カテゴリ:医療政策全般( 730 )

厚労省版仕分け作業に

能開機構ばど「改革不十分」 厚労省が事業仕分け

厚生労働省は12日、所管法人の組織見直しや無駄削減を検討する「省内事業仕分け」を、公開で実施した。民間出身の6人の仕分け人からは、対象の雇用・能力開発機構と社会保険診療報酬支払基金の改革案を「不十分」とする意見が続いたが、仕分け人の全体としての結論はまとめなかった。

省内仕分けは、来年度予算の概算要求に向け、今後も継続する。政府の行政刷新会議が、独立行政法人などを対象に事業仕分け第2弾を今月下旬に始めるのに先立ち、改革姿勢をアピールする狙いもある。
仕分けでは、既に廃止と事業移管の方針が決まっている能力開発機構が、職業能力開発総合大学校(相模原市)の全敷地を売却するなどの改革案を新たに提示。仕分け人からは「改革案では不十分だ」「大学校は完全民営化するべきだ」などの意見が相次いだ。

病院などが請求する診療報酬の審査、支払い業務を担う支払基金も、人員削減の上積みや不動産売却などを柱とした新たな改革案を示した。基金は過大請求などを発見する効率が悪く、手数料が割高とされており「大幅な人件費削減などいろいろな方法がある」「医師らが請求を審査しており、偏りがある」などの指摘が出た。

【47News】



支払い基金も厚労省独自の仕分けの対象になりました。
他の報道では「レセプト(診療報酬明細書)の電子化が進んでいるのに、事務費がそれほど減っていないなどの指摘が相次ぎ、仕分け人全員が不十分と結論づけた。」ともあります。
注意しなければいけないのが、支払い基金の業務の正否の基準が、あたかも医療側の性悪説をもって、査定率、返還金の数字で論議されることです。
by kura0412 | 2010-04-13 08:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

「評価した」「適正化した」、これは専門用語でしょうか

「評価した」「適正化した」、改定の度に出てくる言葉です。
その点数アップが不十分で1点でも上げれば「評価した」、財源不足の為に減点することが「適正化した」、これが実際です。

しかし、国民はけっしてそのような意味合いで受け取りません。

「評価した」は、不十分な部分をフォローした。「適正化した」は、あたかも点数が高かったものを下げた、いや、これも点数を適正に設定したと捉えます。議会の答弁より独自の専門用語のようです。
by kura0412 | 2010-04-12 16:59 | 医療政策全般 | Comments(0)

組合健保の保険料率が

組合健保、最悪の6600億赤字 10年度見込み

大企業の社員や家族約3千万人が加入する健康保険組合の2010年度予算で、赤字見込み額が前年度に比べ398億円増え、過去最悪の6605億円に上ることが健康保険組合連合会(健保連)の集計で7日、分かった。

健保組合などが財政難の協会けんぽの負担を事実上肩代わりするとの関連法案が現在、国会で審議中。健保連によると、法案が成立すれば、赤字額は7千億円近くに膨れ上がる見通し。
健保連は「不況による保険料収入の落ち込みが大きい。組合財政は11年度以降、危機的状況に陥ることが懸念される」としている。
集計は1462組合のうち回答した約90%の組合データから推計した。09年4月から23組合が解散、回答した組合の4分の1程度が保険料率引き上げに踏み切った。
集計では、平均保険料率は前年度から0・187ポイント上昇するが、保険料収入は1・36%減少し、約90%の組合が赤字となる。

【共同通信】



別の報道によれば保険料率が0.18ポイント上がって7.62%となりました。(協会けんぽは平均で9.34%です。)
by kura0412 | 2010-04-08 10:59 | 医療政策全般 | Comments(0)

結果三分割され

日本医師会長に原中氏初当選 民主党とのパイプ強調

任期満了に伴う日本医師会(日医=会員数16万6千人)の会長選挙が1日午前、東京都内の日本医師会館で行われ、茨城県医師会長の原中勝征氏(69)が初当選した。任期は2年間。政権交代後、初めての会長選だったが、民主党とのパイプを強調した原中氏が他候補を退けた。

