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薬局を選ぶ基準

厚生労働省は22日、薬局を利用する患者の後発医薬品(ジェネリック)に対する考えなどを把握するために昨年行った調査の結果を公表した。調査は毎年実施しているが、初めてウェブでも回答を集めた。その結果、薬局を選ぶ理由として医療機関からの近さを挙げる人が7割に上るなど、従来の郵送調査と異なる結果が見られた。

政府は、先発医薬品よりも価格が安いジェネリックの使用を促しており、使用割合(数量ベース)を年央までに「70%以上」まで引き上げるといった目標を掲げている。それを達成するための施策は、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)などで検討しており、厚労省の調査結果は、その材料になる。
患者の意向調査は、薬局を介して配った調査票を、郵送で回収する手法で実施してきた。しかし、調査を担当する中医協の専門部会の委員が、この方法だとバイアスがかかり、実態を正しく把握できない懸念があると指摘。そこで今回、ウェブ調査を導入し、郵送調査とでそれぞれ回答を集めた。ウェブ調査は、調査の3カ月前までに薬局に処方せんを持っていった患者を対象に行った。
調査結果は、22日の中医協総会で公表された。郵送調査の回答者は1016人、ウェブ調査は1040人。この中で、利用した薬局の選定理由を複数回答で尋ねたところ、郵送調査で「この薬局をかかりつけにしている」と答えた人の割合が53.1%で最も高かったのに対し、ウェブ調査では「医療機関の近くにあった」が最も多く、73.8%の回答を集めた。
また、薬について相談できる「かかりつけ」の薬剤師の有無を尋ねた結果、郵送調査では「いる」が66.8%を占めたが、ウェブ調査では「いない」が過半数の58.3%に達した。
さらに、ジェネリックの使用に関する考え方を聞いた質問で、「できれば使いたい」と答えた割合は、郵送調査が27.3%だったのに対し、ウェブ調査は42.4%で、ジェネリックの使用に積極的な人が4割超を占める結果となった。ただ、「できれば使いたくない」と答えた割合はいずれも10%超(郵送調査11.5%、ウェブ調査10.8%)で、使用に消極的な人が一定程度いることが、どちらの結果からも読み取れた。
また、ジェネリックがいくら安くなっても使いたくないと考える人に、その理由を複数回答で尋ねた結果、郵送調査でもウェブ調査でも、回答割合は「効き目(効果)や副作用に不安がある」「使いなれたものがいい」「報道等で品質、効果等に関して良い情報を聞かない」「医師がすすめない」の順に高く、ジェネリックの使用を推進する上での課題も浮き彫りになった。

(キャリアブレイン)



このようなアンケート結果がある中で、果たして厚労省が進める健康サポート薬局がどんな進展をっするのでしょうか。


by kura0412 | 2017-02-24 10:10 | 医療政策全般 | Comments(0)

療養費制度の整骨・接骨院では

接骨院や整骨院による療養費の不正請求が後を絶たず、厚生労働省は4月から対策を強化する計画だ。請求内容を審査する全国健康保険協会(協会けんぽ)などが担う審査会の権限を強め、請求者に領収証の発行履歴やカルテなどの提示を求められるようにする。食い違いなど不正の「証拠」をつかんでもらい、通報を受けた地方厚生局の指導や監査につなげる。


接骨院や整骨院は国家資格の柔道整復師が開設できる。打撲や捻挫などが健康保険の対象となり、療養費が支払われる。厚労省によると、2014年度までの5年間で不正が判明し、返納された療養費は約5億7千万円に上る。来院していない患者に施術したとして請求したり、施術日数を実際より増やし請求したりするケースが目立つ。対策では不正請求を見破るため、協会けんぽの都道府県支部などが設置する審査会の権限を強化。領収証の発行履歴やカルテなどの提示を求められるようにし、カルテに施術内容などの記載があっても領収証が発行されていないなど、辻つまが合わない事例を見つけてもらう。柔道整復師を呼び出し、説明を受けられるようにもする。審査では従来の長期間の通院などに加え、新たに「部位転がし」を重点項目に位置づける。保険適用されない肩こりなどの施術をしながら、打撲や捻挫を繰り返したとして請求する手口で、ここ数年目立つという。

