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『血液1滴でがん診断』

血液1滴でがん診断、「AI活用で驚きの結果」
国立がん研究センター研究所の落谷氏が語る

1滴の血液や尿、唾液から、がんを超早期に診断する――。そんな技術の臨床応用を、人工知能(AI)が後押しする可能性が高まってきた。

がん細胞が分泌するマイクロRNA(リボ核酸)に着目し、大腸がんや乳がんなど13種類のがんにそれぞれ特徴的なマイクロRNAを組み合わせ、がんの超早期発見につなげる。日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトでそんな技術の確立を目指している国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏が「第54回日本癌治療学会学術集会」(2016年10月20~22日、パシフィコ横浜)に登壇し、AIの効用を語った(関連記事1、同2)。
落谷氏はまず、がんはマイクロRNAを巧みに操ることで生存を獲得しているとし、「マイクロRNAに起こる異常ががんの本質でもある」と説明した。マイクロRNAは血液や尿、唾液にも含まれ、これらの液体試料でがんを診断するリキッドバイオプシーと呼ばれる手法は「マイクロRNAをベースにすることが期待される」(同氏)。
がん治療に関して現在、世界的な注目を集めている免疫療法。そのカギを握るPD-L1(がん細胞に発現し、免疫細胞による攻撃を止めるように作用する物質)でさえ、「マイクロRNAの支配下にある」と落谷氏は話す。ある種のマイクロRNAの発現状態はPD-L1の発現状態と相関し、再発など、不良な予後の予測因子になり得るという。
マイクロRNAでがんを診断する上で落谷氏らが着目しているのが、マイクロRNAを内包するエクソソーム(exosome)と呼ぶ物質だ。エクソソームはもともと、さまざまな細胞が分泌し放出する粒子で、細胞間の情報伝達などに関わっている。がんはこの「エクソソームを利用し、周囲の細胞を“教育”して支配下に置く」(同氏)というメカニズムを採用している。マイクロRNAを内包するエクソソームを媒介として、がんが増悪や転移を引き起こすことが分かってきた。

深層学習で解析
落谷氏が主導するAMEDのプロジェクトでは、国立がん研究センターのバイオバンクが保存する血清検体などを使い、最終年の2018年までにがん患者の臨床情報とリンクした7万件の検体を解析。マイクロRNAなどに関するデータベースを構築することを計画している。
現在までに3万以上の検体を解析済みで、例えば乳がんについては約1700検体を解析したという。試しているのは、マイクロRNAによる解析で(既に診断がついている)がんを正しく診断できるかどうか。既に、非常に有望な結果が得られている。
乳がんでは、いくつかのマイクロRNAを組み合わせて、感度97.3%、特異度82.9%という判別率を確認した。大腸がんについても感度80.1%、特異度95.0%という結果が得られており、現行の腫瘍マーカーである「CA19-9よりも優れたマーカーになる」(落谷氏)。今後、自治体や検診センター、海外の機関とも組みながら、がん診断マーカーとしての実用性を評価していく。
さらに、マイクロRNAの解析やデータベース化に、人工知能の手法の一種である「ディープラーニング(深層学習)を採り入れる」(落谷氏)ことを検討中だ。マイクロRNAによる乳がんの診断アルゴリズムに試験導入し、「驚くべき結果が得られた」(同氏)という。

病期によらず診断可能
落谷氏に続いて登壇した国立がん研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野の土屋直人氏は、エクソソームが内包するマイクロRNAを用いたがん診断の研究成果を、詳細に語った。
がん診断マーカーとしてのマイクロRNAの特徴には「腫瘍が小さいうちから、がん細胞の特徴を反映する」(土屋氏)ことがあるという。例えば大腸がんでは、CA19-9やCEAのような現行の腫瘍マーカーでは、I期(ステージ1)のような早期段階では異常を検出しにくい。病期が進むほど検出率が高くなるのが、一般的なマーカーの性質だ。
これに対しマイクロRNAは、ステージIのがんも十分に検出可能という。すなわち、腫瘍の大きさや病期によらず、どの段階でも有効なマーカーとなり得る。
大腸がんや肺がん、すい臓がんといった異なる臓器にできたがんに対する、マイクロRNAの発現の比較も試みている。それぞれのがんのマイクロRNAの平均プロファイルには、明瞭な違いが現れるという。このように、マイクロRNAは「がんがどこにできたかも強く反映する」(土屋氏)。
このほか、がんの術後にはマイクロRNAの値が下がることから、マイクロRNAが担がん(体内に腫瘍が存在する)状態を反映すること、検体の状態の影響を受けにくく測定再現性が高いこと、などの特徴があるという。ただし、エクソソーム以外にもマイクロRNAを分泌する様式が存在する可能性があることから、がん診断への応用に向けては、エクソソーム由来のマイクロRNAとそうでないものを区別して考える必要があるとした。

【日経デジタルヘルス】



iPS細胞の臨床応用よりもAIによる臨床診断の方が実現が早いかもしれません。
by kura0412 | 2017-01-10 11:10 | 医療全般 | Comments(0)

看取りの手順

意外と知らない看取りの手順

死亡の確認は、日本では医師と歯科医師だけに許された仕事です。その割にその方法を学ぶ機会は少なく、現場で先輩医師の振る舞いを見てまねたり、必要なことは独学したりしてやってきました。同じような医師は少なくないのではないかと思います。ここでは、最低限必要な手順と、私がしている工夫を紹介したいと思います。

事前準備をぬかりなく
患者さんの病室もしくは自宅に行く前に、まず簡単に病歴を復習します。病気の経過をひと通り頭に入れておかないと、家族との会話がかみ合わなかったりするからです。特に、当直などで初対面の患者さんの死亡確認をするときには、家族が患者さんの死を受け入れられているかどうかも含めて、カルテの記録を読んだり、担当の病棟看護師や在宅であれば訪問看護師に聞くなどして必ず確認するようにしています。
医師が死亡確認を依頼されるタイミングには、患者さんの息がまだ続いていて「そろそろ呼吸が止まりそうだ」と呼ばれる場合と、既に呼吸が止まっている場合とがあります。

