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「免疫革命・がんが消える日」



by kura0412 | 2017-02-21 17:08 | 医療全般 | Comments(0)

既に歯科領域でも3Dプリンターで保険適用

難易度の高い手術における「3Dプリンター」の活用が進んでいる。患者のCTなどの検査画像を基に臓器モデルを作成し、術前のシミュレーションに用いるというもの。形成・整形外科領域では、患者の骨格を再現した「骨格モデル」を使った手術支援が既に保険適用され、心臓などの複雑な構造の内臓を精密に再現した「内臓モデル」の開発も進んできた。

「3Dプリンターで作成した骨格モデルは形成外科の手術を底支えしてくれる、なくてはならない存在」。国立成育医療研究センター副院長(医療安全・感染防御担当)感覚器・形態外科部長の金子剛氏はこう話す。

3Dプリンターの臨床現場での活用として最も進んでいるのが、患者のCTなどの検査画像を基にした臓器立体モデルの作成だ。3Dプリンターを用いることで、安価かつ迅速に臓器モデルを作れる。

臓器モデルは術前の手術計画やシミュレーションに有用性が認められ、「実物大臓器立体モデルを用いた手術支援」として、2008年に整形外科と形成外科の一部の手術で保険適用された(診療報酬点数は2000点)。2016年度の診療報酬改定では、四肢骨を対象にした2つの手術が追加され、現在は整形外科と形成外科領域の25手技で保険診療の対象となっている。

形成外科領域では、患者の骨格を再現した骨格モデルを主に骨切りと再建のシミュレーションに用いている(症例1)。「左右の非対称性があり通常の診断画像では手術計画が立てにくい特殊な症例などに有用」と金子氏は説明する。どう切れば少ない骨切り線で済むか、患部を再建する際にいかに少ない侵襲で的確な手術ができるかを、骨格モデルを用いて検証できる。「現在、国内では年間100例ぐらいの術前シミュレーションで骨格モデルが活用されているのではないか」と推定する。

症例1・臓器モデルが有用だった下顎形成術の一例(金子氏による)

9歳女児。Goldenhar症候群に伴う下顎変形を生じており、顎2分の1個分ずれた状態で下顎の右奥歯が顔面の中央に位置していた。上下の顎の咬合(噛み合わせ)を改善する目的で狭窄した下顎の開大術を実施することになった。

 手術では下顎の中心部からくさび型の骨片を採取し、これを下顎の右側の骨切り部に移植する計画だが、立体構造が複雑なため、くさび型骨片の切り込み角度をコンピュータ上でシミュレーションし、下顎の中央部から30度の角度が最適と判断。その後、骨格モデルを使って実際に切除と再建のシミュレーションを行った。Bの骨片を中心角30度にし、ABCDと並んでいた骨片をACBDとすることで下顎の再建が可能なものと判断。術前シミュレーションの計画通りに手術を行うことで、目的とした噛み合わせの改善を達成した。


一方、整形外科領域ではインプラントや金属の固定法、人工骨の埋め方のシミュレーションに骨格モデルが活用されている。同分野で3Dプリンターを使った骨格モデルを使用している東京慈恵会医科大学整形外科講師の藤井英紀氏は、「骨格モデルは非常に有用なツール」と評価する。

実物大の立体モデルが手元にあることで、「術前にインプラントや人工骨が患者の骨格に適合するかどうかを確かめられる」(藤井氏)。さらに、同氏らは骨格モデルを滅菌処理して手術室に持ち込み、手術を施行しながら、骨格モデルを使って術野では見ることのできない部分の構造を再確認している(症例2)。

【日経デジタルヘルス】


by kura0412 | 2017-02-17 11:13 | 医療全般

『がん5年後生存率、69%に上昇』

がん5年後生存率、69%に上昇 国立がん研究センター

国立がん研究センターは、2000~03年にがんと診断された人の10年後の生存率は58.5%だったと16日付で発表した。10年生存率の算出は昨年に続き2回目で、0.3ポイント上昇した。06~08年に診断された人では、5年後の生存率が69.4%と判明。統計を取り始めた1997年の患者よりも約7ポイント高かった。

