『ローソン玉塚会長・厳罰で健診受診率100%に』

[ローソン玉塚会長]厳罰で健診受診率100%に
私の「カラダ資本論」

仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、ローソンの玉塚元一会長CEOの最終回は、自らチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO:最高健康責任者)として取り組む「健康経営」についてうかがいました。健診受診率100%を達成した秘訣とは?

ローソンは2013年に、コーポレートスローガンを「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」に変更しました。少子高齢化が進み、医療費をはじめ社会保障費の増大が国の深刻な課題となっており、私たち一人ひとりが健康へのアクションを起こして、医師や薬に依存しない生活を目指すことが大切と考えています。ローソンとしても、お客様の「未病」「予防」につながる事業展開を強化することで、マチの健康に貢献していきたいと考えています。
ローソンでは、医薬品取り扱い店舗を拡充し、低糖質のブランパン、グリーンスムージーといった健康志向の商品を展開しています。そうした取り組みのなかで、お客様の健康に対する意識やニーズが高まっていることを実感しています。かつて健康志向の商品は美容に関心の高い若い女性やシニアの利用が多かったのですが、現在は老若男女関係なく広がってきています。実際、4年ほど前には、健康に関する商品の構成比はごくわずかだったものの、今ではおよそ2500億円の売上規模となっています。
実は、東京にある本社には社員食堂がないのですが、ビル内にローソンの店舗があり、健康志向の商品が多いということもあって、そこでランチ用の食品を購入する社員も多いのです。

2018年までに高い目標値を設定
2015年10月にチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO)に就任してからは、お客様の健康はもとより、ローソングループの社員や加盟店オーナーの健康増進、改善も重要なテーマと位置づけて、様々な取り組みを行っています。
2013年度に実施した、社員の健康診断の受診率100%を目指した取り組みもその一つです。仕事が忙しいことを理由に健診を受けなかった結果、体調を害してしまう社員を減らすことが目的で、ペナルティも科しました。健診を受けなかった社員に数回、受診を勧める通知をしても受けなかった場合は、本人の賞与を15%、直属の上司の賞与も10%減額するという厳しい措置です。その結果、受診率100%を達成しました。
ただ、受診率100%を実現したのは、厳しいペナルティを科したことよりも、経営トップ直下、人事本部内に設置した「社員健康チーム」や、健康保険組合、労働組合とも連携して、常に社員へメッセージを発信し、コミュニケーションを図ったことが大きかったと思います。管理職には、部下の健康を管理するのも上司の役目の一つと理解してもらいました。やはり、お客様の健康をサポートするローソングループとしては、社員一人ひとりの健康を維持することが重要であり、社員の健康は会社の業績にも直結すること。仕事で最高のパフォーマンスを発揮するためには、健康が欠かせないこと。元気で働くことが本人や家族の幸せにつながること。そうした背景や目的をしっかり伝えて、腹落ちしてもらうことが大切ですね。

また、コンビニという業態に特有の健康課題もあります。
社員の4割はスーパーバイザーといって、会社から貸与された車で店舗を回り、アドバイスを行っています。勤務は不規則ですし、加盟店オーナーに新商品を案内するための試食もする。そのため、必然的に歩いたり運動をしたりする機会が少なくなり、肥満や高血糖を指摘される人の割合が、一般企業よりも高くなっています。
そこで、ローソンでは2018年までに、肥満や血糖値などが正常でない人の割合を減らす目標を定めました。とくに肥満者(BMIが25以上)の割合は、2014年の実績で男性37.2%を2018年は27.7%に、女性18.6%を17.0%に減らす目標を掲げています。こうした目標達成に向けて、2015年6月からは「ローソンヘルスケアポイント」を導入しました。これは、健診結果から各自が取り組むべき健康目標を3つ設定し、90日間欠かさずに行動チェックをすることでポイントが付与され、目標を達成すればさらにポイントが加算されるというものです。獲得したポイントは「Ponta」の加盟店で利用できます。

スポーツで職場環境も向上
職場の活性化を目的としたスポーツ大会も実施しています。2009年から毎年続いていて、今年はソフトボール大会を開催。私が率いる「たまちゃんドリームチーム」が地区大会で見事優勝を果たしました。役員が主体の平均年齢が一番高いチームが勝ち上がっていったので、大いに盛り上がりましたよ。ただ、実は野球部出身の若手社員を助っ人に加え、戦力をアップしていたのですが(笑)。
そのほか、4人制で柔らかいボールを使う、ソフトバレーを毎週行っている支店(各地にある運営事務所)もあります。そうした職場では、ソフトバレーの日は定時で仕事を終わらせるために、効率良く仕事をするようになったと聞いています。職場での会話やコミュニケーションが増えて、業績の向上につながっている支店も多いようです。スポーツでのチームプレーが、職場のチームワークにも生かされる。スポーツは今後も積極的に採り入れていきたいと思っています。
最近は、ローソンの中でラグビー経験者20人ほどを集めて、タッチラグビーのチームを結成しました。やはり最後はラグビーになるのかな(笑)。2カ月に1度、1時間程度汗を流して、飲み会を開いています。タッチラグビーはタックルやスクラムのない、いわば簡易版ラグビーですが、これが意外ときついんですよ。ラグビー経験者とはいえ、練習を始めて15分もすると、吐きそうになっている部員もいます(笑)。結成からまだ日が浅いものの、タッチラグビーの協会にチーム登録もしたようなので、対戦などもしていけるといいですね。

今後もCHOとして、自身の健康、グループ社員や関係者の健康維持・増進に取り組むと同時に、健康志向商品の品揃えをより充実させていきたい。とはいっても、押し売り型の店舗にするつもりはありません。私自身も、健康志向の食事をすることもあれば、覚悟を決めるような日はガツンとしたラーメンを食べることもある。お客様の多様なニーズに応えるためには、ドカ弁もたばこもそろえます。そのなかでの選択肢として、健康志向商品の品揃えや開発は、他社に負けないように進めていきたい。そして、よりマチの健康に貢献できる企業であり続けたいと思っています。

【日経ビジネス】
by kura0412 | 2017-01-06 15:21 | 医療政策全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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