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抗菌薬適正使用実践へ手引き - 医薬系8学会が策定

薬剤師などの行動内容示す
日本化学療法学会、日本感染症学会、日本薬学会、日本医療薬学会など医学・薬学系8学会は、院内における感染症専門の医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師が抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を実践するため、行動すべき内容をまとめたガイダンス案を公表した。医療現場の実情に合わせた適正使用支援の組織作りや効果的なプログラムを策定する基本戦略を示し、プロセスやアウトカムの評価指標も明記した。また、医療職に対する教育啓発が不要な抗菌薬の処方減につながると推奨。ASPのコアメンバーと位置づける薬剤師の卒前教育も独立した項目として盛り込んだ。意見募集の結果を踏まえ、最終的に確定する予定。
ガイダンスは、欧米で先行してきた抗菌薬適正使用支援(AS)の取り組みが日本でも急務と判断。医療現場に即して医師や薬剤師などの専門スタッフがどのようにASを実践すべきか行動内容をまとめたもの。ASの組織づくりについては、効果的なプログラム運用のため、感染制御部門に感染制御チーム(ICT)とは別に抗菌薬適正使用支援チーム(AST)を組織する必要があるとし、感染症の専門知識を持つ医師、薬剤師を中心に構成されることが望ましいとした。日本では人的資源が十分でないため、ICTとASTのスタッフは兼務可能としている。
これらチームで効果的なASを実践するため、医療機関の実情に応じたプログラムを作ることを推奨し、基本戦略となる介入、抗菌薬使用の最適化、微生物検査診断の利用、ASの評価測定、教育・啓発など各項目について具体的な対応を検討する方向性を示した。
抗菌薬の適正使用を推進するためには、適切な介入が求められるとし、有効な介入手段として欧米で推奨されている「感染症治療の早期モニタリングとフィードバック」「抗菌薬使用の事前承認」の2項目について、ASPで欠かせない戦略として日本でも全ての施設で検討すべきとした。

抗菌薬使用の事前承認は、感染症専門の医師や薬剤師の「許可制」とするものだが、日本では専門医や専門薬剤師が不足し、プロトコルに基づくPBPMが普及しつつあるものの、薬剤師の処方権が制限されているため許可制導入は困難と指摘。そこで、特定の抗菌薬処方と同時にASTが把握し、適正使用に早期介入できるような仕組みを構築するなど、日本の現状に合った工夫が必要とした。
抗菌薬使用の最適化に当たっては、対象患者を把握したら適切な微生物検査がオーダーされているか、第一選択薬が適切か判断する必要があるとした。治療開始後は、効果と共に、用法・用量、治療期間が適切かモニタリングし、必要に応じ主治医にアドバイスを実施することを提示。そのためには、薬剤師主導の臨床薬理学的アプローチによる抗菌薬使用の最適化を支援する仕組みが必要とした。
また、プログラムの効果については自己評価し、改善に役立てることを提言。ASのプロセスとアウトカムの両方を検証し、プロセスについては抗菌薬使用状況やTDM実施率など、介入内容を直接反映する指標を用い、アウトカムについては死亡率や入院期間、治癒率、再発率、耐性菌発生率など、臨床的改善と微生物学的改善を反映する指標を用いるとした。
教育・啓発活動については、処方医や医療職への教育・啓発が不要な抗菌薬の処方減につながると推奨。さらに、薬剤師の卒前教育にも言及。ASPのコアメンバーと位置づけられる臨床薬剤師に対し、多職種への教育に重要な役割を担っていると指摘。薬学教育において、抗菌薬を適正に使用する上で欠かせない原則について設定した教育カリキュラムの充実を図ることが必要とした。

(薬事日報)




歯科はこれに追随なのでしょうか。
by kura0412 | 2017-04-25 10:21 | 医療全般 | Comments(0)



by kura0412 | 2017-02-21 17:08 | 医療全般 | Comments(0)

難易度の高い手術における「3Dプリンター」の活用が進んでいる。患者のCTなどの検査画像を基に臓器モデルを作成し、術前のシミュレーションに用いるというもの。形成・整形外科領域では、患者の骨格を再現した「骨格モデル」を使った手術支援が既に保険適用され、心臓などの複雑な構造の内臓を精密に再現した「内臓モデル」の開発も進んできた。

