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痛み止め投与の時に

総合経済対策が決定となり当然のことながら日経新聞は批判的な論調です。

その中で目に付いて見出しに『「痛み止め」目立つ』とありました。

まさに今の日本の経済は痛み止めを投与しなければ苦しくて七転八倒する状況です。
そんな状態でも、変わらず我慢しろという考えなのでしょうか?

問題は同じ痛み止め、頓服でも、消炎効果の強い薬にするのか、鎮痛効果のみに主眼を置くのかでその政策が変わってきます。

しかし、その経済対策の中の医療の安心確保の項目に、医療体制の確保、新型インフルエンザ対策の強化と共に、社会保障カード(仮称)実現に向けた環境整備(実証実験の早期実施)がありました。

果たしてこれが痛み止めとしての効果があるのでしょうか?
by kura0412 | 2008-08-30 14:22 | 歯科 | Comments(0)

是非サブタイトルを加えてほしい

06年度国民医療費 4年ぶりに減少

厚生労働省は28日、2006年度の国民医療費が前年度比13億円減の33兆1276億円となったと発表した。国民医療費は3年続けて過去最高を更新していたが、4年ぶりに前年度を下回った。06年度に診療報酬がマイナス改定されたためとしている。

【2008年8月29日 読売新聞》


この減少に貢献?したのは歯科医療費です。
一般診療医療費が0.3%、薬局調剤医療費が3.2%のプラス、そして歯科診療医療費がマイナス2.8%です。つまりこの見出しを作り出したのは18年度歯科のマイナス改定でした。

サブタイトルに
ー歯科医療費が著しくマイナスー
これは必要です。
by kura0412 | 2008-08-29 16:14 | 歯科 | Comments(2)

もし補正予算で歯科について議論されたならば

臨時国会でその取り扱いが大きなポイントとなる経済対策を中心とした補正予算に対して、構造改革堅持、バラマキ阻止という意見があります。

確かに燃料高騰で大変な状況になっている漁業などに、その燃料代の補助して赤字の補填しても、漁業の構造的な問題が解決されることはまずありません。
しかし、高齢化が著しい漁業が、このままの状態では廃業続出となるのは必至で、せめて繋ぎとしての補正予算を願うのも分かります。
物凄く難しい判断です。
理想は、漁業の抜本的な構造改革を早期に進めて、日本の食糧需給率を上げる方向に導く中で、緊急的な一時的な処置として、燃料代上昇への対応をするのが1番だと思いますが、その財源となると答えが出てきません。

では、もし、歯科医療の窮状に対して緊急的な予算処置云々の話が持ち上がったら、歯科界はどうのような判断をして、政府、国民に唱えなければならないのでしょうか?

まず、非常に貸し出しが厳しくなっている国からの貸し出し制度の設置。あるいは歯科機器独自の特別償却制度の導入でも随分違ってくるかもしれません。
しかし、やはり一番効果のあるのは、改定率の大幅なアップに尽きます。
これも無理ならば、せめていくつかの縛りの緩和位は切望したいところです。

しかしながら、抜本的な改善策といえば、やはり現在の医療制度を、もっと歯科にも使い勝手のいい改革を進めることではないでしょうか?

と、勝手に歯科も補正予算の議論の中で議論のテーマになること思っても、その機運すら生まれる気配はありません。
by kura0412 | 2008-08-28 17:13 | 歯科 | Comments(0)

限界消費性向

「限界消費性向」
所得のうち消費に向ける割合を消費性向、貯蓄に回す割合を貯蓄性向というが、限界消費性向とは新たに増えた所得のうち消費に向けられる割合を示す。

昨日その専門家と懇談した中から出た用語です。
歯科の場合は、この限界消費傾向の影響が強い為、現在のような所得が増えない状況だと更に厳しくなる。
ということでしょうか?

