日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠』

オプジーボ、来年2月から50%引き下げへ
11月24に告示予定、2016年度販売額、1516億円超と推定

中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月16日、抗PD-1抗体製剤オプジーボ(一般名ニボルマブ)を対象に、緊急薬価改定を行い、50%引き下げることを決定した(資料は、厚生労働省のホームページ)。薬価は、点滴静注20mg15万200円から7万5100円、100mg72万9849円から36万4925円にそれぞれ下がる。販売元の小野薬品工業からの不服意見提出期限は11月22日、提出がなければ11月24日に告示、2017年2月1日から適用する。

オプジーボの薬価引き下げは、診療側と支払側ともに、了承していたが、その実施時期と下げ幅が焦点だった。当初、「最大で25%」との見方もあったが、医療費への影響が懸念され、政府レベルでも薬剤費の高さが問題視され、より一層の引き下げ圧力が高まっていた上、「社会保障費の自然増を年5000億円に抑える」という政府方針からも早期の実施が不可避だった。
厚労省は、「できる限り既存の考え方を活用」との考えから、2016年度薬価制度改正で新設された「市場拡大再算定の特例」の適用が合理的であると判断。小野薬品工業の予想年間販売額(出荷価格ベース)を基に、薬価ベースに換算すると2016年度の販売額は1516億円超と見込まれることから、「年間販売額が1500億円超かつ予想の1.3倍以上」の対象となり、「最大50%の引き下げ」が適用された。2017年2月1日付けの改定実施は、医療機関での在庫管理など、医療現場における円滑実施の観点から2カ月以上の期間を設ける必要があるとの判断からだ。

日本医師会は、オプジーボの薬価引き下げには以前から同意していたものの、薬価改定財源を診療報酬財源に充当するには、従来通り、薬価と診療報酬を同時改定しないことには難しく、落とし所が焦点だった。
中医協総会後、日医副会長の中川俊男氏は、m3.comの取材に対し、「社会保障費の抑制圧力がある上、薬剤費の高騰が問題になっている。オプジーボについては類似の上市も予定されており、ここで薬価を大幅に引き下げることは、薬剤費の抑制、かつ公的医療保険下で適正価格で薬を患者に届けることにつながるため、苦渋の決断として、了承した」と説明する。
類似薬とは、オプジーボを基に類似薬効比較方式で薬価が決まる、抗PD-1抗体製剤のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)。既に「根治不能な悪性黒色腫」の効能で薬事承認され、「切除不能な進行または再発の非小細胞肺がん」で承認申請中だ。さらに、1次治療を対象とした国際共同第3相試験での有用性が、今年10月の欧州臨床腫瘍学会で報告されており、1次治療まで使用が広がれば、対象患者の一層の拡大が見込まれる。
中川氏は中医協総会とそれに先立ち開催された薬価専門部会でも、キイトルーダ上市後の薬剤費高騰への懸念を呈しており、かねてからの主張通り、2018年度薬価制度改正における現行の薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。今回のように問題が生じてからではなく、「問題が生じる前に、準備をしておくことが必要」(中川氏)

一方、支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏も、薬価専門部会で、「緊急的な対応は、歓迎する。新たなルールを作るのは混乱を招くので、できるだけ既存の考え方を適用することも、合理的だと思う」などと述べ、オプジーボへの対応を支持。その上で、現行の薬価算定方式では、効能・効果追加による市場拡大といった事態に対応できないため、中川氏と同様に、「薬価算定方式の抜本的な見直しの議論は、早急に開始すべき」と述べた。
専門委員の立場から加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、期中改定は企業経営への影響が大きいことから、「止むを得ず例外的な措置として実施するもの」と受け止めた。「国内市場において新薬から十分な利益を得られなければ、次の新薬開発が難しくなる」と述べ、薬価算定におけるイノベーションの評価を期待するとともに、2018年度薬価制度改正に向けた議論には、製薬業界としても積極的に参画すると決意を示した。今回の対応は、あくまで緊急対応であり、2018年度に改正を行い、その結果に基づき調整を行う。今回の薬価引き下げを行わなかったと仮定した販売額を算出の上、再算定を改めて実施する。
なお、オプジーボについては、薬価引き下げに加えて今後、「施設要件」や「患者要件」などを定めた「最適使用ガイドライン」を策定する(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。その医療保険上の取り扱いについて、厚労省保険局医療課長名で「留意事項通知」が出される予定。年内にも最終案がまとまる見通しだ。ガイドラインは、日本臨床腫瘍学会と日本臨床内科医会が中心となり、策定が進められている。中川氏は、ガイドラインや通知について、(1)最終段階だけではなく、途中の段階から中医協総会で説明し、議論する、(2)厚労省の医薬・生活衛生局と保険局が連携する――などの必要性を指摘、医療保険の観点を踏まえて策定するよう釘を刺した。

