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平場の意見の聴取は

政策与党の政策の一元化ということで、各省庁の大臣、副大臣、政務官の政策への影響力が非常に強くなってきます。それと共に、民主党では従来あった政調会が廃止となり、それに替わって、各省庁の副大臣がトップとなって各国会委員会の委員がメンバーの政策会議が設置されます。

これ自体は、鳩山内閣が目指す政治主導を図るという目標に合致するシステムだろうと思います。しかしながら、政調会には、1年生議員も含めた平場の意見が聴衆でき、また、その会議に参加することで勉強をすることが出来ました。
今回の選挙で、100人を超す新人議員が誕生した中で政調会がなくなって、果たして与党の議員が、今後どこで政策立案の経験、また勉強する場となるかは非常に興味あるところです。

一方、昨日谷垣総裁となった自民党も同じような悩みがあります。
シャドーキャビネットを設置する構想があるようですが、従来の政調会各部会との位置づけがどうなるのか、また、野党となって、その政策そのものが、現実化されることが難しい場面も多く生まれる為に、部会そのものの意味合いも随分変わってくるかもしれません。

ただ、これらを両党の実際を考えると、これからの国会での委員会質疑は、従来とは比べものにならないほど重要になると共に、厳しいものになることは間違いないようです。
by kura0412 | 2009-09-30 15:28 | 政治 | Comments(0)

旬を掴む

予算編成基本方針と新税調、閣議決定 「政治主導」本格始動

■無駄探し閣僚走る 消費税議論着手も

民主党など連立3党が衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ政策の実現に向け、平成22年度の予算編成と税制改正の作業がスタートした。政権交代の実現によって、予算と税制の意思決定プロセスは大きく変わる。予算編成はこれまで財務省の役割だった査定を閣僚が要求段階から行い、税制改正も前政権までの政府税制調査会と与党税制調査会を一本化した新たな政府税制調査会を舞台に閣僚主導で進めることになった。いずれも年内の作業終了を目指しており、「政治主導」を掲げる鳩山政権の実力を問われる局面が訪れるのは間違いない。(会田聡、神庭芳久)

◆「減額」予算

政府が29日閣議決定した平成22年度予算編成の基本方針は、各省庁に要求段階から「減額」を迫る異例のものとなった。

「(予算を)増やすような要求をするのは大臣ではない。査定するのが大臣だ」
藤井裕久財務相は29日の閣議後会見でこう話し、閣僚に予算要求の段階から無駄削減に取り組むよう強く要請した。
従来の予算要求では、各省庁が省益を重視する姿勢もあり、上限額まで要求するのが各省庁の官僚にとって慣例だった。
しかし、22年度予算では子ども手当など新規施策の財源を捻出(ねんしゅつ)するため、要求段階から閣僚が査定を実施。要求が提出された後には、新設した行政刷新会議と財務省による2重のチェック体制で精査し、予算の無駄を徹底的に洗い出す方針だ。
ただ、マニフェストに盛り込まれた新規施策の実行には、22年度だけで7兆1千億円に上る財源が必要になる。基本方針は従来の概算要求基準(シーリング)のような上限額は明示されておらず、閣僚と各省庁に自ら予算を削り込む能力がなければ、逆に要求額が膨らむ可能性も残っている。
また、予算の無駄を削減してどれだけの財源を確保できるかも予見できない。藤井財務相は「予算の無駄を省けば、財政規律も守れる」と自信をみせるが、最終的に増発に頼ることになる恐れもある。

◆税調一元化

「有識者と称する人は、悪く言えば、利益団体的な方だ」。藤井裕久財務相は29日の閣議後会見でこう語り、従来の政府税制調査会を痛烈に批判した。
自民党時代の税制改正では、自民党税制調査会が最終決定権を握り、政府税調は「有識者があるべき税制を議論する場」とされてきた。藤井財務相の言葉は、首相の諮問機関として従来の政府税調が保ってきた権威さえも否定するものだ。
税制改正をめぐる意思決定プロセスは、鳩山政権下で大きく変わる。自民党時代のような党税調は設置せず、税制論議を新たに構成する政府税調に一元化する。新税調のメンバーは全員が各省庁で大臣や副大臣などを務める国会議員だ。
新税調は、各省庁からの平成22年度の税制改正要望を審議するとともに、法人税の優遇措置などを含む租税特別措置(租特)の見直しといった検討も行う方針だ。例えば、租特は国税分だけで約300項目あり、減税総額は7兆3000億円になるという。見直しで、民主党では1兆円以上の財源確保を狙う。ただ、租特には住宅ローン減税など最終的に国民の生活に結びつく項目もある。見直しには恩恵を受ける業界の反発も予想される。
消費税について、民主党は4年間増税をしない方針だが、峰崎直樹財務副大臣は28日のテレビ番組で「これからの税制は消費税論議抜きには語れない」と述べており、新税調で議論が始まる可能性もありそうだ。