「3Dプリンターで作成した骨格モデルは形成外科の手術を底支えしてくれる、なくてはならない存在」。国立成育医療研究センター副院長(医療安全・感染防御担当)感覚器・形態外科部長の金子剛氏はこう話す。

3Dプリンターの臨床現場での活用として最も進んでいるのが、患者のCTなどの検査画像を基にした臓器立体モデルの作成だ。3Dプリンターを用いることで、安価かつ迅速に臓器モデルを作れる。

臓器モデルは術前の手術計画やシミュレーションに有用性が認められ、「実物大臓器立体モデルを用いた手術支援」として、2008年に整形外科と形成外科の一部の手術で保険適用された(診療報酬点数は2000点)。2016年度の診療報酬改定では、四肢骨を対象にした2つの手術が追加され、現在は整形外科と形成外科領域の25手技で保険診療の対象となっている。

形成外科領域では、患者の骨格を再現した骨格モデルを主に骨切りと再建のシミュレーションに用いている(症例1)。「左右の非対称性があり通常の診断画像では手術計画が立てにくい特殊な症例などに有用」と金子氏は説明する。どう切れば少ない骨切り線で済むか、患部を再建する際にいかに少ない侵襲で的確な手術ができるかを、骨格モデルを用いて検証できる。「現在、国内では年間100例ぐらいの術前シミュレーションで骨格モデルが活用されているのではないか」と推定する。

症例1・臓器モデルが有用だった下顎形成術の一例(金子氏による)

9歳女児。Goldenhar症候群に伴う下顎変形を生じており、顎2分の1個分ずれた状態で下顎の右奥歯が顔面の中央に位置していた。上下の顎の咬合(噛み合わせ)を改善する目的で狭窄した下顎の開大術を実施することになった。

 手術では下顎の中心部からくさび型の骨片を採取し、これを下顎の右側の骨切り部に移植する計画だが、立体構造が複雑なため、くさび型骨片の切り込み角度をコンピュータ上でシミュレーションし、下顎の中央部から30度の角度が最適と判断。その後、骨格モデルを使って実際に切除と再建のシミュレーションを行った。Bの骨片を中心角30度にし、ABCDと並んでいた骨片をACBDとすることで下顎の再建が可能なものと判断。術前シミュレーションの計画通りに手術を行うことで、目的とした噛み合わせの改善を達成した。


一方、整形外科領域ではインプラントや金属の固定法、人工骨の埋め方のシミュレーションに骨格モデルが活用されている。同分野で3Dプリンターを使った骨格モデルを使用している東京慈恵会医科大学整形外科講師の藤井英紀氏は、「骨格モデルは非常に有用なツール」と評価する。

実物大の立体モデルが手元にあることで、「術前にインプラントや人工骨が患者の骨格に適合するかどうかを確かめられる」(藤井氏)。さらに、同氏らは骨格モデルを滅菌処理して手術室に持ち込み、手術を施行しながら、骨格モデルを使って術野では見ることのできない部分の構造を再確認している(症例2)。

【日経デジタルヘルス】


by kura0412 | 2017-02-17 11:13 | 医療全般

がん5年後生存率、69%に上昇 国立がん研究センター

国立がん研究センターは、2000~03年にがんと診断された人の10年後の生存率は58.5%だったと16日付で発表した。10年生存率の算出は昨年に続き2回目で、0.3ポイント上昇した。06~08年に診断された人では、5年後の生存率が69.4%と判明。統計を取り始めた1997年の患者よりも約7ポイント高かった。

検診などによる早期発見の取り組みや、抗がん剤や放射線治療などがん医療の進歩が生存率の向上につながったとみられる。研究チームは「約10年以上前にがんにかかった人の生存率で、現在はさらに治療成績は向上している」と指摘。調査を担当した猿木信裕・群馬県衛生環境研究所長は「10年生存率は今後も改善していくと期待できる」と話している。
10年生存率は、全国の20施設で診断された約4万5千人を分析。患者の多い主ながんでは、胃がん67.3%、大腸がん69.2%、肝臓がん16.4%、肺がん32.6%だった。前立腺がん(94.5%)や甲状腺がん(89.3%)の経過が良い一方、自覚症状がほとんどなく早期発見が難しい膵臓(すいぞう)がんは5.1%と低かった。
がんの進行度を示すステージ別では、早期の「1期」と診断された人の生存率は全てのがんを合わせ85.3%だったが、リンパ節に転移するなど進んだ「3期」では40.9%に低下。早期に発見し治療を始めるほど経過の良いことがあらためて確認された。
部位別の生存率を5年後と10年後で比べると、胃がんや大腸がんはほぼ横ばいだったが、肝臓がんは34.1%から16.4%に大きく低下。肝機能が悪化している患者が多く、がん以外にも長期の療養が必要となる。乳がんも89.3%から81.7%に下がっており、再発が背景にあるとみられる。
部位別やステージ別、治療法別などの生存率は「全国がん(成人病)センター協議会」のホームページで公開される。

