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こんな形にも環境の悪化の影響が

ある大学の付属病院で、無給医局員の扱いに対しての労働争議が起きている話を聞きました。聞く限り、どちらの主張もそれぞれの常識からいけば正しい主張だと私は思います。
病院側かみれば、これだけ患者減少、就職先がなく、卒後の臨床経験の場すらなくなってきた状況の中、指導医がついて無償で臨床が出来るという考えれば当然。
また、労働側、労組の常識からみれば、その実態は別としても、歯科医師のライセンスを持つ人間が臨床を行って無給はおかしいという主張です。
そして、大学側としては温情で医局員にしているという考えの中、労働争議をするならば、辞めてもらおうとしたら、不当解雇と訴えてきました。
この争議がどちらに軍配が上がるかは難しいですが、この話を聞き、二つ私の頭に浮かんだことがあります。
一つはこれが全国的に広がれば、新卒(臨床研修後)の先生方の行き先が、また減る方向に進むだろうということ。そして、もう一つが、現在の歯科界の医療環境の悪化がこの争議に至った最大の原因であることです。
大学側にしてみれば、もし、給料をなにがしか払ってまで雇用すれば病院経営は悪化するし、また、勤める側からすれば将来収入増加予測が出来ない状況では、主張は主張することだったのだと考えます。
ちなみ、来年から実施される歯科の臨床研修医の給与は、医科は月収30万円で足りないとかいう話題になっていますが、歯科は現在、労働基準の時給最低額の六百何十円を基準に考えられているとの話を聞きました。
by kura0412 | 2005-08-31 10:57 | 歯科 | Comments(0)

小泉劇場の続演決定となるのか??

いよいよ総選挙告示日です。昨日TVニュースで各党首討論会を見ましたが、小泉首相の発言は隙だらけなのですが、岡田党首もそれをきっちり攻め込むことも出来ず、いつものことながら消化不良の感じでした。
しかし、恐らく、自民・民主の党首対決をやれば、小泉首相のボロが出てきいて体勢が一気に変化する可能がありそうな雰囲気でしたので、自民党が理由を付け対決討論会を避けるのは賢明の策だと思います。
勝敗予想も、まさにいろいろですが、現時点では自民党有利との話。しかし、今回の選挙、何か一つの発言、事件?をきっかけにムードが一変しそうな予感がします。しかし、野党がそのきかっけ作るのは難しく、無事小泉劇場の続演決定になるのでしょうか?
by kura0412 | 2005-08-30 11:45 | 歯科 | Comments(0)

総選挙に対する日医の対応に?

医療関係者だけでなく、大方の政治に通じている人は、小泉首相続投となったっ時、郵政民営化を断行した後、残りの任期で医療改革をするだろうと考えています。
したがって、この医療改革も本来、大きな選挙の争点であっても不思議ではないのですが、それを求めるべき日医は歓迎していません。
ことさら声を上げて小泉首相を刺激したくないのか?郵政の二の舞をして社労族に犠牲者を出したくないのか?あるいは小泉首相に反旗を翻したものの日医の政治力の低下を露呈させたくないのか?その真意が分かりません。
逆に、日歯の方は、日歯推薦の中医協の委員削減阻止などの具体的な案件を提示して、選挙への支援の判断材料に考えているようです。果たして、天下分け目のこの戦いに、これらのミクロ的なことが受け入れられうかどうかに私は疑問を感じています。
いずれにせよ、これだけ郵政民営化と叫ばれると、静観しても、また、動きを見せてもその判断は難しいようです。
by kura0412 | 2005-08-29 12:20 | 歯科 | Comments(0)

