェアだと考えているのであろう。野田さんは、自民党との会談申し入れを行うように藤村修官房長官に指示している節がある。それも表の交渉である。

アンダーテーブルの交渉すら始まっていない
外交問題も同じだが、交渉とはまずアンダーテーブルでやり、ある程度かたちができ上がってきたらテーブルの上でやる。そう決まっているのだが、どうも野田さんはアンダーテーブルの交渉をアンフェアだと考えているようだ。
自民党幹部たちに取材してみても、民主党との交渉が始まっているかといえば、まったくそうではない。噂では民主党の藤井裕久氏や樽床伸二氏が交渉の窓口になっているなどと言われるが、それは事実ではない。自民党側でも名前が挙がっているが、交渉はまったく進んでいない。
野田さんは自民党との交渉をこれから考えようとしているのだろう。それも表の交渉だけで、インサイドの交渉はまったく考えていない。そんなことでうまくいくのだろうか。
民主党の幹部たちも「大丈夫か」と心配している。私は民主党幹部の何人かに「野田首相から交渉を頼まれたか」と聞いてみた。ところが誰も「頼まれていない」と言う。野田さんは誰にも頼んでいないのだ。

このままでは野田首相は野たれ死にする
30日の小沢さんとの会談後、野田さんの軸足は自民党に傾いていくのだろうが、自民党とのインサイド交渉もないのだから消費増税法案の実現はきわめて難しい。このままいけば野田さんは野たれ死にするのではないか。
野田さんの野たれ死で利するのは小沢さんだ。傀儡政権を立てられるのだから。
自民党の執行部も「野田首相は一体何を考えているのか」と心配している。それが今の野田政権の状況である。

【田原総一朗・政財界ここだの話】




もし幹事長も輿石幹事長から仙谷元官房長官に移ったら、小沢切りだけに留まらず大連立政権の可能性もあるかもしれません。
by kura0412 | 2012-05-31 16:55 | 政治 | Comments(0)

内閣改造その後は

来週にも内閣改造 2閣僚ら交代、党役員も

野田佳彦首相は30日、消費税増税関連法案の今国会での成立に向け、来週にも内閣改造を行う方針を固めた。
複数の首相周辺が明らかにした。参院で問責決議を受けた田中直紀防衛相と前田武志国土交通相に加え、鹿野道彦農林水産相らを交代させ、中規模の改造となる見通し。併せて党役員人事も検討している。

首相は30日昼、小沢一郎民主党元代表と党本部で会談した。首相は「消費税増税は待ったなしだ。今国会中に採決して成立を期すのが私の立場だ」と協力を求めたが、小沢氏は「政権としてやるべきことがある。賛成というわけにはいかない」と拒み、決裂した。
これを受け、首相は消費税増税法案成立に向け、自民党との修正協議を本格化させる構え。民主党幹部には会期末の6月21日までに法案を衆院で採決するよう指示した。新体制を早急に固め、原子力規制組織設置など懸案を一気に解決したいと考えているという。

■会談決裂・首相 消費増税、新体制を決意 小沢氏 「世論」頼み、万策尽きる
「できるだけ多くの同志が結束して野党と向き合い、成案を得るということです」
民主党の小沢一郎元代表と会談後、野田佳彦首相は険しい表情でこう語った。
この言葉からも目的が「小沢氏との決別」だったことは明らか。首相の視線はすでに次のハードルである内閣改造に移っている。

会談は1時間半も続いたが、ずっと平行線。小沢氏は「増税の前にやることがある」と説いたが、首相は「財政再建は待ったなしだ。このままでは『決められない政治』として日本の政治は漂流する」とはね付けた。
「数の論理」の信奉者のくせに多数決で敗れても従わない。
首相は、そんな小沢氏にかねて嫌悪感を抱いてきた。会談を「乾坤一擲(けんこんいってき)」と表現したのは「小沢切り」を消費税増税への第一歩だと考えたからだろう。

