『安倍首相に「早期解散見送り」を決断させた、驚きの選挙予測』

安倍首相に「早期解散見送り」を決断させた、驚きの選挙予測
86選挙区で敗北の可能性アリ?

首相・安倍晋三は衆院解散・総選挙の時期について「来年1月解散・2月総選挙」をとりあえず選択肢から外した。よほどのことがない限り、この時期には行わず、2018年暮れの衆院議員任期満了をにらんで「来年秋以降~再来年年頭」を軸に解散時期を模索する構えだ。
来年年頭に解散しないのは、自民党総裁の任期が「2期6年」から「3期9年」にスムーズに延長されること、来年5、6月ごろに実現する見通しの衆院定数削減・是正前に解散すると「定数削減逃れ」という批判を招くこと――などが理由だ。
だが、真相は自民党が勝てない、公明党を含め政権維持に必要な過半数の議席を確保しても、議席を大幅に減らす可能性があるからではないか。

若手議員の後援会作りは3割以下
自民党は10月中旬から、衆院当選1、2回の若手議員約120人を3グループに分け、選挙対策の勉強会を始めた。席上、幹事長・二階俊博は「次に選挙があるのは衆院であることは間違いない。そろそろ準備をしておく。(衆院解散は)いずれ来る」「選挙は一人ひとり、個人個人の問題だ」とあいさつし、発破をかけた。
24日の会合では官房副長官・萩生田光一が「皆さんの活動状況次第では候補者を差し替えるというのが安倍総裁の意向だ」と述べ、候補差し替えに言及した。
前回の衆院選から約2年、自民党が政権を奪還した12年12月の衆院選からは約4年が経過している。にもかかわらず、今になって選挙対策の勉強会を開いたり、候補者差し替えを検討したりしていることに、自民党の危機感が表れている。
かつての自民党議員なら、選挙対策を指導する必要はなかった。選挙運動と後援会づくりは一体であり、立候補を決断した段階から後援会作りに励んだ。それが、多少逆風が吹いても当選する源泉だった。元首相・田中角栄の「越山会」が有名で、元首相・竹下登は「角サンの票は一票、一票を鋲(びょう)で止めてあるようだ」と語っていた。
ところが、今の当選1、2回議員の選挙運動の実態について、自民党実力者はこう語る。
「しっかりした後援会を作っているのは3割に満たないのではないか」

中堅議員も、彼らの怠慢ぶりに驚きを隠さない。
「彼らが初めて当選した12年暮れの衆院選直後、13年元日に皇居で行われた新年祝賀の儀に、初当選したばかりの議員がいっぱい来ていた。私は、大差を付けて当選できるようになってから出席した。それまではずっと欠席していた。元日は、地元の神社を回るもんですよ。そこで、お参りに来た有権者に当選の御礼をする。年頭から選挙運動を始める気持ち、意識を、そもそも持っていないんですね……」
新年祝賀の儀に限らず、国会議員に案内状が出される会に当選1、2回若手議員が出席している姿を見かけることが多い。「当選1回議員の最大の仕事は2回目に当選すること」と言われ、若手議員が選挙区を丹念に回るのは今や昔、となってしまったようだ。 

野党一本化なら自民は86議席減?
前回の衆院選は、12年衆院選から約2年で行われた。その結果、12年初当選組119人のうち104人が当選を果たした。
「小泉チルドレン」と言われた自民党の05年初当選組83人が09年衆院選で10人(旧みんなの党を含む)に、「小沢チルドレン」と言われた旧民主党の09年初当選組143人が12年衆院選で11人(同)に、それぞれ激減した。これに比べ、12年当選組の大半が生き残った。
議席が大きく変動した衆院選は前回との間が4年、3年4カ月と空いていた。しかし、12年当選組は約2年で次の選挙を迎えた。14年衆院選は旧民主党批判が強く、安倍政権が順調な時期だった。かつ、民主、共産、社民、生活の各党がバラバラに戦っていた。
ところが、次期衆院選は14年とは様相が異なることになりそうだ。野党4党が調整を水面下で進め、候補者を一本化する公算が大きい。
「野党(候補)が一本化された場合、前回の衆院小選挙区獲得議席のうち、単純な足し算で86選挙区は勝てない可能性もある」
幹事長代行・下村博文は自民党の選挙対策勉強会でこう語り、危機感をあらわにした。自民党の衆院議席は現在、自民系を含め294。下村が指摘する86選挙区すべてで議席を失ったら208。公明党の35議席を加えても、定数削減後の過半数233議席をやっと上回る程度に落ち込むことになる。
もちろん、自公両党はそれでも過半数を確保できるのだから、政権を維持する。しかし、自民党が大きく議席を減らすなら、18年9月の自民党総裁選で安倍の3選に黄信号が点滅することになるだろう。
その時に敗北の責任を問われないためには、14年11月の解散時のように安倍の主導権で解散するのではなく、多くの自民党議員が「この時期ならやむを得ないな」と思われるような解散時期を選ぶ必要がある。
その時期は任期満了の1年前あたり、つまり来年秋からだろう。それまでは当選1、2回議員に地盤を固める、最後の猶予期間となるに違いない。

【ニュースの深層・田崎史郎】
by kura0412 | 2016-11-01 15:17 | 政治 | Comments(0)