2013年 11月 05日 ( 1 )

診療報酬引き上げを政治問題化にして

自民党は変わったか 「近いうち解散」から1年 診療報酬 うごめく医師会

医療機関が治療の対価として健康保険などから受け取る診療報酬の平成26年度改定をめぐる攻防が激化している。日本医師会(日医)や自民党厚労族議員がプラス改定を求め、社会保障費の急増に歯止めをかけたい政府に攻勢を強めているのだ。
日医などは来年4月からの消費税増税分の財源がそのまま社会保障費に充てられるため、鼻息が荒い。改定率は年末に安倍晋三首相が最終決定するが、政権復帰を果たした自民党の業界回帰の動向を判断する試金石となりそうだ。

■プラス改定は当然?
日医の横倉義武会長は10月31日、首相と官邸で面会し、診療報酬の増額を要請した。
「消費税率引き上げは社会保障の充実が目的だ。首相に『勘案してもらいたい』と言った。首相は十分、分かっている」
横倉氏は面会後、自信たっぷりに記者団に語った。厚労相の諮問機関「社会保障審議会医療保険部会」で8日から診療報酬の査定作業が本格化するのに合わせて、首相に“圧力”をかけた格好だ。
日医は来年度の診療報酬のプラス改定を既定路線と受け止めてもいる。診療報酬は「薬価」と医師の収入源となる「本体」で構成され、2年に1度見直される。
民主党政権時代の24年度改定は薬価1・375%減、本体1・379%増。全体では0・004%増えた。このため、日医は民主党に比べて太いパイプを持つ自民党の政権復帰で、当然“分け前”が増えると見込んでいるわけだ。

■自民議員250人参加
また、日医は自民党への働き掛けも活発化させている。
8日に初総会が開かれる自民党の議員連盟「国民医療を守る議員の会」(仮称)の設立を主導した。日医傘下の関連団体が水面下で党所属議員に議連参加を促す文書を送り、強力に勧誘活動を展開した。
その結果、医師の鴨下一郎前国対委員長、首相に近い加藤勝信官房副長官らが議連の発起人に名を連ね、党所属議員の半数以上に当たる約250人が参加。議連として最大規模になり、発起人の一人は「診療報酬アップを目指す。やるからには徹底的にやる」と息巻く。設立趣意書で「適切な社会保障財源の確保」を求め、政府に対する提言書提出も視野に入れている。

政府内で、こうした“攻撃”に対抗するのは、財政規律を重視する財務省だ。
毎年度の社会保障費関連の公費支出は、年金が10兆円で医療費は15兆円、介護費も5兆円規模。消費税率が10%になってもとても賄えない-。財務省はそう算段する。
このため、財務相の諮問機関「財政制度等審議会」は10月21日、診療報酬を1%引き上げた場合、約4200億円の負担増になるとする試算を公表し、日医と厚労族を牽制(けんせい)した。

■ネット販売解禁に抵抗
それでも、日医などの動きは活発化する。
安倍政権が検討した大学医学部新設を認める規制緩和に対し、日医は「医学部教員として医師を現場から引き揚げる必要が生じ、地域医療を崩壊させる」と反発。規制緩和は事実上、見送られた。
一般用医薬品のインターネット販売解禁をめぐっても、首相が原則解禁を一度は決めたが、薬剤師の既得権益が侵されることなどを危惧した厚労族議員に押し切られ、一部品目に規制が残る見通しとなった。
ネット販売の全面解禁を求めてきた楽天の三木谷浩史会長兼社長は10月29日、政府の産業競争力会議の分科会で、自民党族議員の動きをこう皮肉ってみせた。

「岩盤規制ならぬゾンビ規制だ」
安倍晋三首相は先の参院選で勝利し「荒波を乗り越え、私たちは新しい自民党に生まれ変わった」と胸を張った。本当に自民党は変わったのか-。政権奪還を果たしてから間もなく1年を迎える自民党の姿を追う。

■党と蜜月関係も組織・集票力陰り
日本医師会(日医)はシンクタンクの日医総研などを通じて医療政策の提言を政府に行ったり、政治団体の日本医師連盟を通じ自民党に献金を続けたりすることで、同党族議員と蜜月関係を築き、厚生行政に多大な影響力を行使してきた。
その全盛期は昭和32~57年の武見太郎会長時代だ。「ケンカ太郎」の異名をとった武見氏は、意に沿わない政策が実行されたときは全国一斉休診に踏み切り、政府・自民党を翻弄することもあった。旧厚生省が医療政策をまとめる際、審議会に示す前に武見氏の“事前審査”を受けていたという逸話も残る。
しかし、高齢化に伴う医療費の増加で政府の財政悪化が進むと、日医の影響力は低下。特に「聖域なき構造改革」を推進した小泉純一郎首相(当時)は平成14年、日医の猛反対にもかかわらず、医師の技術料に当たる診療報酬の「本体」部分を初めて引き下げた。

組織力や集票力にも陰りが見える。
昭和52年の参院選全国区で自民党公認の組織内候補は約130万票を獲得したものの、平成19年の参院選比例代表では自民党公認の武見氏の次男、武見敬三氏は約19万票で落選した。
敬三氏は今年夏の参院選で東京選挙区(改選数5)から出馬し約61万票を獲得したが、最下位当選だった。組織弱体化の傾向が続いている。

【産経新聞】




この時期に武見太郎を出すのですから、視点を変えれば、それだけ現在の日医の思惑通りに安倍政権の政策に組み込まれているとも考えられます。
改めてこの記事は、診療報酬改定が政治化問題になっている証でもあります。果たしてこれからのマスコミの論調は如何に。
by kura0412 | 2013-11-05 12:28 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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