コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
以前の記事
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
健康・医療
政治・経済
画像一覧

カテゴリ:医療政策全般( 741 )

厚労省「▲1.19」財務省「▲0.9」

診療報酬改定率、数字にずれ 厚労省「▲1.19」財務省「▲0.9」

2018年度予算編成の焦点の一つだった診療報酬・介護報酬の改定率が15日、決着した。医師の技術料にあたる診療報酬本体部分は0.55%増、介護報酬は0.54%増となった。ただ薬価の引き下げ分を含めた診療報酬全体の改定率については、財務省と厚生労働省の間で数字にズレが生じている。

診療報酬は医療サービスの公定価格で、2年に1度見直される。介護報酬は介護サービスの公定価格で、3年に1度見直しており、来年度は6年に1度の同時改定にあたる。診療報酬本体のプラス改定は6回連続。介護報酬は12年度の前々回改定以来、6年ぶりの増額となった。国費ベースでそれぞれ600億円弱、150億円必要になる。
問題となっているのは診療報酬全体の改定率だ。
診療報酬は本体部分と薬や医療機器の公定価格である薬価部分からなる。薬の値段は販売競争によって公定価格より下がることが多く、2年に1度、市場での流通価格に沿って薬価を引き下げることで価格差を解消している。
現在、財務省と厚労省とで薬価引き下げの割合が異なり、全体の改定率も違ってきている。財務省は薬価の引き下げ幅をマイナス1.45%とし、厚労省はマイナス1.74%とする。診療報酬の本体部分はプラス0.55%とすることで一致しているため、差し引きした診療報酬全体の改定率は財務省がマイナス0.9%、厚労省がマイナス1.19%となる。
厚労省は来年度から始まる薬価制度改革によって捻出できた財源を含めた計算としており、財務省よりもマイナス幅が大きくなっている。厚労省には医療費抑制の効果を大きくみせたい思惑があるとみられる。ただ2つの役所の数字が異なれば、医療現場での混乱を招きかねない。両省の見解を擦り合わせる必要がある。

(日経新聞)



何故薬価引き下げの割合が異なるのか?よく分かりませんが、厚労省と財務省との考えが違うようです。
by kura0412 | 2017-12-16 09:54 | 医療政策全般 | Comments(0)

『何かを削る』ではなく、公的な保障として『何を守るのか』と発想を転換すべきだ

皆保険守るための取捨 将来にツケ回さぬ
砂上の安心網 2030年への責任

病気やけがをしても実際の治療費の1~3割のお金を支払えば誰でも治療を受けられる。取材班も「当たり前」と思っていた国民皆保険制度は瀕死(ひんし)の状態に陥っている。
「3万円の高級スキンケアより効果あり!?」「最強の保湿剤が格安で手に入る」という情報がインターネットなどで流布している。「ヒルドイド」というアトピー性皮膚炎などの薬だが、ネットでは「医師に処方してもらえば300円程度で入手可能」と勧める。
最近の処方量を分析した健康保険組合連合会は「化粧品代わりに処方してもらうことが流行している可能性が高い」とみている。
湿布も大量に医療機関で処方されている。取材班が調べたところ、2014年度に53億枚以上が処方され、金額は約1300億円。原則1割負担で入手できる75歳以上への処方が半数を占めていた。
格安なのは健康保険から9~7割が支払われているから。「少し多めに処方してほしい」。薬局で買うより圧倒的に安いため、軽い気持ちでお願いした覚えはないだろうか。

そんな「当たり前」はもう通じない。
15年度に健康保険の対象となった医療費は年約42兆円。このうち患者の負担は1割強で済んでいるが、残りは主に働き手が負担する保険料と国や地方の税金で賄っている。年数千億~1兆円近く増え続けており、働き手の負担増や国などの税収増には限りがある。
1年間連載を続けた取材班は「国民皆保険は守るべきだ」という思いをさらに強くしている。「自分や家族が重い病気になる」と考えている人は少ない。予想外の事態を前に皆保険で救われた人を取材し、さらに記者本人や家族も安心して治療を受けられた経験があるからだ。
どうすればいいのか。厚生労働省は薬剤費の毎年改定で最大年2900億円の削減効果があると試算。それでも医療費の急増に対して薬剤費の価格を下げるだけでは焼け石に水だ。
診療報酬の配分を決める厚労省の審議会で公益委員を務めた慶応義塾大学の印南一路教授は「『何かを削る』ではなく、公的な保障として『何を守るのか』と発想を転換すべきだ」と説く。そして守るものとして生命と自由を挙げる。
印南教授らは現在の医療費から試算し、生命を守るため致命的な病気を治す「救命医療」は24.2兆円、自由を守るため重症化を防ぐなど「自立医療」は11.8兆円が必要とはじく。現状との差額の数兆円分については「湿布などを含め保険対象から外すことを議論すべきだ」とする。
これまでの「当たり前」はすでに将来世代への借金で支えられている。団塊の世代が80歳以上となる2030年でも皆保険を守るためには痛みを伴う選択肢しかない。将来にツケを回さないように国民皆保険の線引きを決めるのは今だ。

(日経新聞)
by kura0412 | 2017-12-05 12:00 | 医療政策全般 | Comments(0)