厚労省は審査会の権限拡大で従来より多くの不正の証拠が地方厚生局に通報されるようになれば、同局による監査を強められるとみている。

監査は接骨院などに立ち入って調べ、不正を確定させる。15年度に同局が行った柔道整復師への面接による調査は89件で、うち監査に至ったのは26件。十分な証拠が集まらず「経過観察」となることが多いという。審査会が1施設で複数の不正請求があった証拠をつかむなどした場合、同局は面接調査を省略して監査を実施する方針だ。15年11月に接骨院で患者に施術したように装い、暴力団組員などが療養費を詐取する事件が発生。厚労省は対策の検討を進めていた。今後、有識者による専門委員会でこれらの対策を取りまとめ、3月中に都道府県などに通知。4月から運用を始める予定だ。

【日経新聞】


by kura0412 | 2017-02-17 16:36 | 医療政策全般 | Comments(0)

製薬会社が決める米国でも薬価問題が

米、薬価下げも焦点 企業に決定権 高騰に世論反発

トランプ氏に「天文学的に高い」と批判された米国の薬価は製薬企業が決める。日本や欧州では政府が価格の決定権を持つが、米国では自由に値付けできるため、高い価格をつけて巨額の研究開発費用を回収する手段ともなっている。

一方で値上げの理由が不透明なケースもある。後発薬のマイランのアレルギー反応を緩和する注射薬「エピペン」は値上げを繰り返し昨春には2本で約600ドルと2007年の6倍の水準にしたことが社会問題に発展。その後、半額の後発薬の発売に追い込まれた。こうした価格高騰への世論の反発は根強く、企業への逆風が強まっている。
1月31日のトランプ氏との会談に出席しなかったファイザーのイアン・リードCEOは「値決めの考え方を改めるつもりはない」と述べ、税制改革や後発薬の承認の迅速化によって値下げにつなげるべきだと従来の主張を繰り返す。
2月7日にはスパイサー大統領報道官が記者会見で、トランプ氏はメディケア(高齢者医療保険制度)がカバーする医薬品の値下げに向けた価格交渉に前向きだと発言した。今後どのような具体策を打ち出すのかが注目される。

【日経新聞】
by kura0412 | 2017-02-14 09:04 | 医療政策全般 | Comments(0)

医科における自由診療の定義

保険が効かない「自由診療」とは
どんな治療なのか

がんの病期が進むにつれて、健康保険で使える抗がん剤を使っても効果がはかばかしくないという状況になってくるケースがあります。その場合に保険が効かない治療法に賭けてみたいと思う人もいらっしゃいます。その場合は「自由診療」となるのですが、今回はその自由診療についての基本的な知識をご紹介します。
現役の国立病院の内野三菜子医師が、がんの主治医に聞きにくいようなことや、知っておいたほうがいいことなどを解説した本『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』の中では、治療や病院選びのほかに、こうした公的な保障や制度についても詳しく解説しています。
この連載では、その本の中から気になるところを、再編集して紹介していきます。

Q 高額な医療費がかかる「自由診療」とはどんなもの?

この連載でも書いてきたように、健康保険が適用された治療は、医療費そのものが高くても、「高額療養費」によって患者さんの自己負担は低く抑えることができます。
しかし、がんの病期が進むにつれて、健康保険で使える抗がん剤を何種類も試してきたけれども効果がはかばかしくない状況も出てきます。効果がわかっている治療であれば健康保険でカバーされるのでそれに則って治療をすれば良いのですが、なかなか病巣の勢いを抑え込めない状況になると、現時点では効果があると明らかでない治療にも賭けてみたい、と希望する患者さんもいます。
そこで出てくるのが、健康保険がきかない「自由診療」です。自由診療を受けるのは、もちろん個人の自由ですが、健康保険が使えないので費用は全額自己負担となります。
そして自費診療のクリニックなどでその治療を行う施設自体の安全性や有効性が担保されていない場合もあるので、利用する場合は注意が必要です。
インターネットなどで検索した方はご存じだとは思いますが、がんの自由診療で昔から盛んに言われている治療法が「免疫療法」です。免疫療法とは一口にいってもいろいろな種類があり、自分の血液からリンパ球を採取して免疫を復活させるもの、ワクチン療法と呼ばれるもの、病院で行われていて、効果が認められ、部分的に保険適用されている免疫チェックポイント阻害薬なども含まれます。
ここで問題なのは、個人のクリニックなどで行われている効果が科学的に適切と受け入れられていない治療法です。
これに関しては、自由診療ですから、全額自己負担になり、治療方法によっては総額で何百万にもなるケースが見受けられます。さらに金額だけではなく、そこで何らかの治療トラブルがあり、具合が悪くなってしまって、大病院へ運ばれたとしても、自由診療を受けたあとは、健康保険がきかずにすべて自己負担になってしまいます。例えば、個人クリニックで、何らかの治療を施術していた患者さんが、その治療の副作用で、急に心肺機能が低下し、大学病院に運ばれてきて集中治療室に入ったところ、健康保険が使えずに部屋代だけで一晩10万円以上かかってしまったということもあります。