日医は政権与党だった自民党と連携して、医療機関の収入となる診療報酬の引き上げなどを迫ってきたが、政権交代後に日医の政治団体が自民党支持を撤回。今回の選挙では、政党との距離感が争点となった。
立候補したのは、原中氏のほか、3選を目指した現職の唐沢祥人氏(67)、京都府医師会長の森洋一氏(62)、京都府医師会所属の金丸昌弘氏(44)。事実上、原中、唐沢、森の3氏による三つどもえの戦いとなった。
自民党との関係強化を進め、「刷新と継続こそ医療再生への力」と掲げた唐沢氏に対し、原中氏は民主党とのパイプから「政策の実行力」を主張。森氏は「政権に左右されない」ことを強調して、中間派の位置づけとなった。
代議員356人による投票の結果、原中氏が131票を獲得した。森氏は118票、唐沢氏は107票だった。

当選を受けて、原中氏は「たいへん重い荷を背負った。国民のための医療をいかに構築していくか、政権政党と一緒になって考えていく」と語った。夏の参院選比例区では、日医出身の西島英利氏が自民党公認で立候補を予定しており、その取り扱いが今後の焦点となる。
原中氏は日大医学部を卒業後、医局勤務などを経て1991年から病院院長を務める。2004年から茨城県医師会長。

【asahi.com】



投票数をみると完全に三分割された結果となりました。
今後、日医内部はどうなるのでyそうか?そして日歯との関係は?
喫緊の課題としては、次期参議院選挙の日医の対応です。
by kura0412 | 2010-04-01 12:54 | 医療政策全般 | Comments(0)

仕分けの対象には?

234万回分、使用期限切れ=余剰ワクチン廃棄へ-新型インフル・厚労省

欧州の製薬会社から輸入した新型インフルエンザワクチンのうち、約30億円分に相当する234万回分が31日、使用期限を迎えた。だぶつく国産ワクチンと合わせた余剰は約1億回分に上るが、今後使用される可能性は乏しい。多くは期限切れとともに廃棄される見通しだ。
厚生労働省は同日、新型インフルエンザ対策の検証を行う会議の初会合を開く。有効性が疑問視された空港での水際対策などに加え、ワクチンの輸入についても議論する。

同省によると、使用期限を迎えたのはノバルティス社(スイス)と購入契約を結んだ2500万回分の一部。同社製ワクチンは使用期限が製造から半年と短く、今夏までに順次期限を迎える。
政府は国産ワクチンの不足を補うため、同社のほかグラクソ・スミスクライン(英、GSK)とも7400万回分の契約を締結した。両社からの輸入費用は計約1126億円に上る。
輸入ワクチンは、当初2回の予定だった接種回数が1回に変更されたほか、国内販売承認が今年1月にずれ込み、出荷時期は既に流行のピークを過ぎていた。接種希望者は見込みを下回り、出荷は3995回分にとどまっている。
同省はGSKと2386万回分の解約で合意したが、ノバルティス製を含む残りの約7500万回分をめぐる交渉は難航。国産ワクチンも3000万回分程度が余っているとみられる。

【時事ドットコム】



これも初めての経験なのでいたしかないということになるのでしょうか?
予防接種で協力した地域の開業医の先生にしてみれば、再診料引き下げと重なって複雑な思いをされている方もおられるかもしれません。
仕分けの対象になるのでしょうか?
by kura0412 | 2010-03-31 11:08 | 医療政策全般 | Comments(0)

民主党政権においても混合診療解禁の議論が

規制改革分科会が初会合=鳩山政権で論議スタート

政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の下に設置された規制・制度改革分科会(会長・大塚耕平内閣府副大臣)は29日、都内で初会合を開き、鳩山政権での規制改革論議を本格的にスタートさせた。6月をめどに各検討テーマについて対処方針を決める予定。各省庁の抵抗が激しい場合は、公開の場で関係者を呼んで議論する「規制仕分け」も検討する。

