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選挙は戦い

愛知県歯会長選挙が昨日行われ、現会長が僅差で再選されました。
選挙の実際は詳しくは聞いていませんが、愛知県歯は4000名近い会員からの直接選挙です。その票差を考えれば、それなりの激戦であったことは間違いありません。そして、この結果がしこりとなって、これからの会務への影響も心配されます。
特に、愛知県は、その県歯の規模の大きさもさることながら、昨年の事件で県歯連盟会長が逮捕されるという事件があっただけに、今後の会務の推移は全国へ影響が波及する可能性もあります。
時も同じく、イラクでも初めての選挙が実施され、今後の動向が注目されています。選挙は、選挙中よりも、結果が出た後の問題も十分に考える必要があります。全くしこりを残すなというのも無理な話なのですが、あまり度が過ぎると組織がガタガタになってしまいます。戦う時は激しくやりあい、そして結果出たら爽やかに握手をするのが理想ですが、選挙は戦いです。
by kura0412 | 2005-01-31 16:54 | 歯科 | Comments(1)

新幹線で2時間の違い

昨夜からの雪で、また、小千谷は雪だらけの世界になってしまいました。
実は、一昨日は新潟で会議で、昨日は、朝一の新幹線で上京し、夕方トンボ返りして、小千谷でいつもゆく郊外のドライブインで家族と夕食を共にしました。しかし、お客は私たちの家族だけ、田舎ですので、店の造りはしゃれた感じではあれませんが、安くてお腹一杯になる店なのに、地震の後遺症とこの雪で店長も諦め顔でした。
実は、小千谷市内の小売り、飲食関係の店は一部を除いて殆ど同じような感じです。
生きるか死ぬかの時を過ぎ、家の建直し、修繕を初め、もろもろの出費、そして、地震の影響による企業の首切り、小千谷の消費マインドは著しく低下して、お金、人の動きが、地震と雪のダブルパンチで止まっています。
復興の為、多額の国、県の予算が小千谷市にも入ってくるのですから、何かそのお金が回るシステムがないものかと私なりに考えるのですが、妙案が浮かびません。
こんな考えをしたくなるのも東京の晴れ上がった天気と、人の多さを目の当たりにしてのことだと思います。新幹線で2時間と違わない場所なんですが。
by kura0412 | 2005-01-31 11:59 | 中越 | Comments(0)

備忘録

北朝鮮が拉致問題に対して「備忘録」なるものを発表しました。
備忘録?聞きなれない言葉なので広辞苑を調べると、忘れる時の用心に書きとめておくノート、手控え。となっています。
まさか、この問題で日本人が忘れるはずもなく、この問題に対しての北朝鮮の認識は所詮、忘れるかもしれない問題として扱っているのか、意識的に振舞っているのか、訳の分からない言葉をあえて使ったものです。
その要旨をみると、また、おかしなことばかりです。
まず、横田めぐみさんのことを「横田めぐみ」と呼び捨てにしています。
自らが拉致の存在を認めた横田さんに対して、呼び捨てにするとは言語道断です。このこと一つで、いかに拉致問題に対して、真摯に反省し、解決を目指していないかが一目瞭然です。
日本の遺骨鑑定結果は徹底的なねつ造。信頼することのできない日本。遺骨鑑定結果をねつ造した日本の本心。そう評する表題を北朝鮮に変えれば、あえて自らを評しているようです。
特に、東京歯科大学の橋本助教授がその鑑定に関わったとされる部分では、千二百度で火葬した遺骨をDNAで鑑定しても、個人的名鑑別は不可能であるのがわが国の常識である。と言っています。つまり、高温で焼いて鑑定出来ないものと思って試料提供したら、日本には、それ以上の鑑定技術があって、うそがバレタということです。
日本の中で制裁論が強まっている中、こんな強気のコメントを新たに発表する裏づけには、中国の支援強化があるという推測する専門家もいます。となると、制裁論発動だけで解決するのも難しいかもしれません。
しかし「備忘録」、この言葉は、歯科界でもこれから、いろいろ使えそうな面白い言葉です。
by kura0412 | 2005-01-28 09:48 | 歯科 | Comments(0)

