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口腔ケアは?厚労省、介福士の医療的ケア、研修などの実態調査へ

介福士の医療的ケア、研修などの実態調査へ-厚労省

社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会(委員長=田中滋・慶大名誉教授)は7日、介護福祉士が担う医療的ケアについて議論した。委員からは医療的ケアの範囲を拙速に拡大することに反対する意見が続出。現在行われている医療的ケアについて詳細に実態把握することが先決とする意見も出た。委員会終了後、厚生労働省の担当者は、研修を受けたくても受けられない人の数なども含め、介護福祉士が取り組む医療的ケアの実態把握に乗り出す方針を示した。

現在、一定の研修を受けた介護福祉士には、たんの吸引と経管栄養の実施が認められている。
一方、昨年12月に厚労省の「医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が取りまとめた「中間的な議論の整理」では、看護師や薬剤師、介護人材が取り組める業務範囲の拡大を推進する方針などが示された。
これを踏まえ厚労省は、同委員会に、介護福祉士が取り組む医療的ケアの範囲の拡大を重要な検討事項とする方向性を改めて提示した。しかし、ほとんどの委員は、医療的ケアの研修を受けたくても受けられない人が多いことや、小規模事業所の関係者の中には、介護福祉士が医療的ケアをすること自体に否定的な人も少なくないなどの理由から、拙速な医療的ケアの範囲拡大に反対。範囲拡大を検討する前に、医療的ケアの実態を詳細に把握すべきとの意見も相次いだ。
委員会終了後、厚労省の担当者は記者団に対し、たんの吸引や経管栄養の実施状況に加え、医療的ケアを実施するための研修の状況も含め、実態把握に乗り出す方針を示した。

【キャリアブレイン】



口腔ケアはどうなるのでしょうか。
by kura0412 | 2017-02-08 09:54 | 介護 | Comments(0)

『介護福祉士ピンチ…養成校入学、定員の5割切る』

介護福祉士ピンチ…養成校入学、定員の5割切る

介護職場で中核的な役割を担う「介護福祉士」を養成する全国の大学や専門学校などで2016年度、定員に対する入学者の割合が約46%だったことがわかった。
定員割れは、データのある06年度以降11年連続で、50%を割り込んだのは2度目。定員枠自体が減少傾向にあるなかでの入学者割合の低下には、重労働の割に賃金が低い処遇が影響しているとみられる。
調査は公益社団法人「日本介護福祉士養成施設協会」(東京)が毎年度、厚生労働相が指定する全ての介護福祉士養成施設に実施している。16年度の定員枠が約1万6700人(377校)だったのに対し、入学者数は06年度以降最低の約7700人だった。
定員数や入学者数は減少傾向が続いている。06年度は定員が約2万6800人(409校)、入学者数が約1万9200人だった。これと比べ、16年度は定員で約1万100人、入学者で約1万1500人少ない。

【読売新聞】
by kura0412 | 2017-01-30 14:48 | 介護 | Comments(0)

『混合介護、東京・豊島区で解禁へ』

混合介護、東京・豊島区で解禁へ
家族向けサービスも一体提供

介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」が2017年度中にも東京都豊島区で解禁される見通しとなった。地域限定で規制緩和する国家戦略特区の制度を活用し、豊島区が月内にも事業計画をまとめ、国に提案する。実現すれば全国で初めてとなる。介護と一体的に多様な業務を認め、職員の賃金や生産性の引き上げにつなげたい考えだ。

介護保険のサービスは、原則1割の負担で利用できるが、保険外のサービスとは同時・一体的に提供できない。混合介護は、介護が必要な利用者本人だけでなく、その家族向けにも調理や炊事・洗濯などを事業者が同時に提供できる仕組みだ。
簡単な庭掃除や草むしりなども訪問介護の時に一緒に提供できる。家族はいつも利用する顔見知りの事業者に別のサービスも頼めるため、事業者の収入の機会が増える。介護職員の平均給与は全産業平均より低く、事業者の経営や職員の待遇の改善が課題だった。
豊島区は近く有識者会議を設置し、事業者が満たす要件などを詰める。政府も国家戦略特区ワーキンググループと厚生労働省が解禁に向け協議に入る。保険と保険外のサービスを「明確に区分すべきだ」とする厚労省見解を見直す方向だ。
東京都の小池百合子知事は昨年、混合介護の推進を表明した。都が保険制度の運営主体である市区町村と協議を始め、知事が国会議員時代に地盤だった豊島区が最初に手を挙げた形だ。他の自治体も水面下で関心を示しており、豊島区の事例を参考に追随しそうだ。
介護を手掛ける民間事業者や社会福祉法人の期待も強い。最大手のニチイ学館は混合介護を「成長機会」とにらむ。SOMPOホールディングスやベネッセスタイルケア(東京・新宿)など他の大手からも解禁へ準備する企業が出てきそうだ。
一方、混合介護が解禁されると事業者が保険外の高額なサービスを優先し、保険内の介護を十分に提供しない懸念もある。悪意のある事業者が不当に高いサービスを提供したり、高齢者が過度に介護サービスに依存して自立支援を妨げたりする、との指摘もある。
政府は利用者保護のため一定の規制を設け、基準を満たさない事業者に混合介護を認めない方針。豊島区の混合介護では、事業者に「保険内サービスを単体で一定割合以上こなす」との要件を課す案が浮上している。

