いきなり官僚制度に攻撃を

駆け込み「天下り」省庁関与、民主が検証方針

民主党への政権交代を間近に控え、各省庁の幹部やOBによる関連法人への「駆け込み」とみられる天下りが相次ぐ中、文科、農水両省の前次官が最近就任したポストは、歴代次官や幹部らが長年独占してきた「指定席」だった。
政府は各省庁による個別のあっせんはやめるとしていたが、民主党は「役所は無関係を装いながら、実質的には天下り先を固定して抜け道を作っている」と指摘。同党は政権交代後、検証に乗り出す方針だ。

「事故米」問題で昨年9月に引責辞任した農水省の白須敏朗・前次官(58)が、今月2日に再就職したのは、同省所管の社団法人「大日本水産会」の会長。前任は今年5月に4期目の再選が決まっていた元水産庁長官(65)で、9月1日の臨時総会と理事会で、任期を1年8か月以上残して交代が決まるという異例の人事だった。しかも、この会長ポストには、元水産庁長官も含め少なくとも5代以上、農水OBが就いており、白須前次官もその後を継ぐことになった。

一方、文科省の銭谷真美・前次官(60)が8月1日付で就任したのは、独立行政法人・国立文化財機構の組織の一つである「東京国立博物館」の館長。
同館の館長人事は、2001年に同機構が独立行政法人化されるまで、当時の文部大臣が任命する権限を持ち、それまで7代にわたって次官経験者が館長を務めていた。しかし、その後も同様に次官経験者が館長に就き、銭谷前次官は独法化後、3人目の就任になった。
同省では、元文部科学審議官(62)が、同省所管の独立行政法人「日本学生支援機構」の理事から、8月1日付で同省所管の「公立学校共済組合」の理事長に就任するという「渡り」をしていたことが判明。この際、同機構からの退職金数百万円を8月下旬に返還していたことも明らかになった。

今回、判明した天下りや渡りについて、農水、文科両省は「省があっせんした事実はない」と説明している。しかし、7月に元次官が関連法人の副理事長に天下りをした国土交通省では、現職の海事局長が8月、前任の国交OBが「病気」のため顧問に退いたことを理由に、同省所管の民間法人「日本小型船舶検査機構」の理事長に就任するなど、ほかにも「駆け込み」とみられるケースもある。

政府は昨年12月、国家公務員の再就職を一元的にあっせんする「官民人材交流センター」を発足させている。文科省のケースは同センターの関与が可能だったが、結局関与していなかった。マニフェストに「天下りの根絶」を掲げた民主党は、同センターについても、省庁による個別のあっせんと変わらないとして廃止することを表明している。

官僚の天下り問題を追及してきた民主党の細野豪志衆院議員は、政権交代前に相次いだ天下りや渡りについて、「政権交代後に、指定席のポストに就けなくなることを恐れた『駆け込み』である可能性が高い。省庁は、あっせんを否定しているが、実際には補助金の交付を通じて関連法人に対して権限を持っており、不正な関与がないかどうか徹底的に調べたい」と話している。

【2009年9月8日03時14分 読売新聞】




日本が変わる:カギ握る戦略局、菅氏起用で「戦う姿勢」 構成・形態、具体像見えず

「脱官僚」を掲げる民主党政権の政策決定システムが姿を現してきた。首相直属機関として新設する「国家戦略局」の担当相には、薬害エイズ問題の究明で名をはせた菅直人代表代行の起用が固まり、官僚組織と戦う姿勢を前面に出す。首相に就く鳩山由紀夫代表が社民、国民新両党の党首クラスと基本政策を協議する閣僚委員会も設置される方向となり、岡田克也幹事長の外相起用と併せ「鳩山内閣」は重厚な布陣となる見通し。ただ、国家戦略局の組織形態など具体像はなお見えず、来年度予算案の編成がどこまで政治主導で進むかは未知数だ。

菅氏は3日夕、衆院議員会館の事務所を訪れた谷口博昭事務次官ら国土交通省幹部に「霞が関の新しいビジネスモデル」と題した自らのインタビュー記事を手渡した。

「霞が関解体で天下り団体を減らし、税金をより有効に使う」「(解体に伴う地方分権で)国土交通省の職員数は5分の1で済む」と書かれた記事に、ある幹部が「国会含め、全体のシステムが変わらないといけませんね」と感想を漏らすと、菅氏は語気を強めて「だからそれを変えるんだ。文句があるなら『国土交通党』を作って選挙に出なさい」。約30分にわたり「官僚主導を政治主導に」とまくしたてた。

