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中央と地方のねじれ

参院選での民主支援確認 医療技術者7団体、小沢氏と面会

民主党の小沢一郎幹事長は26日、日本臨床衛生検査技師会など医療技術者7団体の代表と面会した。7団体側は政策要望書を小沢氏に手渡し、夏の参院選での民主党支持を約束した。面会後、日本臨床衛生検査技師会の小崎繁昭会長は記者団に「政権与党になった民主党と接触する機会がなかった。我々が抱える問題を解決してほしいと申しあげた」と語った。

これまで7団体は自民党を支援してきたが、政策を実現するメドがつかないなどの理由で、民主党支持に転じた。出席者によると、団体の要望に小沢氏は「医療技術者の働きは重要だ。政策実現のため力を合わせよう」と応じた。7団体の会員数は合わせて約16万7千人になる。

【NIKKEI NET】


千葉県歯科医師連盟は自民支援 日歯連とのねじれ表面化

千葉県内の歯科医師でつくる政治団体「千葉県歯科医師連盟」(渡辺敏弘会長)が、夏の参院選の千葉選挙区と来春の統一地方選で、自民党候補を推薦する方針を固めたことが25日、分かった。

日本歯科医師連盟(日歯連)は19日、従来の自民党支持方針を転換し、夏の参院選で比例代表は民主党候補を支援する方針を決定。選挙区も事情によっては自民党候補の支援も認めるとしているものの原則与党候補を支援するとしており、中央と地方のねじれが表面化した形だ。

県議会の自民党会派は25日までに、2月議会に歯の健康に関する基本理念を定める「千葉県歯・口腔の健康づくり推進条例」案を提出した。自民党が県議会で過半数を占めているため可決は確実。県歯科医師連盟の要望に応じた形で、同連盟の支援は条例制定の見返りの側面もある。
自民党は千葉選挙区(改選数3)に現職の椎名一保氏、元少子化担当相の猪口邦子氏の擁立を決めている。

【共同通信】



中央と地方のねじれ現象をどう対応するか、非常に難しい判断が各都道府県連盟に迫られているようです。
by kura0412 | 2010-02-27 09:48 | 政治 | Comments(0)

学会の権威を上手く活用しています

糖尿病診断が原則1回に 学会が検査基準改定、患者負担軽減

日本糖尿病学会(東京・文京、門脇孝理事長)は10年ぶりに糖尿病の診断基準を改める。従来2回必要だった検査の回数を、原則1回で済むようにできる新しい基準を導入する。患者の負担が軽くなるほか、早期診断によって合併症なども防げると期待される。

新しい基準では、補助的な指標として用いていた「HbA1c(エイチビーエーワンシー)」をより重視して糖尿病かどうかを判定していく。HbA1cは血液中の赤血球にあるたんぱく質にくっついた糖分を測る方法で、1度の検査で直近1~2カ月間の平均血糖値を測ることができる。

【NIKKEI NET】



医科の場合、専門学会の見解に権威があり、それが基準となり得えます。そして、その基準の変更は、時の状況によって変えられ、上手く活用しています。(血糖値などはその代表です)
医科はそのシステムが確立されいますが、残念ながら歯科にはありません。
by kura0412 | 2010-02-26 08:51 | 歯科 | Comments(1)

規制改革もポジティブに捉えることも

環境、医療、農業でWG=規制改革

政府は19日、行政刷新会議の下に近く設置される規制改革分科会が取り上げるテーマについて、環境、医療・生命科学、農業の三つを重点分野とすることを決めた。それぞれワーキンググループ(WG)を設け、規制緩和やルールの見直しなどについて検討する。
分科会とWGは、民間人を中心にメンバーを人選中。分科会会長には内閣府の大塚耕平副大臣が内定した。
【時事ドットコム】


規制改革も政治主導 環境・農業・医療の3分野

鳩山由紀夫政権下で規制改革が来週にも本格的に再始動する。これまでの規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船相談役)に代わり、行政刷新会議に新たに設置する分科会が推進役となる。環境、農業、医療の3分野で議論し、6月までに結論をまとめる。省庁の抵抗が強ければ、公開で規制の必要性を話し合う「規制仕分け」も政治家主導で検討する。
「大変プアな成果に終わってしまった」。19日、最後となった規制改革会議で草刈議長は悔しさを隠さなかった。
【NIKKEI NET】



規制改革をポジティブに捉えて、歯科の領域拡大を図ることも歯科界の検討課題です。
by kura0412 | 2010-02-25 17:07 | 歯科医療政策 | Comments(0)

