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最先端医療の促進も必要ですが

第5部 飛躍明日への処方箋(2)縦割り廃し、基礎から臨床へ

医薬品開発で欧米に後れを取り、韓国、中国などアジア諸国からも猛追される日本。すでに「医薬品の輸入大国」となっている。そんな現状を打開するため、今年1月、内閣官房に設置されたのが「医療イノベーション推進室」だ。
「医薬品の輸入から輸出を差し引いた輸入超過は1兆円を超えている。国内の患者が高い薬代を負担させられるだけでなく、国の安全保障の観点からも医薬品の海外依存度が高まるのは危険」。室長に就任した東大医科学研究所の中村祐輔教授はそう憂えている。

医療イノベーション推進室は、政府の新成長戦略の一環として、医薬品、医療機器や再生医療などの分野で日本の最先端技術を実用化し、医療を国際競争力の高い産業に育てることを目的に設立された。
中村教授は全遺伝情報(ヒトゲノム)解析研究の第一人者。室長代行には再生医療が専門の東京女子医大の岡野光夫教授とノーベル化学賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローを迎えた。
産業界や厚生労働省、文部科学省、経済産業省の関係省庁からも横断的にスタッフを登用した。
例えば、がん治療であれば、現在の予算は、厚労省が医薬品の有効性や安全性を確認する治験に、文科省が大学の基礎研究に、経産省がベンチャー企業の支援にといった具合でバラバラな判断基準で投入される。これを、有望な研究開発に重点的に集中投入しようという狙いからだ。
政治の不透明さはあるが、再来年度予算からの実現を目指している。

中村教授が室長に選ばれたのは、日本の医療進歩を実現する上で、教授の経歴や経験が買われたからだ。
ヒトゲノム解析で日本の医学研究をリードしてきた中村教授だが、もともとは消化器外科の臨床医。がんで若くして命を落としていく患者を前に、治療のための研究に転じた。
「日の丸印」の創薬を目指し、細胞をがん化させる遺伝子を見つけ、それをもとに治療薬を開発する努力を続けてきた。実際、がん治療のためのがんペプチドワクチンや抗体医薬、分子標的薬のシーズ(候補物質)も発見。東大発のベンチャー、オンコセラピー・サイエンス(川崎市)で開発が進められている。

中でも注目されているのが、外科治療、抗がん剤、放射線治療に次ぐ「第4の治療法」として注目されるがんペプチドワクチン。オンコ社では5種類のワクチンを開発中。膵臓(すいぞう)がん治療のためのワクチンは承認のための治験が最終段階にある。
免疫細胞が、がん細胞の表面にあるペプチド(タンパクの断片)を目印に攻撃する性質を利用したワクチンは、正常細胞を傷つけず副作用が少ないのが利点。
承認されれば「日本発、世界初」のがんペプチドワクチンの実用化となる。

同様に、中村教授がかかわった「滑膜肉腫(関節周辺にできるがん)」の抗体医薬。こちらは今夏からフランス・リヨンで治験が始まる。莫大(ばくだい)な費用がかかるため、国内での開発が困難だった。フランスがベンチャー支援のために設けている、税制上の優遇制度を利用することにしたという。
オンコ社の角田卓也社長は「創薬が成功し、会社が成長すれば、地域産業の育成や雇用促進につながる。将来を見越した戦略的な制度。日本は基礎研究の成果を臨床応用に導くベンチャーの育成が遅れているうえ、その取り組みを支援する制度も少ない」と語る。

「大学がよい創薬の対象となる物質を持っていても、大手製薬企業は成功率の高い段階のものにしか手を出さない。研究機関と企業、省庁間にある『死の谷』をなくし、実用化に向けた国家戦略を打ち出していく」。医療イノベーション推進室の任務をこう強調する中村教授。がんペプチドワクチンや抗体医薬の開発の経験から、創薬の難しさは骨身にしみている。
「国策としてあるべき医療の姿を追求することが画期的新薬の開発を促し、『患者中心の医療』を実現することにつながる」と信じている。