検診などによる早期発見の取り組みや、抗がん剤や放射線治療などがん医療の進歩が生存率の向上につながったとみられる。研究チームは「約10年以上前にがんにかかった人の生存率で、現在はさらに治療成績は向上している」と指摘。調査を担当した猿木信裕・群馬県衛生環境研究所長は「10年生存率は今後も改善していくと期待できる」と話している。
10年生存率は、全国の20施設で診断された約4万5千人を分析。患者の多い主ながんでは、胃がん67.3%、大腸がん69.2%、肝臓がん16.4%、肺がん32.6%だった。前立腺がん(94.5%)や甲状腺がん(89.3%)の経過が良い一方、自覚症状がほとんどなく早期発見が難しい膵臓(すいぞう)がんは5.1%と低かった。
がんの進行度を示すステージ別では、早期の「1期」と診断された人の生存率は全てのがんを合わせ85.3%だったが、リンパ節に転移するなど進んだ「3期」では40.9%に低下。早期に発見し治療を始めるほど経過の良いことがあらためて確認された。
部位別の生存率を5年後と10年後で比べると、胃がんや大腸がんはほぼ横ばいだったが、肝臓がんは34.1%から16.4%に大きく低下。肝機能が悪化している患者が多く、がん以外にも長期の療養が必要となる。乳がんも89.3%から81.7%に下がっており、再発が背景にあるとみられる。
部位別やステージ別、治療法別などの生存率は「全国がん(成人病)センター協議会」のホームページで公開される。

【日経新聞】



癌治療で口腔内でのトラブルのある患者さんも増えています。サポートという点でも歯科の重要性も増しています。
by kura0412 | 2017-02-16 09:27 | 医療全般 | Comments(0)

<性同一性障害>社会保険は通称名認めず

<性同一性障害>社会保険は通称名認めず 国保と対応に差

心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人が保険証で通称名を表記することについて、自営業者が加入する国民健康保険で厚生労働省が「保険者の判断で可能」と認める一方、会社員が加入する社会保険で認めていないことが分かった。GIDの当事者は「保険の種類で通称表記の可否が異なるのはおかしい」と国に公平な対応を求めている。

神奈川県在住で戸籍上は男性だが女性として生活する40代の会社員は今月1日、京都市で自営業のGID当事者の通称表記が認められたことを知り、加入する健康保険組合を通じて同省関東信越厚生局に問い合わせたところ、「(通称表記は)認められない」と言われた。
同省は毎日新聞の取材に「国民健康保険は市町村の住民基本台帳に基づき保険証を発行している。住民基本台帳に登録した外国人は保険証で通称を使ってもいいという通達を2011年に出し、GIDに準用した。社会保険は基本台帳に基づかず、通称表記ができるとの判断に至っていない」と説明。「今後、可能とするかどうか検討したい」とする。
15年にGIDと診断された会社員は「仕事や日常生活では(女性として)問題なく生活できているが、病院などで本人確認のために戸籍名をフルネームで呼ばれるのは苦痛だ」と苦悩を明かし、「国保と社会保険で区別する理由はない」と話している。

【毎日新聞】



歯科の医療現場でもこんな問題も出てきそうです。
by kura0412 | 2017-02-16 08:49 | 医療全般 | Comments(0)

『電子カルテから患者の受診中断をAIが予測』

電子カルテから患者の受診中断をAIが予測
NTTと東大がモデル開発、精度は7割

NTTは糖尿病患者の症状悪化につながる「受診中断」をAI(人工知能)で予測するモデルを、東京大学大学院医学系研究科医療情報学分野 教授の大江和彦氏らと共同開発した(ニュースリリース)。2017年度から、複数病院データベースを使った評価試験を開始する。

開発したモデルでは、電子カルテのデータや特徴量を入力することで、予約不履行(受診が途絶えるきっかけになり得る予約外来の不受診)と受診中断リスク順位(将来の受診中断日までの日数の長さによる患者の順位付け)の2つを予測する。東京大学の医療データ分析や臨床における知見を参考に生成した特徴量と、NTTのAI技術「corevo」を通じた機械学習に関する知見を生かした。
このモデルを、2011年~2014年に東京大学医学部附属病院で通院治療を受けた糖尿病患者約900人の電子カルテデータで評価したところ、受診中断を7割の精度で予測できたという。予約登録日や予約日の曜日、予約登録日と予約日の間隔など、患者の予約行動に関わる項目が受診中断の予測に影響することも分かった。
予測結果は、受診中断を避けるために積極的に支援すべき患者の絞りこみや、支援開始時期の見極め、支援度合いの調整などに利用できるという。これを通じ、医師の診療を支援したり、患者の病態を維持・改善したりする。
構築したモデルは、電子カルテデータの標準規格であるSS-MIX2標準化ストレージに準拠。東京大学医学部附属病院以外の医療機関にも展開できる。対象データの規模を拡大することでより精緻な予測モデルを構築できると期待されるため、複数病院データベースを使った評価試験を行う。

