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「医師30万人の情報一元化」

医師30万人の情報一元化 厚労省がDB構築へ

厚生労働省は日本国内のすべての医師の診療科、出身大学、臨床研修先などを集めたデータベースをつくる。都道府県の担当者が閲覧することを想定。一部の地域や診療科に医師が偏っている問題の解消につなげる狙いがある。国内に医師は約30万人いるが、経歴や資格などを一括して確かめることができるシステムはなかった。年度内の運用開始を目指す。

データベースにのせるのは医師の経歴に関する情報で主に3種類ある。国家試験の合格年月日や医学部卒業後の臨床研修先を記録した「医籍情報」、現在の職場や診療科、出身大学などの「医師届出票」、そして「専門医情報」だ。
これら3つを統合して都道府県の担当者などが使用できるデータベースをつくる。それぞれのデータに医師の情報をひも付けし、医師ごとの経歴を年を追って把握することが可能になる。

都道府県側が、こうした情報を医師の偏在の解消に使えるようにする。
例えば、都道府県別に10万人あたりの医師数を見ると、最も多い京都府(308人)と最少の埼玉県(153人)では約2倍の差がある。診療科別に見ても、この20年で外科や産科・産婦人科の医師数はほとんど横ばいなのに対して、麻酔科や精神科、放射線科の医師は6~8割増えている。
ある県内の産婦人科医が高齢になり若手を確保する必要が生じた場合、データベースから県内の大学出身、あるいは臨床研修先が県内だったなどゆかりのある医師を探す。条件にあう医師が見つかれば、その医師を対象に県内への就職相談を持ちかける。医師を誘致するプログラムの開発にも役立てる。
厚労省はデータベースを使って、地域や病院ごとに「定着率」を把握することも想定。他県と共有しながら医師全体の定着率が高まることを期待している。同省は医師の偏在対策に力を入れており、この秋からは抜本的な対策の議論に乗り出す。必要であれば法律改正も検討する。

(日経新聞)




データーベース化が一歩ずつ進みます。歯科界はこの流れに追随するのか、抵抗するのか。そしてぞれぞれの課題は。その声も出てきていません。
by kura0412 | 2017-08-17 17:08 | 医療政策全般 | Comments(0)

「総務省、医療情報をクラウドで一元管理 20年度メド 」

総務省、医療情報をクラウドで一元管理 20年度メド

全国の診療所や病院が持つ医療情報などをクラウドで一元管理するシステム構築を目指し、総務省が全国各地で実証実験を始める。マイナンバーカードを活用し、遠く離れた病院間で個人の電子カルテをやりとりするほか、患者が加入している保険の確認などもできるようにし、患者の利便性を向上させる狙いだ。実現へのハードルは高いが、2020年度の稼働を目指す。

国内のあらゆる病院、診療所、処方箋を受け付ける薬局などをクラウドでつなぎ、一元管理する。まずは群馬大学医学部付属病院(前橋市)と山形県酒田市の日本海総合病院を結び、実験を始める。マイナンバーを活用し、通院歴のある患者に実際に使ってもらう。
その際に電子カルテの共通化も進める。総務省によるといまの電子カルテは病院や地域によって形式やシステムがまちまちなうえ、診療所などではまだ電子化できていないところもある。
仕様を統一しつつ、全国の病院や診療所で電子カルテを見られるようにすれば、患者がかかりつけの病院を変えた場合に、新規の医師がそれまでの電子カルテ情報を簡単に得られる。医師は患者の状態を正確かつ即座に把握できる。
また、患者が病院や診療所で受診した際の会計や加入している保険の確認といった病院側の管理コストも下げられる。
医師が出す処方箋も電子化し、診療所と薬局が電子データを共有すれば患者が薬を受け取る際の待ち時間の短縮のほか、薬の受け渡しミスの防止などが期待できる。
さらに高齢化や過疎化を見据え、遠隔診療や先端の医療研究にも活用する。遠隔診療では患者の表情や患部をみるため、高精細な画像のやり取りが必要になる。
病院が独自にシステム投資するには大きな負担がかかるため、クラウドに「4K」「8K」といった高精細・大容量のデータを伝送できるようなネットワークを整備する。実証実験には東京大学と京都大学が協力する。
クラウドで収集した医療情報を人工知能(AI)を活用して解析する。そのデータを活用し、大学や研究機関とともに創薬や新たな医療技術の開発にもつなげていく考えだ。

