日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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医師の報酬上げ「総理の恩返し」

医師の報酬上げ「総理の恩返し」 議論なき決着

2018年度予算編成の大きな焦点だった診療報酬の改定率が18日の閣僚折衝で正式に決まった。医師らの技術料などは予想以上に伸ばす一方、薬剤費抑制で予算削減目標を達成するいびつさが浮き立つ。自民党の支援団体である日本医師会と政権の蜜月。負担のしわ寄せがくる企業や個人の視点は無視され、医療の効率化論議も押し流された。

「麻生大臣のもとで(改定が)できて幸せです。ありがとうございました」。18日の閣僚折衝。財務省大臣室で厚生労働相の加藤勝信(62)はていねいに頭を下げた。
「四捨五入すれば0.6%だ」。6日前の12日午後11時ごろ。財務相の麻生太郎(77)は日本医師会長の横倉義武(73)と加藤にプラス0.55%の数字を提示。2人がその場で受け入れ、決着したが、もともとこんな高水準で決まるはずではなかった。
その日の午前、麻生が向き合っていたのは首相の安倍晋三(63)だ。横倉とは安倍が若手で自民党の社会部会長(現在の厚生労働部会長)をしていた頃からの付き合いで密接な間柄。横倉は第1次安倍政権が倒れた後も安倍と会い、関係を維持していた。

横倉の顔を立てたい安倍に対し、麻生は前日固めていた「0.50%」からさらに10億円程度上積みし、0.51%で妥協点を探った。「横倉さんがいいというなら」と話す安倍。この瞬間、0.51%で決着かに見えた。
安倍・麻生会談が終わった日の午後、当の横倉は自民党本部で自民党幹事長の二階俊博(78)と会談した。二階は横倉の目の前でおもむろに財務省主計局長の岡本薫明(56)に電話をかけた。「自民党は大変選挙でお世話になった。よろしく頼むぞ」。決まりかけた0.51%は数時間後、「発射台」に変わっていた。
ここ数年、自民党で厚労行政の議論を取り仕切る政調会長代理の田村憲久(53)は0.51%以上のプラス改定ができる余力があることを知っていた。医療・介護の分野で過去に決めた歳出改革の効果が18年度に本格的に効き始めるからだ。田村からの連絡に意を強めた横倉は財務省に「0.7%が筋。最低0.6%」とハードルを上げ始めたのだ。
横倉にも事情がある。今年10月に世界医師会長に就任。来年の日医会長選で4選を狙う微妙なタイミングで改定率は高いほど助かる。地方の医師会では「納得いかない数字なら会長は退陣すべきだ」と圧力をかける幹部もいた。
最終的に麻生は「四捨五入で0.6」という形で折れた。「上積みは横倉さんが自民党が下野したときも裏切らなかったことへの総理の恩返し」。こう語る厚労省幹部もいる。安倍・麻生が完全に主導権を握り、決着当日、知らせがなかった自民党厚労族幹部もいた。
プラス改定自体は8月末からの既定路線だ。「麻生さんと横倉さんの関係を考えたらマイナス改定なんてできるわけがない」。早々と白旗を揚げていたのは財務省幹部。
安倍・横倉が緊密なら、同じ福岡県出身の麻生と横倉も親しい仲だ。横倉は麻生と関係が微妙な福岡地盤の古賀誠(77)ともともと距離が近かったが、麻生に接近。第2次安倍政権下での14年度と16年度の過去2回の診療報酬改定でも麻生と横倉は直接やりとりし改定率を決めてきた。
診療報酬改定で主要プレーヤーのはずの中央社会保険医療協議会は13日、報道で決着の事実を知り仰天した。45兆円の診療報酬の配分を決めるこの協議体は、日医など「診療側」と健康保険組合など保険料の「支払い側」が互いに意見表明し、段取りを踏みながら改定率を決めるならわしだ。
「我々が意見陳述する前に改定率が決まるなど前代未聞だ」。13日にマイナス改定の意見表明をするはずだった委員の一人、健康保険組合連合会(健保連)の幸野庄司(58)は憤慨した。

今回のプラス改定で国費600億円だけでなく、企業や個人が支払う保険料と病院窓口で払う患者の自己負担は計1600億円程度増える。
診療所の院長ら開業医の報酬は十分に高額で、それをさらに引き上げるべきなのか。経済力のある高齢者らの医療費負担を適正水準に上げてはどうか。こうした議論は影をひそめた。財政悪化で国民みんなが我慢すべき時代に、開業医らに配慮した改定がほんとうに必要だったのだろうか。
日本医師会は20万票ともいわれる医師の組織票に加え、多額の政治献金で自民党の政治家を支援している。「『横倉さん、こっちを向いて』という政治家たちの思惑の積み重ねが0.55%という数字をつくった。まっとうな政策の筋論などない」。財務省若手官僚はこう嘆くが、一体で動く政権と日医の前では戦うことすら許されなかった。(敬称略)

(日経新聞)



一元的に上辺の数字だけを語る日経らしい記事ですが、非常に面白い内容です。
ちなみに改定率は、医科+0.63、歯科+0.69、調剤+0.19%。従来の技術料の比率は堅持されました。
by kura0412 | 2017-12-19 09:34 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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