【産経ニュース】



最先端の医療技術開発も結構ですが、その前にしっかりと足元を固める作業が必要なのではないでしょうか。年を取ったのか、最近、頓にそんな気持ちになります。
by kura0412 | 2011-02-28 13:35 | 医療政策全般 | Comments(0)

解散風が吹いてきました

前原G、衆院選準備を指示 早期解散へ臨戦態勢

民主党の前原誠司外相を中心とする議員グループ「凌雲会」(約40人)の有力幹部が早期の衆院解散・総選挙に備え、グループ若手議員に準備を詳細に指示していたことが25日、分かった。複数の関係筋が明らかにした。2011年度予算関連法案をめぐる与野党攻防の展開によっては衆院選が近く行われるとの見方が具体化した動きで、民主党内外に波紋が広がりそうだ。

前原グループは枝野幸男官房長官や仙谷由人代表代行らが政府与党の枢要なポストを占め、党内基盤の弱い菅直人首相を支える主流派の役割を担う。一方、参院で与党が過半数割れの「ねじれ国会」で予算関連法案の成立めどが立たず、菅政権の3月以降の行き詰まりは現実味を帯びている。
臨戦態勢とも受け取れる今回の動きは(1)菅首相が「破れかぶれ解散」で局面打開を図る(2)菅氏が退陣し次期首相が早期解散に踏み切る―の両にらみの戦略とみられる。
関係筋によると、グループ幹部が今週前半、都内の日本料理店に当選1、2回の衆院議員十数人を集め「衆院選がいつあるかもしれない」と表明。選挙に臨む心構えに加え、具体的な対策として後援会組織の拡大方法や解散から公示日までの態勢づくり、最終盤の戦術などを細かく指南した。

【共同通信】



こうゆう動きが与党、それも首相を支える中心的な議員から出始めると、一気に解散風が吹いてきます。6月解散7月総選挙という可能性があるようです。
by kura0412 | 2011-02-26 08:55 | 政治 | Comments(0)

これで関連法案成立は厳しくなってきました

予算案、28日に採決 衆院予算委理事会が決定

衆院予算委員会は25日の理事会で、新年度予算案を28日に採決することを決めた。採決に反対する自民、公明両党が理事会を欠席したため、中井洽委員長が職権で28日に締めくくり総括質疑と採決を行うことを決めた。
また民主党は25日午前の与野党国対委員長会談で、新年度の予算関連法案のうち、特例公債法案などの衆院採決を予算案と切り離して先送りする考えを野党に正式に伝えた。野党は受け入れず、予算案と関連法案の一括採決を要求。引き続き与野党間で協議することになった。民主党は予算案については、月内の衆院通過を目指す方針だ。

【asahi.com】



予算案だけでも年度内成立を目指す為の動きでしょうが、これで関連法案の成立はほぼ絶望的になったかもしれません。
菅政権は段々追い詰められきました。
by kura0412 | 2011-02-25 14:46 | 政治 | Comments(0)

日歯は「共通番号制度の医療、介護対象には反対」

共通番号、医療分野での利用に懸念ー政府実務検討会で三師会

社会保障と税の共通番号制度について、政府の実務検討会は2月23日、日本医師会や日本歯科医師会、日本薬剤師会など9団体からヒアリングを行った。医療・介護分野を共通番号の利用範囲とすることに対し、個人情報の漏えいなどへの懸念から、三師会はそれぞれ制度導入に反対や慎重な姿勢を示した。

ヒアリングには三師会のほか、健康保険組合連合会、全国老人福祉施設協議会、日本年金機構、日弁連、日本税理士会連合会、連合が参加。会合は非公開で行われ、峰崎直樹内閣官房参与らが終了後に記者会見した。

