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成長戦略は重点分野として「健康寿命の延伸」が

重点5分野に政策資源 政府が成長戦略素案

政府は30日、未来投資会議を開き今年の成長戦略の素案を示した。人工知能(AI)やビッグデータを起爆剤に「第4次産業革命」を目指すことが柱。安倍晋三首相は同会議で「少子高齢化に直面する日本は、失業問題を恐れずに人工知能やロボットを存分に活用できる」と述べ、日本が強みを持つ分野で規制改革などを重点的に進める意向を示した。

成長戦略は重点5分野として「健康寿命の延伸」「移動革命の実現」「サプライチェーンの次世代化」「快適なインフラ・まちづくり」「フィンテック」を挙げ、日本の強みが生きる分野に政策資源を集中する方針を示した。こうした分野でのデータ利用基盤の整備や人材投資強化、ベンチャー支援などを政府が先導する方針を打ち出した。
医療・介護の効率化では医療サービスの公定価格にあたる診療報酬を2018年度に改定するのにあわせ、電子機器を使って遠くから患者のデータを集めるオンライン診療を普及させるため報酬も優遇する。患者にとっても通院する手間が減るメリットがある。介護ロボットの導入を促すため、介護報酬や人員・設備基準を見直す。
自動運転の普及では、ドライバー1人で複数のトラックを走らせる隊列走行を22年に商業化する。過疎地などの移動弱者を救うため、無人自動走行による移動サービスは20年の実現を目指す。全国10カ所以上で公道での実証実験に入る。自動走行のための安全基準づくりや法改正などの方針も決める。ドローン(小型無人機)による荷物配送は20年代に都市部で実現するため、機体や操縦者の要件を明確にする。

(日経新聞)
by kura0412 | 2017-05-31 08:19 | 医療政策全般 | Comments(0)

先ずは骨太方針での議論です

医療は効率化・重点化、「診療報酬、不必要に上げず」
財政審、「骨太」に向け社会保障改革の議論始める

財務省は4月20日、財政制度等審議会の財政制度分科会(分科会長:榊原定征・経団連会長)を開き、6月にもまとめられる経済財政運営の指針「骨太の方針2017」に向けた社会保障改革についての議論を始めた。分科会後に記者会見した財政審委員の土居丈朗・慶応大経済学部教授は、2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定を見据え、「医療経済実態調査が出てない段階で言うのは難しいが、当然、不必要に報酬を引き上げるということにはならない。しっかりと効率化、重点化を医療・介護とも行うことが必要だ」と述べた。
分科会では、「地域医療構想に沿った医療提供体制の実現や、医療費適正化計画の策定は進めていくべき」「薬価制度改革で議論があるが、その議論だけではなく、多剤投与や重複投与にも手をつける必要があるのではないか」など、効率化を求める意見が出たという。

制度改革の検討項目提示
財務省は財政審に、昨年まとめた改革の4つの視点である
(1)高齢化の進展を踏まえた医療・介護提供体制の確保、
(2)大きなリスクは共助、小さなリスクは自助、
(3)年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担、
(4)公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護
――に沿って医療・介護制度改革の具体的な検討項目を提示した。

まず(1)について、かかりつけ医の普及に向けて、病院・診療所の機能分化の観点から、選定療養による定額負担について診療報酬への上乗せではなく、保険財政の負担軽減につながるよう仕組みを見直した上で、対象範囲の拡大や、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入を主張。医療費適正化に向けた診療報酬の特例の活用や、病床再編等に関する都道府県の体制・権限の整備も挙げた。
(2)に関しては、薬剤自己負担の引き上げについて、薬剤の種類に応じた保険償還率の設定や一定額までの全額自己負担といった諸外国の例を参考としつつ、市販品と医療用医薬品のバランスやリスクに応じた自己負担などの観点を踏まえて具体的内容を検討して実行すべきとした。

金融資産の捕捉、改めて示す
(3)では、現行制度下で、入院時生活療養費等の負担能力の判定に際しても介護保険の補足給付と同様の仕組みを適用すべきとした上で、今後の制度設計として、マイナンバーを活用して所得だけでなく金融資産の保有状況も捕捉し、負担能力を判定することを検討すべきだという「骨太の方針2015」以降目指してきた仕組み作りを改めて示した。
後期高齢者の自己負担のあり方についても、見直しの必要性に言及。
現在70歳から74歳で段階的に実施している自己負担割合の2割への引き上げを75歳以上にも実施すること、2019年以降に新たに75歳になる人については2割負担を維持すること、2019年時点で既に75歳以上の人については数年かけて段階的に2割負担に引き上げることを求めた。
(4)に関しては、後発医薬品の平均価格を超える部分について原則として自己負担で賄う仕組みづくりや、生活習慣病治療薬等の処方ルールの設定を主張した。