【日経新聞】
by kura0412 | 2017-01-16 09:29 | 介護 | Comments(0)

『「医療のことに口出しするな」怒られたケアマネ』

「医療のことに口出しするな」怒られたケアマネ

「医療のことに口を出すな!」「家族に対して余計なことを言うな!」――。これらは、ケアマネジャーが開業医の先生方からよく浴びせられる言葉です。

在宅介護におけるケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護保険制度の利用者が住み慣れた住まいで継続した日常生活を送るために必要なフォーマルサービス(介護保険サービス)とインフォーマルサービス(介護保険外サービス)を組み合わせてケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、各サービスの日時の調整やマネジメントまで行う役割を担っています。ケアマネジャーが仕事を行う上で苦労するのが、医療機関との連携。特に在宅医療を担う開業医の先生は、多くのケアマネジャーにとって敷居が高すぎる存在のようで、連携するにも数々の困難があるようです。

「お世話になっている先生にそのようなことは言えない」
先日、こんな事例がありました。褥瘡が発生している要介護5の利用者Aさんは、介護保険サービスとして訪問看護、訪問介護、訪問入浴などを利用していました。地域の診療所の主治医による訪問診療も月2回程度ありました。
ケアマネジャーのBさんがAさんの担当になって約2か月たった頃、訪問看護師からAさんの褥瘡の状態について相談がありました。「褥瘡の状態を主治医に診てもらっているがどんどん悪化している。主治医は皮膚科専門ではないので、『一度皮膚科の往診医に診てもらった方がよいのではないか』と家族に提案しているが、家族が『お世話になっている先生に対してそのような話は申し訳なくてできない』と拒否されている」とのことでした。
確かに、Aさんの主治医はとてもプライドが高そうな雰囲気で、普段の診察時に、Aさんの家族からも主治医に聞きたいことが聞けていない状況でした。「Aさん本人のことを思うとすぐにでも皮膚科の専門医に診てもらいたい……」。ケアマネジャーのBさんや訪問看護師がそう思っていても、家族の了承が取れなければ動き出すこともできません。
その後、Aさんは家族のレスパイト目的で介護施設のショートステイを15日間利用することになりました。Bさんと訪問看護師は、これはチャンスとばかりに、ショートステイを利用する間、施設に併設されたクリニックに褥瘡の状態も診察してもらえるよう、家族の了承を取った上で依頼。併設クリニックの医師と、施設の看護師がしっかりした褥瘡治療とケアを行ってくれたおかげで、自宅に戻ってくる頃にはAさんの褥瘡は回復傾向となっていました。
ところが、在宅生活に戻ると、見る見るうちに褥瘡の状態は悪化。このままではAさんに申し訳ないと思い、Bさんがついに勇気を出して主治医に「褥瘡の状態が悪くなっているので皮膚科の専門医に診察を依頼するのはどうでしょうか」と提案します。
すると主治医は、「医療のことに口を出すな!」「家族に対して余計なことを言うな!」とBさんに激怒しました。しまいには、主治医から家族に対して「今の担当ケアマネジャーを変更しなさい!」と指示して、家族はやむなく了承。Bさんは担当ケアマネジャーを外されることになりました。家族は、何も言えず主治医の言う通りにするしかなく、訪問看護師も申し訳なさそうにしていたようです。

