カテゴリ:医療政策全般( 734 )

中医協での抗議の退席

新年度に入り、今回の改定に関わった人の改定作業に対してのコメントが色々な所で公表されています。
その中で興味を引かれたのが、日医からの3名の中医協委員の推薦を受けないながらも、唯一日医を代表する形で中医協に挑んだ安達委員のコメントでした。
改定全体に対しては「おのれ、財務省め」。
そして病院、診療所の再診料統一で診療所が2点引き下げら69点という案を示された時、抗議のため議場を退席されたとの話でした。

これを聞いた時、総会で抗議の為の途中退席出来ることを知りました。
実は、あの懲罰的な改定で、今なおそれを引きずっている18年度改定の時、何故歯科を代表する委員の先生方(当時は2名)は退席しなかったのかと、当時疑問をもっていました。
確かにあの時の歯科と今回の日医との中医協での背景は全く違います。しかし、あの時も何か態度に示さなければいけなかった場面だったと今でも思っています。
ひょっとしたら、マスコミ、社会から更なる袋叩きにあったかもしれません。しかし、その態度を示さなかったということは、歯科の診療側は改定結果を了承したことを意味します。

恐らく、今回の安達委員の退席したことによって、日医としては2点の引き下げは認めてないと今後も主張してくるはずです。
by kura0412 | 2010-04-17 15:57 | 医療政策全般 | Comments(0)

制度の議論の前に

財政試算示すも「持続性」に不安の声-高齢者医療制度改革会議

厚生労働省は4月14日の「高齢者医療制度改革会議」(座長=岩村正彦・東大大学院法学政治学研究科教授)に、65歳以上の高齢者が国民健康保険(国保)か被用者保険に加入し、高齢者の医療給付費を公費と高齢者の保険料、現役世代の保険料で支える仕組みとした場合の財政影響試算を示した。これに対し委員からは、持続可能な制度にするには将来推計を踏まえた検討が必要との意見や、公費投入の拡充を求める声が相次いだ。

試算は、(A)65歳以上の人が全員国保に加入する(B)65歳以上の被用者保険の被保険者と被扶養者が被用者保険に加入する(C)65歳以上の被用者保険の被保険者が被用者保険に、被扶養者が国保に加入する-のそれぞれの案について、医療給付費に約5割の公費を投入する対象年齢を75歳以上、70歳以上、65歳以上とする場合の9通り。
それによると、公費投入の対象年齢が75歳以上の場合、(A)では協会けんぽと公費の負担がそれぞれ2000億円、9000億円減少する一方、健保組合と共済は共に1000億円、市町村国保は9000億円の負担増となる。(B)では公費負担が9000億円減少するが、協会けんぽと市町村国保がそれぞれ3000億円、6000億円の負担増となる。(C)では公費負担が9000億円減少する一方、健保組合と市町村国保の負担がそれぞれ1000億円、8000億円増加する。

公費投入の対象年齢が65歳以上、70歳以上では、いずれの場合も協会けんぽ、健保組合、共済の負担が減るものの、市町村国保と公費の負担が増加する。
厚労省は、9通りの財政試算のいずれの場合も負担増となる市町村国保に対し、直接支援する負担軽減策が必要としている。

小島茂委員(連合総合政策局長)は、「どういう制度設計をするにしても、公費の負担増を検討しないと医療保険制度全体の維持にはならない」と指摘。また、齊藤正憲委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会長)も、「A-C案いずれにするかとの議論の前に、公費投入を拡大する方向性を委員内で共有してほしい」と主張し、持続性の観点から2025年時点までの財政影響をしっかりと見て検討すべきとした。
小林剛委員(協会けんぽ理事長)は、夏の中間取りまとめに公費の役割の拡大の方向性を盛り込むよう提案。「時間がたつにつれて特定の事業者に負担が偏ることがないよう、将来推計を出していただきたい」などと述べた。
またこの日は、保険料、給付、医療サービスなどの在り方についても委員が議論した。鎌田實委員(諏訪中央病院名誉院長)は、費用負担の議論について「(委員が)必死に資料を出して、自分の所に負担が来ないように論戦を張っている感じがする」と指摘。国民が納得できる医療を提供する必要性を強調し、「せめてOECD(経済協力開発機構)の平均並みぐらいの医療費を掛ければ、かなりいい医療を国民に与えることができると思う。そういう制度設計の下に負担をどうしていくか考えた方がいい」と述べた。
次回会合は5月17日に開かれ、高齢者の医療問題などに見識がある有識者5人からヒアリングを行う。

【CB news】



確かにどんな制度にしようとも公費投入拡大は不可欠です。となると、財言論の問題も当然絡んできます。
果たしてそんな議論が進む中、今後の歯科医療制度全体、方向性の検討が望まれます。
by kura0412 | 2010-04-15 11:43 | 医療政策全般 | Comments(0)