【日経デジタルヘルス】
by kura0412 | 2017-02-07 17:46 | 医療全般 | Comments(0)

『パーキンソン病のiPS治療、18年度に治験』

パーキンソン病のiPS治療、18年度に治験 京大

京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授は3日、様々な細胞に育つiPS細胞で難病のパーキンソン病を治療する医師主導の臨床試験(治験)を2018年度に始めると明らかにした。健康な人からあらかじめ作ったiPS細胞を患者に移植する。iPS細胞を患者自身から作るよりも治療にかかる費用と期間が10分の1になる見通しだ。大日本住友製薬と協力し、国の承認を目指す。

パーキンソン病は、手足が震えたり運動能力が下がったりする。脳の神経細胞が減って神経伝達物質が不足するのが原因だ。主に50歳以上で発症し、国内に約16万人の患者がいる。
神経伝達物質を補う薬を投与する治療法があるが、神経細胞が減ると効かなくなる。
高橋教授らの計画によると、神経伝達物質を出す神経のもととなる細胞をiPS細胞から数百万個作り、患者の脳に注射する。18年度に国に計画を届け出て、同年度に最初の移植を目指す。症状が中程度の患者が対象で、人数は未定という。
京大は当初、患者の血液などから作ったiPS細胞を使う臨床研究を計画したが、治療に1年の期間と数千万円の費用がかかるとされた。
備蓄した他人のiPS細胞を使えば、治療期間は6週間、費用は数百万円にできるという。高橋教授は「新しい治療法を早く患者に届けたい」と話している。
京大は15年から、拒絶反応を起こしにくいiPS細胞の備蓄を進める。治験はこのiPS細胞を使う。治験がうまくいけば、大日本住友製薬が国の承認を得たうえで、再生医療製品として実用化する。

【日経新聞】




摂食嚥下障害もあるパーキンソン病ですが、絶対的な治療法はないだけに吉報です。但し、費用がかからなくなったといえどそれでも数百万円です。医療費増大で歯科がはみ出されることはないと信じたいのですが。
by kura0412 | 2017-02-06 15:24 | 医療全般 | Comments(0)

『「オプジーボ」、特許で勝っても視界は晴れず』

「オプジーボ」、特許で勝っても視界は晴れず
特許使用料を受け取れるようになったが・・・

高額薬価問題で緊急値下げを余儀なくされたがん治療薬「オプジーボ」だが、特許を巡る訴訟では競合薬に実質的な勝利を収めた。小野薬品工業は1月21日、日米欧で争っていたオプジーボの特許侵害訴訟について「キイトルーダ」を販売する米メルクと和解したと発表した。
和解内容は、小野薬品工業と共同開発先の米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)の特許権をメルクが認め、両社とライセンス契約を締結するというものだ。