それによると、三師会は「医療・介護分野で扱う情報は、他分野に比べてセンシティブな情報だ」などと指摘。個人情報保護や国家による情報管理、診療への影響などに対する危惧を示し、「懸念が払しょくされない限り、番号を社会保障の現物サービス給付に持ち込んではならない」(日医)、「医療と介護を対象範囲とすることは容認できない」(日歯)、「情報の保管、管理のための『マイ・ポータル』(仮称)を国が創設すべき」(日薬)とする見解を述べた。
三師会以外では、日弁連がプライバシー保護の観点から、十分な権限を持つ第三者機関の創設などを要望。ほかの団体は、おおむね制度導入に積極的だったという。
前日と合わせて計16団体からのヒアリングを終え、峰崎参与は、「どんな点が危惧されているか、ほぼ出てきた」と総括。個人情報保護ワーキンググループなどでの検討状況も踏まえながら、「センシティブなところについては、より丁寧に慎重にやっていく必要がある」と述べ、3―4月に公表する「社会保障・税番号要綱」(仮称)に反映させるとした。今後は、都道府県や政令指定都市の担当者を対象にした説明会を3月15日に開く予定。

【キャリアブレイン】



日歯も医療をも含む番号制度導入には反対の意思を示したようです。
by kura0412 | 2011-02-24 08:38 | 歯科医療政策 | Comments(0)

解散総選挙となったら

菅政権に明らかにペケ、解散を…谷垣総裁

菅政権の発足後2回目となる党首討論が23日行われ、菅首相は「ここまで景気が回復しつつある中で、2011年度予算案をちゃんと成立させ、執行することが、国民生活に最も重要だ」と述べた上で、「予算案、予算関連法案を年度内に成立させるのが望ましいのは言うまでもない」と強調した。

自民党の谷垣総裁は「マニフェストが実行不能で、絵に描いた餅だった。菅政権のガバナビリティ、リーダーシップに明らかにペケが付いている。もう一回、国民の声を聞いて態勢を整え直すしかない」と衆院解散を求めた。これに対し、首相は「予算も通さず解散するのが国民にとってプラスになると思って主張しているのか。国民生活より政局ばかり言っているように聞こえてならない」と反論した。
また、谷垣総裁が「日米関係が揺らいでいる」と指摘したことに対しては、首相は「極めて安定した状況にあると理解している」と主張し、米軍普天間飛行場移設問題は「昨年5月の日米合意を踏まえて対応していく」と述べた。

【YOMIURI LINE】




もし解散総選挙となったら、歯科界はどんな政策を掲げる政党を選択するば良いのでしょうか。
保険点数アップ。
それは当然ながら、財源論が論戦になっているだけに、公約は掲げてもそう簡単に大幅アップは実現するとは思われません。
口腔保健法制定。
この難しい政局が逆に成立を難しくさせています。
では、何を?
by kura0412 | 2011-02-23 17:53 | 政治 | Comments(0)

医科と歯科で

県がんセンター無資格麻酔:幹部は容疑を否定 県警が家宅捜索 /千葉

男性歯科医による麻酔は国の指針に沿った正当な研修だったのか、それとも--。「千葉県がんセンター」(千葉市中央区)が18日、医師法違反容疑で県警環境犯罪課の家宅捜索を受けた。センターは同日夜会見を開き、幹部らは「ご心配をかけたことは遺憾」と陳謝したが、「医師法違反に当たるようなことはないと考えている」と容疑を否定した。

県警環境犯罪課などの捜査員約40人は午前10時ごろ、押収用の段ボールを抱えセンターに入った。捜索は午後いっぱい続いた。
捜査関係者によると、同センターで昨年7月にあったがん患者の外科手術で、医師にしか認められていない部位への麻酔(医科麻酔)を、30代の男性歯科医が行った疑いがあるという。歯科医による医科麻酔は医師法違反だが、国の指針で研修目的で行うことが例外的に許されている。県警は、指針が義務付ける手続きを取っていなかったとみて捜索に踏み切ったとみられる。