【日経新聞】



癌治療で口腔内でのトラブルのある患者さんも増えています。サポートという点でも歯科の重要性も増しています。
by kura0412 | 2017-02-16 09:27 | 医療全般 | Comments(0)

<性同一性障害>社会保険は通称名認めず 国保と対応に差

心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人が保険証で通称名を表記することについて、自営業者が加入する国民健康保険で厚生労働省が「保険者の判断で可能」と認める一方、会社員が加入する社会保険で認めていないことが分かった。GIDの当事者は「保険の種類で通称表記の可否が異なるのはおかしい」と国に公平な対応を求めている。

神奈川県在住で戸籍上は男性だが女性として生活する40代の会社員は今月1日、京都市で自営業のGID当事者の通称表記が認められたことを知り、加入する健康保険組合を通じて同省関東信越厚生局に問い合わせたところ、「(通称表記は)認められない」と言われた。
同省は毎日新聞の取材に「国民健康保険は市町村の住民基本台帳に基づき保険証を発行している。住民基本台帳に登録した外国人は保険証で通称を使ってもいいという通達を2011年に出し、GIDに準用した。社会保険は基本台帳に基づかず、通称表記ができるとの判断に至っていない」と説明。「今後、可能とするかどうか検討したい」とする。
15年にGIDと診断された会社員は「仕事や日常生活では(女性として)問題なく生活できているが、病院などで本人確認のために戸籍名をフルネームで呼ばれるのは苦痛だ」と苦悩を明かし、「国保と社会保険で区別する理由はない」と話している。

【毎日新聞】



歯科の医療現場でもこんな問題も出てきそうです。
by kura0412 | 2017-02-16 08:49 | 医療全般 | Comments(0)

電子カルテから患者の受診中断をAIが予測
NTTと東大がモデル開発、精度は7割

NTTは糖尿病患者の症状悪化につながる「受診中断」をAI(人工知能)で予測するモデルを、東京大学大学院医学系研究科医療情報学分野 教授の大江和彦氏らと共同開発した(ニュースリリース)。2017年度から、複数病院データベースを使った評価試験を開始する。

開発したモデルでは、電子カルテのデータや特徴量を入力することで、予約不履行(受診が途絶えるきっかけになり得る予約外来の不受診)と受診中断リスク順位(将来の受診中断日までの日数の長さによる患者の順位付け)の2つを予測する。東京大学の医療データ分析や臨床における知見を参考に生成した特徴量と、NTTのAI技術「corevo」を通じた機械学習に関する知見を生かした。
このモデルを、2011年~2014年に東京大学医学部附属病院で通院治療を受けた糖尿病患者約900人の電子カルテデータで評価したところ、受診中断を7割の精度で予測できたという。予約登録日や予約日の曜日、予約登録日と予約日の間隔など、患者の予約行動に関わる項目が受診中断の予測に影響することも分かった。
予測結果は、受診中断を避けるために積極的に支援すべき患者の絞りこみや、支援開始時期の見極め、支援度合いの調整などに利用できるという。これを通じ、医師の診療を支援したり、患者の病態を維持・改善したりする。
構築したモデルは、電子カルテデータの標準規格であるSS-MIX2標準化ストレージに準拠。東京大学医学部附属病院以外の医療機関にも展開できる。対象データの規模を拡大することでより精緻な予測モデルを構築できると期待されるため、複数病院データベースを使った評価試験を行う。

【日経デジタルヘルス】
by kura0412 | 2017-02-07 17:46 | 医療全般 | Comments(0)

パーキンソン病のiPS治療、18年度に治験 京大

京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授は3日、様々な細胞に育つiPS細胞で難病のパーキンソン病を治療する医師主導の臨床試験(治験)を2018年度に始めると明らかにした。健康な人からあらかじめ作ったiPS細胞を患者に移植する。iPS細胞を患者自身から作るよりも治療にかかる費用と期間が10分の1になる見通しだ。大日本住友製薬と協力し、国の承認を目指す。