確かに衆参ねじれ下で消費税増税関連法案を成立させるには自民党の協力を得るしかない。ただ、その一本道はあまりに険しく代償も大きい。
自民党の要求通り「小沢切り」に応じても、次に参院で問責決議を受けた田中直紀防衛相ら2閣僚の交代が待ち受ける。中国大使館1等書記官のスパイ疑惑浮上により鹿野道彦農林水産相の交代も避けられない。
内閣改造しても、今度は、最低保障年金制度や後期高齢者医療制度廃止など衆院選マニフェストの撤回を迫られる。
首相はこれらを自民党が設置を求める社会保障制度改革国民会議で棚上げする考えのようだが、自民党が条件をつり上げる可能性もある。法案の修正協議で自民党の要求を丸のみすれば民主党中間派さえ離反しかねない。

ただ、会談決裂で受けた傷は小沢氏の方が深い。
普段は無言を貫くのに、会談後に記者団の取材に応じ「今のままでは国民に理解されない」と「国民」を13回も連発した。夜はNHK番組で「政権公約は国民への約束だ。これほど重いものはない」と訴えた。「世論だけが頼みの綱」と思ったからではないか。
衆院採決で造反すれば、除籍処分は免れない。法案が否決され、首相が衆院解散に踏み切れば、選挙基盤の弱い小沢氏の支持勢力は雲散霧消する。
それだけに小沢氏は首相との会談を何度も重ね、結論の先送りを狙ったフシがある。NHK番組でも「首相は待ったなしというが、日本の財政は欧米と比べて余裕がある。そこが認識の差だ」と語り、歩み寄りの余地があることをにおわせた。

だが、もはや再会談の望みは絶たれた。かといって賛成に転じる大義名分もない。残る選択肢は新党結成しかない。
「賛成できないとはっきり言ってやった。地域政党の連携ができればすごい話になるな!」
30日午後、小沢氏は自らの事務所を訪れた大村秀章愛知県知事に強気を装い、新党結成をほのめかした。
とはいえ、小沢待望論は今は昔。刑事被告人の身で新党ブームに乗るのは難しい。
しかも新党結成に動く石原慎太郎都知事は小沢氏との連携を「死んでも嫌だ」と公言し、大阪維新の会との連携も容易ではない。小沢氏もいよいよ万策尽きたのか。

【産経新聞】



内閣改造(問責二大臣辞任)→自民党修正案→消費税増税案衆議院採決・一部小沢グールプ議員離党→会期延長→解散総選挙は???
そんな流れが出来たのかもしれません。
by kura0412 | 2012-05-31 15:12 | 政治 | Comments(0)

解散なければ丸呑みも現実的に

自民OB青木氏ら 消費増税協力へ工作 警戒強める谷垣氏

自民党の青木幹雄元参院議員会長らOBやベテラン議員から、衆院解散などの条件をつけず消費税増税関連法案成立に協力すべきだとの声が強まり、解散にこだわる谷垣禎一総裁との軋轢(あつれき)が生じている。
ベテラン議員からは「増税を実現させるなら9月の党総裁選で再選もある」と甘いささやきがかかる中、谷垣氏側はガードを堅くしている。

「消費税はもともと自民党が導入した税。その私たちが今回の法案をつぶすわけにはいかないわね…」
青木氏は今月上旬、東京・平河町の個人事務所を訪ねた自民党幹部をこう諭した。

青木氏は平成22年に体調を崩したこともあって参院議員を引退した。しかし、参院自民党のドンとして国会を切り盛りした影響力はいまだ強く、古賀誠元幹事長や森喜朗元首相ら派閥領袖(りょうしゅう)級と連絡を取り合っている。さらに参院議員会長当時の交渉相手だった民主党の輿石東幹事長とも接触。早大雄弁会の後輩で、消費税増税関連法案を所管する安住淳財務相の“青木詣で”も目撃されている。
青木氏と親交のあるベテラン議員らはそろって、青木氏同様に衆院解散より法案成立を優先させるべきだとの立場だ。森氏は4日の産経新聞インタビューで「来夏に参院選とのダブル選で雌雄を決すればいい」と強調。古賀氏も25日のBS番組で「解散を言うよりも消費増税を推進すべきだ。解散を急ぐ必要はない」と明言した。