家宅捜索を受けて、センターの松本均事務局長と館崎慎一郎医療局長が午後7時から会見。松本事務局長は冒頭、「捜査を見守りながら、万全の医療体制を構築していきたい」と陳謝した。
松本事務局長らによると、退職した医師から昨年10月、男性歯科医の医科麻酔について「指針を逸脱しているのでは」という投書がセンターなどに寄せられた。これを受けて歯科医らに聞き取りを実施。「指導する麻酔医の監督は適正になされ、基準にのっとって行われている」という説明だったという。
松本事務局長は「容疑はないものと思っている」としたうえで、指針が義務付ける「インターネットを通じての学会への登録」について歯科医が怠っていた可能性にも言及。「手術管理部長は『登録していなかった記憶がある』と言っていた。警察の捜査で何か出てきた場合は全力を挙げて挽回を図る」と話した。男性歯科医は「歯科麻酔専門医」の資格を持っており、登録は不必要と誤解していた可能性が高いという。
同センターは1972年に開設され、国からがん治療の拠点病院に指定されている。病床数は341で、09年度の手術実績は2980件。麻酔医は常勤2人、非常勤16人。

【毎日jp】



その根拠は全くありませんが、このニュース、普通の無資格診療とは違う、何か根の深い問題が隠れているような気がしてなりません。
by kura0412 | 2011-02-23 15:38 | 医療政策全般 | Comments(0)

地方の時代が更に加速か

石原知事不出馬へ 後継に松沢神奈川県知事

東京都の石原慎太郎知事(78)が、4月の都知事選に出馬しないことが22日、分かった。長男で自民党の石原伸晃都連会長らが支援者らに伝えた。石原知事らは後継候補として、神奈川県の松沢成文知事の擁立を進めている。自民党都連は石原知事への出馬要請に向け準備を進めていたが、戦略の練り直しを迫られている。候補者選びに難航する民主党へも影響しそうだ。

関係者によると、石原伸晃都連会長が21日夜の地元の支援組織の会合で、有力支援者に伝達。3選当選時は「最後のご奉公」と宣言し、東京への五輪招致による首都再生を最大の政策課題に掲げたが、最近は「政治の一寸先は闇」「ケセラセラ」と去就について言葉を濁していた。 
石原知事は平成11年に初当選、15年には308万票を獲得して再選、現在3期目。任期中には、ディーゼル車の排ガス規制や夏季五輪招致活動に尽力。中小企業対策の銀行「新銀行東京」を17年4月に開業させたほか、「首都大学東京」の開学、自治体として初めて民間並みの複式簿記・発生主義会計を導入するなど先駆的な取り組んだ。
自民党は石原知事に4選出馬を促す方針で、22日には自民党都連の総決起集会で、再度の出馬を要請する予定だった。伸晃氏も「ぜひ出て欲しい」と立候補を求めていたが、石原知事は「結局は私が決めること」などと繰り返してきた。 
一方、民主党は「最強候補」として蓮舫行政刷新相(43)に出馬を打診したが、本人は難色を示している。石原知事の不出馬で選挙の構図が一気に流動的になるのは必至の情勢だ。 都知事選をめぐっては、共産党前参院議員の小池晃氏(50)と、外食大手「ワタミ」前会長の渡辺美樹氏(51)が立候補を表明している。東国原英夫前宮崎県知事(53)らの名前が挙がっている。

【産経ニュース】



石原不出馬、松沢後継というこの報道が本当ならば、統一地方選挙、そして可能性が出てきた解散総選挙にも影響を与えそうです。
by kura0412 | 2011-02-22 17:39 | 政治 | Comments(0)

