「患者である国民を向いた議論がなければ何も変わらない」

【主張】日医排除 医療体制再建につなげよ

診療報酬の点数を決める厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)から、日本医師会(日医)の推薦委員が排除される。
長妻昭厚労相は、任期切れとなった3人全員を外し、地方医師会の代表2人と大学病院代表1人とに差し替える人事を発表した。

中医協委員30人のうち、医師など診療側委員は7人で構成される。このうち3人は日医の副会長や常任理事といった役員の「指定席」だった。医療の専門知識を必要とする中医協では、日医の委員が議論をリードしてきた。
鳩山政権は来年の診療報酬改定で、勤務医の待遇改善を図る方針を示している。開業医の発言力が強い日医の影響力を薄め、政府の方針に理解のある委員を増やそうとの判断は、改革の意思を示すものといえなくもない。

だが、日医の全員を一度に外すやり方は、あまりに図式的で粗雑な印象を免れない。患者はまず近所の診療所で診てもらい、高度な医療が必要と診断されたら早期に病院に紹介される。そうした「病診連携」が地域医療の基本だ。実際の医療政策もそれを目指す大きな方向性を示すものでなければならない。
産科や小児科、救急医療をはじめ過酷な労働条件に耐えかねて辞める勤務医は後を絶たない。地域の中核病院さえ閉鎖される診療科がある。国民が安心して治療を受けられる医療体制の再建は待ったなしだ。

日医は自民党と深いつながりを持ち、旧政権では医療政策に影響力を行使してきた。前回の診療報酬改定では勤務医不足対策の財源を確保するため、勤務医よりも優遇された開業医の再診料引き下げが提案されたが、日医の反発で実現しなかった。開業医優先とされる姿勢に根本的な問題がある。
だからといって、有無を言わせぬ人事で開業医と勤務医の離反を招くような「荒療治」を正当化できるのか。勤務医と開業医の対立をあおるような事態となれば、迷惑を被るのは患者であることを忘れてはならない。新委員に先の衆院選で民主党候補を応援した茨城県医師会理事らを選んだことで、総選挙の「論功行賞」との声が聞かれるようではなおさらだ。
委員の顔ぶれをどう変えようと、患者である国民を向いた議論がなければ何も変わらないことを長妻氏は肝に銘ずべきだ。

【産経新聞:10・28】



「患者である国民を向いた議論がなければ何も変わらない」同感です。
果たして歯科界を何を国民に提示し訴えるのか、そして具体的な政策提言をするのか?
Commented by 累卵 at 2009-10-28 14:15 x
新聞各紙社説を読み比べると、過去の教訓から日歯の進むべき道が見えてくるのでは・・・・・
◎東京新聞「中医協人事 多様な声を反映させよ」
開業医重視の診療報酬体系を改めなければならないが、日医の反対に遭って配分の見直しはなかなかできなかった。今回の人事は日医の影響力を排除し、勤務医に手厚く報いようというのが狙いとみられる。
今後は、看護師など他の医療職にも委員への道を開くなど、医療者全員の声が適切に反映されるように委員構成を抜本的に見直すことも課題だ。
◎朝日新聞「日医外す中医協 医療再構築の転機に」
 来春に控えた報酬改定では、従来の配分方式を改め、地域の医療を支える病院に大胆に上積みすることが期待される。その意味で、中医協の人事も大切なことだ。
 診療報酬改定については、自民党を支持してきた日医が強い力を持ち続けた。その結果、開業医に比べて病院の再診料は低く抑えられてきた。 病院経営を助けるために開業医の再診料を引き下げられるかが問われるのではないか。 技師など高い技術をもつ医療従事者を含めて病院がきちんと評価され、それに見合う報酬を受けるようにするための改革が求められる。
Commented by 累卵 at 2009-10-28 14:22 x
◎読売新聞「中医協人事 脱皮を迫られる日本医師会」
民主党は中医協の議論は開業医寄りであると批判し、委員構成の見直しを唱えてきた。医療行政への日医執行部側の影響力は、著しく低下するだろう。だが多くの国民にとって日医内部の主導権争いは重要でない。問題は新しい陣容の中医協が、開業医の利益を優先してきた診療報酬体系を改革できるかどうかだ。過酷な救急医療や産科、小児科といった分野の病院勤務医に、思い切って報酬を配分しなければならない。開業医全体の報酬枠に切り込むことが必要になるだろう。
その際に、非主流派ながら医師会幹部である新委員が、やはり開業医の既得権を守ろうとするならば何も変わらない。これまでの日医推薦委員とは違う、というところを見せてもらいたい。国民は医療態勢の現状に不安を抱いている。医療界全体で改革に取り組むことが不可欠だ。その中心に日医がいたいのなら、日医は変わる必要があろう。
Commented by 累卵 at 2009-10-28 14:22 x
◎毎日新聞「日医外す中医協 医療再構築の転機に」
 自民党による族議員政治のシンボル的存在でもあっただけに、政権交代を改めて印象づける人事といえる。
 厚生労働省は前回(08年度)の診療報酬改定で、開業医に比べて低い勤務医の再診料をアップすることを目指したが、日医が開業医の報酬ダウンに抵抗し、中途半端な改定に終わった。このため、民主党は来年度の診療報酬改定に向け、日医の影響力の排除を図ったといわれる。
 日医枠に新たに任命される3人は開業医を主力とする地方の医師会や大学医局が出身母体だが、中医協の場でそれぞれの団体の権益の主張に徹するのでは、日医に代わる圧力団体が登場するだけのことになる。代表委員の入れ替えだけでなく、利害関係者が集まって診療報酬を決める中医協のあり方についても検討すべきかもしれない。

Commented by 累卵 at 2009-10-28 14:25 x
◎ 日経新聞「患者本位の中医協に生まれ変わるか」
 病院に勤める専門医より診療所に手厚いといわれる診療報酬の配分を見直すきっかけになる可能性はある。厚労相は患者の立場を第一に議論する中医協に再生させてほしい。
日医の推薦者を漫然と委員に就けていたのを政治主導で改める意義は小さくない。
 来年度の診療報酬改定では専門医をはじめ、医師の偏在が顕著な産科や小児科、外科などに診療報酬を手厚く配分すべきだ。それは病院の専門医を頼りにせざるを得ない重篤な患者の利益になる。
 茨城県医師会長は来春の日医会長選に立候補する。仮に当選すれば政権党の支持基盤という日医の機能は変わらない可能性が強い。中医協の議論にも新執行部の意向が反映される。その関係が行き過ぎれば患者の利益は二の次になる心配がある。   
同相は混合診療の原則禁止を追認した東京高裁判決が妥当だと表明した。またレセプト電子請求の義務化に例外を認める。ともに一部の医療関係者の主張に沿う。支持基盤だけをみていては患者や納税者のための医療は実現できない。  
by kura0412 | 2009-10-28 11:12 | 政治 | Comments(4)