2008年 02月 28日 ( 3 )

オーラルケア市場調査結果

富士経済、オーラルケア市場調査結果を発表

2008年に
市販用は前年比1.9%増の4,173億円
歯科医ルート(対象10品目)向けは同2.8%増の123億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 03-3664-5811 社長 阿部 界)は、審美意識の高まりで見直されるオーラルケア関連市場の調査を実施した。その結果を報告書「オーラルケア関連市場マーケティング総覧 2008年」にまとめた。
本報告書では、口腔ケア用品6品目、機器/用品類8品目、食品4品目、医薬品・医薬部外品8品目、その他2品目、計28品目の市販用オーラルケア市場を市場規模、メーカーシェア、新製品、チャネル、販促・プロモーション等の観点から調査分析した。また、別途歯科医ルート製品についても10品目を取り上げ調査分析した。


<調査結果の概要>

1.市販用オーラルケア関連市場
2007年のオーラルケア関連市場は、全体的に堅調で前年比1.5%増の4,094億円となった。口腔ケア用品では、歯磨は消費者が価格よりも製品の質を求めるようになり価格競争が薄らぎ市場拡大に繋がっている。また、高齢化に伴い、義歯安定剤や義歯洗浄剤の需要も高まっている。機器/用品類では、比較的高価格な製品への需要が高まり、特に電動歯ブラシは今後も成長が期待されている。食品市場は、機能性ガムや口中清涼菓子が牽引しており、2007年は前年比1.5%の1,895億円となった。特に清涼感や口臭除去を訴求したガムや菓子が増加している。今後もこれらの市場に支えられ全体として堅調な推移が予想される。医薬品・医薬部外品市場は全体的には縮小傾向にあるが、高齢化に伴う歯周病患者の増加を背景に歯周病薬市場が拡大し、医薬品・医薬部外品市場を押し上げている。

 <機 能>       <2007年>  <2008年予測> <前年比> 
 口腔ケア用品      1,131億円    1,165億円    3.0%増
 機器/用品類       538億円      551億円    2.4%増
 食 品          1,895億円    1,923億円    1.5%増
 医薬品・医薬部外品   429億円      430億円    0.2%増
 その他           102億円       104億円    2.0%増
   合 計        4,094億円    4,173億円    1.9%増

 *四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。   

A.口腔ケア用品
高齢化とオーラルケア意識の高まりがポイントとなる。成熟市場である歯磨市場では高齢者層をターゲットにした高価格・高機能製品の発売が目立つようになり、平均単価の上昇が見られる。特に歯周病予防歯磨においてその傾向は顕著であり、サンスターの「GUMデンタルクリーム」やライオンの「デントヘルス」など、1,000円を超える製品の開発が盛んになっている。また義歯安定剤市場や義歯洗浄剤市場でも使用者である高齢者人口の増加に伴い、順調に市場が拡大している。アース製薬や小林製薬など主要メーカーの注力度も高まっており、ブランドの強化や新製品の投入が相次いでいる。また、高齢者層の歯周病や口腔疾患などに対するケア意識の向上のほかに、口臭予防や美白など若年層のオーラルケア意識も向上している。特に洗口液市場は急成長しており、口腔ケア用品の市場拡大に大きく貢献している。歯磨市場でも女性層を中心に美白訴求の歯磨が好調であり、また花王の「ピュオーラ」のように歯周病予防や虫歯予防、口臭予防といった機能を総合的に訴求した製品が実績を拡大している。しかし、相次いだメーカーの新規参入が落ち着き、新製品の投入が少なくなったことなどにより2006年から成長が鈍化している。2008年以降は再び各社の注力度が高まり、新製品の開発も盛んになり復調すると予測される。

B.機器/用品類
電動歯ブラシは、2004年に低価格製品が市場を拡大したが、2005年には低価格製品の需要が頭打ちとなり市場が縮小した。しかし、2006年から2007年には高価格製品への需要が高まり市場が拡大している。歯ブラシは、2004年から2005年にかけて低価格製品の価格競争により市場が停滞したが、2006年から2007年には低価格競争が薄らぎ、比較的高価格・高付加価値の製品の需要増から市場が拡大している。歯間ブラシが2005年に一時的に低迷したものの、歯間清掃具市場は堅調に推移している。また、舌クリーナー市場が急成長しており、特に携帯が可能で、手軽に口臭ケアができるエビスの「クリタン」が若年女性の需要を獲得している。口臭予防や美白プラス手軽さを具現化した製品に対する消費者の支持が高まっていることから、今後それらを訴求する製品が市場を拡大していくと考えられる。現在、機器・用品類市場の牽引役となっている電動歯ブラシ、歯ブラシ、歯間清掃具では積極的にユーザーの開拓を行っており、2008年も市場拡大が予想される。

