コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ミラー片手に歯科医師の本音
『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




以前の記事
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
健康・医療
政治・経済
画像一覧

いきなり官僚制度に攻撃を

駆け込み「天下り」省庁関与、民主が検証方針

民主党への政権交代を間近に控え、各省庁の幹部やOBによる関連法人への「駆け込み」とみられる天下りが相次ぐ中、文科、農水両省の前次官が最近就任したポストは、歴代次官や幹部らが長年独占してきた「指定席」だった。
政府は各省庁による個別のあっせんはやめるとしていたが、民主党は「役所は無関係を装いながら、実質的には天下り先を固定して抜け道を作っている」と指摘。同党は政権交代後、検証に乗り出す方針だ。

「事故米」問題で昨年9月に引責辞任した農水省の白須敏朗・前次官(58)が、今月2日に再就職したのは、同省所管の社団法人「大日本水産会」の会長。前任は今年5月に4期目の再選が決まっていた元水産庁長官(65)で、9月1日の臨時総会と理事会で、任期を1年8か月以上残して交代が決まるという異例の人事だった。しかも、この会長ポストには、元水産庁長官も含め少なくとも5代以上、農水OBが就いており、白須前次官もその後を継ぐことになった。

一方、文科省の銭谷真美・前次官(60)が8月1日付で就任したのは、独立行政法人・国立文化財機構の組織の一つである「東京国立博物館」の館長。
同館の館長人事は、2001年に同機構が独立行政法人化されるまで、当時の文部大臣が任命する権限を持ち、それまで7代にわたって次官経験者が館長を務めていた。しかし、その後も同様に次官経験者が館長に就き、銭谷前次官は独法化後、3人目の就任になった。
同省では、元文部科学審議官(62)が、同省所管の独立行政法人「日本学生支援機構」の理事から、8月1日付で同省所管の「公立学校共済組合」の理事長に就任するという「渡り」をしていたことが判明。この際、同機構からの退職金数百万円を8月下旬に返還していたことも明らかになった。

今回、判明した天下りや渡りについて、農水、文科両省は「省があっせんした事実はない」と説明している。しかし、7月に元次官が関連法人の副理事長に天下りをした国土交通省では、現職の海事局長が8月、前任の国交OBが「病気」のため顧問に退いたことを理由に、同省所管の民間法人「日本小型船舶検査機構」の理事長に就任するなど、ほかにも「駆け込み」とみられるケースもある。

政府は昨年12月、国家公務員の再就職を一元的にあっせんする「官民人材交流センター」を発足させている。文科省のケースは同センターの関与が可能だったが、結局関与していなかった。マニフェストに「天下りの根絶」を掲げた民主党は、同センターについても、省庁による個別のあっせんと変わらないとして廃止することを表明している。

官僚の天下り問題を追及してきた民主党の細野豪志衆院議員は、政権交代前に相次いだ天下りや渡りについて、「政権交代後に、指定席のポストに就けなくなることを恐れた『駆け込み』である可能性が高い。省庁は、あっせんを否定しているが、実際には補助金の交付を通じて関連法人に対して権限を持っており、不正な関与がないかどうか徹底的に調べたい」と話している。

【2009年9月8日03時14分 読売新聞】




日本が変わる:カギ握る戦略局、菅氏起用で「戦う姿勢」 構成・形態、具体像見えず

「脱官僚」を掲げる民主党政権の政策決定システムが姿を現してきた。首相直属機関として新設する「国家戦略局」の担当相には、薬害エイズ問題の究明で名をはせた菅直人代表代行の起用が固まり、官僚組織と戦う姿勢を前面に出す。首相に就く鳩山由紀夫代表が社民、国民新両党の党首クラスと基本政策を協議する閣僚委員会も設置される方向となり、岡田克也幹事長の外相起用と併せ「鳩山内閣」は重厚な布陣となる見通し。ただ、国家戦略局の組織形態など具体像はなお見えず、来年度予算案の編成がどこまで政治主導で進むかは未知数だ。

菅氏は3日夕、衆院議員会館の事務所を訪れた谷口博昭事務次官ら国土交通省幹部に「霞が関の新しいビジネスモデル」と題した自らのインタビュー記事を手渡した。

「霞が関解体で天下り団体を減らし、税金をより有効に使う」「(解体に伴う地方分権で)国土交通省の職員数は5分の1で済む」と書かれた記事に、ある幹部が「国会含め、全体のシステムが変わらないといけませんね」と感想を漏らすと、菅氏は語気を強めて「だからそれを変えるんだ。文句があるなら『国土交通党』を作って選挙に出なさい」。約30分にわたり「官僚主導を政治主導に」とまくしたてた。