医師に対する恐怖心が強いケアマネ
ここまで極端なケースではなくとも、冒頭のように医師から心ない言葉を投げかけられた経験を持つケアマネジャーは少なくなく、彼らは医師との関係に気を揉んでいます。利用者のことをどのように主治医に相談したらよいか悩み、結局主治医に言い出せないまま、結果的に利用者が不利益を被ってしまうケースは少なくありません。
もちろん、在宅医療を手がけられている先生方の多くはチームでの医療介護サービスの提供を大切にしておられますし、まだまだケアマネジャーの力量に問題があるのも事実です。しかし、特に介護職種からケアマネジャーになった方の場合、元々医師に対する敷居は非常に高く、医師に対して必要以上の遠慮や恐怖心もあるようです。そんな中、事例のようなことが一度でもあると、医師への恐怖心が倍増してしまうのです。
在宅医療を手掛けられる先生方には、ケアマネジャーなどの職種がこういった心理状態にあることを知っていただければありがたいと思っています。
今後、高齢者が住み慣れた地域で在宅生活を継続できるよう支援するためには、医師をはじめとした医療職種と介護職種、そしてケアマネジャーが何でも情報交換できるフラットな関係を築き、協働で支援していくことが欠かせません。それぞれの専門職が互いに笑顔で相談できる関係こそが、患者や利用者の笑顔につながるのではないかと思うのです。

【日経メディカル・樋口 昌克】



歯科医師も気をつけなければいけませんし、逆に医師に対しても同じようなケースもあります。
by kura0412 | 2017-01-14 09:58 | 介護 | Comments(0)

『なぜ、人手不足なのに介護士の給料は上がらないのか』

なぜ、人手不足なのに介護士の給料は上がらないのか

介護職員の賃金は全産業の平均より低い
介護職は人材難が叫ばれて久しいが、その理由の一つに、労働内容に給料が見合わないことが挙げられる。
厚生労働省は2015年度の介護職員の賃金調査結果を発表した。それによると、平均月給は28.7万円と前年度実績より1.3万円上がった。月1.2万円分の介護報酬の積み増しもあり、深刻な人手不足を受けて賃上げに迫られた施設が多かったという。それでも全産業の平均より低い。
また、介護施設内の8職種ごとに月給を見ると、介護職員は下から2番目。看護師(37.5万円)や生活相談員(32.1万円)などに遠く及ばない。厚労省の賃金構造基本統計調査でも介護職員の平均月給(賞与除く)は23万円で全産業平均より10万円低い。
それにしても介護士は圧倒的に足りないのに、どうして給料が上がらないのか。
「厳しい財政制約を受けており、介護報酬の水準が低いから」という説が有力だ。しかし、同じく不足する麻酔科医の派遣給与は国が定めた診療報酬に関係なく“時価”。介護職員だけが低い理由はない。そう考えると、介護スタッフは専門職としての地位がいまだ確立していないのが、低賃金の原因かもしれない。
事実、女性のホームヘルパーや福祉施設介護員の年齢別賃金を見ても、年功に関係なくほぼ一定だ。年功序列賃金体系の日本にあって、長く勤めても給料が上がらないのでは人生設計がままならない。
それを意識してか、厚労省も介護職員の資格制度を見直すという。
現在、国家資格の「介護福祉士」や、初めて介護の仕事に就く人向けの「介護職員初任者研修」といった資格がある。見直しの方向は、専門性が高い順に「介護福祉士」「研修等を修了し一定の水準にある者」「基本的な知識・技能を有する者」と整理し、資質の向上に配慮しつつ、裾野を拡大する考えだ。

ポイントはこの制度改正が、介護士の給料にどんな影響を与えるかだ。
介護業界は他職種に比べ賃金が低めであることなどから、若い世代の定着率が低い。そのため、高齢者や時間に余裕のある主婦が手軽に資格を取って介護の仕事に就きやすいようにして、人手不足を補う狙いがあるというが、それはかえって逆効果ではないか。ハードルを下げすぎると介護スタッフの平均賃金がむしろ引き下がるからだ。
また、これとは別に政府は、介護福祉士の資格を得た外国人が日本にとどまって働けるよう在留資格を与える法改正を検討中だが、これも言葉のハンディが大きい日本の介護市場が外国人にとって魅力的かどうかだ。問題文にルビをふったとはいえ、難解な国家試験も待ち受ける。
ちなみに日本が手本にしたドイツの介護保険制度では、家族介護にも一定の手当が支払われる。さらに専門の介護士の給与も地域差を反映してもう少し柔軟な価格制度になっている。
これに対して、わが国の介護報酬は最大でも20%の上乗せしかなく、きめ細かに対応していない。たとえば現行の「地域別最低賃金」を見ると、最高額の東京都は907円で最低額の鳥取県・高知県・宮崎県・沖縄県の693円と比較すると、実に約1.31倍も差が生じている。そのため、特に大都市圏では他の産業と競争できず、人材確保が困難になり、離職率を高める要因にもなっている。
これを抜本的に是正するためには、介護報酬算定の基礎を「地域別最低賃金」に改正し、早期に環境改善を図る必要がある。
さらに民間の資金を活かす改革も必要だ。現に個人保険の保有契約高は857兆円にのぼる。また、国民の金融資産は1700兆円を超え、そのうちの6割は60歳以上が保有している。国は貧しいが、一部の高齢者はお金持ちだ。