分科会では、医療保険財政の関係では、「(社会保障関係費の伸びの)目安の5000億円の自然増を守ればそれでいいということではなく、さらなる達成をするようなことも必要ではないか」「負担能力に応じた公平な負担という考え方が重要。中でも後期高齢者医療に係る窓口負担等については、今から改革について議論をしていくことが重要」といった意見が出た。

(m3.com)
by kura0412 | 2017-04-21 16:31 | 医療政策全般 | Comments(0)

受動喫煙防止法案行き詰まり

受動喫煙防止のための健康増進法改正を巡り、改正案を協議する自民党厚生労働部会が開かれず、国会提出のめどが立たない状況が続いている。禁煙の徹底を掲げる厚労省に対し、200人超が参加し分煙を推進する党内の巨大議員連盟が反発しているためで、7月の東京都議選を前に対立の表面化を避けたいとの思いもにじむ。

「そろそろ厚労省の考え方をご説明する機会をいただきたい」。塩崎恭久厚労相は11日の記者会見で、部会開催を訴えた。閣僚が自民党の部会運営に口出しするのは異例だ。

厚労省が昨年まとめた「たばこ白書」によると、受動喫煙が原因とみられる国内の推計死亡者数は年間約1万5千人。塩崎氏は「日本は世界保健機関(WHO)の基準では世界最低レベル」と対策の遅れを強調し、訪日客の急増が予想される2020年の東京五輪・パラリンピックに間に合わせるため、今国会での法改正に向け作業を進めてきた。

厚労省は3月、屋内禁煙の徹底を掲げる改正案の骨子を公表。学校や病院は敷地内全面禁煙、飲食店も小規模のバーなどを除いて原則禁煙だ。法案提出に必要な手続きとして、骨子を説明する部会を開くよう茂木敏充政調会長らに求めてきた。

だが茂木氏は13日、「厚労省の案では部会は開けない」と回答。代わりに塩崎氏ら厚労省幹部と、田村憲久政調会長代理ら数人の党幹部だけで厚労省案修正に向けた協議を開くことを提案した。

自民党側が部会開催を渋る背景には、所属の衆参両院議員約280人が参加する「たばこ議員連盟」(会長・野田毅党税制調査会最高顧問)の存在がある。「マナーで対応すべき問題だ」と主張する議連は厚労省に対抗して、飲食店に禁煙、分煙、喫煙の選択を認める独自案をまとめた。

塩崎氏は水面下で調整すると議連の意向で骨抜きにされると警戒。「まずは開かれた場で議論すべきだ」と、部会の開催にこだわる。一方、茂木氏は所属議員なら誰でも出席できる部会では、賛否双方の意見が噴出して収拾がつかなくなることを懸念する。

ある厚労族議員は「都議選前に政府と自民党がごたごたしているところは見せられない」と語る。このまま調整が難航すれば、議員立法で別の法案提出を模索する動きが出てくると予想した。

(m3.com)



ある意味自民党が多様な意見があり平等な政党である証でもありますが、この問題に対しては逆に裏目に出ているのかもしれません。さて、どう収拾するのでしょうか。


by kura0412 | 2017-04-18 10:40 | 医療政策全般 | Comments(0)

化粧で高齢者の心のフレイル対策

齢者にもう一度、自ら化粧をしてもらう――。資生堂ジャパンCSR部マネージャーの池山和幸氏は、「ヘルスケア産業の最前線2017」(201733日、主催:経済産業省)の第2部として開催された「地域を支えるヘルスケアサービス事業者の事例紹介」で、健康寿命延伸に向けた同社の事業を紹介した。

資生堂は、1975年からボランティア活動として「身だしなみセミナー」を特別養護老人ホームで開催してきた。現在では事業化しており、科学的根拠に基づく「化粧療法プログラム」として提供。契約施設数は約400、年間の開催件数はのべ2500件(2016年実績)に上る。

クリックすると拡大した画像が開きます同社は、身だしなみセミナーを、健康寿命延伸に向けた社会性や心のフレイル対策として行っている。フレイルとは虚弱を意味し、健康と要介護の中間段階にあって、適切な対策を取れば健康への復帰が可能な状態を指す。資生堂の取り組みは、2014年度に経済産業省の健康寿命延伸産業創出推進事業に採択された。


身だしなみセミナーは、スタッフが化粧をほどこすのではなく、高齢者が自分で化粧などの美容行為をすることで、心身機能の維持・向上を目指すもの。若い頃に慣れ親しんだ行為であるため、自発性や自立性が引き出しやすいことと、効果がすぐに目に見えるので意欲が続きやすいことが特徴という。対象を女性に限定せず、加齢臭対策など男性にも対応するプログラムを用意する。