朝日新聞の情報ですが・・・

診療・入院料引き上げへ 報酬改定、薬価下げ財源

来年度の診療報酬改定について、政府は診察料や入院料などの公定価格となる「本体」部分を引き上げる方針を固めた。薬代の「薬価」の引き下げで、高齢化に伴う社会保障費の自然増の抑制目標達成にめどが立ち、財源が確保できる見通しとなったためだ。
診療報酬は2年に1度見直される。引き上げれば医療機関の収入が増え、財源の公費や保険料、原則3~1割の患者の窓口負担も増える。政府はすでに、本体と薬価から成る診療報酬全体はマイナスとする方針を決めており、医師らの人件費などに回る本体の扱いが焦点となっていた。

政府は来年度予算で、社会保障費の自然増を5千億円ほどに抑える目標を掲げる。達成には1300億円ほど削る必要があり、薬価の引き下げでどれだけ財源を確保できるか精査してきた。薬は仕入れ値が徐々に下がるため、薬価は改定のたびに下がる。直近の調査で実勢価格が公定価格より10%前後低く、1千数百億円捻出できるとわかり、達成が確実となった。
本体の引き上げは6回連続で、具体的な改定率は年末までの予算編成作業で決める。1%上げるには約1200億円の国費が必要で、患者の窓口負担も約600億円増える。前回2016年度改定の0・49%が一つの基準となりそうだ。
本体をめぐっては財務省や医療費を払う側の保険者団体などが引き下げを要求。一方、医療団体は厚生労働省の昨年度の調査で病院の利益率がマイナス4・2%の赤字だったことや、安倍政権が財界に3%の賃上げを求めていることから引き上げを求めている。政府は本体の引き上げで、安倍政権を支持する日本医師会に配慮する思惑もあるとみられる。

(朝日新聞)



昨今、フェイクニュースで話題が多い朝日新聞の情報ですからどうなのでしょうか。
by kura0412 | 2017-12-04 11:05 | 医療政策全般 | Comments(0)

食事指導や受診促進で医療費抑制

2018年度 同時報酬改定 糖尿病性腎症 重症化防ぎ医療費抑制 食事指導や受診促進で

高齢化を背景に増え続ける医療費。1年間に全国の病院へ支払われた医療費の総額「国民医療費」は、30年間で倍増し、2015年度には42兆円に達した。伸びを抑制するため多くの自治体が取り組むのが、糖尿病の進行に伴って生じ、人工透析の要因となる「糖尿病性腎症」の重症化予防だ。国は地域によって大きく異なる医療費のデータを示し、取り組みを促す。

「ラーメンを食べるなら野菜を入れたら栄養バランスがよくなりますので、食べても構いませんよ。ただスープは飲まないでくださいね」。10月中旬、糖尿病患者を対象とした東京都荒川区の栄養相談。主治医の紹介で訪れた70代女性に、管理栄養士が助言した。女性は「ラーメンは大好きなんだけれど、カロリーが高いと思って我慢していました」と笑みを浮かべた。
糖尿病は年齢が上がるほど患者が増える傾向にあり、高齢化の進展とともに増加の一途をたどる。厚生労働省の調査によると、16年時点で過去最多の約1000万人。調査を始めた20年前と比べ、約310万人増えた。透析を受ける人も増え、日本透析医学会によると15年末時点で約32万人に達している。最も多いのが糖尿病性腎症で、約4割を占める。
自治体が糖尿病性腎症の重症化予防に取り組むのは、適切な食習慣を続ければ予防できることに加え、透析を始めると医療費が1人年間500万円と高額になるためだ。
荒川区は全国の中でも、早くから重症化予防に取り組んできた。栄養相談の他に、区の国民健康保険では、受診記録に当たる診療報酬明細書(レセプト)や特定健診のデータから病名や投薬状況を分析して透析が必要になる恐れの高い人を見つけ、主治医と連携しながら個別に半年間の保健指導を実施している。

厚労省も、こうした取り組みを広げるため16年に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、各地でプログラムを作って対策を始めるよう促した。
長野県はいち早くプログラムを作った。同県では糖尿病性腎症が悪化して透析を始める人は年間約240人。特定健診とレセプトのデータから、糖尿病性腎症の進行度の目安となる「ヘモグロビンA1c」の血中濃度が高いのに未受診だったり治療をやめたりした人に、市町村職員が電話や自宅訪問をして健康診断の受診を勧めている。医療費削減効果は透析を始める人をゼロにできれば最大11億8000万円になるという。
同県松本市は、薬剤師にも協力してもらうユニークな事業を15年から始めた。医師と患者との相談の上で、「減塩しょうゆを使う」「食後にお菓子を食べない」などの実現できそうな目標を立て、かかりつけの薬剤師が月1回面談して目標達成をサポート。2年間で計29人が参加し、現時点で参加前より腎症が重症化した人はいないという。
同市の国民健康保険は、被保険者の高齢化に伴う歳入不足のため、16年度に保険税率を引き上げている。担当者は「医療費の抑制、適正化のためには、できることは何でもやっていかなければいけない状況だ」と危機感をあらわにする。

「地域差」半減目指す 達成できれば2兆円超削減
都道府県ごとの医療費に地域差があることは以前から言われており、医療費の高い地域は、人口当たりの医師・病床数が多い▽人口当たりの糖尿病や肝臓病患者が多い--などが共通している。
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は2015年、医療費の地域差を半減するよう提言した。医療費削減効果は、1人当たり医療費が最少の千葉県(当時)に対する各都道府県の差額を半分にすれば、2兆1600億円になると試算した。
医療費削減のため国は人工透析や磁気共鳴画像化装置(MRI)の撮影件数などデータの「見える化」を進め、どこで差が生じるかもわかるようになってきている。
厚生労働省によるとさらに、同じ月に複数の医療機関から同種の薬を処方される人や、多種類の薬をもらっている人の割合にも都道府県差があることが判明している。