【川崎孝一・PRESIDENT ONLINE】
by kura0412 | 2016-11-15 09:22 | 介護 | Comments(0)

『介護を成長産業にする「混合介護」5つの疑問を解く』

介護を成長産業にする「混合介護」5つの疑問を解く

昨年末に本欄に「介護離職を減らすには介護サービス料金の自由化を」を寄稿したが、それ以降、これに関する公正取引委員会の報告書も出たこともあり「混合介護」という新しい用語が新聞等を賑わせている。これは旧くから規制改革の大きなテーマであった医療の「混合診療」の介護サービス版であり、政府の介護保険給付と自己負担による保険外サービスとを自由に組み合わせることである。

混合診療とは、例えば虫歯の治療の際に、歯科医から「保険だけにするか私費も使うか」と聞かれる場合がある。これは虫歯を抜いた後に、医療保険で提供される金属の被せ物の代わりに自然の歯と見分けのつかない良い材質を使えば、患者がその差額の費用を支払うことで選択肢が広がる仕組みである。
ただし、これは医療保険では例外的な扱いで、すべての費用を公的保険で賄うか、あるいはすべて自費かのいずれかしか認められない。これが混合診療禁止の原則である。

2000年に設立された介護保険では、もう少し柔軟な仕組みとなっており、例えば週3回認められたホームヘルパーを自費で週5回に増やしたり、自費で追加的なサービスを購入することができる。これをもって厚労省は「混合介護はすでに導入されている」としている。
しかし、同じ週3回のホームヘルパーの価格を、その質に応じて介護保険から支給される給付単価よりも高く設定することは容認されていない。介護保険の下では、利用者に対して「サービス量」の選択肢は認めるが、「サービスの質と価格」の選択肢については認めない統制価格の論理が残されているのである。
もっとも介護保険対象のサービスには、ホームヘルパー以外にも、個人の技量の差の大きなものがあり、例えばリハビリの指導はその典型例である。サービスの質に差が歴然とある以上、質の高いサービスを提供できる労働者にはそれに見合った報酬が必要であり、それが平均的な質を高めるインセンティブを促すことになる。そもそも、医療保険と異なり、介護保険は当初から企業の全面的な参入を認めてきたが、これは事業者間の多様な競争を通じて、介護サービスの量的拡大と同時に、質的向上を目的としたためである。
急速に進展する高齢化社会で、介護サービスが必要な後期高齢者は増える一方である。他方で、低成長の下で介護保険財政は厳しく、十分な数の介護労働者を確保するための介護報酬の大幅な引き上げは困難である。しかし、これを民間の視点で見れば、高齢者の増加で有望なシルバー市場が開けている。政府が基礎的な介護サービスを確実に保障するとともに、民間の創意工夫で多様な上乗せサービスが提供されれば、介護は成長産業となる可能性を秘めている。 

「混合介護」への疑問点
すでに「介護事業を飛躍的に伸ばす、公取委の画期的提言」で福祉ジャーナリストの浅川澄一氏が解説されたように、公正取引委員会が介護分野での競争を抑制する規制等についての研究会を行い、それに基づいた報告書を公表した。この研究会には筆者も参加したが、そこで鈴木亘・学習院大学教授と共同で、混合介護が実現した場合の問題点についても検討している。

第1に、介護サービス価格が自由化されれば、それが高止まりして低所得層は十分なサービスを購入できないのではないかという懸念である。また、多くの事業者が上乗せ料金を得られる高付加価値サービスに特化することで、利用者にとって本来の介護報酬で受けられるサービス供給が制限されるのではないかという疑問もある。
こうした疑問は、暗黙の内に「供給量が一定」という世界を前提としている。しかし、サービス価格を低い水準に統制することが、民間事業者の供給増を抑制し、利用者の長い待ち行列を引き起こす基本的な要因となる。市場経済の最大のメリットは、価格が上がることで供給が増えるメカニズムにある。介護サービス事業には参入規制はなく、小規模の事業者でも開業は容易である。多様な事業者間のすみ分けで、介護保険給付を前提とした通常の介護サービスを提供する事業者が不足するような状況は考え難い。
もっとも、過疎地や離島等で、十分な数の事業者がいない場合には、例外的に何らかの公的な介入が必要な場合もある。例えば、地域の介護サービス事業者に、売上高の一定比率を介護報酬だけで利用できるサービスの供給を義務付けることも考えられる。