まだ財源はありました

今回の改定で、後発品の使用促進で生まれる財源が、改定率に組み込まれていないことに議論が沸いてきています。

長妻大臣の国会答弁では、前回改定(自民党政権下)と同じ計算でやっているとのことでした。実は私もこのことは知りませんでしたし、多くの先生方もそれに気づいていなかったようです。
ということは、本体プラス改定が実質何%という議論に注目するのでなく、医療に回す財源はまだ残っていたということです。
確かに、単純に財源に対して色が付いているわけではないですが、その気になればまだ医療の予算をやり繰りすれば、少なくてももう少しは改定率を上げることは可能でした。

マァ、自民党政権でも民主党政権でも、それを財源にはしていなかったのですから、この後発品の財源についてはどっちもとっちという印象です。しかしながら、2年後の改定時の大きな課題にはなりました。
by kura0412 | 2010-02-25 14:38 | 政治 | Comments(2)

歯科領域の顕在化してない需要とは何か

今朝の日経のコラムに、『現時点で顕在化していない需要が国内に潜んでいて、特に、医療、介護、保育を含む教育などの分野では、適切なサービスの提供がされていないために、未充足となっている潜在需要が存在する。』とあり、筆者独自の成長戦略について論じていました。

これを読んでふと感じたのが、歯科分野でこの顕在化していない需要には何があるだろうか?ということと、ミクロな部分だけでなく、マクロを含んだ具体的な需要拡大についての議論が殆どなかったように感じます。(あったとしても指令切れトンボ)

民主党政権も、来年度予算成立を待って、財政問題、経済戦略などの中期的な展望を論じようとしています。今こそ、その時期ではないでしょうか。
by kura0412 | 2010-02-24 17:33 | 歯科医療政策 | Comments(5)

医療政策に対しても検証を

「最盛期後」判断は時期尚早 新型インフルでWHO

世界保健機関(WHO)事務局長の諮問機関である緊急委員会は23日の会合で、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)が「最盛期後」の段階に入ったと判断するのは時期尚早と勧告した。

当初、委員会は感染が最盛期後の段階に入ったと認定するとみられていたが、西アフリカなど一部地域でなお感染拡大がみられることを重視した一部の委員が反論したためとみられる。
勧告を受け、チャン事務局長は最盛期後への移行をひとまず見送り、2~3週間の期間を置いて再検討するとみられる。24日午前(日本時間同夜)に詳細を発表する。

新型インフルエンザの流行は日米欧など多くの地域でピークが過ぎたとされ、WHO事務局は水準変更が可能な環境が整ったとの判断に傾いていた。しかし、関係筋によるとアフリカ地域の委員から異論が出た。
WHOの計画では、世界的大流行入りを意味する現行の「6」以後の段階は、最盛期後と「新たな流行の波」「大流行後」の三つ。WHOは最盛期後も大流行は続くと位置付けており、会合で水準変更が勧告されるとの見方が強まっていた。

【47News】



安心宣言にはまだ早いようです。
しかし、この新型インフルエンザへの対応についても、歯科界としても改めて検証はしなければなりません。
営業手法だけでなく医療政策にも検証は必要です。
by kura0412 | 2010-02-24 14:51 | 歯科医療政策 | Comments(0)

「大雪で来院出来なかった」

昨日診た患者さんの話です。85歳の女性の方で、歯牙の動揺が激しく急患で来院されました。

私「痛かったでしょ?」
患者さん「来たかったんですが、雪で身動き取れませんでした。」
私「・・・」

プラプラした歯牙を抜歯したら、この患者さんホッとして大喜びです。
確かに今年の冬のような大雪の場合は、こんなケースあると思います。

二階にある私の診療所の階段を上がってくれる体力もあり、身体的にも訪問診療の対象にはなりません。(健常者は駄目ですよね?)
また、万が一、訪問診療に行ったとしても、老人の方が一人だと、車を停めるスペースを除雪して確保できないかもしれません。

でも今後何とか対策を考えないと。しかしこんな方は、歯科以外の全身的疾患ある場合はどうするのでしょうか?
by kura0412 | 2010-02-23 17:35 | 歯科 | Comments(0)

急激な増加を心配するのは分かります

全国医学部長病院長会議:医学部新設「反対」 「教員増で勤務医減る恐れ」

大学医学部で作る全国医学部長病院長会議(会長・小川彰岩手医大学長)は22日、医学部の新設に反対する請願を民主党や関係省庁に提出したと発表した。同会議は一貫して国に医師数を増やすよう求めているが「医学部定員が急激に増えると、教育確保のため病院勤務医が減り、医療崩壊を助長する」と主張している。