タイに自衛隊歯科医官派遣

今日の日経新聞に、政府が、インド洋大津波で被害を受けたタイに遺体鑑定や邦人被害者の身元確認の支援のため、陸空自衛隊の歯科医官を二名派遣するとの小さな記事が載っていました。
実は、今回の大津波での歯科医師会としての支援で、この身元鑑定が一番の仕事になるのではないか、また、この支援を発展すれば、歯科の新しい役割が示せるのではないかと考えていただけに、この報道にはいろいろ考えさせられます。
政府としては、やはり、昨年の事件があったために、歯科医師会には頼めないと考えたのか、また、たとえ医官であっても、自衛隊の海外災害派遣という実績をさらに積みたいのか、その真意は分かりませんが、災害時の歯科医師しか出来ない社会貢献の一つであることは間違いないようです。
そう考えると、中越地震での歯科医師会としての教護支援が、身元鑑定ではなく、口腔ケアという前向きな仕事だったことにほっとするものもを感じます。
by kura0412 | 2005-01-27 10:43 | 歯科 | Comments(0)

収録取り直し

今日の午後、NHK新潟のテレビの生放送に出演します。その後、来週用の収録もあります。来週用の収録分は、本来10月20日に生放送だったものが、台風のニュースで番組が飛び収録となり、翌週27日に放送予定だった分です。つまり、丁度地震発生の10月23日をはさみ、これも地震報道のため放送が中止されることになったものです。
また、昨日は日歯が毎週放送している日本テレビの「ご存知ですか」の収録〈2月1日放送)を小千谷で行いました。
いずれも短い番組ですが、その制作の実際を見るとき、大変な作業、労力を要するのが分かります。今、冷静に考えれば、地震直後の報道ラッシュには、物凄いスタッフが全国から小千谷を訪れ、報道していました。その当時、マスコミのエネルギーを感じていたと共に、当然のことながら、全国の視線が小千谷に注がれていたいました。
そのマスコミ関係者数も、現在は極端に減り、小千谷がマスコミに登場する機会もめっきり少なくなってきました。全国の目が中越地震から離れ、風化していいくこと、復興半ばの今、私は心配いしています。まだ被災地は自立だけでの復興は出来ません。
by kura0412 | 2005-01-26 10:15 | 中越 | Comments(0)

認定に不満が

現在、小千谷市では、住家被害の認定への不満が出ています。小千谷市の場合、殆どが一部損壊に認定されています。これによって、各種公的な補助、義捐金の分配金などに大きな差が出てきますので、こんな状況では、その認定に対して敏感になるのも分かります。
市の関係者に聞くと、この認定作業には、市の職員と他の行政の人間との二人で、マニアルに基づいて判定しているとのことです。
ただ、問題は、小千谷より被害が少ないはずの他の市町村と比較すると、明らかにその認定が厳しい統計になっています。小千谷市の認定が厳しいのか、他の市町村の認定が甘いのかは分かりませんが、バランスを欠いていることは事実です。市は、認定に不服の人は遠慮なく再調査を希望してほしいということですが、その処理は難しそうです。
by kura0412 | 2005-01-25 10:50 | 中越 | Comments(0)

地震より厳しい財政状況

地震の影響で被災地の来年度予算編成が大幅に遅れています。遅れているというよりも、組むための原資の目処がたたず、建てられないというのが正しいかもしれません。
ここ何年間は、三位一体の影響を受けながら、経費削減に努めながらも、足りない分は財政調整基金から繰り入れて、何とか帳尻を合わしていたのが実態でした。
その頼みの綱の基金が、地震による補正予算への支出の為底をつきました。小千谷市でも本来、この時期に大型の補正予算を組みたいのですが、その原資がない為に組めません。今回の補正では県からの100%補助の予算案だけです。現在、事務レベルでは、来年度予算の査定中ですが、厳しいということでは言い表せない予算編成だと聞いています。
本来なら、足りなければ借りるというのが一般的な考えですが、起債比率というハードルがありますので、足りないから借りるという構図も出来ません。
市の職員が「地震直後の対応も苦しかったけれど、まだ、財政担当でなくてよかった」と私に本音を漏らしてくれました。被災地の財政は、地震より厳しい状況であるということです。
by kura0412 | 2005-01-24 11:32 | 中越 | Comments(0)

