カテゴリ:政治( 994 )

『安倍首相に「早期解散見送り」を決断させた、驚きの選挙予測』

安倍首相に「早期解散見送り」を決断させた、驚きの選挙予測
86選挙区で敗北の可能性アリ?

首相・安倍晋三は衆院解散・総選挙の時期について「来年1月解散・2月総選挙」をとりあえず選択肢から外した。よほどのことがない限り、この時期には行わず、2018年暮れの衆院議員任期満了をにらんで「来年秋以降~再来年年頭」を軸に解散時期を模索する構えだ。
来年年頭に解散しないのは、自民党総裁の任期が「2期6年」から「3期9年」にスムーズに延長されること、来年5、6月ごろに実現する見通しの衆院定数削減・是正前に解散すると「定数削減逃れ」という批判を招くこと――などが理由だ。
だが、真相は自民党が勝てない、公明党を含め政権維持に必要な過半数の議席を確保しても、議席を大幅に減らす可能性があるからではないか。

若手議員の後援会作りは3割以下
自民党は10月中旬から、衆院当選1、2回の若手議員約120人を3グループに分け、選挙対策の勉強会を始めた。席上、幹事長・二階俊博は「次に選挙があるのは衆院であることは間違いない。そろそろ準備をしておく。(衆院解散は)いずれ来る」「選挙は一人ひとり、個人個人の問題だ」とあいさつし、発破をかけた。
24日の会合では官房副長官・萩生田光一が「皆さんの活動状況次第では候補者を差し替えるというのが安倍総裁の意向だ」と述べ、候補差し替えに言及した。
前回の衆院選から約2年、自民党が政権を奪還した12年12月の衆院選からは約4年が経過している。にもかかわらず、今になって選挙対策の勉強会を開いたり、候補者差し替えを検討したりしていることに、自民党の危機感が表れている。
かつての自民党議員なら、選挙対策を指導する必要はなかった。選挙運動と後援会づくりは一体であり、立候補を決断した段階から後援会作りに励んだ。それが、多少逆風が吹いても当選する源泉だった。元首相・田中角栄の「越山会」が有名で、元首相・竹下登は「角サンの票は一票、一票を鋲(びょう)で止めてあるようだ」と語っていた。
ところが、今の当選1、2回議員の選挙運動の実態について、自民党実力者はこう語る。
「しっかりした後援会を作っているのは3割に満たないのではないか」

中堅議員も、彼らの怠慢ぶりに驚きを隠さない。
「彼らが初めて当選した12年暮れの衆院選直後、13年元日に皇居で行われた新年祝賀の儀に、初当選したばかりの議員がいっぱい来ていた。私は、大差を付けて当選できるようになってから出席した。それまではずっと欠席していた。元日は、地元の神社を回るもんですよ。そこで、お参りに来た有権者に当選の御礼をする。年頭から選挙運動を始める気持ち、意識を、そもそも持っていないんですね……」
新年祝賀の儀に限らず、国会議員に案内状が出される会に当選1、2回若手議員が出席している姿を見かけることが多い。「当選1回議員の最大の仕事は2回目に当選すること」と言われ、若手議員が選挙区を丹念に回るのは今や昔、となってしまったようだ。 

野党一本化なら自民は86議席減?
前回の衆院選は、12年衆院選から約2年で行われた。その結果、12年初当選組119人のうち104人が当選を果たした。
「小泉チルドレン」と言われた自民党の05年初当選組83人が09年衆院選で10人(旧みんなの党を含む)に、「小沢チルドレン」と言われた旧民主党の09年初当選組143人が12年衆院選で11人(同)に、それぞれ激減した。これに比べ、12年当選組の大半が生き残った。
議席が大きく変動した衆院選は前回との間が4年、3年4カ月と空いていた。しかし、12年当選組は約2年で次の選挙を迎えた。14年衆院選は旧民主党批判が強く、安倍政権が順調な時期だった。かつ、民主、共産、社民、生活の各党がバラバラに戦っていた。
ところが、次期衆院選は14年とは様相が異なることになりそうだ。野党4党が調整を水面下で進め、候補者を一本化する公算が大きい。
「野党(候補)が一本化された場合、前回の衆院小選挙区獲得議席のうち、単純な足し算で86選挙区は勝てない可能性もある」
幹事長代行・下村博文は自民党の選挙対策勉強会でこう語り、危機感をあらわにした。自民党の衆院議席は現在、自民系を含め294。下村が指摘する86選挙区すべてで議席を失ったら208。公明党の35議席を加えても、定数削減後の過半数233議席をやっと上回る程度に落ち込むことになる。
もちろん、自公両党はそれでも過半数を確保できるのだから、政権を維持する。しかし、自民党が大きく議席を減らすなら、18年9月の自民党総裁選で安倍の3選に黄信号が点滅することになるだろう。
その時に敗北の責任を問われないためには、14年11月の解散時のように安倍の主導権で解散するのではなく、多くの自民党議員が「この時期ならやむを得ないな」と思われるような解散時期を選ぶ必要がある。
その時期は任期満了の1年前あたり、つまり来年秋からだろう。それまでは当選1、2回議員に地盤を固める、最後の猶予期間となるに違いない。

【ニュースの深層・田崎史郎】
by kura0412 | 2016-11-01 15:17 | 政治 | Comments(0)