■予算編成のポイント

▽平成22年度予算は年内に編成

▽現行の概算要求基準は廃止

▽マニフェストを踏まえた予算要求を10月15日までに提出

▽予算を組み替えを通じ、新規施策に必要な財源を生み出す

▽各大臣は要求段階から積極的な減額を行う

■税制改正のポイント

▽ガソリン税など道路財源の暫定税率廃止や租税特別措置の見直しなどに取り組む

▽従来の政府税調と与党税調を新政府税調に一元化

▽新税調は首相の諮問機関として内閣府に設置する

▽新税調の会長は財務相、会長代行は総務相と国家戦略担当相

【産経新聞】





政権交代成った鳩山民主党政権ではいくつかのキーワードがあります。
「政治主導」「脱官僚」「マニフエェスト」「優先順位」それに加えて「タイムスケジュール」です。
これを見据えて、歯科界はどう動くのか?
特に、タイムスケジュールに乗った、つまり旬を掴むことが政策実現に直結します。
by kura0412 | 2009-09-30 13:43 | 政治 | Comments(0)

中医協そのものは存続の模様

医師会はずし? 長妻厚労相が中医協の「日医」枠削減の方針 

長妻昭厚生労働相は28日、診療報酬の具体的点数を決める中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)について、開業医中心の日本医師会(日医)の代表委員を削減する方針を固めた。中医協委員は厚労相が任命するが、慣例的に関係団体枠があり、歴代厚労相は日医などの推薦者を追認していた。
長妻氏は、診療報酬改定で、自民党を支援する日医が開業医に有利な形で影響力を行使してきたとみており、日医枠の一部を人員不足が深刻な勤務医の団体関係者に振り替えることなどを検討している。

厚労省の政務三役会議は同日、中医協の委員構成見直しを協議した。中医協の定員は20人で、現在は健保組合など支払い側委員7人、日医など診療側委員7人、学識経験者など公益委員6人の3者で構成。任期は2年で、10月1日で支払い側2人、診療側6人が任期満了となる。
平成16年の中医協汚職後の改革で関係団体の委員推薦制が廃止され、3者の定員内で厚労相が委員を任命できるようになった。だが、実態は団体の意向通りの人選が続き、日医は3人の委員枠を確保している。

【産経ニュース】




中医協についても従来と異なり、官僚から政治主導に移って情報が非常に少ない中でのこの報道です。
まず、中医協存在そのものには手をつけない様子です。また、税調のようにメンバーを政府関係者に限定することもない感じです。ただ、そおメンバー構成と、改定の決定方法にはメスを入れる雰囲気です。

日医に対して民主党政権に対する踏み絵なのでしょうか?
日医推薦委員を削減し(病院、公益委員を増員か?)することは、歯科にとってプラスかマイナスか?
いずれにしても、麻生内閣で定めてシーリングは撤廃し、新要求案が15日までに各省庁が新たな予算要求を提出するということが決定されたので、中医協、来年度改定についても何がしかの動きがあるものと思います。
by kura0412 | 2009-09-29 08:37 | 歯科医療政策 | Comments(2)

こんなことを温存して

空港特別会計、抜本見直しへ「不採算生む要因」

前原国土交通相は27日、空港整備に関連する特別会計を抜本的に見直す方針を明らかにした。

航空会社が支払う空港使用料などを財源とする同特別会計が不採算の地方空港を乱立させた要因と判断、空港整備のあり方を幅広く見直す考えだ。同特別会計に多額の資金を拠出している日本航空の再建支援につなげる狙いもあると見られる。見直し論議が本格化すれば、国の予算編成や地方の空港整備、日航再生などに影響を与えるのは必至だ。
前原国交相は同日に出演したテレビ朝日の番組や終了後の記者団の取材に対し、「(予算の)枠があるから採算の合わない空港も作り続けられる、今の仕組みは根本的に見直す」との意向を表明した。具体策については「全くの白紙」として見直しの内容や時期については明言を避けたが、「一般財源化がいいか、特別会計を違う形に見直す方がいいか、財務相と相談したい」とも述べ、特別会計から一般財源化への切り替えもあり得るとの考えを示した。

