フレネミー

フレネミーを知ってますか(一目均衡)

ソニーの吉田憲一郎副社長によると、米ビジネス界の今の流行語は「フレネミー」だという。似たような趣旨で「コペティション」という言葉もよく使われるそうだ。この2つの単語がどんな意味か、察しがつくだろうか。
フレネミー(frenemy)とは友達(friend)と敵(enemy)を合成した言葉で、ビジネスの文脈では、競争相手でありながら同時にパートナーでもある関係性を指す。コペティション(coopetition)も同様に競争(competition)と協力(cooperation)を結びつけた言葉で、やはり競争しつつも協力もするという多面的な関係を意味する。

ソニーにとってのフレネミーは誰か。吉田副社長によると、例えばネット動画配信の米ネットフリックスがそれに当たる。ソニー傘下にドラマ製作のソニー・ピクチャーズ・テレビジョンという会社があり、そこの最大顧客の一つが自社ブランドコンテンツの作製に膨大な予算を注ぎ込むネットフリックスだ。同社の配信で世界的にヒットした連続ドラマの『ハウスオブカード』や『ザ・クラウン』を実際につくったのは、実はソニーだ。
一方で両社は競合関係にもある。ソニーはゲーム機の「プレイステーション4」経由で、お茶の間のテレビに映画やアニメを届ける有料サービスを展開しているが、これはネットフリックスの牙城の動画配信市場への挑戦に他ならない。
目を凝らせば、フレネミー関係はビジネス界のいたるところで観察できる。世界最大級のフレネミーは米アップルと韓国サムスン電子だろう。両社はスマートフォン市場で激しくぶつかる一方で、薄型パネルやメモリーなどの部品では相互依存の関係にある。自動運転技術をめぐっては、自動車とIT(情報技術)の世界を代表するトヨタ自動車やグーグルの間にもフレネミー的関係が形成されるかもしれない。

直接の接点がないフレネミーもある。国内のタクシー業界は、米ウーバーテクノロジーズなどが展開するライドシェアサービスの「日本上陸絶対阻止」を掲げ、街頭デモに繰り出さんばかりの勢いだ。
その一方でライドシェアが打ち出した新機軸を取り入れ、同じ方向にいく見知らぬ客同士が1台のタクシーを利用する「相乗りサービス」の実用化に動き始めた。タクシー業界の敵視するライドシェアサービスは、実はタクシーの進化の方向を示してくれる「友人」ないし「教師」のような存在かもしれない。
フレネミー時代に必要なのは、他社との関係を適切にマネジメントする能力だ。どの領域で相手の力を借り、どの領域で競争するかを分かりやすく定義し、自社の強みを最大限発揮できるような「関係性の網の目」をつくる。それが経営者の役割である。

(日経新聞)



歯科でのフレネミーとなると医科、調剤となるのでしょうか。
by kura0412 | 2017-11-07 09:36 | 経済

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