第2に、介護保険の利用者の間でサービスの質に差が生じることは格差の拡大ではないかという批判がある。これは伝統的な低所得層を対象とした福祉の専門家の間で根強い考え方である。
しかし、高齢者層の所得格差は年齢層のうちでもっとも大きく、豊かな高齢者は、すでに市場価格で質の高い保険外サービスを利用可能である。混合介護のメリットを受けるのは中所得層であり、介護報酬との差額分だけを負担することで良質の介護サービスを購入できるようになる。また、混合介護の導入で介護サービス事業者の採算が改善すれば、より多くの事業者が参入し、競争が促進されることから、結果的に介護報酬のみでのサービスの利用者にとってもメリットとなる。

介護サービスの質を誰が判断するか
第3に、介護サービスの質を公的に定める基準を作ることは容易ではないという行政側の反対がある。また、現行制度でも、良質のサービスの事業所には行政が定めた改善加算制度があり、それで十分ではないかという。確かに、医療のように患者が医薬品等の効能を判断できない場合には一定の配慮が必要となる。
しかし、日常生活の延長である介護サービスについては、個々の利用者の主観的な判断に委ねればよいのではないか。行政が定めた事業者への報酬加算制度だけでなく、消費者が選択する多様なサービスの提供を促す仕組みが必要とされる。例えば、質の高いサービスを提供するホームヘルパーを利用者が指名して追加料金を支払えば、ヘルパーの受け取る所得が増えることで人材の確保が容易となる。また優れたヘルパーを多く抱える事業者が事業を拡大することで、業界の水準を引き上げることにも貢献する。こうした考え方は、現に介護保険設立時の厚生省の研究会でも議論されたにもかかわらず、中途で立ち消えになったのは残念である。

第4に、混合介護で保険外サービスが増えるのはともかく、それで介護保険への需要が誘発され、保険財政が悪化しないかという心配である。
これは混合診療への反対論と共通したものだが、費用が青天井の医療保険と比べて、介護保険では要介護認定にもとづき利用者が使える介護報酬に上限が定められていることが大きな違いである。介護保険財政が厳しくなるなかで、公的保険はより重度の要介護者に重点を置き、軽度の要介護者は市場サービスを活用する、公私の役割分担が求められよう。

最後に、認知症等で判断力に乏しい高齢者への対応である。
これについては、利用者保護のため、事業者からの上乗せ料金の額や利用の頻度についての情報開示の義務付けを事業者に求める必要がある。また、介護保険と組み合わされる保険外サービスについては、ケアマネージャーへの報告義務を課すことで、過大なサービス購入等のチェックは可能である。一部に判断能力の乏しい高齢者がいることを理由に、高齢者全体の消費行動を規制することは、行政の越権行為といえる。

介護保険本来の精神は市場の活用
2000年に設立された介護保険制度は利用者が介護サービスを購入できる独自の財源を確保し、それを供給面から支える福祉の基礎構造改革と合わせた大改革であった。それ以前の高齢者福祉は、現在の児童福祉と同様に行政が利用者の必要度を認定し、それに見合った供給を措置する行政処分の制度であった。これは高齢者介護が基本的に家族の責任であり、それから漏れた一部の高齢者に対して行政が責任をもつ福祉という考え方である。
しかし、急速に進む人口の高齢化に、介護を必要とする高齢者を家族や社会福祉法人だけで対応することはできない。このため民間企業を主体とした幅広い事業者が、市場競争のなかで多様なサービスを提供することで、活力ある高齢化社会を築くことが、本来の介護保険の精神であった。それが次第に形骸化し、細部における規制の強化が進んでいる。
例えば、すでに認められている介護保険と組み合わせる保険外サービスの際に、利用者に誤解を生じさせないようにホームヘルパーに違うエプロンをつけさせるというような瑣末な自治体のローカルルールは、介護事業者に余計な負担を課し、事業の抑制要因となる。