厚労省は、自治体と医療機関が連携して取り組みやすい、糖尿病性腎症の重症化予防▽薬の重複投与防止▽後発医薬品の使用率向上--などにより地域差の縮減を目指しており、都道府県に主体的な役割を求めている。

(毎日新聞)



この視点で取り組めば歯科からの要望は認めてもらえるはずなのですが。
by kura0412 | 2017-11-30 11:15 | 医療政策全般 | Comments(0)

次期改定のターゲットは

薬局が病院の周りにやたらと溢れかえる事情結局、
患者の薬代負担を増やした政策の是非

「何でこの薬局を選んだのかだって?そりゃ、いちばん近かったからパッと入っただけだよ。それ以外の理由は特にないねえ」。そう話す70代の男性が通う東京都立墨東病院は、墨田、江東、江戸川3区で唯一の救命救急センターを備える、東京都東部地区の中核病院だ。外来患者は1日平均約1400人。病院の外来入り口から緩いスロープを30メートルほど歩くと、細い道を挟んだ向かいに6店の薬局が目に入る。

目につく違いは看板の色ぐらい
「処方せん受付」「保険薬局」・・・・・・、掲げている内容はどこも同じで、目につく違いは看板の色ぐらいだ。男性は横断歩道をわたってすぐの、病院正門から最も近い薬局に入ったが、ひとえに「近さ」がここを選んだ理由だという。正門真正面の2店の薬局は、5~15人ぐらいの患者で待合室は満席が続いていた。他方で、少し奥まった立地だと、まばらな客入りの薬局もあった。同じ薬局から出てきた70代の女性は病院への不満を募らせていた。「もう何年も通っているが、いつも処方箋をもらって薬局に行って、また会計で病院に戻るなど、行ったり来たりの繰り返しで疲れる。なぜ病院で全部済ませてくれないのかと、ずっと思っている」。病院内にはこう掲示されている。「当院では厚生労働省が推進する医薬分業に沿い、原則、すべての外来患者さんに院外処方箋を発行し、お薬を院外の保険薬局でお受け取り頂いております」。
現在、日本全国の薬局数は約5万8000店。病院などとは異なり薬局の開設許可には需給面からの規制がなく、右肩上がりで増加している。同じく伸長しているコンビニの店舗数(約5万4000店)より多く、ガソリンスタンド(約3万2000店)や郵便局(約2万4000店)といった社会インフラをはるかに凌駕している。
薬局急増の背景には、薬の処方は医師が、調剤は薬剤師が分担して行う「医薬分業」が、国策として強く推し進められてきたことがある。病院が院外処方箋を発行するようになると、それを目当てに病院の近隣に多くの「門前薬局」が林立するようになった。同様の風景は大病院の近くでは随所に見られる。東京・品川区の旗の台駅から商店街を抜けると、一際高いビルがそびえ立つ。1日平均の外来患者数が同じく約1400人の昭和大学病院だ。周囲には飲食店に交じって、背の低い14の薬局が密集して軒を連ねている。以前は静かな住宅街だったところで再開発が進み、薬局の出店が断続的に続いた。「もうそろそろ飽和しただろうと思っていたら、また1店建ったという感じで、気がついたらずらりと並んでいた」。地元の商店主は当時を振り返る。それから十数年、店舗の入れ替わりはあっても、薬局の数は減っていない。商店主は、「これだけあるのにどうやって経営を成り立たせているのか、つくづく不思議に思う」と話す。

門前薬局ほど楽な商売はない
「門前薬局をビジネスとして考えると、これほど楽な商売はない」。あるチェーン薬局の幹部は実情を語る。病院の前に店さえ出せば、自動的に患者が入ってきてくれるため、「顧客開拓なんて必要ない。その病院に合わせた薬に限ってそろえればいいので、在庫リスクも小さい。保険収入なので、取りはぐれがないのも大きい」。そうしたビジネスモデルのため、「買収案件は枚挙にいとまがなく、これまでは個人経営の小規模店であっても、だいたい年商ぐらいの値段がついた」と、ある薬局コンサルタントは話す。この人物が知る中でも数年前、2店で年商5億~6億円ほどの薬局に、やはり同額ぐらいで買い手がついたという。チェーン薬局幹部によれば、「門前薬局の決め手は何と言っても立地。病院の出入り口に近ければ近いほどいい。それで評価額も大きく変わってくる」のだという。
こうした状況を国も問題視している。
2015年、政府の経済財政諮問会議で当時の塩崎恭久厚生労働相は、「病院前の景色を変える」と発言し、乱立する門前薬局のあり方の是正に意欲を見せた。後任の加藤勝信厚労相も同様の認識を示し、2018年度の調剤報酬改定では、門前薬局に厳しい内容が見込まれる。実際、10月25日に開催された財務省の財政制度等審議会の分科会では、薬局の調剤報酬の大幅な引き下げを据える方針を示した。