『新潟県知事選「想定外の大差」の意味』

もう東電を切り捨てるしかない!新潟県知事選「想定外の大差」の意味
再稼働なんて夢物語

ぬぐえない原発への不信感
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡る「ワンイシュー(単一争点)選挙」となった先週日曜日(10月16日)の新潟県知事選挙で、「現状では議論も始められない」と対立候補よりも慎重な立場をとった米山隆一氏(共産、自由、社民各党が推薦)が、自民、公明両党推薦で「徹底的な検証」を主張した森民夫前長岡市長らを予想外の大差で破った。
この選挙が浮かび上がらせたのは、有権者の間に、福島第1原発の事故で経営破綻に瀕した東京電力を庇い続けてきた菅、野田、安倍の歴代3政権の原発政策に対する根強い不信感が、今なお存在するという事実だろう。
選挙戦の最中(10月12日)に、当の東電グループが35年間も使い続けたケーブルで火災を起こし、都心で大停電を招いたことも、有権者に原発事故当時から拭えない懸念を思い起させた。どんなに原子力建屋などの耐震基準を厳格化しても、肝心の東電の体質が変わらないのでは、原発を委ねられないという懸念である。
その一方で、大型原子炉が7基もある柏崎刈羽は、世界最大の発電容量を持つ原発だ。きちんと動かせれば、化石燃料市況にコストを左右されない首都圏への安定電力供給源になる。その意味では、現政権の経済面での1枚看板である成長戦略の一翼を担うことも可能だろう。
1日も早く再稼働させたいと政府が本気で願うのならば、遅ればせながら東電保護政策と決別する時だ。東電を同原発の運営と切り離し、信頼される他の主体に委ねることにして、新潟県民の原発への信頼を取り戻す必要がある。

「反省が足りていない」
米山氏は52万8455票を獲得、次点の森氏(得票数46万5044票)に6万3411票の差をつけて当選した。マスコミによると、この差は「予想外の大差」だ。
投票直前まで「どちらが勝つにしても数千票以内の差だ」(産経ニュース)とみていたからである。確かに、地元では8月末、泉田前知事がかねて表明していた4選出馬を撤回した段階で、すでに出馬を表明していた森候補が圧倒的に優勢とみられていた。
森氏は建設官僚時代から政治家への転身を周到に準備してきた人物で、9月初めの退任まで現役の全国市長会長だった。
今回は、自民、公明両党の推薦だけでなく、早々に民進党の最大支持母体である連合のローカルセンター「連合新潟」の支持も取り付け、知名度と組織力の両面で大きくリード。泉田時代に細った中央とのパイプを復活して減った公共事業を回復するとの主張も説得力があった。
一方の米山氏は医師で、どちらかと言えば知名度に難があるうえ、もともと「民進党の次期衆院選候補」とされていた。
ところが、前述のように連合新潟が森氏支持を決めたため、民進党は自主投票を決め込み、米山氏は同党の推薦を受けられなかった。同氏が立候補表明に漕ぎ着けたのは告示のわずか6日前である。当初は、米山氏を泡まつ候補扱いにしたメディアまであったという。
しかし、米山氏は「泉田知事の後継者」「現状では再稼働の議論は始められない」と主張して、ある種の旋風を巻き起こした。
加えて、大きく影響したのが「東京電力パワーグリッド」が選挙期間中(10月12日)、35年も使われてきた、首都圏の3つの変電所を結ぶ地下ケーブルで火災を起こし、それが大停電の原因になったことだ。55分程度で復旧したものの、範囲が東京都内の千代田、中央、港、新宿、豊島など主要10区の58万軒に及ぶ大規模停電だった。
これだけの停電を起こしながら、マスコミ向けの説明と謝罪に出てきたのは、中間管理職だった。この対応を見た有権者の多くが「福島第1原発事故と同じ対応だ。またしても反省が十分でない」、「柏崎刈羽原発でも似たような事故を繰り返すのではないか」と不安にかられ、米山旋風を加速させたとみられる。原発ワンイシュー選挙を恐れる東電
福島第1原発事故以来、東電は、資本主義のルールを無視した国有化、賠償・除染・廃炉に対する巨額の財政支援、そしてBWR型原発の新規制基準適合審査でトップバッターとする優遇措置など、あの手この手の国策支援を受けて、経営破綻を免れてきた。
しかし、事故以前に「(津波堆積物の)痕跡がない」と言い張って津波対策を怠ったのは周知の事実である。それどころか、事故後も今年7月にメルトダウン隠しの事実を認めて謝罪するまで5年以上の歳月を費やすなど、安全軽視の隠蔽体質が一向に改まった兆しが見えて来ない。
そんな電力会社に2度と原発を運転してほしくないと考えるのは、市民として当たり前の感覚だろう。
今回、複数の原発を持つ電力会社がショックを隠せないのは、米山氏の都市部での強さが際立ったことだ。同氏は森氏との得票差の7割弱に相当する4万2580票を新潟市内で獲得した。一方の森氏は、原発立地の柏崎市と刈羽村で米山氏を上回る支持を得たものの、都市部での大差を埋められなかった。
原発慎重派知事の誕生例として見た場合、米山氏は、今年7月に就任した鹿児島県の三反園訓知事に次ぐケースだ。

件(=くだん)の電力会社は今後、青森、宮城、福井、島根、愛媛、佐賀といった主要な原発立地県で、米山型ワンイシュー選挙を仕掛けて当選する反原発候補が相次ぐことを憂えている。政府の「安全が確認された原発は再稼働する」という原発政策が、知事権限で反故にされかねないからだ。
別の電力会社は、筆者の取材に「もちろん原発再稼働という総論は賛成だ。が、今回は柏崎刈羽の再稼働が遠ざかってホッとした」と、耳を疑いたくなるような話をした。
というのは、今年4月にスタートした電力自由化で電力会社間の競争が始まり、本来ならば原子力損害賠償支援機構から受けた資金支援の返済に充てるべき収益を、東電が顧客囲い込みキャンペーンに注ぎ込む場面を目の当たりにして「公正な競争に反する」と不信感を抱いていたからだという。
東電幹部がここへきて「柏崎刈羽が再稼働したら、料金面で大攻勢をかける」と檄を飛ばしていたことも、この電力会社が胸中で森候補敗北期待を膨らませる原因になっていたらしい。