社民も公明も協力は厳しい方向に

社民、特例公債に反対決定へ=予算関連、再可決不可能に

社民党は22日午前、国会内で両院議員懇談会を開き、2011年度予算案と関連法案への対応を協議した。予算案と、赤字国債発行のための特例公債法案、法人実効税率5%引き下げを盛り込んだ税制改正法案については、いずれも反対を決める見通しだ。これにより、野党多数の参院で特例公債法案などが否決された後、衆院の3分の2以上の賛成で再可決することは事実上不可能となる。
懇談会終了後、社民党の重野安正幹事長が民主党の岡田克也幹事長に会い、協議結果を伝える。
特例公債法案について社民党は、「法人税引き下げの一方で借金をするのは問題」などとして反対する方針。子ども手当法案に関しても、保育所整備などの現物給付拡充を求める立場から、反対する方向だ。ただ、成立しない場合の自治体などへの影響を考慮し、「現時点で賛否を確定せず、政党間協議の可能性を残すべきだ」との意見もある。
社民党は民主党との実務者レベルの予算修正協議で、沖縄県の米軍普天間飛行場移設関連経費の削除や、法人税引き下げ撤回など6項目を要求。しかし、民主党側がいずれも受け入れ困難との姿勢だったことに加え、普天間移設をめぐる鳩山由紀夫前首相の「方便」発言に社民党が反発。民主党所属議員の会派離脱表明で政権が動揺する中、協議は打ち切られていた。

【時事ドットコム】



公明、首相退陣でも予算関連法案反対

公明党は2011年度予算関連の赤字国債発行、子ども手当両法案に反対する方針を固めた。民主党内で浮上している菅直人首相の退陣と引き換えに成立させるとの打開案にも応じない方向だ。4月の統一地方選を前に、野党色を鮮明にする必要があると判断した。野党が両法案にそろって反対する立場となり、菅政権は一段と厳しい立場に追い込まれた。
公明党首脳は21日、両法案について「首相が交代してもマニフェスト(政権公約)を前提にした予算を組んでいる以上、重要な関連法案にも協力できない」と明言した。公明党は今年度分の子ども手当法には修正のうえ賛成に回ったが、今回は「保育サービスなど現物給付の拡充が不十分で、恒久的措置になっていない」として反対する。

【日経新聞】




予算、予算関連法案をいくら通したくても、社民党も公明党との協力は厳しいようです。
さて、菅政権の次なる一手は。
by kura0412 | 2011-02-22 08:59 | 政治 | Comments(0)

「町の薬局でついでに検査」

町の薬局で糖尿病を無料チェック

糖尿病を患う人が増加の一途をたどっている。国内の患者数は昨年、1000万人を突破したともいわれ、「成人の10人に1人が糖尿病」の時代になった。深刻な合併症を回避するには、やはり早期発見がカギを握るが、多くの人は、自覚症状のないまま病気を進行させてしまっているのが現状だ。こうした中、「身近な地域の薬局で、気軽に糖尿病の血液検査をしてみよう」というユニークな試みが東京都足立区内で行われている。新たなアプローチで糖尿病の早期発見を目指すプロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」をリポートする。

■検査のハードルを下げる「医薬連携」
「糖尿病が心配な方、朗報です!」―。綾瀬駅から歩いて数分、「あやせ薬局」(飯泉千春代表取締役)の入り口に、こんな張り紙が見えた。駅前商店街の一角で調剤も行う、いかにも「町の薬屋さん」らしい店構え。「糖尿病診断アクセス革命」は、こうした地域の薬局で糖尿病の診断基準の一つ「HbA1c(ヘモグロビンA1c)値」を無料測定できることが、一番のポイントだ。
このプロジェクトは、東大と足立区医師会、区薬剤師会、地域の糖尿病対策を推進するNPO法人ADMS(アダムス)の共同研究事業として、昨年10月にスタートした。HbA1c値の簡易測定機器を区内9か所の薬局に設置。指先からの微量採血で、すぐに結果が分かる。糖尿病検査のハードルを下げることで、より多くの未診断患者や予備群の発見と治療につなげようとの狙いで、「医薬連携」の取り組みになっている。