今回は8億円を投じて実証実験をするが、課題は少なくない。
まずは診療所や中小規模の病院を経営する開業医らへの理解を促せるか。電子カルテなどは病院の規模が大きいほど導入効果が高まるが小規模な医療機関はコストとの見合いで尻込みしがち。新システムは医療機関や患者にどのようなメリットがあるのか、日本医師会などの協力も得ながら啓発を進める必要がある。
そして個人の医療情報はプライバシーの観点から情報を共有しにくい分野だ。今回は患者のマイナンバーを活用してセキュリティーを確保するが、情報漏れを防ぐ措置はさらに必要となる。20年度の実用化にむけ、クリアすべき課題は多い。

(日経新聞)



総務省が進めていることがポイントです。ですからレセプトにはますは直結はしないのかもしれません。
by kura0412 | 2017-08-12 15:35 | 医療政策全般 | Comments(0)

一般診療所の歯科は

医師会vs財務省、診療報酬でバトルが本格化
医療費の抑制と財源確保は待ったなし

2年に1度の診療報酬改定を来年に控え、財務省と医師会の間でジャブの応酬が早くも始まっている。
きっかけは、財務省の財政制度等審議会(財政審)が5月に出した建議だ。消費者物価や賃金の伸びに比べて、診療報酬の本体部分、いわゆる医師などへの報酬部分の伸びが高すぎるとグラフで示したのだ。ちなみにグラフは1995年を起点としている。

「医療機関の報酬は高止まり」と財務省
これに日本医師会の横倉義武会長がすぐさま噛みついた。5月末の記者会見で「2007年に財政審が出した建議では、1998年を起点として診療報酬本体と賃金・物価を比較しており、指数の起点に一貫性がまったくない。財政審のグラフはかなり恣意的であり、この資料の取扱いはたいへん遺憾だ」などと猛反発した。
横倉会長は東洋経済の取材に、「40兆円の医療費のうち、人件費の割合は2000年に50%だったが、2012年は46%まで下がっている。医療に携わる300万人の人件費をしっかり確保していかなければならない」と訴える。
一方、財務省の担当者は「技術料(診療報酬本体)も実態を踏まえて決めているが、民間の賃金が下落していった1990年代後半以降、保険料などで賄われる医療機関の報酬水準が上乗せ・高止まりしてきた実態は否定できない。健康保険料が年々引き上げられ、国民負担が増えている以上、診療報酬本体について厳しく対応していく必要がある」と問題提起する。
診療報酬改定のたびに繰り広げられる、恒例のやりとりとも言えるが、増大する医療費の抑制とその財源確保は待ったなしだ。「また財務省と医師会の応酬が始まった」と傍観してばかりもいられない。
2014年11月の自民党の会議に厚生労働省が出した資料によると、医療機関の費用に占める人件費の割合は、2000年度の50.2%から、2012年度には46.4%まで徐々に下がっている。さらに、公立病院に限ったデータだが、医師の人件費は全体の約13%で、看護師、准看護師の比率のほうが高い。
医療費全体は伸び続けており、比率が下がっても人件費の金額自体はそれほど減っていないが、「医療機関の従事者数が増えており、給与単価はむしろ下がっている」(日本医師会)という。