東電擁護策との決別を!
だが、この知事選の結果をどう分析したのか。政府・与党は引き続き、東電擁護政策を堅持どころか、強化していく構えだ。
経済産業省は先月から今月にかけて、審議会の下部組織として「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(貫徹委員会)を設置したほか、研究会として「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)を新設した。
年度内に東電の収益力の一段の強化策や、福島第1原発の廃炉費用を賄うための公的支援の拡充策、そうした費用の一般への幅広い転嫁策などを網羅的にまとめる方針と聞く。
自民党も、経済産業省の政策決定に関与するため、「原子力政策・需給問題等調査会」(会長・額賀福志郎元財務大臣)が、年内に廃炉費用や核燃料サイクル問題に関する提言を作るという。
だが、今回の新潟県知事選挙は、様々な争点のある国政選挙や、地元利害の意見集約の場にしやすい市町村レベルの選挙と異なり、県知事選挙では依然として原発問題が大きな争点になり得、東電への異例の支援が前提の原発政策が批判の的になり易いことを浮き彫りにした。
同じように運営主体問題を抱える高速増殖炉「もんじゅ」では、原子力規制委員会が「相応しい運営主体が見つからなければ、廃炉」と背水の陣を敷いて抜本的な政策転換を迫った。
柏崎刈羽原発も、運営主体の東電に対して多くの市民の危惧が集中しているのだから、もんじゅ同様に運営主体を見直すのは当然のことのはずである。つまり、東電擁護策との決別が信頼回復への第1歩ではないのだろうか。

【町田 徹・ニュースの深層】
by kura0412 | 2016-10-25 08:45 | 政治 | Comments(0)

『「解散フラグ」は立ったのか? 』

「解散フラグ」は立ったのか?

「解散フラグ」は立ったのか――。最近の永田町と霞が関の関心事はこれだ。与野党を問わず、みんながフラグ(旗)を探している。
「フラグ」とは何か。新語を積極的に扱う三省堂国語辞典は2014年からこの言葉を載せている。意味は「先の読める伏線」。小説などで登場人物が死亡する伏線が出ると「死亡フラグが立った」と表現するのが典型的な使い方だ。

■「3次補正なら解散」
永田町では来年1月の衆院解散が取り沙汰されている。12月15日の日ロ首脳会談で北方領土問題が進展するかが解散を左右するとみられるが、自身のクビがかかる衆院議員はもっと早く見極めたい。ライバルを出し抜くには、予兆である解散フラグをいち早く見つけ、選挙準備を始めたい。
「3次補正があれば衆院解散だろうが、今のところ党政調会では全く動きはない」。自民党石破派の10日の会合。党政調会長代理の田村憲久はこう話し、出席議員の笑いを誘った。
政府は毎年11月下旬に、その年度の税収見積もりを修正する。税収の一定割合は地方自治体への地方交付税交付金に回すため、見積もりが変われば補正予算を組む。今年はすでに2回補正を組んだため、次は第3次補正だ。
もし首相、安倍晋三が近く衆院解散に踏み切るなら、景気浮揚のための大規模な経済対策を3次補正に盛り込む動きがそろそろ出てくるはず――。田村は3次補正への動きが解散フラグとみる。

■TPP対決からも?
「TPP解散じゃないか」。副大臣の一人はTPP(環太平洋経済連携協定)承認案を巡る解散を疑う。今国会成立を唱える首相に対し、民進党は真っ向から反対。与党などの賛成多数で承認されても、民進党は内閣不信任決議案の提出を検討するとみられる。
政府関係者は「承認されない場合はもちろん、承認でも不信任案が出れば解散だ」と話す。だが、これは民進党へのけん制にも映る。フラグよりブラフ(はったり)の色合いが濃い。
そもそも1月解散説さえ、自民党幹部には「選挙準備ができていない若手の危機感をあおるためだ」とうそぶく向きもある。
ただ、作家が一人で綿密に構築する小説と違い、政治は多くの勢力のせめぎ合いでシナリオが決まる。フラグやブラフだけでなく、状況変化で回収できなくなる伏線もある。安倍自身、国会答弁ではたびたびビスマルクの言葉を引用し「政治は可能性の芸術だ」と語っている。
民進党は例年1月の党大会を来年は3月開催とした。自民党が先に党大会を通例の1月から3月にしたことが「1月解散のフラグ」とみられているためだ。代表の蓮舫は党内で「解散風がふき始めている」と説く。風ではためくフラグを前に、与野党議員は疑心暗鬼に陥っている。=敬称略

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-10-21 10:30 | 政治 | Comments(0)

『新潟で反原発知事が当選、どうしても原発を再稼働させたい東電の事情とは』

新潟で反原発知事が当選、どうしても原発を再稼働させたい東電の事情とは

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が争点となった新潟県知事選が16日に行われ、再稼働に慎重な姿勢を示していた無所属の米山隆一氏(共産、社民、自由推薦)が、与党が推薦する候補を破って初当選を果たしました。同原発の再稼働はどうなるのでしょうか。

知事の理解を得なければ再稼働に進むことは困難
同原発は、泉田裕彦前知事が再稼働に対して慎重な姿勢を示してきたことから、再稼働の見通しが立っていませんでした。現在、同原発の6号機と7号機は、原子力規制委員会が安全審査を進めており、場合によっては、年度内に審査に合格する可能性もあります。
泉田氏は今回の選挙に4選を目指して出馬するはずでしたが、8月に突如出馬を撤回。「現状では再稼働は認めない」と主張した米山氏と、元建設官僚で前長岡市長の森民夫氏との事実上の一騎打ちとなりましたが、米山氏が52万票以上を獲得して初当選を果たしました。与党は幹部が応援に入るなど万全の体制で選挙に臨んだものの、支持を広げることはできませんでした。
県知事には再稼働を止める法的な権限はありませんが、原子力政策は自治体の了承を得て進めていくことが大前提となっており、事実上、知事の理解を得なければ再稼働に進むことは困難です。

福島第一原発の廃炉費用は8兆円とも
東京電力と政府は何としても再稼働にこぎ着けたいと考えているのですが、その理由は、東電の経営状況にあります。同社は福島第一原発の事故によって巨額の損失を出し、一時は自己資本比率が5%近くに落ち込むなど財務的に厳しい状況に追い込まれました。その後、電力料金の値上げによってとりあえず同社の経営は一息つきましたが、ここに来て急浮上してきているのが福島第一原発の廃炉費用です。現在、廃炉費用がいくらになるのか分からない状態であることから、負債としては計上されていませんが、一部の報道では廃炉費用が8兆円に達するとの見方も出てきています。

