オーラルケア市場調査結果

富士経済、オーラルケア市場調査結果を発表

2008年に
市販用は前年比1.9%増の4,173億円
歯科医ルート(対象10品目)向けは同2.8%増の123億円


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 03-3664-5811 社長 阿部 界)は、審美意識の高まりで見直されるオーラルケア関連市場の調査を実施した。その結果を報告書「オーラルケア関連市場マーケティング総覧 2008年」にまとめた。
本報告書では、口腔ケア用品6品目、機器/用品類8品目、食品4品目、医薬品・医薬部外品8品目、その他2品目、計28品目の市販用オーラルケア市場を市場規模、メーカーシェア、新製品、チャネル、販促・プロモーション等の観点から調査分析した。また、別途歯科医ルート製品についても10品目を取り上げ調査分析した。


<調査結果の概要>

1.市販用オーラルケア関連市場
2007年のオーラルケア関連市場は、全体的に堅調で前年比1.5%増の4,094億円となった。口腔ケア用品では、歯磨は消費者が価格よりも製品の質を求めるようになり価格競争が薄らぎ市場拡大に繋がっている。また、高齢化に伴い、義歯安定剤や義歯洗浄剤の需要も高まっている。機器/用品類では、比較的高価格な製品への需要が高まり、特に電動歯ブラシは今後も成長が期待されている。食品市場は、機能性ガムや口中清涼菓子が牽引しており、2007年は前年比1.5%の1,895億円となった。特に清涼感や口臭除去を訴求したガムや菓子が増加している。今後もこれらの市場に支えられ全体として堅調な推移が予想される。医薬品・医薬部外品市場は全体的には縮小傾向にあるが、高齢化に伴う歯周病患者の増加を背景に歯周病薬市場が拡大し、医薬品・医薬部外品市場を押し上げている。

 <機 能>       <2007年>  <2008年予測> <前年比> 
 口腔ケア用品      1,131億円    1,165億円    3.0%増
 機器/用品類       538億円      551億円    2.4%増
 食 品          1,895億円    1,923億円    1.5%増
 医薬品・医薬部外品   429億円      430億円    0.2%増
 その他           102億円       104億円    2.0%増
   合 計        4,094億円    4,173億円    1.9%増

 *四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。   

A.口腔ケア用品
高齢化とオーラルケア意識の高まりがポイントとなる。成熟市場である歯磨市場では高齢者層をターゲットにした高価格・高機能製品の発売が目立つようになり、平均単価の上昇が見られる。特に歯周病予防歯磨においてその傾向は顕著であり、サンスターの「GUMデンタルクリーム」やライオンの「デントヘルス」など、1,000円を超える製品の開発が盛んになっている。また義歯安定剤市場や義歯洗浄剤市場でも使用者である高齢者人口の増加に伴い、順調に市場が拡大している。アース製薬や小林製薬など主要メーカーの注力度も高まっており、ブランドの強化や新製品の投入が相次いでいる。また、高齢者層の歯周病や口腔疾患などに対するケア意識の向上のほかに、口臭予防や美白など若年層のオーラルケア意識も向上している。特に洗口液市場は急成長しており、口腔ケア用品の市場拡大に大きく貢献している。歯磨市場でも女性層を中心に美白訴求の歯磨が好調であり、また花王の「ピュオーラ」のように歯周病予防や虫歯予防、口臭予防といった機能を総合的に訴求した製品が実績を拡大している。しかし、相次いだメーカーの新規参入が落ち着き、新製品の投入が少なくなったことなどにより2006年から成長が鈍化している。2008年以降は再び各社の注力度が高まり、新製品の開発も盛んになり復調すると予測される。

B.機器/用品類
電動歯ブラシは、2004年に低価格製品が市場を拡大したが、2005年には低価格製品の需要が頭打ちとなり市場が縮小した。しかし、2006年から2007年には高価格製品への需要が高まり市場が拡大している。歯ブラシは、2004年から2005年にかけて低価格製品の価格競争により市場が停滞したが、2006年から2007年には低価格競争が薄らぎ、比較的高価格・高付加価値の製品の需要増から市場が拡大している。歯間ブラシが2005年に一時的に低迷したものの、歯間清掃具市場は堅調に推移している。また、舌クリーナー市場が急成長しており、特に携帯が可能で、手軽に口臭ケアができるエビスの「クリタン」が若年女性の需要を獲得している。口臭予防や美白プラス手軽さを具現化した製品に対する消費者の支持が高まっていることから、今後それらを訴求する製品が市場を拡大していくと考えられる。現在、機器・用品類市場の牽引役となっている電動歯ブラシ、歯ブラシ、歯間清掃具では積極的にユーザーの開拓を行っており、2008年も市場拡大が予想される。

