来年の歯科界話題のキーワード「薬価改定」

2016けいざいあの時(4)オプジーボ薬価下げ 厚労省、主導権奪われ

がん治療薬オプジーボ。今年初めにはごく限られた人しか名前を知らなかった薬の価格を巡り、政府や医療関係者を巻き込んだ論争が沸き起こった。膨張する医療費の象徴として、2017年2月に今の価格を半分にすることが急きょ決まった。いくつもの誤算が重なった厚生労働省は薬価改定の主導権を奪われた。

「オプジーボ狙い撃ちと言われても仕方ない」。厚労省幹部は5月下旬、消費増税の再延期を伝える報道にうめいた。17年4月に予定していた消費増税に合わせ、厚労省は増税分を薬価に反映する改定を予定していた。全薬品の価格改定とともに、オプジーボを値下げする腹づもりだった。当てが外れ、一つの薬に限った異例の改定が動き出す。誤算の始まりだった。
オプジーボは体内の免疫細胞に作用し、人間の持つ異物を排除する能力を高めてがんを治療する。一部のがんに画期的な効果が確認された。想定する対象患者は470人と少ないことから高額な薬価が付いた。

「夢の薬」が医療保険制度を脅かす――。財務省が4月に開いた財政制度等審議会でこんな認識が広がった。5万人が1年間使えば1兆7500億円かかるとの試算が示された。
厚労省は中央社会保険医療協議会(中医協)で今年夏から値下げに向けた議論に入った。日本医師会の松原謙二副会長は「薬の価格が高くなり過ぎるのは速やかに改善してほしい」と要求。薬価の引き下げ分を医師の診察料など診療報酬本体に回すのが医師会の伝統的な行動原理だ。「技術革新を阻害する」と主張する製薬業界は劣勢だった。
値下げが決まったのは10月。厚労省は17年度に25%下げる方針で中医協の了承を得た。18年度に薬価制度を抜本的に変え、さらに値下げする案を温めていた。段階値下げで製薬業界の反発を和らげる狙いだった。
思わぬ伏兵となったのが共産党の小池晃書記局長だ。10月6日の参院予算委員会で「25%では不十分」と安倍晋三首相に迫った。野党の質問にもかかわらず、厚労省案への疑問が首相官邸で広がった。
10月14日の経済財政諮問会議でも民間議員が50%の引き下げを突き付けた。「なぜ1回でできないのか」。首相官邸も同調。厚労省職員は説明に回ったが、理解は得られない。次第に大幅値下げに傾いていった。
「国民の納得が得られる対応を講じていくことが大事だ」。50%値下げが固まった11月10日、菅義偉官房長官は記者会見で述べた。
厚労省には誤算が重なる。薬価改革の主導権を諮問会議が握ったことだ。民間議員は11月、2年に1度の改定を毎年にするよう提言。毎年改定は安倍首相の指示ですんなり決まった。
勢いに乗る民間議員は12月21日、診療報酬も議論すべきだと発言。診療報酬は病院経営に直結するため、医師会は横倉義武会長名で翌日、「大それた発言で青天のへきれき」とのコメントを出した。「聖域」の診療報酬本体に手を付ければ、震度はオプジーボの比ではなくなる。

【日経新聞】



来年の歯科界の話題のキーワードが「薬価改定」になるかもしれません。
by kura0412 | 2016-12-30 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)