「そろそろ呼吸が止まりそう」というときは
看取りの主役は家族です。最後の大切な時間を邪魔しないように、医療者は少し離れて本人の様子を観察します。多くの場合は呼吸が先に停止し、心臓の拍動はそれより数分遅れて止まります。心拍は、心電図モニターが付いていると止まったことが分かりますが、身体所見で止まったことを確認するのにはコツがいります。最も見やすいのは「頸動脈の動き」です。皮膚表面の動きを接線方向で見ると微弱な拍動も分かりやすいので、自分から遠い側の首の皮膚を見るようにします。呼吸停止から5 分以上拍動が続くことはよくあり、「心臓が頑張っています」と話して、動きが見えなくなるまで待つようにしています。
脳幹部の機能が停止したことは、一般的には対光反射の消失で確認します。睫毛反射の消失で代用することもあります。呼吸と心拍が止まったばかりのときは、対光反射は残っていることもあります。その場合、厳密には死の三兆候(瞳孔反応停止、呼吸停止、心停止)がそろっていないことになるので、少し間をおいてから再確認するのが原則です。また、死亡確認をしてよいタイミングに至ったかどうかを判断する際には、家族の準備が整っているかどうかの確認も重要です。間違っても、泣きすがる家族を引き離して確認してはいけません。ご遺体にすがって存分に泣いてもらう時間は、家族が悲しみを乗り越え、これからの人生を前向きに歩んでもらうためのプロセスとして大事です。
家族がそろうまで確認を待ってほしいという家族もいて、待てる範囲で待つようにしています。最近では少なくなりましたが、中には、家族が到着するまで心臓マッサージでも人工呼吸でも何でもして生かしておいてほしいという家族もいます。しかしそれは、どうやっても命が終わる場面では「家族のためだけ」にする処置であり、患者さん本人のためにはならないことなので、臨終に間に合いそうにない家族にはその旨を電話で説明し、静かに到着を待ちます。

死亡確認の実際と注意点
実際の死亡確認では、
◎ 胸部の聴診で呼吸と心拍が停止していること
◎ 視診で頸動脈の拍動が停止していること
◎ ペンライトで対光反射が消失していること
を確認するのが、最低限の手順です。頸動脈や橈骨動脈の触診をする場合もあります。

いずれの場合も、生きている兆候がすべて見られなくなってから、ゆっくり死亡を確認するというのがポイントです。最後の呼吸間隔は1分を超えてくることもあります。死亡確認をしてから呼吸が現れたり、モニター上に明らかな波形が現れたりすると、「死亡診断もまともにできない医者」という目で見られかねません。モニターの波形があっても心拍は停止している場合もありますが、家族がその波形を見ている中で、医師がモニターの電源をあっさり切って死亡確認すると、見切り発車されたような気分になるようです。
アンビューバッグを使って人工呼吸をした場合は、死亡後に胃に入った空気が出てきて、声のように聞こえることがあります。呼吸が止まって数分で、皮膚がピクピクする線維束性収縮が見られることもあります。これらは死亡後に起こっておかしくないことですから、家族にはそのように説明します。死亡を確認したら、そのことをはっきり家族に告げます。死亡時刻を気にする家族は多いので、できるだけ正確な時計をもとに、確認した時刻と死亡した旨を伝えます。このときの言い方は医師によってさまざまですが、私は「○時○分、死亡したことを確認しました」と言うことが多いです。
以上が死亡確認の手順です。
この後、落ち着いてから、闘病の経過を知っている患者さんや家族の場合には「本当に良く頑張りました。ご本人が一番頑張ったけれど、ご家族も良く頑張ったと思います。お疲れさまでした」と付け加えることもあります。

家族の「グリーフケア」にも配慮
死亡確認をしたら、死亡診断書を作成します。
死亡診断書は死亡統計の材料にもなるので、できるだけ病態を反映した病名を記入するようにします。紹介状や伝聞による手術の情報は、カッコ(  )に入れて書くことになっています。一番下の欄には、診断書作成日と医療機関名、そして医師名を書きます。自筆の署名があれば捺印はいらないことになっていますが、後で「『印』というところにハンコが押してない」と言ってくる家族がいることと、押印した方が格好いいような気がして、私は捺印しています。死亡診断書の作成に当たっては、くれぐれも間違いがないように気をつけます。特に患者さんの氏名は、カルテと健康保険証に記載されている漢字が違っている場合もあり、家族に確かめて書いた方が確実です。
患者さんが死亡すると、家族は遺族になります。緩和ケアでは家族もケアの対象と考えるので、遺族に対するケアも欠かせません。死亡確認をして死後の処置をして送り出したら、仕事は終わりという医療機関も多いと思いますが、遺族のケアについても簡単に触れておきます。

愛和病院では、チャプレン(病院付き牧師)の司会で「お別れ会」という小さな会を開いています。ご遺体を中心に家族とスタッフが囲むように座り、礼拝のような形式で患者さんの人生と闘病生活を振り返り、本人と家族とスタッフの労をねぎらい、お別れします。一つの区切りの儀式ですが、遺族の気持ちを整理したり、後悔を納得に変えていくのに大きく役立っているように思います。
 遺族のケアのことを「グリーフケア」と呼びます。家族を失ったことによるダメージは、人によって全く違います。ほとんどの人は次第に元の生活に戻れますが、大きく沈んで何年も引きずる人もいます。沈んでいる人にとっては、「あなたを気にかけている人がいますよ」ということが伝わると、生きるのが少し楽になります。手紙を送ったり、お悔やみ訪問をしたり、遺族が集まる会を開いたりなど、さまざまな方法で遺族の気持ちが沈んだままにならないようにケアをしています。

【日経メディカル・平方 眞】



冒頭にあるように歯科医師も死亡診断書が書けます。
by kura0412 | 2017-01-10 10:49 | 医療全般 | Comments(0)