会合の冒頭あいさつで枝野幸男行政刷新担当相は「これまでの規制改革は、厚い壁に阻まれて緩和されていないところと、逆に緩和だけが進んで弊害が生じた両面があった」と指摘。メンバーに対し、「消費者や利用者の視点を持って、現状の規制を見直してほしい」と求めた。 
 会合では、事務局のたたき台として39の検討テーマが提示された。ワーキンググループを設けた環境、医療、農業の3分野が中心で、環境分野では大規模な太陽光パネルの設置に関する規制緩和など、医療分野では一般医薬品のインターネット販売規制の緩和、農業分野では農協に対する金融庁検査の実施などが盛り込まれた。
今後、テーマを絞ったり、新たなテーマを加えたりした上で、4月中をめどに最終的な検討テーマを選定する。

【時事ドットコム】



ライフイノベーションWGでは、医療、福祉に関わるテーマが13項目示されています。その中の一つに、『保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の原則解禁が含まれています。
そして、その結論が6月メドとされています。歯科界の対応は如何に?
by kura0412 | 2010-03-30 12:06 | 医療政策全般 | Comments(1)

米国もいよいよ国民皆保険へ

米医療改革法案を可決、「国民皆保険」実現へ

米下院は21日夜、オバマ大統領が内政上の最重要懸案に掲げていた医療保険制度改革法案を賛成219、反対212の賛成多数で可決した。大統領が近く署名し成立する。法案は、医療保険への加入義務化をうたっており、先進国で唯一、「国民皆保険」制度がなかった米医療保険システムの歴史的な大変革となる。

法案は、上院が昨年12月に可決したもので、〈1〉国民の保険加入を義務化〈2〉安価な保険提供に向け「保険取引所」を創設〈3〉保険会社が既往症を理由に加入を拒否することを禁止――などが主な内容。この日の下院審議では、同法案に加え、中低所得層への保険料負担軽減策などを盛り込んだ修正案も可決した。修正案が週内にも上院で可決されるのを待って、大統領が署名する。
アジアなど歴訪を延期して法案可決を働きかけてきた大統領は21日深夜、ホワイトハウスで声明を発表し、「これは米国民の勝利、良識の勝利。これこそが改革だ」と述べた。

法案は、最大の焦点だった公的医療保険制度の導入は見送る一方、低所得者層向け公的保険(メディケイド)の対象拡大、中低所得者層への減税などによって国民の大半が保険に加入できる措置を講じた。
米議会予算局の試算では、修正案を含む改革が実現すれば、今後10年間で3200万人が新たに保険に加入し、加入率は現在の83%から95%に上昇する。一方、今後10年間に必要な改革費用は約9400億ドル(約85兆円)に上り、財源には民間の高額保険に加入している世帯への課税や、高齢者向け公的保険(メディケア)支出の削減などを充てる。
米国では政府による医療保険の管理に抵抗が強く、歴代政権が「皆保険」を目指しながら挫折した経緯がある。各種世論調査によると、国民の半数が今回の改革に反対しており、11月の中間選挙に向け国論を二分した論議が続く見込みだ。

【 読売新聞】



アメリカの公的医療保険に対するスタンスの日本との大きな違いを感じます。しかし、そのアメリカもこれで政府が医療保険に大きく係ることとなりました。果たしてどんな形で進むのか興味のあるところです。
日本はその先をいっている公的保険がありながら、それを堅持使用としない勢力があること、これもおかしなことです。この機に今一度、日本で公的皆保険の重要性を再確認できればいいのですが。
by kura0412 | 2010-03-23 08:29 | 医療政策全般 | Comments(1)

医療従事者全てを巻き込んだ議論に

「医療基本法」制定を-日医委員会

日本医師会の今村定臣常任理事は3月17日の定例記者会見で、日医の「医事法関係検討委員会」(委員長=横倉義武・福岡県医師会会長)が取りまとめた唐澤祥人会長への答申を公表した。答申では、医療政策を貫く「医療基本法」を制定する必要性を指摘している。
同委員会は2008年7月に唐澤会長から「患者をめぐる法的諸問題」について諮問され、小委員会3回を含む計13回の会合を重ねて答申を取りまとめた。