介護保険は、あくまでも利用者が基礎的な介護サービスを購入できる財源を保障するものである。そこで定められた介護報酬単価を、行政が介護サービス市場を統制する公定価格としている現状は、旧来の画一的な福祉の発想から抜け出せない政治や行政の体質にもとづいている。
高齢化先進国の日本が、それに対応した効率的な介護サービスのビジネスモデルを構築すれば、急速な高齢化が進む中国や他の東アジア諸国にも輸出可能である。混合介護の導入はそのための第一歩であり、市場の活力を活かした成長戦略であるアベノミクスの大きな柱となる規制改革のひとつといえる。

【DAIAMOND ONLINE:八代尚宏】
by kura0412 | 2016-10-20 08:49 | 介護 | Comments(0)

『介護にAI 最適プランを自動作成』

セントケア、介護にAI 最適プランを自動作成

介護大手のセントケア・ホールディングは介護現場で人工知能(AI)を導入する。
技術を持つ米ベンチャー企業と組み、要介護者の体調や症状に合った介護サービス計画を自動で作成できるシステムを開発。質の高い計画をこれまでの半分の時間でできるようにする。生産性を高め深刻な人手不足を緩和するとともに、要介護者に最適なプランを提案する体制を整える。

介護保険制度では、要介護者の状況にあわせケアマネジャーが介護サービス計画(ケアプラン)を作成している。症状や同居家族の状況などを調べたうえで、決められた利用限度額に収まるように訪問介護やデイサービスなどを組み合わせる。
ケアマネジャーは1人で30~40人程度を担当するのが一般的。ケアプランをつくる時間だけで月40時間と、労働時間の約2割に相当することもあるという。加えて、ケアマネジャーによってプランの質にばらつきが出てしまう課題もあった。
セントケアは米シリコンバレーのアクティビティ・レコグニションが持つAIを利用。過去に介護サービスを受けた1000人以上の体調などを約400項目にまとめるとともに、実際に作成したプランをはじめとするデータをAIに学習させる。そのうえで要介護者の優先すべきサービスを決めながら、最適なプランをつくり上げる。
ケアマネジャーの個人差が少なくなるとともに、プラン策定の時間は半減できるとしている。空いた時間で高齢者との面談を増やしてもらうなど、サービスの質向上につなげる考えだ。来年1月から首都圏を含む複数の自治体で実証研究を始め、AIがつくったプランの質を検証。数年内の事業化を目指す。
労働集約型でかつ体力が求められることもあり、介護職場は慢性的な人材不足になっている。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、介護サービス職(パート含む)の有効求人倍率は8月時点で3.14倍。全体平均(1.22倍)を大きく上回っている。
このため、事業者はIT(情報技術)を活用し、業務の効率化などを進めている。オリックス・リビング(東京・港)は有料老人ホームにセンサーを設置し、入居者が起き上がった場合に職員に配布したタブレットに警告を送るシステムを導入。メディカル・ケア・サービス(さいたま市)は12月にも、グループホームで入居者が眠っているかを確認できるセンサーを設置する。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-10-08 10:08 | 介護 | Comments(0)

『混合介護の解禁検討 規制改革会議』

混合介護の解禁検討 規制改革会議、4部会体制に
転職しやすい環境整備も

政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)は「農業」「人材」「医療・介護・保育」「投資等」を重点分野とし、それぞれの作業部会を設ける方針だ。介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」の解禁を検討するほか、転職しやすい環境づくりにも取り組む。地域限定で規制緩和する「国家戦略特区」の委員が投資部会に入り、特区との連携を深めて規制改革につなげる狙いだ。

政府は7月末に設置期限が切れた前身の規制改革会議を衣替えし、規制改革推進会議を新たに設置した。すでに初会合を開き、6日の第2回会合で3つの作業部会の設置と座長人事などを決める方針だ。
各部会は、働き方改革を担う「人材」の座長に安念潤司・中央大大学院教授、「医療・介護・保育」に弁護士の林いづみ氏、「投資等」に原英史・政策工房社長をあてる。来年夏に答申をまとめる方針だ。
混合介護については、健全な競争を促そうと公正取引委員会が規制緩和の必要性を主張している。いまの介護保険制度では、保険を使ったサービス時間中に保険外のサービスの提供はできない。実現すれば、介護職員が要介護の人と、その家族の食事を一緒に作れるようになるなど、介護市場で新しいニーズの掘り起こしにつながる可能性がある。