財務省がそうした方針を示した背景には、薬局の収入である調剤医療費は、2001年度の3.3兆円から2016年度には7.4兆円へと2.2倍に膨らんでいることがある。この急増の理由の一つとして考えられているのが、先に触れた医薬分業の推進だ。
医薬分業を進めるため、病院や診療所が薬を出す院内処方より、外の薬局で受け取る院外処方の技術料が高く評価されてきた。薬剤師の人件費など薬局の運営費用を考慮したためだが、その結果、同じ薬を処方する場合であっても、院外処方の場合は院内処方と比べて3倍超の技術料が算定されている。
国が医薬分業を推進したのは、処方される薬を医師と薬剤師双方がチェックすることで安全性を担保するとともに、医師が薬から利益を得るために患者に不用な薬を大量に出す「薬漬け医療」を減らせば、医療費も大幅に抑制できると判断したためだ。だが実際は薬剤費に薬局の技術料分が上乗せされるため、医薬分業が進めば進むほど、調剤医療費は増加することになる。国の狙いは外れ、大手チェーン薬局が高収益を享受する一方で、調剤医療費は逆に膨らむ羽目になった。
実際、財務省が示した高血圧や糖尿病などで28日分の内服薬が処方されたケースでは、薬剤費を除く投薬費用に関しては、3割の自己負担分だけでも、院内処方だと420円で済むところ、院外処方だと1820円と4倍以上になる。問題は患者がこの差を納得できるだけの機能を、薬局が果たしているのかどうかだ。薬局の報酬となる技術料(調剤医療費7.4兆円のうちの1.8兆円)は、処方箋受け付け1回ごとに算定される「調剤基本料」、処方する医薬品の錠数などによる「調剤料」、服薬指導の「薬学管理料」から成る。

調剤も服薬指導も誰がやっても同じ作業
その実態は、「基本料は単なる入場料で、調剤も医師の処方箋の記載どおりの作業。服薬指導もマニュアルどおりに話せばよいだけ。つまり誰がやっても同じ作業で、薬学部で学んだ専門性を生かす機会がまったくない」と、複数の薬剤師は口をそろえる。
こうした指摘に対して、厚労省は2015年10月、「患者のための薬局ビジョン」を発表した。核となったのが、「かかりつけ薬剤師・薬局」だ。2025年までにすべての薬局は24時間対応や在宅対応を果たすことが必要だとする、薬局再編像を示した。この方針を受けて前回の2016年の報酬改定で新設されたのが「かかりつけ薬剤師指導料」だ。一定の要件を満たした薬剤師が患者の同意を得れば、従来よりも高額の報酬を算定できることになる。
厚労省幹部は「医薬分業にはコストに見合うメリットがあるというのが厚労省の考えで、かかりつけ薬剤師の果たす役割はそれを示すものだ」と、その狙いを語る。ただこれは、院内処方に比べ3倍超かかる費用に見合う価値を薬局・薬剤師が提供しているのかという、本来の問いに対して直接答えたものではない。「批判をかわしたどころか、逆に新たな加算をつけるなど肥大化している」(政府関係者)といった声もある。
調剤報酬の改定をめぐる議論が11月から本格化する。
今回の財務省の問題提起は、特定の形式ありきではなく、患者にとって本当にメリットのある薬局・薬剤師のあり方とは何なのか、ゼロベースで議論する格好の機会になるといえそうだ。
(東洋経済ONLINE)



次期改定でターゲットになっている調剤です。どこまで医薬分業の対価としてのメリットをアピールできるか。それが成せなければ調剤への風当たりは暫く続きそうです。
by kura0412 | 2017-11-06 11:18 | 医療政策全般 | Comments(0)

『給付抑制が「医療崩壊」に繋がるわけではない』

給付抑制が「医療崩壊」に繋がるわけではない給付と負担のバランスをどう取るべき

衆議院議員総選挙も終わり、2018年度予算編成に向けた議論が加速し始めた。来年度予算の最大の焦点の1つは、「診療報酬」「介護報酬」の同時改定だ。つまり来年以降の「医療給付」と「介護給付」をどのように出すかを決める。給付を増やせば、より充実した医療や介護ができる。しかし、財源がなければ、給付はできない。1~3割の自己負担が医療や介護にもあるから、給付が増えると、相似拡大的に自己負担も増えることになり、患者や利用者の財布を直撃する。さらに、給付財源の半分は保険料で負担することになっているから、給付が増えると、保険料負担も増えることになる。保険料は、病院や介護施設に行かない人にも負担を求めるから、保険料が増えると、元気な人でも負担増となる。最も大事なポイントは、給付と負担のバランスをどうとるかだ。負担には限界があるから、給付を抑制せざるをえない。この観点は、高齢化が進んで医療や介護の給付が年を追うごとに増大する今日、ますます重要となっている。

