『医科歯科連携が不十分』

顎骨壊死の防止に向け、医科歯科連携強化を
骨粗鬆症学会アンケート結果より
学会レポート | 2016.11.04 07:05

これまで治療実態に応じた骨折予防効果を大規模に検証してきた骨粗鬆症至適療法研究会(A-TOP研究会)では昨年、顎骨壊死に関する緊急アンケート(A-TOP調査)の結果が報告されたが、対象者数が少なかったため、その信頼性には若干の疑問が残された。そこで、松本歯科大学歯科放射線学講座教授の田口明氏は、日本骨粗鬆症学会所属の全医師を対象にアンケートを実施し、より妥当性の高い結果を示すとともに、種々の回答項目から、顎骨壊死を防止するためには、医科歯科連携をよりいっそう強化する必要性があると第18回日本骨粗鬆症学会(10月6~8日)で訴えた。

休薬しなかった群でも抜歯後の顎骨壊死はなし
A-TOP調査では、ビスホスホネート(BP)製剤やデノスマブなどの骨吸収抑制薬を抜歯前に休薬すると、顎骨壊死を予防することなく、骨折リスクを上昇させ、骨粗鬆症治療を妨げる恐れがあると示唆されたが、調査対象が206人と少数であったため、その調査の妥当性には議論の余地が残されていた。今回実施したアンケートでは、A-TOP調査時の3倍を超える629人から有効回答が得られた。回答者の診療科は約74%が整形外科、約13%が内科であり、この割合はA-TOP調査とほぼ同様であった。
アンケート結果によると、骨吸収抑制薬による治療中、抜歯前に歯科医師から休薬依頼があった場合は83.1%が休薬すると答えていた。休薬期間が3カ月未満、3カ月以上と答えた群の骨折および顎骨壊死の発生率は、前者でそれぞれ約3.6%、0.7%、後者で約5.3%、約1.6%となり、後者の方が骨折、顎骨壊死のリスクが高かったという。
また、休薬しなかった場合の抜歯の有無を尋ねる問いでは、52.8%が抜歯をしていたが、抜歯後の顎骨壊死は発生しなかった。一方、休薬後における骨粗鬆症治療の状況について問うと、16.8%で治療中止を経験していたという。

歯科医師への口腔ケア依頼、医科歯科連携はいずれも低い割合
顎骨壊死の発生には口腔内に常在する放線菌が関与すると考えられていることなどから、口腔内衛生環境の管理も重要であるが、骨吸収抑制薬による骨粗鬆症治療前に歯科医師に口腔ケアを依頼しないと回答した医師が約60%に達していた。加えて、骨吸収抑制薬を投与している骨粗鬆症患者について、医科歯科連携がなされているかという設問に対しては、71.5%がしていないと回答した。
以上の結果はおおむねA-TOP調査の結果と同様であったことから、田口氏は「以前行われたA-TOP調査の妥当性が担保された」と述べた。加えて、同氏は「骨吸収抑制薬の休薬や治療中止により骨粗鬆症患者の抜歯が遅滞すると、口腔内の感染が拡大し顎骨壊死が増加する懸念がある。つまり今回のアンケートの結果は、医科歯科連携が不十分であると、感染症の感染源が放置され、顎骨壊死を引き起こしてしまう恐れがあることを示している」と警鐘を鳴らし、より緊密な医科歯科連携の重要性を説いた。

顎骨壊死問題解決の一助に
成人病診療研究所 所長・白木正孝氏
顎骨壊死に関する実態調査から驚くべき結果が示された。歯科でルーチン化した休薬がこの問題の解決にならないこと。骨吸収抑制薬使用前における歯科検診が医師の間で常態化していないこと。この知見は顎骨壊死をめぐる問題の解決に向けた一助となることが期待された。

【Medical Tribune】




実は私が昨日参加した日本有病者歯科医療学会・学術教育セミナーでもこの問題が指摘されました。そして、この顎骨壊死に関しては、以前の考えから少し変化しているようです。
by kura0412 | 2016-11-07 11:58 | 歯科 | Comments(0)