医師給与の時系列統計がない
では、医師の給与は本当に低いのだろうか。
実は、医師の給与を時系列で追った統計データはほとんど存在せず、実態はよくわからない。わずかに厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」があるくらいだ。
それによると、医師の年間給与(決まって支給する給与×12カ月に賞与を加えて算出)は年によって大きく増減しており、ここ数年はどちらかというと回復基調にある。類似の医療・介護の職種と比べても、医師の給与水準自体高い。看護師の2倍以上、保育士や福祉施設介護員の3~4倍の水準で、トレンドも保育士や福祉施設介護員の給与はどちらかというと低下基調にあるのと対照的だ。
ちなみに、診療報酬改定の基礎資料となり、厚生労働省が2年に1度公表している「医療経済実態調査」によると、2014年度において医療法人勤務の医師の年収は1544万円、個人が営む一般診療所の医師は1185万円。病院長の給料は、医療法人が開設している病院の場合は2930万円、医療法人が開設者の一般診療所の場合は3941万円だ。ただし、この調査は時系列で追えるように作成されておらず、傾向として医師給与が増えているのか、減っているのかわからない。
横倉会長は「本体がマイナス改定なら必要な医療提供ができなくなる。多くの医療機関の利益率は2%あるかないかで、赤字病院が増え、過疎地域を含めて倒産する医療機関がそうとう出てくる」と小泉政権時代のような"医療崩壊"を懸念する。

今年6月19日には岐阜市の大手医療機関が87億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると、2000年以降の病院の倒産(負債総額50億円以上)は9件しかなく、今回は4番目に大きいという。「倒産件数は本業以外の粉飾など放漫経営が原因となって2007年にピークをつけた。リーマンショック後の金融円滑化法が医療法人にも適用され、倒産件数は落ち着いていたが、去年から30億円以上の大型倒産が目立っている」(同社情報部)。
医師会側は「2014年の診療報酬改定が消費増税分の補填を除けば実質1.26%のマイナス改定だったことや、多額の設備投資をした医療機関に対し、消費増税分の診療報酬による補填が十分でなく、経営悪化につながった」と分析している。
2015年秋に公表された直近の医療経済実態調査によると、一般病院(医療法人)の利益率は2.4~2.6%で推移しているが、一般診療所の損益差額(利益率)は15~16%前後にのぼっている(2013~14年度)。
財務省は「診療科や地域の偏在により、必要な地域・分野で医師の確保が難しく、医療提供が困難な事例があるといわれるが、医療全体の財源である(診療報酬)本体の改定率とは別の話。そもそも医療崩壊とは何を指すのか、整理が必要ではないか」(担当者)と指摘している。

議論を深めるためのデータが不足している
医師の人件費は高いのか。また、医療機関の経営は安定しているのか。こうしてみると、議論の前提に必要なアクセスしやすいデータが少なく、医療財政をめぐる議論が深まらない一因になっている。
膨らむ一方の医療費の財源を今後どうやって賄っていくのか。財源は消費税なのか、それとも現役世代が中心になって負担している保険料をさらに引き上げるのか。財源がないなら医療費を抑制する施策が必要だが、それについてのコンセンサスも見取図も今のところ存在しない。
たとえば、医師会の横倉会長は「(財源確保のため)国は必要な税をとるべき。2019年10月には予定通り消費税率を引き上げるべきで、消費税のみならず、所得税の課税限度額も下げるべきだ」と話す。しかし、具体的な数字を示しての財源確保の議論を行なっているわけではない。
来年は診療報酬と同時に介護報酬も改定される、いわゆる同時改定の年で、その増減は、歳出の相当割合を占める社会保障費のゆくえを占う試金石となる。診療報酬本体は2008年以降、5回連続でプラス改定が続いてきたが、2018年度改定ははたしてどうなるのか。「本音は本体プラス改定」(横倉会長)とする医師会と財務省のつば迫り合いは始まったばかりだ。

(東洋経済ONLINE)



ここにある一般診療所の利益が院長の所得です。但し、その中にはもろもろの経費献上できな分、また引退後の老後の貯えも加わります。歯科の場合は、病院勤務、法人化が進む医科と異なり、圧倒的にこの一般診療所です。
診療報酬アップにはここからの誤解を説明しなければなりません。
by kura0412 | 2017-08-09 14:27 | 医療政策全般 | Comments(0)

9月公表のデータが報道される

医療費、膨張に歯止め 16年度は14年ぶり減少
薬価下げなど寄与

2016年度の医療費が14年ぶりに減少に転じたようだ。
投与が急増したC型肝炎の高額薬の使用が減少したことや、薬の公定価格(薬価)を全般に引き下げたことが効いた。ただ75歳以上の後期高齢者を中心に医療費は増加が続いており、増勢基調に変化はない。高齢者の患者窓口負担見直しや医療の効率化も併せて進める必要がある。