2回のグループケアと、参加者それぞれが毎日続けるセルフケアの2つを組み合わせて実施している。池山氏は「グループケアで他人への意識を、セルフケアで自分への関心を高めてもらう。このサイクルを続けていけば、自信や自分らしさが維持でき、社会性や社交性につながる」と効果を説明する。

実際に、参加者の主観的健康感や抑うつ性尺度の向上、外出頻度の維持、介護費用の削減といった成果が得られたという。「友達を誘って外出にするようになったり、教室で知り合った人と会話をしたり、鏡を見る習慣のなかった人が毎日見るようになったり、行動にも目に見えて変化が表れた」(池山氏)とする。

企業や自治体と共同で事業展開

最近では、企業や自治体などと共同で事業を展開している。例えば、横浜市とは、20165月~20172月に市内15区で「いきいき美容教室」を開催。5080代の女性286人が参加した。参加者の約4割が家に閉じこもりがちだったが、参加後のアンケートでは90%以上が「前向きな気持ちになる・外出したくなる」と回答したとする。「まさに、心のフレイル予防になっている」(池山氏)。

歯科医院と共同で、口腔内のケアなどを伝授する「オーラルフレイル予防」も展開している。高齢者は口のささいな衰えに対する関心や意識が低くなる傾向にあるため、その低下に歯止めをかけて心のフレイル予防につなげるというもの。参加者が口や顔への関心を持つと共に、地元の歯科医院が会場となっているため、参加者と地域のつながりが生まれる利点もある。

資生堂は今後も、企業や自治体と協力し「美容的フレイル予防と何かを掛け合わせたサービスを提供していきたい」としている。

池山氏の講演を受けて、厚生労働省 健康局 健康課 課長の正林督章氏は講評として「化粧のために普段使わない筋肉を使ったりすることで、リハビリツールとしての効果も期待できそうだ。健康を損ねた人は化粧をしてはいけないようなムードを感じるので、入院患者にもサービスを広げて、みんなの考え方を変えてもらえたら」と期待感を述べた。

(日経デジタルヘルス)






by kura0412 | 2017-03-17 11:03 | 医療政策全般 | Comments(0)

財政破綻で生まれた医療介護の「夕張モデル」とは

夕張市で示された新しい再生案
財政再建中で「後ろ向き施策」に追われていた北海道夕張市が「前向き施策」に向かうことになった。夕張市の策定した再生計画の見直し案に国が37日、同意したことによる。

炭鉱で栄えた夕張市は1960年には117000人の人口を抱えていたが、2006年に財政破綻して以来、若者やファミリー層の流出が止まず、遂に9000人を割ってしまった。

緊縮財政に邁進し、市長と約100人の市職員の給与をそれぞれ70%減、15%減に抑え、11校の小中学校をそれぞれ1校に統合、公園など公的施設を次々閉鎖してきた。水道料金を引き上げ、固定資産税や市民税もアップした。

一連の緊縮策で「借金」は、2016年度末までに約116億円返済できる。とはいえ、まだ折り返し点。2026年度末を期限に200億円以上が残り、その完済を目指し続ける。

ただ、このまま抑制策を続けていくと人口減が止まずに地域崩壊を招き、自治体としての存続自体が危ぶまれかねない。「高負担・低行政サービス」に耐えかねて故郷を後にする市民が今後も続きそう。

借金払って市民が消えては元も子もない。そこで、地域再生に舵を切った。「耐え忍んできた10年間だった。止まっていた時計の針を動かしたい」と鈴木直道市長は計画案公表の31日に話した。

新しい再生案では、市営住宅の再編を始め、認定こども園の新設、図書室などの複合施設の開設、市立診療所の移転などを打ち出した。市税も元の水準に下げる。ふるさと納税にも期待を寄せ、2026年度までの10年間に113億円の新規事業を投入する。ブレーキを踏みつつアクセルもふかす。

国も緊急時に交付する特別交付税を約12億円支給して手助けする。東京23区ほどの広大な市域に、それぞれの炭鉱ごとに公共施設や市街地、住宅などが分散しているが、できるだけ集約して効率性を高める。国交省が唱える「コンパクシティー」を目指す。この方針のもとで、新設の施設や市営住宅を清水沢地区にまとめていくという。

896自治体が人口減によって消滅する可能性
隆盛を誇った石炭産業が消えるとともに夕張市の沈下は始まった。1980年代から、「炭鉱から観光へ」のスローガンを掲げてリゾート政策に突き進み、めろん城やホテルなど様々な観光施設を建て続け、巨費を投じた。それが功を奏さないまま、借金隠しもあって年間予算の3倍超、353億円の累積赤字を抱え、2006年に自治体「倒産」に追い込まれた。