自由診療の前に専門機関でおこなっている
「治験」に参加するのもひとつの方法
がんの免疫療法については、多くの大学や専門施設で臨床研究が行われていますし、厚生労働省から高度医療と承認された免疫療法を提供している施設もあります。個人的な意見ですが、免疫療法を試してみたいというのであれば、そういった、専門機関で、まずは治験に参加していただきたいと思います。
治験というのは、臨床研究のなかでも、医薬品メーカーや医療機器メーカーが、国の承認を得ることを目的として行われるものです。
治験であれば、治療にまつわる副作用や合併症が起こっても、保障がされていますし、何よりもその治療結果が効いても、効かなくてもその結果は、未来の患者さんたちへの社会貢献になります。
ただし、その試験ごとに病状やステージ、それまでに受けた治療など、参加する条件が決められているので、希望すれば誰でも受けられるというわけではありません。患者さんが臨床試験に参加する場合は、新しい治療法を受けるグループ、これまでの標準治療を受けるグループに振り分けられ、どちらの効果が高いかが調べられます。ですから、臨床試験に参加しても、どちらのグループに振り分けられるかはわからず、必ず新しい治療が受けられるとは限りません。
国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」のサイトでは、募集中の臨床試験の情報を調べることもできるので、自分の条件にあった試験に患者さんが自ら応募することも可能です。ただ、臨床試験が視野に入ってくるのは、がんが進行したり、転移したりして、他に治療法が見つからないときが多く、新しい情報をもっている医師から勧められて参加するというケースが多いと思います。
自由診療に関する基本的なポイントを書きましたが、自由診療すべてが怪しいわけではありません。「保険医療機関」であっても、診療の内容ごとに、自由診療として行う治療を提供する場合もあります。例えば、レーシックによる近視矯正手術、シミを取るなどの美容整形、さらにはインプラントなども自由診療で、大きな病院でも行っています。

A 保険適用がないため高額な医療費になる治療法。一度施術するとそれ以降の診療も全額自己負担になってしまうので要注意。

【DAIAMONDONLINE】



既に改めて通知が出ていますが、医科は歯科の自由診療との認識が違います。ということは、歯科独自の診療体系も可能も残されているのかもしれません。
by kura0412 | 2017-02-10 11:12 | 医療政策全般 | Comments(0)

『医療ビッグデータの「政策提言2016」を安倍首相へ』

医療ビッグデータの「政策提言2016」を安倍首相へ
医療ビッグデータ・コンソーシアムが取りまとめ

医療ビッグデータ・コンソーシアムは2017年2月6日、東京都内で記者発表会を開催し、「医療ビッグデータ・コンソーシアム 政策提言 2016」を発表した。医療ビッグデータの構築と利活用に向けた課題や解決策を提言したもので、先週、安倍首相へ提出済み。総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省にも提出するという。

同コンソーシアムは医療ビッグデータの構築と利活用、それを通じた価値創出などを目指す産官学連携組織。製薬企業やIT企業など18社が会員に名を連ねる。今回の提言は2015年12月に発表した「医療ビッグデータ・コンソーシアム 政策提言 2015」に続くもので、2016年に開催した33回の会議を経て取りまとめた。
「医療ビッグデータの整備といっても、本当に実現するのは大変なこと。『絵に描いた餅』にしてはならない。実際に使える形でのデータの整備や対応する人材の育成など、これまで持ち越されてきた課題を総括する提言とした」(医療ビッグデータ・コンソーシアム 代表世話人で京都大学大学院医学研究科 附属ゲノム医学センター センター長・教授の松田文彦氏)。「医療ビッグデータの活用では、データの継続性が問われる。20年や30年というライフサイクルで継続できる医療情報の基盤づくりが重要だ」(同代表世話人でディジタルプラネット 代表の中村重郎氏)。