今月中旬からは、早期解散に固執する谷垣氏を懐柔するためか、党総裁選での再選をにおわせる動きも出始めた。
かつて青木氏が所属した派閥「平成研究会」を率いる額賀福志郎元財務相は17日、記者団に「法案成立時に解散を勝ち取れなくとも、党内抗争がないようにすべきだ」と言及した。
また、別の派閥領袖は今月中旬、谷垣氏側近に「消費税法案さえ通っていれば再選は間違いない」と持ちかけたという。
だが、ベテラン勢が前のめりになるほど、党の中堅・若手は反発して衆院解散を求めており、谷垣氏が無条件に法案賛成を決断する環境にはないのが現状だ。
もっとも谷垣氏は総裁就任以来、派閥領袖の意向に沿わずに党役員人事などを行ってきた経緯もあり、「消費税増税法案が成立すれば『お役ご免』とはしごを外され、総裁選での再選は難しくなるのではないか」と警戒を強めている。

【産経新聞】



もし自民党が話し合い解散抜きで消費税増税賛成となれば、自民党一体化法案丸呑みは現実味を増してきます。
しかし、参議院のドン青木元参議院会長の力はまだ健在なんですね。
by kura0412 | 2012-05-30 17:39 | 政治 | Comments(0)

見直し案まとめても

高齢者医療制度、31日に見直し案- 民主・厚労部門会議

「社会保障と税の一体改革」の焦点の一つになっている高齢者医療制度について、民主党の厚生労働部門会議は、部門会議としての見直し案を31日に取りまとめる方針だ。同日の会合で、執行部が示すたたき台を基に最終調整する。
同会議の梅村聡副座長(参院議員)によると、たたき台は、厚労省の「高齢者医療制度改革会議」による最終取りまとめ(2010年12月)に沿った内容という。

同会議は30日午前の会合で、高齢者医療制度について関係者らからヒアリングを実施。日本医師会や健康保険組合連合会など5団体が出席したが、制度の見直しに慎重なスタンスを取る自治体関係者は出席しなかった。
ヒアリングでは、▽保険者間の保険料率の格差▽70-74歳の医療費の自己負担割合▽新制度の開始時期-などに意見が集中したといい、梅村氏は記者団に対し、31日にはこれらの点について調整する考えを示した。

民主党による正式な見直し案は、党政調での審議を経て政府に提示することになっており、今後は、自治体関係者の理解をどれだけ得られるかが焦点になる。政府が2月に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」で、高齢者医療制度の見直し法案を国会に提出する前に、関係者の理解を得ることとされているためで、梅村氏は「場合によっては、政調に上げる段階で地方との調整が必要になるかもしれない」と述べた。

【キャリアブレイン】



自民党は消費税増税賛成の条件の一つに後期高齢者医療制度堅持を求めています。
by kura0412 | 2012-05-30 17:26 | 政治 | Comments(0)

やはり平行線のまま

小沢氏、消費増税「賛成できない」=首相協力要請、会談は平行線

野田佳彦首相は30日午前、民主党の小沢一郎元代表と党本部で約1時間半会談した。
消費増税関連法案について首相は「今国会中に採決し、成立を期すのが私の立場だ。ぜひ協力をお願いしたい」と要請。これに対し、小沢氏は「賛成か否かと今問われれば、賛成というわけにはいかない」と述べ、反対の姿勢に変わりがないことを直接伝え、会談は平行線に終わった。
これを受け、首相が自民党との修正協議に軸足を移すのか、民主党内の融和を優先して小沢氏説得の努力をさらに続けるのかが焦点となる。

首相と小沢氏の会談は、昨年9月の就任後初めて。会談には、仲介役として輿石東幹事長が同席。終了後に3人が個別に記者団の取材に応じ、内容を説明した。
それによると、首相は「早く安定財源を整えないといけない。財政も厳しい状況だ」などと増税の必要性を強調。これに対し、小沢氏は(1)大きな税負担をさせる前に、行政改革や地域主権改革など政権としてやることがある(2)消費増税だけが前面に出ており、一体改革とは言えない(3)日本経済は再建途上にあり、経済政策の面からも納得できない―ことなどを挙げ、首相の協力要請を拒んだ。
首相は、行革などに関し「自民党政権と比較し、いろいろな面で前進している」と強調したが、小沢氏は「自民党政治の延長線上の観点で比較すればそうかもしれないが、われわれの主張はもっと大きな大胆なものだった」と2009年衆院選マニフェスト(政権公約)の順守を求めた。 