菅氏の考える「霞が関解体」の第一歩が、予算編成の主導権を内閣が握ること。その武器となるのが国家戦略局だ。予算の骨格など政権運営の基本方針を決める首相直属機関で、鳩山氏が5月の党代表選で設置を打ち出し、衆院選マニフェストに「鳩山政権の政権構想」として盛り込まれた。専属スタッフを入れて首相官邸の機能強化にもつなげる構想だ。
ただ、メンバー構成や組織形態などの具体像はこれから固める段階で、橋本内閣の厚相時代に薬害エイズ問題で厚生官僚と戦った菅氏のイメージばかりが先行。菅氏自身も「一から作り上げなければならない」と周辺に漏らしている。

最初に問われるのは、民主党がマニフェストで公約した子ども手当創設や高速道路無料化などを初年度から実行に移せるかだ。そのために必要な財源を捻出(ねんしゅつ)するのが、首相を議長に新設される「行政刷新会議」。戦略局とともに「脱官僚」を進める車の両輪となるが、各省庁への指揮系統をどうするかなど課題も多い。

これまで省庁に対する「司令塔」の役割は官房長官が担うことが多かったが、民主党政権では戦略局の担当相に移る見通し。鳩山氏は4日、「長官の主たる役割は国会との間のスムーズな運営になる。政策の中心は国家戦略局に置かれる」と記者団に語っている。
ただ、戦略局を司令塔とするには法律に基づく権限付与が必要。民主党は10月にも召集される臨時国会で関連法の成立を目指すが、それまでは政令で「国家戦略室」を設置しての見切り発車を余儀なくされる。

また、これまで閣議に上げる案件を事前に決めてきた事務次官会議が廃止され、省庁間の政策調整の場としてはテーマごとに関係閣僚で構成する閣僚委員会が設置される。政治主導で政策を決める仕組みの一つだが、閣議の下に置かれることで官房長官が調整役になる可能性もある。党首級の閣僚委員会では基本政策が話し合われる見通しで、戦略局の方針とどう整合性をとるかも課題となる。

◇政策決定一元化 諮問会議の骨抜き教訓
民主党の直嶋正行政調会長が7日午後、国会内に財務省の丹呉泰健事務次官を呼び込んだ。先週、新政権への引き継ぎ作業の一環として、民主党側から求められた09年度補正予算の執行状況や10年度予算編成作業の進み具合を聞き取るためだ。

民主党の長妻昭政調会長代理ら入閣が予想される党幹部や財務省の勝栄二郎主計局長も交えた面会は1時間に及んだ。焦点は5月に成立した14・7兆円の09年度補正予算。民主党は一部事業を停止し、高速道路無料化や子ども手当の財源確保を目指す。財務省は「執行状況の調査は完了していない」と回答。直嶋氏は予算の基本方針作りに必要として、週内にも再報告するよう迫った。だが、予算の年内編成を目指す財務省が、基本方針の早期提示を求めたのに対し、直嶋氏は「新内閣ができた後」と手の内を明かさず、政治主導への意欲を見せつけた。

予算編成など重要な政策決定の主導権を官僚から奪う動きは自民党政権時代もあった。小泉政権下、首相が議長を務める経済財政諮問会議は、竹中平蔵経済財政担当相(当時)と民間メンバーが、財政再建論議のたたき台を提示。小泉純一郎首相が採用を決断する手法で、自民党や官僚の反発を封じ込め、公共事業費年3%削減や社会保障費抑制などの歳出カットを進めた。
だが、その後の安倍、福田、麻生政権下、首相の指導力低下と連動して諮問会議も形骸(けいがい)化する。今年6月に決めた、予算編成の基本方針「骨太の方針09」は、衆院選を前にした自民党議員の声に押され、財政再建の象徴だった社会保障費抑制目標を撤回した。

国家戦略局は、小泉政権時代の諮問会議と同様、官邸主導の予算編成が目標。自公政権末期の諮問会議の二の舞いにならないよう、政府、与党の二元体制で進められていた政策決定を政府に一元化する。さらに菅氏が戦略局を主導することで「骨太の方針よりも具体的な指示が出されるため、官僚の思惑で骨抜きにされる余地はなくなる」(民主党中堅議員)との青写真を描く。

【毎日新聞 2009年9月8日】





民主党政権がいきなり官僚制度に攻撃を仕掛けている印象です。
果たしてこの攻撃に対して官僚側は反撃するか?あるいは白旗を早々に揚げるか?鳩山政権発足直後からいきなり大勝負の様相を呈してきました。
by kura0412 | 2009-09-08 14:53 | 政治 | Comments(0)