原発が稼働しなくても年間6000億円の費用が発生
現在、東京電力は原発をまったく稼働させていないものの、年間6000億円ほどの費用が原発にかかっています。柏崎刈羽の6号機、7号機を稼働させることで、とりあえず2500億円程度の収益が上乗せされますが、全体からすればまだまだです。ここに8兆円もの負担が加わってくる場合、同社は再び経営危機に陥ってしまいます。
同社や政府が何としても再稼働を実現させたいと考えているのは、こうした切実な事情があるからです。ただ、どのような形になるにせよ、原発事故のツケは、すべて国民が負担するという事実に変わりはありません。

【THE PAGE】
by kura0412 | 2016-10-18 16:13 | 政治 | Comments(0)

『新潟「野党勝利」で高まる解散総選挙の現実味』

新潟「野党勝利」で高まる解散総選挙の現実味
与野党とも次々に「禁じ手」を繰り出している

10月16日に投開票が行われた新潟県知事選は、日本共産党、社民党、そして生活の党と山本太郎となかまたち(以下、生活の党)が推薦する米山隆一氏が、前長岡市長で自民党と公明党が推薦する森民夫氏を下して初当選した。
UX新潟放送21などが当確を打ったのが午後9時すぎで、大接戦と言われていた割には決まるのが早かった。米山氏はさっそく9時19分に支持者が待つ選対事務所に姿を現し、万歳した後にこう述べた。「勝利は第一歩。これからがスタートだ」。

米山氏の出馬は5度目
その第一歩までが長かった。米山氏が初出馬したのが2005年の郵政選挙で、自民党公認候補として田中真紀子氏と新潟県第5区の議席を闘った。この時、まだ大きな影響力を持っていた田中氏に約2万2000票差まで迫ったが、落選。2009年の政権交代選挙でも、田中氏に約1万7000票差で敗退している。
さらに2012年の衆院選と2013年の参院選では、日本維新の会(当時)から出馬して落選。そして5回目となる新潟県知事選で、米山氏はようやく念願の当選を果たしたわけだ。
だが今回の新潟県知事選も、決して楽な選挙ではなかった。自民党と公明党が推薦する森氏は長岡市長の5期目で、全国市長会会長も務めた実力者。連合新潟など柏崎刈羽原発再稼働推進派の支援も得ていた。

9月29日に告示されたこの選挙戦。潮目が変わったのは、選挙戦の後半だった。
当初はリードしていた森氏を米山氏がどんどん追い上げていったのだ。その原因として、優勢だった森陣営が油断していたこと、森氏を支援していたはずの一部業界が動かなかったこと、そして米山氏が脱原発の1本に絞ったのに比べ、森氏の公約が67本にも及び多くの県民にとってわかりにくかったことなどが考えられる。
慌てた自民党は選挙戦終盤に、三原じゅん子参院議員や今井絵里子参院議員など著名人を相次いで新潟県に投入。二階俊博幹事長も12日に新潟に入るなど、党を挙げてテコ入れした。
一方で、勝ち馬に乗ろうとする民進党は「自主投票」という縛りがない状況の下で、各議員が次々に新潟入りした。
「原発ゼロの会」の共同代表を務める近藤昭一民進党副代表は早くも5日に新潟入りし、7日には松野頼久衆院議員が志位和夫共産党委員長、福島みずほ社民党副党首、小沢一郎生活の党とともに新潟駅前で街宣車に乗り込んだ。さらに10日には前原誠司元外相も新潟入りして、小池晃共産党書記局長や又市征治社民党幹事長とともに米山氏の支持を訴えている。そして11日にはとうとう黒岩宇洋民進党新潟県連会長が米山氏の応援に立ったのだ。

自主投票の民進党県連会長が米山氏を応援
そもそも党本部が「自主投票」と機関決定した以上、県連会長が特定の候補を応援することは異例である。しかし、黒岩氏にとって、米山氏を応援するのに何の遠慮をする必要もなかった。なぜならば、森陣営を支援する連合新潟は9月末、民進党衆院新潟5区総支部長だった米山氏が県知事選に出馬表明したことに抗議。黒岩氏の連合新潟の会合への出入り禁止と黒岩氏が主宰する会合や行事への参加を見送ることを決定していたからだ。
13日の会見までは新潟入りを明らかにしなかった蓮舫代表も、ついにその態度を変えた。「これから新潟入りをする。蓮舫氏は新潟市、私は長岡市に入る」。
10月14日午後の会見で、江田憲司代表代行は蓮舫代表の突然の新潟入りを発表した。「党の方針は自主投票と変わらないが、私と米山氏は旧維新の党以来の同志。大接戦と聞いて、いてもたってもいられないので応援に行く。かつ泉田(裕彦)知事も通産省時代の後輩で、産業政策局で同じ仕事をした仲。泉田知事は知事という立場があるので後継指名をしないという立場だが、私はそういう関係で実際には泉田知事の後押しを受けて出た米山氏の位置付けをよく知っている。長岡市の街宣ではしっかりとそう言いたい」。

そして14日夜、江田氏は長岡市で街宣し、泉田知事の米山氏に対する激励文を森裕子参院議員に代読させ、次のように述べている。
「泉田知事は通産省時代の後輩で、二十数年前に一緒に仕事をしていた。だから泉田知事の言いにくいことを言う。泉田知事の後押しがなければ、米山氏は立候補を決断しなかった。昨日、泉田が退任の挨拶に官邸に行ってみたら、本来は約束していなかった安倍総理まで出てきて、1期目の初当選した時に応援してくれた面々がずらりとオールスターで顔を並べていたそうだ。まるでプレッシャーをかけられるような、相手候補を応援しろというまなざしを感じたそうだ」
実際に泉田知事は13日午後、知事退任の挨拶のために官邸を訪れた時、安倍首相から「当然、力を借りることもある。宜しくお願いしたい」と言われている。さらに自民党本部で二階幹事長からも、「泉田知事や後援会の力添えを得て自民党は必ず勝利し、知事と連携していろいろやっていきたい」と協力を求められたのだ。
要するに自民党とすれば、出馬すれば勝利は確実と言われた泉田知事の人気でもって挽回を図ろうとしたのだが、泉田知事に近い江田氏がこれを制したということになる。