厚生労働省は9月に概算医療費を公表する。
月次データによると16年度の医療費は今年2月までで約37兆6千億円(前年同期比0.2%減)。診療報酬明細書の審査支払機関のデータを使って、年度最後となる今年3月の医療費を推計したところ前年同月を2%前後下回った。16年度を通してみると15年度の41.5兆円から41兆円台前半に数千億円減ったようだ。
医療費は病気やケガの治療のために1年間に医療機関に支払われたお金の総額を指す。患者の窓口負担でカバーできるのは全体のおよそ1割ほどで、健康保険などからの給付が5割を占める。さらに残り4割を国と地方の公費(税)で賄っており、医療費増が財政悪化や国民負担増に直結している。
医療費はこの15年間で10兆円以上も増えた。高齢化、医療機器や技術の高度化に加え、新薬の登場などで医療費全体の2割を占める薬剤費(調剤医療費)が大きく伸びたためだ。16年度に全体の医療費にブレーキがかかった理由の一つが薬代の引き下げで、薬価全体でみた下げ幅は1.2%だった。
特に効いたのがC型肝炎の薬だ。
15年度の医療費は前の年度と比べて4%近く増加し、過去5年で最も伸びが大きかった。押し上げに寄与したのがC型肝炎治療薬「ハーボニー」と「ソバルディ」だ。調査会社アイ・エム・エス・ジャパンによると、15年度の売上高はそれぞれ2693億円、1509億円。国内医療用医薬品売り上げの1位と2位を占める双璧だ。
もっともこれらの薬は完治が見込まれるため糖尿病薬のように長い年月にわたって投与の必要がなく、16年度になると前年度の反動で投薬量が減った。さらに16年度は国が導入した、年間販売額が極めて大きい品目の価格を引き下げる仕組みの対象となり昨年4月から薬価が約3割下がった。
超高額と薬効が脚光を浴びたがん免疫薬「オプジーボ」も年度途中で薬価が下げられた。厚労省内では「高額薬価の引き下げは医療費抑制に効く」(幹部)との声が漏れる。

他の政策効果を指摘する声もある。
16年4月から患者が服用する薬を同じ薬剤師がすべて管理する「かかりつけ薬剤師制度」が導入された。複数の病院から似た薬を処方されていた場合は一部の薬の服用について中止するよう指導しており、その結果として薬剤費が抑えられた可能性がある。
同時期には処方された薬の名称や用法、用量が記載された「お薬手帳」を持参すると薬代が安くなる仕組みも導入された。薬価を中心とした医療費の抑制策の効果が出た形だ。
高額薬剤の使用抑制を巡っては救命や患者の権利保護の観点から慎重な意見がある一方、放置すれば保険財政を圧迫し公費支出や保険料負担が急増するとの不安も強く、国は薬価制度の見直しに乗り出している。「2年ごとの改定から毎年改定への変更」「費用対効果の薬価への反映」などを柱とした抜本改革の議論が厚労省を中心に進んでいる。

ただ薬価見直しだけで医療費の伸びを抑えるのは難しい。仮に16年度の医療費がマイナスになっても、17年度以降は再びプラス基調に戻る可能性が大きい。薬価以外にも必要な手立てを講じる必要がある。
医療費の約6割は65歳以上の高齢者が使っており、75歳以上だけでみると全体の4割弱だ。16年度は医療費全体が減少に転じたのに75歳以上の高齢者の医療費は2月時点で1.3%増えた。75歳以上の医療費の窓口負担は現役時代並みの所得がある人を除き1割にとどまり、医療費が増えた分の多くはサラリーマンら現役世代へのしわ寄せが強まっている。

(日経新聞)



9月に公表されるデータが新聞に抜かれています。審議会でのデータもちょくちょく日経新聞には事前に補導されています。
まぁ。W改定の前でのこのデータは少しは医療費抑制圧力に影響はあるかもしれません。
by kura0412 | 2017-08-09 08:43 | 医療政策全般 | Comments(0)