【時事通信】



両者の会談がこれ一回なのか、今後も何度かあるのか。
いずれにせよ、妥協を模索する接点がないだけに、野田首相は何がしかの決断が迫られそうです。ただ、時間的な猶予もなく、来週ぐらいには大きな流れの変化があるかもしれません。
by kura0412 | 2012-05-30 15:26 | 政治 | Comments(0)

野田首相は「一期一会、乾坤一擲」と言っています

二枚舌の幹事長を首相は御しきれるのか。
野田・小沢会談をセットした輿石の狙いは「3つのない」

衆院社会保障と税の一体改革特別委員会における審議時間は着実に積み上がり、順調に進めば来月中旬に目安となっている100時間を超える。審議時間だけを見るなら、6月14、15日ごろに消費増税関連法案の採決が可能になるだろう。
逆算すると、今週から来週にかけての2週間が、首相・野田佳彦が決断の下準備をする重要な期間だ。この間に、野田は自民党が求める2009年マニフェスト撤回、消費増税関連法案の大幅修正、衆院解散・総選挙の明示―の「3点セット」にどうこたえ、民主党内の混乱を最小限に抑えられるかについて、腹を固めなければならない。
その初戦が5月30日以降に行われる野田と、元代表・小沢一郎、幹事長・輿石東の3者会談だ。

輿石の狙いは「引き延ばし」
この会談をセットした輿石は会談を1回で終わらせるのではなく、会談を何度も重ねたい意向だ。これに対し、小沢サイドは「輿石さんが望むなら、2回目以降は会いませんということではない」と受け入れる構えだ。
輿石の狙いは、明らかに引き延ばし作戦だ。
野田と小沢の調整に時間をかければ、消費増税法案の採決時期を遅らせ、党の分裂を回避できると読む。これは、小沢にとって必ずしもマイナスではない。野田と自民、公明両党との話し合いによる同法案成立を阻止できるだけでなく、小沢グループの数を確実に減らす衆院解散・総選挙も避けることができる。
採決回避―。
この1点において小沢と輿石は利益を共有する。小沢は輿石に全幅の信頼を置いているわけではないが、会談に応じてさえいれば、増税法案反対、離党といった究極の判断をしなくて済むのだから、こんな好条件はない。
もちろん、小沢が会談に応じたからといって、消費増税に「命を賭ける」野田との間で妥協点を見いだせるわけではない。小沢は「現段階での消費増税反対」という旗を降ろす気はまったくなく、周辺も「小沢さんの答えはどこまで行っても一緒だ」と言う。

会談を重ねることによって損をするのは野田だ。
今週行われる会談は、野田が小沢を説得したという実績をつくるという意味はある。しかし、「平行線」(小沢)になるに決まっている会談を重ねることになれば、野田は自民党との妥協点模索という次の段階に移れず、輿石の時間稼ぎ作戦に利用されるだけだろう。
つまり、野田が1回で終わらせることができるかどうかが勝負どころだ。だが、1回で終わりにすれば、輿石の不興を買うのは確実だ。したがって、野田が輿石を押さえ込めるかどうかの正念場でもある。
野田周辺は「輿石さんは野田総理に『消費増税法案を今国会で成立させる』と約束している」と言う。だが、輿石の本音を民主党幹部はこう読む。
「3N(3つのない)ですよ。衆院を解散しない、党を分裂させない、法案を採決しない」
実際、輿石は26日の記者会見で、解散・総選挙と密接に絡む衆院の定数是正・削減について「そんなに簡単に、わたしが個人で、この難題に、これが輿石私案だと出せる状況ではない」と語り、この問題でも先延ばしを図っている。こんな「二枚舌」を使う輿石を野田が御しきれるだろうか。