C.食 品
オーラルケアを訴求した食品は、手軽においしくケアできることから市場は成長を続けてきたが、のど保護を訴求したキャンディや虫歯予防を訴求したガム等、多くのカテゴリーで飽和状態になりつつある。そのため、今後オーラルケアを訴求した食品の総市場は大きく変化せず、競合関係にあるカテゴリー間やメーカー間でのシェア争いが激しくなると予測される。消費者のエチケット意識の高まりから口臭予防を訴求したキャンディや口中清涼菓子が好まれており、江崎グリコは口臭の原因として知られている舌苔に注目した新製品「BREO」を発売している。市場が停滞しているのど保護を訴求したキャンディ市場においても、風邪のプレケアに注目したノーベル製菓の「いがいが前のグレープのど飴」のように新しい機能を訴求した製品により、市場は活性化されていくとみられる。ガムでは、今までは、健康志向の高まりから機能性ガム、特に特定保健用食品の認可を受けた虫歯予防を訴求したガムの需要が大きかった。しかし、現在は消費者のエチケット意識の高まりから、口臭予防を訴求したガムの需要が大きくなりつつある。

D.医薬品・医薬部外品
歯周病は高齢者に多く高齢化の進展により患者数が増加していることと、消費者のオーラルケアに関する意識の高まりと歯周病に対する予防・治療意識の向上により、歯周病薬市場は拡大している。また、歯周病は全身の健康を害する原因の一つであることが明らかとなっており、「心臓血管疾患」、「糖尿病」、「呼吸器疾患」、「低体重早産」と大きく関連していることが報告されている。今後も消費者のセルフメディケーション意識の高まりから歯周病薬市場は拡大していくと予測される。
風邪の予防効果がある含嗽剤は、毎日のケアが重要であるためうがいの習慣化で安定市場を形成することが可能である。医薬品の含嗽剤は明治製菓(イソジン)が圧倒的なシェアを有しており、子供にうがいの大切さを教える活動や販促活動に注力している。一方、ライオンの「キレイキレイ」ブランドやサンスターの「GUM」ブランドなど医薬部外品では含嗽剤単体での販促活動に注力していない。今後、医薬部外品メーカーも含嗽剤の販促活動に注力することができれば、より多くの消費者に含嗽剤を利用したうがいを習慣化させることが可能になると考えられる。


2.歯科医ルート(対象10品目)向けオーラルケア関連市場

2007年 120億円  2008年(予測) 123億円(前年比2.8%増)

歯科ルートのオーラルケア製品は、如何に市販製品と差別化するかが大きなポイントとなる。参入企業は、製品の性能面や機能面での差別化に加え、患者への予防意識の積極的な啓発を行う歯科医院の増加を促す施策を講じることにより、歯科医院の予防意識高揚を促すことで、市場拡大を図っている。歯科ルート市場は患者のセルフケア意識の高まりにより2005年から2007年にかけて前年比約3%増で着実に拡大しており、今後も堅調な推移が続くと見込まれる。
主な牽引役は歯磨及び歯ブラシで、歯周病やう蝕予防、美白といった多様な訴求点を有した製品が開発・販売されている。市販品製品に比べこれらの製品は高価格ではあるが配合成分において市販製品と明確に差別化されている。また、高齢化による「ドライマウス」患者の増加に伴い、「ドライマウス」対策製品の需要が拡大しており、口腔保湿液市場が拡大している。洗口液市場も堅調に推移しており、新製品の投入もあり全体市場を押し上げている。口中トラブルの予防製品である電動歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、口腔洗浄器は歯科医師・歯科衛生士による推奨や使用説明に伴って、ユーザーが獲得されることが多い反面、歯科医院向けの製品を継続して使用するユーザーが少なく、比較的安価な市販製品へとシフトするケースが多い。そのため、市場に大きな変動は見られない。


【日経プレスリリース:2008年2月28日】


いろいろと考えることがある調査結果です。
by kura0412 | 2008-02-28 18:25 | 歯科 | Comments(0)

この動きが波及するか

中学まで医療費無料化へ 群馬県、09年10月めど

群馬県の大沢正明知事は26日の県議会本会議で、2009年10月をめどに市町村と協力して中学生までの通院の医療費を無料化する方針を示した。
大沢知事は初当選した昨年7月の知事選で、少子化対策の一環として子どもの医療費無料化について「15歳まで拡大する」と公約。同県は今年4月から、入院費用については無料化の対象を4歳までから中学生までに拡大する方針を決めており、これで中学生までの医療費が無料化されることになる。費用は、実施主体である市町村と県が折半する。
厚生労働省によると、子どもの医療費無料化を独自に実施する市区町村は増えてきているが、都道府県単位での取り組みは珍しいという。

【2008/02/27 :共同通信】


今まで、財政状況の良い地方自治体では検討されていましたが、県レベルでは珍しく、また、群馬県は決して財政状況が飛び抜けて良いところではないと思います。果たしてこの動きが波及するか?
by kura0412 | 2008-02-28 17:28 | 歯科 | Comments(0)

次世代DVDと違って

次世代DVD規格の戦いは東芝のHD-DVD撤退でブルーレイディスクが勝利しました。
もし既に買っていたら物凄くショックだったと思いまいます。
しかし、私もいずれかを買うこと検討したのですが、ビデオ時代のβ方式の苦い経験と、そう簡単に買えない値段とが重になって控えていました。

少し話は飛びますが、今回の改定でレーザー加算がう蝕の窩洞形成に限り導入されました。
しかしながら、私の診療所のレーザーでは形成できませんので加算は取れません。
本来ならDVDと同じに悔しがったところですが、加算点数が20点となるとその気持ちも湧きません。そして、2年後また加算が減点か、なくなることを予想すると新たに適応するレーザーに替える気にもなりません。
by kura0412 | 2008-02-28 16:07 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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