所得の伸び以上に医療給付が増えるとどうなるか
10月25日開催の財政制度等審議会で出された資料では、最近3年間で雇用者報酬(働いている者が受け取る給与等の総額)が年率1.3%増加しているから、その範囲で給付が増えるなら保険料率は上げずに済むが、それを超えた率で給付を増やせば保険料率を上げざるをえない、ということが明確に示されている。被用者の保険料は、所得に比例して徴収されているから、給料が増えるのと同程度に、社会保障の給付が増える分には、負担率(保険料なら保険料率)は変わらない。が、それを超えた率で給付が増えれば、保険財政上、保険料率を上げて対応することになる。事実、医療保険ではこのところ、雇用者報酬の増加率を上回る率で給付が増えているため、保険料率は上昇の一途である(介護保険・介護報酬については別の機会に譲りたい)。医療費総額の伸びを、最近3年間でみると、年率2.6%となっている。この伸びには、高齢化による影響もあるし(75歳以上の高齢者は若者より1人当たり医療費が高い)、2年に1度の診療報酬改定による影響もある。最近3年間の趨勢でみたとして、医療で保険料率を上げないようにするには、医療費総額の伸びを年率1.3%以下にしなければならない。単純にいえば、医療費が年率2.6%で伸びているのを年率1.3%の伸びに抑えるには、年率1.3%分の抑制をかけなければならない。診療報酬改定が2年に1度であることを考えると(2018年度に改定されるとその単価は2019年度も据え置かれる)、1.3%×2年分で、改定1回当たり、2%台半ば以上の診療報酬総額の引き下げが必要だ。そうしないと、被用者の保険料率は引き上げられ、負担増となる。この主張に対して、日本医師会は10月25日の定例記者会見で早くも反論し、診療報酬のプラス改定を主張している。財務省は診療報酬のマイナス改定を主張する反面、日本医師会や医療関係諸団体はプラス改定を要望しており、両者の隔たりは大きい。とはいえ、今年末までには、診療報酬の大枠を決めなければならないから、残された時間は少ない。どう決着をつけるのか。何かと注目されるのは、総額としての診療報酬がプラス改定になるのかマイナス改定になるのか、だ。ただしそれは、結果的な仕上がりの姿であって、内容を具体的に見る必要がある。診療報酬は「薬価等」と「診療報酬本体」に分解できる。診療報酬本体とは技術料であり、医師や看護師など医療従事者の人件費や医療機関の経費に相当する。薬価等と診療報酬本体の足し算として、総額としての診療報酬の姿が決まる。これを2018年度政府予算案を取りまとめる今年末までに決めなければならない。

薬価下げて技術料は上げ、両者のメンツを保った
このところ医薬品の単価は、1度使われ始めると下がる傾向にあるから、「薬価等」はほぼ確実に引き下げることとなる。もちろん、高額な単価の新薬が出るという要因はあるが、ここでの薬価は使われ始めた医薬品のものである。薬価等で報酬を引き下げられれば、診療報酬総額もマイナス改定にすることが可能となる。他方、「診療報酬本体」(技術料)でどうなるか。診療報酬本体は、日本医師会をはじめとする医療関係者が最も関心を寄せるところで、これがプラス改定にならないと、彼らの面目が保てない。これまで診療報酬改定をめぐり、医療関係者は、薬価等で引き下げれば、その分、診療報酬本体を引き上げられる余地(財源)が出るから、その余地をできるだけ多く使って診療報酬本体を上げてほしい、と要望してきた。が、財務省は、薬価等の削減分は診療報酬本体と関係ないものだから、薬価等で”はがして”診療報酬本体で”つける”やり方は認めない、と対抗してきた。こうした膠着状態から、薬価等を下げて診療報酬本体を上げ、総額としての診療報酬でみればマイナス改定、というところで落としどころを見つけてきたのである。そうすれば医療関係者も財務省も両者顔が立つからだ。現に前回2016年の改定では、薬価等では改定率にしてマイナス1.33%、診療報酬本体では改定率にしてプラス0.49%で、両者を合わせてマイナス0.84%となった。もっとも、薬価等を大きく引き下げれば、今度は製薬会社や薬局の猛反発を招く。特に、日本で新薬開発に熱心な製薬会社からは、薬価を大きく引き下げれば新薬の開発が滞り、安倍晋三内閣の成長戦略にも支障を来す、と圧力がかかっている。とはいえ、雇用者報酬の伸び以上に、総額としての診療報酬が伸びると、被用者の医療保険の保険料率を引き上げざるをえなくなる。この保険料負担は、本人負担分だけでなく、雇い主である企業側も、事業主負担分として増えることになる。企業にとっては人件費の増加圧力だ。だから経済界は、医療保険料の負担増には反対しており、診療報酬の引き下げを主張している。2018年の診療報酬改定について、今年ならではの案件があるとすると、それは「薬価制度の抜本改革」である。つまり、安倍内閣として取り組むことにした薬価制度の抜本改革で、薬価等の引き下げにつながる取り組みがあれば、それを今回の診療報酬改定に生かそうというのだ。その1つとして、新薬の開発を支援するためとして設けられた、「新薬創出加算」という診療報酬の制度が焦点となっている。新薬創出加算とは、革新的な新薬の創出などを目的に、後発品(ジェネリック)のない新薬に薬価の加算を認めて、実質的に薬価が下がらないようにする仕組みだ。これによって製薬会社は、趨勢的に下がるはずの薬価を維持でき、収益を確保できる。ただその新薬創出加算は、真に革新的な新薬かを厳密に精査せず、大半の新薬に認められているため、単純計算すると、直近で年約2500億円の加算が認められたのと同然の効果となっているという。ちなみに診療報酬総額の1%分とは4500億円である。財務省は、この加算に対するゼロベースの見直しと、費用対効果についての評価を提案している。わが国として、革新的な新薬の創出は望むところだから、画期性や有用性をエビデンス(科学的根拠)に基づいて評価し、認められたものだけに薬価で優遇するという方向性だ。画期的でもなく、有用でもない”新薬”にまで、加算を認める必要はない。