C.食 品
オーラルケアを訴求した食品は、手軽においしくケアできることから市場は成長を続けてきたが、のど保護を訴求したキャンディや虫歯予防を訴求したガム等、多くのカテゴリーで飽和状態になりつつある。そのため、今後オーラルケアを訴求した食品の総市場は大きく変化せず、競合関係にあるカテゴリー間やメーカー間でのシェア争いが激しくなると予測される。消費者のエチケット意識の高まりから口臭予防を訴求したキャンディや口中清涼菓子が好まれており、江崎グリコは口臭の原因として知られている舌苔に注目した新製品「BREO」を発売している。市場が停滞しているのど保護を訴求したキャンディ市場においても、風邪のプレケアに注目したノーベル製菓の「いがいが前のグレープのど飴」のように新しい機能を訴求した製品により、市場は活性化されていくとみられる。ガムでは、今までは、健康志向の高まりから機能性ガム、特に特定保健用食品の認可を受けた虫歯予防を訴求したガムの需要が大きかった。しかし、現在は消費者のエチケット意識の高まりから、口臭予防を訴求したガムの需要が大きくなりつつある。

D.医薬品・医薬部外品
歯周病は高齢者に多く高齢化の進展により患者数が増加していることと、消費者のオーラルケアに関する意識の高まりと歯周病に対する予防・治療意識の向上により、歯周病薬市場は拡大している。また、歯周病は全身の健康を害する原因の一つであることが明らかとなっており、「心臓血管疾患」、「糖尿病」、「呼吸器疾患」、「低体重早産」と大きく関連していることが報告されている。今後も消費者のセルフメディケーション意識の高まりから歯周病薬市場は拡大していくと予測される。
風邪の予防効果がある含嗽剤は、毎日のケアが重要であるためうがいの習慣化で安定市場を形成することが可能である。医薬品の含嗽剤は明治製菓(イソジン)が圧倒的なシェアを有しており、子供にうがいの大切さを教える活動や販促活動に注力している。一方、ライオンの「キレイキレイ」ブランドやサンスターの「GUM」ブランドなど医薬部外品では含嗽剤単体での販促活動に注力していない。今後、医薬部外品メーカーも含嗽剤の販促活動に注力することができれば、より多くの消費者に含嗽剤を利用したうがいを習慣化させることが可能になると考えられる。


2.歯科医ルート(対象10品目)向けオーラルケア関連市場

2007年 120億円  2008年(予測) 123億円(前年比2.8%増)

歯科ルートのオーラルケア製品は、如何に市販製品と差別化するかが大きなポイントとなる。参入企業は、製品の性能面や機能面での差別化に加え、患者への予防意識の積極的な啓発を行う歯科医院の増加を促す施策を講じることにより、歯科医院の予防意識高揚を促すことで、市場拡大を図っている。歯科ルート市場は患者のセルフケア意識の高まりにより2005年から2007年にかけて前年比約3%増で着実に拡大しており、今後も堅調な推移が続くと見込まれる。
主な牽引役は歯磨及び歯ブラシで、歯周病やう蝕予防、美白といった多様な訴求点を有した製品が開発・販売されている。市販品製品に比べこれらの製品は高価格ではあるが配合成分において市販製品と明確に差別化されている。また、高齢化による「ドライマウス」患者の増加に伴い、「ドライマウス」対策製品の需要が拡大しており、口腔保湿液市場が拡大している。洗口液市場も堅調に推移しており、新製品の投入もあり全体市場を押し上げている。口中トラブルの予防製品である電動歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ、口腔洗浄器は歯科医師・歯科衛生士による推奨や使用説明に伴って、ユーザーが獲得されることが多い反面、歯科医院向けの製品を継続して使用するユーザーが少なく、比較的安価な市販製品へとシフトするケースが多い。そのため、市場に大きな変動は見られない。


【日経プレスリリース:2008年2月28日】


いろいろと考えることがある調査結果です。
by kura0412 | 2008-02-28 18:25 | 歯科

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412