答申では、▽「患者」に関する法的考察▽「医療基本法」の検討▽医療基本法制定に向けての課題―などに言及。

まず、患者中心の医療を実現するために「医療提供者」「国・自治体など」「患者・国民」のそれぞれに求められる役割を示した上で、「現状ではそれらの役割を十分果たせているといえない」と指摘。そのために起こる医療提供者と患者間の問題は、「医療政策、立法政策」の問題として対処することも可能だとして、法制度を整備する必要性を強調している。
具体的には、医療法や医師法などの法令を見直して分かりやすい法体系に整備することに加え、各法令の根底に共通して見られる医療の理念や根本原理を明確に打ち出した医療における基本法を作る必要性を指摘した。
また、「患者の権利法」を制定すべきとの議論も根強く存在するとした上で、一方当事者の「権利」のみを規定した法律を制定することは、かえって医師・患者間の信頼関係に悪影響を及ぼすことが懸念されると問題視。双方の権利や義務・責務について基本原則を提示する法の在り方が望ましいとの考えを示した。

医療基本法制定に向けての課題としては、「国民的議論の形成」「医療専門職集団の自律」「医療基本法制定後の法政策と医療政策」「短期的課題と長期的課題」-の4項目を掲げている。
「短期的課題と長期的課題」では、まず喫緊の課題として、どのような医療理念に基づき、どのような医療政策が策定されるべきかについて医療界内部で徹底した議論を重ね、さらに具体的な立法を視野に入れた国民的な議論へ移行すべきとした。また、中長期的な視点では、医師会をはじめとする医療界の自律機能の向上を推進するための検討と、それを実行に移すことが重要と指摘した。
今村常任理事は会見で、「患者と医師の信頼を考えた時に、法的規制がむやみに多過ぎるのではないか」と述べ、医療政策を貫く基本法は、患者と医師の関係を再構築する上で不可欠のものだと指摘。その上で、「もしこれを本当にやるならば、数年にわたる徹底的な議論が必要だと思う」との考えを示した。

【キャリアブレイン】



主体的に日医で考えられる結構ですが、他の医療に従事する人、集団を巻き込んでの議論に発展すること期待します。
by kura0412 | 2010-03-18 11:10 | 医療政策全般 | Comments(0)

IT化は時代の趨勢であり

診療履歴、共通データ網 IT戦略案、全国病院で引き出し

政府のIT戦略本部(本部長・鳩山由紀夫首相)が取りまとめるIT(情報技術)戦略の骨格が16日、分かった。診療履歴に基づいた適切な医療を全国のどこでも受けられるようにするためのデータベースを整備するなど、医療分野でのIT化推進を柱とする。5月に必要な法整備や予算措置を盛り込んだ工程表をつくる予定で、新成長戦略と歩調を合わせて2020年までに完成させる方向だ。

19日の戦略本部会合で(1)国民本位の電子行政の実現(2)地域の絆(きずな)の再生(3)新市場の創出と国際展開――を柱に据えた骨子を示し、4月をメドに決定する。

【NIKKEI NET】



現場の現状を全く無視し強引なレセプトオンライン義務化は撤廃されましたが、医療のIT化促進は時代の趨勢です。
既に日歯の来年度事業計画にもこれが検討課題となっています。社会のもとめと臨床現場の実態との間をどう埋めていくかを、現場サイドに立って歯科界も先手を打たなければなりません。
by kura0412 | 2010-03-17 08:35 | 医療政策全般 | Comments(3)

健保組合引き上げても

企業健保、保険料率上げ 日産やイオン、高齢者医療が重荷

大手企業の健康保険組合で、医療保険の保険料率を引き上げる動きが広がっている。日産自動車やNEC、イオンはそれぞれ、2009年度に続き10年度も料率を引き上げることを決めた。業績低迷で健康保険料のベースとなる給与が伸び悩むなか、高齢者医療への資金負担が増大し、健保財政が悪化しているためだ。全健保組合の平均保険料率は10年度、3年連続の上昇となる可能性が高い。

日産の健康保険組合は3月分から料率を8.02%と従来より0.74ポイント引き上げた。イオン健康保険組合も8.4%から8.8%とした。NECは4月分以降の引き上げを決めており、それぞれ2年連続の料率上げ。大日本印刷など、他の大手企業でも09年度に続き、料率引き上げに動く健保が目立つ。

【NIKKEI NET】



協会けんぽも8.2から9.34%に上がりますが、その組合健保の有意差を隠すかのようにこの数字は記事には付記されていません。健保組合の中では、引き上げても6.1%の所も存在します。
by kura0412 | 2010-03-16 09:16 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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