「高齢者の定義75歳以上に」老年学会提言

超高齢社会を迎え、日本老年学会は現在65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げたうえで、それより若い人たちには就労やボランティアなどの社会参加を促すべきだとする提言をまとめました。
日本老年学会は医療の進歩などで健康的に生活できる期間が延びていることから、現在65歳以上とされている「高齢者」の定義について、医師や大学教授などのグループで見直しを進めてきました。そして、「高齢者」とする年齢を体力的な面などからも75歳以上に引き上げるべきだとする国などへの提言をまとめ、都内で発表しました。

提言では、そのうえで現在は「高齢者」とされている65歳から74歳までの人たちについては新たに「准高齢者」と位置づけ、健康な間は仕事を続けたり、経験を生かしてボランティアに参加するといった活動を後押しするなど、活力のある社会をつくっていく必要性を強調しています。
その一方で、今回の提言を年金の支給年齢の引き上げなど、今の社会保障の枠組みに直接結びつけず、慎重に議論するよう求めています。

日本老年学会のワーキンググループの座長を務める、大内尉義医師は「この20年ほどで老化のスピードが遅くなり、今、高齢者と呼ばれる人は生物学的に5歳から10歳ほど若返っていると見られる。若い労働者が減るなか、現在、高齢者とされている人たちの意識を変えて、社会を支える側に回ってもらう必要があるのではないか」と話していました。
高齢者 法律上の定義はなし
総務省などによりますと、「高齢者」の年齢に法律上の定義はありません。
昭和31年に国連の報告書が当時の欧米の平均寿命などをもとに、65歳以上を「高齢」と表現したことを受けて、日本でも事実上、65歳以上の人を「高齢者」と位置づけてきました。当時(昭和31年)、日本人の平均寿命は、男性が63.59歳、女性が67.54歳でしたが、その後、食生活の改善や医療の進歩などで延び続け、おととしは(平成27年)、男性が80.79歳、女性が87.05歳となりました。
また、介護の必要がなく、健康的に生活できる「健康寿命」も、平成25年の時点の推計で、男性が平均で71.19歳、女性が74.21歳で、いずれも70歳を上回りました。
こうした中、去年、厚生労働省が行った意識調査で、「自身について何歳から高齢者になると思うか」を尋ねたところ、全体で最も多かったのが70歳以上という回答で41%、次いで現在と同じ65歳以上が20%、75歳以上が16%などとなりました。また、平成25年に内閣府が60歳以上の男女を対象に行った意識調査で、「何歳ごろまで仕事をしたいか」を尋ねたところ、「働けるうちはいつまでも働きたい」という回答が30%と最も多く、次いで「70歳くらいまで」が24%で、「65歳くらいまで」は21%でした。意識調査では、65歳を超えて働きたいという人は合わせて66%となり、3人に2人の割合でした。
高齢者の健康と生活支援に詳しい、国立長寿医療研究センターの鳥羽研二理事長は「海外では定年がない国もあり、高齢者の社会貢献の促進が進められているが、日本はそうした施策が遅れている。企業も高齢とされている人たちが、知識や技術を社会で生かせるよう、積極的に取り組んでいくことが期待される」と話していました。

街の人は…
日本老年学会が現在65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げるべきと提言したことについて、東京・銀座で聞きました。
教育関係の仕事をしている61歳の女性は「まだまだ働けますし、いつまでも若くいたいので、高齢者と呼ばれるのは65歳より、もう少しあとにしてほしい」と話しています。横浜市に住む61歳の女性も「今でも席を譲られるのは少し抵抗があるので、高齢者と呼ぶのは70歳くらいからにしてもらいたいです。ただ今も年金での生活は苦しいので支給年齢が引き上げられたりすると、困るなという気持ちもあります」と話していました。
一方、都内に住む76歳の男性は「高齢者と呼ばれてもそれほど抵抗はありませんし、今までどおり、65歳以上のままでも構わないと思います」と話していました。また去年退職したという川崎市の64歳の男性は「仕事の内容しだいでは65歳を超えても働き続けられると思いますが、実際には体力的に衰えてしまいます。高齢者と呼ばれても構わないので、無理をせずに早く休みたいというのが本音です」と話していました。
このほか、都内に住む40歳の会社員の女性は「両親も高齢者と言われる世代ですが、まだまだ現役で仕事も運動もしているので、『高齢』という言葉はそぐわないと思います。そもそも体力などは人それぞれなので、高齢者という言葉でひとくくりにすることに疑問を感じます」と話していました。

【NHK NEWSWEB】
by kura0412 | 2017-01-06 08:34 | 医療全般 | Comments(0)

脳心血管病関連の21学会が5カ年計画を発表
脳卒中・循環器病の死亡率を5年で5%低下

日本脳卒中学会と日本循環器学会は12月16日、脳心血管病関連の19学会と協力し策定した『脳卒中と循環器病克服5カ年計画』を発表した。脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を5年で5%低下させ、かつ健康寿命を延伸させることを目標とする。計画実現のために、各都道府県が策定する第7次医療計画への反映を求める一方、懸案となっている「脳卒中・循環器病対策基本法」制定へ向けた取り組みも強化する方針だ。

5カ年計画は、脳卒中、心不全、血管病(急性心筋梗塞、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂、末梢閉塞性動脈疾患)を重要3疾患と位置付けている。そのうえで、これら脳卒中・循環器病による死亡率(年齢調整死亡率)を今後5年で5%低下させ、かつ健康寿命を延伸させることを大目標に設定した。計画は5年ごとに見直していく。
目標達成のために、人材育成、シームレスな医療・介護体制の整備、登録事業の促進、予防・国民への啓発、臨床研究・基礎研究の強化――の5つの戦略を掲げた。具体的には、人材育成では「地域包括ケア・在宅医療の普及をリードする人材」「臨床研究推進を担う人材」「チーム医療のリーダーとなる人材」などを学会として育成の強化や拡充を支援するとした。