2017年3月期に180億円程度の特別利益
頭金として6億2500万ドル(約710億円)を両社に支払うほか、2017年1月から2023年までキイトルーダの全世界売上高の6.5%、2024年から2026年まで同2.5%をロイヤルティとして支払うことで合意した。頭金とロイヤルティの分配比率は小野薬品が25%、BMSが75%で、小野薬品は2017年3月期に180億円程度の特別利益を計上する。
小野薬品側の“取り分”は少なく映るが、「BMSとの販売ロイヤルティを考慮すると妥当」(広報部)。オプジーボは小野薬品が日本と韓国、台湾、BMSが欧米とその他のアジアで販売権を有しており、販売シェアはBMSが圧倒的に大きい。その中で小野薬品にはBMSの北米売り上げの4%(欧州とその他アジアでは15%)、BMSには日本・韓国・台湾の売り上げの4%が互いに入る契約になっている。そうした取り決めからすれば、妥当な分配というわけだ。
オプジーボはがん細胞がかけている免疫のブレーキを解除し、人が本来持っている免疫力でがんを攻撃する仕組みの抗がん剤。がん細胞を直接攻撃する従来の化学療法とはまったく異なる効き方をし、末期患者でも年単位で生存する患者が現われている。2014年に悪性黒色腫を対象に世界に先駆けて国内で発売。2015年には非小細胞肺がんにも効能が追加され、対象患者数が一気に増えた。その後も、国内外で効能追加が続いている。
一方、メルクもほぼ同時期に同じメカニズムのがん治療薬「キイトルーダ」を開発。海外市場でオプジーボとシェア争いを演じているほか、国内でも昨年、悪性黒色腫と非小細胞肺がん向けで承認された。
キイトルーダとの競合は激化しているが、その中で小野陣営とメルクが歩み寄った背景には、新たなライバルの出現が迫っていることがある。
有望市場であるがん免疫薬への参入は世界のメガファーマが狙っている。
スイスのロシュと子会社の中外製薬、英アストラゼネカ、米ファイザーと独メルクはオプジーボとは異なるメカニズムの免疫薬を開発中。これらの開発が成功すれば「オプジーボ陣営」にとって大きな脅威となりうる。その前に適用がん種の拡大などを急ぎ、リードを広げておきたいところだ。

薬価下げの影響はカバーしきれない
開発が成功した時には “夢の薬”ともてはやされたオプジーボだが、2016年は高額薬価問題の矢面に立たされた。肺がんの場合で1人当たり年間3500万円もの高額薬価が注目され、次回2018年の薬価改定時期を待たずに異例の緊急引き下げが決定。2月から薬価は50%引き下げられる。
年間販売額が1500億円超なら最大50%薬価を引き下げるという市場拡大再算定の特例が適用されたためだが、オプジーボの予想年間販売額は1260億円。それに流通経費等を上乗せして算定された。当初の薬価自体、国が決めたものであり、小野薬品としては完全な誤算となった。
今回の和解で小野薬品は、メルクのキイトルーダの売り上げに応じてロイヤルティを手にすることになるが、同薬の世界売上高は2016年1~9月で約9.2億ドル(約966億円)。1000億円とすれば、小野薬品に入るロイヤルティは16億円程度にすぎない。もちろん、ロイヤルティは今後の販売次第だが、これだけで薬価引き下げの影響をカバーするのは難しそうだ。
今後も競合薬の追い上げに加え、医療費抑制を背景にした国の薬価政策に引き続き翻弄される可能性がある。今回の和解は小野薬品にとって良いニュースであることは間違いないが、懸念材料を払拭するには物足りないというところだろう。

【東洋経済ONLINE】
by kura0412 | 2017-01-24 10:12 | 医療全般 | Comments(0)

『心肺停止!でもAEDは簡単に借りられるとは限らない理由』

心肺停止!でもAEDは簡単に借りられるとは限らない理由

学校や駅、役所、警察、交番などの公共施設、民間企業にもAED(自動体外式除細動器)が設置されているのを見かけたことが一度はあることだろう。しかし設置場所に行っても、意外に借りられるとは限らないことがわかった。今回は、一般社団法人日本防災教育訓練センター代表理事で国際消防&防災ジャーナリストのサニー神谷氏がAEDに関する現状にどうすればいいのか、語ってもらった。

現在、一般的に行われている心肺蘇生法講習で「119番通報をお願いします」「AED(自動体外式除細動器)を持ってきてください」と当たり前のように指導されていますが、実際にいくつかのAED設置場所に行って、AEDの貸し出し条件を確認したところ、必ずしも簡単に借りられるとは限らないことがわかりました。
また、AEDの販売会社や各種AEDマップアプリを提供している財団などにもAEDの貸し出し条件について電話で質問してみましたが、「AEDは任意設置なので、貸し出し条件やバッテリー充電確認などの管理条件はお任せしています」とのことでした。
心肺蘇生法等の救命講習で指導する立場として、受講者に「AEDを持ってきてと頼んでください」と教えるのは簡単ですが、実際にAEDを借りに行かれる方が貸し出しを断られたり、貸し出し簿の記載を求められたら、せっかくの勇気あるバイスタンダー行為が傷ついてしまうのではないかと感じています。