経団連が「長寿立国目ざす」提言

経団連、消費税10%に 長寿立国目指す、同友会 財界成長戦略、アジア重視

日本経団連は13日、「豊かで活力ある国民生活を目指して」と題する成長戦略を正式に発表した。社会保障の安定財源確保に向け、消費税率を2011年度から2%ずつ上げて早期に10%とするよう提言。20年代半ばには最低でも欧米諸国並みの10%台後半にする必要があるとした。
この日は経済同友会も高齢化を見据えた「長寿立国」などを柱とする成長戦略を発表した。両団体とも成長を続けるアジアの活力を取り込むことを提案。政府は6月をめどに成長戦略や中期財政フレームをまとめる予定で、経済界の主張の反映を強く求めていく考えだ。

経団連の成長戦略は、消費税率の引き上げとともに、所得税の各種控除の見直しも提言。低所得者層には生活必需品の消費税定額還付などで負担軽減を図るとしている。一方で企業の国際競争力維持のためとして法人税の実効税率を国際水準の30%に引き下げることを要請している。社会保障・税共通番号の早期導入も求めている。
経団連は政府の成長戦略の基本方針に沿う形で、健康大国、環境・エネルギー大国、アジア経済、観光立国・地域活性化、科学技術立国、雇用・人材の6分野を重視。時限的な補助金や減税の集中活用でエコカーなど環境負荷の少ない先端製品の普及拡大を図るよう求めたほか、アジア各国との医薬品共同開発など医療・介護分野の成長支援も要望した。

拡大が見込まれるアジアでのインフラ整備受注に向け、トップ外交など官民一体となった努力が必要としたほか、政府研究開発投資の対国内総生産(GDP)比1%の確保も求めた。
同友会は、長寿立国に向け、税財政や社会保障の一体的な改革による将来不安の解消を主張。このほか、研究開発投資の選択と集中による日本経済の活性化を求めた。

【共同通信】



この時期だからこそ各分野から提言が必要で、またそお実現も現実化されます。
by kura0412 | 2010-04-15 10:13 | 医療政策全般 | Comments(0)

専門学会が大胆な指針を発表

薄毛・脱毛に何が有効? 男性の脱毛症に初の診療指針

約800万人の男性が悩むといわれる薄毛、脱毛への正しい対処法は――。日本皮膚科学会が男性型脱毛症の診療指針を初めてまとめた。治療薬や育毛成分、植毛など10種類の対処法について、5段階で評価した。近年、科学的根拠が乏しい関連商品やサービスが横行。多発する健康被害や金銭的なトラブルの減少につなげたいという。

指針は、東京医科大の坪井良治教授(皮膚科)を委員長に、計10人の皮膚や毛髪の専門医が作った。育毛剤などのメーカーからも資料提供を受け、国内外の論文などから科学的根拠の有無を調べ、「強く勧められる=A」「勧められる=B」「考慮してもよいが、十分な根拠がない=C1」「根拠がないので勧められない=C2」「行わないよう勧められる=D」に分類した。
Aに判定されたのは、飲み薬のプロペシア(成分名フィナステリド)と、塗り薬のリアップ(成分名ミノキシジル)。プロペシアは女性では、Dとされた。一方、この2剤以外の主な育毛剤、発毛促進剤に使われている成分で、AやBに判定されたものはなく、アデノシンやt―フラバノンなど5成分はC1。血行促進などの作用がある植物の根、セファランチンはC2とされた。成分名は、商品に表示されている。

自分の後頭部の毛組織を脱毛部に移植する自毛植毛はB、化学繊維を用いる人工毛植毛は、感染症や拒絶反応などの報告が多く、Dとされた。
指針では、治療の手順も示した。生え際の後退の程度などから、軽症と診断されればC1群の育毛剤を使うか、リアップとプロペシアを1年使う。効果がない場合は、自毛植毛へ。中等症以上ならば、同様に二つの薬を使い、自毛植毛に進むよう提言する。
指針は17日の日本皮膚科学会で発表する。


C2と判定されたセファランチンが主成分の育毛剤を製造する化研生薬(東京)は「医薬部外品なので論文データが不足しているのは事実だが、動物実験で効果が示されている」という。
Dとされた人工毛植毛を行っている大手業者の社長(57)は「私自身も使っており、30年以上使うリピーターもいる。安全性への配慮に欠けた商品と一緒に評価しないで欲しい」と話している。


■男性型脱毛症 思春期以降、額の生え際が後退し頭頂部が薄くなる。男性ホルモンの一種が、前頭部と頭頂部にだけ、毛の成長を抑えるよう作用するため、毛が細く短く抜けやすくなる。軽度の人も含めると、日本の成人男性の30%にのぼる。民間のシンクタンクによると、国内の育毛・植毛市場は600億円以上。国民生活センターによると、「養毛剤」に関する苦情・相談は2009年度153件。05年度の2.5倍に増えた。