安倍首相が池袋に行った意味
ただし、自民党は新潟県知事選に敗れたものの、すでに次の勝負に目を向けている。新潟県知事選の投開票が行われた16日の午後、東京・池袋駅前には数千人もの人が集められたのだ。
彼らの目当ては小池百合子東京都知事、そして安倍晋三首相の演説だ。10月23日に投開票の衆院東京都第10区補選では、自民党公認の若狭勝氏の優勢が伝えられている。普通ならそのような状況で、わざわざ首相を投入しない。
しかも街宣に参加したのは、下村博文自民党東京都連会長を始め、菅原一秀同会長代行、山口那津男公明党代表、高木陽介公明党東京都本部代表という主要なフルメンバー。さらに自民党や公明党の都議や区議なども総揃いしている。かつて記者会見で「若狭氏を応援しない」と言明した高野之夫区長でさえ駆け付けたのだ。
この筋書きを描いたのは自民党の二階幹事長だ。11日の若狭氏の第一声で、二階氏は「ここに来る途中に安倍首相に電話したら、『16日に池袋に行く』と言った」と述べたというのは前回記事で報じたとおりだ。
これは新潟県知事選での敗退をも視野にいれ、その後の影響を最小限に抑えるために打った次善策に違いない。首相が街宣するとなると、翌日の新聞の紙面も新潟県知事選の結果ばかり報じるわけにはいかなくなるからだ。
このように、与党も野党も次々と「禁じ手」を使い、状況はめまぐるしく変わっている。ここまで選挙に熱が入る状況を見る限り、やはり解散総選挙が迫っていると見たほうがいいのかもしれない。

【東洋経済ONLINE】




知事選挙に当選した米山氏は私と中学校が同窓で、最初の衆議院選挙出馬の時から知る間柄です。が・・・
ちなみに新潟県議会は、圧倒的に野党となった自民党が勢力をもっています。
by kura0412 | 2016-10-17 09:55 | 政治 | Comments(0)

『「シン・ゴジラ」から考える首相官邸の中空構造』

「シン・ゴジラ」から考える首相官邸の中空構造
 
永田町と霞が関で「もう見た?」が挨拶代わりとなった映画「シン・ゴジラ」。謎の巨大生物が首都東京を壊滅させかねない危機に、政治家や官僚が国家の意思をどう決定し、立ち向かうか。そのプロセスのきめ細かな描写が政策当局者に異例の評判を呼ぶ。立案・調整・決断の舞台となる首相官邸の「中空構造」やスタッフのあり方も改めて考えさせられる。
この映画から、多くの政治家や官僚が連想するのは東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故だろう。危機管理に当たる首相と閣僚が縦割り行政にもたつき、米国の圧力の下で小田原評定の末、自衛隊の超法規的な防衛出動を決断する。でも、ゴジラは倒せない。若手政治家の官房副長官が指揮する異能の官僚や学者の緊急対応チームが秘策に知恵を絞る――。

■「巨災対」は司令塔の候補地
「『巨災対』は、かつて私が官邸の図面と対峙しながら、首相直属の国家戦略スタッフを集めるにはここしかないかもしれぬ、と目をつけていた官邸2階中庭そばのスペースに置かれていた」
フェイスブックにこう書き込んだのは、旧民主党政権で官房副長官を務めた慶大教授の松井孝治だ。「巨災対」とは、映画中の緊急チーム「巨大不明生物災害対策本部」の略称だ。急きょ設置され、大部屋に机やイス、複合機がババッと運び込まれる。そこが政権交代当時、予算編成の基本方針などを企画・調整する官邸の司令塔として構想した「国家戦略局」を置こうかと思案した場所だったという。
各省の省益を脇に置き、時の内閣の重要政策の企画立案や総合調整を担う直属スタッフを官邸にどう集め、組織を整えるか――。官邸機能の強化を目指した橋本行革による省庁再編が2001年に始動。その直後から「首相の権力」を強烈に意識する小泉純一郎が内閣を率い、02年には新たに建設した今の官邸に移る。直属スタッフ整備の命題は歴代の首相も引き継いできた。

小泉は2つの新機軸を試みた。
第1は経済学者の竹中平蔵(現東洋大教授)を新設した首相直轄の経済財政諮問会議の担当相に据えたことだ。竹中は後に金融相や郵政民営化相も兼務。旧知の学者や経済人ら民間の人材とも連携し、小泉構造改革の企画立案の中枢を一手に担った。
第2は首相秘書官を出していた財務、外務、経済産業、警察の4省庁に加え、防衛、厚生労働、総務、国土交通、農水、文部科学の各省からも課長級の特命参事官を官邸に常駐させたことだ。首席首相秘書官だった飯島勲がこの秘書官・参事官チームを統括し、各省の省益を脇に置かせて官邸主導に腐心した。
続く安倍晋三(第1次)ら三代の首相は小泉流の官邸主導を継承するのか、それ以前の自民党主導の政策決定に戻るのか、迷いながら倒れていく。政権交代を果たした旧民主党は竹中路線を否定し、諮問会議の廃止を宣言。半面、官邸主導は引き継いで「小泉個人商店」をもっと制度化しようと構想した。それが官房副長官をヘッドに、実力派の官僚や民間人を集める内閣官房の「国家戦略局」だった。
当時、松井は国家戦略局の中核を担う人材として、各省で同期のトップクラスと見られた3人に白羽の矢を立てた。財務省主税局審議官の佐藤慎一、総務省自治税務局審議官の佐藤文俊、経産省総括審議官の立岡恒良である。だが、副総理・国家戦略相の菅直人が戦略局を官僚主体にすることには慎重だったうえ、政権運営のドタバタから同局新設の立法も後回しになる。