20073月に財政再建団体(現在の財政再生団体)に指名されて国の管理下に入り、20年計画で借金返済を求められる。予算編成は無論、細かい施策の一つ一つに国の同意が必要となった。

再建開始前の06年には約13000人だった人口は8600人に減少している。なかでも40歳未満のファミリー層や若年層がほぼ半減した。教育や子育て環境の不安からだ。そのため高齢化率が49%に高まり全国でもトップクラス。市民の半数が65歳以上となった。

人口が減ると商工業も衰退する。商工会議所の会員が10年前には316だったが、今や半減。シチズン時計やツムラ、マルハニチロなどの勤務先も少なくはないが、子育てを考える段になると去っていくという。

過去の負債を現在の市民に強いることでひずみが生じた。究極のひずみが人口減として現れ、現在進行形でもある。この道しか選択肢はなったのだろうか。

夕張市が歩んだ道は、今後、多くの日本の地域で起こる可能性が高い。有識者を集めた「日本創生会議」は、全国の半数の896自治体が人口減によって「消滅」する可能性があると推計している。

「わが町もゆくゆくは……」と不安に駆られた多くの自治体関係者が夕張視察に相次いで訪れている。「再生」への糸口を見いだせるのかを知りたいためだ。財政再建一辺倒から路線転換した夕張市が一段と注目が集めそうだ。

看取りの画期的な取り組みが
実は夕張市では、全国的にも「画期的」なことが起きつつある。マイナス面ばかりが強調される中で、日本の将来を先取りするような、まことに先駆的な事実が着々と広がっている。

高齢者の終末期、看取りについてである。それは「生」を充足させたうえでの「死」に臨む考え方である。

公営事業をことごとく見直しに入った夕張市にとって、医療機関も例外ではなかった。171床の3階建ての、市内で唯一の総合病院だった夕張市立総合病院を閉鎖した。同じ建物がわずか19床の小さな診療所と40床の老人保健施設に縮小された。

それまでの病院には、いわゆる社会的入院の患者も多かった。治療が不要になっても「自宅には戻れない」「安心のため」などの理由で長期に滞在していた。「腹痛でも救急車を呼んでいた」と話す市民もいる。その病院が消えてしまったのだ。

救急車での搬送先は隣町の病院になる。市民にとっては、医療に見放されたかのように思えたかもしれない。ところがである――。

まず、小さな診療所には在宅医療に熱意溢れる医師がやってきた。村上智彦医師である。夕張市は、村上医師が理事長の医療法人財団「夕張希望の杜」に指定管理者方式で運営を委ねた。10年の長期契約だった。

村上医師は、患者の自宅や特別養護老人ホーム、グループホームなどの施設に気軽に足を運ぶ。医師が自宅に来てくれると分かれば、退院を渋っていた患者も考えを改める。

予防医療にも熱心に取り組み出す。肺炎球菌ワクチンの効果を説き、胃ガンをもたらすピロリ菌の尿検査を始める。高齢者の死亡原因としてベスト3に入っていた肺炎死を減らした。

村上医師は地域住民に健康管理の重要性を説いて回った。本人が望んでいる自宅生活を続けることに手を差し伸べた。その活躍ぶりはマスコミに度々登場することで知られ、2009年には若月賞を受賞。地域医療の旗手として名声を高めた。20125月まで5年間所長としてリーダーシップを発揮したが、プライベートでの不幸な事件で引責辞任に追い込まれる。

その後、診療所の所長は次々変わったが、訪問診療に力を入れる志は引き継がれた。訪問診療を受ける患者数を見ると、村上医師が着任した翌年の2007年に44人、その後増え続けて2012年には120人になる。病院時代にはゼロだった。様変わりである。

医師が日常的に自宅や施設に来てくれれば、遠くの病院へわざわざ足の延ばす必要もなくなる。最期まで自宅で踏みとどまる気持ちになり、看取りを受け入れる。自宅介護が難しい高齢者が入居している市内唯一の特別養護老人ホーム、清光園でも同様のことが起きてきた。

ちょうど4人部屋から個室ユニットへの転換時だったこともよかった。プライバシーが確保された個室になると、自室での看取りにつなげやすい。特養での看取りが増えたが、この10年ほど市内の全死亡者数は200人前後と変わらない。医療機関が縮小したからといって、死亡者が増えることはなかった。死のあり方が変わったのである。

病院で亡くなれば、当然ながら死亡診断書には特定の病名が書かれる。だが、高齢者の多くは複数の「病気」を抱えている。老衰による細胞劣化が全身に及ぶためである。たまたま劣化が早い特定の臓器を病院では病名を付けて診断するだけのこと。

複数の臓器が同時に劣化しても、延命治療に走らなければ穏やかに亡くなることができる。訪問診療医にとっては当たり前のことだ。どの生物にも共通する自然の摂理である。日本人はそうした亡くなり方を「大往生」と呼んで、称えてきた。先人の素晴らしい表現である。