包括的脳卒中センター、包括的循環器病センターを整備
医療・介護体制の面では、急性期から慢性期さらに在宅療養に至る患者の流れに沿った体制の整備を盛り込んだ。例えば急性期の場合、脳卒中においては発症から4.5時間以内にアルテプラーゼ静注療法(rt-PA治療)の開始を可能とする体制を構築し、rt-PA治療の実施率10%を実現するとしている。循環器病においては、救急隊員の発症現場到着から2.5時間以内にプライマリPCIが常時可能な体制を構築するとした。そのうえで、プライマリ・ケアのレベルで1次脳卒中センター、1次循環器病センターを、基幹施設として包括的脳卒中センター、包括的循環器病センターを整備することを目指す。
登録事業の登録では、現行のJROAD、JROAD-DPCを基盤とした包括的循環器病全国登録システムあるいはJ-ASPECT、日本脳卒中データバンクを基盤とした包括的脳卒中全国登録システム、それぞれの確立を目指す。
予防・国民への啓発では、病態や病期に応じた4つのステージを設定し、ステージごとに達成目標と対策を掲げた。臨床・基礎研究の強化では、疾患データベースやバイオバンクの整備を基盤とし、基礎研究、臨床研究さらに両者の橋渡し研究ごとに、達成目標と戦略をまとめている。
こうした計画実現には国の関与が欠かせないことから、例えばシームレスな医療・介護体制の整備の実現には、都道府県がまとめる第7次医療計画に反映されるよう求めていく方針だ。また、事業の全国的な展開と脳卒中・循環器病の医療の均てん化を押す進めるためには「脳卒中・循環器病対策基本法」の制定が必須としており、関連団体とともに法制化への取り組みを進める。
日本循環器学会代表理事の小室一成氏は今回の5カ年計画について、「関連学会の所信表明と受け取ってもらいたい。学会として、脳卒中と循環器病の克服のためにできることはやる。法律ができればその実現が加速する」と話し、法制化への期待を表明した。

【日経メディカル】



5年で5%低下が目標で、法律制定を目指す。歯科はもっと声をあげるべきです。
by kura0412 | 2016-12-19 17:17 | 医療全般 | Comments(0)

血圧新基準は患者激減恐れた「高血圧マフィア」が潰した

日本高血圧学会が定める「高血圧」の基準値は、2014年のガイドラインでは、まず血圧の上(収縮期)130mmHg以上を正常高値血圧と呼び“高血圧予備群”として注意を促し、さらに140以上を「高血圧」と分類し、治療対象にしている。

本誌・週刊ポストは今から2年前の2014年、「血圧147は健康値」という大特集を組んだ(5月12日号)。この根拠は、日本人間ドック学会が同年4月、健康保険組合連合会との共同研究による「新たな健診の基本検査の基準範囲」と題した報告書を発表したことにある。約150万人に及ぶ人間ドックの健診受診者のデータから、健康な人の「正常な基準範囲」の上限として、現行基準よりも大幅に緩い147という数値を公表した。
これまで高血圧と診断されていた人たちが「正常」となるならば、いったいこれまでの基準値は何だったのか──本誌がこの報告を大々的に報じたことで、血圧の基準値をめぐる大論争に発展した。この人間ドック学会の発表に対し、他の学会が猛反発した。高血圧学会や動脈硬化学会は〈人間ドック学会の「基準範囲」は日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの〉と強く批判した。
その結果、人間ドック学会はその後、「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」とトーンダウンしてしまう。
果たして、「血圧147は健康値」という新基準は誤りだったのか。健康基準についての研究を行なう東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所長は、「新基準は正しかった」と断言する。…
「同時期(2014年)に米連邦政府のガイドライン作成委員会(JNC8)が決めた新基準では、血圧は60歳以上なら上は150以上が高血圧とされた。それどころか60歳未満については上の基準を定めること自体に『科学的根拠がない』とも指摘しています。人間ドック学会の新基準はこの数値とも近く、高く評価されるべきものでした。
が、日本では高血圧の基準が非常に厳しく定められているため、それと相容れない新基準は医師会や臨床学会から大きな批判を浴び、脅えた人間ドック学会も議論自体を引っ込めてしまったのです。日本の高血圧基準を見直す大きなチャンスだっただけに、残念でなりません」

なぜ、そうまでして医療界は新基準を潰したかったのか。
「過去の調査によると、30~80歳の男女で『血圧の上が130以上』には全体の約30%の人が当てはまります。それに対し、新基準で基準範囲外とされる148以上の人は約8%しかいない。高血圧とその予備群が3分の1以下になる。この基準が臨床に適用されれば、高血圧患者が激減して町医者の経営が成り立たなくなり、薬局にも大ダメージになる。だから、業界を挙げて猛反発したのです。
その動きを牽引したのが、降圧剤のセールスのために、学会に働きかけて血圧の基準を下げてきた集団です。欧米では『高血圧マフィア』と呼ばれるその集団によって、20年前に米国政府やWHO(世界保健機関)の血圧基準が下げられた。その反省から、基準が緩和されたのです。ところが、日本では今も既得権に固守する勢力が、学会と厚生労働省の定める基準に強い影響を及ぼし、基準がそのままという現実がある」(同前)

【週刊ポスト】



週刊ポストネタですが。そもそも高血圧とは何ぞやの議論がありません。歯科も新たな病名を考えていますが、この点を考えないと逆に国民に不信感を与えかねないだけに、十分な留意が必要です。
by kura0412 | 2016-12-16 09:48 | 医療全般 | Comments(0)

きりん、完全無料のクラウド型電子カルテ
診療報酬債権の流動化や情報掲載料で収益確保

医療系アプリケーションベンチャーのきりんは2016年12月1日、完全無料で利用できるクリニック向けのクラウド型電子カルテ「きりんZERO」の正式版をリリースした。マルチデバイスに対応し、レセコン機能や予約システム、アプリなどと連携する。