レセプト様式、請求事務等「ゼロベースで見直し」

レセプト様式、請求事務等「ゼロベースで見直し」
情報の利活用も推進、2018年度改定から段階的対応

厚生労働省は、7月12日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、「診療報酬に係る事務の効率化・合理化」と「診療報酬に係る情報の利活用」を2018年度改定から段階的に進めることを提案、診療側と支払側からともに、現場に負担がかからないように慎重に進めるとの意見が出たが、方針については了承した。厚労省は今秋頃を目途に、検討のたたき台を提示し、議論を進める方針。

厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、以前から請求事務等の簡素化などの要望が挙がっていたことを踏まえ、今回の提案の趣旨を次のように説明し、大幅な見直しを進める方針を掲げた。「レセプト様式については、これまで事務的に対応できる範囲でやってきた。しかし、レセプト記載の考え方などを、ゼロベースで見直すことはやったことはない。必ずしも次の改定(2018年度改定)で全てができるわけではないが、レセプトの在り方やその情報の利活用などについて、制約なしに考えていきたい」。

今後のスケジュールについて、厚労省は、「2020年度には、支払基金のシステム刷新が予定されていることから、「こうした動きと連動して対応を進めることが必要と考えられる」と提案。また届出・報告等の簡略化や添付書類の省略化等については、定量的な目標値を定めて取り組む方針を示した。日本医師会常任理事の松本純一氏と全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、いつ、何を実施するのかという「工程表」の作成を要望した。
「診療報酬に係る事務の効率化・合理化」については、レセプト様式の見直し(摘要欄等のフリーテキストにより記載しなければいけない部分、症状詳記などの添付書類についての負担軽減など)、施設基準の届出項目の簡素化、告示・通知等の記載の曖昧な部分の見直し、診療プロセスの記載(入院診療計画書など)を求めている算定要件の内容や必要性の精査――などについて検討。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「レセプトは、保険者にとっては“宝の山”。レセプトの役割は、診療報酬の請求というより、医療の質の分析、標準化を進めるツール」と述べ、今のレセプト様式では分析しにくいことから、「どんな疾患に対し、どんな医療行為が実施され、どのくらい医療費がかかっているのか」が分かる様式への変更を求めた。
「診療報酬に係る情報の利活用」に関して、厚労省は「レセプトはこれまで保険医療機関が診療報酬を請求するためのものという位置付けが強かったが、(中略)レセプトデータの分析・活用で、効果的・効率的な医療の提供や質の向上につながるものであり、レセプトデータのさらなる利活用を推進する必要性がある」と指摘。患者の住所情報の追加、傷病名や診療行為に関する標準的なマスターの使用を進めるほか、急性期入院医療以外の分析も容易になるよう診療実績データ(DPCデータ)の見直しを行う方針。
日本医師会副会長の今村聡氏は、レセプトなど医療に関するさまざまなデータに関する研究や実際の利活用が進む現状を踏まえ、「どこで、どんな目的で、いかなるデータが利活用されているか」について一度、整理し、委員の共通理解とした上で議論を進める必要性を指摘した。

「レセプトは、保険者にとっては“宝の山”」
厚労省の提案に対し、まず意見を述べたのは、吉森氏。「考え方は十分に理解できる」とした上で、レセプト審査だけでなく、保険者が実施するデータヘルス事業など、さまざまな場面でレセプトデータを使用していることから、今回の見直しは「システム面の改修には、相応の時間と費用が必要。それだけでなく業務面でも大きな影響が出るのは必然」と指摘。また「コンセプトを明確にして、十分な時間的余裕を持って、対策を講じることが必要。また必要最小限の見直しでスタートし、その後、拡張していくべき」と述べ、段階的対応という厚労省の方針も支持し、その工程表を作って推進していくべきとした。
同じく支払側の幸野氏が強調したのは、レセプト情報の利活用。「レセプトは、“宝の山”」であるものの、今のレセプト様式は、月単位であり、複数の傷病名がある場合、どの傷病にどんな医療行為が実施されたのかが分かりにくいと指摘し、この問題点が解決できる様式への変更を求めた。