いまでは、自然死や平穏死、尊厳死と言われる。死亡診断書では「老衰死」と書かれる。夕張市での老衰死の数字を追うと、財政破綻後から急に増えている。それまではずっと03人だったが。村上医師がやってきた翌年に5人となり、その3年後には15人。5年後にはなんと30人に達した。

とりわけ特養での看取りが多い。2013年には市内の老衰死22人のうち17人、14年は同16人のうち11人が特養で亡くなった。半数以上である。診療所の医師や看護師が、訪問診療と訪問看護に熱意を傾けた結果と言えるだろう。

こうした、破綻後の夕張の医療事情を調べ上げ、20159月に書下ろしの単行本「破綻からの奇蹟~いま夕張市民から学ぶこと~」として発表したのが医師の森田洋之さん。同書は昨年11月、2016年度の日本医学ジャーナリスト協会賞の優秀賞を受けた。

森田さんは、夕張市立診療所に20094月から1年間勤務し、20135月からほぼ1年間は3代目の所長だった。村上路線を引き継いだ当事者による実体験を踏まえ、加えて一橋大学の経済学部出身だけに、経済効果まで分析している。

それによると、夕張市の高齢者1人当たりの医療費は、破綻前の2005年は839000円だったが、診療所体制に移行した翌年の2008年には724000円へと急減する。その後も70万円台が続く。

一方、北海道全体の同平均医療費は増え続けている。2012年には86万円となったが、夕張市は797000円にとどまった。約6万円も少ない。医療費抑制に大きな効果があった。後期高齢者の1人当たり医療費も約102万円で、北海道平均の約109万円より低い。

病院が消えたのに医療費は下がり、北海道全体よりも下回っている。病院がなくても高齢者の不安は醸成されなかった。むしろ、病院がない新しい環境を受け入れたようだ。

森田さんは、その住民の意識転換こそが重要だと指摘する。著書の中で「ある程度の年齢になったら、いずれ医療では解決できない問題がやってくる。『それが天命だ、老衰だ、自然死だ』との終末期に対する市民の意識が変わり、『文化』というレベルにまで夕張市民を変えた」と綴る。

病院が消えたことで、市民の間で病院依存心がなくなり、死生観の変化をもたらした。終末期のいよいよの段階になると、βエンドルフィンやケトン体の効果で陶酔感に浸ることができると言われる。脱水症状で意識も落ち、安らかに旅立つ。こうして夕張では老衰死が増えてきた。

病院が消えたことで医療への向き合い方が変わり、病院から在宅医療への道が拓かれ、そして大往生が増えたことが分かった。

日本人の死亡場所の80%近くは病院であるが、欧州諸国は50%前後。オランダは既に30%を下回った。在宅医療や在宅介護が浸透すれば死亡場所も、本人が望む「非病院」「在宅」になっていく。その引き金が、夕張市では総合病院の閉鎖にあった。

病院が多いと地域の医療費は高くなる、というのは定説である。財政破綻した都市で、定説が裏付けられた。奨励してもなかなか浸透しない在宅医療だが、思い切った外科手術もひとつの策ではないだろうか。

自分で自分の最期の姿を選びたい
昨年の15日に全国紙で女優の樹木希林さんが、ハムレットのオフィーリアに扮して森の中の池で横たわる姿が登場したことを覚えているだろうか。「死ぬときぐらい好きにさせてよ」という衝撃的な、大きなキャッチコピーが紙面に踊ったユニークな企業広告である。

その文中で、本人が「死を疎むことなく、死を焦ることもなく。ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思うのです」と記している。また「生きるのも日常、死んでいくのも日常」とも話している。

 家族や医師によって病院で亡くならざるを得ない状況の日本。樹木希林さんは、その死に方へ「おかしい」と訴えた。自分で自分の最期の姿を選びたい、そんな思いが込められている。

夕張市ではそうした状況に近付いているように見える。日本で近い将来、起きるであろう死生観の転換が始まっている。

この4月には、診療所の指定管理事業者が替わる。札幌市で東苗穂病院などを運営する医療法人社団・豊生会が、やはり10年間にわたって運営に乗り出す。

既に同会の医師など専門職が夕張市立診療所で活動しており、在宅医療重視の姿勢を引き継ぐと見られる。

診療所自体も再生事業の一環として中心部に移転する。その費用25億円も認められた。再建計画が動き出して10年、新体制で次の10年を迎えることになる。

(DAIAMOND ONLINE
・浅川澄一)


by kura0412 | 2017-03-16 09:37 | 医療政策全般 | Comments(0)

