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年間50万円の収入減

昨日の中医協での決定で、急性期300床病院は年間5000億円の増収、一方診療所1施設当たり年間50万円の収入減となる試算を示したとの報道です。

経営的基盤は医科と歯科は随分違いいますが痛いでしょうね。
でも、また領域広げてそれをカバー、いや、これをきっかけにしてプラスへ持ち込むのだと思います。
by kura0412 | 2008-01-31 10:28 | 歯科 | Comments(2)

結局押し切りましたー一般開業医再診料引き下げ見送り

再診料、開業医下げ見送り・勤務医は引き上げ、中医協合意

2008年度の診療報酬改定を議論している中央社会保険医療協議会(中医協)は30日の総会で、開業医の再診料引き下げを見送る一方、病院勤務医の再診料を引き上げて両者の格差を縮小することで合意した。土田武史会長(早大教授)が提案し、各委員の了承を得た。これで診療報酬改定で最大の焦点だった再診料の取り扱いが決着した。
同じ病気で2回目以降の診察にかかる再診料は開業医が710円、勤務医は570円で、開業医が140円高い。中医協は当初開業医の再診料を下げる方針だったが、開業医が主体の日本医師会の強い反対を受けて断念。勤務医の再診料を上げることで両者の差を縮める方針に転換した。勤務医の上げ幅などは2月中旬までにつめる。
厚生労働省は総会に勤務医・産科・小児科医の待遇を改善して不足を解消する対策として、1500億円の報酬増を図ることを正式に提示した。この財源を開業医の再診料下げで捻出(ねんしゅつ)することができなくなったため、再診の際に上乗せする外来管理加算の引き下げなどで確保する方針。
【NIKKEI NET】


結局押し切りました。
歯科ならば当然、交渉の途中で再診料引き下げを飲んでいたかもしれません。
医科はしたたかです。
by kura0412 | 2008-01-30 15:16 | 歯科 | Comments(2)

いきなり政局は大きな山場に

与党のつなぎ法案提出で俄然政局が緊迫してきました。

大阪府知事選挙で民主党推薦候補の大敗を一つのバネに、与党自民党も協調路線から一気に舵を切った様子です。
補正予算は昨日衆議院通過して、参議院の審議の結果に係らず年度内成立は確定しましたので、残るは暫定税率を延長できるか否かが最大の焦点として絞られてきました。
これもつなぎ法案が明日中に衆議院可決すれば、かなり暫定延長へ傾きそうな雰囲気ですし、それよりも民主党が描いていた、このガソリン値下げを引っさげての早期の衆議院解散が遠のくことになります。

報道みると、民主党の最後の切り札は世論の反発に期待しているようですが、実はこの時期での暫定税率延長阻止を最も嫌っているのは地方行政です。
理由は簡単です。こらから地方議会で審議する予算案をそっくり作り直す必要が迫られ、地方行政に甚大な影響を及ぼすからです。
ガソリンが25円値下げは国民にはインパクトを与えることは間違いありませんが、どうでしょうか、国民全体を巻き込んだ渦までには難しいのでは?

そして、これで民主党の旗色が悪くなり解散が遠のくと、今度は党内のゴタゴタが再発しそうな予感がします。民主党は人海戦術を使っても徹底抗戦を挑みます。いきなり政局は大きな山場となりました。
by kura0412 | 2008-01-30 10:04 | 歯科 | Comments(0)

歯科とは随分違う話です

明日の中医協で、注目の医科診療所の再診料引き下げ問題について決着がつきそうな様子ですが、ここにきての議論が、それぞれのメンツの問題になってきて、改定することによって勤務医の環境改善という本来の狙いが置き去りにされようとしています。

頻度が高いので影響は大きいのは分かりますが、現在の医療の問題は、何点再診料が上がったからといって改善されるレベルではありません。逆に診療側主張するように、現在の点数でも十分でない中で引き下げられる影響は甚大です。それは前回、歯科のか初再診がなくなったことでも立証できます。

もっとその根本的な議論を進める中で、果たして、再診料は何点が適正化を決めるのであって、財布の中の少ない金をグチャグチャいじっても、残るのは現場の混乱だけです。

でも日医の現執行部としては、実質はどうでも、プラス改定獲得とそこから湧いてきた再診料引き下げ阻止だけは、会長選挙の匂いが漂う現状としては絶対に死守しなければならないところです。
メンツよりも実質が求められている歯科とは随分違う話です。
by kura0412 | 2008-01-29 12:25 | 歯科 | Comments(0)

医科診療所は実質もマイナスか

医科診療所の再診料引き下げが、現在進行している中医協での大きな争点であることは既にご承知の通りです。
その問題に対して、25日の中医協総会で、医科の診療側委員から、本体プラス改定となった財源は診療所への配分を求めず、全て勤務医対策に回すことに同意することを表明したとの報道です。
それに公益委員から、勤務医対策の必要額を見た上で公益委員が方向性を示すこととなったとあります。

0.42%だけでは勤務医対策には全くなりません。となると、再診料に手をつけるか否かは別としても総枠が決定している以上、医科診療所は実質マイナス改定は必至です。現場から相当反発がくるでしょうし、日本の医療の改善は更に遠くへ行きそうです。

では歯科は?
医科の議論の影響を受けないようにして、もう少し議論の進展を見守りたいです。
by kura0412 | 2008-01-28 12:18 | 歯科 | Comments(0)

こう着した政局で成すべきことは

今朝のテレビをみても政局は本当に硬直しています。対決のまま、歩み寄りのないまま一向に動く気配がありません。問題の暫定税率延長もこのままでは期限切れが濃厚です。

では、このまま、一方は解散総選挙を求めるだけ、片やそれを阻止して一日も長く政局を守ることに終始している現状で、これから全ての懸案が処理されないならば日本の国はどうなるのでしょうか?