「人材」部会では雇用の流動化を促すため「転職しても不利にならない仕組みづくり」を目標に掲げた。具体的には、職業紹介などの人材サービス会社が事業展開しやすい規制のあり方などを検討する。
「農業」部会(座長・金丸恭文フューチャー会長兼社長)は9月13日に先行して始動。バターや牛乳の原料となる生乳の流通改革に関し、11月末までに具体的な制度案をまとめる。肥料やトラクターなど農業資材の価格引き下げに向けた具体策は「未来投資会議」と合同で検討しており、10月中にも提言をまとめる方針だ。
一方、「投資等」部会の座長に就く原氏は、国家戦略特区の作業部会委員も併任する。一般住宅に旅行者らを有料で泊める「民泊」やロボット関連など「特区で取り組んできた規制改革の全国展開が進む」(経済官庁幹部)との見方がある。同部会の委員には八代尚宏・昭和女子大特命教授が就任。八代氏は9月12日の規制改革推進会議の初会合で、住宅の容積率を引き上げたり、日照権を見直したりして住宅投資を喚起するよう主張した。
業界団体などの抵抗に遭いやすい農業や雇用分野などに比べ「投資部会は比較的手間がかからない案件が多い」(経済官庁幹部)。長く構造改革に携わってきた2人を配置し、全国レベルの規制改革の取り組みを加速する狙いだ。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-10-03 16:44 | 介護 | Comments(0)

『介護予防、地域の力で ・「要支援」に新制度』

介護予防、地域の力で
「要支援」に新制度 NPOなど担い手

公的介護保険で「要支援」の人が対象の、介護予防のためのサービスが大きく変わろうとしている。これまで全国一律に提供されてきたが、2017年4月までに市区町村が取り組む「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」に移る。保険財政が厳しくなるなか、地域のNPOや企業、ボランティアなどの力を活用する狙い。だが、地域によっては地縁が薄く難しいことも。高齢化が深刻になる東京都市部の現状を探った。

東京・世田谷の東京聖十字教会ホールには毎週金曜日になると、近隣の高齢者が10人ほど集まり、4時間、食事や体操、おしゃべりを楽しむ。20分歩いてやってくるという女性(88)は「毎週楽しみ。ルンルン気分です」と話す。「ここに来ると癒やされる」と打ち明ける男性(86)も。
世田谷区が4月に始めた住民主体型の「地域デイサービス」の一つだ。要介護者が主な利用者の通常の「通所介護(デイ)サービス」と異なり、今はまだ介護は必要のない人が自発的に参加している。
同区でケアマネジャーをしていた加納美津子さん(66)が、ボランティアによる高齢者の居場所づくりにも補助金が出ると知り区に申し出て5月に開始。1回9000円の補助金を運営経費にあてる。「数人のボランティアが協力してくれているが、無償では活動できなかった」という。
世田谷区は地域活動が盛んで、区民が自主的に集まる場所が約600ある。地域での支え合い意識が比較的高く「元気な高齢者が、心身が衰え始めた高齢者を支える形ができつつある」(同区の河島貴子介護予防・地域支援課係長)という。そんな世田谷でも区内27地域のうち、地域デイサービスがあるのは11地域にとどまる。「各地域に3つ程度はほしいが、担い手が集まらない」とこぼす。

同区は訪問介護の分野で、シルバー人材センターや社会福祉協議会に登録した住民が、高齢者の買い物や掃除、洗濯、調理などを手伝う「支えあいサービス事業」も4月に開始。利用者の自己負担は1回200円(原則30分以内)だ。
総合事業では、国の介護保険で提供していた要支援者向けの訪問介護とデイサービスが自治体の事業に切り替わる。東京全区が16年4月までに切り替えた。全国一律サービスから、自治体がニーズに合わせて行う。多くの区でデイサービスは時間短縮や送迎を無くすなどで経費を節減。訪問介護は従来の要支援者ではほとんど利用が無かったものを対象外とした。