「リハビリ革命」日慢協が7つの提言

日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は9日に記者会見を開き、リハビリテーションの「革命」に向けた7つの提言を発表した。少子・高齢化の進展を見据えて「高齢者リハビリ」を確立させる必要性を訴えるといったもの。来年春の診療報酬・介護報酬同時改定に向けた要望にも反映させる方針だ。
提言は慢性期に限らず、急性期のリハビリを充実させる必要性も指摘している。会見で武久会長は、患者が寝たきりになるのを防ぐため、高度急性期機能を担う医療機関などで、リハビリの専門職が手術前から患者にかかわり、早期の退院につなげるべきだと主張した。
また、人口ボリュームが大きい団塊世代の加齢に伴い、75歳以上の患者がしばらく増え続けることに言及。そうした患者に60歳代や70歳代と同じリハビリを提供しても効果が見込めず、75歳以上の高齢者らに特化したリハビリを確立させることが「喫緊の課題だ」と述べた。
効果に応じた報酬、動画判定など提案
さらに、リハビリの報酬体系の見直しも提言。現在、リハビリを提供した医療機関が算定する診療報酬は原則、決められた範囲内で提供する時間が長いほど高くなる仕組みだが、時間の長さと報酬とを切り離し、効果(アウトカム)に応じて評価する仕組みに改めるべきだとした。
昨年春の診療報酬改定では、医療機関が提供したリハビリの効果が薄い場合に、診療報酬で評価する時間(単位数)に上限を設ける仕組みが導入された。この仕組みでは、国が定めた計算式を用いて医療機関側が効果を測り、定期的に申告している。
武久会長は、今よりもシンプルな方法で効果を評価すべきだと指摘。入院時の患者の様子を動画で撮影し、1カ月後や退院時の様子と比べて判定してはどうかと提案した。
日慢協は、同時改定に向けた要望を6月にも取りまとめる予定で、その中に提言をどう落とし込むかはこれから検討する。7つの提言は以下のとおり。
▽急性期リハビリの充実
▽癌リハビリの充実
▽出来高から完全包括制へ
▽単位数評価からアウトカム評価へ
▽知的リハビリの重視
嚥下・排泄リハビリの優先

▽高齢者リハビリの確立

(キャリブレイン)


by kura0412 | 2017-03-10 16:19 | 医療政策全般 | Comments(0)

塩崎厚労大臣「必要なら抜本的対応求める」

39日の参議院の厚生労働委員会で、塩崎恭久厚労相は、地域医療への影響が懸念されている新専門医制度について、地域医療に責任を負う立場から、「必要に応じて、地域医療に従事する医師、地方自治体の首長などを含めた場で、日本専門医機構に対して、抜本的な対応を求めていきたい」と答弁した。自民党議員で、日本医師連盟参与の自見はなこ氏の質問への回答だ。

塩崎厚労相は、2月に全国医系市長会から要望があったことに触れ、「新たな専門医の仕組みが開始されることにより、依然として地域医療に悪影響が及ぶことを懸念する向きが、まだあることが分かってきた」と説明。同市長会の会長を務める福島県相馬市長の立谷秀清氏は、塩崎厚労相や菅義偉官房長官らに、「中・小規模病院が危機に陥る懸念」「地方創生に逆行する危険と医師偏在の助長」などと懸念し、新専門医制度の見直しを求める要望書を提出していた。

塩崎厚労相は、新専門医制度は、2013年の厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書を基に、プロフェッショナルオートノミーの考えの下、民間の機関による自律的な組織として、日本専門医機構が発足したと説明。しかし、地方自治体の首長などの地域医療に対する懸念が強く、「大学病院の復権なのではないか」などと心配する声も上がり、厚労省として同機構や関係学会に慎重な対応を求めたとした。その後、同機構でさまざまな取り組みがなされているが、依然として地域医療への懸念が払拭されないことから、地域医療に責任を負う立場として、「新たな仕組みが地域医療に配慮されたものになる必要がある」とし、必要な場合には対応を検討するとと回答した。

答弁の最後に、塩崎厚労相は、「若い医師にとっては、ストレートに行っても、(専門医研修が)終わるのは29歳。女性の場合には、結婚をしたり、子どもを持つなど、いろいろなことがある時期であり、そのことが難しい問題にもつながっている。また『専門医を取得しないと、一人前に見られない』と何となく思われているが、医師国家試験を通って始めて医師であり、それ以上でも、以下でもない。その辺りをどう考えるのか。(専門医を)取らない場合に、どのように評価されるのか、ということもある。その辺りも含めて、しっかりと専門医機構に考えてもらいたいと思う。我々も地域医療に責任を負う立場から、専門医の養成はどうあるべきかを考えていきたい」