医科、歯科の需給対策

医科の方も需給対策が医療政策の大きな課題の一つとなってきました。ただ、歯科は歯科医師の数が多すぎることで、医科は足りないという、同じ需給問題でも正反対の点が大きく異なるところです。
医師は数の上では足りているのも関わらず、その分布が地域的、診療科的に偏っていることと、医科の需要増強政策が効いて、当初の予測よりも需給のバランスが狂ってきたなどがその大きな原因だと考えます。
一方、歯科の需給対策は有効の手段が殆どなくなってきているというのが正直なところではないでしょうか?
その一番の効果策である定員削減も、私立が多く占める歯学部では、加速する少子化を背景に経営を重視しなければならず、大学関係者との協議もままならない状況です。
よく手っ取り早く国立大学の大幅な削減を訴える方もおられますが、本来、どんな形にせよ、歯科界に国の金が流入することを断るというのは、そのパイを自らが狭めることになるわけで、私は賛成できません。やはり、主体と成すべきは私立での定員削減であるべきです。
と、理想論をいってもどうにもならない状況までになっているは歯科の需給問題です。
そこで、私は、政府の医療供給対策として、私立歯学部を医学部に学部変更してはどうかと?考えています。
医科歯科同じようで違う二つですが、根っこは同じ、実際の学部新設の費用も新たに作るよりもはるかに安く、スムーズに出来ます。もちろん、そこに辿り着くまでには多くのハードルがあります。しかし、歯科に関してはその手立てが殆どない状況ならば、多少のハードルは苦にならないはずです。これで相反する需給問題は一気に前に進みます。
これを進めるのは、まさに政治の決断が必要です。
by kura0412 | 2005-08-29 11:41 | 歯科 | Comments(2)

自民党優位、改革断行なるか?

総選挙投票日まで二週間を残すだけになりました。一部の報道では、現時点で自民党に流れが優位に動いているとのことです。しかしながら、自民、民社いずれが勝っても選挙後の政局は非常に不安定なものになるのは必至のようで、小沢一郎氏は、次の解散もそう遠くない時期にあると予測しています。
既に、岡田党首は政権奪取に失敗したら辞任すると明言していますので、獲得議席数も影響しますが、民主党は議席数を増やして、いよいよ政権交代の大きな流れで、さほど党内の混乱はないと考えますが、もし、民主党が政権を握ることがあるとすれば、造反組はもとより、自民党内からも民主党に直接とまではいかなくても、自民党を離れる議員がなだれ現象となりそうです。特に、自民党の派閥が解体状態に陥っていますので、恐らくその雪崩現象に歯止めをかけることは出来ません。与党であるという利点を体験すればの流れです。ひょっとすると、公明党ですらどうするか分かりません。
そうなれば、支持団体も失い、派閥もなくなった野党自民党は自然消滅の一途を辿ります。これは、まさに小泉首相が明言していた「自民党をぶっ壊す」これを実現することになります。
こんな大胆な流れも予測しますが、現状の選挙分析ではそこまで至らず、混迷する政局が残りそうです。果たして、これで小泉首相は改革断行が相成りますか?
by kura0412 | 2005-08-27 12:29 | 歯科 | Comments(0)

この時期の厚労省予算概算要求公表

厚労省が来年度の予算概算要求を公表しました。他の省庁はどのように進んでいるか分かりませんが、厚労大臣は参議院議員ですし、政治空白は作らないと小泉首相は発言していたのでこの時期での公表は、当然といえば当然ですが、本来ならば、この発表に至るまでに政治的な関与もあるわけです。しかし、今は、選挙戦真っ只中、これを政治が不必要と考えるか、また、この間隙を狙っての発表なのかはよく分からないところです。
歯科に関しては、歯科関係だけの発表のまとめがないので厚労省全体の公表からみれば、来年度から始まる臨床研修医制度に新規に予算が付いた以外は、殆ど「歯科」という文字を見つけることは出来ませんでした。
健康フロンティアの推進、食育の推進あたりに関与して当然と思いますが見つかりません。歯科界はまだ昨年事件の反省が足りないのでしょうか?
by kura0412 | 2005-08-26 11:45 | 歯科 | Comments(0)

公明党票か、自民党支援団体票か

地方区に自候補がいない公明党票は各選挙区に2万票はあるといわれいます。それ比べ自民党内でトップクラスの特定郵便局関係の票は多くてその十分の一という票読みをして、今回の選挙では他の支持団体の支援を断っても公明票を取り込むという目算をしている自民党陣営がいました。
確かに、公明票はある程度しっかり読める票であり、何百票で当落が変わる小選挙区制度では非常に大きな票田です。
しかし、いかなる選挙でも、選挙というものは一票、一票の積み重ねで結果、何十万、何万票になるものです。
恐らく、今回の選挙では、自民党は民主党と異なり復活のおける比例区の枠は少なくなるでしょうから、「選挙区は自民党、比例区は公明党」そんな選挙戦をする自民党陣営も少なくないはずです。
それと、特定郵便局に留まらず、従来の他の自民党支援団体が、この傾向をどう考えるか?浮動票は小泉戦法で獲得してけれど、基礎票である支援団体票の大きな目減りによての当落への影響は十分考えられます。
それを示すように、自民党支援の有力団体である日医は、今回の選挙では全国組織としては自民党支持を貫くが、個々の選挙区事情での選択を追認する決定がなされました。また、目減りをしたとはいえ、全国に5万人の会員を擁する日歯連盟も、同様の決定をしたと聞き、今日午後からの都道府県連盟会長会議でその報告をするようです。
by kura0412 | 2005-08-25 12:25 | Comments(0)