AEDの貸し出し条件には事前調査が必要である
そこで、私が保育園や中小規模の民間事業所など東京都内のAEDを設置していない事業所で心肺蘇生講習を行う際、次の2つの事前調査をお願いしています。
・半径100m内(約1分以内)にAEDを借りてこられる場所を調べ、リストにして受講者に配れるようにしてください。
・周囲のAED設置場所から緊急時に貸りられる時の詳細な条件を調べてきてください。
この受講前事前調査によって、AEDを設置している公的機関や民間事業者ごとに、貸し出し条件が様々であることを明確に把握することができます。

(1)警察署や派出所でAEDを借りる場合:
まず、確実に借りられる場合が考えられる警察署の条件として、受講者から下記の2つの調査報告がありました(注:日本全国同じとは限りませんので、この内容を鵜呑みにせず、必ずご自身で確認してください)。
A:警察署や派出所に警察官が居る場合:
「基本的に警察官が同行するが、警察官は定期的に心肺蘇生法を受けていない場合も有り、また、AEDの使用方法を知らない場合もあるので、同行しても、心肺蘇生法はしないと考えておいてください」

B:警察署や派出所に警察官が居ない場合:
「派出所内に誰も居ない場合で施錠されていない場合でも、AEDを持ち出していただいて結構ですが、借りた人、または、関係した人が返却時する際、AEDを使った人の名前、住所、電話番号、使った場所、内容などを書いて報告していただくことをお願いしてます」

(2)ある民間企業のロビー内のAEDの場合:
「このAEDはビル建物と敷地内で発生した心肺蘇生法が必要な事案に対応するためのもので、基本的に敷地外には貸し出しておりません。もし、数分内の近くで起こった場合、臨機応変に貸し出すことも可能かもしれませんが、総合防災センターの職員が同行できればの話です」
(注:上記は、AEDの周りに誰も居なかったために入り口の警備員さんにAEDの貸し出しについて訪ねたところ、総合防災センターに問い合わせた結果です)

(3)某コンビニエンスストアの場合:
店員さん曰く「すいません。たぶん、使っていただいていいと思いますけど、店長に確認してきます」しばらくして、店長が出てきて、「貸し出したことがないですが、本部からは地域貢献のために自由に使っていただいてくださいと言われていますので、使用後に返却していただければ問題ないと思います」
などなど。貸し出し条件がさまざまであることがわかっているため、現時点では、民間で任意設置されているAEDは、貸し出し条件などを統一化するのは難しいと思います。そのため、身近なAEDを設置している各公的機関、民間事業所などの貸し出し条件を調べてみてリスト化しておくことをおすすめしています。
また、借りる手続きに時間が掛かったり、簡単には借りられないばかりか、場合によってはバッテリー切れのAEDもあるかもしれませんので、現状から考えると実際の心肺停止の救命現場で「あなた、AEDをお願いします」とたった1人に頼むのではなく、数名の方にAEDを頼んだ方が救命率は上がると思います。

AEDを借りたら使用報告をしなくてはならない
AEDを借りた場合、返却時に使用報告の記載を求められることが多いそうですが、特に報告書のフォームや記載内容などが決まっておらず、また何のための報告書なのか、どのように活かされるのかも特に決められていないことがあります。そのため、救命について意識の高い事業者に対して下記のようなフォームを作成し、自由に使っていただくよう、お配りしています。
■自動体外式除細動器(AED)使用報告書
もし可能であれば、この「自動体外式除細動器(AED)使用報告書」が心肺蘇生法のマニュアルなどに参考として掲載されたり、各AED設置事業所などで活用され、どこか公的な救命講習指導団体や大学研究機関などで統計データとしてまとめられれば、新しいAEDの開発時や救命手法の検討などにも活かされそうな気がいたします。

まとめ
実際に心肺蘇生法などの講習を行う時間が限られているため、講習時間内ですべてをお伝えするのは難しいと思いますが、事前に予習資料を提供して受講者に読んできてもらったり、また、下記のようなクイズを出して、答えていただくのもいいかもしれません。

クイズ1:AEDを取り出すとき、ボックスを開けると大音量が鳴りますが、それはどうしてでしょう?
A 盗難防止
B 周りの人に気づかせるため
C 119自動通報装置が作動するため

クイズ2:AEDは何をするためのものでしょう?
A 心臓の動き(細動)を止めるため
B 電気ショックで心臓をよみがえらせるため
C 脳に電気的刺激を与えて目を覚まさせるため

いかがでしたか?
私はガイドラインに従って、ただ事務的に心肺蘇生法を教えるのではなく、いかにバイスタンダーの立場になって、実際に起こることを予測して指導する必要性を強く感じています。
もしみなさんのなかで、現行の心肺蘇生法の指導方法に改善が必要と感じていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、今回の記事の内容を検討されてみてください.