自見議員は質問に当たってまず、新専門医制度は、専門医の質の担保だけでなく、地域医療や医師の働き方にも影響してくるため、その制度設計が与える影響は大きいと指摘。この3月中旬に、日本専門医機構は、基本方針(「専門医制度新整備指針」の運用細則)をまとめる予定であり、このタイミングで、地域医療に責任を持つ全国医系市長会から要望が出たことは、「重く受け止めなければいけない」とした。

プロフェッショナルオートノミーとは、専門家集団が社会に対して責任を持つことであり、日本専門医機構は社会に対する説明責任、つまり国民などに分かりやすい言葉で説明し、理解してもらうことが必要と指摘。また医師である自見氏自身が2004年度の臨床研修必修化の初年度に研修を受け、「先行きが見えないストレスが多い時期」を当事者として経験したことに触れ、「今の12年目の研修医も同じ思いをしているだろう」と述べた。

その上で、(1)新専門医制度は、法律ではない分、日本専門医機構が能動的に関係者に説明したり、意見交換の場を設けるほか、パブリックコメントを求めるなど、制度を決定する前に丁寧なプロセスを踏むことが求められる、(2)そもそも専門医の質を高めることが目的であり、その手段としてプロフェッショナルオートノミーの仕組みとして検討されてきたが、「行き過ぎた研修プログラム制」は、「医師の時間と場所」に対して、大きな制約を与え、医師の配置にまで踏み込んでいる現状があり、「(研修プログラム制を導入するという)手段が目的化しているのではないか」――との考えを示し、塩崎厚労相の考えを質した。


(m3.com)


by kura0412 | 2017-03-10 15:31 | 医療政策全般 | Comments(0)

在宅医療・介護連携支援プラットホーム

インターネットイニシアティブ(IIJ)は、在宅医療にかかわる多職種の連携を支援するクラウド型情報共有プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」を開発した。201741日より全国の自治体、医師会、医療法人などを対象に提供を開始する。サービス利用料は、初期費用不要、利用施設・人数にかかわらず月額20万円(登録患者数5000人まで)。2020年までに約150自治体での導入を目標にしている。

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同サービスのベースになっている「電子@連絡帳」は、名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センターが開発したもの。名古屋市医師会が展開する「はち丸ネットワーク」で152診療所・36病院が利用しているのをはじめ、愛知県内35市町村が導入している実績がある。今回、IIJと名古屋大学病院がクラウドサービス化(マルチテナント化)の共同開発を進め、全国への提供開始に至った。「スタンドアロンで展開していた名古屋大学から(導入・運用)コスト面でクラウドパートナーと組みたいという要望があった。当社がヘルスケア領域への参入を検討する中で、地域包括ケアを支える社会的基盤としての意義も大きく、(ヘルスケア事業推進の一環として)取り組むことにした」(IIJ経営企画本部 ヘルスケア事業推進部長の喜多剛志氏)。

電子@連絡帳は在宅医を中心とした多職種連携のための情報共有だけでなく、急性期病院や回復期病院からの在宅移行を支援するICTプラットフォームとしても機能する。「中核病院から在宅に移行する際に、(医療情報を共有しつつ)退院時カンファレンスをICT(クラウドサービス)でできる環境を提供する。そのためセキュリティーや医療情報システムに関するガイドラインを重視しており、IIJのクラウドを使う仕組みが強みとなる」(IIJ経営企画本部 ヘルスケア事業推進部ビジネス推進課シニアコンサルタントの小椋大嗣氏)。電子証明書と利用者ID2要素認証をはじめ、いわゆる「34ガイドライン」に準拠した高いセキュリティー基盤上でサービス提供する。

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在宅医連携、多職種間情報共有をサポート

IIJ電子@連絡帳サービスの主な機能は6つ。(1)患者基本情報の登録・一覧、(2)多職種のチームが患者にひも付いて掲示板形式でコミュニケーションをとる掲示板機能、(3)疾病状況や処方情報、要介護認定の際の評価情報などをまとめた医療・介護連携サマリーや薬剤サマリー、(4)主治医意見書や訪問看護指示書の作成・発行などを支援する定型文書発行機能、(5)患者にひも付かずにグループを作成してコミュニケーションやカンファレンスなどを実施できるグループ機能、(6)文書ファイルや画像ファイルを共有するファイル添付機能、である。 クリックすると拡大した画像が開きます

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また、複数の在宅医で24時間365日対応する連携型の機能強化型在宅療養支援診療所として加算できるようサポートする。医療・介護サマリーや薬剤サマリーによる在宅医どうしの情報共有に加え、各種サマリー文書や検査結果などをファイル添付してやり取りすることで、それぞれの受け持ち患者の情報を適宜共有できる。「連携型では月1回の在宅医どうしの対面カンファレンス実施の要件があるが、(これらの機能を使いながら)非対面で連携機能強化型在宅療養支援診療所として機能できるようサポートする」(小椋氏)。

