健診等実施率による加算・減算を議論
厚労省案、最高で10%増減も

厚生労働省は4月24日、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開き、保険者インセンティブについての制度の見直し案を提示した。予防・健康づくりの観点から保険者に特定健診・保健指導の実施率を上げるよう促すため、健保組合・共済組合に関して実施率の低い保険者へ後期高齢者支援金の加算率(ペナルティ)を段階的に引き上げ、実施率の他、特定保健指導の対象者割合の減少幅など、複数の指標の総合評価が高い保険者に対しては減算率(インセンティブ)を引き上げる案だ。

最高10%の加算・減算を可能にする制度案で、構成員はおおむね了承したが、大きなインセンティブとなるため、財源を安定して確保できる仕組みや、財政や人的余裕がないために実施率が上がらない健保組合への支援の必要性など、細かな点で意見が出された。
国保・被用者保険の全保険者を対象とした現行制度では、保健指導の実施率が0.1%未満の保険者に対して0.23%を加算。2015年度では132保険者が対象となって7400万円が加算された。これを原資に実施率が相対的に高い保険者に減算を行い(2015年度は減算率0.048%)、161保険者が対象となった。2008年度に特定健診・保健指導の実施が保険者に義務づけられて以降、実施率は少しずつ上昇し、同年に特定健診38.9%(受診者2019万人)と保健指導7.7%(終了者31万人)だったが、2014年度にはそれぞれ48.6%(2616万人)、17.8%(78万人)となっているが、第3期特定健康診査等実施計画期間(2018~2023年度)で掲げられた全国目標の特定健診70%以上、保健指導45%以上には遠く及ばない。このため、後期高齢者支援金の加算の対象範囲を広げ、加算率を見直すことで、実施率の低い保険者の取り組みを促す狙いがある。

加算額4億円と試算
見直し案では、健保組合と共済組合を対象に、特定健診実施率が第3期目標(単一健保と私学除く共済組合90%以上、総合健保・私学共済85%以上)の2分の1のそれぞれ45%、42.5%に満たない場合、加算率を2018年度から1年ごとに1%、2%、5%と段階的に引き上げる。また、単一健保と私学除く共済組合で2分の1以上57.5%未満(目標の半分の45%と、全国目標の70%の中間値として設定)、共済組合で42.5%以上50%未満の場合は、2018年度は加算なし、2019年度0.5%、2020年度1%に引き上げる。
特定保健指導については実施率の違いでより細かく分けて加算し、最も低い0.1%未満の保険者には2018年度から1年ごとに1%、2%、5%と引き上げる。特定健診と保健指導の実施率がともに低い保険者の場合は、併せて最高で10%加算されることになる。ただし、実施率が加算対象に該当しても、ある程度の実施率があり、特定健診・保健指導以外の取り組みが一定程度行われている場合には加算を適用しない仕組みも設ける。全体の加算額は約4億円と試算している。

減算方法の見直しについては検討中だが、実施率だけでなく、がん検診、歯科検診、後発品の使用促進や、実施率の上昇幅といった成果を評価するなど複数の指標(ただし、特定健診・保健指導は法定義務のため、実施率の評価のウェイトは重くする)で総合評価して、その配点を積み上げて段階的に減算する方針。合計点数に応じて減算率を10~5%、5~3%、3~1%の3区分とする。 この方法については、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏が、大規模な健保組合では減算額が巨額になると指摘。「最大級の健保では後期高齢者支援金を年300億円というところがあり、10%減算だと30億円。お金が足りなくなる。最大10%はいいが、下限は財源に応じて毎年決める方が現実的ではないか」と提案し、厚労省の事務局はこの意見を検討項目に加えると回答した。

現行制度では加算・減算の対象とされていない協会けんぽに関しても、新たなインセンティブ制度が導入される方向で、今年度は保険料率への反映を行わない形で試行実施する。支部ごとに特定健診・特定保健指導の実施率や要治療者の医療機関受審割合、後発医薬品の使用割合などの評価指標に基づいて実績を評価し、全支部にランキングを付け、上位過半数に該当した支部に段階的な保険料率の引き下げを行う。2018年度から本格実施し、2020年度の都道府県単位の保険料率からインセンティブ制度の結果を反映することを目指す。

(m3.com)
by kura0412 | 2017-05-16 10:27 | Comments(0)

再生医療、臨床現場で開業医はどう取り組む?
幹細胞研究の専門家らが方向性提示

開業医が日常の臨床の中で再生医療をどう取り扱っていけばいいのか―。日本再生医療学会(澤芳樹理事長)のシンポジウムが14日、東大伊藤国際学術研究センターであり、乳歯歯髄幹細胞研究の第一人者の上田実・名古屋大名誉教授らが骨再生などの医療技術の現状と方向性、医療者の教育・支援体制構築の重要性を訴えた。

ES細胞(胚性幹細胞)などを用いる再生医療をめぐっては、研究の進展に伴い、臨床現場への導入が進んでいる。特に歯科の領域では多血小板血漿(PRP)による再生医療が成果を上げており、再生医療を提供する医療機関が増えている。ただ、国に必要な届け出をしないまま再生医療を行うケースも出てきており、医療者への教育や補償制度の拡充が求められている。
こうした現状を踏まえ、今回のシンポジウムでは、最新の臨床研究・医療技術だけでなく、患者の安全・安心を確保するために必要な取り組みや開業医らの教育、自由診療に対応した保険などをテーマに取り上げた。

歯科領域における研究や療法に関しては、上田名誉教授が幹細胞の培養上清の研究・活用事例を紹介。培養上清による歯骨再生の症例が積み上がってきたことなどに触れ、「歯科は再生医療のフロントランナーになり得る」とした。
吉江弘正・新潟大大学院医歯学総合研究科教授は、歯周組織の再生療法について、先進医療として取り扱われたり、細胞シートが使われたりしている現状を説明した。
また、春日井昇平・東京医科歯科大教授は、医薬品や医療機器の承認が欧米より遅れるドラッグラグ・デバイスラグを取り上げ、日本国内では患者にとってベストな治療を行えないとし、承認の仕組みを改善することが急務とした。
病院やクリニックに再生医療を普及させる取り組みについては、井上肇・聖マリアンナ医科大特任教授が解説。同大で培ってきた再生医療技術を普及させるために「細胞応用技術研究所」を設立したことに触れ、申請の手続きなどが煩雑な再生医療の業務を外部にアウトソーシングすることを選択肢の一つとして挙げた。

再生医療に関わる医療者の教育に関しては、大阪大医学部附属病院未来医療センターの江副幸子・臨床開発部門・製剤・CPC部主任が、「一部で不法な行為をされている方がいるだけで、再生医療そのものが実際に止まってしまうことがある」と指摘。危険性のある治療が行われない環境を作るためには、しっかりと現場の情報を把握した上で、医療者への教育に当たる必要があるとした。
自由診療で行われる再生医療を支援する体制の拡充も急務だ。古川和親・日本再生医療学会幹事は、再生医療の臨床研究については賠償などに備えた保険がある一方、自由診療は保険の対象外となっていることを指摘。今年7月から始まる「再生医療サポート保険(自由診療)」が、従来の医師賠償保険と異なり、再生医療安全確保法で義務付けられていない患者への補償にも対応していることを取り上げ、患者の安心・安全を確保する観点からも、このような支援体制を整える必要性を訴えた。

(キャリアブレイン)
by kura0412 | 2017-05-16 10:21 | 歯科 | Comments(0)