■「ついでに検査」がいい
ある日の午後、あやせ薬局を近所の女性(66)が訪れ、薬剤師の長井彰子さんに尋ねた。「ねえ、この糖尿病の検査って無料なの?」。この日は、家族に頼まれて薬を受け取りに来たところ。たまたまプロジェクトの張り紙が目に入り、「そういえば、調べたことないな」と、検査する気になったのだという。プロジェクトの概要や検査方法について説明を受けた後、左手の指に自己穿刺の器具を当ててボタンをパチン。「こんなに少しの血で分かるんだ」と驚いた。結果が出るまでの約6分は、長井さんと糖尿病の合併症や治療費などの話をしている間にすぐ過ぎた。HbA1c値は、正常の範囲内だ。女性はほっとした表情で、「見えない病気だけに、わざわざ病院に検査に行くのは、やっぱり面倒。この『ついでに』っていう感じがいいね」と話し、ちょうど調剤が済んだ家族の薬を受け取って帰って行った。
あやせ薬局では、スタートから3か月で約60人が検査を受けた。40―50歳代の自営業者や主婦が多く、健康診断を何年も受けていないという人も目立ったという。このうち15人ほどに、糖尿病か予備群と疑われる結果が出た。「次に薬局に来たとき、『病院に行ってきたよ』『治療を始めたよ』と報告してくれたりするんです」と長井さん。薬剤師として糖尿病の大変さと早期発見・治療の大切さを知るだけに、このプロジェクトで感じている手応えは大きい。

■糖尿病は4人に3人が未治療
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2007年)によると、「糖尿病が強く疑われる人(HbA1c≧6.1%または糖尿病治療を受けている)」は約890万人。「糖尿病の可能性が否定できない人(6.1%>HbA1c≧5.6%)」を含めれば、約2210万人に上ると推計される。一方、同省の患者調査では、きちんと糖尿病の治療を受けている人はこの数年、230万人前後で横ばいが続いている。
「つまり、糖尿病患者の4人に3人は、治療を受けずに病気を放置してしまっている状態です」。プロジェクトを主導する東大大学院分子エネルギー代謝学講座の矢作直也特任准教授は、こう警鐘を鳴らし、「自分が糖尿病だと気付いていない人に、気付きのチャンスを与えなくてはならない」と訴える。糖尿病は、初期段階からの治療と生活習慣の改善で、その発症や合併症を回避できる。しかし、特定健診の受診率も4割にとどまっている中で、矢作氏は「潜在患者の掘り起こしは、現在の制度だけではカバーできない」と指摘し、新たなスクリーニングの仕組みを提案するプロジェクトの意義を強調する。
薬局店頭で無料検査を受けた人は、昨年10―12月で計269人となり、このうち、HbA1c≧6.1%は23人(8.6%)、6.1%>HbA1c≧5.6%は48人(17.8%)。およそ4人に1人の割合で、糖尿病や予備群が疑われる人を見つけ出せた格好だ。しかも、こうした高い数値は、定期的に健診を受けていない人に2倍ほど多く見られたといい、スクリーニングの効果がうかがえる。
 プロジェクトは、財団法人の研究費助成を受けて今後も数年ほど継続する予定で、矢作氏は、「糖尿病が国民病となっている中、早期発見を実現する全国的な対策が必要。今後の研究で、プロジェクトの有効性を明らかにしたい」と話している。
プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」のホームページはこちら。

【キャリアブレイン】



薬剤師、医師共に需要拡大の一環です。
アメリカでの尊敬する職種の1位は薬剤師だったと思います。多くが公的保険のないアメリカで、健康について気軽に相談できる存在であることがその理由です。
歯科でも血液検査がルーチンに出来ればこの輪に加われるのですが。コンビニよりも多い歯科も柔軟な発想が必要です。
by kura0412 | 2011-02-21 15:54 | 医療政策全般 | Comments(0)

「社会保障制度改革ビジョン提示・全世代型の社会保障へ転換」

宮本太郎さん(社会保障改革に関する有識者検討会座長)
 