IIJ電子@連絡帳サービス単体では医療機関の電子カルテなどの施設内システム、訪問看護ステーションの介護系システムとの連携機能は提供していないが、外部接続用ゲートウエイを提供する予定もある。「電子カルテや介護系システム、あるいはバイタル測定機器の連携ニーズは高い。各社のシステムが接続できるよう、すでに構築している外部接続用ゲートウエイを要望のある自治体に個別機能として提供していく」(喜多氏)。

同社ではIIJ電子@連絡帳サービスを、20174月に北関東の自治体(人口10万人規模)で稼働させるほか、人口100万人規模の九州の自治体でも2017年度中の導入を予定しているという。機能面ではスマートフォンやタブレット端末用に最適化したアプリを開発し、マルチデバイスに対応していく。

(日経デジタルヘルス)


by kura0412 | 2017-03-04 08:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

経産省、紙カルテ外部保管のグレーゾーン解消

経済産業省は201731日、産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度に基づき、紙媒体のカルテの長期保管サービスにかかわる取り扱いを明確にしたことを発表した。

今回、カルテを長期保管するサービスについて事業者から、事業者と契約する医療機関が「診療録等の保存を行う場所について(改正医政発032515号、薬食発03259号、保発03255号)」の各要件を満たし、医師法、歯科医師法、医療法の規定に違反しないかどうかの照会があり、これに回答した。

このサービスは、事業者が医療機関からカルテを預かってほしいという要望を受け、特に廃院予定の医療機関からの「人目に触れることなく保管し、確実に処分してほしい」という要望に応えて検討したもの。紙の診療録とX線写真のみを対象とし、電子データは対象としない。個人情報保護などの観点から、カルテの入った段ボール箱のまま保管し、カルテの一時取り寄せ要求にも箱単位で対応する。ただし、再診に対応するなどデータ化したカルテが早急に必要となった場合は、スキャンしたPDFデータなどをメールなどで送付する。

関係省庁がこのサービスについて検討し、照会内容に対して医師法第二十四条第二項、歯科医師法第二十三条第二項、医療法第二十一条第一項の規定に違反しない旨、回答した。これにより、医療機関が紙カルテを外部保管する際の基準を明確にした形。経産省では、紙カルテ保管サービスの導入が進むことで、医療機関における業務効率化やこの領域でのアウトソーシング市場の拡大につながると見込んでいる。

(日経デジタルヘルス)


by kura0412 | 2017-03-03 08:46 | 医療政策全般 | Comments(0)

国保の赤字慢性化

厚生労働省は28日、自営業者や非正規社員らが加入する国民健康保険(国保)は2015年度に2843億円の赤字だったと発表した。前年に比べ赤字額が243億円減った。財政支援で1700億円の公費が入り最終赤字は改善したが、高齢化や高額薬による医療費の増額に追い付かない。国保財政はなお厳しく、制度の抜本改革を求める声がくすぶりそうだ。

国保は健康保険の一つで市町村が運営。設立当初は自営業者や農林水産業者を中心にした公的保険だったが、近年は企業を退職した高齢者や非正規社員らが増えた。加入者は3182万人。毎年生じる赤字を市町村が税金で穴埋めしている。

厚労省は15年度分から赤字額の算定基準を変えた。従来基準でみると15年度の赤字は3274億円に膨らむ。

収支が苦しい主因は給付費の拡大が止まらないことだ。15年度の保険給付費は9兆5540億円で2.1%増えた。高齢化に加え、C型肝炎向けの高額新薬ソバルディやハーボニーが登場したことも影響した。

加入者が払う保険料は2兆9506億円で3.5%減った。加入者が120万人減った影響が大きい。収納率は91.45%と6年連続で上昇したものの、給付が増えて収入が減るという大きな流れは変わっていない。

国保はほかの健康保険に比べると、加入者の高齢化が進んでいることも財政を厳しくしている。平均年齢は14年度時点で51.5歳。このうち6574歳の高齢者が4割近くを占めている。高齢化するほど医療費はかさむため、国保の1人あたり医療費は33.3万円と大企業の社員が入る健康保険組合の2倍以上だ。

加入者の収入が低めのため保険料を上げにくい面もある。意図的に保険料を低く抑えて赤字を生み、税金で補填する市町村も一部にある。

政府は国保財政を支えるために15年度から公費の投入を拡充。さらに18年度には国保の運営を市町村から都道府県に移す方針だ。運営主体を広域に改めればバラバラの保険料を統一でき、財政基盤の強化につながると期待する声がある。半面、保険料が上がる自治体では収納率が下がる恐れも指摘されている。

(日経新聞)


by kura0412 | 2017-03-02 15:25 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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