政府は80年代から続けてきた医師養成数の抑制方針を08年度から改め、全国80大学の医学部定員は3年間で1221人増えた。同会議は政策転換を評価する一方、大学医学部の新設には▽現場の臨床医を教員として招かねばならない▽数十年後に医師数が充足した時に定員を減らせなくなる--などの問題があると主張。「これ以上の定員増は医師不足対策として逆効果だ」と指摘している。

大学医学部の新設は、現時点では文部科学省告示により認められていないが、将来の規制緩和を視野に、複数の私立大学が検討している。

【毎日jp】



歯科医師増加が反面教師になっているように感じます。その必要性は認めていても、確かに慎重になるのは分かります。
by kura0412 | 2010-02-23 10:16 | 政治 | Comments(0)

保険料率のニュースにはスポット当たらず

協会けんぽ、保険料負担大幅増 4月から月収30万円、2170円増

中小企業の会社員と家族らが加入する協会けんぽは加入者の保険料負担が4月からどの程度増えるかについて、月収別の試算をまとめた。税引き前の月収が30万円の会社員(40歳以上65歳未満)の医療・介護の保険料は月額2170円増える計算だ。政府は来年度に国庫負担を増やして保険料の上昇幅を抑制する方針だが、それでも一定の負担増は避けられない情勢だ。

協会けんぽの医療の保険料率は4月納付分から全国平均で現在の8.2%から9.34%に上がる。40~64歳まで負担する介護保険料率も現在の1.19%から1.50%に上がる。高齢化で医療費の支出が膨らんでいるうえに、景気の低迷で保険料の収入が落ち込んでいるためだ。

【NIKKEI NET】



改定率アップで月に何十円かの負担増となるよりも、この保険料率を上げることの方が負担増となります。。

保険料率のニュースとしては、協会けんぽへの国庫補助が13%から16.4%に引き上げられ600億円増えましたが、保険料率が8.2%から全国平均9.34%に引き上げられます。
また、今国会では、激変緩和承知(都道府県別の保険料率の調整)期間延長、保険料率の法定上限を10.0%から12%への引き上げなどの関連法案が提出されたいますが、保険料率については、再診料の問題に比べて、あまりスポットライトを当てていません。
あまり取り上げると、組合健保との差異が際立つからでしょうか?
by kura0412 | 2010-02-22 17:57 | 歯科医療政策 | Comments(0)

歯科医療と政治との関係の大きな変換

日歯連盟 民主党公認の会員候補を支援

日本歯科医師連盟(堤直文会長)は2月19日、第109回臨時評議員会を開き、第22回参議院議員比例代表選挙に「政権与党の民主党から公認を得て出馬する会員候補者を支援する」ことを賛成多数で可決した。日歯連盟が参院比例選で民主党公認の会員候補者を支援するのは初めて。評議員会の席上、高木幹正理事長は比例代表選挙に対する予算措置や日歯連盟の下に後援会を設置し、都道府県にも協力を求めること等の大まかな方針を説明、「支援する以上、勝てる戦略をもって臨む」とした。

日歯連盟は昨年11月20日の臨時評議員会で「次期参院比例代表選では組織内候補を擁立しない」と議決していたものの、堤会長は、短期間でレセプトオンライン請求完全義務化が努力義務になったことや今回の医科を上回る診療報酬改定が実現するなど民主党政権下で具体的成果が得られたこと、さらに歯科医師需給問題、税制改正、保険業法改正、医科歯科格差の対応等々の懸案事項を解決するには政権与党と一層の関係強化が必要であると判断し、今回の臨時評議員会の開催となった。しかし、2月10日にも公認候補の発表が行われるとされた民主党の公認調整が遅れているため、評議員会では候補者名は明らかにされず『民主党から公認を得て出馬する会員候補者』の表現にとどまったため、評議員から「どのような候補者かも知らされずに決めることには問題がある」との指摘もあった。なお、民主党による公認候補の発表は2月28日もしくは3月1日とされている。

【IDN:デンタルタイムス21速報 】



歯科医療と政治との関係での大きな変換です。
特に現在も自民党職域支部でもある各都道府県連盟がどのように対応するか、また対応の変化を迫られるか。
その動向によっては、更なる連盟離れが加速するかもしれません。
by kura0412 | 2010-02-22 11:22 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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