【DAIAMOND ONLINE】
by kura0412 | 2017-01-11 14:54 | 医療全般 | Comments(0)

『血液1滴でがん診断』

血液1滴でがん診断、「AI活用で驚きの結果」
国立がん研究センター研究所の落谷氏が語る

1滴の血液や尿、唾液から、がんを超早期に診断する――。そんな技術の臨床応用を、人工知能(AI)が後押しする可能性が高まってきた。

がん細胞が分泌するマイクロRNA(リボ核酸)に着目し、大腸がんや乳がんなど13種類のがんにそれぞれ特徴的なマイクロRNAを組み合わせ、がんの超早期発見につなげる。日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトでそんな技術の確立を目指している国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏が「第54回日本癌治療学会学術集会」(2016年10月20~22日、パシフィコ横浜)に登壇し、AIの効用を語った(関連記事1、同2)。
落谷氏はまず、がんはマイクロRNAを巧みに操ることで生存を獲得しているとし、「マイクロRNAに起こる異常ががんの本質でもある」と説明した。マイクロRNAは血液や尿、唾液にも含まれ、これらの液体試料でがんを診断するリキッドバイオプシーと呼ばれる手法は「マイクロRNAをベースにすることが期待される」(同氏)。
がん治療に関して現在、世界的な注目を集めている免疫療法。そのカギを握るPD-L1(がん細胞に発現し、免疫細胞による攻撃を止めるように作用する物質)でさえ、「マイクロRNAの支配下にある」と落谷氏は話す。ある種のマイクロRNAの発現状態はPD-L1の発現状態と相関し、再発など、不良な予後の予測因子になり得るという。
マイクロRNAでがんを診断する上で落谷氏らが着目しているのが、マイクロRNAを内包するエクソソーム(exosome)と呼ぶ物質だ。エクソソームはもともと、さまざまな細胞が分泌し放出する粒子で、細胞間の情報伝達などに関わっている。がんはこの「エクソソームを利用し、周囲の細胞を“教育”して支配下に置く」(同氏)というメカニズムを採用している。マイクロRNAを内包するエクソソームを媒介として、がんが増悪や転移を引き起こすことが分かってきた。

深層学習で解析
落谷氏が主導するAMEDのプロジェクトでは、国立がん研究センターのバイオバンクが保存する血清検体などを使い、最終年の2018年までにがん患者の臨床情報とリンクした7万件の検体を解析。マイクロRNAなどに関するデータベースを構築することを計画している。
現在までに3万以上の検体を解析済みで、例えば乳がんについては約1700検体を解析したという。試しているのは、マイクロRNAによる解析で(既に診断がついている)がんを正しく診断できるかどうか。既に、非常に有望な結果が得られている。
乳がんでは、いくつかのマイクロRNAを組み合わせて、感度97.3%、特異度82.9%という判別率を確認した。大腸がんについても感度80.1%、特異度95.0%という結果が得られており、現行の腫瘍マーカーである「CA19-9よりも優れたマーカーになる」(落谷氏)。今後、自治体や検診センター、海外の機関とも組みながら、がん診断マーカーとしての実用性を評価していく。
さらに、マイクロRNAの解析やデータベース化に、人工知能の手法の一種である「ディープラーニング(深層学習)を採り入れる」(落谷氏)ことを検討中だ。マイクロRNAによる乳がんの診断アルゴリズムに試験導入し、「驚くべき結果が得られた」(同氏)という。