パーキンソン病は、手足が震えたり運動能力が下がったりする。脳の神経細胞が減って神経伝達物質が不足するのが原因だ。主に50歳以上で発症し、国内に約16万人の患者がいる。
神経伝達物質を補う薬を投与する治療法があるが、神経細胞が減ると効かなくなる。
高橋教授らの計画によると、神経伝達物質を出す神経のもととなる細胞をiPS細胞から数百万個作り、患者の脳に注射する。18年度に国に計画を届け出て、同年度に最初の移植を目指す。症状が中程度の患者が対象で、人数は未定という。
京大は当初、患者の血液などから作ったiPS細胞を使う臨床研究を計画したが、治療に1年の期間と数千万円の費用がかかるとされた。
備蓄した他人のiPS細胞を使えば、治療期間は6週間、費用は数百万円にできるという。高橋教授は「新しい治療法を早く患者に届けたい」と話している。
京大は15年から、拒絶反応を起こしにくいiPS細胞の備蓄を進める。治験はこのiPS細胞を使う。治験がうまくいけば、大日本住友製薬が国の承認を得たうえで、再生医療製品として実用化する。

【日経新聞】




摂食嚥下障害もあるパーキンソン病ですが、絶対的な治療法はないだけに吉報です。但し、費用がかからなくなったといえどそれでも数百万円です。医療費増大で歯科がはみ出されることはないと信じたいのですが。
by kura0412 | 2017-02-06 15:24 | 医療全般 | Comments(0)

「オプジーボ」、特許で勝っても視界は晴れず
特許使用料を受け取れるようになったが・・・

高額薬価問題で緊急値下げを余儀なくされたがん治療薬「オプジーボ」だが、特許を巡る訴訟では競合薬に実質的な勝利を収めた。小野薬品工業は1月21日、日米欧で争っていたオプジーボの特許侵害訴訟について「キイトルーダ」を販売する米メルクと和解したと発表した。
和解内容は、小野薬品工業と共同開発先の米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)の特許権をメルクが認め、両社とライセンス契約を締結するというものだ。

2017年3月期に180億円程度の特別利益
頭金として6億2500万ドル(約710億円)を両社に支払うほか、2017年1月から2023年までキイトルーダの全世界売上高の6.5%、2024年から2026年まで同2.5%をロイヤルティとして支払うことで合意した。頭金とロイヤルティの分配比率は小野薬品が25%、BMSが75%で、小野薬品は2017年3月期に180億円程度の特別利益を計上する。
小野薬品側の“取り分”は少なく映るが、「BMSとの販売ロイヤルティを考慮すると妥当」(広報部)。オプジーボは小野薬品が日本と韓国、台湾、BMSが欧米とその他のアジアで販売権を有しており、販売シェアはBMSが圧倒的に大きい。その中で小野薬品にはBMSの北米売り上げの4%(欧州とその他アジアでは15%)、BMSには日本・韓国・台湾の売り上げの4%が互いに入る契約になっている。そうした取り決めからすれば、妥当な分配というわけだ。
オプジーボはがん細胞がかけている免疫のブレーキを解除し、人が本来持っている免疫力でがんを攻撃する仕組みの抗がん剤。がん細胞を直接攻撃する従来の化学療法とはまったく異なる効き方をし、末期患者でも年単位で生存する患者が現われている。2014年に悪性黒色腫を対象に世界に先駆けて国内で発売。2015年には非小細胞肺がんにも効能が追加され、対象患者数が一気に増えた。その後も、国内外で効能追加が続いている。
一方、メルクもほぼ同時期に同じメカニズムのがん治療薬「キイトルーダ」を開発。海外市場でオプジーボとシェア争いを演じているほか、国内でも昨年、悪性黒色腫と非小細胞肺がん向けで承認された。
キイトルーダとの競合は激化しているが、その中で小野陣営とメルクが歩み寄った背景には、新たなライバルの出現が迫っていることがある。
有望市場であるがん免疫薬への参入は世界のメガファーマが狙っている。
スイスのロシュと子会社の中外製薬、英アストラゼネカ、米ファイザーと独メルクはオプジーボとは異なるメカニズムの免疫薬を開発中。これらの開発が成功すれば「オプジーボ陣営」にとって大きな脅威となりうる。その前に適用がん種の拡大などを急ぎ、リードを広げておきたいところだ。