経済学は興味ありますが、やはり理論となると難しいところです。
しかし、今はその専門家に論破しないと歯科界は苦しいままです。
by kura0412 | 2008-08-27 15:07 | 歯科 | Comments(0)

医学部定員は10年後1.5倍の目標値

医学部定員1.5倍 10年後、地域偏在を解消
 
厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン具体化に関する検討会」(座長・高久史麿自治医科大学学長)は24日、大学医学部の定員を10年後に現在の1.5倍の1万2000人程度にすべきだとの中間報告書骨子案をまとめた。提言は2009年度から定員を年間400―500人ずつ増やす内容。病院に勤務する医師が不足し、地域医療が崩壊の危機にひんしていると判断、医師数を抑制してきた政策を転換する。
中間報告書は27日に開く会合で正式にまとめる。厚労省は医師養成数を今年度の約7800人から、来年度は過去最多の8300人程度にする方針を決めていたが、「中長期ビジョン」として継続的に増やす内容を盛り込む。医学部の定員を管理している文部科学省と連携し、来年度の予算で100億円程度を要求する。

【NIKKEI NET】


この動きに連動して歯学部の定員削減が進む可能性もあるかもしれません。
しかし、定員削減を訴えてはいましたが、一方は社会から求められて増員の動き、そして逆に、自ら削減を求めること、何か一抹の淋しさも感じます。
by kura0412 | 2008-08-25 09:17 | 歯科 | Comments(0)

需給問題は新たな局面に

需給問題がたんに各大学一律に定員削減を求めることから、もう一歩も二歩も踏み出した対応の変化を迫られています。需給問題は新たな局面を迎えました。

具体的な動きでは、前にもこのグログに書いた、歯学部定員の医学部への上乗せを認める通知が文科省から出たことです。
そして、私立歯科大学の入学者が本年度は定員の84%に留まり、それと共に、いわゆる国試浪人が1000人も及んでいる実際です。

この動きは、減らすことも重要であるだけでなく、歯科医師としての資質のある人材確保もこの需給問題のもう一方の大きく課題となりました。

この決定的な対処の方法は、歯科界が若い人材に魅力ある世界に映ることが1番なのですが、その予測は全く反対あることにこの問題を更に難しくしています。
by kura0412 | 2008-08-23 16:18 | 歯科 | Comments(0)

日歯連盟参院選比例代表候補選考委 該当者を選定できず

歯科関連ニュース:デンタルタイムス21速報

日歯連盟参院選比例代表候補選考委 該当者を選定できず
2008年8月22日

日歯連盟の第4回参議院比例代表候補者候補者選考委員会(伊藤英紀委員長)が8月21日に開催され、応募者7名について投票を行った。最終的に、上位2名の投票で15票を獲得した島村大氏(神奈川県・東京都)の信任投票が行われたものの、28名中16名の委員の賛成を得ることができず(選考委員会規程第7条:委員の3分の2以上の賛成をもって推薦を答申する。出席委員数が28名であるため19人の賛成が必要)、選考委員会は「選考委員会規程第7条による該当者を選定するにいたらなかった」ことを永山一行日歯連盟会長に答申した。
 応募者は、松井正剛(55歳・奈良県)、小林幹夫(54歳・栃木県)、白須賀貴樹(33歳・千葉県)、喜屋武満(60歳・沖縄県)、冨澤卓郎(45歳・東京都)、島村大(47歳・神奈川県/東京都)、露木隆之(39歳・神奈川県)の7氏。
 
評決は単記無記名で行われ、7名を4名に絞る第1回の表決で、松井正剛(奈良県)・白須賀貴樹(千葉県)の両氏が7票、島村大氏(神奈川県・東京)6票、露木隆之氏(神奈川県)4票、喜屋武満氏3票、小林幹夫氏1票、冨澤卓郎氏0票で、いずれもの3分の2以上以上の票を得られず、票獲得上位の松井・白須賀・島村・露木の4氏で2回目の投票が行われた。結果、松井氏9票、白須賀氏7票、島村氏8票、露木氏4票、いずれも3分の2以上以上の票を得られず、上位の松井・島村両氏による3回目の投票が行われた。表決の結果、松井・島村両氏共に14票だったため、再度表決が行われ、松井氏13票、島村氏15票の結果となった。引き続き、上位者の島村氏の信任投票が行われた。
 
永山会長が、この選考委員会で候補者を決定したいと懇請したが、16名の委員の賛成しか得ることができなかった。表決の結果を受け、選考委員会は選定するに至らなかった旨を答申した。
 ※デンタルタイムス21・8月25日号で詳報

【IndepenDentNet】





この結果、まずは来月開催の都道府県歯連盟会長会議、日歯連盟評議員会ヘ向けてどう対応が図れるか注目されます。
by kura0412 | 2008-08-23 07:56 | 歯科 | Comments(0)