【朝日新聞】



利害関係あるのである意味大胆な発表です。しかしこの発表でその専門学会としての責任を果たし、それと共に学会の権威が社会から認知される結果を生み出します。
ちなみに私はリアップ×5を使用して非常に効果を得ています。(笑)
by kura0412 | 2010-04-14 09:48 | 医療政策全般 | Comments(0)

厚労省版仕分け作業に

能開機構ばど「改革不十分」 厚労省が事業仕分け

厚生労働省は12日、所管法人の組織見直しや無駄削減を検討する「省内事業仕分け」を、公開で実施した。民間出身の6人の仕分け人からは、対象の雇用・能力開発機構と社会保険診療報酬支払基金の改革案を「不十分」とする意見が続いたが、仕分け人の全体としての結論はまとめなかった。

省内仕分けは、来年度予算の概算要求に向け、今後も継続する。政府の行政刷新会議が、独立行政法人などを対象に事業仕分け第2弾を今月下旬に始めるのに先立ち、改革姿勢をアピールする狙いもある。
仕分けでは、既に廃止と事業移管の方針が決まっている能力開発機構が、職業能力開発総合大学校(相模原市)の全敷地を売却するなどの改革案を新たに提示。仕分け人からは「改革案では不十分だ」「大学校は完全民営化するべきだ」などの意見が相次いだ。

病院などが請求する診療報酬の審査、支払い業務を担う支払基金も、人員削減の上積みや不動産売却などを柱とした新たな改革案を示した。基金は過大請求などを発見する効率が悪く、手数料が割高とされており「大幅な人件費削減などいろいろな方法がある」「医師らが請求を審査しており、偏りがある」などの指摘が出た。

【47News】



支払い基金も厚労省独自の仕分けの対象になりました。
他の報道では「レセプト(診療報酬明細書)の電子化が進んでいるのに、事務費がそれほど減っていないなどの指摘が相次ぎ、仕分け人全員が不十分と結論づけた。」ともあります。
注意しなければいけないのが、支払い基金の業務の正否の基準が、あたかも医療側の性悪説をもって、査定率、返還金の数字で論議されることです。
by kura0412 | 2010-04-13 08:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

「評価した」「適正化した」、これは専門用語でしょうか

「評価した」「適正化した」、改定の度に出てくる言葉です。
その点数アップが不十分で1点でも上げれば「評価した」、財源不足の為に減点することが「適正化した」、これが実際です。

しかし、国民はけっしてそのような意味合いで受け取りません。

「評価した」は、不十分な部分をフォローした。「適正化した」は、あたかも点数が高かったものを下げた、いや、これも点数を適正に設定したと捉えます。議会の答弁より独自の専門用語のようです。
by kura0412 | 2010-04-12 16:59 | 医療政策全般 | Comments(0)

組合健保の保険料率が

組合健保、最悪の6600億赤字 10年度見込み

大企業の社員や家族約3千万人が加入する健康保険組合の2010年度予算で、赤字見込み額が前年度に比べ398億円増え、過去最悪の6605億円に上ることが健康保険組合連合会(健保連)の集計で7日、分かった。

健保組合などが財政難の協会けんぽの負担を事実上肩代わりするとの関連法案が現在、国会で審議中。健保連によると、法案が成立すれば、赤字額は7千億円近くに膨れ上がる見通し。
健保連は「不況による保険料収入の落ち込みが大きい。組合財政は11年度以降、危機的状況に陥ることが懸念される」としている。
集計は1462組合のうち回答した約90%の組合データから推計した。09年4月から23組合が解散、回答した組合の4分の1程度が保険料率引き上げに踏み切った。
集計では、平均保険料率は前年度から0・187ポイント上昇するが、保険料収入は1・36%減少し、約90%の組合が赤字となる。

【共同通信】



別の報道によれば保険料率が0.18ポイント上がって7.62%となりました。(協会けんぽは平均で9.34%です。)
by kura0412 | 2010-04-08 10:59 | 医療政策全般 | Comments(0)

結果三分割され

日本医師会長に原中氏初当選 民主党とのパイプ強調

任期満了に伴う日本医師会(日医=会員数16万6千人)の会長選挙が1日午前、東京都内の日本医師会館で行われ、茨城県医師会長の原中勝征氏(69)が初当選した。任期は2年間。政権交代後、初めての会長選だったが、民主党とのパイプを強調した原中氏が他候補を退けた。