請求事務、届出の簡素化・合理化を
診療側の松本(純)氏も、吉森氏と同様に、システム刷新などで相当の影響があると指摘し、「2018年度実施、あるいは2020年度以降に実施するものを段階的に並べて整理し、議論をしていくことが必要」と求めた。さらに、厚労省の資料で、今回の提案が「大幅な見直し」とされている意味について、質した。その答えが、前述の迫井課長の「ゼロベースでの見直し」だ。
日医常任理事の松本吉郎氏も、特に過疎地や中小の病院などでは対応が容易ではないことを踏まえ、対応のための十分な時間と、費用負担への担保などを要望。
そのほか、全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、最近は改定のたびに、診療報酬の関係資料が増えていることから、診療報酬本体およびその届出など、合理化・簡素化できる部分は進めるべきと指摘。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、これを機に、被保険者の資格確認だけでなく、請求内容についても、提出前に医療機関側でチェックできるレセプトオンラインのシステムにすべきと提案。専門委員の日本看護協会副会長の菊池令子氏は、訪問看護療養費は、介護保険ではオンライン化されているものの、医療保険ではオンライン化されていないことから、その推進を求めた。

(m3.com)



前のブログにあるAIとこれがリンクして大きな変革なるわけです。
by kura0412 | 2017-07-19 09:34 | 医療政策全般 | Comments(0)

「診療報酬、AIが審査で効率化」

診療報酬、AIが審査で効率化 厚労省

厚生労働省は、診療報酬の請求を審査する「社会保険診療報酬支払基金」の合理化策を公表した。報酬支払いの審査に人工知能(AI)を導入することを柱にした。AIの活用によって2022年度までに審査の9割についてコンピューターで処理する目標を盛り込んだ。都道府県ごとにばらつく支払いルールをできる限り統一し、業務の効率化をすすめる。
診療報酬の請求の仕組みをめぐっては、現在、医療機関から報酬の請求を受けると、基金の職員や医師らが明細書を審査している。これをAIを活用して大半をコンピューターだけの審査に切りかえる。20年度までにシステムを完成させる。
システム完成後もコンピューターだけで対応しきれない一部の審査は職員らが担うという。ただ、新規採用の抑制などで現在の職員数の2割にあたる約800人を減らす方針もあわせて示した。
また支払基金は都道府県ごとに支部があり、これまで支払いのルールにばらつきがあった。AI処理の導入にあわせシステムを都道府県で可能な限り統一することにした。審査基準も今までより明確にする。
組織の統合も検討する。
政府の規制改革会議などから「都道府県ごとにある基金支部は集約すべきだ」という指摘を受けていたことを踏まえ、厚労省は遅くとも18年度までに、一部の地域で組織を統合し、問題点を検証する。支払基金は運営経費が年間約800億円かかっており、厚労省は経費削減も求めていく方針だ。

(日経新聞)


診査そののに大きなメスを入れるチャンスでもあります。無論、逆なこともあり得ます。
by kura0412 | 2017-07-19 09:28 | 医療政策全般 | Comments(0)

「途上国で医療制度整備 政府、データ収集や薬輸送」

途上国で医療制度整備 政府、データ収集や薬輸送

財務省と厚生労働省は世界銀行や世界保健機関(WHO)と連携し、国民皆保険に代表される日本の医療システムを途上国へ提供する。国民の栄養状態といった基礎データの収集や医薬品の輸送網づくりについても支援する。まず10カ国と制度づくりに向けた協議に入る。インフラ整備で存在感を増す中国に、医療システムなどのソフト面も手厚く支援することで対抗する。