薬価下げの影響はカバーしきれない
開発が成功した時には “夢の薬”ともてはやされたオプジーボだが、2016年は高額薬価問題の矢面に立たされた。肺がんの場合で1人当たり年間3500万円もの高額薬価が注目され、次回2018年の薬価改定時期を待たずに異例の緊急引き下げが決定。2月から薬価は50%引き下げられる。
年間販売額が1500億円超なら最大50%薬価を引き下げるという市場拡大再算定の特例が適用されたためだが、オプジーボの予想年間販売額は1260億円。それに流通経費等を上乗せして算定された。当初の薬価自体、国が決めたものであり、小野薬品としては完全な誤算となった。
今回の和解で小野薬品は、メルクのキイトルーダの売り上げに応じてロイヤルティを手にすることになるが、同薬の世界売上高は2016年1~9月で約9.2億ドル(約966億円)。1000億円とすれば、小野薬品に入るロイヤルティは16億円程度にすぎない。もちろん、ロイヤルティは今後の販売次第だが、これだけで薬価引き下げの影響をカバーするのは難しそうだ。
今後も競合薬の追い上げに加え、医療費抑制を背景にした国の薬価政策に引き続き翻弄される可能性がある。今回の和解は小野薬品にとって良いニュースであることは間違いないが、懸念材料を払拭するには物足りないというところだろう。

【東洋経済ONLINE】
by kura0412 | 2017-01-24 10:12 | 医療全般 | Comments(0)

心肺停止!でもAEDは簡単に借りられるとは限らない理由

学校や駅、役所、警察、交番などの公共施設、民間企業にもAED(自動体外式除細動器)が設置されているのを見かけたことが一度はあることだろう。しかし設置場所に行っても、意外に借りられるとは限らないことがわかった。今回は、一般社団法人日本防災教育訓練センター代表理事で国際消防&防災ジャーナリストのサニー神谷氏がAEDに関する現状にどうすればいいのか、語ってもらった。

現在、一般的に行われている心肺蘇生法講習で「119番通報をお願いします」「AED(自動体外式除細動器)を持ってきてください」と当たり前のように指導されていますが、実際にいくつかのAED設置場所に行って、AEDの貸し出し条件を確認したところ、必ずしも簡単に借りられるとは限らないことがわかりました。
また、AEDの販売会社や各種AEDマップアプリを提供している財団などにもAEDの貸し出し条件について電話で質問してみましたが、「AEDは任意設置なので、貸し出し条件やバッテリー充電確認などの管理条件はお任せしています」とのことでした。
心肺蘇生法等の救命講習で指導する立場として、受講者に「AEDを持ってきてと頼んでください」と教えるのは簡単ですが、実際にAEDを借りに行かれる方が貸し出しを断られたり、貸し出し簿の記載を求められたら、せっかくの勇気あるバイスタンダー行為が傷ついてしまうのではないかと感じています。

AEDの貸し出し条件には事前調査が必要である
そこで、私が保育園や中小規模の民間事業所など東京都内のAEDを設置していない事業所で心肺蘇生講習を行う際、次の2つの事前調査をお願いしています。
・半径100m内(約1分以内)にAEDを借りてこられる場所を調べ、リストにして受講者に配れるようにしてください。
・周囲のAED設置場所から緊急時に貸りられる時の詳細な条件を調べてきてください。
この受講前事前調査によって、AEDを設置している公的機関や民間事業者ごとに、貸し出し条件が様々であることを明確に把握することができます。

(1)警察署や派出所でAEDを借りる場合:
まず、確実に借りられる場合が考えられる警察署の条件として、受講者から下記の2つの調査報告がありました(注:日本全国同じとは限りませんので、この内容を鵜呑みにせず、必ずご自身で確認してください)。
A:警察署や派出所に警察官が居る場合:
「基本的に警察官が同行するが、警察官は定期的に心肺蘇生法を受けていない場合も有り、また、AEDの使用方法を知らない場合もあるので、同行しても、心肺蘇生法はしないと考えておいてください」

B:警察署や派出所に警察官が居ない場合:
「派出所内に誰も居ない場合で施錠されていない場合でも、AEDを持ち出していただいて結構ですが、借りた人、または、関係した人が返却時する際、AEDを使った人の名前、住所、電話番号、使った場所、内容などを書いて報告していただくことをお願いしてます」