薬価引き下げがないと保険料率は上がりかねない
薬価等をかなり引き下げられれば、診療報酬総額を大きくマイナス改定にできる可能性はある。薬価等で1%程度の引き下げしかできなければ、診療報酬本体でも1%程度の引き下げをしないと、総額としての診療報酬の2%半ばの引き下げはできない。よって被用者の保険料率も上がりかねない。もちろん医療の今後を考えれば、今回の診療報酬改定でとうは、医療機能の分化・連携の強化、地域包括ケアシステムの構築推進、患者への価値中心の安心・安全で質の高い医療実現をはじめ、細かな医療の検討項目を深く議論することは重要だ。それは総額としての診療報酬改定の議論と同時進行で、社会保障審議会医療保険部会や中央社会保険医療協議会(中医協)などで議論が進んでいる。わが国の診療報酬改定のスケジュールとしては、来年度政府予算案の閣議決定までに医療費総額の改定率を年内に内閣が決め、総額の改定率が決まった後、年明けに細かな医療の各項目に対する診療報酬のメリハリづけを決める仕組みとなっている。ここはいったん立ち止まり、診療報酬のあり方について、本稿で述べたような議論も必要ではないか。国民の医療費負担とのバランスを考えれば、給付抑制が「医療崩壊」につながるわけではない。年末に向け、診療報酬改定こそ、注視しなければならない。

(東洋経済ONLINE:土居文朗)
by kura0412 | 2017-10-30 16:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

いよいよ本番です

入院から在宅へ 6年に1度の医療・介護の同時改定 マイナス改定が焦点に

財務省と厚生労働省は25日、2018年度予算編成を巡り、診療報酬と介護報酬の改定の検討に入った。6年ぶりの同時改定により、団塊の世代が75歳以上になる超高齢化社会を前に、効率的な医療・介護の体制を整える。両省は入院から在宅へ誘導する考えだが、社会保障給付費の抑制にどこまでつながるか。持続可能な社会保障制度に向け調整を急ぐ。

●基本的な考え方
25日に開いた財政制度等審議会で政府内の検討が始まった。試算だと社会保障給付費は全ての団塊の世代が75歳以上になる25年度に148.9兆円と17年度から23%増える。内訳をみると、年金はあまり増えないが、医療費は38%増、介護費は86%増にそれぞれ膨らむ。両報酬をマイナスにできれば、社会保障給付費を抑え、国民負担の増加も和らげられる。両省は6年ぶりの同時改定にあわせ、医療と介護のあり方を一体的に見直す。患者の需要にあった効率的なサービス体制を整えるのを課題とする。入院患者を減らし、地域の医療・介護サービスを受けながら在宅で過ごす人を増やせるようにするのが理想的な姿だ。現在は重症患者のための「急性期病床」を多くそろえた医療機関に手厚く診療報酬を回す仕組みになっている。高齢者がリハビリできる「回復期病床」の需要が大きいのに、提供体制は急性期病床に偏りが激しい。報酬の構造を変え、超高齢化社会への対応を急ぐ。

●どこに切り込む?
財務・厚労両省はこうした考え方に沿って、診療・介護の両報酬を見直す。急性期病床に偏重した医療体制など、患者のニーズにあわず、医療費の無駄を生んでいる可能性がある。財務省は診療報酬の算定基準を厳しくする方針で、厚労省も報酬下げの検討に入る。削減する一方で、自宅を中心とした地域での医療・介護の連携サービスには診療報酬で支援する。財務省は算定にメリハリをつける考えだ。医療・介護のサービス費用の効率化も目指す。財務省は重複投与を防止する取り組みがおろそかな薬局への報酬を下げる方針。費用対効果の低い高額な医薬品の薬価も下げる。介護では一人暮らしの家を訪れ家事などを援助するサービスで、月100回以上利用するケースもある。財務省は1日当たりの報酬に上限を設けるよう求める。

●水準前回16年度の診療報酬改定率はマイナス0.84%だった。
財務省は今回、2%台半ば以上のマイナス改定を目指す。薬価引き下げに併せ、医師の給与にあたる本体のマイナス改定も求める構え。1%引き下げると、税金や保険料、患者の自己負担の合計で約4500億円減る。財務省は介護報酬についてもマイナス改定を主張する。前回15年度は2.27%のマイナスだった。ただ診療報酬については日本医師会のほか、与党議員にはプラス改定を求める声が強い。介護報酬も厚労省や介護事業者はプラス改定で譲らない構え。年末まで関係者間の攻防は激しくなりそうだ。
(日経新聞)


総選挙が終わり、いよいよこの話題が政治課題として議論が交わされます。いよいよ本番です。
by kura0412 | 2017-10-26 14:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

「医師30万人の情報一元化」

医師30万人の情報一元化 厚労省がDB構築へ

厚生労働省は日本国内のすべての医師の診療科、出身大学、臨床研修先などを集めたデータベースをつくる。都道府県の担当者が閲覧することを想定。一部の地域や診療科に医師が偏っている問題の解消につなげる狙いがある。国内に医師は約30万人いるが、経歴や資格などを一括して確かめることができるシステムはなかった。年度内の運用開始を目指す。

データベースにのせるのは医師の経歴に関する情報で主に3種類ある。国家試験の合格年月日や医学部卒業後の臨床研修先を記録した「医籍情報」、現在の職場や診療科、出身大学などの「医師届出票」、そして「専門医情報」だ。
これら3つを統合して都道府県の担当者などが使用できるデータベースをつくる。それぞれのデータに医師の情報をひも付けし、医師ごとの経歴を年を追って把握することが可能になる。