今回の提言はこれらの課題を意識し、医療ビッグデータを(1)つくる、(2)つなげる、(3)ひらく、の3本柱で構成した。
(1)では、データの共有・活用を前提とした医療情報システムの整備を訴え、クラウドやIoT、AI(人工知能)などICTの進化を踏まえた「次世代病院医療情報システム(NHIS:Next Generation Hospital Information Systems)」を提案した。NHISはデータの柔軟な連携可能性、新しい医療機器・デバイスに対応できる拡張性などを特徴とし、医療業務の品質向上や効率化、災害時の医療情報保全などの効果が期待できるという。
(2)は、NDB(National Database)をはじめとする医療ビッグデータの民間での活用促進を提言したもの。NDBのオンサイトセンターの支援強化や、医療ビッグデータの民間活用に向けたルールづくり、インフラ整備、人材育成などの必要性を訴えている。
(3)は、個人情報保護のあり方に関するもの。改正個人情報保護法の全面施行による医療分野の規制強化への懸念を示すとともに、医療分野は個人情報保護においても“特別”との前提に立つ制度設計を提言した。医療情報の匿名加工・提供を担う「代理機関」についても、その組織形態やデータの2次利用目的にできる限り制限を設けないことを求めている。

【日経デジタルヘルス】
by kura0412 | 2017-02-08 10:02 | 医療政策全般 | Comments(0)

医薬分業ぼやける構想

医薬分業ぼやける構想 患者に役立ってこそ

昨年、超高額な抗がん剤の登場が話題となった。高齢化に伴い増え続ける医療費の抑制はかねて大きな課題であることから、この薬の値段は半額に引き下げられることになった。薬価全体もより引き下げが進む方向で制度を見直すことが決まった。その一方で、薬をめぐって費用が減るのか増えるのか、どう役立っているのかなどがわかりにくい政策がある。「医薬分業」だ。
医薬分業とは、病院や診療所では処方箋だけを発行し、それに基づいて実際に薬を受け取るのは病院などとは別の薬局にする仕組み。薬剤師が薬の有効性や安全性を確認し、医療の質を上げることが目的とされる。欧米では標準的な仕組みで、日本でも分業を進める政策がとられてきた。
最近では医薬分業をより進め、「かかりつけ薬局」を患者に身近な場所で決めてもらおうとの政策へ発展している。複数の医療機関を受診しても、それぞれで発行される処方箋をすべて1カ所のかかりつけ薬局に持ち込めば、重複している薬や飲み合わせの悪い薬をすぐに見つけることができ、効率的な医療が実現するとの触れ込みだ。
ところが、この流れに逆行するかのような動きが出てきた。病院敷地内での薬局開設だ。今もすでに大病院の門前には複数の薬局が存在する例があるが、さらに「門内」にも薬局をつくろうというものだ。
昨年後半から、千葉大病院、滋賀医科大病院、公立能登総合病院など各地の公的な大病院で敷地内薬局の計画が相次いでいる。さらに広がれば、各病院の処方箋は各病院の門内薬局に持ち込むケースが増えるだろう。「かかりつけ薬局構想が形骸化する」(日本薬剤師会)と批判も出始めた。
相次ぐ計画の背景には、政府が規制改革推進会議などでの議論を踏まえて、薬局の立地規制を緩和したこともあるようだ。患者の利便性を重視すれば一律制限には問題もあるが、「政府は医薬分業を進めたいのか、そうではないのかがわからない」(薬局関係者)との声もあがる。
ただ、そもそもは規制や制度で医薬分業やかかりつけ薬局を推進しようとの姿勢に無理があるともいえる。患者のために努力している薬局もあるが、今も「薬局は処方箋通りに薬を渡すだけ」との見方が残る。処方された薬の記録を管理していなかった薬局が問題になったこともあった。
こんなことでは病院の中や目の前で薬も受け取れる方が便利といわれても仕方ない。「医薬分業の費用対効果の検証が必要」(印南一路・慶応大教授)との指摘もある。
高齢者の薬の飲み残しは年間500億円分あるともいわれる。本当に必要なのかがわからない投薬があるとも指摘されている。薬局の薬剤師には、医師と連携してこのような無駄をなくし、患者の健康維持にも寄与するといった役割が期待されている。各地域での医療の質の向上、効率化に明確に役立ってこそ、医薬分業やかかりつけ薬局は真に定着していくのではないだろうか。

【日経新聞】
by kura0412 | 2017-01-31 11:08 | 医療政策全般 | Comments(0)

医療ツーリズム

医療目的の訪日客受け入れ 政府、まず28病院

政府は治療や健診を目的に日本を訪れる外国人の受け入れに特に適した医療機関を推奨する。まず東京大学や大阪大学の付属病院、慶応義塾大学病院(東京)など全国28病院を選んだ。外国人向けのサービス体制などを海外の政府機関や医療機関に周知する。訪日客が安心して受診できる環境を整えて「医療ツーリズム」に弾みをつける。

