『改定がない時こそ、改革を』

「最大の課題は社会保障分野」、財政審建議
社会保障関係費の伸びは5000億円に抑制、改革の前倒し提言

財務省の財政制度等審議会(会長:吉川洋・立正大学経済学部教授)は11月17日、2017年度の予算編成等に関する建議をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。社会保障関係費の伸びを「5000億円」に確実に抑制し、その他の政策経費を含めた一般歳出を5300億円に抑えるべきと提言している。「最大の課題は社会保障分野」と強調、経済財政諮問会議が2015年12月にまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の検討項目を中心に、改革の基本的な考え方を4つに整理し、できる限り前倒しして改革を実現するよう求めている。

4つの基本的な考え方とは、
(1)年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担(高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなど)、
(2)大きなリスクは共助、小さなリスクは自助(入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方など)、
(3)医療・介護提供体制の構築(かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、地域医療構想に沿った医療提供体制の実現、医療費適正化計画の策定・実現など)、
(4)公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護(高額薬剤の薬価等の在り方、生活習慣病治療薬等の処方の在り方など)――だ。

これらの大半は、厚生労働省の社会保障審議会や中央社会保険医療協議会をはじめとする関係審議会・検討会で、並行して議論してきた内容だ。高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなどは実現の見通しだが、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率などは、「反対」で意見が一致。11月18日にも、社保審医療保険部会が開催され、今年内数回の議論を経て、2017年度以降実施の制度改正案を取りまとめる予定。また高額薬剤については、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価を2017年2月から50%引き下げる方針が、11月16日の中医協で決定した。
社会保障関係費の伸びを年5000億円に抑制するのは、2015年6月に閣議決定した「経済・財政運営と改革の基本方針2015」に基づく対応。今年8月の厚労省の2017年度予算概算要求では6400億円の伸びとなっており、高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、オプジーボの薬価引き下げなどで抑制する見通し。

そのほか(3)では、2017年度予算編成には関係しないものの、医師需給問題にも言及。今後の医学部定員については、医師需給の見通しを踏まえた精査・見直しを進めると同時に、医師の地域・診療科偏在是正に向け、(1)医師不足の地域・診療科従事を、特定の医療機関の病院長といった管理者になるための要件とする、(2)保険医の配置・定数の設定など、医師配置等に係る規制も含め、国や都道府県の権限強化――を提言している。

「改定がない時こそ、改革を」
財政審の建議は、財政制度分科会で議論してきた内容を取りまとめたもの。9月7日以来、会議を計7回開催。社会保障関係については、10月4日と10月27日の2回議論)。
建議では社会保障関係について、「社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成していくため、医療・介護分野の改革の実現は、喫緊の課題」とし、「2017年度予算編成においては、診療報酬・薬価改定および介護報酬改定が予定されていないが、こうした時こそ、改革を集中的に進める機会と捉えていくべき」と指摘。その上で改革の基本的な考え方を4つに整理し、具体的な改革項目を解説している。

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by kura0412 | 2016-11-19 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)