日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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FNNニュース「インプラント治療の光と影」

ここ数年、急速に普及しているインプラント治療の光と影を取材しました。

20歳以上のおよそ9割が虫歯になっている日本で、ここ数年、急速に普及しているインプラント治療の光と影を取材しました。

今、インプラント治療は歯を失ってしまった人にとって最後のよりどころとなっている。
東京医科歯科大学インプラント・口腔(こうこう)再生医学の春日井 昇平教授は「ほかの治療法である『ブリッジ』だとか、取り外しのきく『入れ歯』に比べると、義歯がしっかり安定する、すなわちすごくよくかめるということが一番のメリット」と話した。
自分の歯と同じように強くかめるインプラント。
インプラント治療の一般的な手術は、「歯槽骨」に直接穴を開けて、チタン製の「人工歯根」を埋め込み、いったん歯肉で完全にふさぐ。
すると3カ月ほどの間に、新たな骨が人工歯根に形成されていく。
これはチタン特有の性質で、骨と人工歯根が強力に結合する。
その後、セラミックなどの義歯を装着して治療は終了。
費用は、1本あたり10万円台~60万円以上と、歯科医院によって大きな開きがある。
インプラント治療を受けた男性は「満足しています。何でも食べられるし、自分の一生の財産」と話した。
ただし、インプラント治療は、高度な技術と経験が必要とされ、最近はトラブルが目立っているという。
春日井教授は「神経だとか血管を避けながら、なおかつ残っている骨の少ないところにドンピシャにピタッとインプラントを入れるとなると、かなり熟練しないと難しい」、「特にここ数年、ほかの歯科医院でやったインプラントのリカバリーとか、問題のケースがすごく増えてますね。それが今悩ましくて」と語った。
人工歯根がぽっかりと抜け落ちてしまったケースでは、外れた人工歯根が患者の副鼻腔(びこう)の中に入り込んでしまっていた。
このほか、神経の損傷による顔面神経痛などの後遺症や、手術中の死亡事故も起きている。
インプラント治療に30年の経験を持つ、堤デンタルクリニックの堤 一純院長のもとには、ほかの歯科医院で失敗した患者が、相次いで訪れている。
堤院長は「インプラントのボディー(人工歯根)が、本来なら歯茎の粘膜の下に入ってなければいけないんですね。長さ自体が11mm前後のものですから、3分の1が露出してしまっている。中にはやっぱり、とんでもない手術をしていただいている先生もいらっしゃることは事実なんですよ」と話した。
インプラント手術を2年前に受けた男性は、傷口から感染を起こしたため、歯科医に抗議した。
男性は「『失敗じゃない』と、突っ張っていましたね」、「その先生は最後に何を言い出すかというと、『わたしは借金している』という話、膨大な借金ですよ...、聞いたら」と話した。
歯科医院の経営が厳しいという、意外な現実がある。
理由は、保険の診療報酬の引き下げが続いていること、歯科医がおよそ9万7,000人と増えて、供給過剰になったことがある。
そうした中で、保険の対象ではないインプラント治療は、費用を自由に設定でき、一部の歯科医院にとってドル箱となった。
すでに、15年ほど前に確立されたインプラント治療が、今になって急激に伸びている要因の1つに、経済事情がからんでいる。
インプラント治療を受ける歯科医院の選び方に、堤院長は警鐘を鳴らしている。
堤院長は「インターネットのみで行かれることは、本当に危険そのものだと思います」、「(ウェブサイトに)非常にきれいなスライドがたくさん出ていますが、その中にはメーカーさんが提供してしまっているスライドが結構たくさん見受けられるんですよ。あれで、痛い目に遭って、来られている方が結構いらっしゃるんで」と話した。
インターネットに掲載されている「インプラント専門医」という肩書について、厚労省は、「医療法上の広告として認めていない」という見解だが、インターネットに関しては規制の対象外として、特に指導はしていない。
さらに大半の歯科医は、大学でインプラント治療を学んでいないという。
メーカーや学会による講習会のみで治療を始めるケースも多く、患者が歯科医の技術レベルを知ることは極めて難しい。
歯科医の技術格差について、春日井教授は情報公開の必要性を説いている。
春日井教授は「全部入れたインプラントを(第3者機関などで)ちゃんとフォローするようなシステムをつくる。そうすると(手術ミスなどの)問題も全部あぶり出されてくる。今は(インプラントが)落ちてもデータとして残らない。そういうシステムをつくると、ある医院とか、あるドクターでは脱落が多いとか、そういう話になってくる」と話した。
全国およそ6万5,000人の歯科医が加盟する日本歯科医師会が、インプラント問題について危機感を抱き、対応策を検討している。
日本歯科医師会の小谷田 宏常務理事は「トラブル事例については、個別にたくさんの情報が都道府県単位で集まっております」、「その辺の分析については、これからの作業になります」、「(トラブルの多い医院の公表は?)個人情報の問題もありますので、それが本当にできるかどうかについては、十分に検討しなければならないというふうに思います」と話した。
メリットと、リスクの二面性を抱えるインプラント治療。
患者にとって必要な情報の整備が、今、強く求められている。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00149366.html

【FNNニュース:02/14 02:08】
by kura0412 | 2009-02-14 11:43 | 歯科 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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