『降圧薬服用高齢者のフレイル、血圧低値ほど高率』

降圧薬服用高齢者のフレイル、血圧低値ほど高率

80歳以降の高齢者に対する過降圧はフレイルをもたらす可能性のあることが分かった。
高齢者長期縦断疫学研究SONICの一環として、70歳、80歳、90歳の高齢者計2245人を対象に行われた横断的検討で得られた結果だ。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻総合ヘルスプロモーション科学の樺山舞氏らが、第39回日本高血圧学会総会(9月30日~10月2日、仙台開催)で報告した。

今回の検討は、高齢者高血圧の治療における降圧下限値の明確化を目的に、血圧値と身体的フレイル、高次生活機能との関連性を調べた。
対象は、SONICに参加した地域住民の70歳1000人、80歳973人、90歳272人の計2245人。血圧測定、身体的フレイルの指標である握力と歩行速度の測定、および高次生活機能の指標である手段的日常生活動作能力(IADL)の評価を行った。CHS(Cardiovascular Health Study)基準に基づき、握力、歩行速度のどちらかまたは両方が該当した場合を身体的フレイルと判定した。血圧値は収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)それぞれ4つのレベルに分けた。
SBPは男女とも、70歳より80歳で有意に高く、80歳より90歳で有意に低かった。DBPは男性のみ70歳より80歳が有意に低く、男女とも80歳より90歳が有意に低かった。高血圧は70歳で約7割に、80歳、90歳でそれぞれ約8割に認められた。降圧薬服用者の割合は年齢が高いほど有意に上昇した。また、年齢が高いほど、握力が弱く、歩行速度が遅く、IADLは低かった。身体的フレイルは70歳で37.1%、80歳で64.3%、90歳で91.7%に認められた。
降圧薬服用の有無別に血圧値と握力、歩行速度、IADLの関係を検討したところ、70歳では男女とも、服用群、非服用群のいずれにおいても有意な関連はみられなかった。しかし、80歳の服用群では、男性の握力が、DBPでは80~89mmHg群、90mmHg以上群に比べ、70mmHg未満群で有意に弱かった。SBPと握力の間でも同様の傾向が認められた。こうした関係は非服用群ではみられなかった。90歳では、非服用群の女性のIADLが、SBP160mmHg以上群に比べ同120mmHg未満群で有意に低かった。
身体的フレイルの割合は、服用群において、SBP、DBPが低いほど有意に高率(SBP:P=0.029、DBP:P<0.001)で、SBP120mmHg未満では75.0%、DBP70mmHg未満では72.7%に認められた。こうした関係は非服用群では見られなかった。
ロジスティック回帰分析により、フレイルに関連する要因(年齢、罹患疾患で調整後)を検討すると、非服用群ではアルブミン低値が、服用群ではDBP低値が独立した有意な関連因子となった。

以上より樺山氏は、「降圧薬服用群でのみ血圧がフレイルと関連しており、80歳以降の高齢者の過降圧はフレイルをもたらす可能性が示唆された」と結論した。今後の研究課題については「縦断的解析により、フレイル状態の高齢者の血圧が低いのか、過降圧によってフレイル状態になっているのかを明らかにする必要がある」と述べた。

【日経メディカル】



フレイルが内科でも注目されていることを示しています。
by kura0412 | 2016-10-21 10:27 | 医療全般 | Comments(0)