■「補室」に次官候補者を配置
新組織は課長級の官僚らを集めた小ぶりな「国家戦略室」を脱しきれない。やむなく、松井が着目したのが、首相を補佐する内閣官房の既存の組織、通称「補室」だった。内閣官房には官房長官、官房副長官(3人)の下に次官級の官房副長官補が3人いる。官房副長官補は財務省、外務省、防衛省の出身者で内政、外交、危機管理を分担。その指揮下で政府部内の総合調整に当たるのが「補室」だ。
「補室」も橋本行革で内閣官房を再編・強化した果実。松井は招集した3人をここに投入する。皮肉なことに、一段と増強された補室は東日本大震災後の復興構想づくりを取り仕切るなど、旧民主党政権の目玉商品に育てるはずの国家戦略室をしのぐ調整力をしばしば発揮した。それを裏付けるように、財務省が官邸アクセスの橋頭堡(きょうとうほ)として従来になく補室を重視し始めた。

安倍自民党が政権に復帰すると、国家戦略室は廃止したが、補室の新体制は存続させている。最初の審議官級3人は、立岡が経産事務次官を務めて退官。両佐藤は現在、それぞれ財務事務次官、総務事務次官に上り詰めている。3人の後任も、たとえば財務省を見ると、必ず本流の主計局次長ポストに戻している。次官候補が居並ぶ補室だからこそ、各省ににらみが利く。
第2次安倍内閣から、既に在任が3年半に及ぶ内政担当の副長官補が財務省出身の古谷一之(元国税庁長官)だ。官房長官の菅義偉の信任は厚い。地方創生、一億総活躍社会、働き方改革と安倍が次々に打ち出す目玉政策を推進するため、各省横断でスタッフを集めてはチームを編成し、束ねる。ぎくしゃくしがちな安倍官邸と財務省のはざまにも立つ形で、重みを増す。

今や首相秘書官がいない各省は古谷・補室を通じて官邸アクセスの確保に躍起だ。
一方、安倍がトップダウンで打ち出し、補室に落とす成長戦略の「タマ」を企画立案するのは官邸周辺で動く経産官僚たちだ。司令塔は首席首相秘書官の今井尚哉。内閣官房の日本経済再生総合事務局を経産事務次官の菅原郁郎が実質的に仕切り、「経産省内閣」と皮肉交じりに呼ばれる。
「シン・ゴジラ」の危機管理には登場しないが、安倍官邸の新機軸はまだまだある。
外相、防衛相ら関係閣僚による国家安全保障会議(日本版NSC)を創設。事務方トップの国家安全保障局長に谷内正太郎(元外務事務次官)を据え、安保法制整備も切り盛りさせた。各省幹部人事を官邸主導で進めるため、内閣人事局も新たに設けた。最近は縦割り行政の弊害より、「何でも『官邸団』」と化すリスクも芽生えている。

■「がらんどう」にも妙味
映画の緊急対応チームはゴジラ封じ込め戦略を立案するだけではない。本省の有力幹部に後方支援を陳情し、民間企業や外国の研究機関などのコネも総動員して戦略を実行に移す。異端児集団という設定とは裏腹に、国全体を動かす人脈や調整力も併せ持つ。そうした機能に加えてこのチームが官邸という最高権力の館の中に物理的に収められている点も目を引く。
現実の官邸には、首相や官房正副長官の秘書官チーム、首相補佐官らは別として、政策実務を担当するスタッフの大組織は常駐していない。補室、国家安全保障局、内閣人事局、経済再生総合事務局は周辺の庁舎に分散する。官邸は2階から屋上まで吹き抜けの中庭があり、周りを執務室や会議室が囲む構造。見た目からしてがらんどうだ。
「官邸には、巨大な中空が存在する。反語的に言えば、その中空は、必要である。それは、いざというときに、司令本部として埋められるためのスペースである」
松井は中空構造にも妙味がある、とこう説く。ここぞという局面で首相が閣僚を集めて断を下し、直属スタッフが官邸の威光を背に政府全体を動かす。埋められる中空があるからこそ「決断の館」にダイナミズムが働く面もあるという。権力の中枢が人々を従わせる権威もまとうには、平時は少数精鋭がむしろ好都合かもしれない。
官邸の戦略スタッフをどう使いこなすかは、時の首相の政治スタイルにも左右される。機能と空間配置の両面から、「シン・ゴジラ」にも答えのない問いかけは続く。=敬称略

【日経新聞】




本来の主役であるゴジラよりも、政府の危機管理の実際、問題点が注目されている映画です。石破茂元防衛大臣もブログ等で真剣に話題にしています。私もある連盟役員の先生に一度観ることを薦めました。
そこで感じて、分かったこと。中央官僚の構造が変化しつつあります。
by kura0412 | 2016-09-27 09:29 | 政治 | Comments(0)

新潟県知事選挙

医療4政治団体が森氏推薦へ 近く正式発表の見通し

泉田裕彦知事(53)と森民夫長岡市長(67)が立候補を予定する知事選(9月29日告示、10月16日投開票)で、県医師会と県歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会のそれぞれの政治団体が森氏を推薦する方針を固めたことが26日、複数の関係者の話で分かった。...