(2)ある民間企業のロビー内のAEDの場合:
「このAEDはビル建物と敷地内で発生した心肺蘇生法が必要な事案に対応するためのもので、基本的に敷地外には貸し出しておりません。もし、数分内の近くで起こった場合、臨機応変に貸し出すことも可能かもしれませんが、総合防災センターの職員が同行できればの話です」
(注:上記は、AEDの周りに誰も居なかったために入り口の警備員さんにAEDの貸し出しについて訪ねたところ、総合防災センターに問い合わせた結果です)

(3)某コンビニエンスストアの場合:
店員さん曰く「すいません。たぶん、使っていただいていいと思いますけど、店長に確認してきます」しばらくして、店長が出てきて、「貸し出したことがないですが、本部からは地域貢献のために自由に使っていただいてくださいと言われていますので、使用後に返却していただければ問題ないと思います」
などなど。貸し出し条件がさまざまであることがわかっているため、現時点では、民間で任意設置されているAEDは、貸し出し条件などを統一化するのは難しいと思います。そのため、身近なAEDを設置している各公的機関、民間事業所などの貸し出し条件を調べてみてリスト化しておくことをおすすめしています。
また、借りる手続きに時間が掛かったり、簡単には借りられないばかりか、場合によってはバッテリー切れのAEDもあるかもしれませんので、現状から考えると実際の心肺停止の救命現場で「あなた、AEDをお願いします」とたった1人に頼むのではなく、数名の方にAEDを頼んだ方が救命率は上がると思います。

AEDを借りたら使用報告をしなくてはならない
AEDを借りた場合、返却時に使用報告の記載を求められることが多いそうですが、特に報告書のフォームや記載内容などが決まっておらず、また何のための報告書なのか、どのように活かされるのかも特に決められていないことがあります。そのため、救命について意識の高い事業者に対して下記のようなフォームを作成し、自由に使っていただくよう、お配りしています。
■自動体外式除細動器(AED)使用報告書
もし可能であれば、この「自動体外式除細動器(AED)使用報告書」が心肺蘇生法のマニュアルなどに参考として掲載されたり、各AED設置事業所などで活用され、どこか公的な救命講習指導団体や大学研究機関などで統計データとしてまとめられれば、新しいAEDの開発時や救命手法の検討などにも活かされそうな気がいたします。

まとめ
実際に心肺蘇生法などの講習を行う時間が限られているため、講習時間内ですべてをお伝えするのは難しいと思いますが、事前に予習資料を提供して受講者に読んできてもらったり、また、下記のようなクイズを出して、答えていただくのもいいかもしれません。

クイズ1:AEDを取り出すとき、ボックスを開けると大音量が鳴りますが、それはどうしてでしょう?
A 盗難防止
B 周りの人に気づかせるため
C 119自動通報装置が作動するため

クイズ2:AEDは何をするためのものでしょう?
A 心臓の動き(細動)を止めるため
B 電気ショックで心臓をよみがえらせるため
C 脳に電気的刺激を与えて目を覚まさせるため

いかがでしたか?
私はガイドラインに従って、ただ事務的に心肺蘇生法を教えるのではなく、いかにバイスタンダーの立場になって、実際に起こることを予測して指導する必要性を強く感じています。
もしみなさんのなかで、現行の心肺蘇生法の指導方法に改善が必要と感じていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、今回の記事の内容を検討されてみてください.

【DAIAMOND ONLINE】
by kura0412 | 2017-01-11 14:54 | 医療全般 | Comments(0)