愛を感じない施政演説

昨日の小泉首相の施政方針演説の冒頭、中越地震の対応について「国内の被災地が迅速に復旧事業に取り組めるよう、激甚災害指定を行い、補正予算を編成しました。一日も早く被災者の方々が安心して生活できるよう、復旧と復興に全力をつくす」と言っています。これを私なりに解釈すれば、災害に対しては、補正予算で対応したので、その後は、法律に載って処理するだけということです。
郵政民営化も大切です。テロへの脅威を払拭するのも重要です。しかし、たとえその対象が少なくても、被害に遭って苦しんでいる国民がいる国家の首相の施政演説とは到底感じません。この演説にも国民に対する愛情が全く欠如しています。
これで被災地は、更なる支援を国に頼ることはほぼ不可能になりました。被災地が選ぶ次の手は一体何があるのでしょうか?
by kura0412 | 2005-01-22 11:42 | 中越 | Comments(0)

NHKと朝日新聞のバトル

NHKと朝日新聞のお互いの報道合戦は、近来まれに見る面白いバトルであり、それと共に、現在のマスコミの偏重を如実に表した戦いとしてみることが出来ます。
現在、戦いの真っ最中ですので、その勝負の行くへは分かりませんが、現時点では、明らかに朝日新聞が形勢不利の状況です。
その理由は、まず、中川大臣がNHK幹部と面談したしたのが、放送後であったということで、その報道の中に確定的な誤りが存在すること。そして、記事の源の一つになっていたNHK幹部の供述した本人が、その記事の内容を明白に異なっていることを発表したこと。この二つの事実だけでも、朝日新聞の記事の信憑性は著しく低下しました。
朝日新聞のことですので、その面子にかけて、特に、相手が海老沢会長の問題で著しく国民からその信頼を失いかけているNHKですので、このままでは終わらないはずです。しかし、今回、その取材対象となったのは、NHKという自らが反論を展開できるメデアだからこそ、こんなバトルになりました。しかし、記事の対象が一般の団体、会社ならどうだったでしょうか?
昨年の日歯関連の一連の事件の報道の中にも、事実と明らかに異なる報道がいくつもありました。私も、地元の歯科医師会への報道で、事実に則さない、あるいは、偏重的な論調での報道の対応に苦慮しました。しかし、マスコミは、名称、数字の誤り以外、よほどのことがない限り、その報道の非を認めないのが常です。したがって、もし、マスコミ以外の報道された側が、事実と異なる報道に対抗する術は、法的処置しかありません。現在の報道の中には、今回のように喧嘩にもならない、国民の目には事実と異なる認識がされる可能性があるということです。特に、歯科界という、一般にはなじみがない、ある意味で特殊の世界での出来事です。今回のバトルをみて、改めて報道のあり方、報道する側の姿勢を考えさせられます。
by kura0412 | 2005-01-21 11:51 | マスコミ | Comments(0)

環境の違いから改めて決意する

再開してから初めて、上越新幹線に乗って、会議の為上京しました。一昨日の余震で運転を中断して心配しましたが、時刻表通り運行されてます。しかし、東京の天気を見るとその環境の違いを改めて感じます。
まず履物が違います。長靴ではありません。マフラーも手袋もなくても歩けます。一晩で1メートルも雪が積もる小千谷とは、まさに別世界です。
一瞬、地震に遭い、雪に埋もれる地域からの脱出も考えますが、やはり、私はどんな環境でも小千谷が好きです。その為にも、小千谷が今陥っている環境を関係者に理解を求めることに努めると共に、自分の置かれている立場で、改めて地域の復興を目指す気持ちが湧いてきました。
by kura0412 | 2005-01-20 12:14 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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