党内に蔓延する「選挙恐怖症」
自民党との合意に至るハードルはまだまだある。まず、マニフェストの全面撤回だ。最低保障年金の撤回、後期高齢者医療制度廃止見送りなどマニフェストの根幹を否定することになれば、小沢グループ以外でも反対の火の手が上がる可能性が十分にある。消費増税に賛成でも、最低保障年金などに執着する議員は少なくない。

より困難なのは党内に蔓延している「選挙恐怖症」だ。
民主党独自の衆院選情勢調査が「議席が半減し、100議席台前半」という結果だったことで、「失業」につながる衆院解散・総選挙を1日でも遅らせ、来年8月の任期満了直前までこのままでいたいと思っている議員は多い。
野田はそういう人たちの願望を振り切って、衆院解散・総選挙時期を明示することができるか。野田自身、落選経験があるがゆえに、落選者を大量に生む決断をできるかどうかを危ぶむ側近もいる。

いずれにしても、野田の決断次第だ。
どういう決断をするか、今のところ読めない。ただ、はっきりしていることは野田が決断しないなら、野田は元首相・鳩山由紀夫、前首相・菅直人と同レベルの首相と位置づけられ、政権の命運も早晩尽きるだろう。
野田が決断すれば、その時点では非難されても政治史にその名を残すことになろう。野田が乗り越えなければならない「敵」は野田自身と民主党の中にいる。

【田崎史朗・ニュースの深層】



その野田首相は昨日のインタビューで「一期一会、乾坤一擲」と言っています。
果たして決断出来るのでしょうか。
by kura0412 | 2012-05-29 15:07 | 政治 | Comments(0)

40万票集めれば

郵便局長会総会:首相や各党幹部出席 選挙に向けさや当て

野田佳彦首相は27日、札幌市で開かれた全国郵便局長会(全特)総会に出席し、小泉政権時代の路線を見直す改正郵政民営化法の成立について「(民営化の)最大の弊害は地域の絆が断ち切られたことだった。それを復活させようと法案が成立した」と意義を強調した。
全特によると、現職首相の総会出席は初めて。総会には自民、公明など各党幹部も顔をそろえ、次期衆院選をにらみ、さや当てを演じた。

首相は郵便ポストと同じ赤のネクタイ姿で登場し、「去年の民主党代表選で、郵政問題を唯一取り上げた候補は私だ」と会場の約7400人にアピール。赤いハンカチを振り回すパフォーマンスまで披露し、「もう一回、国民の幸せを実現しよう」と呼び掛けた。
自民党の「集票マシン」で知られた全特は、小泉純一郎元首相の進めた郵政民営化を契機に同党と疎遠になった。09年の前回衆院選では民主党、国民新党を支援。10年参院選では、国民新党から出馬した組織内候補が約40万票を獲得し、高い集票力を維持している。

支持率が伸び悩む既成政党にとって、手堅い組織票が期待できる業界団体の動向は頼みの綱。総会には自民党の田野瀬良太郎幹事長代行が05年の郵政解散以降初めて党幹部として出席し、「近い将来、必ず自民党は政権に復帰する。かつての絶対的な信頼関係を取り戻したい」と関係修復を訴えた。
公明党は初めて代表を総会に送り込み、斉藤鉄夫幹事長代行が「郵政の新たなビジネスモデルに向けて一緒に努力したい」と強調した。
国民新党は自見庄三郎代表、下地幹郎幹事長がそろって出席。今回の改正法は小泉路線から軌道修正した自民、公明両党と民主党の修正協議で実現しており、郵政票の行方に注目が集まる。

【毎日新聞】



40万票集めると沖縄にいた現職の首相が東京経由して北海道まで出向いてくれるようです。
by kura0412 | 2012-05-28 16:25 | 政治 | Comments(0)

内閣府で医療の姿を議論

将来の社会像と「医療の姿」を議論- 内閣府ライフイノベ戦略協議会が初会合

野田佳彦首相の下に設置された「総合科学技術会議」のライフイノベーション戦略協議会(座長=福井次矢・聖路加国際病院長)が、政府が目指す将来の社会像と、それを支えるための医療などのあるべき姿などについての議論を開始した。