『血液1滴でがん診断』

血液1滴でがん診断、「AI活用で驚きの結果」
国立がん研究センター研究所の落谷氏が語る

1滴の血液や尿、唾液から、がんを超早期に診断する――。そんな技術の臨床応用を、人工知能(AI)が後押しする可能性が高まってきた。

がん細胞が分泌するマイクロRNA(リボ核酸)に着目し、大腸がんや乳がんなど13種類のがんにそれぞれ特徴的なマイクロRNAを組み合わせ、がんの超早期発見につなげる。日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクトでそんな技術の確立を目指している国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏が「第54回日本癌治療学会学術集会」(2016年10月20~22日、パシフィコ横浜)に登壇し、AIの効用を語った(関連記事1、同2)。
落谷氏はまず、がんはマイクロRNAを巧みに操ることで生存を獲得しているとし、「マイクロRNAに起こる異常ががんの本質でもある」と説明した。マイクロRNAは血液や尿、唾液にも含まれ、これらの液体試料でがんを診断するリキッドバイオプシーと呼ばれる手法は「マイクロRNAをベースにすることが期待される」(同氏)。
がん治療に関して現在、世界的な注目を集めている免疫療法。そのカギを握るPD-L1(がん細胞に発現し、免疫細胞による攻撃を止めるように作用する物質)でさえ、「マイクロRNAの支配下にある」と落谷氏は話す。ある種のマイクロRNAの発現状態はPD-L1の発現状態と相関し、再発など、不良な予後の予測因子になり得るという。
マイクロRNAでがんを診断する上で落谷氏らが着目しているのが、マイクロRNAを内包するエクソソーム(exosome)と呼ぶ物質だ。エクソソームはもともと、さまざまな細胞が分泌し放出する粒子で、細胞間の情報伝達などに関わっている。がんはこの「エクソソームを利用し、周囲の細胞を“教育”して支配下に置く」(同氏)というメカニズムを採用している。マイクロRNAを内包するエクソソームを媒介として、がんが増悪や転移を引き起こすことが分かってきた。

深層学習で解析
落谷氏が主導するAMEDのプロジェクトでは、国立がん研究センターのバイオバンクが保存する血清検体などを使い、最終年の2018年までにがん患者の臨床情報とリンクした7万件の検体を解析。マイクロRNAなどに関するデータベースを構築することを計画している。
現在までに3万以上の検体を解析済みで、例えば乳がんについては約1700検体を解析したという。試しているのは、マイクロRNAによる解析で(既に診断がついている)がんを正しく診断できるかどうか。既に、非常に有望な結果が得られている。
乳がんでは、いくつかのマイクロRNAを組み合わせて、感度97.3%、特異度82.9%という判別率を確認した。大腸がんについても感度80.1%、特異度95.0%という結果が得られており、現行の腫瘍マーカーである「CA19-9よりも優れたマーカーになる」(落谷氏)。今後、自治体や検診センター、海外の機関とも組みながら、がん診断マーカーとしての実用性を評価していく。
さらに、マイクロRNAの解析やデータベース化に、人工知能の手法の一種である「ディープラーニング(深層学習)を採り入れる」(落谷氏)ことを検討中だ。マイクロRNAによる乳がんの診断アルゴリズムに試験導入し、「驚くべき結果が得られた」(同氏)という。

病期によらず診断可能
落谷氏に続いて登壇した国立がん研究センター研究所 ゲノム生物学研究分野の土屋直人氏は、エクソソームが内包するマイクロRNAを用いたがん診断の研究成果を、詳細に語った。
がん診断マーカーとしてのマイクロRNAの特徴には「腫瘍が小さいうちから、がん細胞の特徴を反映する」(土屋氏)ことがあるという。例えば大腸がんでは、CA19-9やCEAのような現行の腫瘍マーカーでは、I期(ステージ1)のような早期段階では異常を検出しにくい。病期が進むほど検出率が高くなるのが、一般的なマーカーの性質だ。
これに対しマイクロRNAは、ステージIのがんも十分に検出可能という。すなわち、腫瘍の大きさや病期によらず、どの段階でも有効なマーカーとなり得る。
大腸がんや肺がん、すい臓がんといった異なる臓器にできたがんに対する、マイクロRNAの発現の比較も試みている。それぞれのがんのマイクロRNAの平均プロファイルには、明瞭な違いが現れるという。このように、マイクロRNAは「がんがどこにできたかも強く反映する」(土屋氏)。
このほか、がんの術後にはマイクロRNAの値が下がることから、マイクロRNAが担がん(体内に腫瘍が存在する)状態を反映すること、検体の状態の影響を受けにくく測定再現性が高いこと、などの特徴があるという。ただし、エクソソーム以外にもマイクロRNAを分泌する様式が存在する可能性があることから、がん診断への応用に向けては、エクソソーム由来のマイクロRNAとそうでないものを区別して考える必要があるとした。

【日経デジタルヘルス】



iPS細胞の臨床応用よりもAIによる臨床診断の方が実現が早いかもしれません。
by kura0412 | 2017-01-10 11:10 | 医療全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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