都道府県側が、こうした情報を医師の偏在の解消に使えるようにする。
例えば、都道府県別に10万人あたりの医師数を見ると、最も多い京都府(308人)と最少の埼玉県(153人)では約2倍の差がある。診療科別に見ても、この20年で外科や産科・産婦人科の医師数はほとんど横ばいなのに対して、麻酔科や精神科、放射線科の医師は6~8割増えている。
ある県内の産婦人科医が高齢になり若手を確保する必要が生じた場合、データベースから県内の大学出身、あるいは臨床研修先が県内だったなどゆかりのある医師を探す。条件にあう医師が見つかれば、その医師を対象に県内への就職相談を持ちかける。医師を誘致するプログラムの開発にも役立てる。
厚労省はデータベースを使って、地域や病院ごとに「定着率」を把握することも想定。他県と共有しながら医師全体の定着率が高まることを期待している。同省は医師の偏在対策に力を入れており、この秋からは抜本的な対策の議論に乗り出す。必要であれば法律改正も検討する。

(日経新聞)




データーベース化が一歩ずつ進みます。歯科界はこの流れに追随するのか、抵抗するのか。そしてぞれぞれの課題は。その声も出てきていません。
by kura0412 | 2017-08-17 17:08 | 医療政策全般 | Comments(0)

「総務省、医療情報をクラウドで一元管理 20年度メド 」

総務省、医療情報をクラウドで一元管理 20年度メド

全国の診療所や病院が持つ医療情報などをクラウドで一元管理するシステム構築を目指し、総務省が全国各地で実証実験を始める。マイナンバーカードを活用し、遠く離れた病院間で個人の電子カルテをやりとりするほか、患者が加入している保険の確認などもできるようにし、患者の利便性を向上させる狙いだ。実現へのハードルは高いが、2020年度の稼働を目指す。

国内のあらゆる病院、診療所、処方箋を受け付ける薬局などをクラウドでつなぎ、一元管理する。まずは群馬大学医学部付属病院(前橋市)と山形県酒田市の日本海総合病院を結び、実験を始める。マイナンバーを活用し、通院歴のある患者に実際に使ってもらう。
その際に電子カルテの共通化も進める。総務省によるといまの電子カルテは病院や地域によって形式やシステムがまちまちなうえ、診療所などではまだ電子化できていないところもある。
仕様を統一しつつ、全国の病院や診療所で電子カルテを見られるようにすれば、患者がかかりつけの病院を変えた場合に、新規の医師がそれまでの電子カルテ情報を簡単に得られる。医師は患者の状態を正確かつ即座に把握できる。
また、患者が病院や診療所で受診した際の会計や加入している保険の確認といった病院側の管理コストも下げられる。
医師が出す処方箋も電子化し、診療所と薬局が電子データを共有すれば患者が薬を受け取る際の待ち時間の短縮のほか、薬の受け渡しミスの防止などが期待できる。
さらに高齢化や過疎化を見据え、遠隔診療や先端の医療研究にも活用する。遠隔診療では患者の表情や患部をみるため、高精細な画像のやり取りが必要になる。
病院が独自にシステム投資するには大きな負担がかかるため、クラウドに「4K」「8K」といった高精細・大容量のデータを伝送できるようなネットワークを整備する。実証実験には東京大学と京都大学が協力する。
クラウドで収集した医療情報を人工知能(AI)を活用して解析する。そのデータを活用し、大学や研究機関とともに創薬や新たな医療技術の開発にもつなげていく考えだ。

今回は8億円を投じて実証実験をするが、課題は少なくない。
まずは診療所や中小規模の病院を経営する開業医らへの理解を促せるか。電子カルテなどは病院の規模が大きいほど導入効果が高まるが小規模な医療機関はコストとの見合いで尻込みしがち。新システムは医療機関や患者にどのようなメリットがあるのか、日本医師会などの協力も得ながら啓発を進める必要がある。
そして個人の医療情報はプライバシーの観点から情報を共有しにくい分野だ。今回は患者のマイナンバーを活用してセキュリティーを確保するが、情報漏れを防ぐ措置はさらに必要となる。20年度の実用化にむけ、クリアすべき課題は多い。

(日経新聞)



総務省が進めていることがポイントです。ですからレセプトにはますは直結はしないのかもしれません。
by kura0412 | 2017-08-12 15:35 | 医療政策全般 | Comments(0)

一般診療所の歯科は

医師会vs財務省、診療報酬でバトルが本格化
医療費の抑制と財源確保は待ったなし

2年に1度の診療報酬改定を来年に控え、財務省と医師会の間でジャブの応酬が早くも始まっている。
きっかけは、財務省の財政制度等審議会(財政審)が5月に出した建議だ。消費者物価や賃金の伸びに比べて、診療報酬の本体部分、いわゆる医師などへの報酬部分の伸びが高すぎるとグラフで示したのだ。ちなみにグラフは1995年を起点としている。