内閣府は25日、ライフイノベーション戦略協議会の初会合を開いた。
同協議会では、日本が目指す社会の像を描いた上で、政策課題を浮き彫りにし、重点的に取り組む施策を2013年度ライフイノベーション・アクションプランとしてまとめるのが役割。同協議会は当面、月1回程度のペースで開催され、アクションプランにつながる13年度予算概算要求に向けた議論を集中的に行う。
同協議会ではまず、12年度のアクションプランの見直し作業に着手する。
12年度のアクションプランでは、将来の社会像について、「心身ともに健康で活力ある社会の実現」「高齢者・障がい者が自立できる社会の実現」を打ち出し、重点的に取り組む施策として、「糖尿病などの生活習慣病の合併症に特化した予防・診断・治療に関する研究開発」「医薬品、医療機器、再生医療などの新たな医療技術を促進するためのレギュラトリーサイエンスの推進」などを挙げている。

古川元久科学技術担当相は初会合であいさつし、「この戦略協議会は、産学官から幅広い関係者が連携・協力するためのプラットフォーム。科学技術をイノベーションにつなげていくために、活発にご議論いただきたい」と述べた。

【キャリアブレイン】



厚労省ではなく、内閣府でも将来の医療の姿を議論する時代となっています。
by kura0412 | 2012-05-26 09:46 | 医療政策全般 | Comments(0)

小沢会談後、野田首相は決断迫られるようです

「3者会談」は最大の障害!?、老獪な輿石幹事長に追い詰められる野田首相

5月22日午前、民主党の輿石東幹事長は、野田佳彦首相の指示により小沢一郎元代表と会談。その結果、来週にも野田・小沢会談が実現することになった。この会談には輿石幹事長も加わるという。
要点は、(1)「来週にも」と、輿石氏を含めた(2)3者会談だというところにある。

輿石氏の会談参加で袋小路に入った「小沢切り」の道
会談を要請した野田首相が日時を指示するわけにはいかない。「来週にも」とは来週以降であり、来週中ということでもない。
ただ、はっきりしていることは、会談が早くても1週間後ということ。いずれにしろ、会談日程は小沢氏の都合が優先される。それに会談の先送りも首相に反対できなくなった。
また、会談が3者会談となった政治的意味は実に大きい。
これによって、「幹事長一任」という決着や「再会談」や「再々会談」の可能性が出てきた。
2人だけの会談なら、現状では両者に妥協の余地がなく、決裂必至の見通しだが、中に入った輿石氏が、「私に任せてくれないか」、あるいは「もう一度会って私の提案を議論してくれないか」と言えば、2人はそれを断ることができないだろう。特に小沢氏が直ちに同調すれば首相も従わざるを得ない。
両者と等距離に立ち、政局の鍵を握っている輿石氏の提案にどちらか一方が背を向けると、バランスが一瞬にして崩れてしまい、輿石氏は同調者と一体となる。

会談が3者会談となって、野田首相の目論見は大きくはずれたのではないか。
2人だけであって「消費税増税に賛成して下さい」と首相がお願いし、「それはできない」と小沢氏が答えれば、「小沢切り」の儀式は成立し、自民党への協力要請を公然と始めることが可能になる。
しかし、輿石氏の参加でそれがすこぶる困難になってしまった。
輿石氏が最優先に考えているのは「党の結束」であり、「解散阻止」だと言われる。そのためには消費税増税法案の採決先送りが今現在の最大関心事だ。明らかに小沢氏の側の主張と通じ合うところが多い。どうやら首相は、輿石氏の老獪な政治手法によって袋小路に入ったように見える。展望は一段と暗くなった。

万が一、小沢氏が全面的に野田首相に協力することになっても、自民党の協力がなければ参議院で消費税増税法案は否決される。
小沢氏を含めて結束した民主党政権に自民党が協力するはずがない。そんなことは首相も先刻承知のことだろう。それどころか、たとえ小沢氏が同調しても、相当数の民主党議員は反対に回るし、自民党も同じだろう。
野田首相は、初参加したG8の経済協議の場で、「消費税増税法案をぜひ今国会で成立させたい」旨あらためて宣言した。
あえて踏み込んだ発言をすることによって「消費税増税は国際公約」であることを国内向けに示し、民主党内や野党、そして世論を制約することを意図したのだろう。
結局、このような政略的な手法が裏目に出て、首相を窮地に立たせたのである。
アリバイづくりとも言われる首相の小沢氏への会談要請が、逆に致命傷となりかねない雲行きだ。