菅氏の考える「霞が関解体」の第一歩が、予算編成の主導権を内閣が握ること。その武器となるのが国家戦略局だ。予算の骨格など政権運営の基本方針を決める首相直属機関で、鳩山氏が5月の党代表選で設置を打ち出し、衆院選マニフェストに「鳩山政権の政権構想」として盛り込まれた。専属スタッフを入れて首相官邸の機能強化にもつなげる構想だ。
ただ、メンバー構成や組織形態などの具体像はこれから固める段階で、橋本内閣の厚相時代に薬害エイズ問題で厚生官僚と戦った菅氏のイメージばかりが先行。菅氏自身も「一から作り上げなければならない」と周辺に漏らしている。

最初に問われるのは、民主党がマニフェストで公約した子ども手当創設や高速道路無料化などを初年度から実行に移せるかだ。そのために必要な財源を捻出(ねんしゅつ)するのが、首相を議長に新設される「行政刷新会議」。戦略局とともに「脱官僚」を進める車の両輪となるが、各省庁への指揮系統をどうするかなど課題も多い。

これまで省庁に対する「司令塔」の役割は官房長官が担うことが多かったが、民主党政権では戦略局の担当相に移る見通し。鳩山氏は4日、「長官の主たる役割は国会との間のスムーズな運営になる。政策の中心は国家戦略局に置かれる」と記者団に語っている。
ただ、戦略局を司令塔とするには法律に基づく権限付与が必要。民主党は10月にも召集される臨時国会で関連法の成立を目指すが、それまでは政令で「国家戦略室」を設置しての見切り発車を余儀なくされる。

また、これまで閣議に上げる案件を事前に決めてきた事務次官会議が廃止され、省庁間の政策調整の場としてはテーマごとに関係閣僚で構成する閣僚委員会が設置される。政治主導で政策を決める仕組みの一つだが、閣議の下に置かれることで官房長官が調整役になる可能性もある。党首級の閣僚委員会では基本政策が話し合われる見通しで、戦略局の方針とどう整合性をとるかも課題となる。

◇政策決定一元化 諮問会議の骨抜き教訓
民主党の直嶋正行政調会長が7日午後、国会内に財務省の丹呉泰健事務次官を呼び込んだ。先週、新政権への引き継ぎ作業の一環として、民主党側から求められた09年度補正予算の執行状況や10年度予算編成作業の進み具合を聞き取るためだ。

民主党の長妻昭政調会長代理ら入閣が予想される党幹部や財務省の勝栄二郎主計局長も交えた面会は1時間に及んだ。焦点は5月に成立した14・7兆円の09年度補正予算。民主党は一部事業を停止し、高速道路無料化や子ども手当の財源確保を目指す。財務省は「執行状況の調査は完了していない」と回答。直嶋氏は予算の基本方針作りに必要として、週内にも再報告するよう迫った。だが、予算の年内編成を目指す財務省が、基本方針の早期提示を求めたのに対し、直嶋氏は「新内閣ができた後」と手の内を明かさず、政治主導への意欲を見せつけた。

予算編成など重要な政策決定の主導権を官僚から奪う動きは自民党政権時代もあった。小泉政権下、首相が議長を務める経済財政諮問会議は、竹中平蔵経済財政担当相(当時)と民間メンバーが、財政再建論議のたたき台を提示。小泉純一郎首相が採用を決断する手法で、自民党や官僚の反発を封じ込め、公共事業費年3%削減や社会保障費抑制などの歳出カットを進めた。
だが、その後の安倍、福田、麻生政権下、首相の指導力低下と連動して諮問会議も形骸(けいがい)化する。今年6月に決めた、予算編成の基本方針「骨太の方針09」は、衆院選を前にした自民党議員の声に押され、財政再建の象徴だった社会保障費抑制目標を撤回した。

国家戦略局は、小泉政権時代の諮問会議と同様、官邸主導の予算編成が目標。自公政権末期の諮問会議の二の舞いにならないよう、政府、与党の二元体制で進められていた政策決定を政府に一元化する。さらに菅氏が戦略局を主導することで「骨太の方針よりも具体的な指示が出されるため、官僚の思惑で骨抜きにされる余地はなくなる」(民主党中堅議員)との青写真を描く。

【毎日新聞 2009年9月8日】





民主党政権がいきなり官僚制度に攻撃を仕掛けている印象です。
果たしてこの攻撃に対して官僚側は反撃するか?あるいは白旗を早々に揚げるか?鳩山政権発足直後からいきなり大勝負の様相を呈してきました。
by kura0412 | 2009-09-08 14:53 | 政治 | Comments(0)