きりんZEROは、電子カルテ機能に加え、外来予約・受付・レセコン機能についても、初期導入費用・月額利用料いずれも無料で利用できる。登録患者数が増えたとしても、無料である。
レセコン機能では、日医標準レセプトソフト「ORCA」と連携する。診療報酬改定時もクリニックによる改定対応の必要がなく、常に最新の情報でレセプトを作成できる。また、診察と病名、薬剤と病名のチェック機能があり、レセプト病名チェックの必要がなく、病名付け忘れも防げる。
マルチデバイスに対応しており、インターネット環境があればWindowsパソコン、Mac、タブレット端末などで利用できる。また、患者向けには専用アプリ(無料)を用意しており、予約システム機能により患者自身で受信予約することも可能。

なぜ完全無料が可能か
きりんZEROが完全無料で提供できる背景には、同社が提供する「きりんFRM」「きりんMR」などのサービスによる収益モデルがあるからだという。「きりんFMR」は、クリニック経営を支援するキャッシュフロー改善サービスで、きりんZEROのサービス開始と並行して提供する。
診療報酬は請求から支払基金から入金されるまで通常45日ほどかかるが、きりんZEROでの診療データを活用することで当月に立替払いを行い、キャッシュフローを改善するもの(診療報酬債権の流動化を利用)。また、地域の複数のレセプト請求データを解析し、返戻を最小限にするとともに、算定漏れを防止するレセプトチェックサービスを行い医療事務の負担を軽減する。同社はきりんFMRを提供するために、りそな銀行およびマーチ・アセット・マネジメント(売掛債権などの流動化のための特別目的会社)から診療報酬再譲渡の資金調達を行っている。
「きりんMR」は、きりんZEROを利用した処方時に薬剤情報を提供するサービス。新薬やジェネリック医薬品などの情報を専用枠で提示することで、同社は製薬会社などから情報掲載のための費用を徴収する。
また、きりんZEROの普及により取得された医療情報を個人情報が特定できない医療ビックデータとして蓄積。データ解析による新たなビジネスモデルを製薬会社や保険会社と協業していく予定という。

【日経デジタルヘルス】



歯科もこの手を使えないものでしょうか。
by kura0412 | 2016-12-08 15:38 | 医療全般 | Comments(0)

「名医」検索サービスは、どう名医を判断しているのか

名医を見つける方法を知っているか?
みなさんは病院を選ぶとき、どうしているだろうか。掛かりつけのクリニックへ行く、ネットの口コミサイトで良さそうな病院を探す、友人・知人に評判を聞いてみる……。
軽症の場合は良いけれど、重篤な病気になった場合は、そう簡単には決められない。
特に外科手術を行うとなると、症状によっては命に関わる場合もあり、どの医師に執刀してもらうかが心身ともに大きな負担を強いられるからだ。
とはいえ、良い医師を見つけるには情報が少なすぎるのが、日本の医療界の現状だ。書店に行けば、名医を特集した本も並んでいるが、どんな基準で選ばれているのか一般人にはなかなかわかりにくい。なかには掲載料という名目の広告費を取って、医師を紹介しているケースもある。病院のホームページで検索しても、手術実績などのデータを掲載しているところは意外にも少ない。技術面では優れていても、情報公開に関しては、日本は「医療後進国」と言っても過言ではない。
こういう現状を打破しようと始まったサービスがある。それは、名医を本気で探している人向けに作られた名医検索サイト「クリンタル」だ。2015年8月にリリースされ、現在、月に数十万の閲覧数、月に10%以上の割合で伸びている、知る人ぞ知るサイトである。
検索は、「有数の専門医検索」と、「街の名医検索」の2つがある。サイトの手順に沿って検索をすると、その疾患に関する名医が一覧表示される。ドクターは「臨床実績」「学術活動」「受診のしやすさ」の3項目が5段階評価で表示。2016年11月30日現在、有数の専門医検索の場合は24の診療科、129の疾患、街の名医検索の場合は36の診療科に対応している。
例えば、消化器外科では、胃がんに始まり、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、大腸がんなどが細かく分類されており、その手術の実績がある名医が表示される仕組みだ。有数の専門医は3686名が名医として登録(同11月30日現在)をされており、この数は、日本の医師20万人の約1.8%にあたる。

どのように「名医」と判断しているのか?
では、どうやって名医と判断しているのか、誰もが気になるところだ。開発にあたった株式会社クリンタル代表取締役社長の杉田玲夢(すぎた・れいむ)氏にきいてみた。
「このサービスには、診療科ごとに3、4名の現役医師に協力をしてもらっています。彼らがまず、専門医資格を所持している医師から候補者を抽出します。手術数や論文数などの定量的データによってさらに絞り込みます。その上で、医師から見た信頼性、業界内での評判など定性的な指標をかけ合わせ、名医と称するにふさわしいドクターを選んでいます」
名医となれば、多忙を極め、受診にこぎ着けるのが難しいこともある。そんな場合は、有料(6000円)の名医紹介サービスも用意されている。
こちらは、患者の症状や希望なども加味して、クリンタルの協力医師が実際に適切な受診先の判断を行う。その上で、「紹介時には掛かりつけの医療機関からFAXをその医師宛てに送ってもらってください」とか「この曜日のこの時間帯に受診してください」といったアドバイスをしてくれると言う。

患者が得られる医療情報が少なすぎる!
杉田氏が名医検索サービスを立ち上げた背景には、当時、東京大学医学部附属病院で眼科の医師をしていた杉田氏自身の体験がある。ある日、父親が網膜剥離になってしまう。網膜剥離は最悪の場合、失明の恐れのある病気である。急を要する状況であった杉田氏は、適切な医師を探すのに苦労をしたという。
「勤務医をしていると、友人や知人から良いドクターを知らないか、と尋ねられることが多かったんです。そういった数々の体験から、一般の人が得られる医療情報があまりに少ないと気づき、これはなんとかしなければ、と思いました」
その後、アメリカのビジネススクールへ留学し、現地で様々な医療事情を学んできた。
「アメリカでは、クリンタルと同じようなサービスがすでに行われており、導入している企業は、従業員の医療費を削減することに成功していました。これを日本で行えば、医療費削減につなげられるかもしれないと思ったのがきっかけです」
現在、クリンタルの検索数で多いのは、がんや小児科、婦人科関連の疾患だという。ユーザーからは「受診先のあてがなく困っていたが、光が射した」、「今の治療で良いのか自信がなかったので、セカンドオピニオンの目的で利用した」――こんな声が多い。