日本政府は12月に世銀やWHO、国連児童基金(UNICEF)、途上国の保健担当者を集めた会合を開く。医療システムや国民皆保険制度の整備を最終目標として途上国を支援する考えを表明する。今後、途上国で実証実験をしてシステムづくりの指針や事例をまとめる。途上国に普及を促すため、2年に1回は同じ会合を開き、進捗を確認する見通しだ。
途上国では保健所が未整備の地域も多い。予防接種やワクチンが普及しにくく、突然死する人が増えても中央政府に情報があがらず対応が後手に回る。そこでまず国際協力機構(JICA)や世銀が中心となって保健所の建設や情報網づくりの資金援助をしたりノウハウを提供したりする。
続いて住民の栄養状態や死亡率といったデータの定期的な更新に着手する。医薬品の輸送では道路や鉄道が未整備な場合に備えてドローンを使った輸送網の構築も試みる。保険財源となる税の集め方や社会保険料を元手にした社会保障制度づくりも支援項目とする。
支援対象とする国はアフリカのシエラレオネやガーナ、セネガルのほか、アジアではベトナムやカンボジアなど10カ国。アフガニスタンやスーダンのように政情が不安定な国で医療システムを構築するにはどうすればよいかといった知見も集める。日本政府は各国と支援分野の協議に入る。
日本が保健や医療分野の支援を訴えるのは、中国との違いを鮮明に打ち出す狙いがある。日本はこれまで質の高いインフラ投資を通じ、アジアの鉄道や道路、港湾の整備を支援してきた。しかし近年は中国もアジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じて貢献を高めている。
日本は昨年、世銀と組んで感染症が急拡大した場合に迅速に資金支援する枠組みをつくったほか、今年5月にはJICAがアジア開発銀行(ADB)と保健分野で人材交流や上下水道への協調融資を推進する覚書を締結。インフラだけでなく保健分野など国民の生活に密接に関わる部分の制度や仕組みを整えることで、途上国各国との連携を深める。

(日経新聞)



これこそが日本の歯科界が取り組み、日本の歯科医療を世界に発信し、貢献できる政策です。
by kura0412 | 2017-07-19 09:24 | 医療政策全般 | Comments(0)

1500億円から1300億円に

社会保障費1300億円抑制 18年度予算、自然増分
診療報酬下げ焦点

14日の経済財政諮問会議で18年度予算の議論に着手した。社保費が最大の焦点だ。財務省は診療報酬改定で薬の価格を市場実勢に合わせて下げ、医師の技術料の引き下げも目指す。診療報酬を1%下げると1000億円程度が削減できるが、自民党厚労族は反対だ。
費用対効果の薄い薬の価格を下げたり、後発薬があるにもかかわらず新薬を選んだ場合に患者負担を増やしたりするルールの導入も検討する。
介護では要介護度の低い人向けの掃除や調理など生活援助の見直しが課題。自立を妨げているとの指摘があるためだ。
子育て向けに数百億円の財源確保も必要だ。20年度末までに待機児童を解消するため、22万人分の保育の受け皿整備を始める。財務省は高所得者への児童手当の特例給付の廃止を検討する。

(日経新聞)



来年度は本年度までの1500億円から1300億円になっています。そしてその財源のメインは薬価差額です。
by kura0412 | 2017-07-19 09:20 | 医療政策全般 | Comments(0)

日経新聞・社説

医療・介護費を不断の改革で抑えよ

2014年度の国民医療費は40兆円強、介護給付費は10兆円と合わせて50兆円を突破した。国内総生産(GDP)比は早くも節目の10%水準に達している。医療・介護費は経済成長を上回って膨張しており、制度の持続性が危うい。
これまで私たちはGDPの10%を大きく超さぬよう不断の改革で膨張を抑えるよう求めてきた。
戦後ベビーブーム期に生まれた団塊の世代「1期生」が後期高齢者になるまでに5年しかない。安倍政権は制度の持続性を確かにする改革に早急に乗り出すべきだ。