米国約15万円、イギリス 約30万円との比較でも高額
中医協総会では、医療費への影響が大きい高額薬剤として、(1)2015年10月から、2016年3月までに効能・効果または用法・用量の一部変更が承認された既収載品、(2)2016年度の企業予想年間販売額(薬価ベース)が1000億円を超え、かつ薬価収載された時点における予想年間販売額に対して、10倍以上となる既収載品――のいずれにも当てはまるものと規定、2018年度薬価改定を待たずに改定を実施することを決定した。複数の候補の中から、対象となったのは、小野薬品工業のオプジーボのみ。
オプジーボは、2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の適応で承認、同年9月の薬価収載時のピーク時の予想投与患者数は年470人、予想年間販売額は31億円だった。その後、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能が追加されたのは2015年12月であり、2016年度薬価改定において、「市場拡大再算定の特例」の対象から外れた。
海外との比較でも日本のオプジーボの薬価は高く、点滴静注100mgの場合、日本の72万9849円に対し、米国約15万円、イギリス約30万円 との推定がある。

2016年度販売額、1560億円超と推定
オプジーボの薬剤費は年1兆7500億円(薬価ベース)との推計もあったが、今回の緊急薬価改定に当たっては、小野薬品工業による2016年度の予想年間販売額の1260億円(出荷価格ベース)を基に、流通経費、消費税、薬価と出荷価格の乖離率のほか、今後の効能拡大を見込み、以下の方式で算定した。オプジーボは、8月26日付けで、腎細胞がんの効能追加が承認された。小野薬品工業が11月7日に公表した予想年間販売額は、腎細胞がんの効能追加込みの金額だ。
◆オプジーボの薬価算定の考え方 1260億円÷[流通経費7%(1-0.07)]×1.08(消費税)÷[乖離率(1-0.069÷2)]×[効能追加、2016年度分X円]=1516億円+X円

この計算式について問い質した一人が、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏。薬価と医療機関への納入価の差である乖離率は、2015年度薬価調査の「その他の腫瘍用薬(注射薬)」の平均乖離率6.9%の「2分の1」とした根拠を質した。
厚労省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、「明確な根拠はないが、あくまで保守的に、厳しく見積もるため」と説明。乖離率を高く見積もるほど、薬価ベースに換算した販売額は高くなる。一方で、少なく見積もれば、例えば、万代氏の試算では、3分の1とすれば、1500億円を超えず、この場合の薬価の最大下げ幅は25%だ。
日医副会長の松原謙二氏も、薬価調査を実施していないため、乖離率や流通経費などの数値を正確には把握できないことから、「計算式自体が、仮定の上に仮定を重ねていることに不安を覚えている」と指摘。これに対し、中山薬剤管理官は、流通経費は「医薬品産業実態調査報告書」のデータを用いているなどと説明、「大丈夫だと考えている」と回答。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、「流通経費などが実態と異なるのであれば、小野薬品工業が不服意見を申し立てればいいと理解している」との考えを述べた。

「薬価算定方式の抜本的見直し」が不可欠
オプジーボの薬価下げ幅の計算式のほか、議論になったのは、小野薬品工業が不服意見を提出した際の手続きについて。
日医の中川氏は、いったんは中医協総会で薬価が決まったものの、企業の意向で取り下げ、再申請後に薬価が決まった乾癬治療薬「トルツ皮下注」(一般名イキセキズマブ)を例に挙げ、「手続きは極めて重要」と指摘した。中山薬剤管理官は、小野薬品工業から不服意見が出た場合には、中医協総会に諮り、対応を検討すると答えた。
さらに中川氏は再三にわたり、薬価算定方式の抜本的見直しを求めた。例えば、類似薬効比較方式については、対象国から米国を除外するなどの外国平均価格調整の在り方の見直し、原価計算方式についてはコストの算定根拠を明確にする必要性を指摘。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、さまざまな意見を踏まえ、2018年度薬価制度改正に向けた議論を進めていく方針を表明した。

【m3.com】



総医療費で考えれば1560億円あれば歯科は5%以上アップ程の規模になります。
by kura0412 | 2016-11-17 09:42 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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