【新潟日報:16・8・27】



泉田・新潟知事、4選出馬を撤回

10月16日投開票の新潟県知事選で4選出馬を表明していた泉田裕彦知事(53)は30日、知事選から撤退すると発表した。地元メディアとの間で報道を巡るあつれきがあり、「県が組織的に虚偽答弁をしているのではないかなどの誤った印象が形成されている」と指摘。このような環境では「十分に訴えを県民の皆様にお届けすることは難しい」とコメントを出した。
新潟県知事選を巡っては、現職の泉田知事が2月に4選出馬を表明。長岡市の森民夫市長(67)が8月10日に出馬を宣言している。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-08-30 16:46 | 政治 | Comments(0)

『社会保障充実策で優先度を協議へ』

社会保障充実策で優先度を協議へ 与党、増税延期受け近く会合

自民、公明両党は近く社会保障制度の充実策を巡る協議を始める。2017年4月に予定していた消費増税を2年半延期したことで、増税分をあてて実施する充実策の絞り込みが必要となる。政府は介護・保育分野に加え、無年金対策の実施方針を打ち出したが、このほかの財源のめどは立っていない。与党協議では優先度などの検討を進め、早期の実現を促す。

自民党の茂木敏充、公明党の石田祝稔両政調会長が中心となり、9月にも初会合を開く見通し。秋の臨時国会では消費増税再延期の関連法案の審議を控える。社会保障充実を巡る施策が与野党の争点になるのは確実で、その前に与党協議での議論を進める狙いがある。
政府は10%への増税で4兆円超の税収を見込み、うち1.3兆円を充実策に充てる計画だった。政府が2日に閣議決定した経済対策では、介護・保育士の待遇改善や、保育所など子育ての受け皿整備を17年度に実施すると明記。このほか、公明党が参院選中に公的年金の受給資格緩和の必要性を訴えたため、18年度から受給資格期間を25年から10年に短縮することも盛り込んだ。
財務省は財源確保の手段として雇用保険の積立金への国庫繰り入れを減らす方向で調整している。社会保障改革プログラム法に基づく効率化も進める。公明党の山口那津男代表は「財源をみたうえで、ふさわしい政策を煮詰める」と指摘。与党協議では捻出可能な財源を試算した上で、なるべく多くの充実策が実現できるよう検討を進める。
与党内には、低所得者の介護保険料の負担軽減策など、医療分野での充実も可能な限り実現すべきだとの声も多い。ただ、赤字国債を発行しないで実施するのは難しいとの見方が根強い。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-08-18 09:13 | 政治 | Comments(0)

『安倍内閣の改造人事に、思わず唸ってしまう理由』

安倍内閣の改造人事に、思わず唸ってしまう理由
毒を持って毒を制す!?

あえて異なる人材
第3次安倍晋三再改造内閣が発足し、自民党役員も一新された。
私が注目したのは二階俊博幹事長と稲田朋美防衛相の起用だ。とくに二階氏のケースは組織一般に通じる人事術として参考になる。肌合いの違う人材を登用して、組織の安定を図る、ということだ。
二階氏の政治路線が安倍首相と一致していないのは、よく知られている。典型は中国外交だ。二階氏は与党親中派の筆頭格として、たびたび中国を訪問してきた。
昨年5月の訪中では3000人の民間人を引き連れ、習近平国家主席と会談した。その際、象徴的な場面があった。あたかも主席にへつらうように、習主席の右手を自分の両手で抱え、高々と持ち上げてみせたのだ。習主席からは「正義と良識ある日本人」と最高の賛辞でほめたたえられている。
経済政策では公共事業を重視し、総務会長だった2014年には国土強靭化に5年間で50〜70兆円の支出を求める提言をまとめた。12年には「10年間で200兆円の公共事業を」と大風呂敷を広げたこともある。
外交でも経済政策でも安倍路線とはあきらかに違うのに、なぜ今回、安倍首相は二階氏を幹事長に起用したのか。私の見立ては、二階氏が自分と異なるから、というものだ。
自分と路線の違う人材をあえて重要役職に据えることで、党内の異論を抑えこむ役割を期待したのだ。これは谷垣禎一前幹事長のケースでも同じことが言える。

政策の裁量余地が広がる
谷垣氏は野党時代の自民党総裁を務め、当時の民主党、公明党とともに消費増税の3党合意をまとめた。もとはといえば、小泉純一郎政権で財務相として初めて「消費税10%」を唱えたバリバリの増税論者である。
谷垣氏の増税路線は一貫して増税に消極的な安倍首相とは完全に異なっていたが、安倍首相はあえて谷垣氏を幹事長に起用することで党内の増税派抑えこみを図った。
谷垣氏は幹事長に収まったことで、持論である増税の旗振り役にはなりえなかった。首相の路線に幹事長が真っ向から反対すれば、直ちに党内政局、ずばり言えば倒閣を目指す話になりかねない。そこまで覚悟がないなら、持論を封じても党内の増税派を説得する役回りに徹する以外になかった。
それで「あの谷垣が言うなら仕方ない」という展開になった。谷垣氏は見事に首相の期待=狙いに応えたといえる。安倍首相は谷垣氏の働きがあったからこそ、2回の増税先送りに成功したのだ。
中国は親中派の二階氏に期待するだろう。だからといって、安倍政権の対中姿勢が揺らぐかといえば、まったく逆だ。安倍首相は中国を揺さぶるうえで二階氏のパイプが役に立つ。政策の裁量余地が広がった形である。
憲法改正でも同じことが言える。
二階氏は憲法改正に慎重とみられてきた。二階氏は8月3日の記者会見で憲法改正について「野党のみなさんとできるだけ時間をかけて話し合っていく」と慎重姿勢を強調した。
二階氏の慎重姿勢が憲法改正を目指す安倍首相にとってハードルになるかといえば、これまた逆である。二階氏が慎重派の重鎮であるからこそ、慎重派をまとめて議論を集約する役回りを演じるはずだ。増税問題での谷垣氏の役回りである。

