日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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「歯科の議論が不足、2.09%増でも十分ではない」

渡辺三雄・日本歯科医師会常務理事、中医協・診療側委員の記者会見(6)

今回の改定の経過を踏まえて、感想、考えを述べたいと思います。まず一つに今回改定の中で、歯科の問題について審議する場が大変少なかったと思います。消化不良の中での審議だったという感じをしております。歯科診療所は6万8000ありますが、この歯科診療所が、日本の歯科医療のほとんどを支えている。その二次医療機関として支えているのが病院という構成になっています。

毎日、日によって違いますが、100万から120万くらいの患者さんが診療所を訪れて、診療を受けている、患者さんのニーズがある。そういう状況で、日々、歯科診療を提供しているわけです。そういう歯科診療所の今の状況を見てみると、非常に厳しい。今朝のニュースに、朝の番組に歯科の問題が取り上げられていました。非常に厳しい状況で、10年前と比べて歯科診療所の収入が約12%も落ちている。20年前と比べますと、31%も落ちている。そういう非常に厳しい中で、しかし新しい機器はどんどん後から出てくる。患者さんに的確な診療をするために新しい機器を入れる。今回レーザーのものについても新しく1点入りましたけれども、そうしたものを入れるにも相当高額な金額がかかる。しかし、なかなか点数が付かない。そういう状況であります。
厳しいながらも、合理化する中で何とか耐えているという状況です。今回は(歯科の改定率は)2.09%でありました。これについては大臣が確か記者会見でお話されたと思いますが、その配分は技術料に対して行われる。歯科の技術はほとんど、歯科診療所の93%、94%は技術料なんですね。そういう状況で、決して十分という状況ではありません。ご理解をいただきたいと思います。

また歯科の私たちの努力で、ご存知の通り、「8020」という、80歳で20本の歯を残して、しっかりかめる。健康を保持する。その「8020」を達成している方の健康状態はどうか、というデータが出ております。今後、こうしたデータも出しながら、理解を求めていきたいと考えております。

決して歯科だけしっかりやっていれば、歯科はいいというわけではございませんで、患者さんの体全体にいい影響を与える。同時に、医科の入院にかかるときも意見を述べさせていただきましたけれども、術前から口腔の管理をすることによって、退院の日数が短くなるというデータも出ています。今回の審議の中で、エビデンスに基づいた審議をしていくという流れが出てきたと思います。そういう意味で今後の中医協の対応といたしましては、しっかりとしたエビデンス、あるいは調査に基づいたデータ、タイムスタディー等を出して、的確な評価を求めていきたいと考えております。

具体的な今回の改定の中身で、先ほども一点申し上げましたが、基本診療料の初再診の引き上げにつきましては、あのペーパーには記載されておりませんでしたが、検査項目で50点のスタディモデルを包括する。それから医学管理、要するに管理料の中で初診にかかわる部分で、20点をそこに充てていく。そういう流れなんですね。そういうことで引き上げはされましたけれども、そういうことを考えますと、決して十分ではないし、医療現場はこうした状況を踏まえれば、満足されるものではありません。

今後、これは医科も歯科も、基本診療料というのは、まさに医師、歯科医師の基本的な技術に対する評価であると同時に、病院あるいは診療所における運営経費を支える重要な項目ですので、そうした議論を歯科についてもしっかりとやっていただきたいということを要望したいわけです。

もう一点、皆様方、細かいことで分からないかもしれませんが、歯科において、診療をしていく中で、患者さんのためにこれをしたい、と思っていてもできないことがあります。なかなか制限があってできないことが多々ございます。そうしたことも具体的に今後提示していきながら、円滑に患者さんにしっかりとした診療が提供できるようなシステム、診療報酬体系を作る方向に向けて提言をしていきたいと考えております。今後ともご理解をお願いしたいと思います。

http://www.m3.com/iryoIshin/article/115926/




渡辺先生の正直な気持ちの発言だと思います。
そして後段の部分にあった、診療報酬体系への提言の議論が、今後の歯科医療改革の軸となること期待します。
by kura0412 | 2010-02-16 17:41 | 歯科医療政策 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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