日本の社会保障は、持続可能な制度へと再構築が迫られている。政府は6月の改革案取りまとめに向け、「社会保障改革に関する集中検討会議」を本格始動。消費税の増税論議とも相まって、改革への関心は高まっている。その議論の重要な下敷きとなるのが、「社会保障改革に関する有識者検討会」が昨年12月にまとめた報告書「安心と活力への社会保障ビジョン」だ。この検討会の座長であり、また麻生政権時代の「安心社会実現会議」、今回の集中検討会議でも委員を務める宮本太郎・北大大学院教授に、社会保障の課題と目指すべき姿を聞いた。

■現役世代のリスクに対応できない現行制度

―急速な少子・高齢化や経済情勢の変化に伴い、現行の社会保障制度は、さまざまな不具合が指摘されています。
検討会が報告書で提言したポイントの一つは、「全世代対応型」の社会保障に転換すべきだということです。現行の社会保障制度は、妻や子を養う男性稼ぎ主の安定雇用を軸とした仕組みになっており、狭い意味での社会保障サービスは、人生後半に集中しています。ところが、雇用や家族の形が変化した今、新たな生活リスクに社会保障は対応できず、高齢世代を支えるべき現役世代が弱ってしまっています。
就業率の低迷や非正規雇用の増加は、所得の低下だけでなく、働いて能力を発揮する機会が減少することも意味します。2005年に3対1だった生産年齢人口と高齢人口の比率は、55年には1対1に近づくと推計されていますが、働く人口が少なければ、この「肩車」すらも成り立たない。高齢世代に偏りがちだった社会保障を見直して、若い世代をきちんと支えなくてはならないのです。世代間の不公平とか利益対立といった構図が描き出されがちですが、むしろ世代間の連携・連帯こそが問われていると言えます。

―現役世代も重視した「全世代型の社会保障」とは、どういったものでしょうか。
これまでの社会保障の延長で、現金給付による所得保障をすればよいのかと言うと、そうではありません。全世代型にするということは、社会保障の対象を広げていくと同時に、社会保障の機能そのものを転換するということなのです。
現役世代を支える目的は、高齢世代を支える力を付けてもらうことにあります。それには、雇用を中心として、どんどん社会に参加し、力を発揮してもらわなくてはならない。社会保障は、その条件を整える「参加保障」「参加支援」であるべきです。
実は、これは介護保険制度の理念でもあります。日本の社会保障をめぐる議論に「自立支援」の考え方が初めて登場したのが、介護保険の論議だったのは象徴的です。介護保険制度は、「高齢者が生き生きと社会に参加し続けられる条件づくりが、支援の根幹である」と位置付け、それまでの「福祉」という言葉の響きを根本的に変えました。制度については、いろいろなゆがみや問題も浮上していますが、日本にとって、非常に大きな経験でした。まさに、この「参加支援」の考え方を現役世代にも対象を広げ、今こそ本格的によみがえらせなくてはならないと思います。

■「土建国家」から「保健国家」へ

―参加保障は雇用を軸に、ということですが、安定的な雇用の場は少なくなっています。報告書では、新たな雇用の場として、医療・介護分野に注目されていました。
日本の雇用は、「土建国家」に代わって「保健国家」が台頭してきていると思います。
実は、02年度までの国の労働力調査には、産業分野として「医療・福祉」の項目すらありませんでした。それが今、ものすごい勢いで就業者数が増えているわけです。02年度から09年度までの間で、「土建国家」関係の雇用が約100万人減り、517万人になっているのに対し、「保健国家」関係の雇用は約150万人増の621万人になっています。しかも、そのうち470万人は女性です。
つまり、男性中心の土建国家から、女性中心の保健国家へと、すさまじい転換が起きているのです。これが、わくわくする形で伝わらないのは、医療・介護分野の雇用条件の悪さや離職率の高さという実態があるから。だからこそ、この分野の可能性を十分に引き出す手だてが、もっと打たれなくてはならないと思います。
 いずれにせよ、医療や介護、子育て支援、公的職業訓練といった公共サービスが社会保障の柱になっていくということは、社会保障と経済の垣根が、次第に取り払われ、両者が相乗的な関係に入っていくということでもあります。