安易な後期医療の財源
政権は19年10月に消費税率を10%に上げる。医療・介護費の膨張構造を温存したままでの増税は、穴が開いたバケツに水を注ぐに等しい。増税分を社会保障の充実に有効に使うためにも、まず給付抑制に主眼を置かねばならない。
政府は18年度に医療・介護の公定価格である診療報酬と介護報酬の増減率を同時に改定する。主に医療職の人件費に充てる診療報酬本体の改定率は、日本医師会を巻きこんでの大議論になろう。
デフレが続き、賃金水準が全般に伸び悩んだこの十数年、報酬本体は上昇基調をたどっている。一段の引き上げの必要性は小さい。
医療改革の重要な論点は、公の健康保険の給付範囲をどうするかだ。医師が処方する薬のなかには薬局が扱う市販薬と成分や効果・効能が変わらないものがある。このような処方薬は保険の対象から外すのが原則である。
先進医療の扱いも焦点だ。
医療技術の進歩には目を見張るものがある。がんや循環器疾患などの分野では新技術や新薬が次々に開発されている。患者本位の医療を実現させるためにも、有効性・安全性を確認したものは早く治療に使えるようにすべきだ。
それには、当座は保険対象外であっても、患者がほかの保険診療と同時に受けられる混合診療を広げるのが理にかなっている。
重複受診や多重検査を減らすには家庭医と専門医の役割分担を促すのが有効だ。医学教育を拡充させ、種々の病気を一通り診られる家庭医を育てる必要がある。
患者は重篤な病気が疑われる場合を除き、家庭医へ行くのを原則とし、必要に応じて専門医にかかる仕組みにする。双方の連携を密にすれば医療の質は高まる。
加えて医療費の負担構造の見直しが待ったなしだ。後期高齢者の医療費は税財源を主体にするのが筋である。しかし厚生労働省などは企業の健康保険組合などの拠出金を増やすことで繕った。
取りやすいところから取る策の典型であろう。社会保障・税一体改革による消費税の増税分を充てる病院補助金などは減らし、後期医療に回してはどうか。

今や年間の死亡者は130万人を超える。25年には150万人に激増する見通しだ。多死社会が到来するなかで介護保険改革が急務だ。論点は主に3つある。
第1は、真に介護が必要な人に質の高いサービスが届くよう、軽度の要介護者はその経済状況に応じて自己負担を増やすなどして給付範囲を絞り込む。料理、掃除の手伝いなど生活援助を漫然と続けていては制度はもたない。
第2は、要介護度の改善や自立の後押しだ。どのサービスがより効果的か、自治体は先進事例の研究やビッグデータ分析を急ぎ、有効な仕組みをつくってほしい。

介護の給付範囲を絞れ
第3は、要介護者を支える体制を自治体が当事者意識を持って整えることだ。末期がんの痛みを和らげるケアやみとり医療の重要性は一段と高まっている。持病を抱えていても病院より自宅や施設で暮らしたい高齢者の思いに応えるためにも、急性期病床から居住性の高い施設への転換を促したい。
介護は重労働だ。それに見合う賃金の引き上げが課題だが、財源を介護報酬だけに頼るのは無理がある。解決策の一つは、利用者が自費でサービスを受けやすくすることだ。その前提として保険サービスと組み合わせる混合介護の使い勝手をよくする必要がある。
逆風のなかで介護人材を増やすのが喫緊の課題だ。法務、厚労両省は外国人の技能実習に介護を加えるが、付け焼き刃と言わざるを得ない。経済連携協定を結んだ東南アジアの国から意欲ある人材が来やすいよう運用を見直すのが本道だ。ロボット介護をどう位置づけるかも、結論を急いでほしい。
高齢者などからの反発を恐れて医療・介護改革を先送りすれば制度がもたない。為政者は将来世代に責任を持ち、正面から切り込むべきである。

(日経新聞・社説)



人間をまるでパソコンでも作るような考え方で論じています。
by kura0412 | 2017-07-19 09:01 | 医療政策全般 | Comments(0)

いい医療の日、記念日登録

「いい医療の日」について

横倉義武会長は、6月28日の定例記者会見で、日医の設立記念日である11月1日を「いい医療の日」と定めることになったことを報告した。
日医ではこれまで、より良い医療の在り方について、国民と医師とが共に考えながら、更なる国民医療の向上に寄与していくことを目的として、日医の設立記念日と「いい(11) 医(1)療」の語呂合わせから、11月1日を「いい医療の日」に制定することを提案していた。
横倉会長は、「このたび、記念日の文化的、歴史的、産業的な発展と、記念日情報の総合窓口としての活動等に取り組んでいる一般社団法人日本記念日協会に対して、『いい医療の日』の記念日登録の申請を行ったところ、認定を受け、記念日登録証が交付された」と説明。その上で、「この登録をきっかけに、『いい医療の日』が広く国民に認知されるよう、今後もさまざまな活動に取り組んでいきたい」と述べた。

(日医HP)



歯科もこれに加えてもらうのも一考かもしれません。さて、6月4日、11月8日は記念日登録しているのでしょうか。
by kura0412 | 2017-07-04 11:21 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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