病期によらず診断可能
落谷氏に続いて登壇した国立がん研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野の土屋直人氏は、エクソソームが内包するマイクロRNAを用いたがん診断の研究成果を、詳細に語った。
がん診断マーカーとしてのマイクロRNAの特徴には「腫瘍が小さいうちから、がん細胞の特徴を反映する」(土屋氏)ことがあるという。例えば大腸がんでは、CA19-9やCEAのような現行の腫瘍マーカーでは、I期(ステージ1)のような早期段階では異常を検出しにくい。病期が進むほど検出率が高くなるのが、一般的なマーカーの性質だ。
これに対しマイクロRNAは、ステージIのがんも十分に検出可能という。すなわち、腫瘍の大きさや病期によらず、どの段階でも有効なマーカーとなり得る。
大腸がんや肺がん、すい臓がんといった異なる臓器にできたがんに対する、マイクロRNAの発現の比較も試みている。それぞれのがんのマイクロRNAの平均プロファイルには、明瞭な違いが現れるという。このように、マイクロRNAは「がんがどこにできたかも強く反映する」(土屋氏)。
このほか、がんの術後にはマイクロRNAの値が下がることから、マイクロRNAが担がん(体内に腫瘍が存在する)状態を反映すること、検体の状態の影響を受けにくく測定再現性が高いこと、などの特徴があるという。ただし、エクソソーム以外にもマイクロRNAを分泌する様式が存在する可能性があることから、がん診断への応用に向けては、エクソソーム由来のマイクロRNAとそうでないものを区別して考える必要があるとした。

【日経デジタルヘルス】



iPS細胞の臨床応用よりもAIによる臨床診断の方が実現が早いかもしれません。
by kura0412 | 2017-01-10 11:10 | 医療全般 | Comments(0)

看取りの手順

意外と知らない看取りの手順

死亡の確認は、日本では医師と歯科医師だけに許された仕事です。その割にその方法を学ぶ機会は少なく、現場で先輩医師の振る舞いを見てまねたり、必要なことは独学したりしてやってきました。同じような医師は少なくないのではないかと思います。ここでは、最低限必要な手順と、私がしている工夫を紹介したいと思います。

事前準備をぬかりなく
患者さんの病室もしくは自宅に行く前に、まず簡単に病歴を復習します。病気の経過をひと通り頭に入れておかないと、家族との会話がかみ合わなかったりするからです。特に、当直などで初対面の患者さんの死亡確認をするときには、家族が患者さんの死を受け入れられているかどうかも含めて、カルテの記録を読んだり、担当の病棟看護師や在宅であれば訪問看護師に聞くなどして必ず確認するようにしています。
医師が死亡確認を依頼されるタイミングには、患者さんの息がまだ続いていて「そろそろ呼吸が止まりそうだ」と呼ばれる場合と、既に呼吸が止まっている場合とがあります。

「そろそろ呼吸が止まりそう」というときは
看取りの主役は家族です。最後の大切な時間を邪魔しないように、医療者は少し離れて本人の様子を観察します。多くの場合は呼吸が先に停止し、心臓の拍動はそれより数分遅れて止まります。心拍は、心電図モニターが付いていると止まったことが分かりますが、身体所見で止まったことを確認するのにはコツがいります。最も見やすいのは「頸動脈の動き」です。皮膚表面の動きを接線方向で見ると微弱な拍動も分かりやすいので、自分から遠い側の首の皮膚を見るようにします。呼吸停止から5 分以上拍動が続くことはよくあり、「心臓が頑張っています」と話して、動きが見えなくなるまで待つようにしています。
脳幹部の機能が停止したことは、一般的には対光反射の消失で確認します。睫毛反射の消失で代用することもあります。呼吸と心拍が止まったばかりのときは、対光反射は残っていることもあります。その場合、厳密には死の三兆候(瞳孔反応停止、呼吸停止、心停止)がそろっていないことになるので、少し間をおいてから再確認するのが原則です。また、死亡確認をしてよいタイミングに至ったかどうかを判断する際には、家族の準備が整っているかどうかの確認も重要です。間違っても、泣きすがる家族を引き離して確認してはいけません。ご遺体にすがって存分に泣いてもらう時間は、家族が悲しみを乗り越え、これからの人生を前向きに歩んでもらうためのプロセスとして大事です。
家族がそろうまで確認を待ってほしいという家族もいて、待てる範囲で待つようにしています。最近では少なくなりましたが、中には、家族が到着するまで心臓マッサージでも人工呼吸でも何でもして生かしておいてほしいという家族もいます。しかしそれは、どうやっても命が終わる場面では「家族のためだけ」にする処置であり、患者さん本人のためにはならないことなので、臨終に間に合いそうにない家族にはその旨を電話で説明し、静かに到着を待ちます。