医療の国際展開の司令塔として政府が主導して設立した一般社団法人メディカル・エクセレンス・ジャパン(東京・千代田)が審査した。患者が渡航前に大まかな費用を見積もりできるかどうかや、複数の学会認定医がいるかどうかなどを調べた。
第1弾は東大、阪大、慶大のほか、聖路加国際病院(東京)、虎の門病院(同)などを選んだ。3年間の更新制で、仙台厚生病院(宮城)、藤田保健衛生大学病院(愛知)、福岡記念病院(福岡)、米盛病院(鹿児島)など地方からも入った。
選定した病院は「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ(日本国際病院)」として海外の政府や医療機関に推奨する。在外公館や各国大使館を通じ、受診できる診療科や先進医療など各病院のサービス体制を情報提供する。
医療目的で日本を訪れる外国人は中国を中心に増えている。医療滞在ビザの発給件数は2015年は約950件と4年前の13倍になった。ビザがなくても健診や治療は受けられるため実態はもっと多い。病院を推奨することで外国人が体制の整っていない病院に行くことを防いだり、地方の病院に患者を分散したりする効果も想定している。
今は海外から直接、病院に問い合わせる外国人も多く、病院の事務負担が重くなっている。今後はJTBなど別に認証した「医療渡航支援企業」を窓口にして外国人患者を推奨病院に誘導し、病院側の負担を減らすことも目指している。
医療機関の認証制度にはこのほかに定住外国人向けの医療機関を認証する制度がある。

【日経新聞】



歯科もこの中に入っているのでしょうか。いずれにせよ、歯科もこの種の動きは早々に出てきそうです。
by kura0412 | 2017-01-31 10:22 | 医療政策全般 | Comments(0)

『京大iPS研 供給一部停止で難病臨床研究に遅れ』

難病臨床研究に遅れ 京大iPS研 供給一部停止で

京都大学iPS細胞研究所が先週、再生医療向けに作製し備蓄したiPS細胞の企業や大学への提供を一部停止したことで、角膜の難病などで計画されていた再生医療の臨床研究が一部遅れる見通しだ。離陸期にさしかかるiPS細胞の臨床応用への影響拡大が懸念されている。

Q 臨床応用への影響は。
A 2つの臨床研究の開始が遅れるとみられる。一つは大阪大学が2016年度中に始める予定だったiPS細胞から角膜を作って移植する研究。もうひとつは京大が16~17年に計画していた、血小板を作って血液難病の患者に輸血する研究だ。いずれも最大で1年ずれこむ見通しだ。

ほかにも神経や心筋、肝臓などの病気の臨床研究が遅れる可能性がある。山中伸弥iPS細胞研究所所長は会見で「iPS細胞の臨床応用が遅れる事態を招いてしまい、おわび申し上げる」と謝罪した。

Q 停止の理由は。
A 京大は大人の血液から作ったiPS細胞のほか、赤ちゃんのへその緒の「臍帯血(さいたいけつ)」から作ったiPS細胞を備蓄している。昨年8月に後者の提供を始めたが、11月に作製に用いた試薬瓶のラベルを貼り間違え、本来とは違う試薬を使った恐れがあると判明。今月23日に出荷を停止した。今年夏までに作り直し、提供を再開する計画だ。

Q 再発防止策は。
A iPS細胞の製造を受託するタカラバイオと共同研究を始めた。細胞の製造や品質管理の基準を作り、タカラが京大の製造工程を検証、日常の作業も確認する。またラベルを貼る作業や使用済みラベルを区別する際の手順書やチェックリストを作成するという。

Q タカラバイオに事業を移管する可能性は。
A 京大の高須直子・医療応用推進室室長は「事業譲渡は考えていない」と話した。iPS細胞製造のノウハウを持ち、企業の助力があれば事業を続けられるとする。ただ事業には品質確保やコスト管理が重要で、大学より企業に強みがある。今後の速やかな移管が課題となりそうだ。

【日経新聞】



順調に進んでいると思っていたiPS細胞の開発もこんな問題が起きていました。
by kura0412 | 2017-01-30 09:53 | 医療政策全般 | Comments(0)

