日本歯科新聞07・9・4(定時的な訓練必要)

3年の間に震度6の地震を二度体験するとは、私自身、いくら危機管理が必要と叫ばれている時代でも考えもしませんでした。しかし、脅すわけではなく、この地震大国日本に住む限りいつどこでも地震の被害を受ける可能性が秘めていることは、絶えず先生方も危機管理の第一として考え、備えなければいけない課題です。
ただ、この2回の地震体験で不幸中の幸いだったのが、いずれも診療時間を過ぎた、また休日であったことです。特に、抜歯などの観血的処置、形成時であの地震を受けなかっただけでも医療人としてホッとしています。
同じエリアでありながら、3年前の地震は豪雪地帯、また今回は海辺の街とその基本的な環境は随分異なります。その被害の違いは、前者は交通網比べ家屋の被害が少なく、今回は家屋の被害が著しいというような形で表されています。地域それぞれの事情、環境によって同じ直下型の地震を受けてもその後の被害状況は異なり、また、それと共に地震直後の混乱の収拾、その後の復興の手順、進み方は変わります。
特に、都市部での被災を想定すると、3年前から歩んだ中越地震と同じだろうかと考えると疑問符が付きます。都市部では比べようもない被害が想定されて当然です。
したがって、地震への対応の第一歩は、先生方が住む地域を軸にして、いろいろな被害の規模、被害状況を想定したシュミレーションを行い、それに沿った対応策を作成すると共に、定時的な訓練が必要です。
3年前に被害あった地域の対応が今回の地震では驚くほど迅速だった結果は、皮肉にも3年前の体験が大きく影響していることを示し、もしその経験がなかったならば、中越沖地震の被害も更に大きなものになってあっただろと推測できます。
by kura0412 | 2007-09-08 15:27 | 歯科

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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