ドクターの技術向上には医療の“機能分化”が必要
「このサービスを通じて目指しているのは、実は医療の“機能分化”なのです。例えば、総合病院は便利ですが、何が得意なのか一般人にはわからない。しかし、「がんセンター」とか「循環器センター」といった専門施設ならすぐにわかります。そのように医療機関を専門化していくことで、同じ領域の患者さんが集まります。そうなればドクターも経験を積むことができ、技術が向上していきます。結果として入院期間が短くなり、医療費を抑えることにつながると考えています」と杉田氏は言う。
医療の“機能分化”を取り入れようとする背景には、日本では患者が得られる情報が少なく、「医療後進国」といわれる現状を打破したいという杉田氏の思いが強くにじみ出ている。
「海外ではこういう“機能分化”が盛んに行われています。一例を挙げると、カナダには鼠径ヘルニアの専門病院があるんです。鼠径ヘルニアは再発率の高い病気ですが、全米から患者さんが集まることでトップレベルの技術を維持することができ、再発も減りました。結果、医療費削減に寄与したのです」(同氏)
日本の医療費について言えば、2015年度に40兆円を突破した。厚生労働省によると「2020年には66.9兆円、2025年には76.4兆円にまで膨れ上がる」と予測しているようだ。
今や国家的急務である医療費の削減が高まっている中で、クリンタルの名医検索サービスはその一助となる可能性を秘めている。
同サイトは、名医以外に地域の信頼できる医師を検索することもできる。軽症や掛かりつけ医のいない方は、このサイトの活用をお勧めしたい。

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by kura0412 | 2016-12-01 08:57 | 医療全般 | Comments(0)

リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長

脳卒中などの発症後、早期に短期集中リハビリを実施することが重要である。このため、リハビリ能力の低い急性期病院では、入院から20日までにリハビリ能力の高い後方病院に患者を送るべきである―。
日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、17日の理事会後に開催した記者会見で、こういった提言を行いました。

短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減
この提言は、17日の日慢協理事会で承認された「日本の寝たきりを半分」にするための10か条に基づくものです。
武久会長は、我が国の医療、とくにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることを指摘。

これらを改革しなければ、寝たきり患者が減らないとし、次の10か条の提言をまとめています。
(1)急性期リハビリの充実(入院日からのリハビリ)
(2)急性期リハビリ能力のない場合、入院後20日までにリハビリ能力と治療能力のあるPost acute(後方病院)に患者を移す
(3)高齢者の急性期治療の改善(栄養・水分出納・身体侵襲の軽減)
(4)嚥下・排泄リハビリの優先
(5)短期集中リハビリのできる環境に
(6)「寝たきり」より「座りきり」
(7)無理な歩行訓練より車いす自立を
(8)慢性期治療の徹底
(9)延命ではなく日常復帰を
(10)慢性期総合診療医の養成

これらは大きく「急性期状態からの早期リハビリなどの充実」((1)から(5))と「リハビリのあるべき姿の共有」((6から(10))に分けて考えることができそうです。
(1)と(2)はセットで考えることができます。武久会長は「リハビリ能力のある急性期病院では早期にリハビリを開始し、能力の低い急性期病院では早期に後方病床に患者を送るべき」と強調しました。
また(5)では、リハビリの診療報酬を包括化することで、より患者の状態に合わせた柔軟かつ適切なリハビリ(早期の集中リハビリを可能とし、維持期の箇条リハビリを適正化する)の実施が可能になると武久会長は提案しています。
一方(6)と(7)は、急性期病院のみならず、リハビリに携わるすべての病院への提言と言えます。武久会長は、「低栄養などでリハビリの効果が落ち、寝たきりになっていく」という実態があることを指摘し、「離床コーディネーター」を多くの病棟に配置し、1日数回、患者を離床させることを徹底すべきと訴えます。コーディネーターの職種については、理学療法士などのリハビリ専門職種が主導すべきとしたものの、看護師や介護師なども広く対象になるとの見解を示しています。
さらに武久会長は(8)から(10)で、「超高齢者であっても、治せる傷病は治療し、天寿を全うさせることが必要である。十分に治療できない病院ほど、適切な治療を行えないことを『ターミナル』という言葉で逃げている」とも訴えました。

  【メディワォッチ】
by kura0412 | 2016-11-19 09:35 | 医療全般 | Comments(0)

降圧薬服用高齢者のフレイル、血圧低値ほど高率

80歳以降の高齢者に対する過降圧はフレイルをもたらす可能性のあることが分かった。
高齢者長期縦断疫学研究SONICの一環として、70歳、80歳、90歳の高齢者計2245人を対象に行われた横断的検討で得られた結果だ。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻総合ヘルスプロモーション科学の樺山舞氏らが、第39回日本高血圧学会総会(9月30日~10月2日、仙台開催)で報告した。