―報告書では、目指すビジョンの一つに「アジアのなかの安心先進国」が掲げられています。その中では「介護や看護の人材育成、外国人患者の受け入れ」などを進めることが必要だとされていますが、この点は、医療関係者の間でも意見の分かれるところです。
有識者検討会では、この部分を特に掘り下げたわけではないので、個人の考えとして述べたいと思います。わたしは、自由診療には否定的だし、慎重な立場ですが、例えば医療ツーリズムなどは、公的な医療保険の維持、発展と両立し得ると考えています。
EPA(経済連携協定)で多くの外国人看護師候補者、介護福祉士候補者が来日していますが、日本語の習得などの面から、国家試験に合格するのはなかなか難しいのが実情です。そのために国家試験を見直して外国の労働力を入れるという方向よりは、彼らの堪能な英語力と医療ツーリズムをリンクさせ、働く場をつくっていけばよいのではないか、というイメージを持っています。
日本医師会などが反対しているのは承知しています。確かに慎重に進めるべきですし、あくまで公的な保険制度の枠を与件としますが、その上で、いろいろな実験を試みる価値はあるのではないでしょうか。

■フリーアクセスが日本の医療制度の財産

―社会保障改革の中で、医療制度については、どうあるべきだと考えますか。
「基本的には誰もがその日のうちに医者にかかれる」という点で、日本の医療制度ほど、効率的な医療制度はありません。GDPの8%ちょっとの医療費で、これほどまでのアクセシビリティーを実現できた国は皆無です。このたぐいまれなアクセシビリティーは、日本人の長い健康寿命にも直結している。これは、国民の大きな財産です。医療体制をめぐっては現在、地域ごとに役割分担をして、急性期病院への支援を充実させて、という議論がなされていますが、まず、このアクセシビリティーが財産だというところから出発する必要があると思います。
どの国の医療制度にも、強みと弱みがある。弱い点をほじくり出して、別の仕組みを接ぎ木するような方法では、改革は実現しません。強みを引き出し、発展させていくことこそが大切です。今の日本の医療制度の強みは、このアクセシビリティー、フリーアクセスにあると思います。欧米流の仕組みを導入するといったことよりは、「みんなが医療サービスを受けられる」という条件を出発点に、急性期病院の支援や勤務医の疲弊などへと視野を移していくというアプローチが必要ではないかと考えています。

―自公政権時代から社会保障改革の検討の場に参加してこられ、また、これから議論が本格化する「社会保障改革に関する集中検討会議」にも加わっておられます。
社会保障をめぐる議論は、これまでの蓄積があります。それは政権交代をまたいでも蓄積されてきたもので、ある意味では「超党派的」なものだと思っています。しかも、天から降ってわいたような理念ではありません。これまでの日本が築いてきた「雇用を軸にした安心社会」をいかにバージョンアップさせるかという、この国の発展の道筋に寄り添った議論でした。しかし、必ずしも国民との間で理解が共有されていたわけではなかったのは、残念ながら事実です。
とはいえ、日本の社会保障は、もはやそれでは済まされない段階になってきました。集中検討会議は、これまでの蓄積を国民とシェアすると同時に、まだ大きな理念にすぎないものを各論的に深める場になってほしいと思います。

【キャリアブレイン】




自民党政権下でまとめられた「社会保障会議」「安心社会実現会議」、そして、民主党での「社会保障改革に関する有識者検討会」など、一連の社会保障制度改革の骨格作りに関与してきた方だけに、不透明な政局であっても、この考えが一つのベースになるかもしれません。
by kura0412 | 2011-02-19 14:47 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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