厚労省の統計ミス

少子化の加速が進み、予測されていた2006年から人口減少が一年早く今年から始まりそうです。
実は、あまり話題になっていませんが、この少子化問題で厚労省の統計予測の甘さが、その政策の遅さを生んでいます。将来人口予測を上位、中位、下位と三つの幅で予測しているにも関わらず、実際はその下位を下回る結果となり、いくらその対策しても後手にまわるのです。
昨年、年金改正を議論している予測値が、その法案成立後に想定より下まわり物議をかもしたのは記憶にあるところです。
これは意識的なのか、あるいは、あまりのも著しい少子化なのか、その統計予測の不一致の理由は分かりませんが、この点は改善しないと少子化対策は進みません。
偶然ですが、同じく厚労省の統計に誤りがありました。
過去7年分の国民医療費下方修正、特に98年は2400億円も実際より医療費を過大推計していたとの報道です。
この医療費統計は医療費改定の大きな指標であり、これがこれだけの間誤った統計の下で改定が進められていたという実際は、厚労省の大きなミスであり、今後、改定作業だけでなく、厚労省のあらゆるデーターの信頼性を低下させることになります。
統計に詳しい先生にその実際を検証してもらおうと思います。
by kura0412 | 2005-08-24 14:56 | 歯科 | Comments(0)

単純、明快

小泉内閣、自民党の支持率が今だ上がっています。強引な解散、反対票に入れた議員への刺客戦法、そして、数々の課題が解決していない現状を冷静に判断すれば、民主党にその支持が廻らなくても、支持率は下がるものと予測していただけに意外な結果です。
しかし、小泉首相の行動、発言を少し考えてみると一つはっきりしていることがあります。それは、「単純、明快」
小泉首相にはマニフエストも難しい説明もいりません。
「私は改革を断行したい。その最初が郵政民営化。国民の皆さんこれに賛成ですか?反対ですか?」そしてその判断を仰ぐ為に、民営化賛成候補者を全選挙区に立候補する準備をした。これだけです。
ここには、自民党の二枚看板の小泉首相と安倍幹事長代理の拉致問題の対応の違いなど全く問題視する暇を与えません。
つまり国民の目から見れば、小泉首相の発言、行動は分かりやすいのです。有権者の中で、全党のマニフエストを読み、各候補者の演説を聞き投票する人はどれだけいるでしょうか?
「売上税反対」こんな単純な訴えが、過去の選挙でも大きな変化をもたらす結果を生んでいます。
ただ懸念するのは、小泉首相の不注意な発言の一言です。「人生いろいろ」これで昨年の参議院選挙でまさかの結果となりました。マスコミはその一言を待っています。
by kura0412 | 2005-08-24 09:39 | 歯科 | Comments(0)

その選択の判断材料は

郵政民営化法案を反対した議員の中には、郵政民営化そのものが反対ではなく、小泉首相の政治手法、また、党内での審議過程の不備を指摘し反対票が投じた議員が多くいます。これはある意味、議員としては当然の行動です。
しかし今回、小泉首相は郵政民営化が反対か、賛成かの選択枝のみでその投票判断するよう訴えています。そして、他の政策に対しては、既に一年半前の総選挙で訴え、支持をいただいているとも言っています。
しかし、その一年半前と比較して日本の社会は変化していないでしょうか?
拉致問題は頓挫し、中国、韓国との関係は自らの靖国神社参拝が引き金となって悪化の一途をたどっています。経済の問題も、大企業は持ち直した感がありますが、地方経済は冷え切ったままです。そして、少子高齢化に伴う社会保障に対しての不安は募るばかりで、これが日本全体の将来展望を暗くする最大要因です。
これらを反故にし、果たして、郵政民営化法案に反対か、賛成かだけで国民に信を問うことでよいものでしょうか?衆議院選挙という国の行くへを最も左右する選挙は、もっと幅の広い政策によって判断するべきではないでしょうか?
今回の選挙は、投票日までに選挙民が郵政民営化の是非のみで選択するか?もっとトータル的な判断で小泉内閣を判断するか?そこが最大のポイントになるかもしれません。
by kura0412 | 2005-08-23 09:58 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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