死亡確認の実際と注意点
実際の死亡確認では、
◎ 胸部の聴診で呼吸と心拍が停止していること
◎ 視診で頸動脈の拍動が停止していること
◎ ペンライトで対光反射が消失していること
を確認するのが、最低限の手順です。頸動脈や橈骨動脈の触診をする場合もあります。

いずれの場合も、生きている兆候がすべて見られなくなってから、ゆっくり死亡を確認するというのがポイントです。最後の呼吸間隔は1分を超えてくることもあります。死亡確認をしてから呼吸が現れたり、モニター上に明らかな波形が現れたりすると、「死亡診断もまともにできない医者」という目で見られかねません。モニターの波形があっても心拍は停止している場合もありますが、家族がその波形を見ている中で、医師がモニターの電源をあっさり切って死亡確認すると、見切り発車されたような気分になるようです。
アンビューバッグを使って人工呼吸をした場合は、死亡後に胃に入った空気が出てきて、声のように聞こえることがあります。呼吸が止まって数分で、皮膚がピクピクする線維束性収縮が見られることもあります。これらは死亡後に起こっておかしくないことですから、家族にはそのように説明します。死亡を確認したら、そのことをはっきり家族に告げます。死亡時刻を気にする家族は多いので、できるだけ正確な時計をもとに、確認した時刻と死亡した旨を伝えます。このときの言い方は医師によってさまざまですが、私は「○時○分、死亡したことを確認しました」と言うことが多いです。
以上が死亡確認の手順です。
この後、落ち着いてから、闘病の経過を知っている患者さんや家族の場合には「本当に良く頑張りました。ご本人が一番頑張ったけれど、ご家族も良く頑張ったと思います。お疲れさまでした」と付け加えることもあります。

家族の「グリーフケア」にも配慮
死亡確認をしたら、死亡診断書を作成します。
死亡診断書は死亡統計の材料にもなるので、できるだけ病態を反映した病名を記入するようにします。紹介状や伝聞による手術の情報は、カッコ(  )に入れて書くことになっています。一番下の欄には、診断書作成日と医療機関名、そして医師名を書きます。自筆の署名があれば捺印はいらないことになっていますが、後で「『印』というところにハンコが押してない」と言ってくる家族がいることと、押印した方が格好いいような気がして、私は捺印しています。死亡診断書の作成に当たっては、くれぐれも間違いがないように気をつけます。特に患者さんの氏名は、カルテと健康保険証に記載されている漢字が違っている場合もあり、家族に確かめて書いた方が確実です。
患者さんが死亡すると、家族は遺族になります。緩和ケアでは家族もケアの対象と考えるので、遺族に対するケアも欠かせません。死亡確認をして死後の処置をして送り出したら、仕事は終わりという医療機関も多いと思いますが、遺族のケアについても簡単に触れておきます。

愛和病院では、チャプレン(病院付き牧師)の司会で「お別れ会」という小さな会を開いています。ご遺体を中心に家族とスタッフが囲むように座り、礼拝のような形式で患者さんの人生と闘病生活を振り返り、本人と家族とスタッフの労をねぎらい、お別れします。一つの区切りの儀式ですが、遺族の気持ちを整理したり、後悔を納得に変えていくのに大きく役立っているように思います。
 遺族のケアのことを「グリーフケア」と呼びます。家族を失ったことによるダメージは、人によって全く違います。ほとんどの人は次第に元の生活に戻れますが、大きく沈んで何年も引きずる人もいます。沈んでいる人にとっては、「あなたを気にかけている人がいますよ」ということが伝わると、生きるのが少し楽になります。手紙を送ったり、お悔やみ訪問をしたり、遺族が集まる会を開いたりなど、さまざまな方法で遺族の気持ちが沈んだままにならないようにケアをしています。

【日経メディカル・平方 眞】



冒頭にあるように歯科医師も死亡診断書が書けます。
by kura0412 | 2017-01-10 10:49 | 医療全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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