今回の検討は、高齢者高血圧の治療における降圧下限値の明確化を目的に、血圧値と身体的フレイル、高次生活機能との関連性を調べた。
対象は、SONICに参加した地域住民の70歳1000人、80歳973人、90歳272人の計2245人。血圧測定、身体的フレイルの指標である握力と歩行速度の測定、および高次生活機能の指標である手段的日常生活動作能力(IADL)の評価を行った。CHS(Cardiovascular Health Study)基準に基づき、握力、歩行速度のどちらかまたは両方が該当した場合を身体的フレイルと判定した。血圧値は収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)それぞれ4つのレベルに分けた。
SBPは男女とも、70歳より80歳で有意に高く、80歳より90歳で有意に低かった。DBPは男性のみ70歳より80歳が有意に低く、男女とも80歳より90歳が有意に低かった。高血圧は70歳で約7割に、80歳、90歳でそれぞれ約8割に認められた。降圧薬服用者の割合は年齢が高いほど有意に上昇した。また、年齢が高いほど、握力が弱く、歩行速度が遅く、IADLは低かった。身体的フレイルは70歳で37.1%、80歳で64.3%、90歳で91.7%に認められた。
降圧薬服用の有無別に血圧値と握力、歩行速度、IADLの関係を検討したところ、70歳では男女とも、服用群、非服用群のいずれにおいても有意な関連はみられなかった。しかし、80歳の服用群では、男性の握力が、DBPでは80~89mmHg群、90mmHg以上群に比べ、70mmHg未満群で有意に弱かった。SBPと握力の間でも同様の傾向が認められた。こうした関係は非服用群ではみられなかった。90歳では、非服用群の女性のIADLが、SBP160mmHg以上群に比べ同120mmHg未満群で有意に低かった。
身体的フレイルの割合は、服用群において、SBP、DBPが低いほど有意に高率(SBP:P=0.029、DBP:P<0.001)で、SBP120mmHg未満では75.0%、DBP70mmHg未満では72.7%に認められた。こうした関係は非服用群では見られなかった。
ロジスティック回帰分析により、フレイルに関連する要因(年齢、罹患疾患で調整後)を検討すると、非服用群ではアルブミン低値が、服用群ではDBP低値が独立した有意な関連因子となった。

以上より樺山氏は、「降圧薬服用群でのみ血圧がフレイルと関連しており、80歳以降の高齢者の過降圧はフレイルをもたらす可能性が示唆された」と結論した。今後の研究課題については「縦断的解析により、フレイル状態の高齢者の血圧が低いのか、過降圧によってフレイル状態になっているのかを明らかにする必要がある」と述べた。

【日経メディカル】



フレイルが内科でも注目されていることを示しています。
by kura0412 | 2016-10-21 10:27 | 医療全般 | Comments(0)

病院内犯罪はなぜ起こる?元殺人担当刑事の“院内ポリス”に聞く

大口病院(横浜市神奈川区)の入院患者連続殺害事件は、世間や病院関係者に大きな衝撃を与えた。そもそも病院は、犯罪者の立場から見れば非常に「無防備な場所」であるといわれ、最近は元刑事などの警察OBをセキュリティ担当として配置する病院も増えてきた。その草分けとなった東京慈恵会大学では“院内交番”と呼ばれる24時間体制の渉外室を設置している。初代室長として勤務した元警視庁捜査一課管理官の横内昭光氏に話を聞いた。

全国の大学病院では初だった“院内交番”の横内氏
9月に明るみになった大口病院の入院患者殺害事件は、容疑者逮捕に至らぬまま2週間以上が過ぎようとしている。捜査関係者の弁によれば「被害者は二ケタ」にのぼる可能性もあるという。日頃から、同院を利用してきた近隣住民にとってはたまったもんじゃないし、同院とは縁がない一般市民でも、市中の病院でこんなにも凶悪な連続犯罪が割と簡単に実行されできてしまったことに衝撃を覚えた人は少なくないと思う。
病院とは、こんなにも無防備な場所なのか? どうしたら、安心・安全な場所にできるのか?――次々と湧き起こる疑問と不安を、病院における防犯のスペシャリスト横内昭光氏にぶつけてみた。
横内氏は、元警視庁捜査一課管理官(殺人捜査担当)。定年退職後、警察OBとして全国の大学病院では初めて、東京慈恵会医科大学に就任し、“院内交番”と呼ばれる、24時間体制の渉外室の初代室長として勤務した。現在、“院内交番”は、全国の国立病院、大学病院等に開設されている。

病院は泥棒にとって「修業の場」無防備で仕事しやすく病院専門の泥棒も

――病院は、本当は危険な場所なのでしょうか。
危険というか、無防備な場所ですね。入院患者、見舞客、付き添い家族など、不特定多数の人が昼夜を問わず常に出入りしている。夜間は正面出入口が閉まっているとしても、緊急の出入口は開けられており、自由な出入りが可能です。しかも白衣にマスクなど、医療従事者の格好をしていたら、職員との区別もつきません。
「病院は街の中と同じ。コンビニもあるし、消防署のような部署もある。犯罪も起こる可能性が常にあるのだから、“院内交番”も必要」と、最近、ある医療関係者が話していました。

――どのような犯罪が起きていますか。
窃盗犯(泥棒)にとって、病院は“修業の場”です。病院ほど盗みを働きやすい場所はない。病室は基本的に出入り自由ですし、どこに貴重品があるのかが一目瞭然。セーフティボックスなんて、ドライバー1本で簡単に開けられますからね。検査などでベッドから離れる時間を狙って犯行におよぶ、病院専門の窃盗犯もいます。
一般的に、薬や医療器具の窃盗は、医療従事者、すなわち内部の人間による犯行が大半です。自殺や殺人の目的で危険薬が持ちだされる事件も起きています。大口病院の事件でも、院内の点滴が犯行に使われた疑いがありますね。
患者や医師を狙った傷害・殺人事件も多いですよ。「医療ミスがあった」と思い込んだ精神疾患の患者に医師が射殺された事件や、入院中の男性が暴力団の組員に人違いで射殺された事件など、たくさんあります。余命を宣告されたがん患者が、自暴自棄になり、看護師らを道連れとして殺害したこともありました。
犯罪に至らないまでも、悪質クレーマーや院内暴力の事例は、日常茶飯事です。