見直し対象としたのは、社会資本整備事業特別会計の「空港整備勘定」(旧空港整備特別会計)。航空会社が支払う空港使用料や着陸料、一般会計からの繰り入れなどを一括してプールし、空港の建設や拡張、維持運営などの費用に充てている。2009年度当初予算額は5280億円に上る。
前原国交相はさらに「(地方の空港が多く整備されたことで)採算の合わないところにも(日航の)路線ができるという悪循環の面も今まであった」と指摘、「日航の再生計画と歩調を合わせる形で検討を進めていく」と述べ、特別会計の見直しと日航再建をセットで進める考えを示した。日航が国内で支出している着陸料などは年間1000億円前後に上るとされる。
同会計は巨額な財源の使途が空港関連事業に限られているため、採算が疑問視されても予算消化のための空港建設につながっているとの批判があった。国内には現在97空港あり、国が管理する26空港では20空港が経常赤字に陥っている。

◆空港整備勘定…1970年度に空港整備特別会計として創設。08年度から道路整備、治水など国交省が所管する4特別会計と統合され、社会資本整備事業特別会計の一部となったが、航空関連の収入を空港整備などに支出する枠組みは維持された。民主党は政権公約で特別会計の見直し方針を打ち出している。

【2009年9月28日 読売新聞】





こうやって特別会計にして、どこにチェックを受けることなく予算規模を膨らましてきたのだと思います。これは特殊法人という組織の存在も同じことのようです。
歯科、医療に関するこの種の公的機関が関与する特殊法人、特殊会計は、医療保険、介護保険の他に何があるのでしょうか?
まだ、確実な数字としては出ていませんが、こうやって特殊法人、特殊会計を見直せば、民主党が主張していた財源問題はクリアする可能性も見えてきました。
しかし、この手を温存して2200億円削減を社会保障全体に強いられていたこと、改めて怒りを感じます。
by kura0412 | 2009-09-28 13:07 | 政治 | Comments(0)

連盟活動の再考の必要性

次期参院選に候補擁立せず 日歯連、中立へ

日本歯科医師連盟(日歯連)は25日、都内で開いた都道府県歯科医師連盟代表者会合で、来年夏の参院選対応を協議し、組織内候補の擁立を断念する方針を固めた。10月下旬以降に開く評議員会で正式決定する。

【NIIKEI NET】




18日の評議員会では自民党から候補者擁立せずの決定でしたが、最終的には候補者擁立断念となりそうです。
事件で擁立見送りの前例はありますが、日歯連盟の最大の目的である参議院比例区における選挙活動の見合わせたことによって、今後、連盟活動そのものを再考する必要があるようです。
by kura0412 | 2009-09-26 09:02 | 歯科医療政策 | Comments(0)

果たして中医協、次期改定に対してどんな考えを示すのか

本来ならば10月に入ろうとしているこの時期には、何がしかの次期改定の話題が出ているはずでした。しかし、自民党政権下で社保審が前倒し的に始まって中断したままで、来月任期を迎える中医協の診療側委員6名の行方へがニュースになる程度で皆無に近い状況です。
その次期改定、中医協組織の存在に対して判断する長妻厚労大臣は、後期高齢者医療制度の廃止などのコメントは伝わっていますが、これに関しての考えは未だありません。
政治主導を謳い、各審議会の廃止を提唱している民主党の考えだと、中医協のメンバー構成の大幅な入れ替え、中医協そのものの廃止まであるかもしれません。
中医協委員の任期が10月1日満了を迎えるので、恐らく、その時点で何がしかの大臣の考えが示されるものと思います。果たしてどんな考えを示すのか?
by kura0412 | 2009-09-25 12:40 | 歯科医療政策 | Comments(0)

外交デビューも上々なので

民主党政権のアキレス腱と思われていた鳩山首相の外交デビューは上々で、CO2削減25%宣言は世界から高い評価を受けました。

官僚の抵抗も今の所意外と少なく、また外交も滑り出し順調、あとは政治資金の問題を追求?
これをやると自民党は自分の首を絞めることにも成りかねないだけに、果たして鳩山政権にどんな攻撃を挑めるのでしょうか。
by kura0412 | 2009-09-24 17:44 | 政治 | Comments(0)

