2008年 02月 02日 ( 1 )

再診料下げ―見送りは既得権の温存だ

診療報酬の改定を進めている厚生労働省が、開業医の再診料の引き下げを見送った。日本医師会から強く反対されたからだ。
いま医療の現場で深刻なのは、病院で働く医師が過酷な仕事に耐えかねて、やめていくことだ。これに歯止めをかけるには、勤務医の待遇を良くしたり、人数を増やしたりする必要がある。
その具体策の一つとして考えられたのが、病院よりも高い開業医の再診料を引き下げ、その財源を勤務医に回そうというものだ。厚労省はそれを中央社会保険医療協議会に提案していた。腰砕けは残念というほかない。
初診料は開業医も病院も同じだが、2回目からの診察にかかる再診料は開業医が710円、病院が570円だ。
医師会が再診料の引き下げに反対した理由は、「開業医が疲弊すれば、地域医療は崩壊する」というものだ。地域医療を担っているのは開業医だから、優遇されて当然という理屈だろう。
しかし、これはおかしい。地域医療は病院も同じように担っている。開業医といっても様々で、都心のビルで昼間しか診療しない開業医もいる。
医療の財政が苦しいなか、医師会がいつまでも既得権にこだわるのは理解に苦しむ。
厚労省は再診料引き下げを断念した代わりに、再診時に上乗せする「外来管理加算」などを見直し、開業医の収入から400億円余りを引きはがした。昨年末に決まった診療報酬全体の引き上げ分約1000億円余りと合わせ、産科や小児科を中心とした病院の勤務医対策にあてる。
確かに、病院側は総額1500億円の勤務医対策で一息つける。しかし、大都市の病院ですら医師不足は深刻で、この程度の対策で勤務医不足が解消するとはとても思えない。
開業医の再診料に手をつけていれば、もっと多くの財源をひねり出すことができた。それを突破口に、開業医と勤務医の役割分担やそれぞれの待遇のあり方を改めて論議することもできたはずだ。
もちろん、やみくもに開業医の報酬を削れと言っているのではない。夜間・休日診療や往診をして地域の医療を支えている開業医には、もっと手厚く配慮した方がいい。開業医の中でもメリハリをつける必要がある。
一連の動きの中で見逃せないのは、医師会が自民党を動かし、自民党が厚労省に働きかけるという旧態依然たる構図が見えたことだ。
再診料の引き下げをのめば、医師会の執行部は会員の支持を失うと危機感を持ったのだろう。一方、解散・総選挙を控え、自民党は医師会の支持をつなぎとめておきたいと計算したに違いない。
だが、こんなことでは福田首相も自民党も、国民に信頼されない。本気で医療の立て直しに取り組むなら、医師会の既得権に踏み込むことが避けられない。

【朝日新聞・社説:08年2月2日】



再診料を下げて現場が求める既得権を奪って日本の医療が改善の方向に進むのでしょうか?
マスコミもd断片的にみず、現場の現状をみて複眼的な視点で医療の問題を論じてほしです。
医療の問題は複雑であり問題の根本は深いものです。
by kura0412 | 2008-02-02 14:18 | 歯科 | Comments(0)