犯罪にはすべて前兆があるが患者の目を見ない医師は気がつかない

――それらの犯罪に、共通点はありますか。
犯罪にはすべて兆し、前兆があります。精神的な病を持つ人は、なんら前兆のないところから突然、犯行におよぶこともありますが、一般的な人は、必ず兆しを残しているものです。
クレームや不満を言っているうちは、まだ凶器は持って来ません。しかし凶行におよぶ頃には、口では言わず、目で訴えるようになります。
「俺の病気治してくれよ」とか、「私の話を聞いてちょうだい、助けてよ」ってね。命や健康にかかわる場ですから、深刻度も高い。
そこで医師なり、病院なりが上手く対応していないと、次の外来の時には凶器を持ってくる。殺意が芽生え、準備をするのです。
そういう意味では、病院はやはり怖い。ところが、被害者になる可能性が一番高い医師が、結構、他人事なんですよ。危機感が薄い。

――危機感が薄いのはなぜだと思いますか。
一つには、患者さんの目を見ていないのだと思います。診察の際など、目を見ていれば、敵意を持っているか否かは、すぐにわかるでしょう。忙しすぎるからなのかもしれませんが、パソコンの画面ばかり見て、患者さんの顔を見ない医師は増えていると聞いています。
もう一つは「性善説」が基本姿勢であることです。診療行為は相手が反社会勢力だろうが誰だろうが関係なしに、目の前の患者を治すことに集中して行うので、殺人を犯すかもという視点では見ません。もちろん、看護師らのスタッフに対しても、チームで動いていますから、信頼関係を大切にします。
病院のサポート体制の問題も大きいでしょうね。どこの病院でも、院内のトラブルについて、医師や職員にアドバイスやサポートを行っているかといったら、そうではない。病院によって温度差があります。

――大口病院事件でも、前兆がありましたね。
白衣の切り裂きや、看護師の飲料に漂白剤のようなものが混入されるなど、事件につながる予兆はありましたよね。それを警察に通報せず、行政に連絡したのは問題です。病院というところは昔から、警察に届けたがらない体質がある。抵抗があるんですね。

殺人は恨み、妬み、つらみの「三み」が動機
事件の発覚」が犯人の狙いだったのか?

――犯人の心情をどう推察しますか。
事件が発覚し、警察の捜査が入ったことで、犯罪の目的は達成できたと満足しているかもしれませんね。当初は、警察に相談しなかったので、犯人としては苛立っていたと思います。
殺人というのは、恨み、妬み、つらみの「三み」が動機で起こるものです。
だから、今回の事件の犯人も誰かに、三みのうちのいずれかの感情があるのでしょう。院長か、4階にいる職員か、患者さんか、誰に対してかはわかりませんが。
さらに、トラブルを起こしても、警察に届けない、そういう体質・体制に不満を抱いている可能性も大きいですね。事件が発覚しないで、患者さんだけが死んでしまったのでは、犯人は消化不良。事件が発覚したことで、犯人は拍手しているのではないでしょうか。
それからね、昔から、放火犯と毒殺は、“女性犯罪”といわれています。
力の弱い女性でも人が殺せますしね。「できたら自分がいない時に死んでほしい」、という心理が働いているような気がします。

――こうした事件を防ぐには、どうしたらよいでしょう。
大口病院には、病棟に監視カメラがなかったことが問題になっていますが、患者さんのプライバシー保護を考えるとカメラの設置は慎重に行われるべきでしょうね。さらに、「監視されている」と意識させることが、スタッフ同士の信頼関係に影響を与え、病院全体の雰囲気がギスギスしたものになることも懸念されます。
防犯システムや警備の導入も当然考えられますが、それよりも大切なのはやはり、兆しを大切にすることだと思います。兆しを見逃さず、速やかに手を打ち、対応する。
兆しを見つけるために重要なのは、基本的なコミュニケーションです。相手の目を見て話す、院内で困っているような人や見慣れない人を見かけたら声をかける、ミスや不備を指摘されたら素直に謝る、相手の立場になって考え、一言でもいい、思いやりの言葉をかけてあげる……などです。
大口病院の場合も、誰かが、病院のなかで不満を抱いていた。恨み、妬み、つらみの「三み」を抱いていたわけです。その矛先が、患者さんという一番弱い人へと向けられた。これは、あってはいけないことです。

“院内交番”で私は、医師や職員の個人的な相談にも乗っていました。病院の職員に限らず、人は誰しも、いろいろな悩みを抱えながら仕事をしています。警察官も同様です。例えば、悩みを持ちながら、警官が拳銃を持って仕事をしていたら危険です。警察官が拳銃で自殺をする事件だって起きていますよね。同じように、異性関係やら借金やら、悩みを持つ医師や職員が悩みを抱えて仕事していれば、医療ミスや犯罪を起こす確率は高くなるのではないでしょうか。
普通の社会と同じように、病院内でも、いじめ、セクハラ、パワハラなど、さまざまなトラブルが起きています。病院が特別なわけではありません。
職員をサポートしてあげることは、患者さんを守る事にもなるのです。

医療従事者はあくまでも性善説であるべきトラブル発生時には素早い、適切な対応を

――性善説ではなく、性悪説で防犯対策を行う必要性はありませんか。
いやいや、医療従事者はあくまでも性善説でいるべきです。その上で、病院の安心・安全を守るために、我々のような警察OBを活用していただきたい。
“院内交番”のように、気軽に相談できる関係をつくっておけば、大口病院で起きたような、「警察に届けるべきかどうか迷うトラブル」が発生した場合にも、素早く、適切な対応が可能になるでしょう。
大口病院事件の場合も、早い段階で、警察に通報するなど、毅然とした対応がなされていれば、犯行のエスカレートに歯止めがかかり、事件は未然に防げたかもしれません。


医師の心構えに「病を見ずして人を見よ」という言葉がある。犯罪捜査や防犯の基本も「犯罪を見ずして人を見よ」なのかもしれない。

【DAIAMOND ONLINE】




大病院に行った時感じたのですが、病院内は患者、医療関係者以外のいろいろな人が出入りしています。性善説だなければ、普段の医療も非常にやりずらくなってきます。この事件は、今後の医療現場に大きく影響を与えます。それだけに早期に犯人を逮捕してもらいたいものです。
by kura0412 | 2016-10-13 17:27 | 医療全般 | Comments(0)