亀井大臣の急変から与党議員の重みを感じ

同じ議員でも政権与党であるとないとで、こんなにも風貌から違うと感じるのが、今回、国民新党代表として入閣した亀井静香大臣です。

ご承知通り、自民党時代には肩で風を切る雰囲気で陳情を処理していた議員が、郵政民営化で自民党を離れ野党となったら、これが同じ議員かと疑うぐらいに愚痴のような発言に終始して、顔つきも中華饅頭のような顔でした。
ところが4年経過し、一転連立政権の与党となって大臣に就いた同時に再び亀井節復活です。

逆に今回野党となった自民党の大臣経験者の議員などは、官庁の対応も急転、陳情の数も減り、献金激減という悲哀を日に日に身に染みて感じてくるはずです。

さて、現在総裁選挙真っ最中ですが、果たして自民党のベテラン議員が、亀井大臣のように再び与党議員となれる日が来るか否か?
by kura0412 | 2009-09-21 10:44 | 政治 | Comments(0)

医療政策はこの5人が中心で

副大臣、政務官も決まりました。(今回の発表では総数が100人にはなってないので、今後追加される可能性もあります。)

大臣は長妻 昭氏(衆議院・東京7区)。
副大臣は労働担当が細川律夫氏(衆議院・埼玉3区)、医療・介護・福祉担当が長浜博行氏(参議院・千葉)。
政務官は、山井和則氏(衆議院・京都6区)、足立信也氏(参議院・大分)となりました。

細川氏は弁護士で労務のスペシャリスト。長浜氏は松下政経塾出身で、主に環境について仕事を続けていたようです。また、鋭い国会質問で有名な山井氏も松下政経塾出身で、厚労行政全般、特に介護に関しての政策通です。

そしてこの中で注目は、外科医で筑波大助教授だった足立政務官です。今回の医療に関してのマニフェスト取りまとめの中心的な議員です。
(足立議員のHPから  http://www.adachishinya.com/090731medic.pdf)
これで医療政策に関しては、上記の5人が政策立案することになります。

それと共に、今朝の新聞報道では、副大臣をヘッドとして与党委員会所属議員が意見や提案する政策会議が設置されつことになりました。恐らく、平場の意見の聴取はこの会議になるものと思われます。

鳩山内閣が、政府・与党一元化における政策決定と謳っているだけに、自民党政権と比べてその課程がすっきりしています。
ただ、ターゲットがはっきりしているだけに、その対応はオープンで、かつ理論建てのしっかりした正論をぶつけなければなりません。
by kura0412 | 2009-09-19 12:52 | 歯科医療政策 | Comments(0)

『日歯連、自民からの擁立見送り 来夏の参院選比例区』(朝日新聞)

日本歯科医師会の政治団体「日本歯科医師連盟」(5万5千人、堤直文会長)は18日、東京都内で評議員会を開き、来年夏の参院選比例区に自民党から従来立てていた組織内候補を擁立しないことを決めた。政権交代に伴い方針転換する。自民党支持の有力な職域団体の日歯連が擁立見送りを決めたことで、他の支持団体の判断に影響を与える可能性もある。

日歯連は8月21日、沖縄県歯科医師会顧問の高嶺明彦氏(55)を自民党から擁立することを決めたが、この日の評議員会で千葉県の評議員ら16人が「野党自民党からは擁立しないことを提案する」との動議を提出。「我々のほとんどは自民党員。候補を立てるべきだ」との反対論も出たが、「与党だから自民党と付き合ってきた。民主党から擁立する方が大義名分も立つ」などの意見も出され、結局、出席した77人中、50人が賛成して可決した。
高嶺氏の擁立自体をやめるか、民主党からの立候補を求めるかは今後、検討する。
日歯連は1955年の自民党結党当初から、参院全国区、比例区に党公認で組織代表を擁立してきた。同党の有力な資金提供源でもあり、04年には旧橋本派への1億円ヤミ献金事件が発覚した。
診療報酬改定をめぐる汚職事件で元会長が逮捕された影響で、04年参院選では擁立を自粛。07年は元日本歯科医師会常務理事の石井みどり氏が当選している。

医療行為の「価格」に当たる10年度診療報酬改定のヤマ場を年末に控え、日本歯科医師会の大久保満男会長は今月10、11両日の代議員会で「民主党と信頼関係を築きながら政策提言を続ける」との方針を表明している。

【asahi.com】




朝日新聞の1面です。
たんに歯科界だけの問題だけでなく、政界の今後の流れを作る決定になるかもしれません。308議席までとは予想しなくても、この政権交代に至ること予想は出来なかったのでしょうか。衆議院選挙終盤8月21日での臨時評議員会での決定だっただけに疑問が残ります。
by kura0412 | 2009-09-19 08:14 | 歯科医療政策 | Comments(2)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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