改めてその差の大きさに注目

西濃運輸グループの健保組合が高齢者医療の負担に耐えかねて解散に踏み切ったことを各マスコミが取り上げ、相も変わらず数字を追うだけの報道です。

そしてその報道の中で、保険料率が政管が8.2%、健保組合が7.39%という数字を改めて見る時に、何で保険料率がこれだけ差がある点をマスコミは指摘しないのか?そんな疑問を感じます。
社会保障費の財源に消費税アップが議論されていますが、一方、医療保険においては、この保険料率を上げる必要性を唱える異見もあること忘れはなりません。
by kura0412 | 2008-08-22 17:01 | 歯科 | Comments(0)

大野病院事件の判決下る

大野病院医療事件:帝王切開の医師に無罪判決 福島地裁

厳しい表情で福島地裁に入る加藤克彦医師=福島市で2008年8月20日午前9時49分、長谷川直亮撮影 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医(休職中)、加藤克彦被告(40)に対し、福島地裁は20日、無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。鈴木信行裁判長は、最大の争点だった胎盤剥離(はくり)を途中で中止し子宮摘出手術などへ移行すべきだったかについて「標準的な医療水準に照らせば、剥離を中止する義務はなかった」と加藤医師の判断の正当性を認め、検察側の主張を退けた。

加藤医師は04年12月17日、帝王切開手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかったとして起訴された。

争点の胎盤剥離について、判決は大量出血の予見可能性は認めたものの、「剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが、当時の医学的水準とは認められない」と判断した。医師法21条については「診療中の患者が、その病気によって死亡したような場合は、届け出の要件を欠き、今回は該当しない」と指摘した。

医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の事件で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし、医療に介入している」と抗議声明を出すなど、論議を呼んだ。公判では、検察、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立っていた。【松本惇】

【ことば】癒着胎盤 一般に分娩(ぶんべん)後、胎盤は自然に子宮壁からはがれるが、胎盤の絨毛(じゅうもう)が子宮筋層に入り、胎盤の一部または全部が子宮壁に癒着して胎盤がはがれにくくなる疾患。発生率は数千~1万例に1例と極めて低い。

◇県警刑事総務課長「捜査を尽くした」
福島県警刑事総務課の佐々木賢課長は「県警としては捜査を尽くしたが、コメントは差し控えたい。細かい争点については(裁判所の判断が)まだ分からないので何とも言えない。県警は医師に注意義務があるとして検察へ送ったが裁判所はそう認定しなかった」と話した。

◇産科婦人科学会理事長「救命医療の確立目指す」
吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長は「被告が行った医療の水準は高く、医療過誤と言うべきものではない。癒着胎盤は極めてまれな疾患であり、最善の治療に関する学術的な議論は現在も続いている段階だ。学会は、今回のような重篤な症例も救命できる医療の確立を目指し、今後も診療体制の整備を進める。医療現場の混乱を一日も早く収束するため、検察が控訴しないことを強く要請する」との声明を出した。

【毎日jp】



この判決は、たんに医療過誤としての裁判に留まらず、現在の産科医不足に拍車をかけたといわれていた事件です。一つの裁判でも医療全体に大き影響を及ぼすことを示す事件で、この判決によっては医師の裁量権をも犯す恐れのがある裁判でした。

そして、近年の出産でのリスクを考えることが薄らいでいた中での死亡ということも、更に難しい問題に拍車をかけたかもしれません。
死亡原因が出血多量ですので、歯科においても他人事の事件ではありません。今回の判決の今後の動向を注視したいと思います。
by kura0412 | 2008-08-20 13:40 | 歯科 | Comments(0)

なし崩し的に

読売新聞社から「歯科の実力」というタイトルで、良い歯科医選びのガイドブックが発売されています。
接着、歯内療法、歯周病、補綴、インプラント、審美、矯正の認定医、専門医、歯科大学病院の診療科一覧などが載っているようです。(雑誌の広告から引用)

専門医、認定医の話は日歯ではどうなったのでしょうか?
このままだと段々なし崩し的にマスコミ先導で差別化が図られていきそうです。
そして、現在の歯科医療制度の問題点も同じように、なし崩しでグチャグチャしたままで放置されきそうです。
by kura0412 | 2008-08-19 12:53 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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