「医療機関の報酬は高止まり」と財務省
これに日本医師会の横倉義武会長がすぐさま噛みついた。5月末の記者会見で「2007年に財政審が出した建議では、1998年を起点として診療報酬本体と賃金・物価を比較しており、指数の起点に一貫性がまったくない。財政審のグラフはかなり恣意的であり、この資料の取扱いはたいへん遺憾だ」などと猛反発した。
横倉会長は東洋経済の取材に、「40兆円の医療費のうち、人件費の割合は2000年に50%だったが、2012年は46%まで下がっている。医療に携わる300万人の人件費をしっかり確保していかなければならない」と訴える。
一方、財務省の担当者は「技術料(診療報酬本体)も実態を踏まえて決めているが、民間の賃金が下落していった1990年代後半以降、保険料などで賄われる医療機関の報酬水準が上乗せ・高止まりしてきた実態は否定できない。健康保険料が年々引き上げられ、国民負担が増えている以上、診療報酬本体について厳しく対応していく必要がある」と問題提起する。
診療報酬改定のたびに繰り広げられる、恒例のやりとりとも言えるが、増大する医療費の抑制とその財源確保は待ったなしだ。「また財務省と医師会の応酬が始まった」と傍観してばかりもいられない。
2014年11月の自民党の会議に厚生労働省が出した資料によると、医療機関の費用に占める人件費の割合は、2000年度の50.2%から、2012年度には46.4%まで徐々に下がっている。さらに、公立病院に限ったデータだが、医師の人件費は全体の約13%で、看護師、准看護師の比率のほうが高い。
医療費全体は伸び続けており、比率が下がっても人件費の金額自体はそれほど減っていないが、「医療機関の従事者数が増えており、給与単価はむしろ下がっている」(日本医師会)という。

医師給与の時系列統計がない
では、医師の給与は本当に低いのだろうか。
実は、医師の給与を時系列で追った統計データはほとんど存在せず、実態はよくわからない。わずかに厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」があるくらいだ。
それによると、医師の年間給与(決まって支給する給与×12カ月に賞与を加えて算出)は年によって大きく増減しており、ここ数年はどちらかというと回復基調にある。類似の医療・介護の職種と比べても、医師の給与水準自体高い。看護師の2倍以上、保育士や福祉施設介護員の3~4倍の水準で、トレンドも保育士や福祉施設介護員の給与はどちらかというと低下基調にあるのと対照的だ。
ちなみに、診療報酬改定の基礎資料となり、厚生労働省が2年に1度公表している「医療経済実態調査」によると、2014年度において医療法人勤務の医師の年収は1544万円、個人が営む一般診療所の医師は1185万円。病院長の給料は、医療法人が開設している病院の場合は2930万円、医療法人が開設者の一般診療所の場合は3941万円だ。ただし、この調査は時系列で追えるように作成されておらず、傾向として医師給与が増えているのか、減っているのかわからない。
横倉会長は「本体がマイナス改定なら必要な医療提供ができなくなる。多くの医療機関の利益率は2%あるかないかで、赤字病院が増え、過疎地域を含めて倒産する医療機関がそうとう出てくる」と小泉政権時代のような"医療崩壊"を懸念する。

今年6月19日には岐阜市の大手医療機関が87億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると、2000年以降の病院の倒産(負債総額50億円以上)は9件しかなく、今回は4番目に大きいという。「倒産件数は本業以外の粉飾など放漫経営が原因となって2007年にピークをつけた。リーマンショック後の金融円滑化法が医療法人にも適用され、倒産件数は落ち着いていたが、去年から30億円以上の大型倒産が目立っている」(同社情報部)。
医師会側は「2014年の診療報酬改定が消費増税分の補填を除けば実質1.26%のマイナス改定だったことや、多額の設備投資をした医療機関に対し、消費増税分の診療報酬による補填が十分でなく、経営悪化につながった」と分析している。
2015年秋に公表された直近の医療経済実態調査によると、一般病院(医療法人)の利益率は2.4~2.6%で推移しているが、一般診療所の損益差額(利益率)は15~16%前後にのぼっている(2013~14年度)。
財務省は「診療科や地域の偏在により、必要な地域・分野で医師の確保が難しく、医療提供が困難な事例があるといわれるが、医療全体の財源である(診療報酬)本体の改定率とは別の話。そもそも医療崩壊とは何を指すのか、整理が必要ではないか」(担当者)と指摘している。

議論を深めるためのデータが不足している
医師の人件費は高いのか。また、医療機関の経営は安定しているのか。こうしてみると、議論の前提に必要なアクセスしやすいデータが少なく、医療財政をめぐる議論が深まらない一因になっている。
膨らむ一方の医療費の財源を今後どうやって賄っていくのか。財源は消費税なのか、それとも現役世代が中心になって負担している保険料をさらに引き上げるのか。財源がないなら医療費を抑制する施策が必要だが、それについてのコンセンサスも見取図も今のところ存在しない。
たとえば、医師会の横倉会長は「(財源確保のため)国は必要な税をとるべき。2019年10月には予定通り消費税率を引き上げるべきで、消費税のみならず、所得税の課税限度額も下げるべきだ」と話す。しかし、具体的な数字を示しての財源確保の議論を行なっているわけではない。
来年は診療報酬と同時に介護報酬も改定される、いわゆる同時改定の年で、その増減は、歳出の相当割合を占める社会保障費のゆくえを占う試金石となる。診療報酬本体は2008年以降、5回連続でプラス改定が続いてきたが、2018年度改定ははたしてどうなるのか。「本音は本体プラス改定」(横倉会長)とする医師会と財務省のつば迫り合いは始まったばかりだ。

(東洋経済ONLINE)



ここにある一般診療所の利益が院長の所得です。但し、その中にはもろもろの経費献上できな分、また引退後の老後の貯えも加わります。歯科の場合は、病院勤務、法人化が進む医科と異なり、圧倒的にこの一般診療所です。
診療報酬アップにはここからの誤解を説明しなければなりません。
by kura0412 | 2017-08-09 14:27 | 医療政策全般 | Comments(0)