特に、歯科界、医療にも大きな影響を及ぼす、引き続き財政再建を最優先か、あるいは消費税アップを含む社会保障費負担の問題を、いずれの政党もどのような展望をもってこの局面で対応するというのでしょうか?
このようなこう着した状況でも、何を産み出すことができるかを考えることこそが今の政治に求められ、それを実行した政党が国民から支持されるはずです。
by kura0412 | 2008-01-27 12:28 | 歯科 | Comments(0)

先進医療保険導入を予定、さてその財源は

先進医療のうち3件が保険導入を予定

1月23日に開かれた中医協総会では,[1]医療技術の評価・再評価と,[2]既存の先進医療に関する保険導入等について審議され,それぞれ了承された.
[1]については,診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会で審議されていたもので,学会関係から提案されていた681件のうち「1次評価において引き続き検討することが適当とされた技術233件」について2次評価を行った,以下のようなものである.(1)保険適用する優先度が高いと考えられる新規技術42件,(2)その他の新規技術69件,(3)再評価する優先度が高いと考えられる既存技術62件(廃止3点,減点等2件を含む),(4)その他の既存技術55件,(5)先進医療専門家会議において保険導入等について議論する医療技術5件である.このうち(1)の中で歯科に関しては,静脈内鎮静法(日本口腔外科学会),A-IPC療法:非侵襲性歯髄覆罩法(日本歯科保存学会),サポーティブ歯周療法:SPT(日本歯周病学会)など6件があり,財源が許せば保険導入がなされる.また,[2]については先進医療専門家会議が審議していたもので,(1)優先的に保険導入が適切であると評価された先進医療24件と(2)削除が適切であると評価された先進医療15件である.このうち(1)の中で歯科に関しては,別表8:歯周組織再生誘導法(GTR),同9:接着ブリッジによる欠損補綴ならびに動揺歯固定,同11:レーザー応用による齲蝕除去・スケーリングの無痛療法の3件があり,これらは保険導入されることになる.(2)については顎関節絡みで3件ある.
 なお,前回開かれた総会においてはラバーダム防湿の廃止(これは基本診療料に包括される)や医療安全に関しても評価(微々たる点線ではあろうが)する方向が示されている.

【日本歯科評論HPより】



前にも質問を頂きましたが、これが導入された財源は正直なところよく分かりません。
金属と違って、歯科の枠の中と考えるのが順当だと思うのですが?
by kura0412 | 2008-01-26 17:16 | 歯科 | Comments(1)

追い詰められてこんな発言するんでしょうか

中医協で日医の幹部が医科診療所の再診料引き下げに対する反対意見の中に、
「歯科の再診料は引き上げて医科診療所に再診料を引き下げるのは矛盾している」との発言があったと日本歯科新聞の報道にありました。

この記事だけその発言の真意の全ては分かりませんが、気持ちは分からないでもありませんが歯科からみれば疑問を感じます。

まず、医科と歯科は別財源で同じ再診料でも内容が異なること。(再診料の医科歯科格差は常々厚労省が内容が違うと主張しています)
また、医科は71点、歯科は38点で病院の57点にも遥かに及ばない低い評価であること。
その上げるといっても、同じ報道では再診料1点あげるに0,1%の財源確保が必要で、今回の改定率が0.42%となると、精々2点程度だろうと予測されている点。

今まで散々歯科と同一視するのを嫌っていた医科がこんな発言するとは相当追い詰められている証拠です。
by kura0412 | 2008-01-25 15:37 | 歯科 | Comments(0)

医療の地域間格差は更に広がるか

東京都が都立病院の産科医不足解消に向けて、来年度から産科医に年収を最大約300万円アップさせることを決めたとの報道です。

産科、小児科医不足問題の当面の切り札は収入増が一番であり、効果はあると思います。
ただ問題は、これが出来るのは財政が安定している東京都であるからなせる業で、緊縮財政で、医師不足が著明な地方行政、また、苦しい経営を強いられている民間病院ではなかなか出来ることではありません。

それに加え、本来この手当ては診療報酬で行なうのが筋であり、行政が一般予算を使うことには疑問を感じます。
もし、この流れが加速すれば、抜本的な医師不足を打開する策は手付かずですので、現有医師の取り合いとなり、医療の地域格差が更に進むことは必至です。
一歩間違えるとこの問題の混乱を激化しそうな雰囲気です。

しかし既に混乱してワーキングプワーが騒がれている歯科としては一気に300万円アップとは羨ましい限りです。
by kura0412 | 2008-01-24 11:16 | 歯科 | Comments(0)

社会保障費削減は与野党入り乱れての議論に

昨日の参議院代表質問で、自民党幹部の一人で、厚労大臣の経験もある尾辻自民党参議院会長が「社会保障費を削るのはもう限界」と毎年2200億円減額のシーリングをかけていることへの政策転換を求めました。
野党議員の中からも拍手が出る中、これに対しては福田首相は、給付の合理化・効率化に取り組む必要性は示したものの直接的な言及は避けました。

財政再建と社会保障費の削減問題は与野党入り乱れた大きな争点であり、夏の21年度予算概算決定は歯科界にも大きな波紋が投げかけられます。
by kura0412 | 2008-01-23 11:47 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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