こうしたサービス基準の見直しだけでなく、住民ボランティアや地域のNPOを事業の担い手にして「互助」の仕組みを作り上げようというのが国の狙いだ。
もともと祭礼などで地域の結束が強いか、自治体が普段から積極的に地域コミュニティーを活用している地域は互助の仕組みがうまく回り始めている。しかし、東京の都心部の区では「ボランティアやNPOが集まらない。住民主体は理想的な形だが安定感に欠ける」(千代田区)と訴える。
現状について、淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授は「うまく住民支援の仕組みをつくる自治体もあるとは思うが、半数以上の自治体は何も下地がなく戸惑っている。容易ではないだろう」と指摘。「福祉は平等に提供するもので、地方分権では内容に差が生じやすい」という。
多くの区が、自治体の事業に切り替えた後に、担い手不足に直面するなか、練馬区は人材を育成する事業「高齢者支え合いサポーター」に力を入れる。研修を受けてもらった人を、高齢者の居場所づくりや生活支援サービスを担うNPOなどに紹介する。NPOやボランティアが活躍する場として「街かどケアカフェ」と呼ぶ拠点も区の出張所内に開いた。
住民にとって質・量ともに納得のいく介護予防サービスの提供と費用削減が両立できるのか。成否は自治体の知恵と経営能力にかかっている。

■まず互助意識高めて
高齢者が自立して暮らすには、生活実態に応じた新サービスの掘り起こしと提供体制が不可欠。厚生労働省は、市区町村が地域の高齢者の困り事や要望を調べて対応策を考える「協議体」を市区町村や中学校区に設けるよう求めている。
だが他区に先駆けた東京都の品川区でさえ「組織はできたが本格稼働はまだ。住民参加型は時間がかかる」(高齢者地域支援課)。名ばかりにしないために「まずは地域でフォーラムを開き、高齢者や住民に助け合う必要性を分かってもらう地道な活動が必要」とさわやか福祉財団(東京・港)の堀田力会長は話す。
江戸川区は区内3カ所に「なごみの家」と呼ぶ拠点をつくり、生活支援コーディネーターと呼ぶ人材を置いた。高齢者の家を訪ね困り事や要望を聞く。「スーパーが閉店し不便になったなどの声が多い」とその一人、小嶋亮平さん。生の声を基に小回りの利く支援サービスを提供するなど、迅速な対応が求められる。

【日経新聞】




オーラルフレイルとを絡ませればいくらでもこの分野に歯科が入る込むチャンスはると思うのですが。
by kura0412 | 2016-09-29 17:20 | 介護 | Comments(0)

『高齢者の10人に1人が低栄養を自覚』

高齢者の10人に1人が低栄養を自覚―民間調査

高齢者の10人に1人が低栄養を自覚していることが、生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研の調査レポートでわかった。

エネルギー量やたんぱく質などの栄養素が不足する「低栄養」は、高齢者の介護リスクを高める要因のひとつになると考えられている。調査は、70歳以上の男女300名と、高齢者と同居し、食事を提供している40~60代女性300名を対象に行った。
70歳以上の高齢者に「低栄養」を知っているかを訊ねたところ、21%が「知っている」と回答した。次いで、「70歳を過ぎてから、食事の量や内容に変化はあったか」との質問には、60%が「あった」と回答し、具体的には、「食事の量が減った」(76%)、「野菜を中心に食べるようになった」(49%)、「肉をあまり食べなくなった」(25%)と続き、年齢とともに食欲や食事内容が変化する高齢者が少なくないことがわかった。
高齢者の「粗食」は、エネルギー量やたんぱく質の不足につながる場合もあるが、44%が「食事において粗食を心がけている」と回答。低栄養の説明をした上で、自分が当てはまると思うかを訊ねたところ、11%が「そう思う」と答えた。
高齢者に食事を提供している40~60代女性を対象とした調査では、71%が「同居する高齢者の食事メニューに気をつかっている」と回答し、「高齢者の食事は、介護や寝たきりなどのリスクにかかわると思うか」という質問でも、79%が「そう思う」と答えた。
一方で、低栄養という症状を知っている人は37%にとどまり、6割以上の家族は低栄養について理解が及んでいないことがわかった。

レポートには、調査結果を踏まえ、医師と管理栄養士によるアドバイスを掲載。医師からは、高齢者はひとりで買い物や食事の用意ができないなど生活能力の低下や病気、薬の副作用によっても低栄養に陥るので、改善のためには、「なぜ食事がすすまないのか」「なぜ栄養状態が悪いのか」といった要因を具体的に抽出する必要性が指摘された。
また、管理栄養士からのアドバイスでは、低栄養の予防や改善には、さまざまな食品を食べるように心がけ、食事量が少なくなっている場合は、食べたい時に少しずつ分けて食べる、補食で食べるなど、食事の時間にとらわれないことが大切と述べられている。

◎トレンド総研 レポート
http://www.trendsoken.com/report/health/2412/

【ケアマネジメントオンライン】




歯科医師がこの輪の中に入って先導しなければいけないのですが。
by kura0412 | 2016-09-27 09:43 | 介護 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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