『子どもの医療費助成、自治体へのペナルティー廃止で充実へ』

子どもの医療費助成、自治体へのペナルティー廃止で充実へ

このところ、「医療費」といえば負担増の話ばかりだが、そのなかで唯一明るい話題といえるのが子どもの医療費助成制度だろう。
現在、子どもの医療費については、すべての地方自治体が助成を行っているものの、対象年齢や助成方法はまちまちだ。これは、財政力によるところが大きいが、実は国からの補助金の仕組みが助成の足かせになってきた面もある。
だが、少子化対策を急ぐ国の方針もあり、自治体が子どもの医療費を助成しやすくできるように見直されることになった。

子どもの医療費助成で少子化に歯止めをかける
2015年の出生数(確定数)は、前年よりも2138人多い100万5677人で、合計特殊出生率は1.45に回復した。だが、2016年の出生数は、前年比マイナス2万5000人の98万1000人と、再び大幅に減ることが予想されている。
安倍政権では、経済成長を促すための施策のひとつとして、合計特殊出生率を1.8まで引き上げることを目標としている。少子化に歯止めをかけるために、子育て世帯の経済的負担軽減策を打ち出しており、2015年9月から厚生労働省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」でも、子どもの医療費負担についての審議が重ねられていた。
病院や診療所にかかったときに、患者が窓口で支払う一部負担金は、年齢や所得に応じて1~3割。現在、子どもの自己負担の法定割合は、小学校入学前の未就学児(7歳になる年の3月まで)は2割、小学校1年生以上は3割だ。
だが、それぞれの自治体が、独自に子どもの医療費を助成する制度を設けているため、子どもが一定の年齢になるまでは実質無料で医療を受けられることも多い。「乳幼児医療費助成」「子どもの医療費助成」など、自治体によって名称は異なるが、本来なら患者が支払う窓口負担分を、都道府県と市区町村が代わり支払ってくれる制度だ。
法律で決められた制度ではなく、地方単独事業として行われているので、国からの明確な予算はついていない。まず、都道府県ごとに助成内容が決められ、市区町村が財政力や政策などによって上乗せの助成を行っているので、子どもの医療費助成の内容は次のポイントで違いが出ている。
(1)助成対象の子どもの対象年齢
(2)通院、入院による差
(3)親の所得制限の有無
(4)一部負担金の有無
(5)助成方法が、現物給付か償還払いか

子どもの医療費負担は、家計にも影響を与える。最近は、自治体の子育て支援策を調べて、子育てしやすい地域を探して暮らす場所を決める人たちもいる。人口が増加すれば、税収が増えるだけではなく、町も活性化する。そうした町興し的な意味合いもあり、子どもの医療費助成制度は拡大傾向にあるが、財政力によって助成範囲には大きな差があるのが実情だ。
対象年齢は、都道府県別では3歳未満~18歳年度末と幅が広く、さらに市区町村の独自の上乗せ助成は4歳未満~22歳年度末までとバラツキが出ている(「乳幼児等医療に対する援助の実施状況」平成27年4月1日現在)。
このほかに、親の所得制限を用いていたり、1回500円程度の一部負担金を設けていたり、助成方法が現物給付か償還払いかによっても、使い勝手は変わってくる。
できるだけ長い期間、助成を受けられるほうが、利用する側にとっては都合がいい。だが、どこまで助成できるかは、自治体の財政力によるところが大きく、さらにそこに影響を及ぼしているのが国からの補助金の仕組みだ。