日医は政権与党だった自民党と連携して、医療機関の収入となる診療報酬の引き上げなどを迫ってきたが、政権交代後に日医の政治団体が自民党支持を撤回。今回の選挙では、政党との距離感が争点となった。
立候補したのは、原中氏のほか、3選を目指した現職の唐沢祥人氏(67)、京都府医師会長の森洋一氏(62)、京都府医師会所属の金丸昌弘氏(44)。事実上、原中、唐沢、森の3氏による三つどもえの戦いとなった。
自民党との関係強化を進め、「刷新と継続こそ医療再生への力」と掲げた唐沢氏に対し、原中氏は民主党とのパイプから「政策の実行力」を主張。森氏は「政権に左右されない」ことを強調して、中間派の位置づけとなった。
代議員356人による投票の結果、原中氏が131票を獲得した。森氏は118票、唐沢氏は107票だった。

当選を受けて、原中氏は「たいへん重い荷を背負った。国民のための医療をいかに構築していくか、政権政党と一緒になって考えていく」と語った。夏の参院選比例区では、日医出身の西島英利氏が自民党公認で立候補を予定しており、その取り扱いが今後の焦点となる。
原中氏は日大医学部を卒業後、医局勤務などを経て1991年から病院院長を務める。2004年から茨城県医師会長。

【asahi.com】



投票数をみると完全に三分割された結果となりました。
今後、日医内部はどうなるのでyそうか?そして日歯との関係は?
喫緊の課題としては、次期参議院選挙の日医の対応です。
by kura0412 | 2010-04-01 12:54 | 医療政策全般 | Comments(0)

仕分けの対象には?

234万回分、使用期限切れ=余剰ワクチン廃棄へ-新型インフル・厚労省

欧州の製薬会社から輸入した新型インフルエンザワクチンのうち、約30億円分に相当する234万回分が31日、使用期限を迎えた。だぶつく国産ワクチンと合わせた余剰は約1億回分に上るが、今後使用される可能性は乏しい。多くは期限切れとともに廃棄される見通しだ。
厚生労働省は同日、新型インフルエンザ対策の検証を行う会議の初会合を開く。有効性が疑問視された空港での水際対策などに加え、ワクチンの輸入についても議論する。

同省によると、使用期限を迎えたのはノバルティス社(スイス)と購入契約を結んだ2500万回分の一部。同社製ワクチンは使用期限が製造から半年と短く、今夏までに順次期限を迎える。
政府は国産ワクチンの不足を補うため、同社のほかグラクソ・スミスクライン(英、GSK)とも7400万回分の契約を締結した。両社からの輸入費用は計約1126億円に上る。
輸入ワクチンは、当初2回の予定だった接種回数が1回に変更されたほか、国内販売承認が今年1月にずれ込み、出荷時期は既に流行のピークを過ぎていた。接種希望者は見込みを下回り、出荷は3995回分にとどまっている。
同省はGSKと2386万回分の解約で合意したが、ノバルティス製を含む残りの約7500万回分をめぐる交渉は難航。国産ワクチンも3000万回分程度が余っているとみられる。

【時事ドットコム】



これも初めての経験なのでいたしかないということになるのでしょうか?
予防接種で協力した地域の開業医の先生にしてみれば、再診料引き下げと重なって複雑な思いをされている方もおられるかもしれません。
仕分けの対象になるのでしょうか?
by kura0412 | 2010-03-31 11:08 | 医療政策全般 | Comments(0)

民主党政権においても混合診療解禁の議論が

規制改革分科会が初会合=鳩山政権で論議スタート

政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の下に設置された規制・制度改革分科会(会長・大塚耕平内閣府副大臣)は29日、都内で初会合を開き、鳩山政権での規制改革論議を本格的にスタートさせた。6月をめどに各検討テーマについて対処方針を決める予定。各省庁の抵抗が激しい場合は、公開の場で関係者を呼んで議論する「規制仕分け」も検討する。

会合の冒頭あいさつで枝野幸男行政刷新担当相は「これまでの規制改革は、厚い壁に阻まれて緩和されていないところと、逆に緩和だけが進んで弊害が生じた両面があった」と指摘。メンバーに対し、「消費者や利用者の視点を持って、現状の規制を見直してほしい」と求めた。 
 会合では、事務局のたたき台として39の検討テーマが提示された。ワーキンググループを設けた環境、医療、農業の3分野が中心で、環境分野では大規模な太陽光パネルの設置に関する規制緩和など、医療分野では一般医薬品のインターネット販売規制の緩和、農業分野では農協に対する金融庁検査の実施などが盛り込まれた。
今後、テーマを絞ったり、新たなテーマを加えたりした上で、4月中をめどに最終的な検討テーマを選定する。

【時事ドットコム】



ライフイノベーションWGでは、医療、福祉に関わるテーマが13項目示されています。その中の一つに、『保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の原則解禁が含まれています。
そして、その結論が6月メドとされています。歯科界の対応は如何に?
by kura0412 | 2010-03-30 12:06 | 医療政策全般 | Comments(1)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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