【田中秀征・政権ウオッチ】



もしこの予測通りとなるならば、野田首相の次の選択は輿石幹事長の静止を振り払い、自民党抱きつき作戦を決行するかもしれません。
by kura0412 | 2012-05-25 18:31 | 政治 | Comments(0)

野田・小沢会談の行方も

首相、小沢氏 来週にも会談 攻防天王山 軍配は

消費税増税関連法案に「政治生命を懸ける」と明言する野田佳彦首相が、倒閣も辞さない構えで法案に反対する民主党の小沢一郎元代表と来週にも会談することが22日決まった。
この場で小沢氏の協力を取り付けることができれば挙党態勢を確立できるが、決裂すれば党分裂は秒読み段階に突入する。政権の命運を握る天王山といえる会談に向け、首相に秘策はあるのか。

22日昼前、小沢氏はマフラーにマスク姿で国会に現れた。政権交代直後、自らが陣取った2階の院内幹事長室に入る直前、マスクを外し、平身低頭で出迎える輿石東幹事長を見るとやや表情を緩めた。
輿石氏「首相と会ってもらえませんか…」
小沢氏「微熱が続いているんですが、医者は『特に悪くない』と言って処方してくれなくて。週末は沖縄に行くんですよ…」
会談は約30分間。小沢氏は要請になかなか応えようとしなかったが、受諾する意思だけは確認できた。ホッと胸をなで下ろした輿石氏は参院常任役員会で「会談を受諾してくれた。今週は難しいので来週で調整したい」と報告した。

だが、会談日時を確定できなかったことは首相にとって大きな痛手となるに違いない。
そもそも首相が「一兵卒」の小沢氏に日程で振り回されること自体が奇妙な話だが、会うか会わないかを交渉カードにして相手を揺さぶり、会談を自らのペースに持ち込むのが小沢氏の常套(じょうとう)手段だ。国会審議や外交日程に追われる首相は次第に心理的に追い込まれることになる。
しかも会談には輿石氏も同席する。
党内融和を最優先で考える輿石氏にとって消費税法案は二の次だ。小沢氏の肩を持ち、消費税法案の次期国会への先送りを促す可能性もある。秋の党代表選や解散時期、人事などで小沢氏に何らかの言質を与えてしまえば、これも弱みとなり、今後揺さぶられる可能性もある。

「まさか首相は手ぶらで小沢さんと会うつもりじゃないだろうな…」。小沢氏側近はこううそぶいた。会談の“お土産”をめぐり、首相周辺と小沢氏周辺で水面下の駆け引きはすでに始まっている。
ただ、首相に勝機がないわけではない。
小沢氏を支持する勢力は100人を超えるが、多くは衆院当選1回生で選挙基盤は弱い。消費税法案の採決で造反し、除籍処分を受ければ次の衆院選で大半は落選する。首相の解散権行使をもっとも恐れているのは実は小沢氏なのだ。
しかも衆参ねじれ下で、小沢氏の協力を取り付けたところで自民党の協力がなければ消費税法案は成立しない。その自民党が協力の条件に掲げるのは小沢氏との決別だ。会談決裂を機に「小沢切り」を断行し、併せて参院で問責決議を受けた田中直紀防衛相らを交代させれば、自民党に協力を拒む理由がなくなる。
野田首相の在職日数は、22日で264日となり、師と仰ぐ細川護煕元首相(263日)を超えた。細川氏が成し遂げた政治改革以上の成果を残せるか。首相の覚悟と胆力が試されている。

【産経新聞】




問責された2大臣の進退、国会会期延長の前に、野田・小沢会談の行方が政局に大きく影響を及ぼすかもしれません。
by kura0412 | 2012-05-23 14:59 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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