現物給付方式の助成は ペナルティーの対象だが
子どもの医療費助成制度には、(5)のように現物給付、償還払いの2つの方法がある。現物給付は、自治体が医療機関に直接自己負担分を支払ってくれるもので、窓口での患者負担はしなくてよい。償還払いは、いったん患者が窓口で自己負担分を支払ったあとで、自治体に申請して払い戻しを受ける方法だ。
あとから払い戻される償還払いより、窓口負担のない現物給付のほうが、家計からの持ち出しをしなくて済むので、利用者にとってはありがたい。
だが、これまで国は、窓口でお金を支払わずに医療にかかれるようにすると過剰受診につながるとして、現物給付方式で子どもの医療費助成を行っている市区町村に対しては、国民健康保険の療養費等国庫負担金という補助金を減額する措置をとってきた。
これは、患者が窓口で支払う額に応じて減額率が決まり、現物給付方式によって増えた医療費の分だけ、本来支払うはずだった国の補助金を減額するというもので、いわば自治体へのペナルティーだ。
だが、子どもの健康を守るための助成にペナルティーを課すというのはおかしな話だ。前出の検討会では、補助金減額のペナルティーは「国として推し進める少子化対策に逆行」「廃止により各自治体では他の子育て支援策に財源を充当できる」などとして、減額調整措置の廃止を求める声が相次いだ。
また、全国知事会からの廃止要請などもあり、2018年度から小学校入学前の未就学児に対する助成については、現物給付をしても補助金は減額されないことになったのだ。
話し合いの過程では、新たに親の所得制限を設けたり、窓口での一部負担金の徴収も検討されたりしたが、すでに現物給付が導入されている子育て家庭に負担増を求めるのは難しいと判断。
この見直しによって、未就学児の医療費助成ついてはすべての市区町村で補助金の削減は行われなくなったため、子育て支援に振り分ける財源を増やせる可能性が高くなったのだ。
具体的な子育て支援策の充実は自治体によって異なるが、これまで償還払いや一部負担金があった地域は、それらが撤廃されて使いやすい現物給付に変わる可能性がある。また、すでに現物給付だった地域は、さらに充実した支援が受けられるかもしれない。
未来を担う子どもたちが、お金の心配をしないで医療にかかれることは喜ばしいことだが、今回の見直しでも、自治体による助成の格差を完全には解消できないことは残念だ。自治体の財政事情によって個人の医療費負担が左右されるのは不公平だという見方もある。
充実した医療費助成が子育て世帯を地域に呼び込む地域興しの一環となっている今、財政が乏しい自治体は人口減に悩まされることにもなる。住んでいる地域にかかわらず、どこでも充実した医療費助成が受けられるように、今後も制度の充実を期待したい。

子どもの医療費助成制度は誰かの負担で成り立っている
医療費助成のおかげで、子どもの医療費の負担は抑えられるものの、その医療は病院や診療所が無料でサービスしてくれているわけではない。子どもがかかった医療の費用は、税金や社会保険料によって賄われており、他の誰かが負担してくれていることは常に意識しておく必要があるだろう。
同時に、制度を使う子どもたちの保護者は、医療機関の適切な利用方法を覚えておきたい。一時期、休日や夜間に個人の都合で医療機関を受診する患者の増加によって、小児科医をはじめとする医療スタッフの疲弊が問題となった。
その後、不要不急の受診を減らすための啓蒙活動によって、ひと頃より医療スタッフの労働環境は改善されたものの、医療資源は無尽蔵にあるわけではない。
診療時間外に子どもの体調が悪くなった場合は、様子を見ながら受診行動を考えたいもの。自分で判断するのが難しいなら、小児救急電話相談事業「♯8000」に電話をかけるのがおすすめだ。
「♯8000」は、厚生労働省の電話相談事業で、子どもの症状を伝えると小児科医や看護師などの医療専門職が相談にのってくれて、「明日の朝まで様子をみても大丈夫」「今すぐ病院に行ったほうがいい」などと対処方法を教えてくれる。
また、国が推奨しているワクチンは接種して、死亡や重度の後遺障害につながる病気にかからないように予防しておくことも考えたい。
日本の医療制度は、税金と社会保険料によって支えられている国民共通の財産だ。医療を必要とするすべての子どもが、必要な医療を受けられるようにするためにも、医療費助成制度の充実を訴えるとともに、ふだんからそれぞれの人が適切に医療機関を利用することも求められている。

【DAOAMOND ONLINE】




ペナルティがあるとは知りませんでした。
by kura0412 | 2017-01-26 14:48 | 医療政策全般 | Comments(0)

『地域包括ケアは「囲い込み」から「連合」へ』

地域包括ケアは「囲い込み」から「連合」へ

地域の“お隣同士”の医療機関や介護事業者、薬局などが連携して患者・要介護者の生活を最期まで支える──。そんな地域包括ケアシステムの構築が推し進められ、各地で動きが活発化しています。
「各地域では保健・医療・介護・福祉の資源が別々に整備されてきた。だが、今後はこれら資源に“横串”を通し、住民に最適なサービスを迅速に提供できる仕組みづくりが重要になる」
こう指摘するのは、医療経営コンサルタントで(株)医文研・代表取締役の茨常則氏。特に、高齢化と若年人口の減少が進む地方では、医療・介護の需要と供給のミスマッチが広がっており、「効果的・効率的な医療・介護提供体制の構築が喫緊の課題だ」と言います。
地域包括ケアシステムは、住民が住み慣れた地域で最期まで暮らせる環境の整備を目的とします。2012年施行の改正介護保険法でその構築が国や自治体の責務とされ、法的根拠が与えられました。

