日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

『高齢者医療、チェックなき膨張』

高齢者医療、チェックなき膨張
2030年 不都合な未来(1)

暮らしや老後を守る社会保障が日本経済を揺るがそうとしている。止めどない高齢化で医療や介護、年金にかかるお金が膨張。財政も刻一刻と危うさを増す。団塊の世代が80代を迎える2030年はどのような社会になるのか。経験したことのない選択を迫られることだけは間違いない。

その男性は西日本の病院で最期を迎えた。享年80。12年に受けた弁膜症の術後の経過が悪く、感染症を繰り返した。透析や胃ろうの処置などあらゆる医療行為を受けた。

■医療費、計7400万円
レセプト(診療報酬明細書)には70以上の病名が並ぶ。「本人も知らなかっただろう」と関係者は話す。3年半の医療費は約7400万円。男性の自己負担は約190万円。残りの大半は税金と現役世代の支援金だ。
高齢者医療費が歯止めを失いつつある。社会保障給付費は30年に今より約50兆円増えて170兆円程度に達する可能性がある。影響が大きいのが医療費。とりわけ75歳以上の後期高齢者医療費は約1.5倍の21兆円に達する公算が大きいことが全国調査をもとにした分析で分かった。
取材班は全国約1740市区町村の後期高齢者の1人当たり医療費を調べた。厚生労働省は都道府県単位の数値を集計しているが、市区町村の全容は初めて判明した。
1人につき年100万円以上の医療費を使っている市区町村は14年度分で347に及ぶ。30年の人口推計などから試算すると、全体の後期高齢者医療費は現在の約14兆円から大きく膨れ上がる。
最多と最少の自治体格差は14年度時点で2.6倍。東京都台東区など都市部の自治体も上位に入った。大きな医療費格差はなぜ生じるのか。
1人当たり医療費が133万4453円と全国最多の福岡県宇美町。高齢者らが長期入院する療養病床は人口対比で全国平均の3倍超。在宅療養を支援する診療所は乏しく医療費がかさむ入院に頼りがちだ。

息子夫婦と暮らし、通所介護を利用する80代女性は約1年前、軽い胃の不調を訴え、町内の病院を受診した。「検査に時間がかかるので療養病床に入れる」。病院からこう聞いた担当のケアマネジャーは1カ月後に確認したが「退院したら連絡する」と告げられ、検査入院が長期化。ケアマネによると、女性は現在も入院したままだという。
高齢者医療制度はチェック機能を担う広域連合が市町村の合議体で、責任の所在が曖昧という問題を抱える。保険者としての機能不全は覆い隠せない。その裏側で高齢者医療費の4割を支える現役世代の負荷が高まる。
「手取りが……」。オムロングループの30代女性は10月の給与明細に目を疑った。1年前より1万円ほど減っていた。30万円台前半の基本給は7000円ほど上がったが、健康保険料が3600円、厚生年金保険料が7800円増えた。会社の方針で残業手当が減ったことも誤算だった。

■賃上げむなしく
「今の制度はもたない」。創業100年超の化学メーカー、第一工業製薬の赤瀬宜伸常務(57)は断言する。同社は単一の健康保険組合を維持するのは困難と判断し、自主的に解散した。05年度に6.6%だった保険料率は9.5%に上昇。人間ドック補助の削減などを重ねたが万策尽きた。
07年度に1518あった健保組合は100以上が消え、経団連によると13、14年度の賃上げ効果の46%分は社会保険料として吸い上げられた。
たとえ高齢者医療の綻びを繕えても、それだけで光明が差すわけではない。学習院大学の鈴木亘教授の試算では、年金や医療、介護にかかわる債務は30年時点で今より350兆円増えて2000兆円規模に達する。
支えを求める高齢者が増え続け、細る現役がその負担を迫られる。制度を根本から作り替えないまま、不都合な未来はもう目の前に来ている。

【日経新聞】



この記事は今朝の1面・全面での掲載です。
by kura0412 | 2016-12-19 09:13 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
以前の記事
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