そして総理候補も育てる
一方、安倍首相の任期延長問題について二階氏は会見で「こういう政治課題はダラダラしているものではなく、一定の期間で結論を出していくのがいい。できるだけ早く対応したい」と述べた。
まさに「あうんの呼吸」というやつだ。二階氏は安倍首相の意を体して総裁3選を可能にする党規約改正を目指して、調整役になるだろう。
自分と意見が異なる人物を起用することで異論の暴発を抑える。「毒を持って毒を制す」と言ってもいい。同じ意見の人間ばかりを重用していたら、茶坊主ばかりの北朝鮮のようになる。
政権批判が大好きなマスコミも「お友達内閣」のキャッチフレーズを思い出すだろう。これは内閣でなく党人事だが、二階氏の起用でそんなレッテル張りはできない。あえて異論の人を起用することが組織を強く安定させる。これは企業や他の組織にも通じる手法である。
それから稲田防衛相だ。
この人事は、ずばり安倍首相が稲田氏を将来の総理候補として育てる意図をはっきりさせた、と読む。稲田氏はこれまで規制改革相、党政調会長として、主に行政改革や経済政策の経験を重ねてきた。そこへ今回、畑違いの防衛相だ。
言うまでもなく、総理候補として浮上するには外交・防衛問題は不可欠の「必修科目」である。中国や北朝鮮の脅威が増している現状では、なおさらだ。日本にとって最重要課題と言ってもいい。
安倍首相はいまの緊張した局面で稲田氏に必修科目を履修させ、将来に備えさせたのだろう。

底の厚さを証明
「防衛相内定」が報じられた2日夜、たまたま別件で稲田氏と電話で話す機会があった。
本人は防衛相に多少、意外感もあったようだが、能力はこれまでの実績で証明済みだ。私は中国や北朝鮮と渡り合うには、稲田氏のような芯の強い政治家が適任とみる。
もう1点、石破茂地方創生相は閣外に出た。閣僚として最後の会見では「次の政権に代わるときがある。そのときに何をお示しするかということを練磨するのも、自民党議員の国家国民に対する責務」と述べている。なかなか味わい深い言葉だ。
石破氏の代わりに側近の山本有二・元金融相が農水相として入閣した。側近としては、やや長く待ち続けた待望の入閣だったろう。石破氏のような政治家があえて舞台裏に下がって控えているのは、他党にない自民党の底の厚さである。練磨に期待したい。

【長谷川幸洋・ニュースの深層】
by kura0412 | 2016-08-05 09:00 | 政治 | Comments(0)

日歯連盟の選挙のあり方にも一石

第24回参院選 山田宏氏<全国で西村氏の得票上回る>日歯連盟の選挙のあり方にも一石

第24回参院比例代表選挙に臨むにあたり、日本歯科医師連盟(高橋英登会長)は本年1月、日歯連盟は特定の候補者の推薦・支援活動はしないことと、政党支援においては、政権政党のみを支援する方針を打ち出すとともに、各都道府県歯連盟に「政権政党の候補者を支援し選挙活動を行うこと」を要請してきた。即ち、日歯連盟本体として特定の候補者の推薦・支援活動はしないが、都道府県歯連盟の意向に添って政権与党の候補者を応援してほしいという立場をとった。この間、安倍総理および官邸筋は組織代表を擁立して選挙を戦わない日歯連盟に対し、自民党比例代表公認候補・山田宏氏の支援を要請、3月中旬には安倍自民党総裁名で『推薦依頼状』が都道府県歯連盟に送付された。各都道府県歯連盟は日歯連盟の方針に則り対応を協議、宮城県歯科医師連盟を除き山田氏はじめ日医推薦の自見氏や日薬推薦の藤井氏等の推薦・支援を決めた。
官邸筋の強い要請があった山田氏だが、「歯科医師でない山田氏を何故担がなければならないのか」とする考え方もあり、選挙を間近に控えた日歯連盟サイドには、歯科医師の西村氏と票を二分してしまうなどの危機感が充満していた。メディアによる予想も「山田氏は当落線上」と伝えられていたが、結果、山田氏は予想を超えるおよそ15万票を獲得し当選した(民進党の公認を受け立候補した西村まさみ氏は38899票にとどまり落選)。

山田氏の都道府県別の得票を見ると、47都道府県全てが西村氏の得票を上回っており、これは温度の差はあれ、組織と会員が今回選挙に取り組んだ証左と言えよう。
高橋会長と山田氏の地元・東京都は、第23回の石井選挙の得票2万8千余票を大幅に上回る4万1555票を獲得している(杉並区では約1万5千を得票)。歯科界の票を二分してしまうと心配された選挙だったが、山田氏・西村氏の得票結果は、政権与党の信頼を確実にするものであり、日歯の政策を実現していく大きな力になろう。山田氏は各地の決起大会で「総理の推薦を受け再び政界を目指すことになった。当選の暁には官邸に対し強く意見具申していく。これからの健康政策のど真ん中に口腔の健康を据えることが重要かつ必要と考えており、定期的な歯科健診を国民に義務化することが目標になる」と決意を披瀝してきた。「山田氏には、この決意の実行を願う」、これが山田氏を応援してきた歯科界の切なる思いであるはずだ。
今回の選挙結果を受け、高橋会長は小紙に「西村氏は与野党を経験する中で、6年間にわたり歯科界のために活動していただいた」と感謝の意を表するとともに「歯科界にとって大変厳しく辛い選挙だったが、山田氏の得票数は、最終的に歯科界が一つになって取り組んでいただいた成果だったと思う。山田氏には日歯連盟および歯科系議員と常にコンタクトをとり、国民皆健診の実現、さらに、医科歯科連携に最も重要な鍵となる病院歯科を一般医科並みの点数まで引き上げることに全力投球してもらいたい」旨を語った。併せて、政権中枢・都道府県歯連盟代表者が集まり、山田氏による「歯科医療政策のビジョンを語る会」を近々開く計画があることも補足した。
日歯連盟は今までの選挙で何億円もの巨額な資金を投じて職域代表議員を誕生させてきた。しかし、今回選挙に対する活動資金に関しては、特定の候補者に資金的な支援はしていないし、また、都道府県歯連盟に対しては、特例ではないルーティーンの政治活動助成金を拠出してきた。山田氏は歯科医師ではないものの、大半の都道府県歯連盟が支援し当選させた参院議員であり、歯科界が核となって選挙を戦ってきたことは周知の通りであり、今回の参院選の戦い方は一つのパイロットスタディになったと言えよう。

【デンタルタイムス21 Online 】
by kura0412 | 2016-07-21 10:03 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




以前の記事

2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
政治・経済

画像一覧