地域包括ケアは子育て支援も含めた町づくりにつながる概念
そのため当初は、介護分野の概念として捉えられる傾向がありました。ですが、社会保障制度改革国民会議が2013年8月にまとめた報告書では、その構築の促進が前面に掲げられると同時に、介護や医療だけでなく福祉・子育て支援も含めた、町づくりにもつながる概念として打ち出されました。
その後、同報告書を基に2014年6月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」(医療介護総合確保促進法)でも地域包括ケアシステムの構築を明示。介護保険事業(支援)計画だけでなく医療計画などを策定する際のベースとなる概念とされ、医療分野においても重視される形となりました。
これと並行して2014年度診療・調剤報酬改定では基本認識(方針)として、「医療提供体制の再構築」と併せて「地域包括ケアシステムの構築」が提示。その一翼を担う機能として地域包括ケア病床や地域包括診療料が創設されたのは記憶に新しいでしょう。さらに、病床再編などを目指す地域医療構想や内閣府の経済・財政再生計画の中でも言及され、地域包括ケアシステムの構築は今や国の最重要課題となっています。
もちろん、住み慣れた地域で最期まで生活を継続できる環境の整備が最大の目的ですが、これだけ同システムが重視される背景には、社会保障費の伸びの抑制があるのも事実。「ときどき入院、ほぼ在宅」「『治す医療』から『治し、支える医療』への転換」「自助・互助・共助・公助の適正な役割分担」などを推進することで、社会保障財源の効果的・効率的な配分を実現しようというわけです。
 
入院から在宅まで切れ目ない体制づくりを重視
ここ数回の診療・調剤・介護報酬改定を概括すると、入院から在宅までを担う医療・介護機能の切れ目ないつながりを強化する方向が打ち出されていることが分かります。入院においては高度急性期から慢性期に至るまで早期の退院に軸足が置かれ、外来や薬局ではかかりつけ機能の充実、在宅診療や介護では中重度者の在宅生活の継続支援などが重視されてきました。
具体的な報酬点数を見ても、医療機関・介護事業者・薬局の間の連携を後押しする項目が数多く存在します。
例えば、2016年度診療報酬改定では退院支援加算が再編・新設され、入院患者の退院を促進すれば、高度急性期から慢性期まであらゆる病棟で高い点数を算定できるようになりました。そのほか、入院・入院外の間での診療情報の共有なども手厚く評価されています。
在宅分野に目を向けると、早期退院に向けて医療機関・介護事業者・薬局の連携促進を念頭に置いた点数項目が目立つほか、患者の急変時などに多職種でカンファレンスを開いた際の評価も設けられています。介護保険リハビリテーション移行支援料(2014年度診療報酬改定で新設)のように、サービスの医療保険から介護保険へのスムーズな切り替えや、要介護者の社会参加の促進(訪問・通所リハビリにおける社会参加支援加算、2015年度介護報酬改定で新設)を図る仕組みも盛り込まれました。
国の政策の後押しを受け、各地では地域包括ケアシステムを構築する動きが活発化。「地域包括ケア推進課(室)」といった専門部署を創設し、普及に努める市町村が増えています。在宅医療の提供機関マップの作成、医療や介護などの多職種が一堂に会する会議や研修会の開催、患者・要介護者の情報共有を目的としたIT(情報技術)システムの導入といった取り組みを見聞きしたことのある方も多いのではないでしょうか。

地域の実情で異なるシステムの形
こうした流れを受け、医療機関・介護事業者・薬局において自身の分野以外の法人や事業者と「顔の見える関係」を築かなければ、患者や介護サービス利用者の確保が難しくなると考える経営者が目立つようになりました。ある介護事業者は、「患者や要介護者を自法人ばかりで囲い込む時代は終わった。これからは、地域の外部の医療機関や他の介護事業者、薬局と連携を強めて高齢者の在宅生活を支えることが重要になる」と語ります。
地域包括ケアシステムは地域の実情を勘案して構築され、当然ながら各地域で形が違ってきます。自治体によって医療・介護資源の状況や人口推移、住民同士のつながり度合いなどが異なるからです。医療機関、介護事業者、薬局ともに、今後、自身の地域の現状や地域包括ケアシステム構築の方向性などをしっかり見極め、他法人・事業者との「ご近所連合ケア」に積極的に参加していくことが重要になるといえそうです。
 
【日経メディカル】
by kura0412 | 2017-01-24 11:32 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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